2024.06.25

不動産投資のコツ

ベルテックスコラム事務局

不動産投資の出口戦略とは?プラス収支で終えるためのノウハウや注意点を解説

  • 売却(出口戦略)
  • 家賃収入

不動産投資において、見落とされがちでありながら極めて重要なのが出口戦略、つまり「売却時の作戦」です。スタート時には家賃収入という目先の利益ばかりを考えてしまいがちですが、将来的なプラス収支のためには出口戦略のプランニングは欠かせません。所有する投資対象の不動産物件をどのタイミングで、どのようにして手放すのか、または再投資するのかといった綿密な計画が求められます。

この記事では、不動産投資の出口を検討する6つのタイミングや、売却方法の具体的な3つの種類を軸に戦略立てをしていきます。不動産投資の初心者にも分かりやすく解説していきますので、しっかりとプラスを出せるように考えていきましょう。

不動産投資で出口戦略が重要な理由

不動産投資では、出口戦略が非常に重要といわれています。なぜなら最後に控えている売却の成否が不動産投資全体の成否に大きく影響を及ぼすからです。

不動産投資の成否はインカムゲイン+キャピタルゲイン(ロス)で確定する

不動産投資の収入源は、大きく分けて以下の2種類があります。

インカムゲイン(定期的な家賃収入)

収益物件を所有して貸し出すと入居者からの家賃収入が発生します。これが安定的な収入源になることが不動産投資の大きな魅力です。

キャピタルゲイン(売却益)

投資における価格差の利益です。不動産が購入時よりも高い価格で売れた場合に発生する売却益もキャピタルゲインの一種となります。キャピタルゲインの反対語は、キャピタルロスです。購入時よりも売却価格が低ければ価格差の損失が出るわけですが、それを不動産のキャピタルロスといいます。

多くの場合、不動産の売却価格は購入時よりも低くなるため、一定のキャピタルロスが発生すると考えておいた方がよいでしょう。一般的には、インカムゲインの総額とキャピタルロスを全て含めた収支が不動産投資の最終的な収支です。インカムゲインの総額よりもキャピタルロスが少なければ、収支はプラスになり不動産投資の成功が確定します。

トータルの収支がマイナスになってしまい、その原因が売却価格の場合は、出口戦略の失敗が不動産投資全体の失敗につながったことになるでしょう。こうした構図を知ると、出口戦略が不動産投資の成否に大きく関わっていることが理解できるのではないでしょうか。

不動産投資における出口戦略の種類

不動産投資の出口戦略を施策する際には「いかにしてプラス収支で投資を終えるか」が基準のポイントになります。

1.    収益物件として売却する
2.    物件を解体して更地として売却する
3.    自己住居用として売却する

目的や市場の状況に応じて多様なアプローチが存在しますが、主要な出口戦略の種類は上記3つです。それぞれにおけるメリットやリスクを深く理解することが、成功への鍵となるでしょう。以下では、投資家が知っておくべき出口戦略の種類を一つずつ解説していきます。

収益物件として売却する

不動産投資の出口戦略として、最初に考えられるのは「収益物件として売却する」という一般的なオーナーチェンジの方法です。これは、賃貸経営を行うことで安定したインカムゲインを確保しつつ、将来的に物件そのものを売却することにより、最終的なキャピタルゲインを得ることを意味します。
物件が持つ立地や建物の特性、賃貸市場の動向などに応じて変動する収入をベースに考え、売却時期や価格を決定する必要があります。また、長期的な視点で資産価値を高めるために、建物のメンテナンスやリフォームなどの管理にも注力しなければなりません。
購入時から資産価値を保つことができていて、市場のニーズに適合している物件はこのような出口戦略の方法が最善でしょう。

物件を解体して更地として売却する

次に、不動産投資の出口戦略のひとつとして、物件を解体し、更地として売却する方法があります。この方法は特に老朽化した建物や、立地は良いが建物自体の利用価値が低い場合に選択されるケースが多いです。更地とした場合、新たに建築するための自由度が高いため、想定していたよりも高値での売却に成功する可能性があります。
ただし、解体には一般的に数百万円の費用がかかりますし、更地であっても地域や市場の状況によっては売却が難航することも考えられます。そのため、更地化することでどの程度のプラスが見込めるか、事前の市場調査と計画が必要です。また、一般契約で入居者が居住している場合、全員から退去の承諾を得ておかなければなりません。
解体する前に可能な限りの賃貸収入を確保し、戦略的な出口を目指していきましょう。

自己住居用として売却する

最後に、不動産を自己住居用として売却することも一つの出口戦略の方法です。一定期間賃貸して収入を得たら、その後は投資物件ではなく自己の居住用として売却します。
この方法では、投資物件として売却するよりも相場価格が高くなるというメリットがあります。特にファミリー物件の場合には、すでに居住している入居者に買い取ってもらうことができたり、市場でも高値で売却しやすかったりと需要が期待できるでしょう。
ただし、一般市場に販売するとなると空室のタイミングでしか売却できず、ワンルームなどは極端に需要が低いことがデメリットです。反対にワンルームマンションの場合は収益物件としてのニーズが高いので、そのまま収益物件として売却する方が良いかもしれません。

売却(出口)を検討するタイミング

不動産の売却を意識するタイミングや売却を検討するべきタイミングとは、どのようなときでしょうか。さまざまなタイミングが考えられますが、ここでは投資家自身の事情ではなく客観的な状況の変化によって売却を検討するべきタイミングを5つ紹介します。

譲渡所得税が長期に変わってから

不動産の売却価格が購入時の価格を上回った場合、利益が発生します。この利益を不動産の譲渡益といい、この譲渡益にかかる税金が譲渡所得税です。譲渡所得税は、不動産の所有期間によって税率が異なります。各税率は以下の通りです。

不動産の所有期間 税率
長期譲渡所得
(不動産を譲渡した年の元日時点で所有期間が5年を超える場合)
20.315%
短期譲渡所得
(不動産を譲渡した年の元日時点で所有期間が5年以下の場合)
39.63%

※税率には復興特別所得税と住民税を含む

所有期間が5年を超えているか否かで税率に倍程度の差があります。これは、譲渡所得税が不動産の短期売買を繰り返す転売ビジネスを抑制するための制度だからです。そのため、中長期的な目線で不動産投資に取り組んでいる人には無縁かもしれません。しかし、所有期間が5年を超えた時点で「今売却すれば譲渡益が出る」と見込まれる場合は、税率が低くなったタイミングでもあるため、売却を検討する価値があります。

残債が売却価格を下回ったタイミング

自己資金で必要資金の全額を用意しなくても始められるのは、不動産投資のメリットです。実際、収益物件を購入するための資金として金融機関のローンを利用しているケースは多いでしょう。返済を続けていくとローン残債は減り続けるため、ある時点で不動産を売却した時に得られる見込み価格とローン残債が逆転します。その時点で不動産を売却すればローンを完済しても手元に現金が残ることになります。 ただし、実際の売却価格は売ってみないと分かりません。売却価格がローン残債を上回るかどうかを判断するためには、不動産価値をできる限り正確に知っておく必要があります。

不動産の価値を正確に知るためには、いくつかの方法があります。これは、売却を有利に進めるためにも重要な知識なので「少しでも高く売却するためにすること」の章で詳しく解説します。

建物の減価償却が終わり、課税額が増えるタイミング

不動産投資では、アパートやマンションなどの建物を一部もしくは全部を所有します。建物部分は、時間の流れとともに劣化などで価値が減っていくのが一般的です。建物の価値の目減り分は、会計上、目に見えない損失として処理できます。これが減価償却費です。建物の構造によって耐用年数は異なります。

例えば、木造の建物の耐用年数は22年、鉄筋コンクリート造の建物は47年です。木造よりも鉄筋コンクリート造の建物の方が耐久性は高いので、こうした特性を踏まえてそれぞれの法定耐用年数が定められています。建物は、耐用年数内で毎年価値が減っていくため、木造アパートなど木造の建物は22年、マンションなど鉄筋コンクリート造の建物なら47年で会計上は無価値となります。

耐用年数が経過するまでは、毎年均等に価値の目減り分を減価償却費として経費計上できるため、節税効果があります。この節税効果も不動産投資のメリットなので、減価償却が終わって経費の計上ができなくなる時も、売却を検討するべきタイミングの一つといえます。

デッドクロスになる前のタイミング

不動産投資のデッドクロスとは、ローンの元金返済額が減価償却費を超えている状態を指します。帳簿上では黒字ですが、実際の手元資金は赤字になっている状態のことで、この状態が見込まれる前に、物件の売却を検討することも一つのタイミングといえるでしょう。デッドクロスは、ローンの返済方法を元利均等返済にしていたり、法定耐用年数が短い築古物件で減価償却期間が終了したりというような特定の条件下において発生します。
デッドクロスに陥る要因を理解して回避することが望ましいですが、キャッシュフローの悪化を免れない場合にはそれより前のタイミングで手放すことを検討しましょう。デッドクロスが発生すると、黒字倒産という事態になりかねません。
 

市況が良く高く売れるタイミング

不動産市況が好調で需要が高まっている時は、不動産が高く売れる可能性が高いため、売却のチャンスです。先ほど購入時より高く売れることはあまりないと述べましたが、市況が好調であれば購入時より高く売れる可能性は高くなります。ご存じの方は多いかもしれませんが、2021年頃から首都圏など大都市圏の中古マンション価格は上昇を続けています。

以下の図は、公益財団法人東日本不動産流通機構(東日本レインズ)が定期的に発表している首都圏の不動産市況レポート「月報速報Market Watchサマリーレポート 2022年12月度」より、首都圏の中古マンション価格推移を示すグラフを引用したものです。

このグラフにある赤色の棒グラフは、首都圏で成約した中古マンションの1平方メートルあたりの単価です。一時的な下落はあるものの上昇を続けている様子がうかがえます。この状況が続くと仮定した場合、2023年も中古マンションの市況は好調を維持するでしょう。不動産投資のためにマンションを保有している人にとっては、売却のチャンスが継続する可能性が高いといえます。

大規模修繕が発生するタイミング

マンションは、建物の外観や機能を維持するために定期的な大規模修繕が必要です。大規模修繕の周期は、約10~15年に1回といわれており、国土交通省が行ったマンションの大規模修繕工事に関する調査の結果を見てもそのことが明らかです。同調査結果では、13年に1回のペースで大規模修繕を行っているマンションが23.1%で最も多く、次いで12年(18.8%)、14年(15.4%)、15年(11.1%)となっています。 マンションによって若干の差異はあるものの「10~15年に1回」というのは事実と考えてよいでしょう。

マンションの大規模修繕には、当然費用がかかります。大規模修繕のための費用は、修繕積立金として毎月の管理費と一緒に支払うケースが多いため、修繕積立金から支出されるのが一般的です。ただし、マンションの状態によっては、追加費用が発生することも珍しくありません。

国土交通省の同調査では、3回目以降の大規模修繕で、費用が「6,000万~8,000万円」「1億~1億5,000万円」になった事例が多いことが明らかになっています。1回目の費用では「4,000万~6,000万円」と回答しているマンションが最も多いことから、回数を重ねるごとに修繕に要するコストは増大していくことが分かります。

こうした事情を踏まえると、大規模修繕の時期を迎えたマンションは、売却を検討してもよいといえるでしょう。仮に追加費用が発生しなかったとしても、大規模修繕を終えたら次の工事のために再び修繕積立金を支払い続ける必要があります。修繕積立金を多く払い込んだ状態で売却したとしても積立金が返還されるわけではないため、大規模修繕を終えた直後も売却のタイミングとして意識するべきでしょう。

売却(出口)での費用と税金

不動産の出口戦略として売却をした場合、どのような費用や税金が発生するのでしょうか。ここでは、不動産の売却に伴って必要となるコストについて解説します。

譲渡所得税の計算方法

不動産の売却価格が購入価格を上回り、キャピタルゲインが発生した時に課税されるのが譲渡所得税です。逆に売却価格が購入価格よりも低くキャピタルロスが発生した場合、譲渡所得税を納税する必要はありません。課税対象になる譲渡所得は、以下の計算式で求めます。

不動産の売却価格-(取得費+譲渡費用)=譲渡所得

ここで算出した譲渡所得に先ほど解説した所有期間別の税率をかけます。

【再掲】

不動産の所有期間 税率
長期譲渡所得
(不動産を譲渡した年の元日時点で所有期間が5年を超える場合)
20.315%
短期譲渡所得
(不動産を譲渡した年の元日時点で所有期間が5年以下の場合)
39.63%

※税率には復興特別所得税と住民税を含む

例えば、取得費が3,000万円の不動産が4,000万円で売れて、売却に要した費用が100万円、その不動産の所有期間が5年を超えている場合、以下の計算式で税額を求めることができます。

{4,000万円-(3,000万円+100万円)}×20.315%=182万8,350円

譲渡所得税は、条件によって特別控除が適用されることがあります。収益物件の場合は、マイホーム譲渡に適用される3,000万円の特別控除は適用されません。しかし、収用といって国や自治体などが公共事業のために不動産を買い取った場合に発生する譲渡所得については5,000万円の特別控除が適用されます。

仲介手数料

不動産売却の際は、買い手探しや売買手続きのサポートを受けるために不動産会社を利用するケースが多いです。不動産会社に買い手を探してもらって売却をする場合は、成約時に仲介手数料を支払う必要があります。仲介手数料は不動産会社が自由に設定できますが、上限金額は宅地建物取引業法で以下のように定められています。

取引物件価格 仲介手数料の上限
400万円超(税抜) 売買代金×3%+6万円+消費税
200万~400万円 売買代金×4%+2万円+消費税
200万円以下 売買代金×5%+消費税

収益物件の売却価格は400万円を超えるケースがほとんどです。そのため、上記の表の一番上にある「売買代金×3%+6万円+消費税」が不動産会社に支払う仲介手数料の上限と覚えておけば問題ないでしょう。

少しでも高く売却するためにすること

不動産投資で出口戦略を立てるのは、不動産投資全体で成功を収めるためです。「終わり良ければすべて良し」という言葉のとおり、不動産投資も「終わり」(売却)がとても重要です。売却で失敗しないためには、所有している収益物件をいかに高く売るかが大きなポイントです。 ここでは、不動産を少しでも高く売るためのノウハウについて説明します。

不動産の価値を知って正しい相場観をもつ

不動産の売却活動では、最初にいくらくらいで売れるのかという正しい相場観をつかむことから始めましょう。不動産会社に売却を依頼する際には、不動産会社から査定の結果として売却価格の目安を提示されます。それが妥当であるかを知るためにも、おおまかな相場観を自分でつかんでおくことが大切です。

例えば、SUUMO(スーモ)やアットホームといった不動産ポータルサイトで売りに出ている類似物件から目安を推測するのも方法の一つといえます。また国土交通省が提供している「不動産取引価格情報検索」を利用するのも有効です。同サイトでは、日本全国で実際に行われた不動産取引の結果を検索できるため、近隣の類似物件があれば取引価格から相場観をつかむことができます。

目的に合わせた出口戦略を立てる

不動産投資で出口を考える際には、何を目的として運用しているのかをはっきりさせ、対象の投資物件ごとに戦略を立てることが大切です。なぜなら、購入する不動産によって、売却時のアプローチの仕方が大きく異なるためです。

例えば、利回り重視で安定したキャッシュフローを目的とするのであれば、中古物件を選択することになるでしょう。この場合、長期的に家賃収入を得られる物件になってくるため、地方の築古物件などを購入すると、売却時には更地にする方が良いケースもあります。
目的を節税対策とするなら、「償却期間が短い」かつ「建物比率が高い」物件を選択することで、短期間のうちに減価償却により高い節税効果を得られるでしょう。ただし、この方法による節税対策は減価償却期間中しかできませんので、これに合わせた出口戦略を取る必要があります。
このように対象物件の目的に合わせた施策を描いておくことで、希望価格でのスムーズな売却に繋がります。

物件を購入するときに自己資金を投入する

不動産投資において、物件購入時に自己資金を多く入れることは長期的な財務計画に好影響を与えます。自己資金を多めに投入すればするほど、将来の売却時における借入残高は減少し、利益確保の幅を広げられる可能性があるでしょう。また、自己資金を投じることで、ローンの金利負担を減らし、キャッシュフローの改善にも寄与します。

ただし、まとまった自己資金を投じることで資金繰りに困らないよう、手元に残すキャッシュとのバランスを考えることも大切です。これらのバランスを調整しながら、借入残高を減らしていくことで、売却時期や価格の自由度を広げられるでしょう。
ここでのポイントは、売却時に物件価格よりもローンの残債額が少ない状態にしておくことです。

物件の価格を下げないよう管理や修繕を実施する

物件の価値を高めた状態で保持するためには、日頃からの適切な管理や修繕が欠かせません。特に、修繕積立金を適切に積み立てることで、大規模な修繕工事にも柔軟に対応できるようになり、長期にわたる資産価値の向上が期待できます。計画通り、定期的に大規模修繕工事が行われている物件や、共用部が綺麗でメンテナンスがしっかりとされている物件は、印象が良く高値がつきやすいです。
ただし、不動産投資の物件管理・修繕で気を付けるべきポイントは、室内のリフォーム加減です。例えば、設備交換によって高い需要を得られる可能性を期待できますが、「リフォーム=高値売却」ではありません。特に水回り設備は需要高へ繋がりやすい一方で、リフォーム費用が高額になりがちです。
不動産投資においては、何をどこまでリフォームすべきか、工事後の資産価値との費用対効果を検証することが大切です。施工業者の見積を取り、専門家からのアドバイスを聞いてみると良いでしょう。

一社だけではなく複数の不動産会社に競わせる

実際の売却活動は、不動産会社への査定依頼から始まります。査定依頼は、一社だけではなく複数の不動産会社に対して行うのが高値売却のコツです。複数の不動産会社から意見を聞くことで相場観をつかみやすくなるでしょう。また、不動産会社同士に競争意識が生まれるため、最も高く売却してくれる不動産会社を見つけやすくなります。

複数の不動産会社に対して同時に査定依頼を出す作業は、大きな手間に感じてしまう人もいるかもしれません。そこでおすすめなのが、1回の入力作業だけで複数の不動産会社に対して同時に査定依頼を出すことができる「一括査定依頼サイト」です。以下のサービスが有名ですが、他にもたくさんの一括査定サイトがあります。

サービス名  特徴
すまいValue 提携不動産会社を大手6社のみに絞っているため、大手に査定依頼を出したい場合に使いやすい
イエウール 2,000社以上の提携不動産会社に対して、最大で6社に一括査定依頼が可能
LIFULL HOME’S 不動産査定 提携不動産会社が3,800社を超えており、業界最大級。収益物件に特化した査定依頼も可能
マンションナビ マンションに特化した不動産一括査定サイト。提携不動産会社数は2,500社以上で最大9社に査定依頼ができる

「高く売る」ことに加えて「早く売る」ことも重視する

不動産の売却では「高く売る」ことばかりに関心が集まりやすいですが、同時に「早く売る」ことも重要です。高く売りたい一心で高い価格を設定すると買い手がなかなかつかず、売りに出たままの状態が続く可能性があります。売りに出たままの物件は、「売れ残っている」とみなされて足元を見られる可能性があるため、価格を下げるまでさらに買い手がつきにくくなります。

何度も値下げを余儀なくされるよりも、買い手がつきやすい価格で売りに出して一気に売却してしまった方が高く売れる可能性があります。これらを踏まえた上で「高く売る」ことにこだわりすぎず、「早く売る」ことも重視して売却活動を進めるようにしましょう。

まとめ

この記事では、不動産投資の出口戦略について、その重要性や出口戦略を検討するべきタイミング、少しでも高く売却する方法などを解説しました。

不動産投資の最後に控えている売却によって不動産投資の成否が決まるといっても過言ではありません。不動産投資の出口である売却を成功させるためには、出口戦略を練ることが大切です。 売却タイミングをしっかり見極めて、効率良く売却活動を進めましょう。

ベルテックスでは不動産にまつわるリスクセミナーを開催しています。ぜひお問い合わせください。

この記事を書いた人

ベルテックスコラム事務局

不動産コンサルタント・税理士

不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。

2024.06.25

不動産投資のコツ

ベルテックスコラム事務局

不動産投資の出口戦略とは?プラス収支で終えるためのノウハウや注意点を解説

  • 売却(出口戦略)
  • 家賃収入

不動産投資において、見落とされがちでありながら極めて重要なのが出口戦略、つまり「売却時の作戦」です。スタート時には家賃収入という目先の利益ばかりを考えてしまいがちですが、将来的なプラス収支のためには出口戦略のプランニングは欠かせません。所有する投資対象の不動産物件をどのタイミングで、どのようにして手放すのか、または再投資するのかといった綿密な計画が求められます。

この記事では、不動産投資の出口を検討する6つのタイミングや、売却方法の具体的な3つの種類を軸に戦略立てをしていきます。不動産投資の初心者にも分かりやすく解説していきますので、しっかりとプラスを出せるように考えていきましょう。

不動産投資で出口戦略が重要な理由

不動産投資では、出口戦略が非常に重要といわれています。なぜなら最後に控えている売却の成否が不動産投資全体の成否に大きく影響を及ぼすからです。

不動産投資の成否はインカムゲイン+キャピタルゲイン(ロス)で確定する

不動産投資の収入源は、大きく分けて以下の2種類があります。

インカムゲイン(定期的な家賃収入)

収益物件を所有して貸し出すと入居者からの家賃収入が発生します。これが安定的な収入源になることが不動産投資の大きな魅力です。

キャピタルゲイン(売却益)

投資における価格差の利益です。不動産が購入時よりも高い価格で売れた場合に発生する売却益もキャピタルゲインの一種となります。キャピタルゲインの反対語は、キャピタルロスです。購入時よりも売却価格が低ければ価格差の損失が出るわけですが、それを不動産のキャピタルロスといいます。

多くの場合、不動産の売却価格は購入時よりも低くなるため、一定のキャピタルロスが発生すると考えておいた方がよいでしょう。一般的には、インカムゲインの総額とキャピタルロスを全て含めた収支が不動産投資の最終的な収支です。インカムゲインの総額よりもキャピタルロスが少なければ、収支はプラスになり不動産投資の成功が確定します。

トータルの収支がマイナスになってしまい、その原因が売却価格の場合は、出口戦略の失敗が不動産投資全体の失敗につながったことになるでしょう。こうした構図を知ると、出口戦略が不動産投資の成否に大きく関わっていることが理解できるのではないでしょうか。

不動産投資における出口戦略の種類

不動産投資の出口戦略を施策する際には「いかにしてプラス収支で投資を終えるか」が基準のポイントになります。

1.    収益物件として売却する
2.    物件を解体して更地として売却する
3.    自己住居用として売却する

目的や市場の状況に応じて多様なアプローチが存在しますが、主要な出口戦略の種類は上記3つです。それぞれにおけるメリットやリスクを深く理解することが、成功への鍵となるでしょう。以下では、投資家が知っておくべき出口戦略の種類を一つずつ解説していきます。

収益物件として売却する

不動産投資の出口戦略として、最初に考えられるのは「収益物件として売却する」という一般的なオーナーチェンジの方法です。これは、賃貸経営を行うことで安定したインカムゲインを確保しつつ、将来的に物件そのものを売却することにより、最終的なキャピタルゲインを得ることを意味します。
物件が持つ立地や建物の特性、賃貸市場の動向などに応じて変動する収入をベースに考え、売却時期や価格を決定する必要があります。また、長期的な視点で資産価値を高めるために、建物のメンテナンスやリフォームなどの管理にも注力しなければなりません。
購入時から資産価値を保つことができていて、市場のニーズに適合している物件はこのような出口戦略の方法が最善でしょう。

物件を解体して更地として売却する

次に、不動産投資の出口戦略のひとつとして、物件を解体し、更地として売却する方法があります。この方法は特に老朽化した建物や、立地は良いが建物自体の利用価値が低い場合に選択されるケースが多いです。更地とした場合、新たに建築するための自由度が高いため、想定していたよりも高値での売却に成功する可能性があります。
ただし、解体には一般的に数百万円の費用がかかりますし、更地であっても地域や市場の状況によっては売却が難航することも考えられます。そのため、更地化することでどの程度のプラスが見込めるか、事前の市場調査と計画が必要です。また、一般契約で入居者が居住している場合、全員から退去の承諾を得ておかなければなりません。
解体する前に可能な限りの賃貸収入を確保し、戦略的な出口を目指していきましょう。

自己住居用として売却する

最後に、不動産を自己住居用として売却することも一つの出口戦略の方法です。一定期間賃貸して収入を得たら、その後は投資物件ではなく自己の居住用として売却します。
この方法では、投資物件として売却するよりも相場価格が高くなるというメリットがあります。特にファミリー物件の場合には、すでに居住している入居者に買い取ってもらうことができたり、市場でも高値で売却しやすかったりと需要が期待できるでしょう。
ただし、一般市場に販売するとなると空室のタイミングでしか売却できず、ワンルームなどは極端に需要が低いことがデメリットです。反対にワンルームマンションの場合は収益物件としてのニーズが高いので、そのまま収益物件として売却する方が良いかもしれません。

売却(出口)を検討するタイミング

不動産の売却を意識するタイミングや売却を検討するべきタイミングとは、どのようなときでしょうか。さまざまなタイミングが考えられますが、ここでは投資家自身の事情ではなく客観的な状況の変化によって売却を検討するべきタイミングを5つ紹介します。

譲渡所得税が長期に変わってから

不動産の売却価格が購入時の価格を上回った場合、利益が発生します。この利益を不動産の譲渡益といい、この譲渡益にかかる税金が譲渡所得税です。譲渡所得税は、不動産の所有期間によって税率が異なります。各税率は以下の通りです。

不動産の所有期間 税率
長期譲渡所得
(不動産を譲渡した年の元日時点で所有期間が5年を超える場合)
20.315%
短期譲渡所得
(不動産を譲渡した年の元日時点で所有期間が5年以下の場合)
39.63%

※税率には復興特別所得税と住民税を含む

所有期間が5年を超えているか否かで税率に倍程度の差があります。これは、譲渡所得税が不動産の短期売買を繰り返す転売ビジネスを抑制するための制度だからです。そのため、中長期的な目線で不動産投資に取り組んでいる人には無縁かもしれません。しかし、所有期間が5年を超えた時点で「今売却すれば譲渡益が出る」と見込まれる場合は、税率が低くなったタイミングでもあるため、売却を検討する価値があります。

残債が売却価格を下回ったタイミング

自己資金で必要資金の全額を用意しなくても始められるのは、不動産投資のメリットです。実際、収益物件を購入するための資金として金融機関のローンを利用しているケースは多いでしょう。返済を続けていくとローン残債は減り続けるため、ある時点で不動産を売却した時に得られる見込み価格とローン残債が逆転します。その時点で不動産を売却すればローンを完済しても手元に現金が残ることになります。 ただし、実際の売却価格は売ってみないと分かりません。売却価格がローン残債を上回るかどうかを判断するためには、不動産価値をできる限り正確に知っておく必要があります。

不動産の価値を正確に知るためには、いくつかの方法があります。これは、売却を有利に進めるためにも重要な知識なので「少しでも高く売却するためにすること」の章で詳しく解説します。

建物の減価償却が終わり、課税額が増えるタイミング

不動産投資では、アパートやマンションなどの建物を一部もしくは全部を所有します。建物部分は、時間の流れとともに劣化などで価値が減っていくのが一般的です。建物の価値の目減り分は、会計上、目に見えない損失として処理できます。これが減価償却費です。建物の構造によって耐用年数は異なります。

例えば、木造の建物の耐用年数は22年、鉄筋コンクリート造の建物は47年です。木造よりも鉄筋コンクリート造の建物の方が耐久性は高いので、こうした特性を踏まえてそれぞれの法定耐用年数が定められています。建物は、耐用年数内で毎年価値が減っていくため、木造アパートなど木造の建物は22年、マンションなど鉄筋コンクリート造の建物なら47年で会計上は無価値となります。

耐用年数が経過するまでは、毎年均等に価値の目減り分を減価償却費として経費計上できるため、節税効果があります。この節税効果も不動産投資のメリットなので、減価償却が終わって経費の計上ができなくなる時も、売却を検討するべきタイミングの一つといえます。

デッドクロスになる前のタイミング

不動産投資のデッドクロスとは、ローンの元金返済額が減価償却費を超えている状態を指します。帳簿上では黒字ですが、実際の手元資金は赤字になっている状態のことで、この状態が見込まれる前に、物件の売却を検討することも一つのタイミングといえるでしょう。デッドクロスは、ローンの返済方法を元利均等返済にしていたり、法定耐用年数が短い築古物件で減価償却期間が終了したりというような特定の条件下において発生します。
デッドクロスに陥る要因を理解して回避することが望ましいですが、キャッシュフローの悪化を免れない場合にはそれより前のタイミングで手放すことを検討しましょう。デッドクロスが発生すると、黒字倒産という事態になりかねません。
 

市況が良く高く売れるタイミング

不動産市況が好調で需要が高まっている時は、不動産が高く売れる可能性が高いため、売却のチャンスです。先ほど購入時より高く売れることはあまりないと述べましたが、市況が好調であれば購入時より高く売れる可能性は高くなります。ご存じの方は多いかもしれませんが、2021年頃から首都圏など大都市圏の中古マンション価格は上昇を続けています。

以下の図は、公益財団法人東日本不動産流通機構(東日本レインズ)が定期的に発表している首都圏の不動産市況レポート「月報速報Market Watchサマリーレポート 2022年12月度」より、首都圏の中古マンション価格推移を示すグラフを引用したものです。

このグラフにある赤色の棒グラフは、首都圏で成約した中古マンションの1平方メートルあたりの単価です。一時的な下落はあるものの上昇を続けている様子がうかがえます。この状況が続くと仮定した場合、2023年も中古マンションの市況は好調を維持するでしょう。不動産投資のためにマンションを保有している人にとっては、売却のチャンスが継続する可能性が高いといえます。

大規模修繕が発生するタイミング

マンションは、建物の外観や機能を維持するために定期的な大規模修繕が必要です。大規模修繕の周期は、約10~15年に1回といわれており、国土交通省が行ったマンションの大規模修繕工事に関する調査の結果を見てもそのことが明らかです。同調査結果では、13年に1回のペースで大規模修繕を行っているマンションが23.1%で最も多く、次いで12年(18.8%)、14年(15.4%)、15年(11.1%)となっています。 マンションによって若干の差異はあるものの「10~15年に1回」というのは事実と考えてよいでしょう。

マンションの大規模修繕には、当然費用がかかります。大規模修繕のための費用は、修繕積立金として毎月の管理費と一緒に支払うケースが多いため、修繕積立金から支出されるのが一般的です。ただし、マンションの状態によっては、追加費用が発生することも珍しくありません。

国土交通省の同調査では、3回目以降の大規模修繕で、費用が「6,000万~8,000万円」「1億~1億5,000万円」になった事例が多いことが明らかになっています。1回目の費用では「4,000万~6,000万円」と回答しているマンションが最も多いことから、回数を重ねるごとに修繕に要するコストは増大していくことが分かります。

こうした事情を踏まえると、大規模修繕の時期を迎えたマンションは、売却を検討してもよいといえるでしょう。仮に追加費用が発生しなかったとしても、大規模修繕を終えたら次の工事のために再び修繕積立金を支払い続ける必要があります。修繕積立金を多く払い込んだ状態で売却したとしても積立金が返還されるわけではないため、大規模修繕を終えた直後も売却のタイミングとして意識するべきでしょう。

売却(出口)での費用と税金

不動産の出口戦略として売却をした場合、どのような費用や税金が発生するのでしょうか。ここでは、不動産の売却に伴って必要となるコストについて解説します。

譲渡所得税の計算方法

不動産の売却価格が購入価格を上回り、キャピタルゲインが発生した時に課税されるのが譲渡所得税です。逆に売却価格が購入価格よりも低くキャピタルロスが発生した場合、譲渡所得税を納税する必要はありません。課税対象になる譲渡所得は、以下の計算式で求めます。

不動産の売却価格-(取得費+譲渡費用)=譲渡所得

ここで算出した譲渡所得に先ほど解説した所有期間別の税率をかけます。

【再掲】

不動産の所有期間 税率
長期譲渡所得
(不動産を譲渡した年の元日時点で所有期間が5年を超える場合)
20.315%
短期譲渡所得
(不動産を譲渡した年の元日時点で所有期間が5年以下の場合)
39.63%

※税率には復興特別所得税と住民税を含む

例えば、取得費が3,000万円の不動産が4,000万円で売れて、売却に要した費用が100万円、その不動産の所有期間が5年を超えている場合、以下の計算式で税額を求めることができます。

{4,000万円-(3,000万円+100万円)}×20.315%=182万8,350円

譲渡所得税は、条件によって特別控除が適用されることがあります。収益物件の場合は、マイホーム譲渡に適用される3,000万円の特別控除は適用されません。しかし、収用といって国や自治体などが公共事業のために不動産を買い取った場合に発生する譲渡所得については5,000万円の特別控除が適用されます。

仲介手数料

不動産売却の際は、買い手探しや売買手続きのサポートを受けるために不動産会社を利用するケースが多いです。不動産会社に買い手を探してもらって売却をする場合は、成約時に仲介手数料を支払う必要があります。仲介手数料は不動産会社が自由に設定できますが、上限金額は宅地建物取引業法で以下のように定められています。

取引物件価格 仲介手数料の上限
400万円超(税抜) 売買代金×3%+6万円+消費税
200万~400万円 売買代金×4%+2万円+消費税
200万円以下 売買代金×5%+消費税

収益物件の売却価格は400万円を超えるケースがほとんどです。そのため、上記の表の一番上にある「売買代金×3%+6万円+消費税」が不動産会社に支払う仲介手数料の上限と覚えておけば問題ないでしょう。

少しでも高く売却するためにすること

不動産投資で出口戦略を立てるのは、不動産投資全体で成功を収めるためです。「終わり良ければすべて良し」という言葉のとおり、不動産投資も「終わり」(売却)がとても重要です。売却で失敗しないためには、所有している収益物件をいかに高く売るかが大きなポイントです。 ここでは、不動産を少しでも高く売るためのノウハウについて説明します。

不動産の価値を知って正しい相場観をもつ

不動産の売却活動では、最初にいくらくらいで売れるのかという正しい相場観をつかむことから始めましょう。不動産会社に売却を依頼する際には、不動産会社から査定の結果として売却価格の目安を提示されます。それが妥当であるかを知るためにも、おおまかな相場観を自分でつかんでおくことが大切です。

例えば、SUUMO(スーモ)やアットホームといった不動産ポータルサイトで売りに出ている類似物件から目安を推測するのも方法の一つといえます。また国土交通省が提供している「不動産取引価格情報検索」を利用するのも有効です。同サイトでは、日本全国で実際に行われた不動産取引の結果を検索できるため、近隣の類似物件があれば取引価格から相場観をつかむことができます。

目的に合わせた出口戦略を立てる

不動産投資で出口を考える際には、何を目的として運用しているのかをはっきりさせ、対象の投資物件ごとに戦略を立てることが大切です。なぜなら、購入する不動産によって、売却時のアプローチの仕方が大きく異なるためです。

例えば、利回り重視で安定したキャッシュフローを目的とするのであれば、中古物件を選択することになるでしょう。この場合、長期的に家賃収入を得られる物件になってくるため、地方の築古物件などを購入すると、売却時には更地にする方が良いケースもあります。
目的を節税対策とするなら、「償却期間が短い」かつ「建物比率が高い」物件を選択することで、短期間のうちに減価償却により高い節税効果を得られるでしょう。ただし、この方法による節税対策は減価償却期間中しかできませんので、これに合わせた出口戦略を取る必要があります。
このように対象物件の目的に合わせた施策を描いておくことで、希望価格でのスムーズな売却に繋がります。

物件を購入するときに自己資金を投入する

不動産投資において、物件購入時に自己資金を多く入れることは長期的な財務計画に好影響を与えます。自己資金を多めに投入すればするほど、将来の売却時における借入残高は減少し、利益確保の幅を広げられる可能性があるでしょう。また、自己資金を投じることで、ローンの金利負担を減らし、キャッシュフローの改善にも寄与します。

ただし、まとまった自己資金を投じることで資金繰りに困らないよう、手元に残すキャッシュとのバランスを考えることも大切です。これらのバランスを調整しながら、借入残高を減らしていくことで、売却時期や価格の自由度を広げられるでしょう。
ここでのポイントは、売却時に物件価格よりもローンの残債額が少ない状態にしておくことです。

物件の価格を下げないよう管理や修繕を実施する

物件の価値を高めた状態で保持するためには、日頃からの適切な管理や修繕が欠かせません。特に、修繕積立金を適切に積み立てることで、大規模な修繕工事にも柔軟に対応できるようになり、長期にわたる資産価値の向上が期待できます。計画通り、定期的に大規模修繕工事が行われている物件や、共用部が綺麗でメンテナンスがしっかりとされている物件は、印象が良く高値がつきやすいです。
ただし、不動産投資の物件管理・修繕で気を付けるべきポイントは、室内のリフォーム加減です。例えば、設備交換によって高い需要を得られる可能性を期待できますが、「リフォーム=高値売却」ではありません。特に水回り設備は需要高へ繋がりやすい一方で、リフォーム費用が高額になりがちです。
不動産投資においては、何をどこまでリフォームすべきか、工事後の資産価値との費用対効果を検証することが大切です。施工業者の見積を取り、専門家からのアドバイスを聞いてみると良いでしょう。

一社だけではなく複数の不動産会社に競わせる

実際の売却活動は、不動産会社への査定依頼から始まります。査定依頼は、一社だけではなく複数の不動産会社に対して行うのが高値売却のコツです。複数の不動産会社から意見を聞くことで相場観をつかみやすくなるでしょう。また、不動産会社同士に競争意識が生まれるため、最も高く売却してくれる不動産会社を見つけやすくなります。

複数の不動産会社に対して同時に査定依頼を出す作業は、大きな手間に感じてしまう人もいるかもしれません。そこでおすすめなのが、1回の入力作業だけで複数の不動産会社に対して同時に査定依頼を出すことができる「一括査定依頼サイト」です。以下のサービスが有名ですが、他にもたくさんの一括査定サイトがあります。

サービス名  特徴
すまいValue 提携不動産会社を大手6社のみに絞っているため、大手に査定依頼を出したい場合に使いやすい
イエウール 2,000社以上の提携不動産会社に対して、最大で6社に一括査定依頼が可能
LIFULL HOME’S 不動産査定 提携不動産会社が3,800社を超えており、業界最大級。収益物件に特化した査定依頼も可能
マンションナビ マンションに特化した不動産一括査定サイト。提携不動産会社数は2,500社以上で最大9社に査定依頼ができる

「高く売る」ことに加えて「早く売る」ことも重視する

不動産の売却では「高く売る」ことばかりに関心が集まりやすいですが、同時に「早く売る」ことも重要です。高く売りたい一心で高い価格を設定すると買い手がなかなかつかず、売りに出たままの状態が続く可能性があります。売りに出たままの物件は、「売れ残っている」とみなされて足元を見られる可能性があるため、価格を下げるまでさらに買い手がつきにくくなります。

何度も値下げを余儀なくされるよりも、買い手がつきやすい価格で売りに出して一気に売却してしまった方が高く売れる可能性があります。これらを踏まえた上で「高く売る」ことにこだわりすぎず、「早く売る」ことも重視して売却活動を進めるようにしましょう。

まとめ

この記事では、不動産投資の出口戦略について、その重要性や出口戦略を検討するべきタイミング、少しでも高く売却する方法などを解説しました。

不動産投資の最後に控えている売却によって不動産投資の成否が決まるといっても過言ではありません。不動産投資の出口である売却を成功させるためには、出口戦略を練ることが大切です。 売却タイミングをしっかり見極めて、効率良く売却活動を進めましょう。

ベルテックスでは不動産にまつわるリスクセミナーを開催しています。ぜひお問い合わせください。

この記事を書いた人

ベルテックスコラム事務局

不動産コンサルタント・税理士

不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。