2025.03.07

資産運用

ベルテックスコラム事務局

不動産投資で駐車場はおすすめ?一棟投資と比較したメリット・デメリットとは

  • メリット
  • 年収・収入

土地を活用しようと検討していて、駐車場投資に興味のある方も多いでしょう。大規模な土地が必要なく、設備投資もそれほどかからないのはメリットといえます。

ただし、収益性の低さ、違法駐車や利用者のトラブルなどリスクも多く、アパートなどの一棟投資のほうが向いているケースが多いです。 

駐車場投資に向いているのは以下のような場合です。 

  • もともと土地を所有している 

  • 所有する土地が狭い、または形がいびつ 

この記事では、駐車場投資の仕組み、メリット・デメリットを解説します。土地を活用して収入を得たい方、節税したい方はぜひ参考にしてください。 

不動産投資で駐車場を運営する仕組み

駐車場の運営は大きく分けて、コインパーキングと月極駐車場の2種類があります。それぞれの仕組みを見ていきましょう。 

コインパーキング

コインパーキングは、不特定多数の利用者から利用時間分の料金を徴収することで利益を得る駐車場投資です。一時的な駐車のために利用する方をターゲットにできます。 

コインパーキングは周辺環境や料金設定などで売上や利益が大きく変わります。たとえばコンサート会場などが近くにあると売上が伸びやすいでしょう。ただし、精算機などを設置する必要があるため、初期費用はやや高くなります。 

コインパーキングの運営は、運営会社に委託できます。運営会社は24時間管理や近隣との連携など、オーナーに代わって事務作業を請け負います。ただし、運営会社に委託する場合は売上から一定割合の管理委託料を支払う必要があることに留意しましょう。 

月極駐車場

月極駐車場は、一か月単位で駐車場を貸し出して利益を上げる仕組みの投資です。長期的な契約を締結するため、コインパーキングより安定収入を得られます。 

精算機などを設置する必要はなく、初期費用や手間は少ないのもメリットです。ただし、一時的な駐車ユーザーは獲得できないため、長期契約をしてくれる借主が見つからないと、収入は入ってきません。 

駐車場投資のメリット

駐車場投資は手軽で実践しやすいといわれ、投資初心者も注目しています。どのような点にメリットがあるのかを見ていきましょう。 

初期費用を抑えられる

駐車場投資は、不動産投資のなかでも初期費用を抑えられる方法の1つです。アパートやマンションなどのような建物を建築する必要がなく、料金支払い用の機械も月極駐車場であれば不要です。 

コインパーキングの場合も、運営会社に借り上げをしてもらえば設備費用はかかりません(土地の整備費などの初期費用を除く)。土地を所有している方なら、ローコストで始められるでしょう。 

狭い土地・いびつな形の土地を活用できる

アパートやマンションを建てる場合、ある程度の広さの土地が必要です。土地の形がいびつな場合、建物を建てるのが難しい場合もあります。 

駐車場であれば、車が数台程度駐車できる規模の土地であれば投資を始めることが可能です。狭い土地でも、都心部など需要の高い地域なら安定収入を得られる見込みがあります。 

駐車場投資のデメリット

手軽で始めやすいといわれる駐車場投資ですが、デメリットもあります。具体的には以下の4つです。 

  • 価格競争が激しい 

  • 収益性が低い 

  • 減価償却ができるものが少なく、節税になりにくい 

  • 固定資産税や相続税の扱いで不利になる 

価格競争が激しい

駐車場経営は手軽に始めやすいため、他の人も多く参入してきます。駐車需要を見込める立地の場合、同じような駐車場が近くにできやすい傾向です。 

駐車場はサービス面で差別化することが困難なため、顧客の獲得のために価格競争が起こりやすくなります。周辺の価格競争によって利用料金を下げざるを得ない場合、収益が低下する可能性があります。 

収益性が低い

価格競争の激化もありますが、駐車場はもともと不動産投資では収益性が低い手法です。その理由は、上階を作るのが難しいからで、立体駐車場でないと収容台数を増やせません。 

駐車場投資は少ない初期費用で始められるのがメリットのため、最初から多額の費用をかけて立体駐車場にするケースは少数です。これに対して、マンションやアパートは上階を作り、1フロア分以上の収益を得られるため、平面駐車場より効率よく収入を得られます。 

また、コインパーキング・月極駐車場のいずれも、稼働率が収益に直結するのも課題です。立地などの条件がよくないとなかなか利用されず、期待していたほど収益が上がらないおそれがあります。 

減価償却ができるものが少なく、節税になりにくい

不動産投資では、節税のために「減価償却」が重要です。減価償却とは、何年間かにわたって費用を計上し、資産価値を減少させていくことをいいます。減価償却の費用を計上することで収益を少なくし、その分税金の負担を減らせます。 

しかし、駐車場投資の場合、減価償却できるものがそれほどありません。土地は劣化せず資産価値が下がらないため、減価償却が不可能です。建物を立てないため、建物の減価償却もできません。 

駐車場で減価償却ができるのは、料金精算機や防犯カメラなどで取得費が10万円以上のものに限られるため、一棟投資と比べて節税効果は薄いといえるでしょう。

固定資産税や相続税での扱いで不利になる

減価償却に加えて、駐車場投資は、固定資産税や相続税の節税でも不利になります。駐車場は更地として扱われますが、更地の場合には減税制度がありません。 

マンションやアパートなどが建っていれば「住宅用地」としての優遇措置が受けられますが、駐車場の場合は適用されず、評価額の満額が課税されます。ゆえに、駐車場は節税には向いていません。 

駐車場投資に関するリスク

駐車場ならほったらかしでも儲かると考える方もいるかもしれません。しかし実際には、駐車場特有のリスクもあり、ほったらかしにはできず、以下のような対策をする必要があります。 

無断駐車

1つ目は、無断で駐車されてしまうリスクで、土地の所有者や管理者の同意を得ずに勝手に駐車されてしまうことがありえます。とくにコインパーキングで無断駐車が多く見られます。 

公道での無断駐車の場合、警察に通報して車を移動させることができます。しかし、駐車場は私有地であり、道路交通法が適用されないため、強制的に移動させることはできません。駐車場の経営者が車を自分で移動させると、不法行為とみなされてしまいます。 

無断駐車を避けるには、防犯カメラなど管理システムや設備を導入する必要があり、追加のコストが発生します。管理会社に委託するのではなく、自分の目で確認する場合、常に監視していなくてはなりませんので、会社員など忙しい方にとっては現実的ではないでしょう。 

不正駐車

不正駐車とは、決められた場所に駐車しない駐車のことです。たとえば月極駐車場で契約をすると、各契約者は駐車するスペースが指定されますが、出入り口に近いなどの理由で、勝手に他の場所に駐車するケースがあります。 

不正駐車によって契約者同士のトラブルが発生したり、他の駐車スペースに侵入することで駐車できる台数が減少したりするおそれがあります。 

不正駐車も無断駐車と同様、防止するには監視システムを備えた設備の導入が必要です。 

料金の滞納

月極駐車場の場合、料金が滞納されてしまうリスクもあります。滞納されてしまうと収入が入ってこないため、投資の収益に直接悪影響を及ぼします。小規模な駐車場では、未払いの状態が続くと資金繰りが悪化し、経営が続けられなくなることも。 

滞納が発覚したら、契約者にすぐ連絡して支払うよう督促をすることが必要です。支払いの意思があるかを確認し、ある場合は分割払いや支払期日の提示、誓約書の作成などを行います。しかし、返事がなかったり、電話を無視されたりすると、対応はますます難しくなるでしょう。 

料金の滞納リスクを予防するには、家賃の場合と同様、賃料保証会社と契約する方法があります。しかし、月極駐車場の賃料はマンションやアパートに比べて安く、保証会社の利益が限られています。そのため、賃料保証サービスを提供する保証会社は少なく、契約をするのは難しいかもしれません。 

事故・盗難

駐車場にて事故や盗難が発生するリスクもあります。車同士の接触、壁・フェンスなどの設備の破損などです。意図的であったり重大な不注意があったりする場合、事故を起こした人に責任を取ってもらいますが、そうでない場合はオーナーが責任を取る必要があります。 

また、駐車場内で利用者の所持品が盗難にあうトラブルもあります。盗難が相次ぐと、利用者の信頼を失い、契約を解除されてしまうかもしれません。また、精算機の現金が盗難にあうリスクもり、経営に大きな損害となるため注意が必要です。 

防犯カメラや警報装置の導入により、犯罪の抑止力を高めることはできますが、不特定多数の利用者が24時間利用できる駐車場では、完全に避けることは難しいかもしれません。 

騒音などによるクレーム

駐車場では騒音や照明などに関して、近隣とトラブルになることもあります。具体的には車が出すエンジンなどの騒音や人の話し声、排気ガスなどを原因とする苦情です。駐車場は基本的に24時間稼働しているため、深夜や早朝に利用されるケースも少なくなく、近隣住民からクレームがくることもあります。 

騒音問題の多くの場合は管理不足が原因で、管理状態がよくないと質の悪い利用者が集まる傾向です。防犯カメラの設置、定期的な見回りによって管理態勢を整える必要があります。 

また、駐車場を解説する際には土地柄を調査して、トラブルが予想される場所を回避することも望ましいです。 

駐車場投資は限られた人しか向いていない

ここまで解説してきたとおり、駐車場投資には数々のデメリットやリスクがあります。駐車場投資は、基本的に以下のすべてに当てはまる方にしか向いていないといえます。 

  • 土地をもともと所有しており、土地購入の借金もない 

  • 初期費用をできる限り少なくし、ランニングコストも増やしたくない 

  • 大きな収益を得られなくても構わない 

駐車場で土地活用するのに向いているのは、まず土地を所有していて土地に関する借金もない方です。初期費用があまりかからず、ランニングコストもマンション経営などに比べると少なくて済みますので、手出しを多くしたくない方に向いています。 

駐車場投資は収益性が低いため、もともと土地を所有している場合でしかメリットを享受できません。土地に関する借金があると収益がさらに低くなるため、新たに土地を購入して駐車場投資を開始するのもおすすめできる方法とはいえないでしょう。 

総合的に見ると、駐車場投資は、利用していない土地を活用して少しでも収益を得たい方のうち、できるだけ費用をかけたくない方にのみ向いている投資方法といえます。 

駐車場投資より一棟物件投資のほうがおすすめの理由

ここまでの解説でお伝えしたとおり、駐車場投資に向いているのはごく一部の人といえます。

これから不動産投資を始める場合は、一棟物件投資を検討するのをおすすめします。その理由は以下の5つです。 

  • 収益性が高い 

  • 土地を所有していなくても始められる 

  • 空室リスクを減らせる 

  • 事業拡大を狙える 

  • 相続税対策になる 

収益性が高い

駐車場の経営で得られる利益は限られています。コインパーキングで得られる利用料金は少なく、月極駐車場でも1ヶ月あたり数万円程度で、アパートの賃料収入より低いです。 

アパートやマンションの投資は駐車場より収益が高く、一棟ならさらに戸数分だけ収益が大きくなるのがメリットです。

たとえば1室あたりの家賃収入が8万円で、合計12部屋あると仮定します。 

  • コインパーキングの場合の年間家賃収入:1時間あたり300円×5台分×24時間×30日×月間稼働率25%×12ヶ月=約324万円 
  • 一棟投資の場合の年間家賃収入:8万円×12戸×12ヶ月=約1,152万円 

このようにアパートやマンションの一棟投資は、駐車場投資よりもリターンが大きくなります。収益が大きいほど投資資金を回収する速度も上がり、ローンも返済しやすくなります。 

ローンを借りる際の審査においては、資産価値が高いほど有利です。一棟物件は不動産投資の中でも物件評価が高く、高額な融資を引き出せる可能性もあります。 

また、一棟投資なら物件が一か所にまとまっているため、管理コストが少なくなるのもメリットです。 

土地を所有していなくても始められる

駐車場投資は収益性が低いため、土地を所有している方でないと一定の利益を確保できません。わざわざ土地を購入して駐車場投資を始めるのは、現実的ではないのです。 

これに対して、アパートやマンションの不動産投資は、土地付きの一棟物件を購入することで始められます。土地を所有している場合と異なり、立地条件がよい場所を自由に選べるため、収益を上げられる可能性が高まります。 

このため、現在土地を所有していない方に向いているのは、駐車場ではなく一棟物件をはじめとする、土地付きで流通している物件の投資といえます。 

空室リスクを減らせる

不動産投資で注意すべき空室リスクは、駐車場投資にも当てはまります。月極駐車場では契約が取れないと空きスペースからの収入を得られません。コインパーキングも、稼働率が低いと収入は少なくなります。 

一方、一棟アパート・マンションは、一つの建物に複数の部屋があるため、一部退去する入居者が出ても家賃収入がゼロになるリスクを低減できます。駐車場と異なり、内装や設備などで差別化をすることもでき、工夫することで入居者の集まりやすい物件にすることも可能です。 

修繕や改装などのタイミングをコントロールできる

一棟投資の場合、土地・建物ともに自分が所有者のため、自由に意思決定できます。 

一棟マンションやアパートであれば、いつ・どこを・どのように修繕・改装するかを自分自身で決定可能です。 

物件の老朽化が進んできた、入居者が集まりにくくなってきたなどのタイミングで手を打つことにより、物件の魅力の維持・改善につながります。 

事業拡大を狙える

将来的に不動産投資の事業を拡大していきたいなら、一棟投資がおすすめです。経営が順調な一棟アパートは資産価値が高く、物件を担保にして次の融資を引き出し、どんどん事業を拡大していけます。 

一方、駐車場は規模を拡大してもそれほど高い収益は得られず、資産価値も高くないため、高額な融資を引き出すことも難しいです。 

相続税対策になる

相続税対策として活用できるのも一棟投資のメリットです。不動産を相続する場合、相続税の課税対象となる価格は、相続税評価額で判断されます。相続税評価額は、時価(実際にそのとき取引されている価格)より低くなる傾向です。 

このため、相続税評価額と時価との差額により、実際より相続税を低く抑えられるケースがあります。

ただし、すべてのケースで相続税を低くできるとは限らず、評価額が時価より高くなる場合もあります。不動産投資で相続税対策もしたい方は、不動産投資会社に相談しましょう。 

まとめ

駐車場投資は、コインパーキングと月極駐車場の2種類があり、初期費用を抑えられる、狭い土地も活用できるといったメリットがあります。しかし、駐車場経営は価格競争が激しく、収益性が低いため、もともと土地を所有している方でないと難しいのが大きなデメリットです。 

これから不動産投資を始めたい方は、アパートやマンションの一棟投資のほうがおすすめといえます。収益性が高く、将来的に事業拡大を狙うことが可能で、相続税対策になるのもメリットです。 

ベルテックスは不動産の一棟投資に関するノウハウ・実績が豊富で、初心者向けの無料のセミナーや相談会も積極的に開催しております。まずは無料の個別相談をぜひご利用ください。 

この記事を書いた人

ベルテックスコラム事務局

不動産コンサルタント・税理士

不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。

2025.03.07

資産運用

ベルテックスコラム事務局

不動産投資で駐車場はおすすめ?一棟投資と比較したメリット・デメリットとは

  • メリット
  • 年収・収入

土地を活用しようと検討していて、駐車場投資に興味のある方も多いでしょう。大規模な土地が必要なく、設備投資もそれほどかからないのはメリットといえます。

ただし、収益性の低さ、違法駐車や利用者のトラブルなどリスクも多く、アパートなどの一棟投資のほうが向いているケースが多いです。 

駐車場投資に向いているのは以下のような場合です。 

  • もともと土地を所有している 

  • 所有する土地が狭い、または形がいびつ 

この記事では、駐車場投資の仕組み、メリット・デメリットを解説します。土地を活用して収入を得たい方、節税したい方はぜひ参考にしてください。 

不動産投資で駐車場を運営する仕組み

駐車場の運営は大きく分けて、コインパーキングと月極駐車場の2種類があります。それぞれの仕組みを見ていきましょう。 

コインパーキング

コインパーキングは、不特定多数の利用者から利用時間分の料金を徴収することで利益を得る駐車場投資です。一時的な駐車のために利用する方をターゲットにできます。 

コインパーキングは周辺環境や料金設定などで売上や利益が大きく変わります。たとえばコンサート会場などが近くにあると売上が伸びやすいでしょう。ただし、精算機などを設置する必要があるため、初期費用はやや高くなります。 

コインパーキングの運営は、運営会社に委託できます。運営会社は24時間管理や近隣との連携など、オーナーに代わって事務作業を請け負います。ただし、運営会社に委託する場合は売上から一定割合の管理委託料を支払う必要があることに留意しましょう。 

月極駐車場

月極駐車場は、一か月単位で駐車場を貸し出して利益を上げる仕組みの投資です。長期的な契約を締結するため、コインパーキングより安定収入を得られます。 

精算機などを設置する必要はなく、初期費用や手間は少ないのもメリットです。ただし、一時的な駐車ユーザーは獲得できないため、長期契約をしてくれる借主が見つからないと、収入は入ってきません。 

駐車場投資のメリット

駐車場投資は手軽で実践しやすいといわれ、投資初心者も注目しています。どのような点にメリットがあるのかを見ていきましょう。 

初期費用を抑えられる

駐車場投資は、不動産投資のなかでも初期費用を抑えられる方法の1つです。アパートやマンションなどのような建物を建築する必要がなく、料金支払い用の機械も月極駐車場であれば不要です。 

コインパーキングの場合も、運営会社に借り上げをしてもらえば設備費用はかかりません(土地の整備費などの初期費用を除く)。土地を所有している方なら、ローコストで始められるでしょう。 

狭い土地・いびつな形の土地を活用できる

アパートやマンションを建てる場合、ある程度の広さの土地が必要です。土地の形がいびつな場合、建物を建てるのが難しい場合もあります。 

駐車場であれば、車が数台程度駐車できる規模の土地であれば投資を始めることが可能です。狭い土地でも、都心部など需要の高い地域なら安定収入を得られる見込みがあります。 

駐車場投資のデメリット

手軽で始めやすいといわれる駐車場投資ですが、デメリットもあります。具体的には以下の4つです。 

  • 価格競争が激しい 

  • 収益性が低い 

  • 減価償却ができるものが少なく、節税になりにくい 

  • 固定資産税や相続税の扱いで不利になる 

価格競争が激しい

駐車場経営は手軽に始めやすいため、他の人も多く参入してきます。駐車需要を見込める立地の場合、同じような駐車場が近くにできやすい傾向です。 

駐車場はサービス面で差別化することが困難なため、顧客の獲得のために価格競争が起こりやすくなります。周辺の価格競争によって利用料金を下げざるを得ない場合、収益が低下する可能性があります。 

収益性が低い

価格競争の激化もありますが、駐車場はもともと不動産投資では収益性が低い手法です。その理由は、上階を作るのが難しいからで、立体駐車場でないと収容台数を増やせません。 

駐車場投資は少ない初期費用で始められるのがメリットのため、最初から多額の費用をかけて立体駐車場にするケースは少数です。これに対して、マンションやアパートは上階を作り、1フロア分以上の収益を得られるため、平面駐車場より効率よく収入を得られます。 

また、コインパーキング・月極駐車場のいずれも、稼働率が収益に直結するのも課題です。立地などの条件がよくないとなかなか利用されず、期待していたほど収益が上がらないおそれがあります。 

減価償却ができるものが少なく、節税になりにくい

不動産投資では、節税のために「減価償却」が重要です。減価償却とは、何年間かにわたって費用を計上し、資産価値を減少させていくことをいいます。減価償却の費用を計上することで収益を少なくし、その分税金の負担を減らせます。 

しかし、駐車場投資の場合、減価償却できるものがそれほどありません。土地は劣化せず資産価値が下がらないため、減価償却が不可能です。建物を立てないため、建物の減価償却もできません。 

駐車場で減価償却ができるのは、料金精算機や防犯カメラなどで取得費が10万円以上のものに限られるため、一棟投資と比べて節税効果は薄いといえるでしょう。

固定資産税や相続税での扱いで不利になる

減価償却に加えて、駐車場投資は、固定資産税や相続税の節税でも不利になります。駐車場は更地として扱われますが、更地の場合には減税制度がありません。 

マンションやアパートなどが建っていれば「住宅用地」としての優遇措置が受けられますが、駐車場の場合は適用されず、評価額の満額が課税されます。ゆえに、駐車場は節税には向いていません。 

駐車場投資に関するリスク

駐車場ならほったらかしでも儲かると考える方もいるかもしれません。しかし実際には、駐車場特有のリスクもあり、ほったらかしにはできず、以下のような対策をする必要があります。 

無断駐車

1つ目は、無断で駐車されてしまうリスクで、土地の所有者や管理者の同意を得ずに勝手に駐車されてしまうことがありえます。とくにコインパーキングで無断駐車が多く見られます。 

公道での無断駐車の場合、警察に通報して車を移動させることができます。しかし、駐車場は私有地であり、道路交通法が適用されないため、強制的に移動させることはできません。駐車場の経営者が車を自分で移動させると、不法行為とみなされてしまいます。 

無断駐車を避けるには、防犯カメラなど管理システムや設備を導入する必要があり、追加のコストが発生します。管理会社に委託するのではなく、自分の目で確認する場合、常に監視していなくてはなりませんので、会社員など忙しい方にとっては現実的ではないでしょう。 

不正駐車

不正駐車とは、決められた場所に駐車しない駐車のことです。たとえば月極駐車場で契約をすると、各契約者は駐車するスペースが指定されますが、出入り口に近いなどの理由で、勝手に他の場所に駐車するケースがあります。 

不正駐車によって契約者同士のトラブルが発生したり、他の駐車スペースに侵入することで駐車できる台数が減少したりするおそれがあります。 

不正駐車も無断駐車と同様、防止するには監視システムを備えた設備の導入が必要です。 

料金の滞納

月極駐車場の場合、料金が滞納されてしまうリスクもあります。滞納されてしまうと収入が入ってこないため、投資の収益に直接悪影響を及ぼします。小規模な駐車場では、未払いの状態が続くと資金繰りが悪化し、経営が続けられなくなることも。 

滞納が発覚したら、契約者にすぐ連絡して支払うよう督促をすることが必要です。支払いの意思があるかを確認し、ある場合は分割払いや支払期日の提示、誓約書の作成などを行います。しかし、返事がなかったり、電話を無視されたりすると、対応はますます難しくなるでしょう。 

料金の滞納リスクを予防するには、家賃の場合と同様、賃料保証会社と契約する方法があります。しかし、月極駐車場の賃料はマンションやアパートに比べて安く、保証会社の利益が限られています。そのため、賃料保証サービスを提供する保証会社は少なく、契約をするのは難しいかもしれません。 

事故・盗難

駐車場にて事故や盗難が発生するリスクもあります。車同士の接触、壁・フェンスなどの設備の破損などです。意図的であったり重大な不注意があったりする場合、事故を起こした人に責任を取ってもらいますが、そうでない場合はオーナーが責任を取る必要があります。 

また、駐車場内で利用者の所持品が盗難にあうトラブルもあります。盗難が相次ぐと、利用者の信頼を失い、契約を解除されてしまうかもしれません。また、精算機の現金が盗難にあうリスクもり、経営に大きな損害となるため注意が必要です。 

防犯カメラや警報装置の導入により、犯罪の抑止力を高めることはできますが、不特定多数の利用者が24時間利用できる駐車場では、完全に避けることは難しいかもしれません。 

騒音などによるクレーム

駐車場では騒音や照明などに関して、近隣とトラブルになることもあります。具体的には車が出すエンジンなどの騒音や人の話し声、排気ガスなどを原因とする苦情です。駐車場は基本的に24時間稼働しているため、深夜や早朝に利用されるケースも少なくなく、近隣住民からクレームがくることもあります。 

騒音問題の多くの場合は管理不足が原因で、管理状態がよくないと質の悪い利用者が集まる傾向です。防犯カメラの設置、定期的な見回りによって管理態勢を整える必要があります。 

また、駐車場を解説する際には土地柄を調査して、トラブルが予想される場所を回避することも望ましいです。 

駐車場投資は限られた人しか向いていない

ここまで解説してきたとおり、駐車場投資には数々のデメリットやリスクがあります。駐車場投資は、基本的に以下のすべてに当てはまる方にしか向いていないといえます。 

  • 土地をもともと所有しており、土地購入の借金もない 

  • 初期費用をできる限り少なくし、ランニングコストも増やしたくない 

  • 大きな収益を得られなくても構わない 

駐車場で土地活用するのに向いているのは、まず土地を所有していて土地に関する借金もない方です。初期費用があまりかからず、ランニングコストもマンション経営などに比べると少なくて済みますので、手出しを多くしたくない方に向いています。 

駐車場投資は収益性が低いため、もともと土地を所有している場合でしかメリットを享受できません。土地に関する借金があると収益がさらに低くなるため、新たに土地を購入して駐車場投資を開始するのもおすすめできる方法とはいえないでしょう。 

総合的に見ると、駐車場投資は、利用していない土地を活用して少しでも収益を得たい方のうち、できるだけ費用をかけたくない方にのみ向いている投資方法といえます。 

駐車場投資より一棟物件投資のほうがおすすめの理由

ここまでの解説でお伝えしたとおり、駐車場投資に向いているのはごく一部の人といえます。

これから不動産投資を始める場合は、一棟物件投資を検討するのをおすすめします。その理由は以下の5つです。 

  • 収益性が高い 

  • 土地を所有していなくても始められる 

  • 空室リスクを減らせる 

  • 事業拡大を狙える 

  • 相続税対策になる 

収益性が高い

駐車場の経営で得られる利益は限られています。コインパーキングで得られる利用料金は少なく、月極駐車場でも1ヶ月あたり数万円程度で、アパートの賃料収入より低いです。 

アパートやマンションの投資は駐車場より収益が高く、一棟ならさらに戸数分だけ収益が大きくなるのがメリットです。

たとえば1室あたりの家賃収入が8万円で、合計12部屋あると仮定します。 

  • コインパーキングの場合の年間家賃収入:1時間あたり300円×5台分×24時間×30日×月間稼働率25%×12ヶ月=約324万円 
  • 一棟投資の場合の年間家賃収入:8万円×12戸×12ヶ月=約1,152万円 

このようにアパートやマンションの一棟投資は、駐車場投資よりもリターンが大きくなります。収益が大きいほど投資資金を回収する速度も上がり、ローンも返済しやすくなります。 

ローンを借りる際の審査においては、資産価値が高いほど有利です。一棟物件は不動産投資の中でも物件評価が高く、高額な融資を引き出せる可能性もあります。 

また、一棟投資なら物件が一か所にまとまっているため、管理コストが少なくなるのもメリットです。 

土地を所有していなくても始められる

駐車場投資は収益性が低いため、土地を所有している方でないと一定の利益を確保できません。わざわざ土地を購入して駐車場投資を始めるのは、現実的ではないのです。 

これに対して、アパートやマンションの不動産投資は、土地付きの一棟物件を購入することで始められます。土地を所有している場合と異なり、立地条件がよい場所を自由に選べるため、収益を上げられる可能性が高まります。 

このため、現在土地を所有していない方に向いているのは、駐車場ではなく一棟物件をはじめとする、土地付きで流通している物件の投資といえます。 

空室リスクを減らせる

不動産投資で注意すべき空室リスクは、駐車場投資にも当てはまります。月極駐車場では契約が取れないと空きスペースからの収入を得られません。コインパーキングも、稼働率が低いと収入は少なくなります。 

一方、一棟アパート・マンションは、一つの建物に複数の部屋があるため、一部退去する入居者が出ても家賃収入がゼロになるリスクを低減できます。駐車場と異なり、内装や設備などで差別化をすることもでき、工夫することで入居者の集まりやすい物件にすることも可能です。 

修繕や改装などのタイミングをコントロールできる

一棟投資の場合、土地・建物ともに自分が所有者のため、自由に意思決定できます。 

一棟マンションやアパートであれば、いつ・どこを・どのように修繕・改装するかを自分自身で決定可能です。 

物件の老朽化が進んできた、入居者が集まりにくくなってきたなどのタイミングで手を打つことにより、物件の魅力の維持・改善につながります。 

事業拡大を狙える

将来的に不動産投資の事業を拡大していきたいなら、一棟投資がおすすめです。経営が順調な一棟アパートは資産価値が高く、物件を担保にして次の融資を引き出し、どんどん事業を拡大していけます。 

一方、駐車場は規模を拡大してもそれほど高い収益は得られず、資産価値も高くないため、高額な融資を引き出すことも難しいです。 

相続税対策になる

相続税対策として活用できるのも一棟投資のメリットです。不動産を相続する場合、相続税の課税対象となる価格は、相続税評価額で判断されます。相続税評価額は、時価(実際にそのとき取引されている価格)より低くなる傾向です。 

このため、相続税評価額と時価との差額により、実際より相続税を低く抑えられるケースがあります。

ただし、すべてのケースで相続税を低くできるとは限らず、評価額が時価より高くなる場合もあります。不動産投資で相続税対策もしたい方は、不動産投資会社に相談しましょう。 

まとめ

駐車場投資は、コインパーキングと月極駐車場の2種類があり、初期費用を抑えられる、狭い土地も活用できるといったメリットがあります。しかし、駐車場経営は価格競争が激しく、収益性が低いため、もともと土地を所有している方でないと難しいのが大きなデメリットです。 

これから不動産投資を始めたい方は、アパートやマンションの一棟投資のほうがおすすめといえます。収益性が高く、将来的に事業拡大を狙うことが可能で、相続税対策になるのもメリットです。 

ベルテックスは不動産の一棟投資に関するノウハウ・実績が豊富で、初心者向けの無料のセミナーや相談会も積極的に開催しております。まずは無料の個別相談をぜひご利用ください。 

この記事を書いた人

ベルテックスコラム事務局

不動産コンサルタント・税理士

不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。