2024.10.02

不動産投資の基本

ベルテックスコラム事務局

不動産投資のメリット・デメリットを徹底解説!成功への近道とは?

  • はじめ方・基礎知識
  • メリット
  • リスク
  • 初心者

副業として注目を集める不動産投資には、他の投資では得られない独自のメリットがあります。一方で、特有のデメリットも無視できません。この記事では、不動産投資のメリットとデメリットを整理し、成功するために押さえておくべきポイントを紹介します。

メリット デメリット
1. 他人資本で運用できる 1. 空室リスク
2. レバレッジ効果により自己資金以上の投資が可能 2. 家賃滞納リスク
3. 不労所得が得られる

3. 家賃下落リスク

4. 運用に手間がかからない 4. 火災・地震リスク
5. 比較的に安定した収益が得られる 5. 修繕リスク
6. 生命保険、死亡保険として活用できる 6. 金利上昇リスク
7. 節税効果が得られる 7. 投資先の物件選びが難しい
8. 実物資産ならではのリスクヘッジができる 8. 売却時の価格が変動するリスク

9. 自分でコントロールできる要素が多い

9. 流動性が低い

10. 資金の計画が立てやすい

 

この記事では、上記不動産投資のメリット・デメリットを詳しく掘り下げて紹介し、事前の目標設定やリスク対策、物件や不動産会社選びのコツを解説します。

不動産投資が選ばれる理由!10のメリット

不動産投資には、家賃収入を得る以外にも多くのメリットがあります。ここでは、その中でも特に重要な10のポイントをご紹介します。

1. 他人資本で運用出来る

不動産投資を始めたいけれど、「投資に回せる資金が不足している」と感じて躊躇している方も多いのではないでしょうか。しかし、不動産投資のメリットの一つは、不動産投資ローンを活用することで、自己資金をほとんど使わずに資産運用を始められる点にあります。

不動産投資ローンは、一般的な住宅ローンとは異なり、審査基準が独特です。個人の返済能力だけでなく、投資対象となる物件の価値も審査されるため、初めての方でも始めやすいのが特徴です。また、不動産投資ローンには主にアパートローンとプロパーローンの2種類があります。

特に、初心者やサラリーマンに人気の高い「区分マンション」への投資は、アパートローンの対象となり、手軽に始められるのが魅力です。

  対象 借入金額
アパートローン 区分マンションなどが対象
パッケージ化された融資商品
年収の7~10倍まで
プロパーローン 融資希望者の資産背景や、事業の実績などを総合的に判断する
アパートローンより融資基準は高い
億を超える金額にも対応

サラリーマンの投資用物件として人気の高い区分マンションは、アパートローンの対象となります。

不動産投資ローンを組む際の年収の目安は500万円といわれています。その理由は、一般的に不動産投資における融資限度額が年収の7〜10倍とされているためです。例えば、年収が500万円であれば、3,500万円〜5,000万円の融資を受けられる可能性があり、投資用物件の購入に十分な資金を確保できます。ただし、年収の条件を満たしていても、その他の審査基準を満たしていない場合は融資を受けられないこともあるため、注意が必要です。

また、不動産投資を始める際には、頭金として自己資金を用意することが求められる場合があります。必ずしも必要ではありませんが、物件価格の20%以上の自己資金を用意することで、年収が低めでも審査に通りやすくなるといわれています。

2. レバレッジ効果による自己資金以上の投資が可能

不動産投資は、レバレッジ効果を活用することで「少ない自己資金で大きな利益を狙う」ことが可能です。ここで言うレバレッジとは、自己資金に加えて銀行からの融資を活用し、収益性の高い投資ができるという意味です。 たとえば、1,000万円の自己資金がある場合、この金額だけで物件を購入するよりも、融資を受けて5,000万円の物件を購入する方が、得られる収益が大きくなります。このように、レバレッジ効果を活用して資産を増やせることが、不動産投資の大きなメリットです。 

ただし、金利の上昇などにより、融資を受けた結果として収益が減少する逆レバレッジのリスクもあります。そのため、借入時にはレバレッジを利用した場合の収益性をシミュレーションし、リスクを十分に理解しておくことが重要です。

3. 不労所得が得られる

不動産投資の3つ目のメリットは、家賃収入などの不労所得を得られる点です。不労所得とは、その名の通り、労働をしなくても得られる収入を指します。ここでは、不動産投資によって得られる家賃収入の仕組みについてご紹介します。 不動産投資における家賃収入は、主に「家賃」「共益費」「礼金」「更新料」の4つの項目に分かれます。次に、それぞれの詳細について見ていきましょう。

収入の種類   具体的な金額
家賃 不動産投資のメインとなる毎月の収入源 物件によって異なる
共益費 毎月の家賃と一緒に支払われる費用
共用部分の水道光熱費や清掃費など、物件の維持管理のための資金
家賃の5~10%程度
礼金 契約時に入居者から支払われるもの
敷金と違い、返却する必要はない
礼金は通常契約時に不動産業者に支払う広告料に充てる場合が多い
家賃の1ヵ月分
更新料 賃貸契約を更新する際に支払われる 2年の契約なら2年ごとに家賃の1~2か月分

 不動産投資を行う際、ローン返済中の収益内訳は「家賃収入からローン返済額と管理費を引いた額」が実際の利益となります。

【例 家賃10万円の場合】
家賃(10万円)-ローン返済(7万円)-管理費(1万円)=利益2万円

「利益がたった2万円」と思われるかもしれませんが、ローンの返済が完了した後は利益が一気に9万円に増加します。このように、不動産投資は長期的な視点でキャッシュフローを計画することが重要です。

4. 運用に手間がかからない

不動産投資の大きなメリットのひとつは、運用にかかる手間が比較的少ないことです。本業が忙しい会社員にもおすすめです。たとえば、FXなどの投資は、価格の動きをリアルタイムで監視し続ける必要があり、時間に縛られがちです。 

一方、不動産投資では、初期の勉強や物件探し、購入までには手間がかかりますが、購入後は管理会社に運用を委託できます。管理会社が入退去手続きや物件管理、トラブル処理、集金などの業務を代行するため、日常的な運用の手間はほとんどかかりません。

運用中には、管理会社からの連絡対応や、毎月の送金指定日に口座を確認する程度で済むため、次の投資戦略を立てたり、新しい物件の取得に向けた活動もスムーズに行えます。

5. 比較的安定した収益が得られる

不動産投資は、比較的安定した収益が期待できる投資手法です。主に「家賃収入(インカムゲイン)」と「売却益(キャピタルゲイン)」の2つの収益が得られます。初心者にとって、キャピタルゲイン(売却益)を狙うのは難易度が高いかもしれませんが、需要のある物件であれば毎月安定的な家賃収入を得ることが可能です。 

株式やFXの値動きに振り回されることなく、安定した収入を得たいと考える方にとって、不動産投資は魅力的な選択肢です。ただし、リスクを理解し、信頼できる管理会社を見つけることが重要です。これにより、長期的に安定した収益を確保しやすくなります。

6. 生命保険、死亡保険として活用できる

不動産投資ローンの大きなメリットの一つは、団体信用生命保険(通称:団信)に加入することで、万が一の際に残りのローンが免除される点です。団信に加入しておけば、契約者が死亡したり、高度な障害状態に陥ったりした場合でも、残りのローンを支払う必要がなくなります。これにより、家族や遺族に対する負担を軽減できるとともに、安心して投資を続けることができます。

団信が適用される条件は以下のとおりです。

  • 死亡
  • 高度障害状態(規定あり)
  • 余命6か月以内の診断

さらに、最近では特約としてがん、心疾患、脳卒中などの3大疾病や生活習慣病にも対応した団信が登場しています。これらの特約が付いた団信の場合、がん、心疾患、脳卒中のいずれかと診断された時点で保険金が支払われ、ローンが完済される仕組みです。 

団信には様々な特約が用意されており、自分のニーズに合わせて選ぶことが可能です。ただし、不動産投資ローンを組む際には、保険会社を指定される場合が多いため、事前に確認しておくことが重要です。特約の種類については、以下を参考にしてください。

団信の特約 3大疾病 8大疾病 10大疾病(生活習慣病を含む)
対象疾病 がん
心疾患
脳卒中
がん
心疾患
脳卒中
糖尿病
高血圧症
慢性腎不全
肝硬変、
慢性膵炎
糖尿病
高血圧症
腎疾患
肝疾患
慢性膵炎
脳血管疾患
心疾患
大動脈瘤および解離
上皮内新生物
皮膚の悪性黒色腫以外の皮膚がん

団信があれば生命保険の必要がないというわけではありません。団信の保険料は金融機関に支払われるため、家族には直接的な保険金が支払われないからです。

団信の主なメリットは、契約者が死亡した場合や高度な障害状態になった場合に、残りのローンの支払い義務が免除されることです。これにより、不動産投資ローンの負担を家族に残さず、残された家族がその不動産を資産として活用できる点が大きなメリットです。具体的には、不動産がそのまま家族の手に残ることで、家計の支えとなり、生活の安定が図れるのです。

7. 節税効果が得られる

不動産投資には、税金面での大きなメリットがあります。具体的には、以下の税金で節税が可能です。 

所得税・住民税の節税

不動産投資を行うことで、所得税や住民税の節税ができます。これは、収入から不動産投資で発生した赤字を差し引くことができるためです。
これを「損益通算」と言います。具体的には、以下のような計算で節税が実現します。

【損益通算の計算例】
「収入-不動産投資で発生した赤字額(=家賃収入-不動産経費)」

これにより、収入が減少し、所得税や住民税が軽減されます。
差し引ける必要経費の一例は以下のとおりです。

減価償却費                     購入した物件に対して、経年劣化を伴う建物や設備などに対する取得費用を耐用年数分に分割した経費 
租税公課 固定資産税・都市計画税・登録免許税など 
保険料 火災保険・地震保険など 
修繕費 設備の修理・壁の塗り替え・畳の張り替えなど 
借入金の支払利息 不動産取得時に組んだローンの利息 
管理費 建物管理会社や賃貸管理会社へ支払う費用 
広告宣伝費 入居者募集などにかかる費用 
交通費 打ち合わせ・物件の下見などの移動費 
通信費 電話・インターネット代 
新聞図書費 情報収集に使用した新聞や書籍の購入代 
接待交通費 管理会社や税理士との打ち合わせで支払った飲食費など 
消耗品費 デジカメ・プリンターなどの購入費 


また、減価償却費を利用することで、購入時から耐用年数にわたって経費を計上できるため、長期間にわたり所得税と住民税を抑えることが可能です。

贈与税・相続税の節税

不動産投資は贈与税や相続税の節税にも役立ちます。不動産の評価額は、国税庁が定めた「相続税評価額」に基づき、時価よりも2割〜3割程度低く計算されます。このため、現金での贈与や相続に比べて、納税額を抑えることができます。 ただし、不動産を贈与する際には、登録免許税や不動産取得税がかかり、贈与財産に対して5%程度の税金が課せられることもあります。これらの税金も考慮しつつ、賢く不動産投資を活用することが重要です。

8. 実物資産ならではのリスクヘッジが出来る

不動産投資には、実物資産ならではのリスクヘッジ効果があり、資産形成において強力な分散投資手段となります。資産には、大きく分けて金融資産と実物資産があります。金融資産には預金や株式、保険などが含まれ、一方、実物資産には不動産、金、プラチナなどがあります。

不動産投資の大きな魅力の一つは、実物資産としての安定性とリスクヘッジ効果です。金融資産では配当や利子がインカムゲインとして得られるのに対し、実物資産である不動産からは家賃収入という形でインカムゲインが得られます。金やプラチナなどの他の実物資産は、保有するだけではインカムゲインが得られないため、不動産の収益性は際立っています。

実物資産は、インフレに対する強い耐性も持っています。インフレが進行するとお金の価値が下がりますが、実物資産である不動産はその価値が安定しており、急激に価値が減少することはありません。これにより、資産価値を保ちつつ、インフレ局面でも安心して保有できるのです。

資産形成は金融資産と実物資産の両方を持つことで、分散投資でき、リスクヘッジが期待できます。

9. 自分でコントロールできる要素が多い

不動産投資は、他の投資手法に比べてコントロールしやすい点が大きなメリットです。投資する物件の種類、始める時期、立地、自己資金の額、そしてレバレッジの活用方法など、多くの要素を自分の判断で決めることができます。これにより、自分に最適な投資プランを柔軟に組み立てることが可能です。

特に不動産投資のリスク管理は、他の投資手法と比べて優れています。例えば、暗号資産などのハイリスク商品は市場の値動きが激しく、個人ではコントロールが難しいですが、不動産投資では計画的なリスク管理が可能です。具体的には、以下のようなリスクに対して備えることができます。

  • 空室リスク:入居者がいない期間を最小限に抑えるための対策を講じることができます。
  • 家賃の下落リスク:市場調査を行い、適正な家賃設定をすることでリスクを軽減できます。
  • 金利変動リスク:金利の変動に備え、適切なローンの選択やリスクヘッジの方法を選ぶことが可能です。

不動産投資に関する情報を積極的に収集し、自分のスタイルに合う物件を選定することでリスクを最小限に抑えることができます。正確な情報に基づいた判断が、失敗を減少させるポイントです。

10. 資金の計画が立てやすい

不動産投資は、さまざまな投資の中でも「資金の計画が立てやすい」という特徴があります。 たとえば、自己資金は一般的に物件価格の20~30%程度の貯蓄が必要で、3年後に物件を購入すると決めたら、毎月いくら貯めるべきかが明らかになってきます。

また、融資を受ける場合には、ローンを組む期間や毎月の返済額が購入時に分かるため、空室発生時の持ち出し額が明確です。

そのほかにも火災保険や各種税金、長期修繕計画などの必要資金がある程度分かっているため、プランニングがしやすいでしょう。 不動産投資では、どのタイミングでいくらの資金が必要になるのか、またあらゆるリスクを想定した資金計画を立てることが大切です。

事前に確認!不動産投資の9つのデメリット

1. 空室リスク

空室は不動産投資において最も大きなリスクの一つです。特に区分マンションを所有している場合、空室が続くと収入が途絶え、ローンの返済が自己負担になります。空室リスクを軽減するためには、以下の対策を検討しましょう。

入居者のターゲット層の見直し 地域の特色を理解し、入居者のターゲットを見直す必要がある。
(ファミリー世帯あるいは単身者、学生等)
入居者のターゲットに合わせて生活に応じた必要な設備を検討する。
料金の見直し 家賃や敷金、礼金の値下げをする。
一度値下げした場合、再度値上げすることは難しいので値下げしても返済できるかシミュレーションを必ず行いましょう。
募集広告の見直し 管理会社へ委託している場合は、管理会社に相談しましょう。
物件の写真が古くなっている場合は撮り直すなど掲載情報の更新が必要
付加価値をつける マンションによって付加価値の条件が異なります。
無料インターネット環境の整備やペットOK、宅配ボックスの設置、浴室換気乾燥機、ホームセキュリティーなどが人気

2. 家賃滞納リスク

不動産投資において、家賃滞納リスクも無視できない重要なポイントです。一般的に、入居者の2〜3%が家賃を滞納すると言われています。

家賃が滞納されると、実際には収入が得られないにもかかわらず、帳簿上では利益として計上されます。そのため、未払いの家賃に対しても税金を納める必要が生じます。また、滞納が長引き、強制退去に至る場合には、訴訟費用も発生するため、さらなるコスト負担となります。

家賃滞納リスクを軽減するためには、入居条件を厳格に設定することが効果的です。たとえば、保証人を立てることや、家賃保証会社を利用することなどが考えられます。これにより、リスクを最小限に抑え、安定した賃貸経営を実現することが可能です。

3. 家賃下落リスク

不動産投資における「家賃下落リスク」は避けられない課題の一つです。市場での物件価値や土地価格の変動により、家賃が下がる可能性があります。長期間同じ入居者が住み続けてくれる場合は安定しますが、退去が発生すると、築年数の経過した物件では新しい入居者を見つけることが難しくなることも。

空室リスクが高まってきたら、新しい設備の導入やリフォームを検討することが効果的です。

さらに、不動産価格の変動は土地の価値にも影響し、家賃の下落リスクを引き起こす可能性があります。そのため、購入前の事前調査が不可欠です。不動産価格は国土交通省のホームページで公開されている「不動産価格指数」で確認できるのでご参考ください。

4. 火災・地震リスク

不動産投資には火災や地震といった自然災害のリスクも伴います。そのため、物件購入時には地震保険や火災保険にセットで加入することが一般的です。これらの保険料は経費として計上できるため、節税効果も期待できます。

自然災害を避けることはできませんが、物件選びの際には、リスクを最小限に抑えるために以下の点を確認しましょう。

  • 新耐震基準が適用されているかどうか
  • 国土交通省や各市町村が作成しているハザードマップで立地の安全性を確認

また、加入している保険でどの程度まで保障されるかを事前に把握しておくことも重要です。

5. 修繕リスク

不動産投資では、将来的に発生する修繕や、想定外の故障で高額な費用がかかるリスクがあります。こ想定外の修繕で高額な費用負担を求められるケースがあります。これを修繕リスクといいます。

不動産オーナーは賃貸人として修繕義務を負いますので、入居者が快適な日常生活を送れるように努めなければなりません。 専有部に生じるものには、破損や寿命で故障した設備の修繕、入退去時のクリーニングや内装工事があります。また、電気設備や配管などの内部的な修繕も賃貸人の負担になります。

さらに、建物全体の安全性を保つために、躯体の大規模修繕も必要です。区分マンション投資では修繕積立金で賄いますが、不足が出た場合には追加費用が求められます。また、一棟アパートではこれらをすべて自分で管理が必要です。このような修繕リスクを軽減したい場合は、新築や築浅物件での運用を検討しましょう。

6. 金利上昇リスク

不動産投資ローンを組む場合、金利上昇のリスクにも注意が必要です。住宅ローンと同様に、不動産投資ローンでも固定金利と変動金利を選ぶことができます。たとえば、オリックス銀行の金利は以下の通りです。

【例:オリックス銀行】(2024年9月11日現在)
・3年固定特約型:年2.3%~3.3%
・5年固定特約型:年2.7%~3.7%
・変動金利:年2.675%~3.675%

ここ数年、金利は上昇傾向にあります。2020年3月以降、金利は右肩上がりを続けており、これは国際情勢の変化やそれに伴う物価上昇が主な要因です。

ただし、日本の金利は1980年代には8%を超えていた時期があり、それに比べると現在は依然として低水準にあります。しかし、金利が今後も上昇すると予測されているため、今のうちに不動産投資を検討することは賢明な選択かもしれません。

【参照元】財務省「国債金利情報」より

7. 投資先の物件選びが難しい

不動産投資では、投資先の物件選びが難しいというリスクもあります。物件の種類や立地、築年数など、多岐にわたる要素を考慮する必要があります。

  • 都心部・郊外
  • 新築・中古
  • マンション・戸建て
  • 区分マンション・一棟アパート

たとえば、中古物件を利回り重視で選ぶ場合、空室や修繕費用の増加が懸念されます。一方で、一棟アパートを取得して空室リスクを分散させようとすると、自己資金の調達が課題になります。物件選びに迷った際は、専門の不動産会社に相談し、現地を実際に確認することが重要です。

8. 売却時の価格が変動するリスク

不動産投資では、家賃収入と売却益を総合的に見て、投資が成功か否かを判断します。しかし、築年数が経過するにつれて売却価格は下落するため、キャピタルゲインを得ることが難しくなることが多いです。

特に、木造物件は耐用年数が短いため、築20年を過ぎると建物価値がゼロと見なされ、一棟アパートや戸建て投資では売却時の価格下落が顕著になります。

一方、鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造の物件は耐用年数が47年と長く、築20年を過ぎると価格の下落が緩やかになるため、狙い目となる可能性があります。売却時の価格変動リスクを考慮し、家賃収入とのバランスを見極めて投資物件を選ぶことが大切です。

9. 流動性が低い

不動産投資のもう一つのリスクは、流動性が低いことです。不動産は高額であるため、他の投資対象のように簡単に一部を手放すことが難しく、購入時にはまとまった資金が必要です。また、不動産の購入には手続きや契約に時間がかかり、購入者を見つけるのも容易ではありません。

特に高額な物件ほど流動性が低くなるため、売却時のスムーズな取引を考えると、物件選びが非常に重要です。規模が小さいワンルームマンションなどは比較的購入者の層が広いですが、既に市場が飽和状態になっている可能性もあります。これらのリスクを理解した上で、慎重に投資計画を立てることが求められます。

区分マンションと一棟アパートのメリットとデメリットを比較

不動産投資を始めるにあたり、物件の選び方は非常に重要です。特に「区分マンション」と「一棟アパート」は代表的な選択肢ですが、それぞれに異なる特徴があります。投資資金や運営スタイルも異なるため、どのような経営を目指すのかを明確にした上で選びましょう。ここでは、区分マンションと一棟アパートのメリット・デメリットを比較して紹介します。

区分マンションのメリット

区分マンションの最大の魅力は、手軽に始められる点です。一棟物件に比べて価格が安く、少額から投資をスタートできるので、初心者にもおすすめです。また、物件を少しずつ増やしていくことで、エリアを分散させた投資が可能になり、リスク分散にもつながります。区分マンションはワンルームからファミリー向けの3LDKまで幅広いタイプがあり、ターゲットに合わせた物件選びができる点も魅力です。

区分マンションのデメリット

区分マンションのデメリットとして、1戸のみの所有では空室が発生した場合、家賃収入が途絶えるリスクがあります。そのため、空室が出た際の対応策や、一定の手持ち資金が必要です。また、管理組合の規約に縛られ、大規模修繕や建て替えの自由度が低い点もデメリットといえます。

一棟アパートのメリット

一棟アパートのメリットは、複数の部屋を所有することで、空室リスクが低減される点です。たとえば8戸のアパートなら、2戸が空室でも残りの6戸から収入を得られるため、収入の安定性が高いです。また、土地をすべて所有するため、融資を受ける際の担保価値が高く、オーナーの判断で建て替えや修繕が行える自由度も魅力です。

一棟アパートのデメリット

一方で、一棟アパートは物件の規模が大きく、購入にはまとまった資金が必要です。初心者がいきなり一棟アパートを購入するのはリスクが伴います。また、木造の物件が多く、耐用年数が短いことや、物件の規模が大きいため、買主が限られる点も考慮が必要です。

区分マンションと一棟アパートのメリットとデメリットの比較表

区分マンションと一棟アパートのメリット・デメリットを比較すると下の表のようになります。

  区分マンション 一棟アパート
自己資金 少額から投資が可能 まとまった資金が必要
物件数 物件数が多く、間取りも豊富 物件数が少なく、間取りも限定的
耐用年数 新築RC造で47年と長い 新築木造で22年と短い
家賃収入 1戸のみの収入しか入らない 家賃×戸数分の収入が期待できる
空室リスク 空室が出ると家賃が途絶える 空室が出ても影響が少ない
担保価値 土地のみでは売却できない 土地も含めて所有できる

区分マンションは、管理が容易で副業として不動産投資を考える方に適しています。一方、一棟アパートは、家賃収入が大きく、専業での運営を目指す方に向いています。資金面やリスク管理を考慮しながら、あなたに最適な物件を選びましょう。

中古物件と新築物件のメリットとデメリット

不動産投資を始める際、新築物件を選ぶか中古物件を選ぶかは、投資の成果を大きく左右する重要な判断です。ここでは、新築と中古のメリットとデメリットを比較し、自分に適した選択肢を見つけるポイントを紹介します。

中古物件のメリット

中古物件の最大のメリットは、その手頃な価格です。特に築5年以内の築浅物件は、新築と大差ない状態でありながら、価格が抑えられています。また、中古市場には豊富な選択肢があり、実際に内覧して物件を確認できる点も安心材料です。

中古物件のデメリット

一方で、築年数が古くなるにつれて修繕リスクが増すのが中古物件のデメリットです。築年数が進むと、購入後すぐに修繕が必要になる可能性もあります。また、資産価値が下がりやすい傾向があり、レインズの調査によれば、築21~25年経過した物件は新築時の価格の半分程度にまで落ちることが多いです。

【参照元】東日本不動産流通機構「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2020年)」より

中古物件は、よほどの好立地物件を除き、資産価値が低いこともデメリットといえます。レインズ(東日本不動産流通機構)が実施した調査から、築21~25年経過すると新築時の半値近くまで下がることがわかります。

新築物件のメリット

新築物件は最新の設備と高い入居者需要を誇り、空室リスクが低い点が魅力です。また新築物件は購入後数年間は修繕費がかからないため、その間に修繕費を積み立てることも可能です。

また、購入して数年はほとんど修繕費がかからないので、その間に将来に備えて修繕費を積んでおくこともできます。

新築物件のデメリット

新築物件のデメリットは、購入費用が高く、選択肢が限られている点です。特に人気のエリアでは物件がすぐに売れてしまう可能性が高く、内覧もモデルルームのみのため、実際の部屋とのギャップが発生するリスクがあります。

中古物件と新築物件のメリットとデメリットの比較表

中古物件と新築物件のメリット・デメリットを下表にまとめました。どちらが自分に合った投資スタイルかを見極める参考にしてください。

  中古物件 新築物件
物件価格 新築と比べて安い 中古と比べて高い
物件数 多い 少ない
資産価値 新築と比べて低い 中古と比べて高い
内覧 多くの場合可能 原則としてモデルルームのみ
家賃収入 新築より家賃が安くなる 高い家賃に設定できる
空室リスク 比較的高い 比較的低い
修繕リスク 修繕が発生しやすい 購入して数年はほぼない

中古物件、新築物件にはそれぞれ良し悪しがあるので、特徴を理解して目的に合った物件を選びましょう。

不動産投資を成功させるためのポイント

不動産投資で成功を収めるには、いくつかの重要なポイントを押さえておく必要があります。ここでは、そのポイントを紹介します。

  • 目標設定が大切
  • メリットとデメリットを正しく理解する
  • 適切なリスク対策を行う
  • 物件選びのコツとは
  • パートナー選びのコツ

目標設定が大切

不動産投資を行うためには、何のために不動産投資を行うのか、不動産投資を行うことでどうしたいのか、先に目標を決めることが大切です。まずはゴール(目標)を明確にしたうえで、目的を達成できる物件を選びましょう。目標例とそれに合わせた物件を選ぶポイントは以下のとおりです。

目的例 目的に合わせた物件を選ぶポイント
不動産投資を副業としてこれから始める人 副業の場合、まずは区分マンションがおすすめです。区分マンションの場合マンション1室からの投資のため、管理がしやすく初心者にはおすすめです。慣れてきたら徐々数を増やして投資の幅を広げられます。
相続税対策 相続税対策に合った物件は、実際の価値と評価価格のギャップが大きい収益物件が有効的です。都心部など土地の価格が高く、流動性の高いエリアの物件がおすすめです。都心部などの物件は時が経っても需要があるため、安定して家賃を維持できます。さらに相続税評価額が低い物件を探しましょう。
節税対策 減価償却費を高くとりやすい物件に投資することで節税対策に繋がります。減価償却費を高くとりやすい物件とは耐用年数が短い中古の木造物件、一棟中古アパートです。
老後のための資産形成 金融資産と実物資産のバランスを考えましょう。生活費を確保できることを見越した価格の物件を探しましょう。築浅の物件や、減価償却を長くとれる物件がおすすめです。
仕事を辞めて不動産投資で生計を立てたい 安定したインカムゲインを求める場合、区分マンションでの投資では不十分なため一棟アパートや一棟マンション、または複数の区分マンションがおすすめです。ここまで投資を行うためには初期投資を増やし、多額のローンを組める返済能力が必要です。

メリットとデメリットを正しく理解する

すべての投資には必ずメリット、デメリットが存在します。かならず、両方を正しく理解したうえで投資を始めましょう。

区分マンションを複数所有したり、一棟アパートや一棟マンションを購入すると、得られる収入も格段に上がります。その分、空室や家賃滞納が発生する確率も上がります。リターンが大きいものはリスクも大きいことを必ず頭に入れておきましょう。

適切なリスク対策を行う

事前にリスク対策を徹底することで、不動産投資の失敗を防ぐことができます。物件の購入前には、収支シミュレーションやローン返済の計画を練り、信頼できる不動産業者の助言を受けることが大切です。

事前にできるリスク対策 ポイント
不動産投資の事業計画を立てる 前項の【目標設定が大切】でもお伝えした通り、物件選びの前に、自分に合った不動産投資の目標をしっかりと設定することが重要です。不動産投資は、事業計画書の提出が不要であるため手軽に始められますが、成功のためには事前の準備が欠かせません。物件購入にかかる費用、年間収支の予測、ローン返済計画などをシミュレーションし、リスクとリターンを見極めることがポイントです。
相談できる不動産業者を見つける プロの目からアドバイスを受けることで、自分では気づかないリスクやメリットを理解しやすくなります。不動産業者を選ぶ際は、メリットだけでなくリスクやデメリットについても公平に説明してくれる業者を選びましょう。
利回り以外の条件も含めてシミュレーションを行う 利回りのシミュレーションだけでなく、空室が続いた場合や家賃を下げざるを得ない場合、さらには災害で修繕が必要になった場合など、さまざまなリスクに備えてシミュレーションを行うことが必要です。こうした事前の準備が、不動産投資の成功に直結します。
建物が老朽化した時の対策を考えておく 建物の老朽化はどうしても避けられないため、老朽化による空室の増加や家賃の下落に備え、早めに対策を考えておくことが重要です。将来的な修繕費用に対応するために、修繕積立金をしっかりと確保しておきましょう。

物件選びのコツとは

不動産投資を始める際の物件選びにはコツがあります。特に初心者の方には、以下のタイプの物件をおすすめします。

  • 都心のマンション
  • 新築物件または築浅物件

都心のマンションや新築物件または築浅物件は需要が高く、築古物件に比べると空室リスクは低い傾向にあります。老朽化していくまでの間に修繕費を積み立てたり、空室対策を講じる余裕も持てます。

パートナー選びのコツとは

不動産投資では、パートナーとなる不動産会社の存在も重要です。近年報道されたように、融資審査の書類に虚偽の事実を記載するような不動産会社も存在します。そのような会社を避けるためにも、以下のポイントに該当する、信頼できる不動産会社を選ぶことが大切です。

上場不動産会社またはそれに準ずる有名不動産会社

これらの会社は企業の社会的責任(ESR)を重視しているため、悪質な会社である可能性は低いです。

有名不動産チェーン

一つの支店が問題を起こすと全体のイメージに影響するため、強引な営業を行わないよう徹底されています。

提携金融機関数が多い、または有名な銀行と提携している会社

不動産投資を検討する際、提携している金融機関の種類や数は、その不動産会社の信頼性を判断する重要な要素です。特に、多くの提携金融機関を持つ、または有名な銀行と提携している不動産会社は、信頼度が高いとされています。

これは、これらの不動産会社が金融機関と強固な関係を築いており、安定した資金調達やスムーズな融資手続きを提供できるからです。

また、こうした提携は、金融機関がその不動産会社のビジネスモデルや実績に信頼を寄せていることを示しており、安心して投資できる環境が整っています。

多様な物件種別を取り扱う不動産会社

物件種別の取り扱いが多い不動産会社は、さまざまな投資ニーズに応じた選択肢を提供できるため、無理な押し売りをする必要がなく信頼性が高いといえるでしょう。

また、物件の取り扱いが多い不動産会社は、市場のトレンドや需要に対する理解も深く、より信頼性のあるアドバイスを提供できます。多様な物件情報にアクセスできることで、投資判断の精度が向上し、成功する可能性が高まります。

地元で長い間営業している地場の不動産会社

悪質な営業をすると悪い噂が広まるので、長年営業している点は信頼の証しとなります。自社ビルで営業しているのであればなお安全だといえるでしょう。

まとめ:メリットとデメリットを理解し、不動産投資を成功に近づけよう

この記事では、これから不動産投資を考えている人に向けて、事前に学んでおきたい不動産投資のメリットからデメリットまで徹底検証し、不動産投資を成功させるポイントをご紹介しました。不動産投資を失敗しないためにはメリットだけでなくデメリットも正しく理解したうえで投資計画を順序だてて考えることが大切です。

不動産投資は投資額が大きくなるほど、リスクも高まります。そのためこれから副業を始める方には、まずは区分マンション投資から始めることをおすすめします。区分マンションであれば、マンション1室での投資のため、自己資金も少なくて済みます。

不動産投資は実物資産のなかでも金やプラチナなどと異なり、インカムゲインを生み出せるため、人気の高い投資方法です。この記事がこれから不動産投資を始めようと思われる方のご参考になれば幸いです。

不動産投資で成功するためには、セミナーに参加するなどして不動産投資に関する知識を習得することが大切です。ベルテックスでは不動産投資の専門家による無料オンラインセミナーを開催しています。ご自宅からオンラインでご参加いただけますので、ぜひお気軽にお申し込みください。

この記事を書いた人

ベルテックスコラム事務局

不動産コンサルタント・税理士

不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。

2024.10.02

不動産投資の基本

ベルテックスコラム事務局

不動産投資のメリット・デメリットを徹底解説!成功への近道とは?

  • はじめ方・基礎知識
  • メリット
  • リスク
  • 初心者

副業として注目を集める不動産投資には、他の投資では得られない独自のメリットがあります。一方で、特有のデメリットも無視できません。この記事では、不動産投資のメリットとデメリットを整理し、成功するために押さえておくべきポイントを紹介します。

メリット デメリット
1. 他人資本で運用できる 1. 空室リスク
2. レバレッジ効果により自己資金以上の投資が可能 2. 家賃滞納リスク
3. 不労所得が得られる

3. 家賃下落リスク

4. 運用に手間がかからない 4. 火災・地震リスク
5. 比較的に安定した収益が得られる 5. 修繕リスク
6. 生命保険、死亡保険として活用できる 6. 金利上昇リスク
7. 節税効果が得られる 7. 投資先の物件選びが難しい
8. 実物資産ならではのリスクヘッジができる 8. 売却時の価格が変動するリスク

9. 自分でコントロールできる要素が多い

9. 流動性が低い

10. 資金の計画が立てやすい

 

この記事では、上記不動産投資のメリット・デメリットを詳しく掘り下げて紹介し、事前の目標設定やリスク対策、物件や不動産会社選びのコツを解説します。

不動産投資が選ばれる理由!10のメリット

不動産投資には、家賃収入を得る以外にも多くのメリットがあります。ここでは、その中でも特に重要な10のポイントをご紹介します。

1. 他人資本で運用出来る

不動産投資を始めたいけれど、「投資に回せる資金が不足している」と感じて躊躇している方も多いのではないでしょうか。しかし、不動産投資のメリットの一つは、不動産投資ローンを活用することで、自己資金をほとんど使わずに資産運用を始められる点にあります。

不動産投資ローンは、一般的な住宅ローンとは異なり、審査基準が独特です。個人の返済能力だけでなく、投資対象となる物件の価値も審査されるため、初めての方でも始めやすいのが特徴です。また、不動産投資ローンには主にアパートローンとプロパーローンの2種類があります。

特に、初心者やサラリーマンに人気の高い「区分マンション」への投資は、アパートローンの対象となり、手軽に始められるのが魅力です。

  対象 借入金額
アパートローン 区分マンションなどが対象
パッケージ化された融資商品
年収の7~10倍まで
プロパーローン 融資希望者の資産背景や、事業の実績などを総合的に判断する
アパートローンより融資基準は高い
億を超える金額にも対応

サラリーマンの投資用物件として人気の高い区分マンションは、アパートローンの対象となります。

不動産投資ローンを組む際の年収の目安は500万円といわれています。その理由は、一般的に不動産投資における融資限度額が年収の7〜10倍とされているためです。例えば、年収が500万円であれば、3,500万円〜5,000万円の融資を受けられる可能性があり、投資用物件の購入に十分な資金を確保できます。ただし、年収の条件を満たしていても、その他の審査基準を満たしていない場合は融資を受けられないこともあるため、注意が必要です。

また、不動産投資を始める際には、頭金として自己資金を用意することが求められる場合があります。必ずしも必要ではありませんが、物件価格の20%以上の自己資金を用意することで、年収が低めでも審査に通りやすくなるといわれています。

2. レバレッジ効果による自己資金以上の投資が可能

不動産投資は、レバレッジ効果を活用することで「少ない自己資金で大きな利益を狙う」ことが可能です。ここで言うレバレッジとは、自己資金に加えて銀行からの融資を活用し、収益性の高い投資ができるという意味です。 たとえば、1,000万円の自己資金がある場合、この金額だけで物件を購入するよりも、融資を受けて5,000万円の物件を購入する方が、得られる収益が大きくなります。このように、レバレッジ効果を活用して資産を増やせることが、不動産投資の大きなメリットです。 

ただし、金利の上昇などにより、融資を受けた結果として収益が減少する逆レバレッジのリスクもあります。そのため、借入時にはレバレッジを利用した場合の収益性をシミュレーションし、リスクを十分に理解しておくことが重要です。

3. 不労所得が得られる

不動産投資の3つ目のメリットは、家賃収入などの不労所得を得られる点です。不労所得とは、その名の通り、労働をしなくても得られる収入を指します。ここでは、不動産投資によって得られる家賃収入の仕組みについてご紹介します。 不動産投資における家賃収入は、主に「家賃」「共益費」「礼金」「更新料」の4つの項目に分かれます。次に、それぞれの詳細について見ていきましょう。

収入の種類   具体的な金額
家賃 不動産投資のメインとなる毎月の収入源 物件によって異なる
共益費 毎月の家賃と一緒に支払われる費用
共用部分の水道光熱費や清掃費など、物件の維持管理のための資金
家賃の5~10%程度
礼金 契約時に入居者から支払われるもの
敷金と違い、返却する必要はない
礼金は通常契約時に不動産業者に支払う広告料に充てる場合が多い
家賃の1ヵ月分
更新料 賃貸契約を更新する際に支払われる 2年の契約なら2年ごとに家賃の1~2か月分

 不動産投資を行う際、ローン返済中の収益内訳は「家賃収入からローン返済額と管理費を引いた額」が実際の利益となります。

【例 家賃10万円の場合】
家賃(10万円)-ローン返済(7万円)-管理費(1万円)=利益2万円

「利益がたった2万円」と思われるかもしれませんが、ローンの返済が完了した後は利益が一気に9万円に増加します。このように、不動産投資は長期的な視点でキャッシュフローを計画することが重要です。

4. 運用に手間がかからない

不動産投資の大きなメリットのひとつは、運用にかかる手間が比較的少ないことです。本業が忙しい会社員にもおすすめです。たとえば、FXなどの投資は、価格の動きをリアルタイムで監視し続ける必要があり、時間に縛られがちです。 

一方、不動産投資では、初期の勉強や物件探し、購入までには手間がかかりますが、購入後は管理会社に運用を委託できます。管理会社が入退去手続きや物件管理、トラブル処理、集金などの業務を代行するため、日常的な運用の手間はほとんどかかりません。

運用中には、管理会社からの連絡対応や、毎月の送金指定日に口座を確認する程度で済むため、次の投資戦略を立てたり、新しい物件の取得に向けた活動もスムーズに行えます。

5. 比較的安定した収益が得られる

不動産投資は、比較的安定した収益が期待できる投資手法です。主に「家賃収入(インカムゲイン)」と「売却益(キャピタルゲイン)」の2つの収益が得られます。初心者にとって、キャピタルゲイン(売却益)を狙うのは難易度が高いかもしれませんが、需要のある物件であれば毎月安定的な家賃収入を得ることが可能です。 

株式やFXの値動きに振り回されることなく、安定した収入を得たいと考える方にとって、不動産投資は魅力的な選択肢です。ただし、リスクを理解し、信頼できる管理会社を見つけることが重要です。これにより、長期的に安定した収益を確保しやすくなります。

6. 生命保険、死亡保険として活用できる

不動産投資ローンの大きなメリットの一つは、団体信用生命保険(通称:団信)に加入することで、万が一の際に残りのローンが免除される点です。団信に加入しておけば、契約者が死亡したり、高度な障害状態に陥ったりした場合でも、残りのローンを支払う必要がなくなります。これにより、家族や遺族に対する負担を軽減できるとともに、安心して投資を続けることができます。

団信が適用される条件は以下のとおりです。

  • 死亡
  • 高度障害状態(規定あり)
  • 余命6か月以内の診断

さらに、最近では特約としてがん、心疾患、脳卒中などの3大疾病や生活習慣病にも対応した団信が登場しています。これらの特約が付いた団信の場合、がん、心疾患、脳卒中のいずれかと診断された時点で保険金が支払われ、ローンが完済される仕組みです。 

団信には様々な特約が用意されており、自分のニーズに合わせて選ぶことが可能です。ただし、不動産投資ローンを組む際には、保険会社を指定される場合が多いため、事前に確認しておくことが重要です。特約の種類については、以下を参考にしてください。

団信の特約 3大疾病 8大疾病 10大疾病(生活習慣病を含む)
対象疾病 がん
心疾患
脳卒中
がん
心疾患
脳卒中
糖尿病
高血圧症
慢性腎不全
肝硬変、
慢性膵炎
糖尿病
高血圧症
腎疾患
肝疾患
慢性膵炎
脳血管疾患
心疾患
大動脈瘤および解離
上皮内新生物
皮膚の悪性黒色腫以外の皮膚がん

団信があれば生命保険の必要がないというわけではありません。団信の保険料は金融機関に支払われるため、家族には直接的な保険金が支払われないからです。

団信の主なメリットは、契約者が死亡した場合や高度な障害状態になった場合に、残りのローンの支払い義務が免除されることです。これにより、不動産投資ローンの負担を家族に残さず、残された家族がその不動産を資産として活用できる点が大きなメリットです。具体的には、不動産がそのまま家族の手に残ることで、家計の支えとなり、生活の安定が図れるのです。

7. 節税効果が得られる

不動産投資には、税金面での大きなメリットがあります。具体的には、以下の税金で節税が可能です。 

所得税・住民税の節税

不動産投資を行うことで、所得税や住民税の節税ができます。これは、収入から不動産投資で発生した赤字を差し引くことができるためです。
これを「損益通算」と言います。具体的には、以下のような計算で節税が実現します。

【損益通算の計算例】
「収入-不動産投資で発生した赤字額(=家賃収入-不動産経費)」

これにより、収入が減少し、所得税や住民税が軽減されます。
差し引ける必要経費の一例は以下のとおりです。

減価償却費                     購入した物件に対して、経年劣化を伴う建物や設備などに対する取得費用を耐用年数分に分割した経費 
租税公課 固定資産税・都市計画税・登録免許税など 
保険料 火災保険・地震保険など 
修繕費 設備の修理・壁の塗り替え・畳の張り替えなど 
借入金の支払利息 不動産取得時に組んだローンの利息 
管理費 建物管理会社や賃貸管理会社へ支払う費用 
広告宣伝費 入居者募集などにかかる費用 
交通費 打ち合わせ・物件の下見などの移動費 
通信費 電話・インターネット代 
新聞図書費 情報収集に使用した新聞や書籍の購入代 
接待交通費 管理会社や税理士との打ち合わせで支払った飲食費など 
消耗品費 デジカメ・プリンターなどの購入費 


また、減価償却費を利用することで、購入時から耐用年数にわたって経費を計上できるため、長期間にわたり所得税と住民税を抑えることが可能です。

贈与税・相続税の節税

不動産投資は贈与税や相続税の節税にも役立ちます。不動産の評価額は、国税庁が定めた「相続税評価額」に基づき、時価よりも2割〜3割程度低く計算されます。このため、現金での贈与や相続に比べて、納税額を抑えることができます。 ただし、不動産を贈与する際には、登録免許税や不動産取得税がかかり、贈与財産に対して5%程度の税金が課せられることもあります。これらの税金も考慮しつつ、賢く不動産投資を活用することが重要です。

8. 実物資産ならではのリスクヘッジが出来る

不動産投資には、実物資産ならではのリスクヘッジ効果があり、資産形成において強力な分散投資手段となります。資産には、大きく分けて金融資産と実物資産があります。金融資産には預金や株式、保険などが含まれ、一方、実物資産には不動産、金、プラチナなどがあります。

不動産投資の大きな魅力の一つは、実物資産としての安定性とリスクヘッジ効果です。金融資産では配当や利子がインカムゲインとして得られるのに対し、実物資産である不動産からは家賃収入という形でインカムゲインが得られます。金やプラチナなどの他の実物資産は、保有するだけではインカムゲインが得られないため、不動産の収益性は際立っています。

実物資産は、インフレに対する強い耐性も持っています。インフレが進行するとお金の価値が下がりますが、実物資産である不動産はその価値が安定しており、急激に価値が減少することはありません。これにより、資産価値を保ちつつ、インフレ局面でも安心して保有できるのです。

資産形成は金融資産と実物資産の両方を持つことで、分散投資でき、リスクヘッジが期待できます。

9. 自分でコントロールできる要素が多い

不動産投資は、他の投資手法に比べてコントロールしやすい点が大きなメリットです。投資する物件の種類、始める時期、立地、自己資金の額、そしてレバレッジの活用方法など、多くの要素を自分の判断で決めることができます。これにより、自分に最適な投資プランを柔軟に組み立てることが可能です。

特に不動産投資のリスク管理は、他の投資手法と比べて優れています。例えば、暗号資産などのハイリスク商品は市場の値動きが激しく、個人ではコントロールが難しいですが、不動産投資では計画的なリスク管理が可能です。具体的には、以下のようなリスクに対して備えることができます。

  • 空室リスク:入居者がいない期間を最小限に抑えるための対策を講じることができます。
  • 家賃の下落リスク:市場調査を行い、適正な家賃設定をすることでリスクを軽減できます。
  • 金利変動リスク:金利の変動に備え、適切なローンの選択やリスクヘッジの方法を選ぶことが可能です。

不動産投資に関する情報を積極的に収集し、自分のスタイルに合う物件を選定することでリスクを最小限に抑えることができます。正確な情報に基づいた判断が、失敗を減少させるポイントです。

10. 資金の計画が立てやすい

不動産投資は、さまざまな投資の中でも「資金の計画が立てやすい」という特徴があります。 たとえば、自己資金は一般的に物件価格の20~30%程度の貯蓄が必要で、3年後に物件を購入すると決めたら、毎月いくら貯めるべきかが明らかになってきます。

また、融資を受ける場合には、ローンを組む期間や毎月の返済額が購入時に分かるため、空室発生時の持ち出し額が明確です。

そのほかにも火災保険や各種税金、長期修繕計画などの必要資金がある程度分かっているため、プランニングがしやすいでしょう。 不動産投資では、どのタイミングでいくらの資金が必要になるのか、またあらゆるリスクを想定した資金計画を立てることが大切です。

事前に確認!不動産投資の9つのデメリット

1. 空室リスク

空室は不動産投資において最も大きなリスクの一つです。特に区分マンションを所有している場合、空室が続くと収入が途絶え、ローンの返済が自己負担になります。空室リスクを軽減するためには、以下の対策を検討しましょう。

入居者のターゲット層の見直し 地域の特色を理解し、入居者のターゲットを見直す必要がある。
(ファミリー世帯あるいは単身者、学生等)
入居者のターゲットに合わせて生活に応じた必要な設備を検討する。
料金の見直し 家賃や敷金、礼金の値下げをする。
一度値下げした場合、再度値上げすることは難しいので値下げしても返済できるかシミュレーションを必ず行いましょう。
募集広告の見直し 管理会社へ委託している場合は、管理会社に相談しましょう。
物件の写真が古くなっている場合は撮り直すなど掲載情報の更新が必要
付加価値をつける マンションによって付加価値の条件が異なります。
無料インターネット環境の整備やペットOK、宅配ボックスの設置、浴室換気乾燥機、ホームセキュリティーなどが人気

2. 家賃滞納リスク

不動産投資において、家賃滞納リスクも無視できない重要なポイントです。一般的に、入居者の2〜3%が家賃を滞納すると言われています。

家賃が滞納されると、実際には収入が得られないにもかかわらず、帳簿上では利益として計上されます。そのため、未払いの家賃に対しても税金を納める必要が生じます。また、滞納が長引き、強制退去に至る場合には、訴訟費用も発生するため、さらなるコスト負担となります。

家賃滞納リスクを軽減するためには、入居条件を厳格に設定することが効果的です。たとえば、保証人を立てることや、家賃保証会社を利用することなどが考えられます。これにより、リスクを最小限に抑え、安定した賃貸経営を実現することが可能です。

3. 家賃下落リスク

不動産投資における「家賃下落リスク」は避けられない課題の一つです。市場での物件価値や土地価格の変動により、家賃が下がる可能性があります。長期間同じ入居者が住み続けてくれる場合は安定しますが、退去が発生すると、築年数の経過した物件では新しい入居者を見つけることが難しくなることも。

空室リスクが高まってきたら、新しい設備の導入やリフォームを検討することが効果的です。

さらに、不動産価格の変動は土地の価値にも影響し、家賃の下落リスクを引き起こす可能性があります。そのため、購入前の事前調査が不可欠です。不動産価格は国土交通省のホームページで公開されている「不動産価格指数」で確認できるのでご参考ください。

4. 火災・地震リスク

不動産投資には火災や地震といった自然災害のリスクも伴います。そのため、物件購入時には地震保険や火災保険にセットで加入することが一般的です。これらの保険料は経費として計上できるため、節税効果も期待できます。

自然災害を避けることはできませんが、物件選びの際には、リスクを最小限に抑えるために以下の点を確認しましょう。

  • 新耐震基準が適用されているかどうか
  • 国土交通省や各市町村が作成しているハザードマップで立地の安全性を確認

また、加入している保険でどの程度まで保障されるかを事前に把握しておくことも重要です。

5. 修繕リスク

不動産投資では、将来的に発生する修繕や、想定外の故障で高額な費用がかかるリスクがあります。こ想定外の修繕で高額な費用負担を求められるケースがあります。これを修繕リスクといいます。

不動産オーナーは賃貸人として修繕義務を負いますので、入居者が快適な日常生活を送れるように努めなければなりません。 専有部に生じるものには、破損や寿命で故障した設備の修繕、入退去時のクリーニングや内装工事があります。また、電気設備や配管などの内部的な修繕も賃貸人の負担になります。

さらに、建物全体の安全性を保つために、躯体の大規模修繕も必要です。区分マンション投資では修繕積立金で賄いますが、不足が出た場合には追加費用が求められます。また、一棟アパートではこれらをすべて自分で管理が必要です。このような修繕リスクを軽減したい場合は、新築や築浅物件での運用を検討しましょう。

6. 金利上昇リスク

不動産投資ローンを組む場合、金利上昇のリスクにも注意が必要です。住宅ローンと同様に、不動産投資ローンでも固定金利と変動金利を選ぶことができます。たとえば、オリックス銀行の金利は以下の通りです。

【例:オリックス銀行】(2024年9月11日現在)
・3年固定特約型:年2.3%~3.3%
・5年固定特約型:年2.7%~3.7%
・変動金利:年2.675%~3.675%

ここ数年、金利は上昇傾向にあります。2020年3月以降、金利は右肩上がりを続けており、これは国際情勢の変化やそれに伴う物価上昇が主な要因です。

ただし、日本の金利は1980年代には8%を超えていた時期があり、それに比べると現在は依然として低水準にあります。しかし、金利が今後も上昇すると予測されているため、今のうちに不動産投資を検討することは賢明な選択かもしれません。

【参照元】財務省「国債金利情報」より

7. 投資先の物件選びが難しい

不動産投資では、投資先の物件選びが難しいというリスクもあります。物件の種類や立地、築年数など、多岐にわたる要素を考慮する必要があります。

  • 都心部・郊外
  • 新築・中古
  • マンション・戸建て
  • 区分マンション・一棟アパート

たとえば、中古物件を利回り重視で選ぶ場合、空室や修繕費用の増加が懸念されます。一方で、一棟アパートを取得して空室リスクを分散させようとすると、自己資金の調達が課題になります。物件選びに迷った際は、専門の不動産会社に相談し、現地を実際に確認することが重要です。

8. 売却時の価格が変動するリスク

不動産投資では、家賃収入と売却益を総合的に見て、投資が成功か否かを判断します。しかし、築年数が経過するにつれて売却価格は下落するため、キャピタルゲインを得ることが難しくなることが多いです。

特に、木造物件は耐用年数が短いため、築20年を過ぎると建物価値がゼロと見なされ、一棟アパートや戸建て投資では売却時の価格下落が顕著になります。

一方、鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造の物件は耐用年数が47年と長く、築20年を過ぎると価格の下落が緩やかになるため、狙い目となる可能性があります。売却時の価格変動リスクを考慮し、家賃収入とのバランスを見極めて投資物件を選ぶことが大切です。

9. 流動性が低い

不動産投資のもう一つのリスクは、流動性が低いことです。不動産は高額であるため、他の投資対象のように簡単に一部を手放すことが難しく、購入時にはまとまった資金が必要です。また、不動産の購入には手続きや契約に時間がかかり、購入者を見つけるのも容易ではありません。

特に高額な物件ほど流動性が低くなるため、売却時のスムーズな取引を考えると、物件選びが非常に重要です。規模が小さいワンルームマンションなどは比較的購入者の層が広いですが、既に市場が飽和状態になっている可能性もあります。これらのリスクを理解した上で、慎重に投資計画を立てることが求められます。

区分マンションと一棟アパートのメリットとデメリットを比較

不動産投資を始めるにあたり、物件の選び方は非常に重要です。特に「区分マンション」と「一棟アパート」は代表的な選択肢ですが、それぞれに異なる特徴があります。投資資金や運営スタイルも異なるため、どのような経営を目指すのかを明確にした上で選びましょう。ここでは、区分マンションと一棟アパートのメリット・デメリットを比較して紹介します。

区分マンションのメリット

区分マンションの最大の魅力は、手軽に始められる点です。一棟物件に比べて価格が安く、少額から投資をスタートできるので、初心者にもおすすめです。また、物件を少しずつ増やしていくことで、エリアを分散させた投資が可能になり、リスク分散にもつながります。区分マンションはワンルームからファミリー向けの3LDKまで幅広いタイプがあり、ターゲットに合わせた物件選びができる点も魅力です。

区分マンションのデメリット

区分マンションのデメリットとして、1戸のみの所有では空室が発生した場合、家賃収入が途絶えるリスクがあります。そのため、空室が出た際の対応策や、一定の手持ち資金が必要です。また、管理組合の規約に縛られ、大規模修繕や建て替えの自由度が低い点もデメリットといえます。

一棟アパートのメリット

一棟アパートのメリットは、複数の部屋を所有することで、空室リスクが低減される点です。たとえば8戸のアパートなら、2戸が空室でも残りの6戸から収入を得られるため、収入の安定性が高いです。また、土地をすべて所有するため、融資を受ける際の担保価値が高く、オーナーの判断で建て替えや修繕が行える自由度も魅力です。

一棟アパートのデメリット

一方で、一棟アパートは物件の規模が大きく、購入にはまとまった資金が必要です。初心者がいきなり一棟アパートを購入するのはリスクが伴います。また、木造の物件が多く、耐用年数が短いことや、物件の規模が大きいため、買主が限られる点も考慮が必要です。

区分マンションと一棟アパートのメリットとデメリットの比較表

区分マンションと一棟アパートのメリット・デメリットを比較すると下の表のようになります。

  区分マンション 一棟アパート
自己資金 少額から投資が可能 まとまった資金が必要
物件数 物件数が多く、間取りも豊富 物件数が少なく、間取りも限定的
耐用年数 新築RC造で47年と長い 新築木造で22年と短い
家賃収入 1戸のみの収入しか入らない 家賃×戸数分の収入が期待できる
空室リスク 空室が出ると家賃が途絶える 空室が出ても影響が少ない
担保価値 土地のみでは売却できない 土地も含めて所有できる

区分マンションは、管理が容易で副業として不動産投資を考える方に適しています。一方、一棟アパートは、家賃収入が大きく、専業での運営を目指す方に向いています。資金面やリスク管理を考慮しながら、あなたに最適な物件を選びましょう。

中古物件と新築物件のメリットとデメリット

不動産投資を始める際、新築物件を選ぶか中古物件を選ぶかは、投資の成果を大きく左右する重要な判断です。ここでは、新築と中古のメリットとデメリットを比較し、自分に適した選択肢を見つけるポイントを紹介します。

中古物件のメリット

中古物件の最大のメリットは、その手頃な価格です。特に築5年以内の築浅物件は、新築と大差ない状態でありながら、価格が抑えられています。また、中古市場には豊富な選択肢があり、実際に内覧して物件を確認できる点も安心材料です。

中古物件のデメリット

一方で、築年数が古くなるにつれて修繕リスクが増すのが中古物件のデメリットです。築年数が進むと、購入後すぐに修繕が必要になる可能性もあります。また、資産価値が下がりやすい傾向があり、レインズの調査によれば、築21~25年経過した物件は新築時の価格の半分程度にまで落ちることが多いです。

【参照元】東日本不動産流通機構「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2020年)」より

中古物件は、よほどの好立地物件を除き、資産価値が低いこともデメリットといえます。レインズ(東日本不動産流通機構)が実施した調査から、築21~25年経過すると新築時の半値近くまで下がることがわかります。

新築物件のメリット

新築物件は最新の設備と高い入居者需要を誇り、空室リスクが低い点が魅力です。また新築物件は購入後数年間は修繕費がかからないため、その間に修繕費を積み立てることも可能です。

また、購入して数年はほとんど修繕費がかからないので、その間に将来に備えて修繕費を積んでおくこともできます。

新築物件のデメリット

新築物件のデメリットは、購入費用が高く、選択肢が限られている点です。特に人気のエリアでは物件がすぐに売れてしまう可能性が高く、内覧もモデルルームのみのため、実際の部屋とのギャップが発生するリスクがあります。

中古物件と新築物件のメリットとデメリットの比較表

中古物件と新築物件のメリット・デメリットを下表にまとめました。どちらが自分に合った投資スタイルかを見極める参考にしてください。

  中古物件 新築物件
物件価格 新築と比べて安い 中古と比べて高い
物件数 多い 少ない
資産価値 新築と比べて低い 中古と比べて高い
内覧 多くの場合可能 原則としてモデルルームのみ
家賃収入 新築より家賃が安くなる 高い家賃に設定できる
空室リスク 比較的高い 比較的低い
修繕リスク 修繕が発生しやすい 購入して数年はほぼない

中古物件、新築物件にはそれぞれ良し悪しがあるので、特徴を理解して目的に合った物件を選びましょう。

不動産投資を成功させるためのポイント

不動産投資で成功を収めるには、いくつかの重要なポイントを押さえておく必要があります。ここでは、そのポイントを紹介します。

  • 目標設定が大切
  • メリットとデメリットを正しく理解する
  • 適切なリスク対策を行う
  • 物件選びのコツとは
  • パートナー選びのコツ

目標設定が大切

不動産投資を行うためには、何のために不動産投資を行うのか、不動産投資を行うことでどうしたいのか、先に目標を決めることが大切です。まずはゴール(目標)を明確にしたうえで、目的を達成できる物件を選びましょう。目標例とそれに合わせた物件を選ぶポイントは以下のとおりです。

目的例 目的に合わせた物件を選ぶポイント
不動産投資を副業としてこれから始める人 副業の場合、まずは区分マンションがおすすめです。区分マンションの場合マンション1室からの投資のため、管理がしやすく初心者にはおすすめです。慣れてきたら徐々数を増やして投資の幅を広げられます。
相続税対策 相続税対策に合った物件は、実際の価値と評価価格のギャップが大きい収益物件が有効的です。都心部など土地の価格が高く、流動性の高いエリアの物件がおすすめです。都心部などの物件は時が経っても需要があるため、安定して家賃を維持できます。さらに相続税評価額が低い物件を探しましょう。
節税対策 減価償却費を高くとりやすい物件に投資することで節税対策に繋がります。減価償却費を高くとりやすい物件とは耐用年数が短い中古の木造物件、一棟中古アパートです。
老後のための資産形成 金融資産と実物資産のバランスを考えましょう。生活費を確保できることを見越した価格の物件を探しましょう。築浅の物件や、減価償却を長くとれる物件がおすすめです。
仕事を辞めて不動産投資で生計を立てたい 安定したインカムゲインを求める場合、区分マンションでの投資では不十分なため一棟アパートや一棟マンション、または複数の区分マンションがおすすめです。ここまで投資を行うためには初期投資を増やし、多額のローンを組める返済能力が必要です。

メリットとデメリットを正しく理解する

すべての投資には必ずメリット、デメリットが存在します。かならず、両方を正しく理解したうえで投資を始めましょう。

区分マンションを複数所有したり、一棟アパートや一棟マンションを購入すると、得られる収入も格段に上がります。その分、空室や家賃滞納が発生する確率も上がります。リターンが大きいものはリスクも大きいことを必ず頭に入れておきましょう。

適切なリスク対策を行う

事前にリスク対策を徹底することで、不動産投資の失敗を防ぐことができます。物件の購入前には、収支シミュレーションやローン返済の計画を練り、信頼できる不動産業者の助言を受けることが大切です。

事前にできるリスク対策 ポイント
不動産投資の事業計画を立てる 前項の【目標設定が大切】でもお伝えした通り、物件選びの前に、自分に合った不動産投資の目標をしっかりと設定することが重要です。不動産投資は、事業計画書の提出が不要であるため手軽に始められますが、成功のためには事前の準備が欠かせません。物件購入にかかる費用、年間収支の予測、ローン返済計画などをシミュレーションし、リスクとリターンを見極めることがポイントです。
相談できる不動産業者を見つける プロの目からアドバイスを受けることで、自分では気づかないリスクやメリットを理解しやすくなります。不動産業者を選ぶ際は、メリットだけでなくリスクやデメリットについても公平に説明してくれる業者を選びましょう。
利回り以外の条件も含めてシミュレーションを行う 利回りのシミュレーションだけでなく、空室が続いた場合や家賃を下げざるを得ない場合、さらには災害で修繕が必要になった場合など、さまざまなリスクに備えてシミュレーションを行うことが必要です。こうした事前の準備が、不動産投資の成功に直結します。
建物が老朽化した時の対策を考えておく 建物の老朽化はどうしても避けられないため、老朽化による空室の増加や家賃の下落に備え、早めに対策を考えておくことが重要です。将来的な修繕費用に対応するために、修繕積立金をしっかりと確保しておきましょう。

物件選びのコツとは

不動産投資を始める際の物件選びにはコツがあります。特に初心者の方には、以下のタイプの物件をおすすめします。

  • 都心のマンション
  • 新築物件または築浅物件

都心のマンションや新築物件または築浅物件は需要が高く、築古物件に比べると空室リスクは低い傾向にあります。老朽化していくまでの間に修繕費を積み立てたり、空室対策を講じる余裕も持てます。

パートナー選びのコツとは

不動産投資では、パートナーとなる不動産会社の存在も重要です。近年報道されたように、融資審査の書類に虚偽の事実を記載するような不動産会社も存在します。そのような会社を避けるためにも、以下のポイントに該当する、信頼できる不動産会社を選ぶことが大切です。

上場不動産会社またはそれに準ずる有名不動産会社

これらの会社は企業の社会的責任(ESR)を重視しているため、悪質な会社である可能性は低いです。

有名不動産チェーン

一つの支店が問題を起こすと全体のイメージに影響するため、強引な営業を行わないよう徹底されています。

提携金融機関数が多い、または有名な銀行と提携している会社

不動産投資を検討する際、提携している金融機関の種類や数は、その不動産会社の信頼性を判断する重要な要素です。特に、多くの提携金融機関を持つ、または有名な銀行と提携している不動産会社は、信頼度が高いとされています。

これは、これらの不動産会社が金融機関と強固な関係を築いており、安定した資金調達やスムーズな融資手続きを提供できるからです。

また、こうした提携は、金融機関がその不動産会社のビジネスモデルや実績に信頼を寄せていることを示しており、安心して投資できる環境が整っています。

多様な物件種別を取り扱う不動産会社

物件種別の取り扱いが多い不動産会社は、さまざまな投資ニーズに応じた選択肢を提供できるため、無理な押し売りをする必要がなく信頼性が高いといえるでしょう。

また、物件の取り扱いが多い不動産会社は、市場のトレンドや需要に対する理解も深く、より信頼性のあるアドバイスを提供できます。多様な物件情報にアクセスできることで、投資判断の精度が向上し、成功する可能性が高まります。

地元で長い間営業している地場の不動産会社

悪質な営業をすると悪い噂が広まるので、長年営業している点は信頼の証しとなります。自社ビルで営業しているのであればなお安全だといえるでしょう。

まとめ:メリットとデメリットを理解し、不動産投資を成功に近づけよう

この記事では、これから不動産投資を考えている人に向けて、事前に学んでおきたい不動産投資のメリットからデメリットまで徹底検証し、不動産投資を成功させるポイントをご紹介しました。不動産投資を失敗しないためにはメリットだけでなくデメリットも正しく理解したうえで投資計画を順序だてて考えることが大切です。

不動産投資は投資額が大きくなるほど、リスクも高まります。そのためこれから副業を始める方には、まずは区分マンション投資から始めることをおすすめします。区分マンションであれば、マンション1室での投資のため、自己資金も少なくて済みます。

不動産投資は実物資産のなかでも金やプラチナなどと異なり、インカムゲインを生み出せるため、人気の高い投資方法です。この記事がこれから不動産投資を始めようと思われる方のご参考になれば幸いです。

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この記事を書いた人

ベルテックスコラム事務局

不動産コンサルタント・税理士

不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。