2023.10.11

不動産投資のコツ

ベルテックスコラム事務局

サブリース契約は危険?仕組みとデメリットから見る注意点を解説

  • 空室対策

物件を購入し不動産投資を開始すると、入居者へよりよい住み心地の提供や安定した収益を確保するための物件管理が非常に重要となります。

今回は管理形態の1つである「サブリース契約」にフォーカスをあて、メリット・デメリットや契約を検討する際の確認ポイントを解説するので、是非参考にして下さい。

不動産投資のサブリース契約とは?

不動産投資を行う上での主な管理形態は、自分自身で管理の全てを担う「自主管理」、管理会社へ管理委託料を支払って業務依頼する「管理委託」、サブリース会社が一括で借り上げて管理まで行う「サブリース契約」の3種類があります。
「サブリース契約」を簡潔に説明すると、サブリース会社が第三者に物件を「又貸し」することです。

サブリース契約の仕組み

オーナーが所有する賃貸物件をサブリース会社が一括で借り上げ、物件にまつわる管理・運営まで全てサブリース会社が一任します。入退去に関する手続き、毎月の家賃収納、苦情処理、設備の点検や交換、共用部の清掃などの業務全てを代行してくれるため、オーナーにとっては日々の手間はほとんどかかりません。

また、サブリース契約はサブリース会社が物件を一括で借り上げオーナーへ契約期間、空室や家賃滞納があったとしても家賃保証を行うことが特徴です。実際に入居者から徴収した家賃から、定率をサブリース会社が利益として差し引いた分が、オーナーへ送金されます。一般的には家賃の80~90%程度の保証賃料が支払われることが多いです。

サブリースは危ないと言われる理由

管理や運営業務を代行してもらえる上に家賃保証までされると聞くと、とても理想的な管理形態に思えるでしょう。
しかし、サブリース契約では過去にニュースで大々的に報じられるトラブルも発生しており、契約を進める際には慎重に見極めなくてはいけません。

基本的にサブリースでトラブルとなるポイントは下記の2つです。

  • 家賃の減額に関するトラブル
  • 契約打ち切りに関するトラブル

サブリース契約では、突然サブリース会社から保証する家賃の減額を求められたり、契約期間中の打ち切りを言い渡されることが少なくないようです。
メディアでも取り上げられ、記憶に新しい「かぼちゃの馬車問題」「レオパレス21問題」はこれらが原因となっています。
サブリース会社が想定していた通りに入居者を募ることができず、オーナーへ家賃を減額請求し、それでもなお保証した家賃の支払いが滞り、サブリース会社は破産したのです。
「頭金なしでローンを組むことができる」と言葉巧みに釣られ、貯蓄など返済のあてがない状態で契約してしまったサラリーマンオーナーなどは、ローン返済不能となり世間に大きなショックを与えました。

一般的な観点からすると、契約締結をしているのだから「家賃賃料の減額」や「契約打ち切り」はおかしい、と感じられるかもしれません。
しかし、サブリースは「転貸借」という契約形態になっているためサブリース会社は「入居者」の立ち位置になります。そのため、入居者として借地借家法や消費者保護法に基づいて保護されるので、オーナーは「家賃の減額※1」や「契約打ち切り※2」を拒否する場合は一定の要件を満たす必要があります。

※1民法では、「賃貸物件が賃借人の責めに帰することができない事由により使用及び収益できなくなった場合」が、借地借家法では「経済事情等の変動により賃料が不相当になった場合」が、減額請求の要件となっています。その為、要件を満たした場合に適用されます。
※2借家契約の場合は,賃貸人からの解約申入れには正当の事由がなければならず、しかも、正当の事由があるときでも、解約申入れから6か月を経過しなければ賃貸借契約は終了しないとされています 。

これらの理由が、サブリース契約は危ないと言われる理由です。

不動産投資のサブリース契約のメリット

サブリース契約が危ないと言われる理由についてお伝えしましたが、もちろんメリットもあります。
主なメリットを下記に4点挙げてみました。

賃貸管理業務をすべて任せられる

1つ目は、賃貸管理業務を一任できることです。
先述の通り、賃貸管理業務の内容は多岐に渡るため、自主管理を行うのは非常に手間と時間がかかります。
そのため、普段は会社勤めをしているサラリーマンオーナーは、管理委託をしているケースがほとんどです。

  • 入居の申込み報告、家賃や入初期費用交渉
  • 入居審査の進捗報告
  • 審査の最終確認
  • 空室に関する仲介業者からの問い合わせ・内見報告
  • 退去の報告
  • 原状回復の確認
  • 次回入居日の調整
  • クレーム報告
  • 設備の故障・交換・費用の報告
  • 法定点検に関する報告

電話やメール、ネット上でなされる管理会社から頻繁にくる報告や連絡に対応する必要がありますが、サブリース契約ではこれらの対応が短縮されます。

空室や家賃滞納があっても一定の収入を得られる

2つ目のメリットは、懸念されるリスク要因である空室や家賃滞納に対する保証があることです。
こちらはサブリース契約を行う上で、最大のメリットと言えるでしょう。
空室や家賃滞納が発生すると、通常家賃収入でまかなうローン返済を給与や貯蓄からの手出しが必要ですが、保証制度があれば心理的不安が払拭され、資金計画も立てやすくなります。
事前に一定の収入が確保されることが分かっているので、安定性を求めるオーナーとしては精神的にも楽になるでしょう。

広告料や原状回復費の負担を抑えられる

3つ目は、仲介会社へ支払う広告料や退去時の原状回復費を抑えられることです。
通常、空室の部屋に入居付けをしてくれた仲介会社へ広告料と言われる報酬を支払います。広告料は「家賃1ヵ月分」「家賃2ヵ月分」が一般的な金額ですが、収益性を重視する投資物件において大きな負担となる経費です。
また、入居者が退去する際に発生する原状回復費についても同様にオーナーの負担は少なくありません。サブリース契約ではこれらの一部をサブリース会社が負担してくれるケースもあり、経費負担を抑えることが期待できます。

相続税対策になる

4つ目は、物件を満室にすることで相続税対策となることです。
賃貸物件の相続税は「貸家の評価額」に準じて、税金が課されます。
貸家の評価額の計算式では、空室率が低いほど貸家の評価額も低くなるため、一括借り上げで満室状態が作られるサブリース方式は相続税の節税対策に大変有効です(2023年4月10日時点)。
ただし、投資期間中に税制が改正されることもあるので、動向のチェックは必須になります。

不動産投資のサブリース契約のデメリット

様々なメリットがあるサブリース契約ですが、デメリットの内容については、不動産投資を行う上で特に熟知しておく必要があります。不動産経営を失敗しないために、サブリース契約でリスクとなるデメリットをいくつかあげてみましょう。

入居者が支払う家賃の全額を受け取れない

サブリース契約では、オーナーは入居者から徴収する家賃全額を受け取ることができません。
サブリース会社の取り分相場は10~20%となり、オーナーの手元に入るのは家賃収入の80~90%程度です。
一括で借りてもらえる利点はあるものの、管理委託の手数料と比べると、サブリースの手数料は高いため、賃貸需要の高い物件では逆に損をしてしまうことがあります。

家賃保証がずっと続くわけではない

サブリース契約の家賃保証制度について触れてきましたが、実は家賃保証は永続的ではありません。
サブリース契約では、会社ごとに契約期間が10年や20年、30年などと設定されていますが、あくまで「契約期間」であり「家賃保証期間」とは相違しています。

20年や30年と長期契約の場合、多くは10年を経過するまでが家賃保証の対象期間です。
さらに注意すべき点は、契約締結日から10年以下の場合でも、サブリース会社からの家賃減額交渉が入る可能性があります。10年間ずっと決められた家賃が保証されるわけではないことを覚えておきましょう。

礼金や更新料は受け取ることができない

サブリース契約では、入居者から支払われる礼金や更新料をオーナーが受け取ることができません。
オーナーとして礼金や更新料はキャッシュフローの中で重要な収益の一部ですが、残念ながらサブリース会社の取り分として持っていかれてしまいます。
ほとんどのサブリース会社がこの方式を採用しているため、サブリース契約をするのであれば礼金や更新料の収益は見込めないものと考えられます。

設備更新やリフォームにかかる費用はオーナー負担

他の管理形態とも同様なケースが多いですが、設備更新やリフォームなどにかかる費用はオーナー負担となります。
オーナーとしては「毎月安くない手数料を払っているのに」と言いたいところですが、こちらは全てオーナーの負担です。
サブリース会社に管理業務を一任するがゆえに退去の都度、室内の確認を行うことはありませんが、老朽化による故障や交換、リフォームなど急な出費が発生する可能性があります。

免責期間が設定されている場合がある

「免責期間」には、いざ契約を進める際に驚くことがあるかもしれません。
サブリース会社としても、契約締結をしてから転貸する入居者を募るため、入居申込が一定期間得られないままオーナーに家賃保証する負担を避けたいのです。
そのため、サブリース会社が家賃保証しなくてもよい期間を設定されていることがあります。免責期間は契約日から1か月~3ヵ月程度で設定されていることが多いようです。

入居者を自由に選ぶことができない

自主管理や管理委託と違い、オーナーが入居者を選定することができません。
どのような入居者でも、生活時間帯などによるトラブルの発生、属性のよくない方が入居することも少なからず懸念されます。

将来売却する際、資産価値が下がっている可能性がある

これまでに述べてきたサブリースの特性により、将来物件を売却する際に予想以上に低価格になってしまうリスクもあります。
建物はメンテナンスに手をかけることよって長持ちするので、劣悪・低質な管理をするサブリース会社と契約を締結してしまうと、急激な資産価値の低下が免れません。

サブリース会社が倒産してしまうケースもある

物件の管理を外部委託する上で避けられないのが、会社が倒産するリスクです。
サブリース会社の倒産後は入居者とオーナーで直接契約を結ぶことが可能ですが、倒産するまでに入居者が支払った家賃や敷金を回収することはできません。
中には、入居者の家賃や敷金を回収したタイミングで倒産するケースもありますので、管理の外部委託を検討する時は、倒産リスクを念頭に置いておきましょう。

簡単に中途解約することができない

一度サブリース契約をすると、契約期間中の解約はハードルが高いのが現状です。
先述の通り、サブリース会社は消費者として保護されているため、思ったような収益が得られないなどオーナー側の都合による解約ができません。
万が一、サブリース会社に解約が受理されたとしても、契約途中で解約をする場合には解約金が発生します。違約金の相場は家賃の6ヵ月分程度であり、会社によってはそれ以上の高額に設定されている場合もあります。
サブリース契約はあらかじめ「解約が出来にくい契約」という概念で契約を締結しましょう。

不動産投資でサブリース契約を検討する時に確認すべきポイント

サブリース契約をして不動産投資を行うには、会社選びが重要になってきます。いかに収益を残せるか各社の契約内容を吟味しましょう。
サブリース契約を行う上で、確認すべきポイントは下記の通りです。

保証される賃料

まず、保証される賃料についてです。
具体的にはオーナー側に支払われる家賃保証の割合と、家賃保証の期間を確認しましょう。
長期に渡りローン返済する上で、毎月の家賃はオーナーにとって運営状況を左右する柱です。入居者保護の観点からも一度決めた賃料は、増減することは不可能に近いでしょう。

入居者から徴収した金額の80~90%が相場であることをお伝えしましたが、この10%の差額で不動産投資が失敗に陥ってしまう可能性もあります。同様に家賃保証の期間についても把握して、シミュレーションしておくことが必要です。
また、周辺物件よりも極端に高い家賃設定をしていると、賃貸需要がなく家賃減額にも繋がります。サブリース会社に家賃減額を請求させないために、周辺の物件相場も確認しておくことがポイントです。

各種費用がどちらの負担になるか

次は、物件運営で発生する必要経費がオーナー側かサブリース会社のどちらが負担するかも確認しておきましょう。
礼金と更新料はサブリース会社の利益ですが、会社によっては敷金まで利益として取られることがあります。そのほかにも、敷金は送金されても広告料は徴収されてしまう契約など、会社ごとの費用負担に関する内容について比較をすることが大切です。
費用負担が割合で決められている場合は、按分割合の妥当性について調査しましょう。

賃料見直しの周期

見落としがちなのが、賃料見直しの周期です。
サブリースの契約事項には、多くの会社で賃料の見直し周期に関する事項も含まれています。通常、多くの賃貸物件では経年劣化による賃料下落が発生しますので、サブリース契約でも同じように賃料の見直しがあるのです。
賃料見直しのタイミングが訪れた際、急な収入減にも対応できるようにしておきましょう。

中途解約ができる条件

サブリース契約では、契約中にオーナー側から途中解約を申し出ると、多額な違約金が設定されていることが少なくありません。オーナーに不利な内容がとても多く盛り込まれていることが、トラブルが続出する原因となっています。
収益性を保てず途中解約をしたいと思っても、高額な違約金まで徴収されてしまいます。
契約満了時、契約更新を行わない意思表示をしない限り、自動で契約更新される内容が記載されています。契約書に記載されている内容について、しっかり確認が必要です。
中途解約の条件については、確認ポイントの中でも最も重要といえるでしょう。

まとめ

本記事では、サブリース契約に関するメリット・デメリットや確認するポイントについて解説しました。
これからサブリース契約を検討する方は、トラブルが発生した際「サブリース会社は入居者であり、保護される立場である。」ことを常に念頭に置いておきましょう。
サブリース契約をすることが悪いわけではありませんが、オーナー側が不利益を被る条件が多いケースもあるので、契約内容を十分に確認してサブリース会社を慎重に決めることが大切です。

ベルテックスでは、不動産投資の専門家による無料オンラインセミナーを開催しています。ご自宅からオンラインでご参加いただけますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

この記事を書いた人

ベルテックスコラム事務局

不動産コンサルタント・税理士

不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。

2023.10.11

不動産投資のコツ

ベルテックスコラム事務局

サブリース契約は危険?仕組みとデメリットから見る注意点を解説

  • 空室対策

物件を購入し不動産投資を開始すると、入居者へよりよい住み心地の提供や安定した収益を確保するための物件管理が非常に重要となります。

今回は管理形態の1つである「サブリース契約」にフォーカスをあて、メリット・デメリットや契約を検討する際の確認ポイントを解説するので、是非参考にして下さい。

不動産投資のサブリース契約とは?

不動産投資を行う上での主な管理形態は、自分自身で管理の全てを担う「自主管理」、管理会社へ管理委託料を支払って業務依頼する「管理委託」、サブリース会社が一括で借り上げて管理まで行う「サブリース契約」の3種類があります。
「サブリース契約」を簡潔に説明すると、サブリース会社が第三者に物件を「又貸し」することです。

サブリース契約の仕組み

オーナーが所有する賃貸物件をサブリース会社が一括で借り上げ、物件にまつわる管理・運営まで全てサブリース会社が一任します。入退去に関する手続き、毎月の家賃収納、苦情処理、設備の点検や交換、共用部の清掃などの業務全てを代行してくれるため、オーナーにとっては日々の手間はほとんどかかりません。

また、サブリース契約はサブリース会社が物件を一括で借り上げオーナーへ契約期間、空室や家賃滞納があったとしても家賃保証を行うことが特徴です。実際に入居者から徴収した家賃から、定率をサブリース会社が利益として差し引いた分が、オーナーへ送金されます。一般的には家賃の80~90%程度の保証賃料が支払われることが多いです。

サブリースは危ないと言われる理由

管理や運営業務を代行してもらえる上に家賃保証までされると聞くと、とても理想的な管理形態に思えるでしょう。
しかし、サブリース契約では過去にニュースで大々的に報じられるトラブルも発生しており、契約を進める際には慎重に見極めなくてはいけません。

基本的にサブリースでトラブルとなるポイントは下記の2つです。

  • 家賃の減額に関するトラブル
  • 契約打ち切りに関するトラブル

サブリース契約では、突然サブリース会社から保証する家賃の減額を求められたり、契約期間中の打ち切りを言い渡されることが少なくないようです。
メディアでも取り上げられ、記憶に新しい「かぼちゃの馬車問題」「レオパレス21問題」はこれらが原因となっています。
サブリース会社が想定していた通りに入居者を募ることができず、オーナーへ家賃を減額請求し、それでもなお保証した家賃の支払いが滞り、サブリース会社は破産したのです。
「頭金なしでローンを組むことができる」と言葉巧みに釣られ、貯蓄など返済のあてがない状態で契約してしまったサラリーマンオーナーなどは、ローン返済不能となり世間に大きなショックを与えました。

一般的な観点からすると、契約締結をしているのだから「家賃賃料の減額」や「契約打ち切り」はおかしい、と感じられるかもしれません。
しかし、サブリースは「転貸借」という契約形態になっているためサブリース会社は「入居者」の立ち位置になります。そのため、入居者として借地借家法や消費者保護法に基づいて保護されるので、オーナーは「家賃の減額※1」や「契約打ち切り※2」を拒否する場合は一定の要件を満たす必要があります。

※1民法では、「賃貸物件が賃借人の責めに帰することができない事由により使用及び収益できなくなった場合」が、借地借家法では「経済事情等の変動により賃料が不相当になった場合」が、減額請求の要件となっています。その為、要件を満たした場合に適用されます。
※2借家契約の場合は,賃貸人からの解約申入れには正当の事由がなければならず、しかも、正当の事由があるときでも、解約申入れから6か月を経過しなければ賃貸借契約は終了しないとされています 。

これらの理由が、サブリース契約は危ないと言われる理由です。

不動産投資のサブリース契約のメリット

サブリース契約が危ないと言われる理由についてお伝えしましたが、もちろんメリットもあります。
主なメリットを下記に4点挙げてみました。

賃貸管理業務をすべて任せられる

1つ目は、賃貸管理業務を一任できることです。
先述の通り、賃貸管理業務の内容は多岐に渡るため、自主管理を行うのは非常に手間と時間がかかります。
そのため、普段は会社勤めをしているサラリーマンオーナーは、管理委託をしているケースがほとんどです。

  • 入居の申込み報告、家賃や入初期費用交渉
  • 入居審査の進捗報告
  • 審査の最終確認
  • 空室に関する仲介業者からの問い合わせ・内見報告
  • 退去の報告
  • 原状回復の確認
  • 次回入居日の調整
  • クレーム報告
  • 設備の故障・交換・費用の報告
  • 法定点検に関する報告

電話やメール、ネット上でなされる管理会社から頻繁にくる報告や連絡に対応する必要がありますが、サブリース契約ではこれらの対応が短縮されます。

空室や家賃滞納があっても一定の収入を得られる

2つ目のメリットは、懸念されるリスク要因である空室や家賃滞納に対する保証があることです。
こちらはサブリース契約を行う上で、最大のメリットと言えるでしょう。
空室や家賃滞納が発生すると、通常家賃収入でまかなうローン返済を給与や貯蓄からの手出しが必要ですが、保証制度があれば心理的不安が払拭され、資金計画も立てやすくなります。
事前に一定の収入が確保されることが分かっているので、安定性を求めるオーナーとしては精神的にも楽になるでしょう。

広告料や原状回復費の負担を抑えられる

3つ目は、仲介会社へ支払う広告料や退去時の原状回復費を抑えられることです。
通常、空室の部屋に入居付けをしてくれた仲介会社へ広告料と言われる報酬を支払います。広告料は「家賃1ヵ月分」「家賃2ヵ月分」が一般的な金額ですが、収益性を重視する投資物件において大きな負担となる経費です。
また、入居者が退去する際に発生する原状回復費についても同様にオーナーの負担は少なくありません。サブリース契約ではこれらの一部をサブリース会社が負担してくれるケースもあり、経費負担を抑えることが期待できます。

相続税対策になる

4つ目は、物件を満室にすることで相続税対策となることです。
賃貸物件の相続税は「貸家の評価額」に準じて、税金が課されます。
貸家の評価額の計算式では、空室率が低いほど貸家の評価額も低くなるため、一括借り上げで満室状態が作られるサブリース方式は相続税の節税対策に大変有効です(2023年4月10日時点)。
ただし、投資期間中に税制が改正されることもあるので、動向のチェックは必須になります。

不動産投資のサブリース契約のデメリット

様々なメリットがあるサブリース契約ですが、デメリットの内容については、不動産投資を行う上で特に熟知しておく必要があります。不動産経営を失敗しないために、サブリース契約でリスクとなるデメリットをいくつかあげてみましょう。

入居者が支払う家賃の全額を受け取れない

サブリース契約では、オーナーは入居者から徴収する家賃全額を受け取ることができません。
サブリース会社の取り分相場は10~20%となり、オーナーの手元に入るのは家賃収入の80~90%程度です。
一括で借りてもらえる利点はあるものの、管理委託の手数料と比べると、サブリースの手数料は高いため、賃貸需要の高い物件では逆に損をしてしまうことがあります。

家賃保証がずっと続くわけではない

サブリース契約の家賃保証制度について触れてきましたが、実は家賃保証は永続的ではありません。
サブリース契約では、会社ごとに契約期間が10年や20年、30年などと設定されていますが、あくまで「契約期間」であり「家賃保証期間」とは相違しています。

20年や30年と長期契約の場合、多くは10年を経過するまでが家賃保証の対象期間です。
さらに注意すべき点は、契約締結日から10年以下の場合でも、サブリース会社からの家賃減額交渉が入る可能性があります。10年間ずっと決められた家賃が保証されるわけではないことを覚えておきましょう。

礼金や更新料は受け取ることができない

サブリース契約では、入居者から支払われる礼金や更新料をオーナーが受け取ることができません。
オーナーとして礼金や更新料はキャッシュフローの中で重要な収益の一部ですが、残念ながらサブリース会社の取り分として持っていかれてしまいます。
ほとんどのサブリース会社がこの方式を採用しているため、サブリース契約をするのであれば礼金や更新料の収益は見込めないものと考えられます。

設備更新やリフォームにかかる費用はオーナー負担

他の管理形態とも同様なケースが多いですが、設備更新やリフォームなどにかかる費用はオーナー負担となります。
オーナーとしては「毎月安くない手数料を払っているのに」と言いたいところですが、こちらは全てオーナーの負担です。
サブリース会社に管理業務を一任するがゆえに退去の都度、室内の確認を行うことはありませんが、老朽化による故障や交換、リフォームなど急な出費が発生する可能性があります。

免責期間が設定されている場合がある

「免責期間」には、いざ契約を進める際に驚くことがあるかもしれません。
サブリース会社としても、契約締結をしてから転貸する入居者を募るため、入居申込が一定期間得られないままオーナーに家賃保証する負担を避けたいのです。
そのため、サブリース会社が家賃保証しなくてもよい期間を設定されていることがあります。免責期間は契約日から1か月~3ヵ月程度で設定されていることが多いようです。

入居者を自由に選ぶことができない

自主管理や管理委託と違い、オーナーが入居者を選定することができません。
どのような入居者でも、生活時間帯などによるトラブルの発生、属性のよくない方が入居することも少なからず懸念されます。

将来売却する際、資産価値が下がっている可能性がある

これまでに述べてきたサブリースの特性により、将来物件を売却する際に予想以上に低価格になってしまうリスクもあります。
建物はメンテナンスに手をかけることよって長持ちするので、劣悪・低質な管理をするサブリース会社と契約を締結してしまうと、急激な資産価値の低下が免れません。

サブリース会社が倒産してしまうケースもある

物件の管理を外部委託する上で避けられないのが、会社が倒産するリスクです。
サブリース会社の倒産後は入居者とオーナーで直接契約を結ぶことが可能ですが、倒産するまでに入居者が支払った家賃や敷金を回収することはできません。
中には、入居者の家賃や敷金を回収したタイミングで倒産するケースもありますので、管理の外部委託を検討する時は、倒産リスクを念頭に置いておきましょう。

簡単に中途解約することができない

一度サブリース契約をすると、契約期間中の解約はハードルが高いのが現状です。
先述の通り、サブリース会社は消費者として保護されているため、思ったような収益が得られないなどオーナー側の都合による解約ができません。
万が一、サブリース会社に解約が受理されたとしても、契約途中で解約をする場合には解約金が発生します。違約金の相場は家賃の6ヵ月分程度であり、会社によってはそれ以上の高額に設定されている場合もあります。
サブリース契約はあらかじめ「解約が出来にくい契約」という概念で契約を締結しましょう。

不動産投資でサブリース契約を検討する時に確認すべきポイント

サブリース契約をして不動産投資を行うには、会社選びが重要になってきます。いかに収益を残せるか各社の契約内容を吟味しましょう。
サブリース契約を行う上で、確認すべきポイントは下記の通りです。

保証される賃料

まず、保証される賃料についてです。
具体的にはオーナー側に支払われる家賃保証の割合と、家賃保証の期間を確認しましょう。
長期に渡りローン返済する上で、毎月の家賃はオーナーにとって運営状況を左右する柱です。入居者保護の観点からも一度決めた賃料は、増減することは不可能に近いでしょう。

入居者から徴収した金額の80~90%が相場であることをお伝えしましたが、この10%の差額で不動産投資が失敗に陥ってしまう可能性もあります。同様に家賃保証の期間についても把握して、シミュレーションしておくことが必要です。
また、周辺物件よりも極端に高い家賃設定をしていると、賃貸需要がなく家賃減額にも繋がります。サブリース会社に家賃減額を請求させないために、周辺の物件相場も確認しておくことがポイントです。

各種費用がどちらの負担になるか

次は、物件運営で発生する必要経費がオーナー側かサブリース会社のどちらが負担するかも確認しておきましょう。
礼金と更新料はサブリース会社の利益ですが、会社によっては敷金まで利益として取られることがあります。そのほかにも、敷金は送金されても広告料は徴収されてしまう契約など、会社ごとの費用負担に関する内容について比較をすることが大切です。
費用負担が割合で決められている場合は、按分割合の妥当性について調査しましょう。

賃料見直しの周期

見落としがちなのが、賃料見直しの周期です。
サブリースの契約事項には、多くの会社で賃料の見直し周期に関する事項も含まれています。通常、多くの賃貸物件では経年劣化による賃料下落が発生しますので、サブリース契約でも同じように賃料の見直しがあるのです。
賃料見直しのタイミングが訪れた際、急な収入減にも対応できるようにしておきましょう。

中途解約ができる条件

サブリース契約では、契約中にオーナー側から途中解約を申し出ると、多額な違約金が設定されていることが少なくありません。オーナーに不利な内容がとても多く盛り込まれていることが、トラブルが続出する原因となっています。
収益性を保てず途中解約をしたいと思っても、高額な違約金まで徴収されてしまいます。
契約満了時、契約更新を行わない意思表示をしない限り、自動で契約更新される内容が記載されています。契約書に記載されている内容について、しっかり確認が必要です。
中途解約の条件については、確認ポイントの中でも最も重要といえるでしょう。

まとめ

本記事では、サブリース契約に関するメリット・デメリットや確認するポイントについて解説しました。
これからサブリース契約を検討する方は、トラブルが発生した際「サブリース会社は入居者であり、保護される立場である。」ことを常に念頭に置いておきましょう。
サブリース契約をすることが悪いわけではありませんが、オーナー側が不利益を被る条件が多いケースもあるので、契約内容を十分に確認してサブリース会社を慎重に決めることが大切です。

ベルテックスでは、不動産投資の専門家による無料オンラインセミナーを開催しています。ご自宅からオンラインでご参加いただけますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

この記事を書いた人

ベルテックスコラム事務局

不動産コンサルタント・税理士

不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。