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2025.03.07
ベルテックスコラム事務局
不動産投資で2棟目を購入したい!必要な条件とベストなタイミングとは?
- メリット
- リスク
- 融資・ローン
- 購入
アパート経営が軌道に乗ると、家賃収入が毎月安定的に入ってくるようになります。さらに資産を拡大するには、2棟目・3棟目と新たな物件の運営を始める必要があります。追加で物件を購入するとなると、新たな費用やローン返済が発生するため、どのタイミングで着手するか悩ましいかもしれません。
この記事では、アパートオーナーへ向けて、2棟目を購入するのに必要な条件とベストなタイミングを解説します。物件や管理会社の選び方も紹介するので、次なる投資の参考にしてください。
不動産投資の2棟目購入に必要な4つの条件
不動産投資において2棟目を購入する場合、1棟目の賃貸経営において、次の4つの条件を満たしている必要があります。
(1)1棟目のキャッシュフローが安定的に黒字であること
(2)1棟目のローン返済割合のバランスが取れていること
(3)自己資金に一定の余裕があること
(4)1棟目の資産価値を維持できていること
以下では、各項目の詳細を解説します。
(1)1棟目のキャッシュフローが安定的に黒字であること
2棟目を購入するには、新たな不動産投資ローンを組む必要があります。金融機関から融資を受けるには、1棟目が安定的に黒字経営を達成していることが最低条件です。
1棟目の経営がうまくいかず、赤字をカバーするために2棟目を購入するというのは、キャッシュフローのさらなる悪化を招く恐れがあり危険です。既存物件の経営の調子が振るわない場合、まずはしっかりと対処して経営を安定化することを最優先にしましょう。
なお、1棟目の経営不調の原因が管理運営面にあるなら、委託する管理会社を切り替えるのも有効です。管理委託料を抑えて手取りを確保しつつ、安心して任せられる管理会社をお探しなら、ぜひ一度ベルテックスへご相談ください。
(2)1棟目のローン返済割合のバランスが取れていること
1棟目において、家賃収入に対するローン返済割合のバランスが取れていることも、2棟目購入を判断するにあたっての大切な条件です。返済割合が適切かどうかを見極めるには、「返済比率」と「DSCR」の2つの指標を用いるのが一般的です。
ローン返済割合のバランスを確認する「返済比率」と「DSCR」
返済比率は、満室時に得られる家賃収入に対するローン返済額の割合を指します。一方のDSCRは「元利金返済カバー率」ともいい、営業純収益(NOI)がローン返済額に対して何倍かを表す数値です。それぞれの計算式は次のとおりです。
・返済比率(%)= ローン返済額 ÷ 満室時収入 × 100
・DSCR(倍)= 営業純収益(NOI)÷ ローン返済額
一般的に「返済比率50%以下」「DSCR1.2〜1.5倍程度」が望ましいとされます。DSCRに関しては高ければ高いほどよいと考えがちですが、高すぎるとレバレッジ効果を生かしきれていない(ローンの効率が悪い)投資ということになるので要注意です。
両数値が、上記の理想的な数値の範囲内に入っているようであれば、2棟目購入によって収益をさらに拡大できる可能性があります。
返済比率とDSCRのシミュレーション
返済比率とDSCRへの理解を深めるため、具体的な数値でシミュレーションしてみます。
上記の条件でシミュレーションすると、必要な数値は次のとおり計算できます。
- 年間家賃収入:8万円×8戸×12ヶ月=768万円
- 年間経費:768万円×15%=約115万円
- 年間ローン返済額:約347万円
- 税引き前収入:768万円−(約115万円+約347万円)=約306万円
以上より、返済割合とDSCRは次のようになります。
- 返済割合:347万円÷768万円×100=45.2%
- DSCR:(768万円−115万円)÷347万円=1.9倍
どちらの数値も理想的な範囲内に収まっており、2棟目購入を検討してもよい経営状況と判断できます。
(3)自己資金に一定の余裕があること
2棟目購入時には、できれば物件価格の10〜20%程度の自己資金を用意しておきたいところです。なぜなら、2棟目購入と前後して1棟目で修繕が必要になったり、2棟目購入時に頭金を求められたりするなど、一定の支出が発生する可能性があるからです。
また、物件購入にあたっては、頭金以外にも諸費用が必要となります。諸費用は原則自己資金で負担するものなので、やはり一定の資金を手元に残しておかなければなりません。
(4)1棟目の資産価値を維持できていること
もう1つ要件として挙げられるのが、1棟目の資産価値を維持できていることです。
2棟目購入のローンを組む際、1棟目を担保にして借り入れるケースが一般的です。そのため、1棟目の資産価値が十分にあるかどうかがポイントになります。1棟目の老朽化が進んでいたり、必要な修繕やリフォームができていなかったりすると、2棟目の融資を受けられるだけの資産価値が見込めないこともあります。
ただし、2棟目が優良物件であり、単体でも融資の価値があると判断されれば、1棟目の価値がたとえ低くてもローンを組める可能性はあるでしょう。
不動産投資の2棟目購入にベストなタイミング3選
続いて、不動産投資において2棟目を購入するのに適しているとされる3つのタイミングを紹介します。
(1)1棟目の減価償却期間が終了するとき
(2)頭金に充当する自己資金が準備できたとき
(3)1棟目を売却したとき
(1)1棟目の減価償却期間が終了するとき
2棟目購入に適しているとされる代表的なタイミングは、1棟目の減価償却期間の終了時です。
1棟目の減価償却期間が終了すると、減価償却費の経費計上ができなくなるため、前年よりも不動産所得が増えます。結果的に、その年に支払う所得税や住民税が増えるので、節税効果が薄くなってしまいます。特に節税目的で不動産投資を行っている場合、このタイミングで新たに物件を購入し、再び減価償却費を経費計上できるようにするのが効果的です。
ちなみに、ローン返済期間中に減価償却期間が終了すると、ローン返済のうち経費計上できない元金返済の増大も相まって、デッドクロスが生じます。デッドクロスとは、元金返済額が減価償却費の金額を上回ることを指します。
デッドクロス状態でキャッシュフローの悪化が見込まれる場合、収益確保のため、2棟目購入を早めに検討するのも有効です。
(2)頭金に充当する自己資金が準備できたとき
1棟目のキャッシュフローが安定的に黒字となっていても、手元の自己資金が不足している状態で2棟目を購入するのはリスクがあります。そのため、1棟目の賃貸経営によってまとまった自己資金が確保できたタイミングで、2棟目購入を検討するのが得策です。
特に、1棟目が大規模修繕を迎えるタイミングで2棟目を購入してしまうと、修繕コストが大きくかかった結果、資金がショートするおそれがあります。大規模修繕が完了し、手元の資金が回復してから2棟目購入を検討したほうがよいでしょう。
(3)1棟目を売却したとき
1棟目の出口戦略に沿って売却するタイミングであれば、売却代金によってまとまった資金が手に入るため、2棟目購入も検討しやすくなります。頭金を多く入れられるうえ、1棟目の安定的な経営実績も考慮してもらえるので、金融機関から大きな融資を受けられる可能性もあります。
大きな金額を借り入れることができれば、1棟目よりも規模の大きな物件に投資でき、さらなる収益拡大を狙えるでしょう。
不動産投資で2棟目を購入するメリット
不動産投資で2棟目を購入すると、次に紹介するメリットが期待できます。
- 空室リスクなどの分散ができる
- 資産や収益を増やせる
- 青色申告により節税効果が高まる
- 1棟目を担保に融資が受けやすくなる
- ローンの借り換えで金利を下げられる可能性がある
空室リスクなどの分散ができる
1棟のみ所有するより複数所有しているほうが分母となる部屋数が増えるため、空室1室あたりのキャッシュフローへの影響を軽減できます。不動産投資のリスクのなかでも、特に発生確率の高い空室リスクを緩和できるのは大きなメリットです。
また、1棟の建物に何かあってももう1棟からの収入を維持できるので、災害リスクや老朽化リスクの分散にもつながり、安定的な賃貸経営が可能になります。
資産や収益を増やせる
当然ながら、運用する物件が増えれば、保有資産やそこから得られる家賃収入も増えます。短期的な収益が増えるのはもちろん、収益のアップが次なる投資への軍資金となるのもポイント。1棟所有のときよりも資金の貯まるスピードが速まり、いっそう効率的に資産を拡大していけます。
副収入や老後資金の確保などを目的にしている場合、2棟目所有による資産拡大スピードのアップは大きなメリットになるでしょう。
青色申告により節税効果が高まる
確定申告において青色申告を実施すると、青色申告特別控除として最大65万円の所得税控除を受けることができます。しかし、不動産所得で青色申告を適用するには、慣例的に「事業的規模」が必要とされています。具体的には「5棟10室」が目安とされるため、小規模なアパート1棟のみの経営では、事業的規模には達しないケースがほとんどです。
2棟目を購入すれば事業的規模に達する可能性があり、青色申告が可能になります。申告手続きが複雑になるという課題はあるものの、最大65万円の控除により、不動産投資の節税効果をさらに高めることができます。
1棟目を担保に融資が受けやすくなる
先述のとおり、2棟目購入のためのローンを組む際は1棟目を担保にすることができるので、1棟目購入時よりも融資を受けやすくなる可能性が高いでしょう。特に、1棟目経営のキャッシュフローが安定していて、資産価値も十分に維持できている場合は、1棟目を超える大きな融資を受けられるかもしれません。
2棟目の経営も安定させられれば、3棟目以降へのさらなる資産拡大の弾みにもなります。
ローンの借り換えで金利を下げられる可能性がある
1棟目の残債が残っている場合、2棟目の購入時に1棟目のローンを借り換えることで、金利を下げられる可能性があります。
金利を低減できれば、毎月の金利支払いが減り、支出を抑えることができます。その結果、毎月のキャッシュフローの黒字額が大きくなり、資産拡大のさらなる効率化を実現できるでしょう。
不動産投資の2棟目購入で注意すべきデメリット
2棟目購入には多くのメリットがある反面、次のようなデメリットがあることにも注意する必要があります。
・ローン返済や毎月のランニングコストが増える
・管理運営にかかる手間が増える
・購入時には一時的にキャッシュフローが悪化する
ローン返済や毎月のランニングコストが増える
2棟目もローンで購入する前提のため、毎月のローン返済や残債額が増える点は注意しましょう。1棟目の残債が残っている場合、返済負担が上乗せされることになります。
また、1棟目の運営と並行して、2棟目の管理運営も行わなければなりません。ローン返済以外のランニングコストも増えるので、純粋に収益が2倍になるわけではないというのも認識しておく必要があります。
とはいえ、家賃収入もその分増えるので通常は問題ありません。しかし、2棟目の経営が不安定だと1棟目で上がった収益を食い潰してしまい、むしろ1棟所有時よりも手取りが減るリスクもあります。
管理運営にかかる手間が増える
2棟目を購入すれば、管理しなければならない物件も増えるので、管理運営にかける手間も増大します。1棟のみであれば自主管理で運営することも可能かもしれませんが、2棟ともなると自分ですべてを管理するのは困難でしょう。
複数所有になったら、すべての物件をまとめて管理会社に委託し、管理運営にかかる手間を最小化する前提で考える必要があります。資金計画に管理委託料を忘れずに盛り込むことも大切です。
購入時には一時的にキャッシュフローが悪化する
これも当然のことですが、2棟目購入時にも、1棟目と同様の仲介手数料や各種税金、ローン関連費用などの諸費用がかかります。諸費用は自己資金で賄うのが基本なので、購入時からしばらくは一時的にキャッシュフローが悪化することも忘れてはいけません。
先ほど紹介したように、1棟目の大規模修繕のタイミングと重なった場合、資金不足に陥る恐れもあります。1棟目で見込まれる費用の金額と時期を事前に確認し、何か不測の事態があっても、資金がショートしないようタイミングを見極めましょう。
2棟目購入物件における4つの選び方
2棟目購入においても、1棟目と変わらず物件選びが投資の成否を大きく左右します。以下に挙げるとおり、2棟目の物件選びで意識したい4つのポイントを紹介します。
(1)賃貸ニーズが見込める物件を選ぶ
(2)1棟目とは違うエリアの物件を選ぶ
(3)1棟目と築年数が被らない物件を選ぶ
(4)ワンルーム投資の物件を選ぶ
(1)賃貸ニーズが見込める物件を選ぶ
2棟目も安定的な賃貸経営ができなければ、資産を拡大する意味がありません。よって、賃貸ニーズを十分に見込める物件を選ぶことが大前提となります。
都心部や大都市中心部へのアクセスが良好な駅近エリア、都心部や郊外の人気エリア、若者やファミリー層を中心に人口増加が続いているエリア、今後再開発事業や新線開業が予定されているエリアなどを選ぶのがおすすめです。
こうしたエリアにある物件は、将来にわたって安定して入居者がつくと想定されるため、長期運用にも適しています。
(2)1棟目とは違うエリアの物件を選ぶ
2棟目は、できるだけ1棟目と異なるエリアの物件を選ぶのがおすすめです。災害の発生やエリアの評判の変化などで、1棟目のあるエリアの賃貸ニーズが落ちたとき、2棟目も同じエリアにあると両方とも打撃を受けてしまいます。
2棟目を選ぶときは、1棟目と近すぎる立地は避け、沿線や自治体が異なるエリアの物件から選定するのが、リスク管理の観点からすると得策です。
(3)1棟目と築年数が被らない物件を選ぶ
エリアだけでなく、築年数も1棟目と被らない物件を選んだほうがリスクを抑えられます。
1棟目と2棟目の築年数が同程度だと、基本的に大規模修繕や設備の修理・入れ替えの時期も同じタイミングで訪れます。大きな支出が2つの物件で被ると、急速にキャッシュフローが悪化することになり、赤字経営のリスクが高まるでしょう。
なお、1棟目の築年数がある程度経過している場合、2棟目を築浅のマンションにするのも有効です。築浅の2棟目は資産価値を高く評価してもらえる可能性があり、今後3棟目の融資を受けるにあたって有利になるかもしれません。
(4)ワンルーム投資の物件を選ぶ
ここまで、2棟目もアパート1棟投資を選択する想定で解説してきましたが、2件目はワンルーム投資にして、分散投資を図るというのもリスク管理の方法として有効です。
区分マンションの1室に投資するワンルーム投資には、初期費用の安さや売却のしやすさなど、1棟投資とは異なるメリットがあります。メリット・デメリットをお互いに補うことができるので、並行して運用するにも適しています。
加えて、1棟目の経営が安定していれば、ワンルーム投資特有の空室リスクをカバーすることが可能です。異なる性質の投資を組み合わせ、トータルでの収益を安定させられるのは大きなメリットと言えるでしょう。
不動産投資の2棟目購入における管理会社の選び方
1棟目を自主管理している場合、2棟目購入にあたって新たに管理会社を選ぶ必要があります。
1棟目で管理会社に委託しているなら、その会社をそのまま利用するのも一つの方法です。しかし、2棟目購入を機に管理会社を選定し直すと、賃貸経営がより安定化するかもしれません。
以下では、2棟目における管理会社の選び方を紹介します。
(1)幅広い物件で実績のある会社を選ぶ
2棟目の物件の選び方で解説したとおり、2棟目はエリアや築年数、投資手法などが1棟目と異なる性質の物件を選ぶのがおすすめです。それだけに、1棟目の特徴を持つ物件に強みのある管理会社だと、2棟目の管理を任せるには不安を覚える可能性があります。
1棟アパートに限らず、マンションやワンルーム投資など、さまざまな種類の投資用物件で管理実績のある会社に任せるのが安心です。
(2)賃貸管理業務をトータルでサポートしてくれる会社を選ぶ
複数物件を所有するとなると、1棟所有の時よりも管理業務のボリュームが大きくなります。委託するとはいえ、日常的な物件のチェックや入居審査の実施など、オーナーの負担も増えるでしょう。
2棟以上管理を委託するときは、入居者募集や日々の賃貸管理はもちろんのこと、問い合わせ体制、サブリース契約など、幅広いメニューでトータルサポートを展開している会社を選ぶことをおすすめします。委託できる業務の選択肢が多ければ、今後さらに所有物件を拡大していくとしても、長く付き合っていけるはずです。
(3)毎月の管理委託料を抑えられる会社を選ぶ
アパート経営のランニングコストにおいて、ローン返済などに次いで大きなウェイトを占めるのが、管理会社へ支払う管理委託料です。金額の設定は管理会社によって異なりますが、安さだけで選ぶと、管理の質が落ちてしまうかもしれません。大切なのは、コストパフォーマンスが高い会社を選ぶことです。
ベルテックスは、集金代行サービスが月々777円からというコストパフォーマンスの高さも魅力です。賃貸管理業務をトータルでサポートしており、実績も豊富なので、大切な物件の管理を安心してお任せいただけます。2棟目購入を検討する際は、運営管理業務もあわせてご相談ください。
まとめ
不動産投資において、2棟目購入は資産拡大のスピードを加速させるのに効果的な手段です。1棟目の経営が安定していて、ローン返済や自己資金に余裕があるなら、2棟目購入を検討してもよいでしょう。
その際も、1棟目と同様に物件選びが成否の鍵を握ります。分散投資によるリスク軽減を狙うなら、2棟目はワンルーム投資に切り替えるのもおすすめです。
ベルテックスは、地道な交渉で取得した都心部の一等地などに、高い賃貸ニーズが見込める優良物件を多数開発しています。
安定した家賃収入を得られる2棟目をお探しの方は、ベルテックスの物件でのワンルーム投資を検討してみてはいかがでしょうか。
個別相談では、今後の投資方針や物件の選び方など、アパートオーナーの方のお悩みにもお答えしています。この機会にぜひご活用ください。
この記事を書いた人
ベルテックスコラム事務局
不動産コンサルタント・税理士
不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。
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ベルテックスコラム事務局
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アパート経営が軌道に乗ると、家賃収入が毎月安定的に入ってくるようになります。さらに資産を拡大するには、2棟目・3棟目と新たな物件の運営を始める必要があります。追加で物件を購入するとなると、新たな費用やローン返済が発生するため、どのタイミングで着手するか悩ましいかもしれません。
この記事では、アパートオーナーへ向けて、2棟目を購入するのに必要な条件とベストなタイミングを解説します。物件や管理会社の選び方も紹介するので、次なる投資の参考にしてください。
不動産投資の2棟目購入に必要な4つの条件
不動産投資において2棟目を購入する場合、1棟目の賃貸経営において、次の4つの条件を満たしている必要があります。
(1)1棟目のキャッシュフローが安定的に黒字であること
(2)1棟目のローン返済割合のバランスが取れていること
(3)自己資金に一定の余裕があること
(4)1棟目の資産価値を維持できていること
以下では、各項目の詳細を解説します。
(1)1棟目のキャッシュフローが安定的に黒字であること
2棟目を購入するには、新たな不動産投資ローンを組む必要があります。金融機関から融資を受けるには、1棟目が安定的に黒字経営を達成していることが最低条件です。
1棟目の経営がうまくいかず、赤字をカバーするために2棟目を購入するというのは、キャッシュフローのさらなる悪化を招く恐れがあり危険です。既存物件の経営の調子が振るわない場合、まずはしっかりと対処して経営を安定化することを最優先にしましょう。
なお、1棟目の経営不調の原因が管理運営面にあるなら、委託する管理会社を切り替えるのも有効です。管理委託料を抑えて手取りを確保しつつ、安心して任せられる管理会社をお探しなら、ぜひ一度ベルテックスへご相談ください。
(2)1棟目のローン返済割合のバランスが取れていること
1棟目において、家賃収入に対するローン返済割合のバランスが取れていることも、2棟目購入を判断するにあたっての大切な条件です。返済割合が適切かどうかを見極めるには、「返済比率」と「DSCR」の2つの指標を用いるのが一般的です。
ローン返済割合のバランスを確認する「返済比率」と「DSCR」
返済比率は、満室時に得られる家賃収入に対するローン返済額の割合を指します。一方のDSCRは「元利金返済カバー率」ともいい、営業純収益(NOI)がローン返済額に対して何倍かを表す数値です。それぞれの計算式は次のとおりです。
・返済比率(%)= ローン返済額 ÷ 満室時収入 × 100
・DSCR(倍)= 営業純収益(NOI)÷ ローン返済額
一般的に「返済比率50%以下」「DSCR1.2〜1.5倍程度」が望ましいとされます。DSCRに関しては高ければ高いほどよいと考えがちですが、高すぎるとレバレッジ効果を生かしきれていない(ローンの効率が悪い)投資ということになるので要注意です。
両数値が、上記の理想的な数値の範囲内に入っているようであれば、2棟目購入によって収益をさらに拡大できる可能性があります。
返済比率とDSCRのシミュレーション
返済比率とDSCRへの理解を深めるため、具体的な数値でシミュレーションしてみます。
上記の条件でシミュレーションすると、必要な数値は次のとおり計算できます。
- 年間家賃収入:8万円×8戸×12ヶ月=768万円
- 年間経費:768万円×15%=約115万円
- 年間ローン返済額:約347万円
- 税引き前収入:768万円−(約115万円+約347万円)=約306万円
以上より、返済割合とDSCRは次のようになります。
- 返済割合:347万円÷768万円×100=45.2%
- DSCR:(768万円−115万円)÷347万円=1.9倍
どちらの数値も理想的な範囲内に収まっており、2棟目購入を検討してもよい経営状況と判断できます。
(3)自己資金に一定の余裕があること
2棟目購入時には、できれば物件価格の10〜20%程度の自己資金を用意しておきたいところです。なぜなら、2棟目購入と前後して1棟目で修繕が必要になったり、2棟目購入時に頭金を求められたりするなど、一定の支出が発生する可能性があるからです。
また、物件購入にあたっては、頭金以外にも諸費用が必要となります。諸費用は原則自己資金で負担するものなので、やはり一定の資金を手元に残しておかなければなりません。
(4)1棟目の資産価値を維持できていること
もう1つ要件として挙げられるのが、1棟目の資産価値を維持できていることです。
2棟目購入のローンを組む際、1棟目を担保にして借り入れるケースが一般的です。そのため、1棟目の資産価値が十分にあるかどうかがポイントになります。1棟目の老朽化が進んでいたり、必要な修繕やリフォームができていなかったりすると、2棟目の融資を受けられるだけの資産価値が見込めないこともあります。
ただし、2棟目が優良物件であり、単体でも融資の価値があると判断されれば、1棟目の価値がたとえ低くてもローンを組める可能性はあるでしょう。
不動産投資の2棟目購入にベストなタイミング3選
続いて、不動産投資において2棟目を購入するのに適しているとされる3つのタイミングを紹介します。
(1)1棟目の減価償却期間が終了するとき
(2)頭金に充当する自己資金が準備できたとき
(3)1棟目を売却したとき
(1)1棟目の減価償却期間が終了するとき
2棟目購入に適しているとされる代表的なタイミングは、1棟目の減価償却期間の終了時です。
1棟目の減価償却期間が終了すると、減価償却費の経費計上ができなくなるため、前年よりも不動産所得が増えます。結果的に、その年に支払う所得税や住民税が増えるので、節税効果が薄くなってしまいます。特に節税目的で不動産投資を行っている場合、このタイミングで新たに物件を購入し、再び減価償却費を経費計上できるようにするのが効果的です。
ちなみに、ローン返済期間中に減価償却期間が終了すると、ローン返済のうち経費計上できない元金返済の増大も相まって、デッドクロスが生じます。デッドクロスとは、元金返済額が減価償却費の金額を上回ることを指します。
デッドクロス状態でキャッシュフローの悪化が見込まれる場合、収益確保のため、2棟目購入を早めに検討するのも有効です。
(2)頭金に充当する自己資金が準備できたとき
1棟目のキャッシュフローが安定的に黒字となっていても、手元の自己資金が不足している状態で2棟目を購入するのはリスクがあります。そのため、1棟目の賃貸経営によってまとまった自己資金が確保できたタイミングで、2棟目購入を検討するのが得策です。
特に、1棟目が大規模修繕を迎えるタイミングで2棟目を購入してしまうと、修繕コストが大きくかかった結果、資金がショートするおそれがあります。大規模修繕が完了し、手元の資金が回復してから2棟目購入を検討したほうがよいでしょう。
(3)1棟目を売却したとき
1棟目の出口戦略に沿って売却するタイミングであれば、売却代金によってまとまった資金が手に入るため、2棟目購入も検討しやすくなります。頭金を多く入れられるうえ、1棟目の安定的な経営実績も考慮してもらえるので、金融機関から大きな融資を受けられる可能性もあります。
大きな金額を借り入れることができれば、1棟目よりも規模の大きな物件に投資でき、さらなる収益拡大を狙えるでしょう。
不動産投資で2棟目を購入するメリット
不動産投資で2棟目を購入すると、次に紹介するメリットが期待できます。
- 空室リスクなどの分散ができる
- 資産や収益を増やせる
- 青色申告により節税効果が高まる
- 1棟目を担保に融資が受けやすくなる
- ローンの借り換えで金利を下げられる可能性がある
空室リスクなどの分散ができる
1棟のみ所有するより複数所有しているほうが分母となる部屋数が増えるため、空室1室あたりのキャッシュフローへの影響を軽減できます。不動産投資のリスクのなかでも、特に発生確率の高い空室リスクを緩和できるのは大きなメリットです。
また、1棟の建物に何かあってももう1棟からの収入を維持できるので、災害リスクや老朽化リスクの分散にもつながり、安定的な賃貸経営が可能になります。
資産や収益を増やせる
当然ながら、運用する物件が増えれば、保有資産やそこから得られる家賃収入も増えます。短期的な収益が増えるのはもちろん、収益のアップが次なる投資への軍資金となるのもポイント。1棟所有のときよりも資金の貯まるスピードが速まり、いっそう効率的に資産を拡大していけます。
副収入や老後資金の確保などを目的にしている場合、2棟目所有による資産拡大スピードのアップは大きなメリットになるでしょう。
青色申告により節税効果が高まる
確定申告において青色申告を実施すると、青色申告特別控除として最大65万円の所得税控除を受けることができます。しかし、不動産所得で青色申告を適用するには、慣例的に「事業的規模」が必要とされています。具体的には「5棟10室」が目安とされるため、小規模なアパート1棟のみの経営では、事業的規模には達しないケースがほとんどです。
2棟目を購入すれば事業的規模に達する可能性があり、青色申告が可能になります。申告手続きが複雑になるという課題はあるものの、最大65万円の控除により、不動産投資の節税効果をさらに高めることができます。
1棟目を担保に融資が受けやすくなる
先述のとおり、2棟目購入のためのローンを組む際は1棟目を担保にすることができるので、1棟目購入時よりも融資を受けやすくなる可能性が高いでしょう。特に、1棟目経営のキャッシュフローが安定していて、資産価値も十分に維持できている場合は、1棟目を超える大きな融資を受けられるかもしれません。
2棟目の経営も安定させられれば、3棟目以降へのさらなる資産拡大の弾みにもなります。
ローンの借り換えで金利を下げられる可能性がある
1棟目の残債が残っている場合、2棟目の購入時に1棟目のローンを借り換えることで、金利を下げられる可能性があります。
金利を低減できれば、毎月の金利支払いが減り、支出を抑えることができます。その結果、毎月のキャッシュフローの黒字額が大きくなり、資産拡大のさらなる効率化を実現できるでしょう。
不動産投資の2棟目購入で注意すべきデメリット
2棟目購入には多くのメリットがある反面、次のようなデメリットがあることにも注意する必要があります。
・ローン返済や毎月のランニングコストが増える
・管理運営にかかる手間が増える
・購入時には一時的にキャッシュフローが悪化する
ローン返済や毎月のランニングコストが増える
2棟目もローンで購入する前提のため、毎月のローン返済や残債額が増える点は注意しましょう。1棟目の残債が残っている場合、返済負担が上乗せされることになります。
また、1棟目の運営と並行して、2棟目の管理運営も行わなければなりません。ローン返済以外のランニングコストも増えるので、純粋に収益が2倍になるわけではないというのも認識しておく必要があります。
とはいえ、家賃収入もその分増えるので通常は問題ありません。しかし、2棟目の経営が不安定だと1棟目で上がった収益を食い潰してしまい、むしろ1棟所有時よりも手取りが減るリスクもあります。
管理運営にかかる手間が増える
2棟目を購入すれば、管理しなければならない物件も増えるので、管理運営にかける手間も増大します。1棟のみであれば自主管理で運営することも可能かもしれませんが、2棟ともなると自分ですべてを管理するのは困難でしょう。
複数所有になったら、すべての物件をまとめて管理会社に委託し、管理運営にかかる手間を最小化する前提で考える必要があります。資金計画に管理委託料を忘れずに盛り込むことも大切です。
購入時には一時的にキャッシュフローが悪化する
これも当然のことですが、2棟目購入時にも、1棟目と同様の仲介手数料や各種税金、ローン関連費用などの諸費用がかかります。諸費用は自己資金で賄うのが基本なので、購入時からしばらくは一時的にキャッシュフローが悪化することも忘れてはいけません。
先ほど紹介したように、1棟目の大規模修繕のタイミングと重なった場合、資金不足に陥る恐れもあります。1棟目で見込まれる費用の金額と時期を事前に確認し、何か不測の事態があっても、資金がショートしないようタイミングを見極めましょう。
2棟目購入物件における4つの選び方
2棟目購入においても、1棟目と変わらず物件選びが投資の成否を大きく左右します。以下に挙げるとおり、2棟目の物件選びで意識したい4つのポイントを紹介します。
(1)賃貸ニーズが見込める物件を選ぶ
(2)1棟目とは違うエリアの物件を選ぶ
(3)1棟目と築年数が被らない物件を選ぶ
(4)ワンルーム投資の物件を選ぶ
(1)賃貸ニーズが見込める物件を選ぶ
2棟目も安定的な賃貸経営ができなければ、資産を拡大する意味がありません。よって、賃貸ニーズを十分に見込める物件を選ぶことが大前提となります。
都心部や大都市中心部へのアクセスが良好な駅近エリア、都心部や郊外の人気エリア、若者やファミリー層を中心に人口増加が続いているエリア、今後再開発事業や新線開業が予定されているエリアなどを選ぶのがおすすめです。
こうしたエリアにある物件は、将来にわたって安定して入居者がつくと想定されるため、長期運用にも適しています。
(2)1棟目とは違うエリアの物件を選ぶ
2棟目は、できるだけ1棟目と異なるエリアの物件を選ぶのがおすすめです。災害の発生やエリアの評判の変化などで、1棟目のあるエリアの賃貸ニーズが落ちたとき、2棟目も同じエリアにあると両方とも打撃を受けてしまいます。
2棟目を選ぶときは、1棟目と近すぎる立地は避け、沿線や自治体が異なるエリアの物件から選定するのが、リスク管理の観点からすると得策です。
(3)1棟目と築年数が被らない物件を選ぶ
エリアだけでなく、築年数も1棟目と被らない物件を選んだほうがリスクを抑えられます。
1棟目と2棟目の築年数が同程度だと、基本的に大規模修繕や設備の修理・入れ替えの時期も同じタイミングで訪れます。大きな支出が2つの物件で被ると、急速にキャッシュフローが悪化することになり、赤字経営のリスクが高まるでしょう。
なお、1棟目の築年数がある程度経過している場合、2棟目を築浅のマンションにするのも有効です。築浅の2棟目は資産価値を高く評価してもらえる可能性があり、今後3棟目の融資を受けるにあたって有利になるかもしれません。
(4)ワンルーム投資の物件を選ぶ
ここまで、2棟目もアパート1棟投資を選択する想定で解説してきましたが、2件目はワンルーム投資にして、分散投資を図るというのもリスク管理の方法として有効です。
区分マンションの1室に投資するワンルーム投資には、初期費用の安さや売却のしやすさなど、1棟投資とは異なるメリットがあります。メリット・デメリットをお互いに補うことができるので、並行して運用するにも適しています。
加えて、1棟目の経営が安定していれば、ワンルーム投資特有の空室リスクをカバーすることが可能です。異なる性質の投資を組み合わせ、トータルでの収益を安定させられるのは大きなメリットと言えるでしょう。
不動産投資の2棟目購入における管理会社の選び方
1棟目を自主管理している場合、2棟目購入にあたって新たに管理会社を選ぶ必要があります。
1棟目で管理会社に委託しているなら、その会社をそのまま利用するのも一つの方法です。しかし、2棟目購入を機に管理会社を選定し直すと、賃貸経営がより安定化するかもしれません。
以下では、2棟目における管理会社の選び方を紹介します。
(1)幅広い物件で実績のある会社を選ぶ
2棟目の物件の選び方で解説したとおり、2棟目はエリアや築年数、投資手法などが1棟目と異なる性質の物件を選ぶのがおすすめです。それだけに、1棟目の特徴を持つ物件に強みのある管理会社だと、2棟目の管理を任せるには不安を覚える可能性があります。
1棟アパートに限らず、マンションやワンルーム投資など、さまざまな種類の投資用物件で管理実績のある会社に任せるのが安心です。
(2)賃貸管理業務をトータルでサポートしてくれる会社を選ぶ
複数物件を所有するとなると、1棟所有の時よりも管理業務のボリュームが大きくなります。委託するとはいえ、日常的な物件のチェックや入居審査の実施など、オーナーの負担も増えるでしょう。
2棟以上管理を委託するときは、入居者募集や日々の賃貸管理はもちろんのこと、問い合わせ体制、サブリース契約など、幅広いメニューでトータルサポートを展開している会社を選ぶことをおすすめします。委託できる業務の選択肢が多ければ、今後さらに所有物件を拡大していくとしても、長く付き合っていけるはずです。
(3)毎月の管理委託料を抑えられる会社を選ぶ
アパート経営のランニングコストにおいて、ローン返済などに次いで大きなウェイトを占めるのが、管理会社へ支払う管理委託料です。金額の設定は管理会社によって異なりますが、安さだけで選ぶと、管理の質が落ちてしまうかもしれません。大切なのは、コストパフォーマンスが高い会社を選ぶことです。
ベルテックスは、集金代行サービスが月々777円からというコストパフォーマンスの高さも魅力です。賃貸管理業務をトータルでサポートしており、実績も豊富なので、大切な物件の管理を安心してお任せいただけます。2棟目購入を検討する際は、運営管理業務もあわせてご相談ください。
まとめ
不動産投資において、2棟目購入は資産拡大のスピードを加速させるのに効果的な手段です。1棟目の経営が安定していて、ローン返済や自己資金に余裕があるなら、2棟目購入を検討してもよいでしょう。
その際も、1棟目と同様に物件選びが成否の鍵を握ります。分散投資によるリスク軽減を狙うなら、2棟目はワンルーム投資に切り替えるのもおすすめです。
ベルテックスは、地道な交渉で取得した都心部の一等地などに、高い賃貸ニーズが見込める優良物件を多数開発しています。
安定した家賃収入を得られる2棟目をお探しの方は、ベルテックスの物件でのワンルーム投資を検討してみてはいかがでしょうか。
個別相談では、今後の投資方針や物件の選び方など、アパートオーナーの方のお悩みにもお答えしています。この機会にぜひご活用ください。
この記事を書いた人
ベルテックスコラム事務局
不動産コンサルタント・税理士
不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。