2023.10.12

不動産投資のコツ

ベルテックスコラム事務局

元利均等返済と元金均等返済の違いとは?メリットやデメリット、シミュレーションで徹底検証!

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「元利均等返済と元金均等返済の違いは?」
「元利均等返済と元金均等返済はどちらがお得?」

住宅ローンを選ぶ際、元利均等返済と元金均等返済のどちらの方法で返済していくか、迷う方も多いのではないでしょうか。返済方法が異なると、毎月の負担額や総返済額も異なります。住宅ローンは20年、30年と長い付き合いになるため、自分に合った返済方法を選ぶことが大切です。

この記事では元利均等返済と元金均等返済の違いについてご紹介します。メリットやデメリット、シミュレーションでどれほど総返済額が変わるのかを知ることで、自分に合った返済計画を見つけましょう。

元利均等返済と元金均等返済の概要と特徴

まずは元利均等返済と元金均等返済の概要と特徴からご紹介します。

元利均等返済とは

元利均等返済(がんりきんとうへんさい)とは返済期間中、利息と元金の割合を変えることで毎月の返済額を一定にする返済方法です。支払い始めは利息の割合が高く、払い続けていくうちに元金の割合が増えていきます。

毎月の返済額が一定となるため、将来的な計画が立てやすい特徴があります。そのため一般的には元利均等返済を選ぶ人が多く、元利均等返済のみを扱っている金融機関も多々あります。

元金均等返済とは

元金均等返済(がんきんきんとうへんさい)とは、返済期間中、元金を均等に割り、その元金に対してかかる利息を合わせて支払う返済方法です。

利息は元金の総額ごとに計算されるため、元金が多く残っているうちは利息も高くなります。しかし元金が減ってくると利息も減るため、毎月の返済額は払い続けていくうちに減っていきます。

そのため元金均等返済では元利均等返済に比べ、総返済額を減らせることが特徴です。しかし元金均等返済は、金融機関によっては選べないところもあるため注意が必要です。

元利均等返済のメリット

元利均等返済のメリットは以下の3つです。

・返済計画が立てやすい
・元金均等返済と比べると、返済開始当初の返済額が少ない
・変動金利の場合に125%ルール、5年ルールが適用される金融機関がある

それぞれ詳しく見ていきましょう。

返済計画が立てやすい

元利均等返済は、返済期間中、月々の返済額が一定のため、返済計画が立てやすいメリットがあります。そのため毎月の収支を管理しやすく、特に子どもにお金が掛かる時期でも将来的に必要な資金の見通しを立てやすいでしょう。

元金均等返済と比べると、返済開始当初の返済額が少ない

元利均等返済は元金均等返済と比べると、返済開始当初の返済額が少ないメリットがあります。その理由は、元金均等返済では総元金に合わせて利息が決まるため返済開始当初の元本の返済額が高くなるのに対し、元利均等返済では返済期間中、月々の返済額が一定になるため元本の返済額が元金均等返済より少なくなるのです。

変動金利の場合に125%ルール・5年ルールが適用される

多くの金融機関では、元利均等返済を選ぶと、変動金利の場合125%ルール、5年ルールが適用されます。 125%ルール、5年ルールとは金利が上昇し、返済額が急騰した場合、返済額を抑えてくれる制度です。 これらのルールの詳細は以下をご確認ください。

125%ルール 5年ルールが適用後、6年目からの毎月の返済額は、
今までの返済額に対して125%の金額までしか上げられない
5年ルール 金利が上昇しても、5年間は毎月の返済額が変わらない

金利は半年ごとに見直されますが、5年ルールが適用されている間では、金利が変動しても5年間は毎月の返済額が変わりません。ただし5年ルールによって返済額は変わりませんが、元金と利息の割合は金利が変動するごとに見直されているため注意が必要です。

例えば毎月の返済額が10万円で、その内訳が「元金9万5,000円」「利息5,000円」と計算する場合、金利の変動があれば毎月の返済額は10万円と変わりませんが、「元金9万円」「利息1万円」になり、金融機関側で内訳が調整されているのです。

また5年ルールが適用後、6年目に返済額が変動する場合、今までの返済額に対して125%までしか返済額を上げられません。そのため毎月返済額として10万円支払っていた場合、どれだけ金利が変動しても12万5,000円以上、返済額が上がることはないのです。

そのため5年ルールや125%ルールがあると、返済期間中に金利が変動しても家計の負担を抑えることができます。

元利均等返済のデメリット

元利均等返済のデメリットは以下の2つです。

・総返済額が多くなる
・借入金残高が減るスピードが遅い

総返済額が多くなる

元利均等返済を選択すると、元金均等返済よりも総返済額が多くなるため注意が必要です。その理由は、元利均等返済では返済開始時、元金の返済割合が少なく、利息の割合が多くなるためです。

はじめは利息の返済が多くなるため元金がなかなか減らず、結果的に総返済額が多くなってしまうのです。

借入金残高が減るスピードが遅い

上記でも紹介したように、元利均等返済では、返済当初に利息を多く払うため、借入金残高が減るスピードが遅くなります。

そのため「利息ばかり支払って、元金がなかなか減らない…」と思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。はじめから元金を減らしたい方には、元金均等返済がおすすめです。

元金均等返済のメリット

元金均等返済のメリットは以下の2つです。

・総返済額が少ない
・借入金残高が減るスピードが早い

総返済額が少ない

元金均等返済では、返済開始時から元金を減らすことができるため、元利均等返済よりも総返済額が少ないというメリットがあります。その理由は、利息は借入残高に対して計算されるため、借入残高が減ると利息も減っていくためです。

そのため総返済額を少しでも減らしたい方には、元金均等返済がおすすめです。

借入金残高が減るスピードが早い

元金均等返済では返済期間中、元金を均等に割っているため、開始時から一定金額の元金を減らしていくことができます。そのため元利均等返済と比べると、借入金残高が減るスピードが早くなっています。

元金均等返済のデメリット

元金均等返済のデメリットは以下の2つです。

・返済開始当初の返済額が大きい
・家計を圧迫するリスクがある

返済開始当初の返済額が大きい

元金均等返済は、元金を均等に割って返済額を計算するため、借入残高が多い返済開始当初では、返済額が大きくなります。

特に返済開始当初は出費が多いため、「最初のうちは負担を軽くしたい」と考えている方は、元金均等返済を避けるほうが良いでしょう。

家計を圧迫するリスクがある

元金均等返済では返済期間中、返済開始当初の返済額が大きいため、家計を圧迫するリスクがあります。住宅ローンを組む方の中には子どもにお金がかかる時期だったり、若い人だと給料がそれほど高くない場合もあります。

家計のやりくりに余裕のある方は、総返済額が少ない元金均等返済がおすすめですが、今の収入では家計を圧迫する可能性がある場合には、注意が必要です。

元利均等返済と元金均等返済の比較シミュレーション

ここでは金利1%、金利2%での借り入れを例に元利均等返済と元金均等返済で月々の返済がどのように変わるか、シミュレーションを比較します。 元利均等返済と元金均等返済の計算式は以下のとおりです。

【毎月の返済額】

元利均等返済 {借入額×月利×(1+月利)返済回数}÷{(1+月利)返済回数-1}
元金均等返済 毎月の返済額=借入額÷返済回数+直前のローン残高×月利


 【総返済額】

元利均等返済 総返済額=毎月の返済額×返済回数
元金均等返済 総返済額=借入額+借入額×月利×(返済回数+1)×1/2

ここではどちらも以下の条件でシミュレーションを計算しています。

・借入金額 3,000万円
・ボーナス払いなし

【金利1%の場合】

  初回返済額  総返済額
 元利均等返済  84,685円  35,567,804円
 元金均等返済  96,428円  35,262,332円

【金利2%の場合】

  初回返済額  総返済額
 元利均等返済 99,378円 41,738,968円
 元金均等返済 121,428円 40,524,873円
【引用元】住宅保証機構株式会社「返済額の試算」より

このように元利均等返済では、元金均等返済に比べ返済開始当初の返済額が低くなる分、総返済額が多くなります。同様に元金均等返済では、総返済額が抑えられる分、返済開始当初の返済額が高くなります。元利均等返済と元金均等返済のメリット・デメリットを理解して、どちらが自分に合うか選択することが大切です。

元利均等返済と元金均等返済は途中で変更可能か

はじめは総返済額の低さから元金均等返済を選んだものの、月々の返済が厳しくて元利均等返済に変えたいと思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。 ここでは元利均等返済と元金均等返済の途中変更について、ご紹介します。

フラット35では可能

フラット35では元利均等返済から元金均等返済へ、また元金均等返済から元利均等返済への途中変更が可能です。

フラット35とは、民間金融機関と住宅金融支援機構が提携して提供する最長35年の全期間固定金利の住宅ローンです。新築住宅や中古住宅どちらでも利用でき、固定金利のため金利が変わらず、安心して返済していくことができます。

住宅ローンの返済期間中は、まとまったお金ができて返済したいとき、子どもの進学などでお金が必要な時期など、生活の変化に合わせて家計の状況が異なります。そのためフラット35では、状況に応じて返済方法を変える事ができ、返済終了時まできめ細やかなサポートがあるので安心です。

変更時にかかる手数料は不要で、返済中の金融機関(融資のお申込み先の金融機関)で申し込むことができます。

元金均等返済を取り扱っていない金融機関も多い

前項【元利均等返済と元金均等返済の概要と特徴】でも述べたように、元金均等返済を取り扱っていない金融機関も多くあります。そのため元金均等返済で総返済額を抑えたい方は、まず検討している金融機関に元金均等返済のプランがあるのか事前に確認しましょう。 元金均等返済を選べる金融機関の例を以下に示します。

・三菱UFJ銀行
・三井住友銀行
・楽天銀行
・みずほ銀行
・住信SBIネット銀行
・三井住友信託銀行

元金均等返済ができない金融機関は元利均等返済のみとなっており、返済方法の選択は各金融機関のホームページで確認できます。

【例】りそな銀行「ご返済方法について」より

元利均等返済、元金均等返済を選ぶ際の注意点

最後に元利均等返済か元金均等返済のどちらを選ぶべきか、それぞれの注意点についてご紹介します。

ライフプランを考慮して無理なく返済可能か確認

住宅ローンは長期間の返済になるため、無理のない返済額であることが大切です。子どもの出産や進学、親の介護など20年~30年の間には出費が必要になる時期があるので、事前に出費のかかる時期を想定しておくことが重要です。

少しでも総返済額が減らせるお得な元金均等返済に目が行きがちですが、住宅ローンは長期になるため「どちらがお得か」よりも「どちらのほうがご自身の返済計画やライフスタイルに合っているか」が大切です。

元金均等返済では返済開始当初、返済額が高くなります。例えば上記で例にあげたフラット35を利用した場合、最初の5年間、10年間でどのぐらい返済額に差がでるか以下に示します。

・金利:1.83%(フラット35)
・借入額:3000万円
・借入期間:35年

  初回返済額 当初5年間の返済額 当初10年間の返済額 総返済額
元利均等返済 96,781円 5,806,860円 11,613,720円 40,648,064円
元金均等返済 117,178円 6,837,850円 13,283,559円 39,630,245円
差額 20,397円 1,030,990円 1,669,839円 1,017,819円

この試算では、金利や借入額、借入期間が同じ条件でもそれぞれの差額は、初回返済額では約2万、5年間での返済額では約103万、10年間での返済額では約166万円以上変わることが分かりました。

元金均等返済では、元利均等返済に比べ総返済額が約100万円低くなりますが、当初5年間の返済額は100万円以上高くなるため無理なく返済できるプランを選ぶことが重要です。

総返済額は繰り上げ返済で減らすことも可能

「元利均等返済では元金が減らせないから…」と思う方には、繰り上げ返済で総返済額を減らすことがおすすめです。繰越返済は利息ではなく、借入残高から引かれるため、総返済額を減らすことができます。

繰り上げ返済には以下の2通りがあり、繰り上げ返済時にどちらにするか選択できます。

期間短縮型:返済期間を短縮する
返済額軽減型:毎月の返済額を軽減する

繰り上げ返済は実施時期が早いほど利息が軽減されるためおすすめです。繰り上げ返済を行う際は、各金融機関によって1回の最低返済額(1円〜100万円)と手数料(無料〜数万円)が異なるため注意しましょう。

まとめ

今回は住宅ローンの契約の際に知っておきたい元利均等返済と元金均等返済の違いについてメリットやデメリット、返済シミュレーションをご紹介しました。

住宅ローンは借りる期間も長く、金額も大きいためご自身のライフスタイルに合った返済方法を選ぶことが大切です。

これから住宅ローンを検討される方、毎月の返済が苦しい方は是非ご参考にしてみてください。 ベルテックスでは、不動産投資の専門家による無料オンラインセミナーを開催しています。ご自宅からオンラインでご参加いただけますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

この記事を書いた人

ベルテックスコラム事務局

不動産コンサルタント・税理士

不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。

2023.10.12

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元利均等返済と元金均等返済の違いとは?メリットやデメリット、シミュレーションで徹底検証!

  • 融資・ローン
  • 返済

「元利均等返済と元金均等返済の違いは?」
「元利均等返済と元金均等返済はどちらがお得?」

住宅ローンを選ぶ際、元利均等返済と元金均等返済のどちらの方法で返済していくか、迷う方も多いのではないでしょうか。返済方法が異なると、毎月の負担額や総返済額も異なります。住宅ローンは20年、30年と長い付き合いになるため、自分に合った返済方法を選ぶことが大切です。

この記事では元利均等返済と元金均等返済の違いについてご紹介します。メリットやデメリット、シミュレーションでどれほど総返済額が変わるのかを知ることで、自分に合った返済計画を見つけましょう。

元利均等返済と元金均等返済の概要と特徴

まずは元利均等返済と元金均等返済の概要と特徴からご紹介します。

元利均等返済とは

元利均等返済(がんりきんとうへんさい)とは返済期間中、利息と元金の割合を変えることで毎月の返済額を一定にする返済方法です。支払い始めは利息の割合が高く、払い続けていくうちに元金の割合が増えていきます。

毎月の返済額が一定となるため、将来的な計画が立てやすい特徴があります。そのため一般的には元利均等返済を選ぶ人が多く、元利均等返済のみを扱っている金融機関も多々あります。

元金均等返済とは

元金均等返済(がんきんきんとうへんさい)とは、返済期間中、元金を均等に割り、その元金に対してかかる利息を合わせて支払う返済方法です。

利息は元金の総額ごとに計算されるため、元金が多く残っているうちは利息も高くなります。しかし元金が減ってくると利息も減るため、毎月の返済額は払い続けていくうちに減っていきます。

そのため元金均等返済では元利均等返済に比べ、総返済額を減らせることが特徴です。しかし元金均等返済は、金融機関によっては選べないところもあるため注意が必要です。

元利均等返済のメリット

元利均等返済のメリットは以下の3つです。

・返済計画が立てやすい
・元金均等返済と比べると、返済開始当初の返済額が少ない
・変動金利の場合に125%ルール、5年ルールが適用される金融機関がある

それぞれ詳しく見ていきましょう。

返済計画が立てやすい

元利均等返済は、返済期間中、月々の返済額が一定のため、返済計画が立てやすいメリットがあります。そのため毎月の収支を管理しやすく、特に子どもにお金が掛かる時期でも将来的に必要な資金の見通しを立てやすいでしょう。

元金均等返済と比べると、返済開始当初の返済額が少ない

元利均等返済は元金均等返済と比べると、返済開始当初の返済額が少ないメリットがあります。その理由は、元金均等返済では総元金に合わせて利息が決まるため返済開始当初の元本の返済額が高くなるのに対し、元利均等返済では返済期間中、月々の返済額が一定になるため元本の返済額が元金均等返済より少なくなるのです。

変動金利の場合に125%ルール・5年ルールが適用される

多くの金融機関では、元利均等返済を選ぶと、変動金利の場合125%ルール、5年ルールが適用されます。 125%ルール、5年ルールとは金利が上昇し、返済額が急騰した場合、返済額を抑えてくれる制度です。 これらのルールの詳細は以下をご確認ください。

125%ルール 5年ルールが適用後、6年目からの毎月の返済額は、
今までの返済額に対して125%の金額までしか上げられない
5年ルール 金利が上昇しても、5年間は毎月の返済額が変わらない

金利は半年ごとに見直されますが、5年ルールが適用されている間では、金利が変動しても5年間は毎月の返済額が変わりません。ただし5年ルールによって返済額は変わりませんが、元金と利息の割合は金利が変動するごとに見直されているため注意が必要です。

例えば毎月の返済額が10万円で、その内訳が「元金9万5,000円」「利息5,000円」と計算する場合、金利の変動があれば毎月の返済額は10万円と変わりませんが、「元金9万円」「利息1万円」になり、金融機関側で内訳が調整されているのです。

また5年ルールが適用後、6年目に返済額が変動する場合、今までの返済額に対して125%までしか返済額を上げられません。そのため毎月返済額として10万円支払っていた場合、どれだけ金利が変動しても12万5,000円以上、返済額が上がることはないのです。

そのため5年ルールや125%ルールがあると、返済期間中に金利が変動しても家計の負担を抑えることができます。

元利均等返済のデメリット

元利均等返済のデメリットは以下の2つです。

・総返済額が多くなる
・借入金残高が減るスピードが遅い

総返済額が多くなる

元利均等返済を選択すると、元金均等返済よりも総返済額が多くなるため注意が必要です。その理由は、元利均等返済では返済開始時、元金の返済割合が少なく、利息の割合が多くなるためです。

はじめは利息の返済が多くなるため元金がなかなか減らず、結果的に総返済額が多くなってしまうのです。

借入金残高が減るスピードが遅い

上記でも紹介したように、元利均等返済では、返済当初に利息を多く払うため、借入金残高が減るスピードが遅くなります。

そのため「利息ばかり支払って、元金がなかなか減らない…」と思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。はじめから元金を減らしたい方には、元金均等返済がおすすめです。

元金均等返済のメリット

元金均等返済のメリットは以下の2つです。

・総返済額が少ない
・借入金残高が減るスピードが早い

総返済額が少ない

元金均等返済では、返済開始時から元金を減らすことができるため、元利均等返済よりも総返済額が少ないというメリットがあります。その理由は、利息は借入残高に対して計算されるため、借入残高が減ると利息も減っていくためです。

そのため総返済額を少しでも減らしたい方には、元金均等返済がおすすめです。

借入金残高が減るスピードが早い

元金均等返済では返済期間中、元金を均等に割っているため、開始時から一定金額の元金を減らしていくことができます。そのため元利均等返済と比べると、借入金残高が減るスピードが早くなっています。

元金均等返済のデメリット

元金均等返済のデメリットは以下の2つです。

・返済開始当初の返済額が大きい
・家計を圧迫するリスクがある

返済開始当初の返済額が大きい

元金均等返済は、元金を均等に割って返済額を計算するため、借入残高が多い返済開始当初では、返済額が大きくなります。

特に返済開始当初は出費が多いため、「最初のうちは負担を軽くしたい」と考えている方は、元金均等返済を避けるほうが良いでしょう。

家計を圧迫するリスクがある

元金均等返済では返済期間中、返済開始当初の返済額が大きいため、家計を圧迫するリスクがあります。住宅ローンを組む方の中には子どもにお金がかかる時期だったり、若い人だと給料がそれほど高くない場合もあります。

家計のやりくりに余裕のある方は、総返済額が少ない元金均等返済がおすすめですが、今の収入では家計を圧迫する可能性がある場合には、注意が必要です。

元利均等返済と元金均等返済の比較シミュレーション

ここでは金利1%、金利2%での借り入れを例に元利均等返済と元金均等返済で月々の返済がどのように変わるか、シミュレーションを比較します。 元利均等返済と元金均等返済の計算式は以下のとおりです。

【毎月の返済額】

元利均等返済 {借入額×月利×(1+月利)返済回数}÷{(1+月利)返済回数-1}
元金均等返済 毎月の返済額=借入額÷返済回数+直前のローン残高×月利


 【総返済額】

元利均等返済 総返済額=毎月の返済額×返済回数
元金均等返済 総返済額=借入額+借入額×月利×(返済回数+1)×1/2

ここではどちらも以下の条件でシミュレーションを計算しています。

・借入金額 3,000万円
・ボーナス払いなし

【金利1%の場合】

  初回返済額  総返済額
 元利均等返済  84,685円  35,567,804円
 元金均等返済  96,428円  35,262,332円

【金利2%の場合】

  初回返済額  総返済額
 元利均等返済 99,378円 41,738,968円
 元金均等返済 121,428円 40,524,873円
【引用元】住宅保証機構株式会社「返済額の試算」より

このように元利均等返済では、元金均等返済に比べ返済開始当初の返済額が低くなる分、総返済額が多くなります。同様に元金均等返済では、総返済額が抑えられる分、返済開始当初の返済額が高くなります。元利均等返済と元金均等返済のメリット・デメリットを理解して、どちらが自分に合うか選択することが大切です。

元利均等返済と元金均等返済は途中で変更可能か

はじめは総返済額の低さから元金均等返済を選んだものの、月々の返済が厳しくて元利均等返済に変えたいと思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。 ここでは元利均等返済と元金均等返済の途中変更について、ご紹介します。

フラット35では可能

フラット35では元利均等返済から元金均等返済へ、また元金均等返済から元利均等返済への途中変更が可能です。

フラット35とは、民間金融機関と住宅金融支援機構が提携して提供する最長35年の全期間固定金利の住宅ローンです。新築住宅や中古住宅どちらでも利用でき、固定金利のため金利が変わらず、安心して返済していくことができます。

住宅ローンの返済期間中は、まとまったお金ができて返済したいとき、子どもの進学などでお金が必要な時期など、生活の変化に合わせて家計の状況が異なります。そのためフラット35では、状況に応じて返済方法を変える事ができ、返済終了時まできめ細やかなサポートがあるので安心です。

変更時にかかる手数料は不要で、返済中の金融機関(融資のお申込み先の金融機関)で申し込むことができます。

元金均等返済を取り扱っていない金融機関も多い

前項【元利均等返済と元金均等返済の概要と特徴】でも述べたように、元金均等返済を取り扱っていない金融機関も多くあります。そのため元金均等返済で総返済額を抑えたい方は、まず検討している金融機関に元金均等返済のプランがあるのか事前に確認しましょう。 元金均等返済を選べる金融機関の例を以下に示します。

・三菱UFJ銀行
・三井住友銀行
・楽天銀行
・みずほ銀行
・住信SBIネット銀行
・三井住友信託銀行

元金均等返済ができない金融機関は元利均等返済のみとなっており、返済方法の選択は各金融機関のホームページで確認できます。

【例】りそな銀行「ご返済方法について」より

元利均等返済、元金均等返済を選ぶ際の注意点

最後に元利均等返済か元金均等返済のどちらを選ぶべきか、それぞれの注意点についてご紹介します。

ライフプランを考慮して無理なく返済可能か確認

住宅ローンは長期間の返済になるため、無理のない返済額であることが大切です。子どもの出産や進学、親の介護など20年~30年の間には出費が必要になる時期があるので、事前に出費のかかる時期を想定しておくことが重要です。

少しでも総返済額が減らせるお得な元金均等返済に目が行きがちですが、住宅ローンは長期になるため「どちらがお得か」よりも「どちらのほうがご自身の返済計画やライフスタイルに合っているか」が大切です。

元金均等返済では返済開始当初、返済額が高くなります。例えば上記で例にあげたフラット35を利用した場合、最初の5年間、10年間でどのぐらい返済額に差がでるか以下に示します。

・金利:1.83%(フラット35)
・借入額:3000万円
・借入期間:35年

  初回返済額 当初5年間の返済額 当初10年間の返済額 総返済額
元利均等返済 96,781円 5,806,860円 11,613,720円 40,648,064円
元金均等返済 117,178円 6,837,850円 13,283,559円 39,630,245円
差額 20,397円 1,030,990円 1,669,839円 1,017,819円

この試算では、金利や借入額、借入期間が同じ条件でもそれぞれの差額は、初回返済額では約2万、5年間での返済額では約103万、10年間での返済額では約166万円以上変わることが分かりました。

元金均等返済では、元利均等返済に比べ総返済額が約100万円低くなりますが、当初5年間の返済額は100万円以上高くなるため無理なく返済できるプランを選ぶことが重要です。

総返済額は繰り上げ返済で減らすことも可能

「元利均等返済では元金が減らせないから…」と思う方には、繰り上げ返済で総返済額を減らすことがおすすめです。繰越返済は利息ではなく、借入残高から引かれるため、総返済額を減らすことができます。

繰り上げ返済には以下の2通りがあり、繰り上げ返済時にどちらにするか選択できます。

期間短縮型:返済期間を短縮する
返済額軽減型:毎月の返済額を軽減する

繰り上げ返済は実施時期が早いほど利息が軽減されるためおすすめです。繰り上げ返済を行う際は、各金融機関によって1回の最低返済額(1円〜100万円)と手数料(無料〜数万円)が異なるため注意しましょう。

まとめ

今回は住宅ローンの契約の際に知っておきたい元利均等返済と元金均等返済の違いについてメリットやデメリット、返済シミュレーションをご紹介しました。

住宅ローンは借りる期間も長く、金額も大きいためご自身のライフスタイルに合った返済方法を選ぶことが大切です。

これから住宅ローンを検討される方、毎月の返済が苦しい方は是非ご参考にしてみてください。 ベルテックスでは、不動産投資の専門家による無料オンラインセミナーを開催しています。ご自宅からオンラインでご参加いただけますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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ベルテックスコラム事務局

不動産コンサルタント・税理士

不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。