2023.10.11

資産運用

ベルテックスコラム事務局

投資におけるポートフォリオの作り方|具体的なステップや必要性も解説

  • リスク
  • 資産形成
  • 年代別

近年、資産運用を新たに始める人が増えています。金融庁が公表しているNISAの利用数を見てみると2020年9月末時点では約1,484万口座でしたが2023年6月末時点で約1,941万口座と口座数が増加しています。これから投資を始めようと考えている人の中には、ポートフォリオをどのように組めばよいか迷っている人も多いのではないでしょうか。

この記事では、投資におけるポートフォリオの必要性、ポートフォリオの作り方、年代別のポートフォリオの例や考え方などについて解説します。

投資におけるポートフォリオとは

まず投資を行う際には、ポートフォリオを意識することが必要です。ポートフォリオとは、金融商品の組み合わせを指します。ポートフォリオを見れば、国内株式・外国株式・債券・不動産などをどれくらいの割合で持っているのかが分かります。
投資においてポートフォリオを作成して定期的に見直すことは、非常に重要です。

ポートフォリオの必要性

なぜ投資を行う際には、ポートフォリオを作るべきなのでしょうか。ポートフォリオの主な必要性について説明します。

可視化することで投資先のバランスを管理しやすい

ポートフォリオを作成することにより「どこにどのぐらい投資しているのか」を可視化できるため、投資先のバランスを管理しやすくなります。また「現状の投資状況でマイナス要因となる出来事があった場合は売却しよう」など、リスクマネジメントにも役立ちます。投資の内容を可視化することで、投資先が把握できるようになるため、投資内容の管理や見直しがしやすくなります。

値動きの異なるものを組み合わせることでリスクを分散する

値動きの異なる金融商品を組み合わせてポートフォリオを作成することは、分散投資によるリスク軽減に役立ちます。例えば、株式と債券の組み合わせなど値動きや性質の異なる金融商品を組み合わせることでリスクを分散できるようになります。
「株式だけに投資」「債券だけに投資」など集中した投資を行ってしまうと大きな損失を被る可能性があります。しかし、値動きの異なる金融商品を組み合わせたポートフォリオを組んでいれば、所有している金融商品の一部の資産価値が大きく下落しても全体の資産価値の下落を最小限に留めることができるでしょう。

積立額の見込みを立てることができる

ポートフォリオを作ると積立額の見込みを立てることが可能です。毎月の投資額やポートフォリオ内における毎年の運用成果の見込みを決めていくことで、最終的な積立額の到達額の目安をシミュレーションすることができます。これにより、例えば「30年後に2,000万円貯める場合の毎月の積立額」「毎月の積立額から30年後の資産運用額」などの把握がしやすくなるのです。

ポートフォリオを作るための考え方(リスクとリターン)

ポートフォリオを作る前には、目標とする運用利回りを決めることが必要です。そのためには、リスクとリターンを設定しなければなりません。リスクとリターンは、相関関係にあるため、ローリスク・ハイリターンのようなポートフォリオや投資商品や基本的にはありません。自分にフィットするリスクとリターンはどれでしょうか。以下を参考にしながら考えてみましょう。

ローリスク・ローリターンのポートフォリオの考え方

「元本割れリスクを抑えるのが優先」「リターンは少なくてよい」という人は、ローリスク・ローリターンを目標にするポートフォリオを作成しましょう。仮に長期的な物価上昇率が2~3%だと考えると、これを下回ると実質的に資産が目減りします。これを防ぐため、複数の投資商品を組み合わせて「年率2~3%程度の利回り」を確保するのが理想です。

ローリスク・ローリターンの投資商品例は、次の通りです。

・日本国債
・国内株式(連続増配銘柄など)
・円建ての普通預金/定期預金
・国内債券
・投資信託(インデックスファンドなど)
・個人年金保険 など

ただし上記の投資商品を組み合わせても年率2~3%の利回り達成が難しいケースもあるかもしれません。この場合、ミドルリスク・ミドルリターンの投資商品を織り交ぜながらポートフォリオを作るのがおすすめです。

ミドルリスク・ミドルリターンのポートフォリオの考え方

「資産を大きく目減りさせたくないが、ある程度のリターンを狙っていきたい」という人は、ミドルリスク・ミドルリターンを目標にするポートフォリオを作成しましょう。目標とする運用利回りの例として、仮に長期的な物価上昇率が2~3%程度だとすると、これにプラス数%の5~6%程度が考えられます。主なミドルリスク・ミドルリターンの投資商品は、次の通りです。

・国内株式(高成長銘柄など)
・外国株式(先進国)
・外国債券(先進国)
・外国定期預金
・REIT
・不動産投資
・投資信託(バランス型、グローバル株式型など) など

ミドルリスク・ミドルリターンを目標とする投資商品の選択肢は多岐にわたるため、商品選びが大変かもしれません。前述のように値動きの異なる投資商品を組み合わせてポートフォリオを作成するのがポイントです。

ハイリスク・ハイリターンのポートフォリオの考え方

「リスクを負ってもよいのでリターンを最優先したい」という人は、ハイリスク・ハイリターンを目標にするポートフォリオを作成しましょう。目標とする運用利回りに上限はありませんが、目標値を高くするほどハイリスクになること(=値動きの波が激しくなること)を強く意識することが大切です。

・国内株式(新興企業銘柄など)
・外国株式(新興国)
・外国債券(新興国)
・投資信託(成長企業厳選銘柄、ハイイールド債権型など)
・暗号資産
・FX
・先物商品 など

現実的には、ハイリスク・ハイリターンの投資商品だけでポートフォリオを組むのではなく、ミドルリスク・ミドルターンの商品を織り込みながらリスクをコントロールすることをおすすめします。

ポートフォリオを作るための4つのステップ

ここでは、ポートフォリオを作る際の4つのステップについて解説します。

1.まずは目標や運用方針を決める

ポートフォリオを作る際には、まず目標や運用方針を決めていきましょう。例えば「20年後までに2,000万円を貯める」「毎月5万円を貯めていく」などです。目標は自由に設定してかまいませんが、無理なく継続できる目標を具体的に立てることが大切です。

目標が決まったら、次に運用方針を決めていきましょう。この運用方針に従ってポートフォリオが決まっていきます。運用方針の内容としては、例えば「リスクを抑えて元本をあまり減らさない運用をする」「ある程度のリスクは許容して積極的に利益を取る運用をする」などです。

2.定めた方針に合った投資配分を決める

目標と運用方針が決まったら次にこの方針に従って投資の配分を決めていきます。投資の配分を決める際は、まずアセットアロケーションを考えます。アセットアロケーションとは、国内株式、国内債券、外国株式、外国債券、不動産などの資産の種類の比率を決めることをいいます。
安定を重視したい場合は債権の配分を多くする、利益を追求するなら株式の配分を多くするなど、ご自身の運用方針にあう配分を決めることが大切です。ただし、いくら積極的な利益追求を行う方針でも株式の比率を100%にするのはおすすめできません。
他の資産を入れることによって、リスクを分散させることができ、安定した運用成果を得られる可能性が高くなります。同じ株式でも、国内株式と海外株式というように地域を分けることにより、リスク分散をすることも可能です。

3.投資先を決める

アセットアロケーションが確定したら、アセットアロケーションに沿って具体的な投資先を決めて、ポートフォリオを組んでいきます。同じ国内株式でも、投資先によって結果は大きく変わります。そのため、具体的な投資先を選ぶ際は、十分に調査・分析した上で、慎重に検討することが大切です。

4.定期的にポートフォリオを見直す

ポートフォリオを組んだ後は、そのままほったらかしにしてはいけません。必ず定期的にポートフォリオを見直しましょう。定期的に見直しをして、必要に応じて株式や債券の割合を変える、一部の運用成績のいい商品と悪い商品のバランスを調整するリバランスを行うなど調整をすることが、安定した運用成績を維持することにつながります。

各資産の特徴を理解する

ポートフォリオを組む前提となるアセットアロケーションを考える際に知っておくべき各資産の特徴を紹介します。各資産の特徴を押さえながらアセットアロケーションを検討しましょう。

現金、預貯金

資産の中で最も流動性があるのが現金や預貯金です。「現金や預貯金はあまり持たずに資産のほとんど全てを投資したい」と考える人もいるかもしれません。しかし、全ての資産を投資に回すのは、非常に危険です。現金や預貯金のメリットは「流動性の高さ」です。突発的な出来事により多額の現金が必要になった場合、株式や債券、不動産では対応できない可能性があるという点は押さえておきたいポイントです。

そのため、現金や預貯金で、緊急時にすぐに使えるお金を用意しておくことが大切です。手元に置いておくべき現金や預貯金の目安は、約半年分の生活費といわれています。投資をする上で緊急時にすぐに使えるお金を確保しておくことは、精神的な安定にもつながるため、現金と預貯金をどのくらい用意しておくべきか検討して、必要な金額を確保しておきましょう。

国内株式投資

株式投資は、証券市場に上場している株式を購入する対価として利益を受け取る投資方法です。株式投資で受け取れるリターンには、購入時と売却時の差額の「値上がり益」、企業の利益の一部を受け取る「配当金」などがあります。これらのリターンが期待できる点はメリットですが、一方で市場暴落や業績不振の影響を受けて株価が値下がりするリスクがある点も忘れてはいけません。

これを踏まえてポートフォリオの株式の比率を決めましょう。国内株式投資の特徴は、例えばトヨタ、ユニクロ、ソフトバンクなどなじみのある企業の株式を購入できることです。国内企業は、業績や動向がニュースで報じられることが多いため、情報収集がしやすいメリットもあります。また国内株式投資には、企業によって自社製品や優待券を受け取れる「株主優待」があることも大きな特徴です。

外国株式投資

外国株式投資の特徴は、国内株式投資とほぼ同じですがいくつかの違いもあります。一例として外国株式投資で人気の米国株式と比較してみましょう。

購入できる単位が異なる

国内株式は100株単位の取引が基本ですが、米国株式は1株単位で購入ができます。
※国内株式でも一部の銘柄では、単元未満株での購入が可能です。

ストップ高・ストップ安がない

米国株式には売買が集中したときに発動されるストップ高・ストップ安がありません。暴騰・暴落が起きやすいマーケット環境のため、ポートフォリオで外国株式の比率を高めると、全体のリターンに大きな影響があることに注意しましょう。

年4回配当する企業が多い

国内株式の分配金の支給は年2回が一般的ですが、米国株式は年4回が多く見られます。

国内債券

債券とは、国・自治体・企業などが長期的な資金を調達するために発行する有価証券のことです。債券を購入すると、あらかじめ決まった日に利子を受け取れ、満期(償還日)になると元本全額が戻ってきます。値動きによって元本割れリスクのある株式などと比べると、発行元の国や企業が破たんしなければ元本が返ってくるため、比較的安全性の高い投資商品です。

国内債券の主な選択肢としては、国債・自治体・企業があります。このなかで最も買いやすく安全性が高い債券は、国債です。日本国債は、原則元本割れリスクがなく1万円から購入できます。3種類が用意され、それぞれ金利が異なります。

・変動10年(金利が高め)
・固定5年(金利が中位)
・固定3年(金利が低め)

いずれの種類も安全性が高い分、金利が低く設定されているため、ローリスク・ローリターンのポートフォリオに向いているといえるでしょう。

外国債券

外国債券の基本的な仕組みは、国内債券と同様です。海外の国や企業が発行した債券を購入し、利子を受け取りながら満期に元本全額を受け取るのが大きな流れとなります。国内債券との違いは、例えば日本国債と米国国債を比べると後者のほうが圧倒的に高利回りです。ただし一般的な外国債券は、外貨建てのため、円高進行が進行すると受け取る利益が減ります。

これを考慮すると外国債券をポートフォリオに組み込む際は、為替が変動したときの利益を把握した上でポートフォリオに組み込む必要があるでしょう。

不動産投資

不動産投資は、ワンルームマンションや一棟マンションといった不動産を購入して、その購入した不動産を第三者に貸し出し、家賃収入を得たり売却して利益を得たりする投資方法です。不動産投資の収益には、「インカムゲイン」「キャピタルゲイン」という2つの種類があります。

インカムゲイン:
不動産が生み出す定期的に獲得できる賃料収入の利益のこと
キャピタルゲイン:
不動産を購入した金額よりも高い金額で売却することで得られる利益

一般的に不動産投資は、インカムゲインを得ながら収益を伸ばす場合が多いです。不動産投資の主なメリットには、以下のようなものがあります。

  • 賃料収入で安定的な収入を得ることができる
  • 団体信用生命保険が生命保険代わりになる
  • 相続が発生した場合、家賃収入がそのまま遺族の収入になる

ただし、不動産投資には、滞納リスクや空室リスクがあることも忘れてはいけません。例えば、ローンで購入した物件が空室になった場合は、家賃収入を得られなくなるため、毎月のローンを自己資金から支払う可能性もあります。そのため、不動産投資を始める場合は、慎重に物件選びをすることが大切です。

投資信託

投資信託は、株式や債券、不動産などの資産を間接的に購入できる投資方法です。不特定多数の投資家からお金を集めてファンドを形成し、その集まった購入資金を活用してファンドマネージャーが対象となる金融商品を購入していきます。例えば株式の場合は、日本株は1単元100株単位で購入することが原則です。

そのため1単元ずつ購入する場合は、数十万円~数百万円の購入資金が必要になることもあります。しかし投資信託の場合、証券会社によっては100円という少額から購入できるところもある点はメリットです。さまざまなファンドを組み合わせることでリスク分散ができることも大きな特徴といえるでしょう。

しかし、その分コストとして信託報酬と呼ばれる運用会社などに配分される手数料が毎営業日かかることはデメリットといえます。また、日本で販売されている公募投資信託は、2022年12月時点で5,955本あるため、その中から自分に合った投資信託を選択するのは非常に難しいでしょう。

年代別ポートフォリオの例

実際にポートフォリオを作成する際に参考になるのが、年金積立金を管理・運用している公的な機関である年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が採用している以下のポートフォリオです。

国内債券 外国債券 国内株式 外国株式
25% 25% 25% 25%

「世界最大の機関投資家」とも呼ばれるGPIFは、長期投資と分散投資により安定した収益を目指して2001年度から市場運用を続けてきて、累積収益は100兆円を超えています。
ここでは、このポートフォリオをベースに「株式の割合は100マイナス実年齢にする」という考え方を取り入れて、各年代のポートフォリオの例を紹介していきます。

20代

「株式の割合を100マイナス実年齢にする」というのは、若い時ほど、運用期間を長く取れて失敗をカバーする力もあるため、リスク許容度が高いという考え方をもとにしています。一般的に、20代はリスク許容度が高いため、ハイリスク・ハイリターンの株式の割合を80%(100マイナス20)として積極的な投資をしてもよい時期だと考えられています。
こちらは、その考え方をGPIFが採用しているポートフォリオの配分に当てはめた例です。

国内債券 外国債券 国内株式 外国株式
10% 10% 40% 40%

リスク許容度は、年齢だけではなく、リスクに対する感じ方、年収、家族構成などによっても大きく異なります。20代で結婚して子どもがいる場合や、リスクを避けて安全に資産運用をしたい場合は、株式の割合を下げて、ローリスク・ローリターンの債権の割合を増やしてもよいでしょう。
また、このポートフォリオは、現金や預貯金を含まないものですが、20代は結婚や出産などのライフイベントが発生する可能性がある年代なので、すぐに使える現金や預貯金を確保した上で投資を始めることが大切です。

30代

30代もまだリスク許容度が高い年代なので、積極的な投資をしてもよい時期だと考えられています。
30代のポートフォリオの例を紹介します。

国内債券 外国債券 国内株式 外国株式
15% 15% 35% 35%

(「株式の割合を100マイナス実年齢にする」という考え方から算出した30代の株式の割合である70%(100マイナス30)をGPIFが採用している配分に当てはめたもの)

子どもがいる場合や、リスクを避けて安全に資産運用をしたい場合は、株式の割合を下げて、ローリスク・ローリターンの債権の割合を増やしてもよいでしょう。
30代は結婚、出産、マイホーム購入などのライフイベントが発生する可能性が高い年代なので、十分な現金や預貯金を確保した上で、余剰資金で投資を行うようにしましょう。

40代

40代は、そろそろ老後資金の確保を現実的に考え始めるべき年代です。また、65歳を定年と仮定した場合、40代後半に差しかかると残りの運用期間は20年を下回ります。そのため徐々に安定した運用成果が期待できるポートフォリオに転換していくことが求められます。
40代のポートフォリオの例を紹介します。

国内債券 外国債券 国内株式 外国株式
20% 20% 30% 30%

(「株式の割合を100マイナス実年齢にする」という考え方から算出した40代の株式の割合である60%(100マイナス40)をGPIFが採用している配分に当てはめたもの)

40代になると子どもの教育費がかかる場合もあるので、子どもの教育費なども考慮して現金や預貯金をしっかり確保しておくことも大切です。

50代

50代は、今まで貯めてきた資金をなるべく減らさない運用が求められます。
50代のポートフォリオの例を紹介します。

国内債券 外国債券 国内株式 外国株式
25% 25% 25% 25%

「株式の割合を100マイナス実年齢にする」という考え方から算出した50代の株式の割合である50%(100マイナス50)をGPIFが採用している配分に当てはめると、GPIFが現在採用しているポートフォリオと同じ配分になりました。

50代になると子どもが大学に進学して教育費が膨らむ場合もあるので、子どもの教育費も考慮して現金や預貯金をしっかり確保し、余剰資金で投資を行いましょう。

60代

60代の資産運用は、定年退職後の年金生活に向けて徐々に「資産を減らさない」ことが重要なポイントとなります。
60代のポートフォリオの例を紹介します。

国内債券 外国債券 国内株式 外国株式
30% 30% 20% 20%

(「株式の割合を100マイナス実年齢にする」という考え方から算出した60代の株式の割合である40%(100マイナス60)をGPIFが採用している配分に当てはめたもの)

個人差はありますが、60代は資産の取り崩しが始まる可能性が高い年代となるため、債券のクーポンから定期的に収益を得ながら安定した生活ができる体制を整えるとよいでしょう。

ポートフォリオを見直すときの観点

ポートフォリオは、一度組んだら終わりではありません。必要に応じて投資商品のバランスを見直す必要があります(リバランス)。ポートフォリオを見直すときに意識したいのは、次の3つの観点です。

計画した目標から乖離はないか

ポートフォリオのチェックでは、まず「当初計画していた運用利回りを得られているか」を見ていく必要があります。このポートフォリオの分析は、定期的に行うのが基本です。「これくらいのスパンでチェックすればよい」という決まりはありません。しかし少なくとも年1回程度は見直したいものです。余力があれば半期(6ヵ月)、または四半期(3ヵ月)ごとにポートフォリオの見直しをしましょう。

その結果、目標の運用利回りを大きく割り込んでいる場合は資産の配分を換えたり投資商品を入れ替えたりする必要があります。例えばローリスク・ローリターンの割合を減らし、ミドルリスク・ミドルリターンの比率を高めるといった具合です。なおポートフォリオ全体の利回りや資産ごとの利回りを確認する方法では、ネット上で提供されているポートフォリオ関連ツールの活用があります。

計画したバランスから離れていないか

いくつかの種類の資産を組み合わせてポートフォリオを作成すると、必ず資産配分のバランス変化が起きます。なぜなら、それぞれの資産の値上がり幅(または値下がり幅)が異なるからです。ポートフォリオの見直しのタイミングで、この資産配分のバランス調整が重要となります。例えば「株式50%:債券50%」の比率でポートフォリオ作成したとしましょう。

1年間を通して見て株式市場が好調、債券市場が低調だった場合、「株式60%:債券40%」といった具合に株式の比率が高まります。このバランスを当初の比率「株式50%:債券50%」に戻すのが資産配分のバランス調整です。具体的には「株式を売却し債券を購入する」といった行動によって調整していきます。

ライフスタイルの変化に応じて見直す

ポートフォリオは、一度決めたからといってその内容にこだわる必要はありません。市場環境やライフスタイルの変化に応じて以下の内容を変えていきましょう。

・資産運用に回す総額
・資産配分のバランス
・構成する投資商品

例えば独身だった人が結婚し、子どもが生まれると資産運用に回せるお金や許容できるリスクが変わり、保守的な考え方になるのが一般的です。その場合、資産運用に回す総額を減らし、さらにローリスク・ローリターンの投資商品の比率を高めるなどポートフォリオの見直しが求められます。

逆に子どもが生まれたことで将来の教育費を意識し、「より多くのリターンを追求したい」という考え方に変わるケースもあるかもしれません。その場合は、ハイリスク・ハイリターンの投資商品の比率を高めるといった見直しが必要になります。

まとめ

投資の成果は、ポートフォリオの組み方で大きく変わっていきます。ポートフォリオの組み方は、年代によっても変わってくるため、自分の年代を考慮してポートフォリオを組みましょう。

今回は、GPIFが採用しているポートフォリオをもとに年代別のポートフォリオの例を紹介しましたが、ミドルリスク・ミドルリターンといわれる不動産をポートフォリオに含めてもよいでしょう。

世の中には、投資に関する情報があふれていますが、投資におけるポートフォリオは個人の考え方や家計状況などによっても大きく変わってきます。世の中の情報を鵜吞みにせず、自分自身のライフスタイルや今後の目標に応じたポートフォリオを組むことが大切です。

ベルテックスでは不動産にまつわる資産形成セミナーを開催しています。ぜひお問い合わせください。

この記事を書いた人

ベルテックスコラム事務局

不動産コンサルタント・税理士

不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。

2023.10.11

資産運用

ベルテックスコラム事務局

投資におけるポートフォリオの作り方|具体的なステップや必要性も解説

  • リスク
  • 資産形成
  • 年代別

近年、資産運用を新たに始める人が増えています。金融庁が公表しているNISAの利用数を見てみると2020年9月末時点では約1,484万口座でしたが2023年6月末時点で約1,941万口座と口座数が増加しています。これから投資を始めようと考えている人の中には、ポートフォリオをどのように組めばよいか迷っている人も多いのではないでしょうか。

この記事では、投資におけるポートフォリオの必要性、ポートフォリオの作り方、年代別のポートフォリオの例や考え方などについて解説します。

投資におけるポートフォリオとは

まず投資を行う際には、ポートフォリオを意識することが必要です。ポートフォリオとは、金融商品の組み合わせを指します。ポートフォリオを見れば、国内株式・外国株式・債券・不動産などをどれくらいの割合で持っているのかが分かります。
投資においてポートフォリオを作成して定期的に見直すことは、非常に重要です。

ポートフォリオの必要性

なぜ投資を行う際には、ポートフォリオを作るべきなのでしょうか。ポートフォリオの主な必要性について説明します。

可視化することで投資先のバランスを管理しやすい

ポートフォリオを作成することにより「どこにどのぐらい投資しているのか」を可視化できるため、投資先のバランスを管理しやすくなります。また「現状の投資状況でマイナス要因となる出来事があった場合は売却しよう」など、リスクマネジメントにも役立ちます。投資の内容を可視化することで、投資先が把握できるようになるため、投資内容の管理や見直しがしやすくなります。

値動きの異なるものを組み合わせることでリスクを分散する

値動きの異なる金融商品を組み合わせてポートフォリオを作成することは、分散投資によるリスク軽減に役立ちます。例えば、株式と債券の組み合わせなど値動きや性質の異なる金融商品を組み合わせることでリスクを分散できるようになります。
「株式だけに投資」「債券だけに投資」など集中した投資を行ってしまうと大きな損失を被る可能性があります。しかし、値動きの異なる金融商品を組み合わせたポートフォリオを組んでいれば、所有している金融商品の一部の資産価値が大きく下落しても全体の資産価値の下落を最小限に留めることができるでしょう。

積立額の見込みを立てることができる

ポートフォリオを作ると積立額の見込みを立てることが可能です。毎月の投資額やポートフォリオ内における毎年の運用成果の見込みを決めていくことで、最終的な積立額の到達額の目安をシミュレーションすることができます。これにより、例えば「30年後に2,000万円貯める場合の毎月の積立額」「毎月の積立額から30年後の資産運用額」などの把握がしやすくなるのです。

ポートフォリオを作るための考え方(リスクとリターン)

ポートフォリオを作る前には、目標とする運用利回りを決めることが必要です。そのためには、リスクとリターンを設定しなければなりません。リスクとリターンは、相関関係にあるため、ローリスク・ハイリターンのようなポートフォリオや投資商品や基本的にはありません。自分にフィットするリスクとリターンはどれでしょうか。以下を参考にしながら考えてみましょう。

ローリスク・ローリターンのポートフォリオの考え方

「元本割れリスクを抑えるのが優先」「リターンは少なくてよい」という人は、ローリスク・ローリターンを目標にするポートフォリオを作成しましょう。仮に長期的な物価上昇率が2~3%だと考えると、これを下回ると実質的に資産が目減りします。これを防ぐため、複数の投資商品を組み合わせて「年率2~3%程度の利回り」を確保するのが理想です。

ローリスク・ローリターンの投資商品例は、次の通りです。

・日本国債
・国内株式(連続増配銘柄など)
・円建ての普通預金/定期預金
・国内債券
・投資信託(インデックスファンドなど)
・個人年金保険 など

ただし上記の投資商品を組み合わせても年率2~3%の利回り達成が難しいケースもあるかもしれません。この場合、ミドルリスク・ミドルリターンの投資商品を織り交ぜながらポートフォリオを作るのがおすすめです。

ミドルリスク・ミドルリターンのポートフォリオの考え方

「資産を大きく目減りさせたくないが、ある程度のリターンを狙っていきたい」という人は、ミドルリスク・ミドルリターンを目標にするポートフォリオを作成しましょう。目標とする運用利回りの例として、仮に長期的な物価上昇率が2~3%程度だとすると、これにプラス数%の5~6%程度が考えられます。主なミドルリスク・ミドルリターンの投資商品は、次の通りです。

・国内株式(高成長銘柄など)
・外国株式(先進国)
・外国債券(先進国)
・外国定期預金
・REIT
・不動産投資
・投資信託(バランス型、グローバル株式型など) など

ミドルリスク・ミドルリターンを目標とする投資商品の選択肢は多岐にわたるため、商品選びが大変かもしれません。前述のように値動きの異なる投資商品を組み合わせてポートフォリオを作成するのがポイントです。

ハイリスク・ハイリターンのポートフォリオの考え方

「リスクを負ってもよいのでリターンを最優先したい」という人は、ハイリスク・ハイリターンを目標にするポートフォリオを作成しましょう。目標とする運用利回りに上限はありませんが、目標値を高くするほどハイリスクになること(=値動きの波が激しくなること)を強く意識することが大切です。

・国内株式(新興企業銘柄など)
・外国株式(新興国)
・外国債券(新興国)
・投資信託(成長企業厳選銘柄、ハイイールド債権型など)
・暗号資産
・FX
・先物商品 など

現実的には、ハイリスク・ハイリターンの投資商品だけでポートフォリオを組むのではなく、ミドルリスク・ミドルターンの商品を織り込みながらリスクをコントロールすることをおすすめします。

ポートフォリオを作るための4つのステップ

ここでは、ポートフォリオを作る際の4つのステップについて解説します。

1.まずは目標や運用方針を決める

ポートフォリオを作る際には、まず目標や運用方針を決めていきましょう。例えば「20年後までに2,000万円を貯める」「毎月5万円を貯めていく」などです。目標は自由に設定してかまいませんが、無理なく継続できる目標を具体的に立てることが大切です。

目標が決まったら、次に運用方針を決めていきましょう。この運用方針に従ってポートフォリオが決まっていきます。運用方針の内容としては、例えば「リスクを抑えて元本をあまり減らさない運用をする」「ある程度のリスクは許容して積極的に利益を取る運用をする」などです。

2.定めた方針に合った投資配分を決める

目標と運用方針が決まったら次にこの方針に従って投資の配分を決めていきます。投資の配分を決める際は、まずアセットアロケーションを考えます。アセットアロケーションとは、国内株式、国内債券、外国株式、外国債券、不動産などの資産の種類の比率を決めることをいいます。
安定を重視したい場合は債権の配分を多くする、利益を追求するなら株式の配分を多くするなど、ご自身の運用方針にあう配分を決めることが大切です。ただし、いくら積極的な利益追求を行う方針でも株式の比率を100%にするのはおすすめできません。
他の資産を入れることによって、リスクを分散させることができ、安定した運用成果を得られる可能性が高くなります。同じ株式でも、国内株式と海外株式というように地域を分けることにより、リスク分散をすることも可能です。

3.投資先を決める

アセットアロケーションが確定したら、アセットアロケーションに沿って具体的な投資先を決めて、ポートフォリオを組んでいきます。同じ国内株式でも、投資先によって結果は大きく変わります。そのため、具体的な投資先を選ぶ際は、十分に調査・分析した上で、慎重に検討することが大切です。

4.定期的にポートフォリオを見直す

ポートフォリオを組んだ後は、そのままほったらかしにしてはいけません。必ず定期的にポートフォリオを見直しましょう。定期的に見直しをして、必要に応じて株式や債券の割合を変える、一部の運用成績のいい商品と悪い商品のバランスを調整するリバランスを行うなど調整をすることが、安定した運用成績を維持することにつながります。

各資産の特徴を理解する

ポートフォリオを組む前提となるアセットアロケーションを考える際に知っておくべき各資産の特徴を紹介します。各資産の特徴を押さえながらアセットアロケーションを検討しましょう。

現金、預貯金

資産の中で最も流動性があるのが現金や預貯金です。「現金や預貯金はあまり持たずに資産のほとんど全てを投資したい」と考える人もいるかもしれません。しかし、全ての資産を投資に回すのは、非常に危険です。現金や預貯金のメリットは「流動性の高さ」です。突発的な出来事により多額の現金が必要になった場合、株式や債券、不動産では対応できない可能性があるという点は押さえておきたいポイントです。

そのため、現金や預貯金で、緊急時にすぐに使えるお金を用意しておくことが大切です。手元に置いておくべき現金や預貯金の目安は、約半年分の生活費といわれています。投資をする上で緊急時にすぐに使えるお金を確保しておくことは、精神的な安定にもつながるため、現金と預貯金をどのくらい用意しておくべきか検討して、必要な金額を確保しておきましょう。

国内株式投資

株式投資は、証券市場に上場している株式を購入する対価として利益を受け取る投資方法です。株式投資で受け取れるリターンには、購入時と売却時の差額の「値上がり益」、企業の利益の一部を受け取る「配当金」などがあります。これらのリターンが期待できる点はメリットですが、一方で市場暴落や業績不振の影響を受けて株価が値下がりするリスクがある点も忘れてはいけません。

これを踏まえてポートフォリオの株式の比率を決めましょう。国内株式投資の特徴は、例えばトヨタ、ユニクロ、ソフトバンクなどなじみのある企業の株式を購入できることです。国内企業は、業績や動向がニュースで報じられることが多いため、情報収集がしやすいメリットもあります。また国内株式投資には、企業によって自社製品や優待券を受け取れる「株主優待」があることも大きな特徴です。

外国株式投資

外国株式投資の特徴は、国内株式投資とほぼ同じですがいくつかの違いもあります。一例として外国株式投資で人気の米国株式と比較してみましょう。

購入できる単位が異なる

国内株式は100株単位の取引が基本ですが、米国株式は1株単位で購入ができます。
※国内株式でも一部の銘柄では、単元未満株での購入が可能です。

ストップ高・ストップ安がない

米国株式には売買が集中したときに発動されるストップ高・ストップ安がありません。暴騰・暴落が起きやすいマーケット環境のため、ポートフォリオで外国株式の比率を高めると、全体のリターンに大きな影響があることに注意しましょう。

年4回配当する企業が多い

国内株式の分配金の支給は年2回が一般的ですが、米国株式は年4回が多く見られます。

国内債券

債券とは、国・自治体・企業などが長期的な資金を調達するために発行する有価証券のことです。債券を購入すると、あらかじめ決まった日に利子を受け取れ、満期(償還日)になると元本全額が戻ってきます。値動きによって元本割れリスクのある株式などと比べると、発行元の国や企業が破たんしなければ元本が返ってくるため、比較的安全性の高い投資商品です。

国内債券の主な選択肢としては、国債・自治体・企業があります。このなかで最も買いやすく安全性が高い債券は、国債です。日本国債は、原則元本割れリスクがなく1万円から購入できます。3種類が用意され、それぞれ金利が異なります。

・変動10年(金利が高め)
・固定5年(金利が中位)
・固定3年(金利が低め)

いずれの種類も安全性が高い分、金利が低く設定されているため、ローリスク・ローリターンのポートフォリオに向いているといえるでしょう。

外国債券

外国債券の基本的な仕組みは、国内債券と同様です。海外の国や企業が発行した債券を購入し、利子を受け取りながら満期に元本全額を受け取るのが大きな流れとなります。国内債券との違いは、例えば日本国債と米国国債を比べると後者のほうが圧倒的に高利回りです。ただし一般的な外国債券は、外貨建てのため、円高進行が進行すると受け取る利益が減ります。

これを考慮すると外国債券をポートフォリオに組み込む際は、為替が変動したときの利益を把握した上でポートフォリオに組み込む必要があるでしょう。

不動産投資

不動産投資は、ワンルームマンションや一棟マンションといった不動産を購入して、その購入した不動産を第三者に貸し出し、家賃収入を得たり売却して利益を得たりする投資方法です。不動産投資の収益には、「インカムゲイン」「キャピタルゲイン」という2つの種類があります。

インカムゲイン:
不動産が生み出す定期的に獲得できる賃料収入の利益のこと
キャピタルゲイン:
不動産を購入した金額よりも高い金額で売却することで得られる利益

一般的に不動産投資は、インカムゲインを得ながら収益を伸ばす場合が多いです。不動産投資の主なメリットには、以下のようなものがあります。

  • 賃料収入で安定的な収入を得ることができる
  • 団体信用生命保険が生命保険代わりになる
  • 相続が発生した場合、家賃収入がそのまま遺族の収入になる

ただし、不動産投資には、滞納リスクや空室リスクがあることも忘れてはいけません。例えば、ローンで購入した物件が空室になった場合は、家賃収入を得られなくなるため、毎月のローンを自己資金から支払う可能性もあります。そのため、不動産投資を始める場合は、慎重に物件選びをすることが大切です。

投資信託

投資信託は、株式や債券、不動産などの資産を間接的に購入できる投資方法です。不特定多数の投資家からお金を集めてファンドを形成し、その集まった購入資金を活用してファンドマネージャーが対象となる金融商品を購入していきます。例えば株式の場合は、日本株は1単元100株単位で購入することが原則です。

そのため1単元ずつ購入する場合は、数十万円~数百万円の購入資金が必要になることもあります。しかし投資信託の場合、証券会社によっては100円という少額から購入できるところもある点はメリットです。さまざまなファンドを組み合わせることでリスク分散ができることも大きな特徴といえるでしょう。

しかし、その分コストとして信託報酬と呼ばれる運用会社などに配分される手数料が毎営業日かかることはデメリットといえます。また、日本で販売されている公募投資信託は、2022年12月時点で5,955本あるため、その中から自分に合った投資信託を選択するのは非常に難しいでしょう。

年代別ポートフォリオの例

実際にポートフォリオを作成する際に参考になるのが、年金積立金を管理・運用している公的な機関である年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が採用している以下のポートフォリオです。

国内債券 外国債券 国内株式 外国株式
25% 25% 25% 25%

「世界最大の機関投資家」とも呼ばれるGPIFは、長期投資と分散投資により安定した収益を目指して2001年度から市場運用を続けてきて、累積収益は100兆円を超えています。
ここでは、このポートフォリオをベースに「株式の割合は100マイナス実年齢にする」という考え方を取り入れて、各年代のポートフォリオの例を紹介していきます。

20代

「株式の割合を100マイナス実年齢にする」というのは、若い時ほど、運用期間を長く取れて失敗をカバーする力もあるため、リスク許容度が高いという考え方をもとにしています。一般的に、20代はリスク許容度が高いため、ハイリスク・ハイリターンの株式の割合を80%(100マイナス20)として積極的な投資をしてもよい時期だと考えられています。
こちらは、その考え方をGPIFが採用しているポートフォリオの配分に当てはめた例です。

国内債券 外国債券 国内株式 外国株式
10% 10% 40% 40%

リスク許容度は、年齢だけではなく、リスクに対する感じ方、年収、家族構成などによっても大きく異なります。20代で結婚して子どもがいる場合や、リスクを避けて安全に資産運用をしたい場合は、株式の割合を下げて、ローリスク・ローリターンの債権の割合を増やしてもよいでしょう。
また、このポートフォリオは、現金や預貯金を含まないものですが、20代は結婚や出産などのライフイベントが発生する可能性がある年代なので、すぐに使える現金や預貯金を確保した上で投資を始めることが大切です。

30代

30代もまだリスク許容度が高い年代なので、積極的な投資をしてもよい時期だと考えられています。
30代のポートフォリオの例を紹介します。

国内債券 外国債券 国内株式 外国株式
15% 15% 35% 35%

(「株式の割合を100マイナス実年齢にする」という考え方から算出した30代の株式の割合である70%(100マイナス30)をGPIFが採用している配分に当てはめたもの)

子どもがいる場合や、リスクを避けて安全に資産運用をしたい場合は、株式の割合を下げて、ローリスク・ローリターンの債権の割合を増やしてもよいでしょう。
30代は結婚、出産、マイホーム購入などのライフイベントが発生する可能性が高い年代なので、十分な現金や預貯金を確保した上で、余剰資金で投資を行うようにしましょう。

40代

40代は、そろそろ老後資金の確保を現実的に考え始めるべき年代です。また、65歳を定年と仮定した場合、40代後半に差しかかると残りの運用期間は20年を下回ります。そのため徐々に安定した運用成果が期待できるポートフォリオに転換していくことが求められます。
40代のポートフォリオの例を紹介します。

国内債券 外国債券 国内株式 外国株式
20% 20% 30% 30%

(「株式の割合を100マイナス実年齢にする」という考え方から算出した40代の株式の割合である60%(100マイナス40)をGPIFが採用している配分に当てはめたもの)

40代になると子どもの教育費がかかる場合もあるので、子どもの教育費なども考慮して現金や預貯金をしっかり確保しておくことも大切です。

50代

50代は、今まで貯めてきた資金をなるべく減らさない運用が求められます。
50代のポートフォリオの例を紹介します。

国内債券 外国債券 国内株式 外国株式
25% 25% 25% 25%

「株式の割合を100マイナス実年齢にする」という考え方から算出した50代の株式の割合である50%(100マイナス50)をGPIFが採用している配分に当てはめると、GPIFが現在採用しているポートフォリオと同じ配分になりました。

50代になると子どもが大学に進学して教育費が膨らむ場合もあるので、子どもの教育費も考慮して現金や預貯金をしっかり確保し、余剰資金で投資を行いましょう。

60代

60代の資産運用は、定年退職後の年金生活に向けて徐々に「資産を減らさない」ことが重要なポイントとなります。
60代のポートフォリオの例を紹介します。

国内債券 外国債券 国内株式 外国株式
30% 30% 20% 20%

(「株式の割合を100マイナス実年齢にする」という考え方から算出した60代の株式の割合である40%(100マイナス60)をGPIFが採用している配分に当てはめたもの)

個人差はありますが、60代は資産の取り崩しが始まる可能性が高い年代となるため、債券のクーポンから定期的に収益を得ながら安定した生活ができる体制を整えるとよいでしょう。

ポートフォリオを見直すときの観点

ポートフォリオは、一度組んだら終わりではありません。必要に応じて投資商品のバランスを見直す必要があります(リバランス)。ポートフォリオを見直すときに意識したいのは、次の3つの観点です。

計画した目標から乖離はないか

ポートフォリオのチェックでは、まず「当初計画していた運用利回りを得られているか」を見ていく必要があります。このポートフォリオの分析は、定期的に行うのが基本です。「これくらいのスパンでチェックすればよい」という決まりはありません。しかし少なくとも年1回程度は見直したいものです。余力があれば半期(6ヵ月)、または四半期(3ヵ月)ごとにポートフォリオの見直しをしましょう。

その結果、目標の運用利回りを大きく割り込んでいる場合は資産の配分を換えたり投資商品を入れ替えたりする必要があります。例えばローリスク・ローリターンの割合を減らし、ミドルリスク・ミドルリターンの比率を高めるといった具合です。なおポートフォリオ全体の利回りや資産ごとの利回りを確認する方法では、ネット上で提供されているポートフォリオ関連ツールの活用があります。

計画したバランスから離れていないか

いくつかの種類の資産を組み合わせてポートフォリオを作成すると、必ず資産配分のバランス変化が起きます。なぜなら、それぞれの資産の値上がり幅(または値下がり幅)が異なるからです。ポートフォリオの見直しのタイミングで、この資産配分のバランス調整が重要となります。例えば「株式50%:債券50%」の比率でポートフォリオ作成したとしましょう。

1年間を通して見て株式市場が好調、債券市場が低調だった場合、「株式60%:債券40%」といった具合に株式の比率が高まります。このバランスを当初の比率「株式50%:債券50%」に戻すのが資産配分のバランス調整です。具体的には「株式を売却し債券を購入する」といった行動によって調整していきます。

ライフスタイルの変化に応じて見直す

ポートフォリオは、一度決めたからといってその内容にこだわる必要はありません。市場環境やライフスタイルの変化に応じて以下の内容を変えていきましょう。

・資産運用に回す総額
・資産配分のバランス
・構成する投資商品

例えば独身だった人が結婚し、子どもが生まれると資産運用に回せるお金や許容できるリスクが変わり、保守的な考え方になるのが一般的です。その場合、資産運用に回す総額を減らし、さらにローリスク・ローリターンの投資商品の比率を高めるなどポートフォリオの見直しが求められます。

逆に子どもが生まれたことで将来の教育費を意識し、「より多くのリターンを追求したい」という考え方に変わるケースもあるかもしれません。その場合は、ハイリスク・ハイリターンの投資商品の比率を高めるといった見直しが必要になります。

まとめ

投資の成果は、ポートフォリオの組み方で大きく変わっていきます。ポートフォリオの組み方は、年代によっても変わってくるため、自分の年代を考慮してポートフォリオを組みましょう。

今回は、GPIFが採用しているポートフォリオをもとに年代別のポートフォリオの例を紹介しましたが、ミドルリスク・ミドルリターンといわれる不動産をポートフォリオに含めてもよいでしょう。

世の中には、投資に関する情報があふれていますが、投資におけるポートフォリオは個人の考え方や家計状況などによっても大きく変わってきます。世の中の情報を鵜吞みにせず、自分自身のライフスタイルや今後の目標に応じたポートフォリオを組むことが大切です。

ベルテックスでは不動産にまつわる資産形成セミナーを開催しています。ぜひお問い合わせください。

この記事を書いた人

ベルテックスコラム事務局

不動産コンサルタント・税理士

不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。