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2026.01.07
宮路 幸人
サラリーマン大家にも「税務調査」は来る?税理士が明かす「調査のリアル」と準備すべきこと
- 節税・税金
- 税理士
- 執筆記事
税務調査は「他人事」ではない
「副業で不動産投資しているサラリーマンなんて、税務署は相手にしないだろ」
「区分マンション1室持っていて、赤字申告なのだから調査なんて来るわけない」
もしこう思っているなら、考えを改めたほうがいいでしょう。実は、「サラリーマン大家」からの税務調査の相談は、結構多くみられます。 税務署が不動産所得に目を光らせるのには、しっかりとした理由があります。
不動産所得は、認められる経費の幅が比較的広く、その解釈や計算で所得金額(=税金)が大きく変わることがあります。たとえば、個人的な出費を経費に混ぜたり、減価償却費をごまかしたりして、所得を少なく見せかける――税務署は、こういった「間違い」や「税金逃れ」がないかチェックしているのです。
不自然な申告は調査対象になる可能性
またサラリーマンの本業である給与所得は、年末調整で会社がほぼ納税計算を済ませてあります。税務署からすると、給与以外の所得、つまり不動産所得や事業所得、雑所得あたりが、申告内容をチェックする大事なポイントになるのは当然です。
税務調査は、所得の金額だけで対象が決まるわけではありません。国税庁はAIやIT技術を使い、大量の申告データから「おかしいところ」を見つけ出しています。
- 所得の割に、経費がすごく多い
- 長い間、理由がはっきりしない赤字が続いている
- 減価償却費の計算がよくわからない
- 去年の申告と比べて、急に数字が変わっている
区分マンション1室だけでも、このような「不自然な」申告はシステムに引っかかり、調査対象になる可能性があります。「自分は大丈夫」と思わずに、不動産所得を申告しているなら、誰でも調査される可能性があると意識することが大事です。
サラリーマン大家が「狙われやすい」ポイント
税務調査の調査官はしっかりと「あたりをつけて」やってきます。特にサラリーマン大家の場合、次の3つはチェックが厳しい「狙われやすい」ポイントです。
1.経費をごまかして多く申告(家事按分があいまい)
サラリーマン大家が一番指摘されるのが「経費」の問題。なかでも、事業用とプライベート用(家事用)の区別があいまいな支出=「家事関連費」の扱いです。たとえば、下記のような費用があります。
- 自宅を事務所として使っている場合の「家賃」や「光熱費」
- 不動産管理にも使う自家用車の「ガソリン代」や「駐車場代」
- 仕事とプライベートで使う「スマホの通信費」
- 情報収集とか打ち合わせ名目の「飲食代(接待交際費)」や「新聞図書費」
これらの費用は、「事業(不動産投資)に、直接必要だった部分」だけを経費にできます。そのために「家事按分」をします。 税務調査でチェックされるのは、「按分の根拠をしっかりと説明できるか」ということです。「なんとなく50%を経費にしている」「たぶん、これくらいだろうと思って計上した」などという説明では、調査官は納得しません。
自宅兼事務所なら「事業に使っている部屋の広さの割合」、通信費なら「使った日数や時間の割合」、車なら「走行距離の割合」のように、客観的に説明できる基準をはっきりさせておく必要があります。
交際費・交通費は特に要チェック
経費の中でも、特に、交際費や交通費は「本当に仕事のため?」と厳しく見られがちです。家族旅行の費用を「現地視察」として経費にしたり、友達との食事を「情報交換」としたりするのは、ほぼ認められないと思ったほうがいいでしょう。
2.減価償却費の計算ミス
減価償却は、建物や設備のように高額な資産(時間が経つと価値が下がるもの)を購入した費用を、法律で決められた年数に分けて、毎年少しずつ経費にする会計処理のことです。不動産所得の経費のなかでも大きい部分なので、計算ミスも多くて、調査官が必ずチェックします。計算方法がはっきりしているので、ミスがあればすぐ指摘されて、修正(=所得が増える)につながるでしょう。よくあるミスは、下記のようなものがあります。
土地も減価償却している
土地は時間が経っても価値が下がらないから、減価償却できません。売買契約書で建物と土地の値段が分かれていない場合は、固定資産税評価額などで計算して分ける必要がありますが、この計算が間違っているケースがあります。
中古の物件なのに、耐用年数の計算が間違っている
中古で物件を買った場合、法律で決まった年数ではなくて、使える残りの年数を見積もって計算します。計算方法を間違えたり、わざと短く設定したりしていないか見られます。
3.売却した時の譲渡所得の申告漏れ
不動産投資は、家賃収入(インカムゲイン)だけではなく、物件を売った時の利益(キャピタルゲイン)も税金の対象です。これを「譲渡所得」といいます。
この譲渡所得の申告漏れは、税務署がすぐに見つけられるミスです。なぜなら、不動産を売買すると必ず「登記」が行われ、その情報が法務局から税務署に伝わるからです。「売ったってバレないだろう」という考えは通用しません。適切に申告がされていないと、後から無申告加算税や延滞税の対象になり、余計な税金を支払うことにもなりかねません。 申告漏れとか計算ミスが起こりやすいのは、譲渡所得の計算が複雑だからです。
譲渡所得は、単純に「売却価格-購入価格」ではありません。正しくは、「譲渡所得=売却価格-(取得費+譲渡費用)」と計算します。そのため、売却価格から差し引く「取得費」「譲渡費用」の2点を明らかにする必要があります。
- 取得費:購入代金や仲介手数料などをいいます。ただし、そこから「今まで減価償却した金額の合計」を引く必要があります。これを忘れると、取得費が大きくなって、所得をごまかしたことになります。
- 譲渡費用:売却時の仲介手数料や印紙代などがあたります。
さらに、売却する物件の所有期間が5年以下(短期譲渡所得)か、5年超(長期譲渡所得)かで、以下のとおり税率がまったく異なります。所有期間も改めて確認しましょう。
|
|
短期譲渡所得 |
長期譲渡所得 |
|
所有期間 |
5年以下 |
5年超 |
|
税率 |
39.63% |
20.315% |
また、サラリーマン大家が勘違いしやすいのが、「マイホーム(住んでいる家)を売った時の3,000万円控除」と勘違いしているケースです。投資用の物件を売る場合は、この控除は使えないため、注意してください。 申告自体を忘れた場合、無申告加算税や延滞税の対象になります。
もし「税務署からお電話」が来たら? 調査の基本的な流れ
ある日突然、知らない番号から電話がかかってきて、「〇〇税務署の者ですが…」と言われたら、誰でもびっくりします。しかし、ここで慌ててはいけません。もしもの時のために、基本的な流れを知っておきましょう。
サラリーマン大家の場合、テレビドラマで見るような「マルサ(強制調査)」ではなく、事前に連絡がある「任意調査」がほとんどです。
まず、税務署の人から電話がかかってきます。「調査に行きたい」という内容で、調査の日時、場所(自宅や事務所)、調査対象の税金(普通は所得税)、対象期間(普通は過去3年分)を教えてくれます。
この電話で、絶対にやってはいけないのが、その場で日程を決めたり、慌てて申告内容について話し始めたりすることです。やるべきことはひとつだけ。「税理士に相談してから、日程を決め直します」と伝えて、担当者の名前と連絡先を聞いて電話を切ります。そして、すぐに税理士に連絡してください。
税理士と一緒に、調査官が自宅や事務所に来て、帳簿や領収書、契約書などの書類(「証拠書類」といいます)を確認します。 調査官からの質問には、聞かれたことだけを具体的に答えます。あいまいな記憶で答えたり、聞かれていないことまで話したりするのはNGです。
調査官は、調査で気になったことや「間違い」だと思ったことを指摘してきます。それに対して、税理士が法律や事実関係に基づいて、「これは経費としてOK」「この解釈は違うのでは」と反論したり交渉したりします。
調査官の指摘に納得して、お互いの意見が一致したら、「修正申告書」を提出して、足りなかった税金(本税)に加えて、延滞税とかのペナルティを払い、調査は終了です。
税理士が教える「日頃の備え」
税務調査で一番大事なのは、「普段からの準備」です。調査の連絡が来てから慌てて資料を探し始めても遅いです。普段からやっておくべきことは、次の2つだけ。
1.領収書や契約書をちゃんと整理して保存すること
税務調査は、「申告した経費が、本当に事業のために使われたことを証明できるか」の確認作業です。その証明になるのが、領収書、請求書、銀行の明細、売買契約書、賃貸借契約書などの「証拠書類」。これらがちゃんと保存されていないと、実際にお金を使っても経費として認められません。逆に、これさえしっかり揃っていれば、調査官に自信を持って説明できます。
-
日付順など、費目別にちゃんとファイルする。
-
法律で決められた保存期間(青色申告なら原則7年)を守る。
-
家事按分した経費は、計算の根拠(広さの計算メモとか、使った時間の記録)も一緒に保存する。
-
交際費の領収書には、裏に「いつ、誰と、何の目的で」をメモしておく。
「いつでも見られても大丈夫」な状態にしておくことが、一番の防御になります。
2.帳簿を正確につけること
毎日のお金の動きを帳簿につける「記帳」は面倒に感じるかもしれませんが、正しい申告をするための基本です。今は便利な会計ソフトもたくさんあり、簿記の知識がなくても銀行口座とかクレジットカードと連携させることで、かなりの部分を自動化できます。
正確な記帳ができていれば、税務署から「この数字の根拠は?」と聞かれても、帳簿を見せればすぐに説明できます。普段から「このお金の使い方は、税務署に聞かれたら説明できるか?」と少し意識するだけで、経費に対する考え方は大きく変わるはずです。
まとめ
サラリーマン大家でも、不動産所得を申告するなら、税務調査は他人事ではありません。特に「経費の家事按分」「減価償却費の計算」「売却時の譲渡所得」は、調査官が厳しくチェックするポイントです。
一番良い準備は、領収書や契約書をしっかり整理して保存し、毎日、正確に帳簿をつけること。もし、税務署から連絡があったら、絶対にひとりで対応しようとせずに、すぐに税理士に連絡することが鉄則です。
この記事を書いた人
宮路 幸人
宮路幸人税理士事務所 税理士/行政書士/CFP
税理士としての豊富な実務経験により、会計税務の問題から経営や資金繰りの相談など、様々な問題に対応。強みのある分野は不動産と相続関連。特に相続問題では、税金面だけでなく、家族が幸せになれる「笑顔相続」を心がけトータルな提案を重視している。宅地建物取引士、マンション管理士等の資格も保有。
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2026.01.07
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サラリーマン大家にも「税務調査」は来る?税理士が明かす「調査のリアル」と準備すべきこと
- 節税・税金
- 税理士
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税務調査は「他人事」ではない
「副業で不動産投資しているサラリーマンなんて、税務署は相手にしないだろ」
「区分マンション1室持っていて、赤字申告なのだから調査なんて来るわけない」
もしこう思っているなら、考えを改めたほうがいいでしょう。実は、「サラリーマン大家」からの税務調査の相談は、結構多くみられます。 税務署が不動産所得に目を光らせるのには、しっかりとした理由があります。
不動産所得は、認められる経費の幅が比較的広く、その解釈や計算で所得金額(=税金)が大きく変わることがあります。たとえば、個人的な出費を経費に混ぜたり、減価償却費をごまかしたりして、所得を少なく見せかける――税務署は、こういった「間違い」や「税金逃れ」がないかチェックしているのです。
不自然な申告は調査対象になる可能性
またサラリーマンの本業である給与所得は、年末調整で会社がほぼ納税計算を済ませてあります。税務署からすると、給与以外の所得、つまり不動産所得や事業所得、雑所得あたりが、申告内容をチェックする大事なポイントになるのは当然です。
税務調査は、所得の金額だけで対象が決まるわけではありません。国税庁はAIやIT技術を使い、大量の申告データから「おかしいところ」を見つけ出しています。
- 所得の割に、経費がすごく多い
- 長い間、理由がはっきりしない赤字が続いている
- 減価償却費の計算がよくわからない
- 去年の申告と比べて、急に数字が変わっている
区分マンション1室だけでも、このような「不自然な」申告はシステムに引っかかり、調査対象になる可能性があります。「自分は大丈夫」と思わずに、不動産所得を申告しているなら、誰でも調査される可能性があると意識することが大事です。
サラリーマン大家が「狙われやすい」ポイント
税務調査の調査官はしっかりと「あたりをつけて」やってきます。特にサラリーマン大家の場合、次の3つはチェックが厳しい「狙われやすい」ポイントです。
1.経費をごまかして多く申告(家事按分があいまい)
サラリーマン大家が一番指摘されるのが「経費」の問題。なかでも、事業用とプライベート用(家事用)の区別があいまいな支出=「家事関連費」の扱いです。たとえば、下記のような費用があります。
- 自宅を事務所として使っている場合の「家賃」や「光熱費」
- 不動産管理にも使う自家用車の「ガソリン代」や「駐車場代」
- 仕事とプライベートで使う「スマホの通信費」
- 情報収集とか打ち合わせ名目の「飲食代(接待交際費)」や「新聞図書費」
これらの費用は、「事業(不動産投資)に、直接必要だった部分」だけを経費にできます。そのために「家事按分」をします。 税務調査でチェックされるのは、「按分の根拠をしっかりと説明できるか」ということです。「なんとなく50%を経費にしている」「たぶん、これくらいだろうと思って計上した」などという説明では、調査官は納得しません。
自宅兼事務所なら「事業に使っている部屋の広さの割合」、通信費なら「使った日数や時間の割合」、車なら「走行距離の割合」のように、客観的に説明できる基準をはっきりさせておく必要があります。
交際費・交通費は特に要チェック
経費の中でも、特に、交際費や交通費は「本当に仕事のため?」と厳しく見られがちです。家族旅行の費用を「現地視察」として経費にしたり、友達との食事を「情報交換」としたりするのは、ほぼ認められないと思ったほうがいいでしょう。
2.減価償却費の計算ミス
減価償却は、建物や設備のように高額な資産(時間が経つと価値が下がるもの)を購入した費用を、法律で決められた年数に分けて、毎年少しずつ経費にする会計処理のことです。不動産所得の経費のなかでも大きい部分なので、計算ミスも多くて、調査官が必ずチェックします。計算方法がはっきりしているので、ミスがあればすぐ指摘されて、修正(=所得が増える)につながるでしょう。よくあるミスは、下記のようなものがあります。
土地も減価償却している
土地は時間が経っても価値が下がらないから、減価償却できません。売買契約書で建物と土地の値段が分かれていない場合は、固定資産税評価額などで計算して分ける必要がありますが、この計算が間違っているケースがあります。
中古の物件なのに、耐用年数の計算が間違っている
中古で物件を買った場合、法律で決まった年数ではなくて、使える残りの年数を見積もって計算します。計算方法を間違えたり、わざと短く設定したりしていないか見られます。
3.売却した時の譲渡所得の申告漏れ
不動産投資は、家賃収入(インカムゲイン)だけではなく、物件を売った時の利益(キャピタルゲイン)も税金の対象です。これを「譲渡所得」といいます。
この譲渡所得の申告漏れは、税務署がすぐに見つけられるミスです。なぜなら、不動産を売買すると必ず「登記」が行われ、その情報が法務局から税務署に伝わるからです。「売ったってバレないだろう」という考えは通用しません。適切に申告がされていないと、後から無申告加算税や延滞税の対象になり、余計な税金を支払うことにもなりかねません。 申告漏れとか計算ミスが起こりやすいのは、譲渡所得の計算が複雑だからです。
譲渡所得は、単純に「売却価格-購入価格」ではありません。正しくは、「譲渡所得=売却価格-(取得費+譲渡費用)」と計算します。そのため、売却価格から差し引く「取得費」「譲渡費用」の2点を明らかにする必要があります。
- 取得費:購入代金や仲介手数料などをいいます。ただし、そこから「今まで減価償却した金額の合計」を引く必要があります。これを忘れると、取得費が大きくなって、所得をごまかしたことになります。
- 譲渡費用:売却時の仲介手数料や印紙代などがあたります。
さらに、売却する物件の所有期間が5年以下(短期譲渡所得)か、5年超(長期譲渡所得)かで、以下のとおり税率がまったく異なります。所有期間も改めて確認しましょう。
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短期譲渡所得 |
長期譲渡所得 |
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所有期間 |
5年以下 |
5年超 |
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税率 |
39.63% |
20.315% |
また、サラリーマン大家が勘違いしやすいのが、「マイホーム(住んでいる家)を売った時の3,000万円控除」と勘違いしているケースです。投資用の物件を売る場合は、この控除は使えないため、注意してください。 申告自体を忘れた場合、無申告加算税や延滞税の対象になります。
もし「税務署からお電話」が来たら? 調査の基本的な流れ
ある日突然、知らない番号から電話がかかってきて、「〇〇税務署の者ですが…」と言われたら、誰でもびっくりします。しかし、ここで慌ててはいけません。もしもの時のために、基本的な流れを知っておきましょう。
サラリーマン大家の場合、テレビドラマで見るような「マルサ(強制調査)」ではなく、事前に連絡がある「任意調査」がほとんどです。
まず、税務署の人から電話がかかってきます。「調査に行きたい」という内容で、調査の日時、場所(自宅や事務所)、調査対象の税金(普通は所得税)、対象期間(普通は過去3年分)を教えてくれます。
この電話で、絶対にやってはいけないのが、その場で日程を決めたり、慌てて申告内容について話し始めたりすることです。やるべきことはひとつだけ。「税理士に相談してから、日程を決め直します」と伝えて、担当者の名前と連絡先を聞いて電話を切ります。そして、すぐに税理士に連絡してください。
税理士と一緒に、調査官が自宅や事務所に来て、帳簿や領収書、契約書などの書類(「証拠書類」といいます)を確認します。 調査官からの質問には、聞かれたことだけを具体的に答えます。あいまいな記憶で答えたり、聞かれていないことまで話したりするのはNGです。
調査官は、調査で気になったことや「間違い」だと思ったことを指摘してきます。それに対して、税理士が法律や事実関係に基づいて、「これは経費としてOK」「この解釈は違うのでは」と反論したり交渉したりします。
調査官の指摘に納得して、お互いの意見が一致したら、「修正申告書」を提出して、足りなかった税金(本税)に加えて、延滞税とかのペナルティを払い、調査は終了です。
税理士が教える「日頃の備え」
税務調査で一番大事なのは、「普段からの準備」です。調査の連絡が来てから慌てて資料を探し始めても遅いです。普段からやっておくべきことは、次の2つだけ。
1.領収書や契約書をちゃんと整理して保存すること
税務調査は、「申告した経費が、本当に事業のために使われたことを証明できるか」の確認作業です。その証明になるのが、領収書、請求書、銀行の明細、売買契約書、賃貸借契約書などの「証拠書類」。これらがちゃんと保存されていないと、実際にお金を使っても経費として認められません。逆に、これさえしっかり揃っていれば、調査官に自信を持って説明できます。
-
日付順など、費目別にちゃんとファイルする。
-
法律で決められた保存期間(青色申告なら原則7年)を守る。
-
家事按分した経費は、計算の根拠(広さの計算メモとか、使った時間の記録)も一緒に保存する。
-
交際費の領収書には、裏に「いつ、誰と、何の目的で」をメモしておく。
「いつでも見られても大丈夫」な状態にしておくことが、一番の防御になります。
2.帳簿を正確につけること
毎日のお金の動きを帳簿につける「記帳」は面倒に感じるかもしれませんが、正しい申告をするための基本です。今は便利な会計ソフトもたくさんあり、簿記の知識がなくても銀行口座とかクレジットカードと連携させることで、かなりの部分を自動化できます。
正確な記帳ができていれば、税務署から「この数字の根拠は?」と聞かれても、帳簿を見せればすぐに説明できます。普段から「このお金の使い方は、税務署に聞かれたら説明できるか?」と少し意識するだけで、経費に対する考え方は大きく変わるはずです。
まとめ
サラリーマン大家でも、不動産所得を申告するなら、税務調査は他人事ではありません。特に「経費の家事按分」「減価償却費の計算」「売却時の譲渡所得」は、調査官が厳しくチェックするポイントです。
一番良い準備は、領収書や契約書をしっかり整理して保存し、毎日、正確に帳簿をつけること。もし、税務署から連絡があったら、絶対にひとりで対応しようとせずに、すぐに税理士に連絡することが鉄則です。
この記事を書いた人
宮路 幸人
宮路幸人税理士事務所 税理士/行政書士/CFP
税理士としての豊富な実務経験により、会計税務の問題から経営や資金繰りの相談など、様々な問題に対応。強みのある分野は不動産と相続関連。特に相続問題では、税金面だけでなく、家族が幸せになれる「笑顔相続」を心がけトータルな提案を重視している。宅地建物取引士、マンション管理士等の資格も保有。