2024.11.29

不動産投資のコツ

ベルテックスコラム事務局

オーナーチェンジ物件は危険?事例と物件選びの注意点も解説

  • メリット
  • リスク
  • 賃貸管理

オーナーチェンジ物件の購入を検討する際、「運用上の危険性はないのか」という心配を抱く方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この記事では、オーナーチェンジ物件が危険と言われやすい理由、失敗事例とその回避策、そして、物件選びのポイントについて詳しく解説します。

オーナーチェンジ物件とは?

オーナーチェンジ物件とは、入居者がいる状態で売りに出された物件のことを指します。

入居者は、そのまま物件に居住している状態です。つまり入居中の状態でオーナーだけが入れ替わることをオーナーチェンジと呼び、当該物件をオーナーチェンジ物件と呼びます。

オーナーチェンジ物件が危険と言われやすい12の理由

「オーナーチェンジ物件が危険」と言われやすい理由として、以下の12の項目が挙げられます。

  1. 購入前に室内の状態を把握しにくい
  2. 正確な稼働状況を把握しにくい
  3. 悪質な入居者を追い出すのが難しい
  4. 家賃設定がそのまま引き継がれる
  5. 管理会社がそのまま引き継がれる
  6. 物件の瑕疵を見つけにくい
  7. 入居者がサクラの可能性がある
  8. 建て替えやリノベーションをしにくい
  9. 購入直後に追加費用が必要になることがある
  10. 表記されている利回りよりも低い場合がある
  11. 実際には連帯保証人がいないことがある
  12. 売却で不利になる可能性がある

それぞれの危険性について、詳細を確認しましょう。

1.購入前に室内の状態を把握しにくい

オーナーチェンジ物件が危険といわれる理由の1つ目は、入居者がすでに生活しているため、室内の状態を直接確認するのが難しいことがあげられます。

入居者が通常の範囲を超えない使い方をしているなら、わざわざ室内の状態を把握しなくても、問題ないことが多いでしょう。しかし、部屋や設備を乱暴に扱っていた場合は、退去時に原状回復費の負担割合を巡ってトラブルが発生するリスクがあります。

以下のことに留意し、できるだけリスク回避できるよう努めましょう。

  • 現オーナーから修繕履歴の情報収集を行う
  • 修繕費がかかることを想定して手元の資金を貯める
  • 稼働している部屋を内見できないか交渉する

2.正確な稼働状況を把握しにくい

2つ目の理由は、稼働率が常に変動しているため、最新の入居状況を確認しにくいことです。

物件概要に示されている稼働率は、あくまで過去の実績に基づいたものです。物件広告を出す数ヵ月前の数字が記載されていることになるので、当時は稼働率が高かったとしても、購入時には稼働率が下がっていることもありえます。

そうした事態を避けるためには、以下の対策が効果的です。

  • 最新の稼働状況をヒアリングする
  • レントロールを確認する
  • 現地調査を実施する

3.悪質な入居者を追い出すのが難しい

オーナーチェンジ物件が危険といわれる3つ目の理由として、借地借家法によって入居者が保護されているため、賃貸借契約を簡単に解約できないことが挙げられます。

オーナーチェンジ物件の入居者が以下のような問題のあるタイプの場合、退去させることが難しく、貸主が損失を被るリスクがあります。

  • 家賃を滞納している
  • 騒音で近隣に迷惑をかけている
  • 悪臭を発生させている
  • 共用部分の使い方のマナーが悪い 

など 貸主側から解約を申し入れる場合、正当事由がある場合に限り、申し入れから6ヵ月後に契約を解約することができます。

一般的に、3ヵ月以上の家賃滞納があると、正当事由(契約を解約する根拠)として認められやすいと言われています(ただし、解約には催告期間が必須です)。一方で、騒音や悪臭の場合は、かなりひどいレベルでないと、正当事由として認められにくいのが現実です。

オーナーチェンジ物件の危険性を回避するための改善策は、以下の通りです。

  • 事前に家賃の支払い状況を確認する
  • 家賃の支払い状況が悪い物件は買わない
  • 十分な敷金が確保されているか確認する

4.家賃設定がそのまま引き継がれる

オーナーチェンジ物件が危険といわれる4つ目の理由として、現在の家賃設定が物件購入後もそのまま引き継がれることが挙げられます。

オーナーチェンジ物件でも、家賃が相場に近い場合は新たな貸主にとって不利益はないでしょう。しかし、家賃が相場よりも高すぎたり低すぎたりする場合、経営上の問題が発生する危険性があります。

たとえば、そのオーナーチェンジ物件の家賃設定が相場よりも高い場合、入居者が更新をしなかったり、早いうちに退去してしまったりするリスクがあります。

一方、オーナーチェンジ物件の家賃が類似物件に比べて低すぎる場合、入居者と交渉して値上げをすることも可能です。ただし、賃貸借契約の内容次第では、そもそも値上げができない場合があります。あらかじめ契約書の、家賃増額に関する内容を確認しましょう。

家賃の値上げを入居者が拒否する場合も

また、契約上は値上げが可能でも入居者が拒否することもあるでしょう。その場合、裁判所への調停の申し立てや、調停がまとまらなければ訴訟で請求する方法もあります。

しかし、解決に至るまでには、弁護士などの専門家の手を借りたり、裁判所に出頭したりと、相応の費用と労力が必要になることも。家賃の値上げは必ずしも一筋縄ではいかない点は、留意しておくべきです。

オーナーチェンジ物件の危険性を避けるためのポイントは、こちらです。

  • 現在の家賃を相場と比較する
  • 家賃設定が低い場合、物件価格の値引き交渉をする

5.管理会社がそのまま引き継がれる

オーナーチェンジ物件が危険といわれる5つ目の理由として、管理会社の問題が挙げられます。オーナーチェンジの際には、現オーナーが契約している管理会社をそのまま引き継ぐか、新しい管理会社に変更するかの選択肢があります。

オーナーチェンジ物件で管理会社をそのまま引き継ぐ場合、管理会社のサービスの質が低いと入居者の満足度が下がり、空室率が高くなる危険性があります。また、管理委託契約が簡単に解約できない内容になっていると、管理会社の変更が難しくなることもあります。

オーナーチェンジ物件の危険性を軽減するためには、以下のポイントに留意すると良いでしょう。

  • 対象物件の共用部分を確認する
  • 管理会社の公式サイトをチェックする
  • 可能であれば、購入前に管理会社を面談する

6.物件の瑕疵を見つけにくい

オーナーチェンジ物件が危険といわれる6つ目の理由として、購入時に物件の隠れた瑕疵(買主が注意しても分からなかった欠陥)を見つけにくいことが挙げられます。

民法では、「契約不適合責任」の条文において、売主は売買契約の内容に適合した物を引き渡す義務がある、と定めています。もし、売主が契約に適合していない物を引き渡した場合、買主は売主に対して、追完請求(修繕の請求)や、代金減額請求、契約解除などを求めることができます。

また、不動産の取引に関わる宅建業法では、宅建業者が売主となり、宅建業者でない買主と売買契約を結んだ際、買主が宅建業者の契約不適合責任を問える期間を「目的物の引き渡しから2年以上としなければならない」とも定めています。

瑕疵が見つかっても期限切れの恐れ

期間は、あくまで「2年以上」ですので、ぴったり「2年」でも問題ないことになります。そのため、不動産の売買契約では、売主の契約不適合責任の期間について、「引渡しから【2年以内】に売主が通知を受けた場合に限る」とする特約を設けているケースも珍しくありません。

ここで問題になるのが、オーナーチェンジ物件です。すでに入居者がいる状態で物件引渡しとなると、室内やベランダなどの状態の確認は当然難しくなります。さらに入居者が契約を更新すると、その機会はますます遠のくことに。

もし、契約不適合責任の有効期間を2年以内とする契約なら、後から隠れた瑕疵が見つかったものの、とうに期限切れになっていた、という事態も十分あり得るでしょう。

オーナーチェンジ物件の危険性を軽減するために、以下の施策が効果的です。

  • 一棟物件の場合、建物診断を行う
  • 現オーナーから修繕履歴を提供してもらう
  • 修繕費がかかることを想定して手元の資金を貯める
  • 稼働している部屋を内見できないか交渉する

7.入居者がサクラの可能性がある

既存入居者のいるオーナーチェンジ物件なら、購入直後から家賃収入を得られるメリットがあります。その一方、入居者が実はサクラで、物件を買わせるために安定経営を装っていたに過ぎず、購入直後に退去が相次ぐといった詐欺行為が隠れているリスクも。

「入居状況詐欺」と呼ばれる、決して許されない行為ですが、現実に知られた手口である以上、物件購入の際は気をつける必要があります。

オーナーチェンジ物件の危険性を回避するための改善策は、以下のとおりです。

  • 現地調査を行う
  • 賃貸借契約書の内容を確認する

8.建て替えやリノベーションをしにくい

入居者が少なくなった老朽化した一棟物件の場合、建て替えを視野に入れて、オーナーチェンジ物件を購入することがあります。また、区分マンションの場合は、リノベーションを視野に入れてオーナーチェンジ物件を購入することもあります。

しかし、実際に立ち退き交渉をしてみると、入居者がなかなか応じてくれないリスクがあります。この場合、稼働率が低い物件を保有し続けることになったり、想定以上の立ち退き料が必要になったりする危険性があります。

オーナーチェンジ物件の危険性を避けるためのポイントはこちらです。

  • 立ち退き交渉が上手くいかないことを想定して経営計画を立てる
  • 立ち退き交渉を得意とする法律事務所に相談する

9.購入直後に追加費用が必要になることがある

オーナーチェンジ物件には、購入直後に追加費用が発生する危険性があります。たとえば、給湯器やエアコンなどの設備が故障し、修理や交換が必要になる場合です。

また、区分マンションをオーナーチェンジ物件として購入した際に、たまたま購入直後に解約の申し入れがあり、その後、長期間にわたって次の入居者が見つからないこともあります。このような状況を打開するために、リノベーションを行う場合、まとまった資金が必要となります。

オーナーチェンジ物件の危険性を軽減するためには、以下のポイントに留意すると良いでしょう。

  • 設備の内容や台数を把握する
  • 設備を交換した時期を確認する(古い設備が多い場合は要注意)
  • 手元の資金を十分確保してから購入する

10.表記されている利回りよりも低い場合がある

オーナーチェンジ物件の概要に記載されている利回りは、通常、全ての部屋が稼働している場合の年間収入を基にした「表面利回り」ということが一般的です(区分マンションの場合は、空室期間なしの表面利回り)。

そのため、実際の稼働率を基にした利回りや、初期費用とランニングコストを含めた「実質利回り」は、物件概要に示されている利回りよりも低くなることがあります。このことを知らずに、物件概要の表面利回りを期待してオーナーチェンジ物件を購入してしまうと、期待していたような利益を得られなかったり、想定以上の経費がかかってしまったりする危険性があります。

オーナーチェンジ物件の危険性を軽減するために、以下の施策が効果的です。

  • 実質利回りを確認する
  • ランニングコストを確認する
  • 利回りとランニングコストを確認した上で慎重に購入を判断する

11.実際には連帯保証人がいないことがある

オーナーチェンジ物件の危険性として、連帯保証人がいると説明されていたにも関わらず、家賃滞納が発生し、連絡を試みても保証人と連絡が取れない場合があります。このような状況では、家賃の回収ができず、赤字経営に陥る危険性があります。

オーナーチェンジ物件の危険性を回避するための改善策は、以下の通りです。

  • 連帯保証人の情報を改めて確認する(入居者との関係や勤務先など)
  • 購入時に連帯保証人に連絡してみる

12.売却時に安い価格で買い叩かれるリスクがある

ここで解説してきたような問題のあるオーナーチェンジ物件を購入してしまうと、売却しようとしても安く買い叩かれたり、買主がなかなか見つからなかったりして、出口戦略で苦労する危険性があります。

このような状況に陥らないためには、オーナーチェンジ物件の購入を慎重に進めることが重要です。

オーナーチェンジ物件のよくある失敗と回避策

オーナーチェンジ物件でよくある失敗事例とそれぞれの回避策について説明します。

入居者がサクラで購入後すぐに赤字経営に

オーナーチェンジ物件でよくあるのが「入居者が実はサクラだった」というケースです。入居者が、オーナーチェンジ物件を購入させることが目的としたサクラだった場合、購入後すぐに退去してしまいます。サクラに入居させる必要がある物件なので、退去後に入居者がしばらくつかないことも少なくありません。この状態が継続してしまうとすぐに赤字経営に陥る危険性があります。

回避策

サクラに騙されないためには、賃貸借契約書の内容をしっかり確認することが大切です。賃貸借契約書に不自然な点がないか丁寧に確認しましょう。サクラの場合は、入居を装っているだけなので居住実態がないケースもあります。この危険性を回避するには、オーナー自身が購入前に以下のような現地調査を行うことが必要です。

  • 外から見て居住実態がありそうか
  • カーテンがあるか
  • 夜間明かりがついている時間帯があるか
  • 水道やガス、電気のメーターが動いているか

オーナーチェンジ物件の現地調査をしっかり行うことにより、サクラを回避できる可能性が高くなります。

ただし、オートロック付きのマンションの場合、ガスや電気のメーターを確認するために無理に侵入しようとすると、住居侵入罪に抵触する可能性があるため注意してください。また、立入禁止の張り紙が張ってある場合なども、住民からクレームが入る危険性があるため注意が必要です。

現オーナーに売却する理由を確認することも重要です。売却理由が経営上の問題の場合、その物件は赤字経営に陥っている可能性があるため、購入は避けた方がよいでしょう。

契約物件の確認もれがありトラブルに発展

契約する物件の確認もれがあることでトラブルに発展するケースもあります。

オーナーチェンジ物件は、契約内容に不利な内容が含まれていても原則としてそのまま引き継ぐことになります。そのため、契約内容に以下のような内容がないかしっかり確認することが求められます。

  • 想定した家賃相場よりも家賃が低い
  • 解約予告が急すぎる
  • 解約予告条項が緩すぎる
  • 更新料に関する規約や費用負担に関する規約が明らかに貸主に不利

契約時に確認がもれていた場合、オーナーと入居者の間で契約内容を巡ってトラブルに発展する可能性があります。

回避策

オーナーチェンジ物件購入後のトラブルを回避するためには、契約前の段階で全ての契約条項を丁寧に確認することが必要です。賃料や更新料、各種費用負担などに目を通して、納得した上で契約に進みましょう。たとえば、物件の設備が壊れた場合にどちらがその修理費を出すのかなどを明確にしておくことが重要です。

契約条項は、現オーナーが現在の入居者と交わしている契約書を確認すれば目を通すことができます。

入居者の退去後、すぐに家賃を下げざるを得なくなった

オーナーチェンジ物件を購入後、あまり期間が経過しないうちに入居者が退去してしまい、その後、家賃を下げざるを得なくなったというケースもあります。入居者が退去してしばらく入居者がつかない場合は、入居者を募るため、家賃を下げる決断を迫られることもあるかもしれません。

しかし、一度家賃を下げてしまうとその後家賃を上げにくくなるため、できるかぎり避けたいところです。 家賃を下げないと入居者がつかないような物件では、赤字経営に陥る可能性が高くなり、事業として成立しない危険性もあります。

回避策

このような危険を避けるためには、現オーナーから入居者や家賃の実態をヒアリングするとよいでしょう。また「家賃が周辺の地域の相場と比べて高くないか」「相場が急激に下がっていないか」などについて購入前にしっかり確認しておくことが大切です。

周辺の相場よりもオーナーチェンジ物件の家賃が高い場合は、今後家賃を下げないと入居者がつかなくなる危険性があります。 また「当該物件の地域が今後成長する可能性があるのか」「逆に衰退する可能性があるのか」など周辺のエリアに関する調査も大切です。

購入後に設備故障やひどい経年劣化が発覚

オーナーチェンジ物件購入後に設備故障が発覚したり、ひどい経年劣化が発覚したりして、急な出費を余儀なくされるというケースもあります。築年数が数十年経過している物件の場合、古い設備などが故障して、急な出費が発生してしまうことも珍しくありません。

特に新築から一度も修繕を加えていない物件の場合は、近いうちに大きな修繕費が必要になる危険性もあります。キッチン部分などの高額な設備の修繕が必要な場合、オーナーチェンジ後すぐに大きな出費を余儀なくされることもあるため、注意しましょう。

回避策

このような事態を避けるためには、現オーナーから修復履歴を提供してもらうとよいでしょう。オーナーであれば、ほとんどの場合、外壁の塗り替えや設備の点検記録など修繕箇所の記録を残しています。修繕記録を提供してもらえたら、以下のような点を確認しましょう。

  • まだ修繕されていない大きな備品はないか
  • 点検にもれがないか
  • 建物自体の大規模修繕の予定はないか

ワンルームマンションなどの集合住宅では、12年~15年に一度大規模修繕が行われることが多いです。大規模修繕の前後で売り出されるオーナーチェンジ物件の場合、「一時金を新オーナーに負担してもらいたい」という思惑が潜んでいることがあります。このような物件を購入しないように気を付けましょう。

そのためには、以下のようなことが有効です。

  • 修繕計画書の提出を求める
  • 現段階での積立金の状況を確認する
  • 修繕後における修繕積立金の変更予定の確認

購入しようとしているオーナーチェンジ物件に不明瞭な点がある場合は、購入を見送ることも大切です。

オーナーチェンジ物件とサブリース契約物件との違い

不動産投資の初心者の中には、「オーナーチェンジ物件」と「サブリース契約物件」の違いを理解しにくいという方も多いです。両者の特徴を端的にまとめると、以下のようになります。

オーナーチェンジ物件とは?

オーナーチェンジ物件とは、入居者がいる状態で売りに出された物件のことを指します。

サブリース契約物件とは?

サブリース契約物件とは、サブリース会社などが転貸借を行うことで、空室が発生しても一定の家賃が支払われる契約方式です。

入居者(転借人)が退去しても、オーナー(賃貸人)が得られる家賃は影響を受けず、サブリース会社など(転貸人)が空室リスクを負います。 両者は、「購入直後から家賃収入を得られる」という点は共通しています。一方で、以下のような大きな違いがあります。

オーナーチェンジ物件のメリットとデメリット

オーナーチェンジ物件では、入居者が退去するまでの間、家賃収入を継続的に得られます。しかし、退去後は次の入居者が見つかる間は家賃収入が途切れる危険性があります。

オーナーチェンジ物件のメリットとデメリットをまとめると、以下のようになります。

オーナーチェンジ物件のメリット
 

  • 購入直後から、すぐに家賃収入を得られる
  • 入居者を探す時間と手間が省ける
  • 入居者がすでにいるため資金計画を立てやすい

オーナーチェンジ物件のデメリット
 

  • 室内の状況や稼働状況を把握しにくい
  • 悪質な入居者との契約を解約しにくい
  • 家賃設定や管理会社がそのまま引き継がれる

サブリース契約物件のメリットとデメリット

サブリース契約物件は、入居者(転借人)の退去や家賃滞納などに関係なく、オーナーは契約期間中ずっと家賃収入を得られます。一方で、サブリース契約物件の家賃は、サブリース会社と入居者が直接契約した場合の家賃よりも安く設定されることが多いです。

メリットとデメリットをまとめると、以下のようになります。

サブリース契約物件のメリット
 

  • 空室リスクが解消され、安定的な収入を得られる
  • 家賃相場が下がる局面でも一定の緩和効果がある
  • オーナー側の原状回復費の負担を軽減できる

サブリース契約物件のデメリット
 

  • 通常の家賃の80〜90%程度しか得られない
  • 転貸人からの家賃の値下げ要請の危険性がある
  • オーナーが入居者を選べない

後悔しないために!オーナーチェンジ物件で成功するためのポイント

オーナーチェンジ物件で危険を冒さないためには、どのような点に注意すればよいのでしょうか。ここでは、オーナーチェンジ物件で成功するためのポイントについて具体的に説明します。

契約内容をきちんと確認する

オーナーチェンジ物件で危険を冒さないためには、契約内容を確認することが非常に重要です。契約内容は、原則としてそのままオーナーチェンジの際に引き継ぐことになるため、慎重に確認しましょう。

特に確認しておきたい部分は、以下の項目です。

  • 現在の家賃の状況
  • 費用負担に関する条項
  • 解約予告などに関する条項
  • 更新料に関する条項や敷金などに関する条項
  • 連帯保証人の有無

オーナーチェンジ物件の購入後、家賃を確実に回収し、トラブルを回避するためには、新オーナーが今の契約状況をしっかりと理解することが不可欠ですので、契約内容は必ず確認しておくようにしましょう。

現地確認やヒアリングを怠らない

オーナーチェンジ物件で失敗を避けるには、契約内容を確認するだけでは不十分です。契約書を見てもわからないこともあるので、現地確認や現オーナーからのヒアリングを必ず行うようにしましょう。現地を訪問して、オーナーチェンジ物件の状況を自分の目で確認することでわかることもたくさんあります。

たとえば、エントランスなどの共用部分の清掃が行き届いているか確認することで、管理の質がわかります。また、部屋にカーテンがついていない場合や、夜遅くまで部屋の明かりがつかない場合は、入居者がサクラである危険性があります。

ただし、入居者がサクラでも、部屋にカーテンを付けて実際に居住している場合は見抜くことは難しいかもしれません。現オーナーにヒアリングをして、今の入居者がいつから入居しているのか、今までトラブルなどはなかったかなどを確認し、回答に不審な点がないか見極めましょう。

現在の家賃と周辺の家賃相場を比較する

オーナーチェンジ物件で危険を冒さないためには、現在の家賃と周辺の家賃相場を比較することも重要なポイントです。現在の家賃が周辺の家賃相場よりも高い場合は、今後の家賃を下げる必要が生じる可能性があるからです。

家賃を一度下げてしまうと、上げることが難しくなるため、周辺の家賃も参考にしながら今後の資金計画を立てていくことが求められます。周辺の同じような物件の相場をしっかり調査しましょう。

過去の経営状況や売却理由を確認する

オーナーチェンジ物件で危険を避けるには、過去の経営状況や売却理由を現オーナーからヒアリングすることも重要です。「高齢のために手放したいのか」「それとも他に理由があるのか」など事細かにヒアリングすることが求められます。

赤字経営が続いたことや、その他不自然な理由によるオーナーチェンジの場合は、注意が必要です。すぐに購入を決めるのではなく、事情をしっかりヒアリングして納得した上で購入することが大切です。

また過去の経営状況の確認も忘れてはいけません。たとえば「実際にどのくらいの頻度で空き家になっていたのか」「どのような方法で入居者を募集していたのか」なども確認しておきましょう。

信頼のおける不動産会社から購入する

信頼のおける不動産会社からオーナーチェンジ物件を購入することも大切です。身近にオーナーチェンジの物件を購入して成功している人がいる場合は、その人からに紹介してもらってもよいでしょう。

ほかにもインターネットでの口コミの状況を確認して候補を絞ったうえで、実際に具体的な相談をして、本当に信頼できるかを自分の目で見極めることが大切です。

不動産投資は、不動産会社の担当者によって運用成果が大きく変わる可能性があるため、慎重に探しましょう。

オーナーチェンジ物件を購入すべきか判断がつかない場合は?

本稿で解説してきたように、オーナーチェンジ物件には、数多くの危険性があります。たとえば、悪質な入居者だったり、家賃設定が相場よりも低かったりすると、購入後に修正するのは困難です。

不動産投資の初心者や、オーナーチェンジ物件で成功する自信がない方は、専門家のアドバイスを参考にしたうえで判断することが重要です。

不動産投資の専門家と出会う手段としては、「セミナーに参加する」「個別相談会に参加する」などがあります。

まとめ

オーナーチェンジ物件には数多くの危険性があるため、購入する場合は、ここで解説した対策を行うことが必須です。

一方で、不動産投資の初心者の方が、オーナーチェンジ物件を購入するかどうかを適切に判断することは困難です。「購入直後から家賃収入が得られる」というメリットだけを見るのではなく、専門家の意見を参考にしながら適切な判断をしましょう。

私たちベルテックスでは、「対面形式(新宿本社)」と「オンライン形式」という2つのスタイルの不動産投資セミナーをご用意しています。

さまざまなテーマのセミナーを企画しているため、その人の知識や経験に合った内容を選べます。セミナー後半に、オーナー物件についてのご質問をすることも可能です。

この記事を書いた人

ベルテックスコラム事務局

不動産コンサルタント・税理士

不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。

2024.11.29

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オーナーチェンジ物件は危険?事例と物件選びの注意点も解説

  • メリット
  • リスク
  • 賃貸管理

オーナーチェンジ物件の購入を検討する際、「運用上の危険性はないのか」という心配を抱く方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この記事では、オーナーチェンジ物件が危険と言われやすい理由、失敗事例とその回避策、そして、物件選びのポイントについて詳しく解説します。

オーナーチェンジ物件とは?

オーナーチェンジ物件とは、入居者がいる状態で売りに出された物件のことを指します。

入居者は、そのまま物件に居住している状態です。つまり入居中の状態でオーナーだけが入れ替わることをオーナーチェンジと呼び、当該物件をオーナーチェンジ物件と呼びます。

オーナーチェンジ物件が危険と言われやすい12の理由

「オーナーチェンジ物件が危険」と言われやすい理由として、以下の12の項目が挙げられます。

  1. 購入前に室内の状態を把握しにくい
  2. 正確な稼働状況を把握しにくい
  3. 悪質な入居者を追い出すのが難しい
  4. 家賃設定がそのまま引き継がれる
  5. 管理会社がそのまま引き継がれる
  6. 物件の瑕疵を見つけにくい
  7. 入居者がサクラの可能性がある
  8. 建て替えやリノベーションをしにくい
  9. 購入直後に追加費用が必要になることがある
  10. 表記されている利回りよりも低い場合がある
  11. 実際には連帯保証人がいないことがある
  12. 売却で不利になる可能性がある

それぞれの危険性について、詳細を確認しましょう。

1.購入前に室内の状態を把握しにくい

オーナーチェンジ物件が危険といわれる理由の1つ目は、入居者がすでに生活しているため、室内の状態を直接確認するのが難しいことがあげられます。

入居者が通常の範囲を超えない使い方をしているなら、わざわざ室内の状態を把握しなくても、問題ないことが多いでしょう。しかし、部屋や設備を乱暴に扱っていた場合は、退去時に原状回復費の負担割合を巡ってトラブルが発生するリスクがあります。

以下のことに留意し、できるだけリスク回避できるよう努めましょう。

  • 現オーナーから修繕履歴の情報収集を行う
  • 修繕費がかかることを想定して手元の資金を貯める
  • 稼働している部屋を内見できないか交渉する

2.正確な稼働状況を把握しにくい

2つ目の理由は、稼働率が常に変動しているため、最新の入居状況を確認しにくいことです。

物件概要に示されている稼働率は、あくまで過去の実績に基づいたものです。物件広告を出す数ヵ月前の数字が記載されていることになるので、当時は稼働率が高かったとしても、購入時には稼働率が下がっていることもありえます。

そうした事態を避けるためには、以下の対策が効果的です。

  • 最新の稼働状況をヒアリングする
  • レントロールを確認する
  • 現地調査を実施する

3.悪質な入居者を追い出すのが難しい

オーナーチェンジ物件が危険といわれる3つ目の理由として、借地借家法によって入居者が保護されているため、賃貸借契約を簡単に解約できないことが挙げられます。

オーナーチェンジ物件の入居者が以下のような問題のあるタイプの場合、退去させることが難しく、貸主が損失を被るリスクがあります。

  • 家賃を滞納している
  • 騒音で近隣に迷惑をかけている
  • 悪臭を発生させている
  • 共用部分の使い方のマナーが悪い 

など 貸主側から解約を申し入れる場合、正当事由がある場合に限り、申し入れから6ヵ月後に契約を解約することができます。

一般的に、3ヵ月以上の家賃滞納があると、正当事由(契約を解約する根拠)として認められやすいと言われています(ただし、解約には催告期間が必須です)。一方で、騒音や悪臭の場合は、かなりひどいレベルでないと、正当事由として認められにくいのが現実です。

オーナーチェンジ物件の危険性を回避するための改善策は、以下の通りです。

  • 事前に家賃の支払い状況を確認する
  • 家賃の支払い状況が悪い物件は買わない
  • 十分な敷金が確保されているか確認する

4.家賃設定がそのまま引き継がれる

オーナーチェンジ物件が危険といわれる4つ目の理由として、現在の家賃設定が物件購入後もそのまま引き継がれることが挙げられます。

オーナーチェンジ物件でも、家賃が相場に近い場合は新たな貸主にとって不利益はないでしょう。しかし、家賃が相場よりも高すぎたり低すぎたりする場合、経営上の問題が発生する危険性があります。

たとえば、そのオーナーチェンジ物件の家賃設定が相場よりも高い場合、入居者が更新をしなかったり、早いうちに退去してしまったりするリスクがあります。

一方、オーナーチェンジ物件の家賃が類似物件に比べて低すぎる場合、入居者と交渉して値上げをすることも可能です。ただし、賃貸借契約の内容次第では、そもそも値上げができない場合があります。あらかじめ契約書の、家賃増額に関する内容を確認しましょう。

家賃の値上げを入居者が拒否する場合も

また、契約上は値上げが可能でも入居者が拒否することもあるでしょう。その場合、裁判所への調停の申し立てや、調停がまとまらなければ訴訟で請求する方法もあります。

しかし、解決に至るまでには、弁護士などの専門家の手を借りたり、裁判所に出頭したりと、相応の費用と労力が必要になることも。家賃の値上げは必ずしも一筋縄ではいかない点は、留意しておくべきです。

オーナーチェンジ物件の危険性を避けるためのポイントは、こちらです。

  • 現在の家賃を相場と比較する
  • 家賃設定が低い場合、物件価格の値引き交渉をする

5.管理会社がそのまま引き継がれる

オーナーチェンジ物件が危険といわれる5つ目の理由として、管理会社の問題が挙げられます。オーナーチェンジの際には、現オーナーが契約している管理会社をそのまま引き継ぐか、新しい管理会社に変更するかの選択肢があります。

オーナーチェンジ物件で管理会社をそのまま引き継ぐ場合、管理会社のサービスの質が低いと入居者の満足度が下がり、空室率が高くなる危険性があります。また、管理委託契約が簡単に解約できない内容になっていると、管理会社の変更が難しくなることもあります。

オーナーチェンジ物件の危険性を軽減するためには、以下のポイントに留意すると良いでしょう。

  • 対象物件の共用部分を確認する
  • 管理会社の公式サイトをチェックする
  • 可能であれば、購入前に管理会社を面談する

6.物件の瑕疵を見つけにくい

オーナーチェンジ物件が危険といわれる6つ目の理由として、購入時に物件の隠れた瑕疵(買主が注意しても分からなかった欠陥)を見つけにくいことが挙げられます。

民法では、「契約不適合責任」の条文において、売主は売買契約の内容に適合した物を引き渡す義務がある、と定めています。もし、売主が契約に適合していない物を引き渡した場合、買主は売主に対して、追完請求(修繕の請求)や、代金減額請求、契約解除などを求めることができます。

また、不動産の取引に関わる宅建業法では、宅建業者が売主となり、宅建業者でない買主と売買契約を結んだ際、買主が宅建業者の契約不適合責任を問える期間を「目的物の引き渡しから2年以上としなければならない」とも定めています。

瑕疵が見つかっても期限切れの恐れ

期間は、あくまで「2年以上」ですので、ぴったり「2年」でも問題ないことになります。そのため、不動産の売買契約では、売主の契約不適合責任の期間について、「引渡しから【2年以内】に売主が通知を受けた場合に限る」とする特約を設けているケースも珍しくありません。

ここで問題になるのが、オーナーチェンジ物件です。すでに入居者がいる状態で物件引渡しとなると、室内やベランダなどの状態の確認は当然難しくなります。さらに入居者が契約を更新すると、その機会はますます遠のくことに。

もし、契約不適合責任の有効期間を2年以内とする契約なら、後から隠れた瑕疵が見つかったものの、とうに期限切れになっていた、という事態も十分あり得るでしょう。

オーナーチェンジ物件の危険性を軽減するために、以下の施策が効果的です。

  • 一棟物件の場合、建物診断を行う
  • 現オーナーから修繕履歴を提供してもらう
  • 修繕費がかかることを想定して手元の資金を貯める
  • 稼働している部屋を内見できないか交渉する

7.入居者がサクラの可能性がある

既存入居者のいるオーナーチェンジ物件なら、購入直後から家賃収入を得られるメリットがあります。その一方、入居者が実はサクラで、物件を買わせるために安定経営を装っていたに過ぎず、購入直後に退去が相次ぐといった詐欺行為が隠れているリスクも。

「入居状況詐欺」と呼ばれる、決して許されない行為ですが、現実に知られた手口である以上、物件購入の際は気をつける必要があります。

オーナーチェンジ物件の危険性を回避するための改善策は、以下のとおりです。

  • 現地調査を行う
  • 賃貸借契約書の内容を確認する

8.建て替えやリノベーションをしにくい

入居者が少なくなった老朽化した一棟物件の場合、建て替えを視野に入れて、オーナーチェンジ物件を購入することがあります。また、区分マンションの場合は、リノベーションを視野に入れてオーナーチェンジ物件を購入することもあります。

しかし、実際に立ち退き交渉をしてみると、入居者がなかなか応じてくれないリスクがあります。この場合、稼働率が低い物件を保有し続けることになったり、想定以上の立ち退き料が必要になったりする危険性があります。

オーナーチェンジ物件の危険性を避けるためのポイントはこちらです。

  • 立ち退き交渉が上手くいかないことを想定して経営計画を立てる
  • 立ち退き交渉を得意とする法律事務所に相談する

9.購入直後に追加費用が必要になることがある

オーナーチェンジ物件には、購入直後に追加費用が発生する危険性があります。たとえば、給湯器やエアコンなどの設備が故障し、修理や交換が必要になる場合です。

また、区分マンションをオーナーチェンジ物件として購入した際に、たまたま購入直後に解約の申し入れがあり、その後、長期間にわたって次の入居者が見つからないこともあります。このような状況を打開するために、リノベーションを行う場合、まとまった資金が必要となります。

オーナーチェンジ物件の危険性を軽減するためには、以下のポイントに留意すると良いでしょう。

  • 設備の内容や台数を把握する
  • 設備を交換した時期を確認する(古い設備が多い場合は要注意)
  • 手元の資金を十分確保してから購入する

10.表記されている利回りよりも低い場合がある

オーナーチェンジ物件の概要に記載されている利回りは、通常、全ての部屋が稼働している場合の年間収入を基にした「表面利回り」ということが一般的です(区分マンションの場合は、空室期間なしの表面利回り)。

そのため、実際の稼働率を基にした利回りや、初期費用とランニングコストを含めた「実質利回り」は、物件概要に示されている利回りよりも低くなることがあります。このことを知らずに、物件概要の表面利回りを期待してオーナーチェンジ物件を購入してしまうと、期待していたような利益を得られなかったり、想定以上の経費がかかってしまったりする危険性があります。

オーナーチェンジ物件の危険性を軽減するために、以下の施策が効果的です。

  • 実質利回りを確認する
  • ランニングコストを確認する
  • 利回りとランニングコストを確認した上で慎重に購入を判断する

11.実際には連帯保証人がいないことがある

オーナーチェンジ物件の危険性として、連帯保証人がいると説明されていたにも関わらず、家賃滞納が発生し、連絡を試みても保証人と連絡が取れない場合があります。このような状況では、家賃の回収ができず、赤字経営に陥る危険性があります。

オーナーチェンジ物件の危険性を回避するための改善策は、以下の通りです。

  • 連帯保証人の情報を改めて確認する(入居者との関係や勤務先など)
  • 購入時に連帯保証人に連絡してみる

12.売却時に安い価格で買い叩かれるリスクがある

ここで解説してきたような問題のあるオーナーチェンジ物件を購入してしまうと、売却しようとしても安く買い叩かれたり、買主がなかなか見つからなかったりして、出口戦略で苦労する危険性があります。

このような状況に陥らないためには、オーナーチェンジ物件の購入を慎重に進めることが重要です。

オーナーチェンジ物件のよくある失敗と回避策

オーナーチェンジ物件でよくある失敗事例とそれぞれの回避策について説明します。

入居者がサクラで購入後すぐに赤字経営に

オーナーチェンジ物件でよくあるのが「入居者が実はサクラだった」というケースです。入居者が、オーナーチェンジ物件を購入させることが目的としたサクラだった場合、購入後すぐに退去してしまいます。サクラに入居させる必要がある物件なので、退去後に入居者がしばらくつかないことも少なくありません。この状態が継続してしまうとすぐに赤字経営に陥る危険性があります。

回避策

サクラに騙されないためには、賃貸借契約書の内容をしっかり確認することが大切です。賃貸借契約書に不自然な点がないか丁寧に確認しましょう。サクラの場合は、入居を装っているだけなので居住実態がないケースもあります。この危険性を回避するには、オーナー自身が購入前に以下のような現地調査を行うことが必要です。

  • 外から見て居住実態がありそうか
  • カーテンがあるか
  • 夜間明かりがついている時間帯があるか
  • 水道やガス、電気のメーターが動いているか

オーナーチェンジ物件の現地調査をしっかり行うことにより、サクラを回避できる可能性が高くなります。

ただし、オートロック付きのマンションの場合、ガスや電気のメーターを確認するために無理に侵入しようとすると、住居侵入罪に抵触する可能性があるため注意してください。また、立入禁止の張り紙が張ってある場合なども、住民からクレームが入る危険性があるため注意が必要です。

現オーナーに売却する理由を確認することも重要です。売却理由が経営上の問題の場合、その物件は赤字経営に陥っている可能性があるため、購入は避けた方がよいでしょう。

契約物件の確認もれがありトラブルに発展

契約する物件の確認もれがあることでトラブルに発展するケースもあります。

オーナーチェンジ物件は、契約内容に不利な内容が含まれていても原則としてそのまま引き継ぐことになります。そのため、契約内容に以下のような内容がないかしっかり確認することが求められます。

  • 想定した家賃相場よりも家賃が低い
  • 解約予告が急すぎる
  • 解約予告条項が緩すぎる
  • 更新料に関する規約や費用負担に関する規約が明らかに貸主に不利

契約時に確認がもれていた場合、オーナーと入居者の間で契約内容を巡ってトラブルに発展する可能性があります。

回避策

オーナーチェンジ物件購入後のトラブルを回避するためには、契約前の段階で全ての契約条項を丁寧に確認することが必要です。賃料や更新料、各種費用負担などに目を通して、納得した上で契約に進みましょう。たとえば、物件の設備が壊れた場合にどちらがその修理費を出すのかなどを明確にしておくことが重要です。

契約条項は、現オーナーが現在の入居者と交わしている契約書を確認すれば目を通すことができます。

入居者の退去後、すぐに家賃を下げざるを得なくなった

オーナーチェンジ物件を購入後、あまり期間が経過しないうちに入居者が退去してしまい、その後、家賃を下げざるを得なくなったというケースもあります。入居者が退去してしばらく入居者がつかない場合は、入居者を募るため、家賃を下げる決断を迫られることもあるかもしれません。

しかし、一度家賃を下げてしまうとその後家賃を上げにくくなるため、できるかぎり避けたいところです。 家賃を下げないと入居者がつかないような物件では、赤字経営に陥る可能性が高くなり、事業として成立しない危険性もあります。

回避策

このような危険を避けるためには、現オーナーから入居者や家賃の実態をヒアリングするとよいでしょう。また「家賃が周辺の地域の相場と比べて高くないか」「相場が急激に下がっていないか」などについて購入前にしっかり確認しておくことが大切です。

周辺の相場よりもオーナーチェンジ物件の家賃が高い場合は、今後家賃を下げないと入居者がつかなくなる危険性があります。 また「当該物件の地域が今後成長する可能性があるのか」「逆に衰退する可能性があるのか」など周辺のエリアに関する調査も大切です。

購入後に設備故障やひどい経年劣化が発覚

オーナーチェンジ物件購入後に設備故障が発覚したり、ひどい経年劣化が発覚したりして、急な出費を余儀なくされるというケースもあります。築年数が数十年経過している物件の場合、古い設備などが故障して、急な出費が発生してしまうことも珍しくありません。

特に新築から一度も修繕を加えていない物件の場合は、近いうちに大きな修繕費が必要になる危険性もあります。キッチン部分などの高額な設備の修繕が必要な場合、オーナーチェンジ後すぐに大きな出費を余儀なくされることもあるため、注意しましょう。

回避策

このような事態を避けるためには、現オーナーから修復履歴を提供してもらうとよいでしょう。オーナーであれば、ほとんどの場合、外壁の塗り替えや設備の点検記録など修繕箇所の記録を残しています。修繕記録を提供してもらえたら、以下のような点を確認しましょう。

  • まだ修繕されていない大きな備品はないか
  • 点検にもれがないか
  • 建物自体の大規模修繕の予定はないか

ワンルームマンションなどの集合住宅では、12年~15年に一度大規模修繕が行われることが多いです。大規模修繕の前後で売り出されるオーナーチェンジ物件の場合、「一時金を新オーナーに負担してもらいたい」という思惑が潜んでいることがあります。このような物件を購入しないように気を付けましょう。

そのためには、以下のようなことが有効です。

  • 修繕計画書の提出を求める
  • 現段階での積立金の状況を確認する
  • 修繕後における修繕積立金の変更予定の確認

購入しようとしているオーナーチェンジ物件に不明瞭な点がある場合は、購入を見送ることも大切です。

オーナーチェンジ物件とサブリース契約物件との違い

不動産投資の初心者の中には、「オーナーチェンジ物件」と「サブリース契約物件」の違いを理解しにくいという方も多いです。両者の特徴を端的にまとめると、以下のようになります。

オーナーチェンジ物件とは?

オーナーチェンジ物件とは、入居者がいる状態で売りに出された物件のことを指します。

サブリース契約物件とは?

サブリース契約物件とは、サブリース会社などが転貸借を行うことで、空室が発生しても一定の家賃が支払われる契約方式です。

入居者(転借人)が退去しても、オーナー(賃貸人)が得られる家賃は影響を受けず、サブリース会社など(転貸人)が空室リスクを負います。 両者は、「購入直後から家賃収入を得られる」という点は共通しています。一方で、以下のような大きな違いがあります。

オーナーチェンジ物件のメリットとデメリット

オーナーチェンジ物件では、入居者が退去するまでの間、家賃収入を継続的に得られます。しかし、退去後は次の入居者が見つかる間は家賃収入が途切れる危険性があります。

オーナーチェンジ物件のメリットとデメリットをまとめると、以下のようになります。

オーナーチェンジ物件のメリット
 

  • 購入直後から、すぐに家賃収入を得られる
  • 入居者を探す時間と手間が省ける
  • 入居者がすでにいるため資金計画を立てやすい

オーナーチェンジ物件のデメリット
 

  • 室内の状況や稼働状況を把握しにくい
  • 悪質な入居者との契約を解約しにくい
  • 家賃設定や管理会社がそのまま引き継がれる

サブリース契約物件のメリットとデメリット

サブリース契約物件は、入居者(転借人)の退去や家賃滞納などに関係なく、オーナーは契約期間中ずっと家賃収入を得られます。一方で、サブリース契約物件の家賃は、サブリース会社と入居者が直接契約した場合の家賃よりも安く設定されることが多いです。

メリットとデメリットをまとめると、以下のようになります。

サブリース契約物件のメリット
 

  • 空室リスクが解消され、安定的な収入を得られる
  • 家賃相場が下がる局面でも一定の緩和効果がある
  • オーナー側の原状回復費の負担を軽減できる

サブリース契約物件のデメリット
 

  • 通常の家賃の80〜90%程度しか得られない
  • 転貸人からの家賃の値下げ要請の危険性がある
  • オーナーが入居者を選べない

後悔しないために!オーナーチェンジ物件で成功するためのポイント

オーナーチェンジ物件で危険を冒さないためには、どのような点に注意すればよいのでしょうか。ここでは、オーナーチェンジ物件で成功するためのポイントについて具体的に説明します。

契約内容をきちんと確認する

オーナーチェンジ物件で危険を冒さないためには、契約内容を確認することが非常に重要です。契約内容は、原則としてそのままオーナーチェンジの際に引き継ぐことになるため、慎重に確認しましょう。

特に確認しておきたい部分は、以下の項目です。

  • 現在の家賃の状況
  • 費用負担に関する条項
  • 解約予告などに関する条項
  • 更新料に関する条項や敷金などに関する条項
  • 連帯保証人の有無

オーナーチェンジ物件の購入後、家賃を確実に回収し、トラブルを回避するためには、新オーナーが今の契約状況をしっかりと理解することが不可欠ですので、契約内容は必ず確認しておくようにしましょう。

現地確認やヒアリングを怠らない

オーナーチェンジ物件で失敗を避けるには、契約内容を確認するだけでは不十分です。契約書を見てもわからないこともあるので、現地確認や現オーナーからのヒアリングを必ず行うようにしましょう。現地を訪問して、オーナーチェンジ物件の状況を自分の目で確認することでわかることもたくさんあります。

たとえば、エントランスなどの共用部分の清掃が行き届いているか確認することで、管理の質がわかります。また、部屋にカーテンがついていない場合や、夜遅くまで部屋の明かりがつかない場合は、入居者がサクラである危険性があります。

ただし、入居者がサクラでも、部屋にカーテンを付けて実際に居住している場合は見抜くことは難しいかもしれません。現オーナーにヒアリングをして、今の入居者がいつから入居しているのか、今までトラブルなどはなかったかなどを確認し、回答に不審な点がないか見極めましょう。

現在の家賃と周辺の家賃相場を比較する

オーナーチェンジ物件で危険を冒さないためには、現在の家賃と周辺の家賃相場を比較することも重要なポイントです。現在の家賃が周辺の家賃相場よりも高い場合は、今後の家賃を下げる必要が生じる可能性があるからです。

家賃を一度下げてしまうと、上げることが難しくなるため、周辺の家賃も参考にしながら今後の資金計画を立てていくことが求められます。周辺の同じような物件の相場をしっかり調査しましょう。

過去の経営状況や売却理由を確認する

オーナーチェンジ物件で危険を避けるには、過去の経営状況や売却理由を現オーナーからヒアリングすることも重要です。「高齢のために手放したいのか」「それとも他に理由があるのか」など事細かにヒアリングすることが求められます。

赤字経営が続いたことや、その他不自然な理由によるオーナーチェンジの場合は、注意が必要です。すぐに購入を決めるのではなく、事情をしっかりヒアリングして納得した上で購入することが大切です。

また過去の経営状況の確認も忘れてはいけません。たとえば「実際にどのくらいの頻度で空き家になっていたのか」「どのような方法で入居者を募集していたのか」なども確認しておきましょう。

信頼のおける不動産会社から購入する

信頼のおける不動産会社からオーナーチェンジ物件を購入することも大切です。身近にオーナーチェンジの物件を購入して成功している人がいる場合は、その人からに紹介してもらってもよいでしょう。

ほかにもインターネットでの口コミの状況を確認して候補を絞ったうえで、実際に具体的な相談をして、本当に信頼できるかを自分の目で見極めることが大切です。

不動産投資は、不動産会社の担当者によって運用成果が大きく変わる可能性があるため、慎重に探しましょう。

オーナーチェンジ物件を購入すべきか判断がつかない場合は?

本稿で解説してきたように、オーナーチェンジ物件には、数多くの危険性があります。たとえば、悪質な入居者だったり、家賃設定が相場よりも低かったりすると、購入後に修正するのは困難です。

不動産投資の初心者や、オーナーチェンジ物件で成功する自信がない方は、専門家のアドバイスを参考にしたうえで判断することが重要です。

不動産投資の専門家と出会う手段としては、「セミナーに参加する」「個別相談会に参加する」などがあります。

まとめ

オーナーチェンジ物件には数多くの危険性があるため、購入する場合は、ここで解説した対策を行うことが必須です。

一方で、不動産投資の初心者の方が、オーナーチェンジ物件を購入するかどうかを適切に判断することは困難です。「購入直後から家賃収入が得られる」というメリットだけを見るのではなく、専門家の意見を参考にしながら適切な判断をしましょう。

私たちベルテックスでは、「対面形式(新宿本社)」と「オンライン形式」という2つのスタイルの不動産投資セミナーをご用意しています。

さまざまなテーマのセミナーを企画しているため、その人の知識や経験に合った内容を選べます。セミナー後半に、オーナー物件についてのご質問をすることも可能です。

この記事を書いた人

ベルテックスコラム事務局

不動産コンサルタント・税理士

不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。