2025.01.10

不動産投資のコツ

ベルテックスコラム事務局

不動産投資ローンの金利相場は?金融機関別や属性など金利が変動する要素を解説

  • はじめ方・基礎知識
  • 日本の現状
  • 融資・ローン

賃貸物件の購入や、不動産投資ローンの借り換えを検討する際、「この金利が高いのか、安いのか」と、金利の相場が気になるのではないでしょうか。

金利相場は、金融機関や金利の種類によって異なります。ここではその詳細について解説します。 

 

※不動産投資ローンは、金融機関によって名称が異なる場合があります(例:アパート・マンションローンなど)。本稿ではこれらを総称して「不動産投資ローン」と表記しています。 

 

【金融機関の種類別】不動産投資ローンの金利相場の目安

不動産投資ローンの金利が変動する主な要素は、以下の4つです。 

 

  • 金融機関の種類別の金利相場 
  • 申込者の属性 
  • 金利の種類 
  • 物件の種類 

 

はじめに、1つ目の要素である「金融機関の種類別の金利相場」について見ていきましょう。一般的に、不動産投資ローンの平均的な金利相場は、1%台半ばから2%台後半といわれています(2024年11月時点)。しかし、実際には金融機関の種類によって金利相場は異なります。

これをまとめたのがこちらの表です。それぞれのメリット・デメリットもあわせてご確認ください。 

金融機関の種類 

不動産投資ローンの金利相場 

メリット 

デメリット 

都市銀行(メガバンク) 

1%台前半〜 

金利相場が低い 

審査に通りづらい 

信託銀行 

1%台半ば〜 

金利相場が低い 

店舗数が少ない 

地方銀行 

2%前後〜 

金利相場が比較的低め 

不動産投資に消極的な銀行もある 

信用金庫・信用組合 

2%前後〜 

親身に相談にのってくれる 

営業地域の物件でないと融資を受けることができない 

ノンバンク 

2%半ば〜9%台 

審査のハードルが低い 

金利相場が高い 

 

金融機関を「不動産投資ローンの金利相場が低い順」に上から並べると、このようになります。 

  1. 都市銀行(メガバンク) 

  1. 信託銀行 

  1. 地方銀行 

  1. 信用金庫・信用組合 

  1. ノンバンク 

ただし、この順番は一般的な傾向を示しており、具体的な金利は各金融機関や個別の条件によって異なる場合があります。 

一般的に、金利相場が低い金融機関では、融資の審査が厳しくなる傾向があります。つまり、金利相場が最も低い都市銀行では審査に通りづらい傾向があるということです。 

このように、それぞれの金融機関にはメリットとデメリットがあります。これを理解した上で、自分に合った金融機関の不動産投資ローンを選ぶことが重要です。 

それぞれの金融機関の金利相場や特徴について、詳細を確認しましょう。 

都市銀行(メガバンク)の金利相場:1%台前半〜

都市銀行とは、全国に営業網を持ち、広域で展開する普通銀行を指します。都市銀行の不動産投資ローンは、他の金融機関よりも低金利の傾向があります。銀行免許で見た場合、業態が「都市銀行」とされるのは、以下の4行で金利相場は1%台前半からです。 

  • 三菱UFJ銀行 
  • 三井住友銀行 
  • みずほ銀行 
  • りそな銀行 

上記のうち、りそな銀行を除いた3行は、3大メガバンクとも呼ばれます。 

なお、都市銀行に近い広域な営業エリアを持つ銀行に、銀行免許の区分が「その他」に区分される銀行(あおぞら銀行、SBI新生銀行、イオン銀行など)があります。こちらの金利相場は銀行によって幅があります。 


【参考】金融庁「銀行免許一覧(都市銀行・信託銀行・その他)」2024年8月21日現在 
 

 

【都市銀行の不動産投資ローンの特徴】  

こんな方におすすめ 

・高年収で収入が安定している人 

・地主や資産家 

メリット 

・他の金融機関よりも不動産投資ローンの金利相場が低い 

・不動産投資ローンの借入期間を長めに設定しやすい 

・営業地域が広い 

デメリット 

・融資審査が厳しく、属性が高くないと審査に通りづらい 

・不動産投資ローンに消極的な都市銀行もある 

 

信託銀行の金利相場:1%台半ば〜

信託銀行とは、通常の銀行業務に加えて、以下の2つの業務を行う金融機関です。 

  • 銀行業務:預金や貸付などを行う 
  • 信託業務:顧客の資産を預かって管理・運用をする 
  • 併営業務:顧客に代わって資産の管理・処分をする 

家族やご自身の資産管理を信託銀行に依頼している、または、依頼を検討している方は、信託銀行の不動産投資ローンを利用するのも一案です。金利相場は1%台半ばからと、比較的低めに設定されていることが多いです。 

 

【信託銀行の不動産投資ローンの特徴】 

こんな方におすすめ 

・信託銀行に資産管理を委託している人 

・資産管理の委託を予定している人 

メリット 

・不動産投資ローンの金利相場が低め 

・運用額の多い資産家は金利を優遇してもらいやすい 

デメリット 

・都市銀行と比較すると店舗数が少ない 

 

地方銀行の金利相場:2%前後〜

地方銀行とは、銀行業の免許を持つ金融機関のうち、特定の都道府県を主な営業エリアとする銀行を指します。地方銀行には大きく分けて、旧国立銀行の流れをくむ「第一地方銀行」と、さまざまな経緯から生まれた「第二地方銀行」があります。 

地方銀行の不動産投資ローンの金利相場は、2%前後からが目安です。

各銀行で金利相場が異なるため、いくつかの地方銀行の金利を比較した上で利用するとよいでしょう。 

 

【地方銀行の不動産投資ローンの特徴】 

こんな方におすすめ 

・特定の地方の物件を購入したい人 

・比較的高い属性だが都市銀行の融資に通らない人 

メリット 

・ノンバンクよりも不動産投資ローンの金利相場が低い 

デメリット 

・営業地域外の不動産投資への融資に消極的 

・融資を受けられる物件の場所が限定される 

・購入者の住所(住民票の場所)が限定される 

 

信用金庫、信用組合:2%前後〜

信用金庫や信用組合は、特定の地域に住んでいる人などを会員(組合員)とする金融機関です。融資は原則として会員を対象としていますが、場合によっては、会員以外にも融資が行われることがあります。 

信用金庫や信用組合では、不動産投資への融資も行っています。金利相場は2%前後からと比較的低めです。ただし、これらの金融機関は営業地域内の物件に限って融資を行うなどの要件があるため、購入を考えている物件が対象地域にあるかを確認しましょう。 

 

【信用金庫・信用組合の不動産投資ローンの特徴】 

こんな方におすすめ 

・信用金庫や信用組合の営業地域にある物件を購入したい人 

・信用金庫や信用組合の会員の人 

メリット 

・親身になって相談にのってくれることが多い 

・地域住民であれば、融資を受けやすい 

デメリット 

・原則、営業地域外の不動産投資への融資はできない 

 

ノンバンクの金利相場:2%半ば〜9%台

ノンバンクとは、都市銀行や地方銀行のように預金業務を行わず、融資に特化した金融機関を指します。不動産投資ローンの金利相場の目安は2〜9%台と幅がかなりあります。そのため、ノンバンクの不動産投資ローンを利用する際には、複数の金融機関の金利を比較することが重要です。 

ノンバンクのメリットとして、他の金融機関では融資が難しい場合でも柔軟に対応してくれる傾向があります。ただし、ノンバンクの中でも、クレディセゾンやジャックスなどカード会社が融資先である場合は、融資審査のハードルは地方銀行と同程度となります。 

また、カード会社ではないノンバンクであっても、一定の収入や属性、物件の評価価値がないと審査に通らない場合もあります。また、高めの金利で融資を受ける際には、返済計画を綿密に立て、破綻リスクがないか事前に確認する必要があります。 

 

【ノンバンクの不動産投資ローンの特徴】 

こんな方におすすめ 

・ほかの金融機関の審査に通らない人 

・投資用不動産の購入資金を急いで調達したい人 

メリット 

・融資審査のハードルが低い 

・融資審査の結果が早めに出やすい 

デメリット 

・他の金融機関よりも金利相場が高い 

 

不動産投資ローンの金利が変動する要素:申込者の属性

不動産投資ローンの金利が変動する要素の2つ目は、「申込者の属性」です。不動産投資ローンの融資における属性とは、申込者の社会的背景や経済状況などを指します。その人の属性は複数の項目で判断され、属性が高い人(信用力がある人)は金利や融資額において優遇される可能性があります。

属性を判断する主な項目は以下の通りです。 

  • 勤務先 
  • 業務内容 
  • 年収 
  • 勤続年数 
  • 他のローンの借り入れ状況 
  • 金融資産の保有状況 
  • 健康状態 

それぞれの項目の詳細を確認しましょう。 

 

勤務先

不動産投資ローンの融資において、勤務先の信用力(経営の安定性)は重要な要素です。不動産投資への融資は返済期間が長期にわたることが多く、返済中に契約者の勤める会社が倒産してしまうと貸し倒れリスクが生じる可能性があります。 

「属性が高い」と判断されやすいのは、公務員や東証のプライム市場に上場している企業の正社員などです。高属性の人は、金利相場よりも低い利率で融資を受けられることもあります。 

業務内容

金融機関にとって重要なのは、貸したお金が返ってくることです。そのため、借り手の収入の安定性や将来の雇用リスク・返済能力をより正確に評価するため、勤務先の経営状態だけでなく、業務内容も加味して審査が行われます。 

年収

勤務先の信用力が高く、さらに高年収の人は、不動産投資ローンの金利で優遇されやすいです。これは、不動産投資ローンの審査において、年収が高いほど返済能力が高いと見なされるためです。 

一般的に不動産投資ローンの審査では、融資希望金額がその人の年収の7〜12倍以下(年収倍率7〜12倍以下)であれば、承認されやすいと言われています。例えば、年収が1,000万円の場合、事前審査に通りやすい融資金額は7,000万円から1億2,000万円以下が目安となります。 

勤続年数

勤務先や年収と並んで、不動産投資ローンの審査で重視されるのが「勤続年数」です。一般的に、不動産投資を含む高額のローンの審査では、勤続年数が3年以上ないと承認されにくいと言われます。 

不動産投資ローンの商品説明書には、利用条件として「同一勤務先に3年以上勤務している方」と明記している金融機関もあります。しかし、「勤続年数が3年以上ないと、絶対に不動産投資が始められない」というわけではありません。例えば、上場企業の役職者に転職した場合などは、勤続年数が短くても承認される可能性があります。 

他のローンの借り入れ状況

勤務先や年収・勤続年数が高属性であっても、クレジットカードの利用残高や、カーローン、住宅ローンなどの借入額が多い場合、不動産投資ローンの審査で不利になる可能性があります。また、クレジットカードやローンの支払いで過去に遅延があると、不動産投資ローンの審査で不利になる可能性が高いです。 

金融資産の保有状況

不動産投資ローンの審査では、金融資産の保有状況が評価対象となることがあります。例えば、安全性の高い金融資産である預金や金、債券型の投資信託などを保有している場合などです。 

ただし、「どの資産をどれくらい持っていると審査で有利になるか」については一概には言えない部分があります。 

健康状態

不動産投資ローンでは返済期間が長期にわたるため、融資を受ける人が安定的な収入を得続けることが前提となります。健康状態が良好でなく、働けなくなるリスクが高い場合は、返済能力に及ぼすと判断される場合もあります。 

 

上記に挙げた項目のうち、審査時にどれを重視するかは金融機関によって異なります。その内容は、一般的に公開されることはありません。しかし、多くの金融機関と取引実績がある不動産会社に相談すれば、「どの金融機関が何を重視しているか」についてアドバイスを受けることが可能です。 

不動産投資ローンの金利が変動する要素:金利の種類

不動産投資ローンや住宅ローンには、以下の3種類の金利があります。 

金利の種類 

特徴 

変動金利 

・適用金利が一定期間ごとに見直される 

固定金利特約型 

・条件付の変動金利のこと 

・適用金利が当初一定期間、固定される 

全期間固定型 

・一般的に固定金利というとこれを指す 

・金利が全期間を通して固定される 

 

同じ金融機関の金利相場を比較した場合、最も利率が低いのは変動金利です。それぞれの金利にはメリットとデメリットがあるため、これらを理解した上で金利を選ぶことが重要です。詳細を確認していきましょう。 

 

変動金利

変動金利とは、返済中に適用される金利が一定期間ごと(例:半年ごと、1年ごとなど)に見直されるタイプの金利です。同じ金融機関の金利相場を比較した場合、変動金利は3種類の金利の中で、最も金利相場が低く設定されていることが多いです。 

変動金利といっても、一般的な不動産投資ローンでは、適用金利が上昇した場合でも毎月の返済額がすぐに増えるわけではありません。通常、残債や金利などをもとに5年ごとに毎月の返済額が見直されます。 

 

  • 変動金利のメリット 

3種類の金利を同じ機関、同じタイミングで比較した場合、変動金利の利率が最も低く、直近の返済額を抑えることができます。また、適用金利が現在よりも下がった場合は、毎月の返済額がさらに少なくなり、総返済額を抑えることができます。 

  • 変動金利のデメリット 

金利が上昇している局面では、5年ごとの見直し後に適用される金利が上昇し、返済額が増えるリスクがあります。 

 

固定金利特約型

固定金利特約型とは、変動金利に一定期間の金利を固定にする特約を付けた金利のことです。たとえば、最初の5年間は固定金利を設定し、その後は原則として変動金利に移行するというような条件です(固定金利期間を延長できる場合もあります)。

 

  • 固定金利特約型のメリット 

一定期間の金利を固定できるのが、固定金利特約型の最大のメリットです。金利の先行きが不透明で、変動金利と固定金利のどちらを選ぶべきか迷っている方などに適しています。 

  • 固定金利特約型のデメリット 

固定金利の期間が終了した後の金利が未確定であるため、総返済額を確定できないというデメリットがあります。 

 

全期間固定型

一般的に、固定金利というと、全期間固定型を指します。全期間(超長期)固定型は、借入時の適用金利がそのまま完済時まで変わらずに継続されるのが特徴です。 

 

  • 全期間固定型のメリット 

完済までの金利が確定しているため、毎月の返済額が決まっているという安心感があります。「不確定な要素をなくしたい」と考える人にとって、全機関固定型金利は非常に相性がよいといえるでしょう。。 

  • 全期間固定型のデメリット 

3種類の金利を同じ金融機関で比較した場合、全期間固定型の利率が最も高くなるのが一般的です。そのため、全期間固定型を選ぶと、毎月の返済額や総返済額が他の金利タイプよりも高くなる可能性があります。 このことを考慮すると、将来の金利が上昇する可能性が高いと判断した場合に限り、全期間固定型を選択するのが合理的な選択となるでしょう。 

もう一つのデメリットとして、全期間固定型の不動産投資ローンを提供している金融機関が限られているという点も挙げられます。そのため、全期間固定型を選択したい場合は、使いたい金融機関が全期間固定型を提供しているか、早めに確認しましょう。 

 

不動産投資ローンの異なる種類の金利を比較

実際に、不動産投資ローンの異なる種類の金利相場を比較すると、どれくらいの差があるのでしょうか。一例として、SMBC信託銀行の不動産投資ローンの変動金利と、固定金利特約型(10年)の金利相場を比較すると、以下のようになります。 

  1. 固定金利特約型(10年):2.83% 

  1. 変動金利:1.93% 

    金利差(A-B):0.9% 


【参考】SMBC信託銀行「不動産投資ローン」2024年11月現在
 

※上記の金利は、Aプラン(金利重視プラン)/初回借入金利の内容。この他、SMBC信託銀行では、要件を満たすと金利が優遇されるプランを用意します。 

もう一例、見てみましょう。オリックス銀行の不動産投資ローンの変動金利と固定金利特約型(5年)を比較すると以下のような差になります。 

A:固定金利特約型(5年)/4% 

B:変動金利/3.825% 

   金利差(A-B)/0.175% 


【参考】オリックス銀行「不動産投資ローン」2024年11月1日現在
 

※上記の金利は、11月1日現在の店頭表示金利です。この他、オリックス銀行では、要件を満たすと金利が優遇されるプランがあります。 

 

不動産投資ローンの金利相場が変動する要素:物件の種類 

不動産投資には、アパート、マンション(区分・一棟)、戸建てなどの種類があります。どの物件種別を選ぶかによって、不動産投資ローンの金利相場が変わってくる可能性があります。 

一般的に、不動産投資ローンの金利相場が低い傾向があるのは「区分の新築マンション」です。理由は、区分の新築マンションは法定耐用年数が47年と長く、長期間に渡って資産価値を保つためです。ただし、区分の新築マンション購入で低金利の融資を受けるには、以下のような条件が必要です。 

 

  • 申込者が高属性である 

会社員など、収入が一定以上で安定しているような場合は、金融機関の貸し倒れリスクが少ないため、相場よりも安い金利を適用されやすくなります。 

 

  • 資産価値が高い物件である(好立地にある) 

マンション敷地の地価が上昇基調で、将来的にも資産価値が持続または上昇する見込みがある場合、相場よりも安い金利が適用されやすくなります。 

 

  • 実績のある不動産会社の紹介である 

マンションの開発・販売の実績が豊富な不動産会社から、提携している金融機関を紹介してもらうと、相場よりも優遇された金利を受けられる可能性があります。 

 

木造の一棟アパートは、新築時の法定耐用年数が22年と短いため、金利や融資期間において不利になることが多いです。しかし、アパート経営の実績が豊富で財務内容が良好な場合は、金融機関から高く評価され、相場よりも優遇された金利を受けられることもあります。 

不動産投資ローンの金利別のシミュレーション

不動産投資ローンは借入額が多いため、金利がわずかに変わるだけでトータルの返済額が大きく変わります。たとえば、物件価格や金利が変わると、以下の早見表のように利子の総額が変動します。 

 

【金利・物件価格別、利子の早見表(返済期間35年、元利均等返済の場合)】

金利/物件価格 

2,000万円 

3,000万円 

4,000万円 

5,000万円 

1.35% 

510万6,340 円 

765万9,720 円 

1,021万3,100 円 

1,276万6,480 円 

1.5% 

571万9,120 円 

857万9,100 円 

1,143万8,660 円 

1,429万8,640 円 

1.75% 

676万300 円 

1,014万660 円 

1,352万1,020 円 

1,690万960 円 

2% 

782万5,840 円 

1,173万8,760 円 

1,565万2,100 円 

1,956万5,020 円 

2.5% 

1,002万9,580 円 

1,504万4,160 円 

2,005万9,160 円 

2,507万3,740 円 

3% 

1,232万7,400 円 

1,849万1,100 円 

2,465万4,800 円 

3,081万8,500 円 

4% 

1,719万2,680 円

2,578万9,440 円 

3,438万5,780 円 

4,298万2,540 円 

5% 

2,239万3,540 円 

3,359万520 円 

4,478万7,500 円

5,598万4,060 円 

【使用シミュレーター】金融広報中央委員会 知るぽると「総返済額シミュレーション」 

 

また、以下の条件で不動産投資ローンを利用した場合、毎月の返済額と総返済額が以下のように変わります。 

 

〈借り入れ条件〉 

借入元金:3,000万円 

返済期間:35年間 

返済方法:元利均等返済 

 

金利 

毎月の返済額 

総返済額 

1.5% 

9万1,855 円 

3,857万9,100 円 

2% 

9万9,378 円 

4,173万8,760 円 

2.5% 

10万7,248 円 

4,504万4,160 円 

3% 

11万5,455 円 

4,849万1,100 円 

4% 

13万2,832 円 

5,578万9,440 円 

5% 

15万1,406 円 

6,359万520 円 

【使用シミュレーター】金融広報中央委員会 知るぽると「借入返済額シミュレーション」 

 

不動産投資ローンの金利を抑えるポイント

不動産投資の初心者が陥りやすい失敗の一つは、十分な調査をせずに不動産投資ローンを組んでしまい、結果として高い利息を支払い続けることです。高金利のローンを組むと、毎月の返済額が増加し財務状況が悪化しやすくなります。これを避けるためには、以下のポイントを押さえることが重要です。 

金融機関を紹介してくれる不動産会社を選ぶ 

不動産投資ローンを利用する方法としては、以下の2つの選択肢があります。 

1:不動産会社から提携先の金融機関を紹介してもらう

2:ご自身で金融機関を探す 

不動産投資が初めての場合「1:不動産会社から提携先の金融機関を紹介してもらう」を選ぶとスムーズです。金融機関の信用がある不動産会社であれば、自分で開拓するよりも有利な金利を案内できる場合もあります。 

また、不動産投資で実績がある、または大口の取引をしているなどの条件に該当する方は「2:ご自身で金融機関を探す」を選択してもよいでしょう。 

複数の投資用ローンの金利を比較する

前述のとおり、不動産投資ローンの金利相場は金融機関によって異なります。したがって、ローンを組むときは複数の投資用ローンの金利を必ず比較して検討しましょう。同じ人でも、投資用ローンが異なるだけで金利が大きく変わることも珍しくありません。 

そのため、不動産投資を始める際には、より多くの金融機関と提携している不動産会社を選ぶのが理想的です。そうすることで、多くの選択肢の中から、金利が最も低い投資用ローンを紹介してもらえる可能性が高まります。 

ローン審査前に属性を落とさない

不動産投資ローンの金利相場には、申込者の属性が大きく影響します。これを考慮すると、ローン審査前に属性を維持することが重要です。属性とは、申込者の社会的背景や経済状況などを指し、構成要素には、勤務先、勤続年数、年収、他のローンの借り入れ状況などがあります。 

ローン審査前に属性を落としてしまう行為には、以下のような例があります。 

  • 転職 

勤務継続期間が途切れてしまうため、融資を受ける属性としてはマイナスになります。年収が上がるキャリアアップの場合でも、現職を退職する前に不動産投資の融資を受けておくという戦略も考えられます。 

  • クレジットカードの返済が遅れてしまう 

信用情報が傷つくため、金融機関にとってはマイナスの情報になります。 

  • カーローンや住宅ローンを組む 

融資の枠が圧迫されるため、これ以上は借りられないと金融機関が判断する場合があります。 

このような場合でも、状況によってはローンを組める場合もあります。不動産会社に状況を伝えて、融資を受ける計画を練るとよいでしょう。 

アパートよりもマンションを選ぶ

不動産投資ローンの金利相場は、物件の種類によって異なる場合があります。たとえば、新築の木造アパートとRC造(鉄筋コンクリート造)マンションの金利相場を比較した場合、金融機関や借り手の属性が同じ場合でも、RC造マンションの方が低金利で融資を受けられる可能性が高いです。 

その理由は、両者の法定耐用年数を比べると、RC造マンション(耐用年数47年)の方が木造アパート(耐用年数22年)よりも長いからです。そのため、金融機関から建物の資産価値が高いと判断され、低金利で融資を受けられる可能性があります。さらに、購入するRC造マンションが、金融機関から信用力のあるデベロッパーが開発した物件である場合、不動産投資ローンの金利相場が低い傾向があります。 

一方で、数多くの賃貸物件を経営している実績があり、財務状況が優秀な投資家の場合、金融機関からの信用力が高いため、たとえ物件がアパートであっても、不動産投資ローンの金利が相場よりも低く設定されることがあります。 

不動産投資が初めてで、賃貸経営経験がないような場合は、RC造マンションを選ぶことで金利を抑えることができるでしょう。 

物件購入後にローンを借り換える

不動産投資ローンは、一度借りたら必ずその金利で返し続けなければいけないわけではありません。返済期間中にローンの借り換えを行うことで、物件購入時よりも低金利のローンに組み直せる場合もあります。特に、以下のような条件に当てはまる場合は、借り換えることで返済総額を減らせる場合があります。 

  • 物件購入時よりも金利相場が低くなっている 
  • 提携している金融機関数が少ない不動産会社から物件を購入した 
  • 物件購入時よりも属性が高くなった(例:年収が大幅に増えた) 
  • 新たに物件を購入する予定がある 

ローンの借り換えをしたい場合は、金融機関や不動産会社などに相談してみましょう。 

今後、不動産投資ローンの金利相場はどうなる?

不動産投資のリスクの1つに、金利上昇リスクがあります。一般的な不動産投資では、物件の購入費用を不動産投資ローンでまかない、毎月返済していきます。そのため、金利が上昇すると、月々の返済額が増加し、キャッシュフローが悪化したり、自己負担額が増えたりする可能性があります。 

それだけに、投資家は金利相場に敏感になる必要があります。では、今後の不動産投資ローンを含む金利相場はどうなるのでしょうか? 

2024年7月に朝日新聞社が地方銀行99行を対象に実施したアンケートでは、約7割が「0.5%以下まで」の利上げを予測しています。これを踏まえると、不動産投資ローンの金利は、急激な上昇はないものの緩やかに上昇すると予測されます。 

とはいえ、これは2024年7月時点の予測であり、金利相場は常に変動しています。また、仮に、不動産投資ローンの金利相場が上昇する流れになったとしても、「金利をどれくらい上げるか」の判断は金融機関によって異なります。 

だからこそ、不動産投資家にとって、最新の金利相場について情報を収集し、最善の判断を行うことが経営状況の安定につながります。 

ベルテックスは、数多くの金融機関と不動産投資ローンで提携しており、金利相場の最新情報を常に把握しています。ご相談いただければ有益な情報を提供できますので、ぜひ無料の個別相談サービスをご利用ください。 

まとめ:不動産投資は、融資に強い不動産会社をパートナーに選ぼう 

不動産投資ローンの金利は、主に以下の4つの要素により変動します。変動する主な要素は 

  1. 金融機関の種類別の金利相場 

  1. 契約者の属性 

  1. 金利の種類 

  1. 物件の種類 

「1.金融機関の種類別の金利相場」については、金利相場が最も低いのは都市銀行で、次点で低いのは信託銀行や地方銀行でした。また、「2.契約者の属性」については、勤務先が安定しており、高収入かつ勤続年数が長い人は、相場よりも低金利で不動産投資ローンを利用できる可能性があります。 

「3.金利の種類」では変動金利が最も金利が低く、「4.物件の種類」では、アパートよりも区分マンションの方が不動産投資ローンの金利で優位と考えられます。 

シミュレーションで見たように、不動産投資ローンは金利がわずかに違うだけで、返済額が大きく異なります。不動産投資で成功するには「金利をいかに抑えるか」が重要ですので、提携している金融機関の多い「融資に強い不動産会社」をビジネスパートナーに選ぶことをおすすめします。 

この記事を監修した人

宮川 真一

税理士 税理士法人みらいサクセスパートナーズ 代表

岐阜県大垣市出身。一橋大学商学部を1996年に卒業後、1997年より税理士としてのキャリアをスタート。25年以上の経験を持ち、税務や財務に関する深い知識を生かし、1級FP技能士、CFP®、宅地建物取引士資格も取得。企業の取締役や監査役としても幅広く活躍し、財務コンサルティングや資産管理のエキスパートとして信頼を集めている。

この記事を書いた人

ベルテックスコラム事務局

不動産コンサルタント・税理士

不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。

2025.01.10

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不動産投資ローンの金利相場は?金融機関別や属性など金利が変動する要素を解説

  • はじめ方・基礎知識
  • 日本の現状
  • 融資・ローン

賃貸物件の購入や、不動産投資ローンの借り換えを検討する際、「この金利が高いのか、安いのか」と、金利の相場が気になるのではないでしょうか。

金利相場は、金融機関や金利の種類によって異なります。ここではその詳細について解説します。 

 

※不動産投資ローンは、金融機関によって名称が異なる場合があります(例:アパート・マンションローンなど)。本稿ではこれらを総称して「不動産投資ローン」と表記しています。 

 

【金融機関の種類別】不動産投資ローンの金利相場の目安

不動産投資ローンの金利が変動する主な要素は、以下の4つです。 

 

  • 金融機関の種類別の金利相場 
  • 申込者の属性 
  • 金利の種類 
  • 物件の種類 

 

はじめに、1つ目の要素である「金融機関の種類別の金利相場」について見ていきましょう。一般的に、不動産投資ローンの平均的な金利相場は、1%台半ばから2%台後半といわれています(2024年11月時点)。しかし、実際には金融機関の種類によって金利相場は異なります。

これをまとめたのがこちらの表です。それぞれのメリット・デメリットもあわせてご確認ください。 

金融機関の種類 

不動産投資ローンの金利相場 

メリット 

デメリット 

都市銀行(メガバンク) 

1%台前半〜 

金利相場が低い 

審査に通りづらい 

信託銀行 

1%台半ば〜 

金利相場が低い 

店舗数が少ない 

地方銀行 

2%前後〜 

金利相場が比較的低め 

不動産投資に消極的な銀行もある 

信用金庫・信用組合 

2%前後〜 

親身に相談にのってくれる 

営業地域の物件でないと融資を受けることができない 

ノンバンク 

2%半ば〜9%台 

審査のハードルが低い 

金利相場が高い 

 

金融機関を「不動産投資ローンの金利相場が低い順」に上から並べると、このようになります。 

  1. 都市銀行(メガバンク) 

  1. 信託銀行 

  1. 地方銀行 

  1. 信用金庫・信用組合 

  1. ノンバンク 

ただし、この順番は一般的な傾向を示しており、具体的な金利は各金融機関や個別の条件によって異なる場合があります。 

一般的に、金利相場が低い金融機関では、融資の審査が厳しくなる傾向があります。つまり、金利相場が最も低い都市銀行では審査に通りづらい傾向があるということです。 

このように、それぞれの金融機関にはメリットとデメリットがあります。これを理解した上で、自分に合った金融機関の不動産投資ローンを選ぶことが重要です。 

それぞれの金融機関の金利相場や特徴について、詳細を確認しましょう。 

都市銀行(メガバンク)の金利相場:1%台前半〜

都市銀行とは、全国に営業網を持ち、広域で展開する普通銀行を指します。都市銀行の不動産投資ローンは、他の金融機関よりも低金利の傾向があります。銀行免許で見た場合、業態が「都市銀行」とされるのは、以下の4行で金利相場は1%台前半からです。 

  • 三菱UFJ銀行 
  • 三井住友銀行 
  • みずほ銀行 
  • りそな銀行 

上記のうち、りそな銀行を除いた3行は、3大メガバンクとも呼ばれます。 

なお、都市銀行に近い広域な営業エリアを持つ銀行に、銀行免許の区分が「その他」に区分される銀行(あおぞら銀行、SBI新生銀行、イオン銀行など)があります。こちらの金利相場は銀行によって幅があります。 


【参考】金融庁「銀行免許一覧(都市銀行・信託銀行・その他)」2024年8月21日現在 
 

 

【都市銀行の不動産投資ローンの特徴】  

こんな方におすすめ 

・高年収で収入が安定している人 

・地主や資産家 

メリット 

・他の金融機関よりも不動産投資ローンの金利相場が低い 

・不動産投資ローンの借入期間を長めに設定しやすい 

・営業地域が広い 

デメリット 

・融資審査が厳しく、属性が高くないと審査に通りづらい 

・不動産投資ローンに消極的な都市銀行もある 

 

信託銀行の金利相場:1%台半ば〜

信託銀行とは、通常の銀行業務に加えて、以下の2つの業務を行う金融機関です。 

  • 銀行業務:預金や貸付などを行う 
  • 信託業務:顧客の資産を預かって管理・運用をする 
  • 併営業務:顧客に代わって資産の管理・処分をする 

家族やご自身の資産管理を信託銀行に依頼している、または、依頼を検討している方は、信託銀行の不動産投資ローンを利用するのも一案です。金利相場は1%台半ばからと、比較的低めに設定されていることが多いです。 

 

【信託銀行の不動産投資ローンの特徴】 

こんな方におすすめ 

・信託銀行に資産管理を委託している人 

・資産管理の委託を予定している人 

メリット 

・不動産投資ローンの金利相場が低め 

・運用額の多い資産家は金利を優遇してもらいやすい 

デメリット 

・都市銀行と比較すると店舗数が少ない 

 

地方銀行の金利相場:2%前後〜

地方銀行とは、銀行業の免許を持つ金融機関のうち、特定の都道府県を主な営業エリアとする銀行を指します。地方銀行には大きく分けて、旧国立銀行の流れをくむ「第一地方銀行」と、さまざまな経緯から生まれた「第二地方銀行」があります。 

地方銀行の不動産投資ローンの金利相場は、2%前後からが目安です。

各銀行で金利相場が異なるため、いくつかの地方銀行の金利を比較した上で利用するとよいでしょう。 

 

【地方銀行の不動産投資ローンの特徴】 

こんな方におすすめ 

・特定の地方の物件を購入したい人 

・比較的高い属性だが都市銀行の融資に通らない人 

メリット 

・ノンバンクよりも不動産投資ローンの金利相場が低い 

デメリット 

・営業地域外の不動産投資への融資に消極的 

・融資を受けられる物件の場所が限定される 

・購入者の住所(住民票の場所)が限定される 

 

信用金庫、信用組合:2%前後〜

信用金庫や信用組合は、特定の地域に住んでいる人などを会員(組合員)とする金融機関です。融資は原則として会員を対象としていますが、場合によっては、会員以外にも融資が行われることがあります。 

信用金庫や信用組合では、不動産投資への融資も行っています。金利相場は2%前後からと比較的低めです。ただし、これらの金融機関は営業地域内の物件に限って融資を行うなどの要件があるため、購入を考えている物件が対象地域にあるかを確認しましょう。 

 

【信用金庫・信用組合の不動産投資ローンの特徴】 

こんな方におすすめ 

・信用金庫や信用組合の営業地域にある物件を購入したい人 

・信用金庫や信用組合の会員の人 

メリット 

・親身になって相談にのってくれることが多い 

・地域住民であれば、融資を受けやすい 

デメリット 

・原則、営業地域外の不動産投資への融資はできない 

 

ノンバンクの金利相場:2%半ば〜9%台

ノンバンクとは、都市銀行や地方銀行のように預金業務を行わず、融資に特化した金融機関を指します。不動産投資ローンの金利相場の目安は2〜9%台と幅がかなりあります。そのため、ノンバンクの不動産投資ローンを利用する際には、複数の金融機関の金利を比較することが重要です。 

ノンバンクのメリットとして、他の金融機関では融資が難しい場合でも柔軟に対応してくれる傾向があります。ただし、ノンバンクの中でも、クレディセゾンやジャックスなどカード会社が融資先である場合は、融資審査のハードルは地方銀行と同程度となります。 

また、カード会社ではないノンバンクであっても、一定の収入や属性、物件の評価価値がないと審査に通らない場合もあります。また、高めの金利で融資を受ける際には、返済計画を綿密に立て、破綻リスクがないか事前に確認する必要があります。 

 

【ノンバンクの不動産投資ローンの特徴】 

こんな方におすすめ 

・ほかの金融機関の審査に通らない人 

・投資用不動産の購入資金を急いで調達したい人 

メリット 

・融資審査のハードルが低い 

・融資審査の結果が早めに出やすい 

デメリット 

・他の金融機関よりも金利相場が高い 

 

不動産投資ローンの金利が変動する要素:申込者の属性

不動産投資ローンの金利が変動する要素の2つ目は、「申込者の属性」です。不動産投資ローンの融資における属性とは、申込者の社会的背景や経済状況などを指します。その人の属性は複数の項目で判断され、属性が高い人(信用力がある人)は金利や融資額において優遇される可能性があります。

属性を判断する主な項目は以下の通りです。 

  • 勤務先 
  • 業務内容 
  • 年収 
  • 勤続年数 
  • 他のローンの借り入れ状況 
  • 金融資産の保有状況 
  • 健康状態 

それぞれの項目の詳細を確認しましょう。 

 

勤務先

不動産投資ローンの融資において、勤務先の信用力(経営の安定性)は重要な要素です。不動産投資への融資は返済期間が長期にわたることが多く、返済中に契約者の勤める会社が倒産してしまうと貸し倒れリスクが生じる可能性があります。 

「属性が高い」と判断されやすいのは、公務員や東証のプライム市場に上場している企業の正社員などです。高属性の人は、金利相場よりも低い利率で融資を受けられることもあります。 

業務内容

金融機関にとって重要なのは、貸したお金が返ってくることです。そのため、借り手の収入の安定性や将来の雇用リスク・返済能力をより正確に評価するため、勤務先の経営状態だけでなく、業務内容も加味して審査が行われます。 

年収

勤務先の信用力が高く、さらに高年収の人は、不動産投資ローンの金利で優遇されやすいです。これは、不動産投資ローンの審査において、年収が高いほど返済能力が高いと見なされるためです。 

一般的に不動産投資ローンの審査では、融資希望金額がその人の年収の7〜12倍以下(年収倍率7〜12倍以下)であれば、承認されやすいと言われています。例えば、年収が1,000万円の場合、事前審査に通りやすい融資金額は7,000万円から1億2,000万円以下が目安となります。 

勤続年数

勤務先や年収と並んで、不動産投資ローンの審査で重視されるのが「勤続年数」です。一般的に、不動産投資を含む高額のローンの審査では、勤続年数が3年以上ないと承認されにくいと言われます。 

不動産投資ローンの商品説明書には、利用条件として「同一勤務先に3年以上勤務している方」と明記している金融機関もあります。しかし、「勤続年数が3年以上ないと、絶対に不動産投資が始められない」というわけではありません。例えば、上場企業の役職者に転職した場合などは、勤続年数が短くても承認される可能性があります。 

他のローンの借り入れ状況

勤務先や年収・勤続年数が高属性であっても、クレジットカードの利用残高や、カーローン、住宅ローンなどの借入額が多い場合、不動産投資ローンの審査で不利になる可能性があります。また、クレジットカードやローンの支払いで過去に遅延があると、不動産投資ローンの審査で不利になる可能性が高いです。 

金融資産の保有状況

不動産投資ローンの審査では、金融資産の保有状況が評価対象となることがあります。例えば、安全性の高い金融資産である預金や金、債券型の投資信託などを保有している場合などです。 

ただし、「どの資産をどれくらい持っていると審査で有利になるか」については一概には言えない部分があります。 

健康状態

不動産投資ローンでは返済期間が長期にわたるため、融資を受ける人が安定的な収入を得続けることが前提となります。健康状態が良好でなく、働けなくなるリスクが高い場合は、返済能力に及ぼすと判断される場合もあります。 

 

上記に挙げた項目のうち、審査時にどれを重視するかは金融機関によって異なります。その内容は、一般的に公開されることはありません。しかし、多くの金融機関と取引実績がある不動産会社に相談すれば、「どの金融機関が何を重視しているか」についてアドバイスを受けることが可能です。 

不動産投資ローンの金利が変動する要素:金利の種類

不動産投資ローンや住宅ローンには、以下の3種類の金利があります。 

金利の種類 

特徴 

変動金利 

・適用金利が一定期間ごとに見直される 

固定金利特約型 

・条件付の変動金利のこと 

・適用金利が当初一定期間、固定される 

全期間固定型 

・一般的に固定金利というとこれを指す 

・金利が全期間を通して固定される 

 

同じ金融機関の金利相場を比較した場合、最も利率が低いのは変動金利です。それぞれの金利にはメリットとデメリットがあるため、これらを理解した上で金利を選ぶことが重要です。詳細を確認していきましょう。 

 

変動金利

変動金利とは、返済中に適用される金利が一定期間ごと(例:半年ごと、1年ごとなど)に見直されるタイプの金利です。同じ金融機関の金利相場を比較した場合、変動金利は3種類の金利の中で、最も金利相場が低く設定されていることが多いです。 

変動金利といっても、一般的な不動産投資ローンでは、適用金利が上昇した場合でも毎月の返済額がすぐに増えるわけではありません。通常、残債や金利などをもとに5年ごとに毎月の返済額が見直されます。 

 

  • 変動金利のメリット 

3種類の金利を同じ機関、同じタイミングで比較した場合、変動金利の利率が最も低く、直近の返済額を抑えることができます。また、適用金利が現在よりも下がった場合は、毎月の返済額がさらに少なくなり、総返済額を抑えることができます。 

  • 変動金利のデメリット 

金利が上昇している局面では、5年ごとの見直し後に適用される金利が上昇し、返済額が増えるリスクがあります。 

 

固定金利特約型

固定金利特約型とは、変動金利に一定期間の金利を固定にする特約を付けた金利のことです。たとえば、最初の5年間は固定金利を設定し、その後は原則として変動金利に移行するというような条件です(固定金利期間を延長できる場合もあります)。

 

  • 固定金利特約型のメリット 

一定期間の金利を固定できるのが、固定金利特約型の最大のメリットです。金利の先行きが不透明で、変動金利と固定金利のどちらを選ぶべきか迷っている方などに適しています。 

  • 固定金利特約型のデメリット 

固定金利の期間が終了した後の金利が未確定であるため、総返済額を確定できないというデメリットがあります。 

 

全期間固定型

一般的に、固定金利というと、全期間固定型を指します。全期間(超長期)固定型は、借入時の適用金利がそのまま完済時まで変わらずに継続されるのが特徴です。 

 

  • 全期間固定型のメリット 

完済までの金利が確定しているため、毎月の返済額が決まっているという安心感があります。「不確定な要素をなくしたい」と考える人にとって、全機関固定型金利は非常に相性がよいといえるでしょう。。 

  • 全期間固定型のデメリット 

3種類の金利を同じ金融機関で比較した場合、全期間固定型の利率が最も高くなるのが一般的です。そのため、全期間固定型を選ぶと、毎月の返済額や総返済額が他の金利タイプよりも高くなる可能性があります。 このことを考慮すると、将来の金利が上昇する可能性が高いと判断した場合に限り、全期間固定型を選択するのが合理的な選択となるでしょう。 

もう一つのデメリットとして、全期間固定型の不動産投資ローンを提供している金融機関が限られているという点も挙げられます。そのため、全期間固定型を選択したい場合は、使いたい金融機関が全期間固定型を提供しているか、早めに確認しましょう。 

 

不動産投資ローンの異なる種類の金利を比較

実際に、不動産投資ローンの異なる種類の金利相場を比較すると、どれくらいの差があるのでしょうか。一例として、SMBC信託銀行の不動産投資ローンの変動金利と、固定金利特約型(10年)の金利相場を比較すると、以下のようになります。 

  1. 固定金利特約型(10年):2.83% 

  1. 変動金利:1.93% 

    金利差(A-B):0.9% 


【参考】SMBC信託銀行「不動産投資ローン」2024年11月現在
 

※上記の金利は、Aプラン(金利重視プラン)/初回借入金利の内容。この他、SMBC信託銀行では、要件を満たすと金利が優遇されるプランを用意します。 

もう一例、見てみましょう。オリックス銀行の不動産投資ローンの変動金利と固定金利特約型(5年)を比較すると以下のような差になります。 

A:固定金利特約型(5年)/4% 

B:変動金利/3.825% 

   金利差(A-B)/0.175% 


【参考】オリックス銀行「不動産投資ローン」2024年11月1日現在
 

※上記の金利は、11月1日現在の店頭表示金利です。この他、オリックス銀行では、要件を満たすと金利が優遇されるプランがあります。 

 

不動産投資ローンの金利相場が変動する要素:物件の種類 

不動産投資には、アパート、マンション(区分・一棟)、戸建てなどの種類があります。どの物件種別を選ぶかによって、不動産投資ローンの金利相場が変わってくる可能性があります。 

一般的に、不動産投資ローンの金利相場が低い傾向があるのは「区分の新築マンション」です。理由は、区分の新築マンションは法定耐用年数が47年と長く、長期間に渡って資産価値を保つためです。ただし、区分の新築マンション購入で低金利の融資を受けるには、以下のような条件が必要です。 

 

  • 申込者が高属性である 

会社員など、収入が一定以上で安定しているような場合は、金融機関の貸し倒れリスクが少ないため、相場よりも安い金利を適用されやすくなります。 

 

  • 資産価値が高い物件である(好立地にある) 

マンション敷地の地価が上昇基調で、将来的にも資産価値が持続または上昇する見込みがある場合、相場よりも安い金利が適用されやすくなります。 

 

  • 実績のある不動産会社の紹介である 

マンションの開発・販売の実績が豊富な不動産会社から、提携している金融機関を紹介してもらうと、相場よりも優遇された金利を受けられる可能性があります。 

 

木造の一棟アパートは、新築時の法定耐用年数が22年と短いため、金利や融資期間において不利になることが多いです。しかし、アパート経営の実績が豊富で財務内容が良好な場合は、金融機関から高く評価され、相場よりも優遇された金利を受けられることもあります。 

不動産投資ローンの金利別のシミュレーション

不動産投資ローンは借入額が多いため、金利がわずかに変わるだけでトータルの返済額が大きく変わります。たとえば、物件価格や金利が変わると、以下の早見表のように利子の総額が変動します。 

 

【金利・物件価格別、利子の早見表(返済期間35年、元利均等返済の場合)】

金利/物件価格 

2,000万円 

3,000万円 

4,000万円 

5,000万円 

1.35% 

510万6,340 円 

765万9,720 円 

1,021万3,100 円 

1,276万6,480 円 

1.5% 

571万9,120 円 

857万9,100 円 

1,143万8,660 円 

1,429万8,640 円 

1.75% 

676万300 円 

1,014万660 円 

1,352万1,020 円 

1,690万960 円 

2% 

782万5,840 円 

1,173万8,760 円 

1,565万2,100 円 

1,956万5,020 円 

2.5% 

1,002万9,580 円 

1,504万4,160 円 

2,005万9,160 円 

2,507万3,740 円 

3% 

1,232万7,400 円 

1,849万1,100 円 

2,465万4,800 円 

3,081万8,500 円 

4% 

1,719万2,680 円

2,578万9,440 円 

3,438万5,780 円 

4,298万2,540 円 

5% 

2,239万3,540 円 

3,359万520 円 

4,478万7,500 円

5,598万4,060 円 

【使用シミュレーター】金融広報中央委員会 知るぽると「総返済額シミュレーション」 

 

また、以下の条件で不動産投資ローンを利用した場合、毎月の返済額と総返済額が以下のように変わります。 

 

〈借り入れ条件〉 

借入元金:3,000万円 

返済期間:35年間 

返済方法:元利均等返済 

 

金利 

毎月の返済額 

総返済額 

1.5% 

9万1,855 円 

3,857万9,100 円 

2% 

9万9,378 円 

4,173万8,760 円 

2.5% 

10万7,248 円 

4,504万4,160 円 

3% 

11万5,455 円 

4,849万1,100 円 

4% 

13万2,832 円 

5,578万9,440 円 

5% 

15万1,406 円 

6,359万520 円 

【使用シミュレーター】金融広報中央委員会 知るぽると「借入返済額シミュレーション」 

 

不動産投資ローンの金利を抑えるポイント

不動産投資の初心者が陥りやすい失敗の一つは、十分な調査をせずに不動産投資ローンを組んでしまい、結果として高い利息を支払い続けることです。高金利のローンを組むと、毎月の返済額が増加し財務状況が悪化しやすくなります。これを避けるためには、以下のポイントを押さえることが重要です。 

金融機関を紹介してくれる不動産会社を選ぶ 

不動産投資ローンを利用する方法としては、以下の2つの選択肢があります。 

1:不動産会社から提携先の金融機関を紹介してもらう

2:ご自身で金融機関を探す 

不動産投資が初めての場合「1:不動産会社から提携先の金融機関を紹介してもらう」を選ぶとスムーズです。金融機関の信用がある不動産会社であれば、自分で開拓するよりも有利な金利を案内できる場合もあります。 

また、不動産投資で実績がある、または大口の取引をしているなどの条件に該当する方は「2:ご自身で金融機関を探す」を選択してもよいでしょう。 

複数の投資用ローンの金利を比較する

前述のとおり、不動産投資ローンの金利相場は金融機関によって異なります。したがって、ローンを組むときは複数の投資用ローンの金利を必ず比較して検討しましょう。同じ人でも、投資用ローンが異なるだけで金利が大きく変わることも珍しくありません。 

そのため、不動産投資を始める際には、より多くの金融機関と提携している不動産会社を選ぶのが理想的です。そうすることで、多くの選択肢の中から、金利が最も低い投資用ローンを紹介してもらえる可能性が高まります。 

ローン審査前に属性を落とさない

不動産投資ローンの金利相場には、申込者の属性が大きく影響します。これを考慮すると、ローン審査前に属性を維持することが重要です。属性とは、申込者の社会的背景や経済状況などを指し、構成要素には、勤務先、勤続年数、年収、他のローンの借り入れ状況などがあります。 

ローン審査前に属性を落としてしまう行為には、以下のような例があります。 

  • 転職 

勤務継続期間が途切れてしまうため、融資を受ける属性としてはマイナスになります。年収が上がるキャリアアップの場合でも、現職を退職する前に不動産投資の融資を受けておくという戦略も考えられます。 

  • クレジットカードの返済が遅れてしまう 

信用情報が傷つくため、金融機関にとってはマイナスの情報になります。 

  • カーローンや住宅ローンを組む 

融資の枠が圧迫されるため、これ以上は借りられないと金融機関が判断する場合があります。 

このような場合でも、状況によってはローンを組める場合もあります。不動産会社に状況を伝えて、融資を受ける計画を練るとよいでしょう。 

アパートよりもマンションを選ぶ

不動産投資ローンの金利相場は、物件の種類によって異なる場合があります。たとえば、新築の木造アパートとRC造(鉄筋コンクリート造)マンションの金利相場を比較した場合、金融機関や借り手の属性が同じ場合でも、RC造マンションの方が低金利で融資を受けられる可能性が高いです。 

その理由は、両者の法定耐用年数を比べると、RC造マンション(耐用年数47年)の方が木造アパート(耐用年数22年)よりも長いからです。そのため、金融機関から建物の資産価値が高いと判断され、低金利で融資を受けられる可能性があります。さらに、購入するRC造マンションが、金融機関から信用力のあるデベロッパーが開発した物件である場合、不動産投資ローンの金利相場が低い傾向があります。 

一方で、数多くの賃貸物件を経営している実績があり、財務状況が優秀な投資家の場合、金融機関からの信用力が高いため、たとえ物件がアパートであっても、不動産投資ローンの金利が相場よりも低く設定されることがあります。 

不動産投資が初めてで、賃貸経営経験がないような場合は、RC造マンションを選ぶことで金利を抑えることができるでしょう。 

物件購入後にローンを借り換える

不動産投資ローンは、一度借りたら必ずその金利で返し続けなければいけないわけではありません。返済期間中にローンの借り換えを行うことで、物件購入時よりも低金利のローンに組み直せる場合もあります。特に、以下のような条件に当てはまる場合は、借り換えることで返済総額を減らせる場合があります。 

  • 物件購入時よりも金利相場が低くなっている 
  • 提携している金融機関数が少ない不動産会社から物件を購入した 
  • 物件購入時よりも属性が高くなった(例:年収が大幅に増えた) 
  • 新たに物件を購入する予定がある 

ローンの借り換えをしたい場合は、金融機関や不動産会社などに相談してみましょう。 

今後、不動産投資ローンの金利相場はどうなる?

不動産投資のリスクの1つに、金利上昇リスクがあります。一般的な不動産投資では、物件の購入費用を不動産投資ローンでまかない、毎月返済していきます。そのため、金利が上昇すると、月々の返済額が増加し、キャッシュフローが悪化したり、自己負担額が増えたりする可能性があります。 

それだけに、投資家は金利相場に敏感になる必要があります。では、今後の不動産投資ローンを含む金利相場はどうなるのでしょうか? 

2024年7月に朝日新聞社が地方銀行99行を対象に実施したアンケートでは、約7割が「0.5%以下まで」の利上げを予測しています。これを踏まえると、不動産投資ローンの金利は、急激な上昇はないものの緩やかに上昇すると予測されます。 

とはいえ、これは2024年7月時点の予測であり、金利相場は常に変動しています。また、仮に、不動産投資ローンの金利相場が上昇する流れになったとしても、「金利をどれくらい上げるか」の判断は金融機関によって異なります。 

だからこそ、不動産投資家にとって、最新の金利相場について情報を収集し、最善の判断を行うことが経営状況の安定につながります。 

ベルテックスは、数多くの金融機関と不動産投資ローンで提携しており、金利相場の最新情報を常に把握しています。ご相談いただければ有益な情報を提供できますので、ぜひ無料の個別相談サービスをご利用ください。 

まとめ:不動産投資は、融資に強い不動産会社をパートナーに選ぼう 

不動産投資ローンの金利は、主に以下の4つの要素により変動します。変動する主な要素は 

  1. 金融機関の種類別の金利相場 

  1. 契約者の属性 

  1. 金利の種類 

  1. 物件の種類 

「1.金融機関の種類別の金利相場」については、金利相場が最も低いのは都市銀行で、次点で低いのは信託銀行や地方銀行でした。また、「2.契約者の属性」については、勤務先が安定しており、高収入かつ勤続年数が長い人は、相場よりも低金利で不動産投資ローンを利用できる可能性があります。 

「3.金利の種類」では変動金利が最も金利が低く、「4.物件の種類」では、アパートよりも区分マンションの方が不動産投資ローンの金利で優位と考えられます。 

シミュレーションで見たように、不動産投資ローンは金利がわずかに違うだけで、返済額が大きく異なります。不動産投資で成功するには「金利をいかに抑えるか」が重要ですので、提携している金融機関の多い「融資に強い不動産会社」をビジネスパートナーに選ぶことをおすすめします。 

この記事を監修した人

宮川 真一

税理士 税理士法人みらいサクセスパートナーズ 代表

岐阜県大垣市出身。一橋大学商学部を1996年に卒業後、1997年より税理士としてのキャリアをスタート。25年以上の経験を持ち、税務や財務に関する深い知識を生かし、1級FP技能士、CFP®、宅地建物取引士資格も取得。企業の取締役や監査役としても幅広く活躍し、財務コンサルティングや資産管理のエキスパートとして信頼を集めている。

この記事を書いた人

ベルテックスコラム事務局

不動産コンサルタント・税理士

不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。