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2024.02.29
ベルテックスコラム事務局
オーナーチェンジ物件のよくある失敗事例と回避策・物件選びの注意点も解説
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- リスク
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オーナーチェンジ物件の購入を検討しているけれど、どのような点に注意が必要なのか、どのように物件を選ぶべきなのか知りたいという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、オーナーチェンジ物件の概要、メリットとデメリット、失敗事例とその回避策、物件選びのポイントや注意点などについて解説します。
オーナーチェンジ物件とは?
オーナーチェンジ物件とは、入居者がいる状態で売りに出された物件のことを指します。入居者は、そのまま物件に居住している状態です。つまり入居中の状態でオーナーだけが入れ替わることをオーナーチェンジと呼び、当該物件をオーナーチェンジ物件と呼びます。
オーナーチェンジ物件のメリット
オーナーチェンジ物件には、どのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。主なメリットは、以下の3つです。
時間と手間が省ける
オーナーチェンジ物件の最大のメリットは、すでに物件に入居者がいるため、入居者募集の時間や手間が省けることです。不動産投資では、入居者の募集が非常に重要です。入居者がいなければ収入源となる家賃収入を得ることができないからです。
入居者がいないと入居者募集の広告を出すなど、入居者を探すための工夫をしなければなりませんが、すでに入居者がいるオーナーチェンジ物件の場合は入居者を探す必要はありません。
実績があるので資金計画を立てやすい
オーナーチェンジ物件には「すでに入居者がいる」という特性があるため、収支計画が立てやすいというメリットがあります。
入居者の見込みが立っていない空室物件を購入した場合、リフォームが必要なこともありますが、オーナーチェンジ物件の場合は入居者が住み続けている限りリフォームは不要です。
入居者が退去するまでは安定した家賃収入を得ることができ、リフォーム費用などの突発的な支出が発生する可能性も低いため、空き室物件を購入するよりも資金計画が立てやすいのです。
購入後すぐに家賃収入を得られる
購入してすぐに家賃収入が得られることもオーナーチェンジ物件のメリットの一つです。入居者がいない空室物件の場合、いつ入居者が見つかり家賃収入を得られるかわからないため不安要素となります。一方、オーナーチェンジ物件なら購入後すぐに家賃収入を得られるため、安心です。
オーナーチェンジ物件のデメリット
オーナーチェンジ物件には、メリットだけでなくデメリットもあります。中には、オーナーチェンジ物件を逆手にとった悪質なケースもあるため、注意が必要です。ここでは、オーナーチェンジ物件の主なデメリットを3つ説明します。
基本的に内見はできない
オーナーチェンジ物件は、入居者が住んでいるため、プライバシーの問題もあり内見ができない点がデメリットです。内見ができないと、間取りを書面上で確認することしかできません。室内の状況を確認できないため、キッチンなどの水回りの設備の劣化具合や、床の傷などをチェックすることもできません。室内の設備の劣化が想定以上に進んでいた場合、退去時に多額のリフォーム費用がかかる可能性もあります。
現行での契約条件の変更は難しい
現行の契約条件の変更が難しい点もオーナーチェンジ物件のデメリットの一つです。例えば、家賃7万円のワンルームで契約しているオーナーチェンジ物件の場合、家賃7万円はそのまま引き継ぐことになります。そのため、オーナーチェンジした段階で賃料増額交渉をするのは難しいです。他にも敷金の金額なども含め、契約内容を巡って入居者とトラブルになるケースもあります。
悪質なオーナーチェンジ物件も
悪質なオーナーチェンジ物件があるという点もデメリットの一つといえるでしょう。例えば、オーナーチェンジ物件を購入した後に入居者が急にいなくなってしまう「サクラ物件」をつかまされる可能性もあります。悪質な不動産会社の場合は、実際は入居者がいないにもかかわらず、入居者がいることを装って契約を結ばせるケースもあるため、注意が必要です。
オーナーチェンジ物件を購入しても入居者がいなくなれば、結果的に赤字経営に陥る可能性もあります。
オーナーチェンジ物件のよくある失敗事例と回避策
オーナーチェンジ物件でよくある失敗事例とそれぞれの回避策について説明します。
1.入居者がサクラで購入後すぐに赤字経営に
オーナーチェンジ物件でよくあるのが「入居者が実はサクラだった」というケースです。入居者が、オーナーチェンジ物件を購入させることが目的としたサクラだった場合、購入後すぐに退去してしまいます。サクラに入居させる必要がある物件なので、退去後に入居者がしばらくつかないことも少なくありません。この状態が継続してしまうとすぐに赤字経営に陥ってしまいます。
回避策
サクラに騙されないためには、賃貸借契約書の内容をしっかり確認することが大切です。賃貸借契約書に不自然な点がないか丁寧に確認しましょう。サクラの場合は、入居を装っているだけなので居住実態がないケースもあります。これを確認するには、オーナー自身が購入前に以下のような現地調査を行うことが必要です。
- 外から見て居住実態がありそうか
- カーテンがあるか
- 夜間明かりがついている時間帯があるか
- 水道やガス、電気のメーターが動いているか
現地調査をしっかり行うことにより、サクラを回避できる可能性が高くなります。ただし、オートロック付きのマンションの場合、ガスや電気のメーターを確認するために無理に侵入しようとすると、住居侵入罪に抵触する可能性があるため注意してください。また、立入禁止の張り紙が張ってある場合なども、住民からクレームが入る可能性があるため注意が必要です。
現オーナーに売却する理由を確認することも重要です。売却理由が経営上の問題の場合、その物件は赤字経営に陥っている可能性があるため、購入は避けた方がよいでしょう。
2.契約物件の確認もれがありトラブルに発展
契約する物件の確認もれがあることでトラブルに発展するケースもあります。オーナーチェンジ物件は、契約内容に不利な内容が含まれていても原則としてそのまま引き継ぐことになります。そのため、契約内容に以下のような内容がないかしっかり確認することが求められます。
- 想定した家賃相場よりも家賃が低い
- 解約予告が急すぎる
- 解約予告条項が緩すぎる
- 更新料に関する規約や費用負担に関する規約が明らかに貸主に不利
契約時に確認がもれていた場合、オーナーと入居者の間で契約内容を巡ってトラブルに発展する可能性があります。
回避策
購入後のトラブルを回避するためには、契約前の段階で全ての契約条項を丁寧に確認することが必要です。賃料や更新料、各種費用負担などに目を通して、納得した上で契約に進みましょう。例えば、物件の設備が壊れた場合にどちらがその修理費を出すのかなどを明確にしておくことが重要です。
契約条項は、現オーナーが現在の入居者と交わしている契約書を確認すれば目を通すことができます。
3.入居者の退去後、すぐに家賃が下げざるを得なくなった
購入後、あまり期間が経過しないうちに入居者が退去してしまい、その後、家賃を下げざるを得なくなったというケースもあります。入居者が退去してしばらく入居者がつかない場合は、入居者を募るため、家賃を下げる決断を迫られることもあるかもしれません。しかし、一度家賃を下げてしまうとその後家賃を上げにくくなるため、できるかぎり避けたいところです。
家賃を下げないと入居者がつかないような物件では、赤字経営に陥る可能性が高くなり、事業として成立しない可能性もあります。
回避策
このような失敗を避けるためには、現オーナーから入居者や家賃の実態をヒアリングするとよいでしょう。また「家賃が周辺の地域の相場と比べて高くないか」「相場が急激に下がっていないか」などについて購入前にしっかり確認しておくことが大切です。周辺の相場よりもオーナーチェンジ物件の家賃が高い場合は、今後家賃を下げないと入居者がつかなくなる可能性があります。
また「当該物件の地域が今後成長する可能性があるのか」「逆に衰退する可能性があるのか」など周辺のエリアに関する調査も大切です。
4.購入後に設備故障やひどい経年劣化が発覚
購入後に設備故障が発覚したり、ひどい経年劣化が発覚したりして、急な出費を余儀なくされるというケースもあります。築年数が数十年経過している物件の場合、古い設備などが故障して、急な出費が発生してしまうことも珍しくありません。特に新築から一度も修繕を加えていない物件の場合は、近いうちに大きな修繕費が必要になる可能性もあります。
キッチン部分などの高額な設備の修繕が必要な場合、オーナーチェンジ後すぐに大きな出費を余儀なくされることもあるため、注意しましょう。
回避策
このような事態を避けるためには、現オーナーから修復履歴を提供してもらうとよいでしょう。オーナーであれば、ほとんどの場合、外壁の塗り替えや設備の点検記録など修繕箇所の記録を残しています。修繕記録を提供してもらえたら、以下のような点を確認しましょう。
- まだ修繕されていない大きな備品はないか
- 点検にもれがないか
- 建物自体の大規模修繕の予定はないか
ワンルームマンションなどの集合住宅では、12年~15年に一度大規模修繕が行われることが多いです。大規模修繕の前後で売り出されるオーナーチェンジ物件の場合、「一時金を新オーナーに負担してもらいたい」という思惑が潜んでいることがあります。このような物件を購入しないように気を付けましょう。
そのためには、以下のようなことが有効です。
- 修繕計画書の提出を求める
- 現段階での積立金の状況を確認する
- 修繕後における修繕積立金の変更予定の確認
購入しようとしているオーナーチェンジ物件に不明瞭な点がある場合は、購入を見送ることも大切です。
5.連帯保証人が「いるはず」だった入居者が滞納し大打撃
連帯保証人がいると説明されていた物件に実は連帯保証人がおらず、入居者が滞納を続けて家賃の回収ができなくなってしまったという事例もあります。家賃回収ができなければ赤字経営は避けられず、大きな打撃となるでしょう。
回避策
このようなトラブルを回避するためには、必ず賃貸借契約書で連帯保証人の確認を行いましょう。保証会社を通している場合は、保証会社との契約内容を確認するとよいでしょう。「連帯保証人をつけているが保証会社がない」という場合は、現オーナーに確認する必要があります。
オーナーチェンジ物件で失敗しないためのポイント
オーナーチェンジ物件で失敗しないためには、どのような点に注意すればよいのでしょうか。
ここでは、オーナーチェンジ物件で失敗しないためのポイントについて具体的に説明します。
契約内容をきちんと確認する
オーナーチェンジ物件で失敗を避けるためには、契約内容を確認することが非常に重要です。契約内容は、原則としてそのままオーナーチェンジの際に引き継ぐことになるため、慎重に確認しましょう。特に確認しておきたい部分は、以下の項目です。
- 現在の家賃の状況
- 費用負担に関する条項
- 解約予告などに関する条項
- 更新料に関する条項や敷金などに関する条項
- 連帯保証人の有無
家賃を確実に回収し、トラブルを回避するためには、新オーナーが今の契約状況をしっかりと理解することが不可欠なので、契約内容は必ず確認しておくようにしましょう。
現地確認やヒアリングを怠らない
オーナーチェンジ物件で失敗を避けるには、契約内容を確認するだけでは不十分です。契約書を見てもわからないこともあるので、現地確認や現オーナーからのヒアリングを必ず行うようにしましょう。
現地を訪問して、自分の目で確認することでわかることもたくさんあります。例えば、エントランスなどの共有部分の清掃が行き届いているか確認することで、管理の質がわかります。
また、部屋にカーテンがついていない場合や、夜遅くまで部屋の明かりがつかない場合は、入居者がサクラである可能性を疑った方がよいでしょう。ただし、入居者がサクラでも、部屋にカーテンを付けて実際に居住している場合は見抜くことは難しいかもしれません。
現オーナーにヒアリングをして、今の入居者がいつから入居しているのか、今までトラブルなどはなかったかなどを確認し、回答に不審な点がないか見極めましょう。
現在の家賃と周辺の家賃相場を比較する
現在の家賃と周辺の家賃相場を比較することも重要なポイントです。現在の家賃が周辺の家賃相場よりも高い場合は、今後の家賃を下げる必要が生じる可能性があるからです。家賃を一度下げてしまうと、上げることが難しくなるため、周辺の家賃も参考にしながら今後の資金計画を立てていくことが求められます。周辺の同じような物件の相場をしっかり調査しましょう。
過去の経営状況や売却理由を確認する
過去の経営状況や売却理由を現オーナーからヒアリングすることも重要です。「高齢のために手放したいのか」「それとも他に理由があるのか」など事細かにヒアリングすることが求められます。赤字経営が続いたことや、その他不自然な理由によるオーナーチェンジの場合は、注意が必要です。すぐに購入を決めるのではなく、事情をしっかりヒアリングして納得した上で購入することが大切です。
また過去の経営状況の確認も忘れてはいけません。例えば「実際にどのくらいの頻度で空き家になっていたのか」「どのような方法で入居者を募集していたのか」なども確認しておきましょう。
信頼のおける不動産会社から購入する
信頼のおける不動産会社から購入することも大切です。身近にオーナーチェンジの物件を購入して成功している人がいる場合は、その人からに紹介してもらってもよいでしょう。他にもインターネットでの口コミの状況を確認して候補を絞った上で、実際に具体的な相談をして、本当に信頼できるかを自分の目で見極めることが大切です。
不動産投資は、不動産会社の担当者によって運用成果が大きく変わる可能性があるため、慎重に探しましょう。
サブリース契約物件は選ばない
サブリース契約物件を選ばないことも、失敗を避けるためのポイントの一つといえます。なぜならサブリース契約物件を選ぶと契約解消が難しく、新オーナーにとって有利に進めることが難しい場合があるからです。サブリースは、家賃保証などの観点から安定した運用が期待できますが、デメリットもあるという点は認識しておきましょう。
【おすすめ関連記事】マンション経営の7つのリスクと効果的な対策を解説
まとめ
この記事では、オーナーチェンジ物件の概要、メリットとデメリット、失敗事例とその回避策、物件選びのポイントや注意点などについて解説しました。
オーナーチェンジ物件には多くのメリットがありますが、選び方を間違えると、赤字経営に陥ってしまう可能性があります。この記事で記載した注意点をしっかりと把握して、慎重に選びましょう。
オーナーチェンジ物件の購入を検討する際は、信頼できる不動産会社を探した上で、購入前に現オーナーからのヒアリングや実地調査をしっかり行うことが大切です。
不動産投資をご検討の際にはぜひベルテックスにご相談ください!
この記事を書いた人
ベルテックスコラム事務局
不動産コンサルタント・税理士
不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。
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オーナーチェンジ物件の購入を検討しているけれど、どのような点に注意が必要なのか、どのように物件を選ぶべきなのか知りたいという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、オーナーチェンジ物件の概要、メリットとデメリット、失敗事例とその回避策、物件選びのポイントや注意点などについて解説します。
オーナーチェンジ物件とは?
オーナーチェンジ物件とは、入居者がいる状態で売りに出された物件のことを指します。入居者は、そのまま物件に居住している状態です。つまり入居中の状態でオーナーだけが入れ替わることをオーナーチェンジと呼び、当該物件をオーナーチェンジ物件と呼びます。
オーナーチェンジ物件のメリット
オーナーチェンジ物件には、どのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。主なメリットは、以下の3つです。
時間と手間が省ける
オーナーチェンジ物件の最大のメリットは、すでに物件に入居者がいるため、入居者募集の時間や手間が省けることです。不動産投資では、入居者の募集が非常に重要です。入居者がいなければ収入源となる家賃収入を得ることができないからです。
入居者がいないと入居者募集の広告を出すなど、入居者を探すための工夫をしなければなりませんが、すでに入居者がいるオーナーチェンジ物件の場合は入居者を探す必要はありません。
実績があるので資金計画を立てやすい
オーナーチェンジ物件には「すでに入居者がいる」という特性があるため、収支計画が立てやすいというメリットがあります。
入居者の見込みが立っていない空室物件を購入した場合、リフォームが必要なこともありますが、オーナーチェンジ物件の場合は入居者が住み続けている限りリフォームは不要です。
入居者が退去するまでは安定した家賃収入を得ることができ、リフォーム費用などの突発的な支出が発生する可能性も低いため、空き室物件を購入するよりも資金計画が立てやすいのです。
購入後すぐに家賃収入を得られる
購入してすぐに家賃収入が得られることもオーナーチェンジ物件のメリットの一つです。入居者がいない空室物件の場合、いつ入居者が見つかり家賃収入を得られるかわからないため不安要素となります。一方、オーナーチェンジ物件なら購入後すぐに家賃収入を得られるため、安心です。
オーナーチェンジ物件のデメリット
オーナーチェンジ物件には、メリットだけでなくデメリットもあります。中には、オーナーチェンジ物件を逆手にとった悪質なケースもあるため、注意が必要です。ここでは、オーナーチェンジ物件の主なデメリットを3つ説明します。
基本的に内見はできない
オーナーチェンジ物件は、入居者が住んでいるため、プライバシーの問題もあり内見ができない点がデメリットです。内見ができないと、間取りを書面上で確認することしかできません。室内の状況を確認できないため、キッチンなどの水回りの設備の劣化具合や、床の傷などをチェックすることもできません。室内の設備の劣化が想定以上に進んでいた場合、退去時に多額のリフォーム費用がかかる可能性もあります。
現行での契約条件の変更は難しい
現行の契約条件の変更が難しい点もオーナーチェンジ物件のデメリットの一つです。例えば、家賃7万円のワンルームで契約しているオーナーチェンジ物件の場合、家賃7万円はそのまま引き継ぐことになります。そのため、オーナーチェンジした段階で賃料増額交渉をするのは難しいです。他にも敷金の金額なども含め、契約内容を巡って入居者とトラブルになるケースもあります。
悪質なオーナーチェンジ物件も
悪質なオーナーチェンジ物件があるという点もデメリットの一つといえるでしょう。例えば、オーナーチェンジ物件を購入した後に入居者が急にいなくなってしまう「サクラ物件」をつかまされる可能性もあります。悪質な不動産会社の場合は、実際は入居者がいないにもかかわらず、入居者がいることを装って契約を結ばせるケースもあるため、注意が必要です。
オーナーチェンジ物件を購入しても入居者がいなくなれば、結果的に赤字経営に陥る可能性もあります。
オーナーチェンジ物件のよくある失敗事例と回避策
オーナーチェンジ物件でよくある失敗事例とそれぞれの回避策について説明します。
1.入居者がサクラで購入後すぐに赤字経営に
オーナーチェンジ物件でよくあるのが「入居者が実はサクラだった」というケースです。入居者が、オーナーチェンジ物件を購入させることが目的としたサクラだった場合、購入後すぐに退去してしまいます。サクラに入居させる必要がある物件なので、退去後に入居者がしばらくつかないことも少なくありません。この状態が継続してしまうとすぐに赤字経営に陥ってしまいます。
回避策
サクラに騙されないためには、賃貸借契約書の内容をしっかり確認することが大切です。賃貸借契約書に不自然な点がないか丁寧に確認しましょう。サクラの場合は、入居を装っているだけなので居住実態がないケースもあります。これを確認するには、オーナー自身が購入前に以下のような現地調査を行うことが必要です。
- 外から見て居住実態がありそうか
- カーテンがあるか
- 夜間明かりがついている時間帯があるか
- 水道やガス、電気のメーターが動いているか
現地調査をしっかり行うことにより、サクラを回避できる可能性が高くなります。ただし、オートロック付きのマンションの場合、ガスや電気のメーターを確認するために無理に侵入しようとすると、住居侵入罪に抵触する可能性があるため注意してください。また、立入禁止の張り紙が張ってある場合なども、住民からクレームが入る可能性があるため注意が必要です。
現オーナーに売却する理由を確認することも重要です。売却理由が経営上の問題の場合、その物件は赤字経営に陥っている可能性があるため、購入は避けた方がよいでしょう。
2.契約物件の確認もれがありトラブルに発展
契約する物件の確認もれがあることでトラブルに発展するケースもあります。オーナーチェンジ物件は、契約内容に不利な内容が含まれていても原則としてそのまま引き継ぐことになります。そのため、契約内容に以下のような内容がないかしっかり確認することが求められます。
- 想定した家賃相場よりも家賃が低い
- 解約予告が急すぎる
- 解約予告条項が緩すぎる
- 更新料に関する規約や費用負担に関する規約が明らかに貸主に不利
契約時に確認がもれていた場合、オーナーと入居者の間で契約内容を巡ってトラブルに発展する可能性があります。
回避策
購入後のトラブルを回避するためには、契約前の段階で全ての契約条項を丁寧に確認することが必要です。賃料や更新料、各種費用負担などに目を通して、納得した上で契約に進みましょう。例えば、物件の設備が壊れた場合にどちらがその修理費を出すのかなどを明確にしておくことが重要です。
契約条項は、現オーナーが現在の入居者と交わしている契約書を確認すれば目を通すことができます。
3.入居者の退去後、すぐに家賃が下げざるを得なくなった
購入後、あまり期間が経過しないうちに入居者が退去してしまい、その後、家賃を下げざるを得なくなったというケースもあります。入居者が退去してしばらく入居者がつかない場合は、入居者を募るため、家賃を下げる決断を迫られることもあるかもしれません。しかし、一度家賃を下げてしまうとその後家賃を上げにくくなるため、できるかぎり避けたいところです。
家賃を下げないと入居者がつかないような物件では、赤字経営に陥る可能性が高くなり、事業として成立しない可能性もあります。
回避策
このような失敗を避けるためには、現オーナーから入居者や家賃の実態をヒアリングするとよいでしょう。また「家賃が周辺の地域の相場と比べて高くないか」「相場が急激に下がっていないか」などについて購入前にしっかり確認しておくことが大切です。周辺の相場よりもオーナーチェンジ物件の家賃が高い場合は、今後家賃を下げないと入居者がつかなくなる可能性があります。
また「当該物件の地域が今後成長する可能性があるのか」「逆に衰退する可能性があるのか」など周辺のエリアに関する調査も大切です。
4.購入後に設備故障やひどい経年劣化が発覚
購入後に設備故障が発覚したり、ひどい経年劣化が発覚したりして、急な出費を余儀なくされるというケースもあります。築年数が数十年経過している物件の場合、古い設備などが故障して、急な出費が発生してしまうことも珍しくありません。特に新築から一度も修繕を加えていない物件の場合は、近いうちに大きな修繕費が必要になる可能性もあります。
キッチン部分などの高額な設備の修繕が必要な場合、オーナーチェンジ後すぐに大きな出費を余儀なくされることもあるため、注意しましょう。
回避策
このような事態を避けるためには、現オーナーから修復履歴を提供してもらうとよいでしょう。オーナーであれば、ほとんどの場合、外壁の塗り替えや設備の点検記録など修繕箇所の記録を残しています。修繕記録を提供してもらえたら、以下のような点を確認しましょう。
- まだ修繕されていない大きな備品はないか
- 点検にもれがないか
- 建物自体の大規模修繕の予定はないか
ワンルームマンションなどの集合住宅では、12年~15年に一度大規模修繕が行われることが多いです。大規模修繕の前後で売り出されるオーナーチェンジ物件の場合、「一時金を新オーナーに負担してもらいたい」という思惑が潜んでいることがあります。このような物件を購入しないように気を付けましょう。
そのためには、以下のようなことが有効です。
- 修繕計画書の提出を求める
- 現段階での積立金の状況を確認する
- 修繕後における修繕積立金の変更予定の確認
購入しようとしているオーナーチェンジ物件に不明瞭な点がある場合は、購入を見送ることも大切です。
5.連帯保証人が「いるはず」だった入居者が滞納し大打撃
連帯保証人がいると説明されていた物件に実は連帯保証人がおらず、入居者が滞納を続けて家賃の回収ができなくなってしまったという事例もあります。家賃回収ができなければ赤字経営は避けられず、大きな打撃となるでしょう。
回避策
このようなトラブルを回避するためには、必ず賃貸借契約書で連帯保証人の確認を行いましょう。保証会社を通している場合は、保証会社との契約内容を確認するとよいでしょう。「連帯保証人をつけているが保証会社がない」という場合は、現オーナーに確認する必要があります。
オーナーチェンジ物件で失敗しないためのポイント
オーナーチェンジ物件で失敗しないためには、どのような点に注意すればよいのでしょうか。
ここでは、オーナーチェンジ物件で失敗しないためのポイントについて具体的に説明します。
契約内容をきちんと確認する
オーナーチェンジ物件で失敗を避けるためには、契約内容を確認することが非常に重要です。契約内容は、原則としてそのままオーナーチェンジの際に引き継ぐことになるため、慎重に確認しましょう。特に確認しておきたい部分は、以下の項目です。
- 現在の家賃の状況
- 費用負担に関する条項
- 解約予告などに関する条項
- 更新料に関する条項や敷金などに関する条項
- 連帯保証人の有無
家賃を確実に回収し、トラブルを回避するためには、新オーナーが今の契約状況をしっかりと理解することが不可欠なので、契約内容は必ず確認しておくようにしましょう。
現地確認やヒアリングを怠らない
オーナーチェンジ物件で失敗を避けるには、契約内容を確認するだけでは不十分です。契約書を見てもわからないこともあるので、現地確認や現オーナーからのヒアリングを必ず行うようにしましょう。
現地を訪問して、自分の目で確認することでわかることもたくさんあります。例えば、エントランスなどの共有部分の清掃が行き届いているか確認することで、管理の質がわかります。
また、部屋にカーテンがついていない場合や、夜遅くまで部屋の明かりがつかない場合は、入居者がサクラである可能性を疑った方がよいでしょう。ただし、入居者がサクラでも、部屋にカーテンを付けて実際に居住している場合は見抜くことは難しいかもしれません。
現オーナーにヒアリングをして、今の入居者がいつから入居しているのか、今までトラブルなどはなかったかなどを確認し、回答に不審な点がないか見極めましょう。
現在の家賃と周辺の家賃相場を比較する
現在の家賃と周辺の家賃相場を比較することも重要なポイントです。現在の家賃が周辺の家賃相場よりも高い場合は、今後の家賃を下げる必要が生じる可能性があるからです。家賃を一度下げてしまうと、上げることが難しくなるため、周辺の家賃も参考にしながら今後の資金計画を立てていくことが求められます。周辺の同じような物件の相場をしっかり調査しましょう。
過去の経営状況や売却理由を確認する
過去の経営状況や売却理由を現オーナーからヒアリングすることも重要です。「高齢のために手放したいのか」「それとも他に理由があるのか」など事細かにヒアリングすることが求められます。赤字経営が続いたことや、その他不自然な理由によるオーナーチェンジの場合は、注意が必要です。すぐに購入を決めるのではなく、事情をしっかりヒアリングして納得した上で購入することが大切です。
また過去の経営状況の確認も忘れてはいけません。例えば「実際にどのくらいの頻度で空き家になっていたのか」「どのような方法で入居者を募集していたのか」なども確認しておきましょう。
信頼のおける不動産会社から購入する
信頼のおける不動産会社から購入することも大切です。身近にオーナーチェンジの物件を購入して成功している人がいる場合は、その人からに紹介してもらってもよいでしょう。他にもインターネットでの口コミの状況を確認して候補を絞った上で、実際に具体的な相談をして、本当に信頼できるかを自分の目で見極めることが大切です。
不動産投資は、不動産会社の担当者によって運用成果が大きく変わる可能性があるため、慎重に探しましょう。
サブリース契約物件は選ばない
サブリース契約物件を選ばないことも、失敗を避けるためのポイントの一つといえます。なぜならサブリース契約物件を選ぶと契約解消が難しく、新オーナーにとって有利に進めることが難しい場合があるからです。サブリースは、家賃保証などの観点から安定した運用が期待できますが、デメリットもあるという点は認識しておきましょう。
【おすすめ関連記事】マンション経営の7つのリスクと効果的な対策を解説
まとめ
この記事では、オーナーチェンジ物件の概要、メリットとデメリット、失敗事例とその回避策、物件選びのポイントや注意点などについて解説しました。
オーナーチェンジ物件には多くのメリットがありますが、選び方を間違えると、赤字経営に陥ってしまう可能性があります。この記事で記載した注意点をしっかりと把握して、慎重に選びましょう。
オーナーチェンジ物件の購入を検討する際は、信頼できる不動産会社を探した上で、購入前に現オーナーからのヒアリングや実地調査をしっかり行うことが大切です。
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ベルテックスコラム事務局
不動産コンサルタント・税理士
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