2023.10.10

不動産投資の基本

ベルテックスコラム事務局

不動産投資詐欺の5つの手口!悪徳業者の特徴や回避方法、相談先も解説

  • リスク
  • 詐欺

不動産投資は、資産運用の有効な手段の一つとして注目されています。一方で悪徳業者による詐欺被害が後を絶たないことも事実です。不動産投資詐欺に遭わないためには、悪徳業者の手口や特徴、回避方法などを十分に知っておくことが大切です。

この記事では、不動産投資で詐欺に遭わないために必要な情報をまとめて解説します。

不動産投資詐欺でよくある5つの手口

詐欺とは、人を欺いて財産の引き渡しをさせたり利益を得たりする行為です。不動産投資に関する詐欺には、主に以下の5つの手口があります。

手口1.手付金を利用した詐欺

手付金とは、不動産の売買契約時に買主から売主に支払われるお金です。買主は、契約成立後も物件引渡前であれば、手付金を放棄することで(売主は手付金の倍額を支払うことで)損害賠償を負うことなく解除できるなどの効果があります。まずはこの手付金関係の詐欺をご紹介します。

事例紹介

具体的な手付金詐欺の一例として、手付金の支払いをして売買契約を結んだのに物件引渡前に売主が行方をくらますなどが挙げられます。

有効な対策

悪徳業者に不動産投資の手付金をだまし取られた場合は、取り返すのが困難になるケースも少なくありません。そのため基本的に信頼できない不動産会社などに手付金を渡さないことが大切です。手付金をだまし取られた場合、宅建業者に対する苦情解決や手付金の保全を行う保証協会に相談することで手付金を取り戻せるケースもあります。(詳細は記事の後半で解説)

手口2.婚活サイトやマッチングアプリを利用した詐欺

「デート商法」「恋人商法」と呼ばれる詐欺は、異性の恋愛感情を利用して不動産などの高額な商品を売りつける詐欺です。

事例紹介

デートを重ねて相手が信用した段階で「2人の将来のために」などの甘い言葉を駆使して物件の契約を結ばせて、その後連絡が途絶えるといった事例があります。デート商法は、昔からある古典的な詐欺手法の一つです。近年では、婚活サイトやマッチングアプリを通して知り合った異性に不動産などの高額商品を購入させる事例が増えています。

デート商法の不動産投資詐欺では「投資コンサルタント」「ファイナンシャルプランナー」などの職業を装い犯行に及ぶことが多い傾向にあります。

有効な対策

婚活サイトやマッチングアプリを通して知り合った異性が高額商品をしつこく勧めてきた場合は、疑うのが基本です。契約してしまった場合は、クーリングオフによって契約解除できる可能性もあります。また、2018年の消費者契約法の改正により、デート商法などの不当な勧誘による契約は後から取り消せるという規定が新設されました。条件に該当すればこれらの方法で解決を図ることができます。

手口3.サブリース契約による詐欺

サブリース(マスターリースとも呼ばれる)自体は、適正に利用すれば空室リスクを軽減するのに役立つ面もあります。しかし、サブリースを使ってオーナーを欺く事例が後を絶たないため要注意です。

事例紹介

サブリース契約による詐欺の一例では「○年にわたってサブリース家賃は下がらない」というような断定的な説明を受けたにもかかわらず、後日借地借家法をたてに減額請求されることがあります。国交省、消費者庁、金融庁が連名で作成した注意喚起を促す資料(外部リンク)には、契約期間中に契約解除を迫られる事例なども紹介されています。

有効な対策

サブリース業者(不動産会社、賃貸管理会社など)は、サブリース契約を交わす前に重要事項について書面を交付して説明を行う義務があります。まずは、その内容をしっかり理解して疑問があったら確認し、その疑問が払拭されなければ契約しないことが重要です。

また、サブリース業者が「家賃の値下がりがない」「家賃が保証される」といった不実のことを伝える勧誘行為は、賃貸住宅管理業法に抵触する可能性があります。トラブルに遭った際は、専門機関や不動産に強い弁護士に相談することをおすすめします。(詳細は本記事の後半で解説)

手口4.満室を装って契約を持ちかける詐欺

満室を装って契約を持ちかけられる不動産投資詐欺には、以下の2つのパターンがあります。

事例紹介

1つ目は、物件が売りに出されている間、関係者などに頼んで満室にしておき、物件売却後に関係者を退去させる手口です。例えば「最初の1カ月は家賃が振り込まれていたのに翌月になると半分近くが退去した」という事例があります。

2つ目は、不動産投資の世界で「カーテンスキーム」と呼ばれる詐欺です。これは、物件を売りに出している間、空き部屋にカーテンを取り付けて入居者がいるように見せかける手口です。

有効な対策

満室を装って契約を持ちかける手口は、後から詐欺行為を立証することが困難です。そのため、売買契約を交わす前に見破ることが重要です。具体的な対策としては、レントロール(各部屋の賃貸借条件をまとめた資料)を必ず確認し、直近数カ月の間に新規契約している部屋が多い場合は、カーテンスキームの可能性を疑い購入を避けましょう。ただし、レントロール自体を偽装しているケースもあるため注意が必要です。

カーテンスキームを見破るための対策として現地確認も重要です。部屋にカーテンが取り付けられていても、ポストや部屋の入り口付近、駐車場の状況などから生活感が感じられないような場合は安易に契約を進めないようにしましょう。

手口5.海外不動産への投資を持ちかける詐欺

同じ不動産投資でも、海外と国内では商慣習や法律が異なります。一般的に海外、特に発展途上国では詐欺に遭うリスクが高いため注意しましょう。

事例紹介

海外における不動産投資詐欺の事例としては「売買契約を交わしてお金を払ったのに 物件引渡前に不動産会社との連絡が途絶えて公式サイトもなくなっていた」というようなケースが挙げられます。また 海外の新築不動産では「プレビルド(Pre build)」の物件販売も珍しくありません。プレビルドとは、数年後など将来物件が完成することを前提にお金を支払う契約方式のことです。

プレビルドでは、「予定していた期日までに物件が完成しない」「物件の引き渡しが受けられない」などのトラブル事例があります。

有効な対策

海外の不動産投資詐欺を見破るのは、上級者でも難しいです。トラブルが起きても日本の法律が及ばないことが多いため、国内の関係機関や弁護士に相談しても解決できない可能性も高いです。このようなことを踏まえると、不動産投資の初心者から中級者の人が海外物件を買い付けるなら国内市場に上場しているような大手デベロッパーを通すのが安全でしょう。

不動産投資詐欺の業者に共通する特徴

不動産投資詐欺の業者は、以下に挙げる5つの特徴のいくつかが該当することが多いです。

特徴1.断定的にメリットを解説する

不動産投資のコンサルティングで営業担当者がメリットについて解説すること自体は問題ありません。しかし「値上がりする」「絶対に儲かる」といった将来利益の断定は宅地建物取引業法に抵触します。(法第47条の2第1項-不確実な将来利益の断定的判断を提供する行為)不動産投資の詐欺業者は、こういった断定的な物言いをすることが多いです。

特徴2.事前にデメリットやリスクを伝えない

不動産投資のメリットばかり強調するセールストークも詐欺業者の特徴の一つです。不動産投資も他の投資と同じようにデメリットやリスクがあります。これらのネガティブな情報についても丁寧に情報提供してくれるのが信頼できる不動産会社です。

特徴3.おとり広告などを掲載している

見込客を集めるために売る意思のない物件で釣ることを「おとり広告」実在しない物件で釣ることを「虚偽広告」といいます。これらの広告は、宅地建物取引業法、不当景品類及び不当表示防止法などで禁止されています。一般的には、入居者向けの賃貸募集でおとり広告や虚偽広告が使われることが多いです。しかし、不動産投資詐欺で用いられるケースもあります。相場の物件価格や利回りとかけ離れた物件には、飛びつかないよう注意しましょう。

特徴4.事務所が雑居ビル、または存在しない

不動産投資の詐欺業者は、ある程度儲けたら計画倒産や姿をくらますのを前提としていることも少なくありません。そのため、事務所が敷金の安い雑居ビルや、廉価な費用で契約できるレンタルオフィス、シェアオフィスというケースも多いです。さらには、虚偽の住所を表示しているようなケースもあります。

特徴5.契約締結を急かす

悪徳業者は、不動産投資に限らず契約締結を急かしてくる一面があります。急かす理由は、相手に考える時間や家族に相談する時間を与えないためです。

不動産投資詐欺を回避する7つの方法

いくつかのポイントを押さえておけば不動産投資詐欺のリスクを軽減できます。悪徳業者の被害に遭わないための主な方法は以下の7つです。

回避方法1.不動産会社の言動に注意する

不動産投資の詐欺業者の特徴には「断定的にメリットを解説する」「事前にデメリットやリスクを伝えない」などがありました。これらの特徴を意識して、営業担当者(コンサルタント)の言動から「良いことばかり言って強引に契約を得る」といった姿勢が見えた場合は契約を見送ることが大切です。手付金の支払いや契約締結を急かされた場合も詐欺の可能性があるため注意しましょう。

回避方法2.不動産会社の事務所を確認する

不動産投資の詐欺業者には「事務所が雑居ビルなど、または存在しない」というケースがあるので、営業担当者から名刺をもらったら記載されている住所でGoogle Earthで検索して入居しているビルの雰囲気を確かめるのが有効です。ただし「住所を偽っている」「レンタルオフィスやシェアオフィスに入居している」などの可能性もあるので、相手先の事務所のオフィスで打ち合わせするなどの方法で確認をするとよいでしょう。

回避方法3.不動産投資の基本知識を身につけておく

不動産投資の詐欺に遭った人の多くが悪徳業者のセールストークを鵜呑みにすることで被害にあっています。これを考慮すると、投資家自身が不動産の基本知識を身につけることが詐欺を回避する有効な方法といえるでしょう。不動産投資の専門知識を身につけるには、以下のような方法があります。

  • 不動産投資をテーマにした本をなるべく多く読む
  • 不動産取引や賃貸管理に関する資格を取得する(宅建士や賃管士など)
  • 不動産投資の複数のセミナーに参加する

回避方法4.不動産会社の情報を確認して信頼できるか見極める

「好印象の営業担当者だったので信用してしまった」「業者のことを調べずに契約してしまった」というのも不動産投資詐欺に遭う典型的なケースです。

不動産投資詐欺に遭わないためには、パートナーとなる不動産会社を選ぶ際、以下に挙げるような項目をチェックすることも大切です。

宅建業免許を取得しているか

宅建業免許なしで物件の仲介をすることは宅建業法に抵触します。特に不動産会社の規模が小さかったり社歴が浅かったりする場合は、念のため宅建業免許を持っているかを確認しましょう。国土交通省の「宅地建物取引業者 検索(外部リンク)」を利用すると簡単に宅地建物取引業者を確認できます。

一定期間の社歴があるか

社歴は長いほど安全ですが「創業から10年以上」というのが一つの目安になるでしょう。なぜなら創業から10年以内に多くの割合の企業が淘汰されるといわれているからです。

社員数や資本金が多いか

不動産業は、資本力が重要な業種なので、資本金が1,000万円以下などの企業だと不安があります。社員数も企業の信用力を測る指標の一つで、100名以上の規模感が目安となります。

不明点や納得できないことがある場合は話を進めない

「相手は不動産のプロだから言うことを聞いていればいい」といった受け身な考え方はやめましょう。不動産投資は事業および投資という側面があり最終的に自己責任となるため、不明点や納得できない点を解消しないまま契約を交わしてはいけません。

不動産投資の成功者とつながりを持つ

不動産投資の勉強会や大家の会などのネットワークを通してほかの投資家と情報交換することも不動産投資詐欺を回避するのに役立ちます。なぜなら情報交換を通して先輩大家の失敗談、時代ごとに流行している不動産投資詐欺の手口などが学べるからです。ただし参加している大家のネットワーク自体が不動産投資の詐欺師たちの温床ということも考えられます。参加する前にネットワークの評判やうわさをリサーチすることが大切です。

契約前に現地調査を行う

本記事の前半でお伝えしたように、不動産投資の詐欺には、満室を装って契約を持ちかける手口があります。契約前に現地調査を行うことで「周辺の物件が空室だらけなのに満室なのはおかしい」「生活実態が感じられないのでカーテンスキームではないか」といったことに気づいて詐欺を回避できる可能性もあります。

不動産投資詐欺に遭ってしまった場合の相談先

不動産投資の知識をいくら身につけても業者選びにいくら気をつけても詐欺に遭う可能性をゼロにすることはできません。「詐欺に遭ってしまった」「詐欺に遭ってしまったかもしれない」と思った時は、すぐに以下のような機関へ相談することをおすすめします。

相談先1.国民生活センター(消費生活センター)

国民生活センターは、消費者トラブルの未然防止やトラブル解決のための支援を行う独立行政法人です。局番なし「188(いやや)」の消費者ホットラインに電話するとお近くの消費者生活相談窓口を案内してくれます。

・相談内容:手付金やデート商法など
・相談機関:国民生活センター(外部リンク)
・電話:消費者ホットライン局番なしの188

相談先2.保証協会

「全国宅地建物取引業保証協会(全宅保証)」「不動産保証協会」などの公益社団法人は、宅建業者に対する苦情解決や手付金の保管・保証などの業務を行っています。不動産会社が保証協会の会員の場合は、これらの機関に相談することで解決に向けたサポートや手付金の保証をしてもらえる可能性があります。

・相談内容:宅建業者に対する苦情解決や手付金の保証など
・相談機関:全国宅地建物取引業保証協会(外部リンク)不動産保証協会(外部リンク)

相談先3.免許行政庁

不動産の仲介やサブリースの広告、勧誘、重要事項説明などの違反については、国土交通省が管轄しています。連絡することで悪徳業者への行政指導や業務停止命令などをしてもらえる可能性があります。

・相談内容:仲介やサブリースに係わる業務
・相談機関:国土交通省(外部リンク)など
・電話:国土交通省(代表):03-5253-8111

相談先4.弁護士

弁護士にはそれぞれ得意分野があるので、不動産に詳しい弁護士に相談することが望ましいでしょう。

「弁護士を探す方法が分からない」「弁護士費用が気になる」という場合は、国が設立した法的トラブル解決の総合案内所「法テラス」に相談してみましょう。

・相談内容:不動産投資のトラブル全般
・相談機関:日本司法支援センター法テラス(外部リンク)など
・電話:法テラス0570−078374(平日9〜21時、土曜9〜17時)

まとめ

この記事では、不動産投資詐欺に遭わないために知っておくべき悪徳業者の手口や特徴、回避方法などについて解説しました。

最も大切なことは「気をつけていても詐欺に遭う可能性がある」ことを認識することでしょう。「自分が詐欺になんか遭うわけがない」と自信過剰な人ほど、不動産投資の勉強を怠ったり悪徳業者の営業トークを鵜呑みにしてしまったりするものです。

手付金を渡す前や契約を交わす前には、一度立ち止まって「詐欺に遭っている可能性がないか」について確認してみましょう。

ベルテックスでは不動産にまつわるセミナーを開催しています。ぜひお問い合わせください。

この記事を書いた人

ベルテックスコラム事務局

不動産コンサルタント・税理士

不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。

2023.10.10

不動産投資の基本

ベルテックスコラム事務局

不動産投資詐欺の5つの手口!悪徳業者の特徴や回避方法、相談先も解説

  • リスク
  • 詐欺

不動産投資は、資産運用の有効な手段の一つとして注目されています。一方で悪徳業者による詐欺被害が後を絶たないことも事実です。不動産投資詐欺に遭わないためには、悪徳業者の手口や特徴、回避方法などを十分に知っておくことが大切です。

この記事では、不動産投資で詐欺に遭わないために必要な情報をまとめて解説します。

不動産投資詐欺でよくある5つの手口

詐欺とは、人を欺いて財産の引き渡しをさせたり利益を得たりする行為です。不動産投資に関する詐欺には、主に以下の5つの手口があります。

手口1.手付金を利用した詐欺

手付金とは、不動産の売買契約時に買主から売主に支払われるお金です。買主は、契約成立後も物件引渡前であれば、手付金を放棄することで(売主は手付金の倍額を支払うことで)損害賠償を負うことなく解除できるなどの効果があります。まずはこの手付金関係の詐欺をご紹介します。

事例紹介

具体的な手付金詐欺の一例として、手付金の支払いをして売買契約を結んだのに物件引渡前に売主が行方をくらますなどが挙げられます。

有効な対策

悪徳業者に不動産投資の手付金をだまし取られた場合は、取り返すのが困難になるケースも少なくありません。そのため基本的に信頼できない不動産会社などに手付金を渡さないことが大切です。手付金をだまし取られた場合、宅建業者に対する苦情解決や手付金の保全を行う保証協会に相談することで手付金を取り戻せるケースもあります。(詳細は記事の後半で解説)

手口2.婚活サイトやマッチングアプリを利用した詐欺

「デート商法」「恋人商法」と呼ばれる詐欺は、異性の恋愛感情を利用して不動産などの高額な商品を売りつける詐欺です。

事例紹介

デートを重ねて相手が信用した段階で「2人の将来のために」などの甘い言葉を駆使して物件の契約を結ばせて、その後連絡が途絶えるといった事例があります。デート商法は、昔からある古典的な詐欺手法の一つです。近年では、婚活サイトやマッチングアプリを通して知り合った異性に不動産などの高額商品を購入させる事例が増えています。

デート商法の不動産投資詐欺では「投資コンサルタント」「ファイナンシャルプランナー」などの職業を装い犯行に及ぶことが多い傾向にあります。

有効な対策

婚活サイトやマッチングアプリを通して知り合った異性が高額商品をしつこく勧めてきた場合は、疑うのが基本です。契約してしまった場合は、クーリングオフによって契約解除できる可能性もあります。また、2018年の消費者契約法の改正により、デート商法などの不当な勧誘による契約は後から取り消せるという規定が新設されました。条件に該当すればこれらの方法で解決を図ることができます。

手口3.サブリース契約による詐欺

サブリース(マスターリースとも呼ばれる)自体は、適正に利用すれば空室リスクを軽減するのに役立つ面もあります。しかし、サブリースを使ってオーナーを欺く事例が後を絶たないため要注意です。

事例紹介

サブリース契約による詐欺の一例では「○年にわたってサブリース家賃は下がらない」というような断定的な説明を受けたにもかかわらず、後日借地借家法をたてに減額請求されることがあります。国交省、消費者庁、金融庁が連名で作成した注意喚起を促す資料(外部リンク)には、契約期間中に契約解除を迫られる事例なども紹介されています。

有効な対策

サブリース業者(不動産会社、賃貸管理会社など)は、サブリース契約を交わす前に重要事項について書面を交付して説明を行う義務があります。まずは、その内容をしっかり理解して疑問があったら確認し、その疑問が払拭されなければ契約しないことが重要です。

また、サブリース業者が「家賃の値下がりがない」「家賃が保証される」といった不実のことを伝える勧誘行為は、賃貸住宅管理業法に抵触する可能性があります。トラブルに遭った際は、専門機関や不動産に強い弁護士に相談することをおすすめします。(詳細は本記事の後半で解説)

手口4.満室を装って契約を持ちかける詐欺

満室を装って契約を持ちかけられる不動産投資詐欺には、以下の2つのパターンがあります。

事例紹介

1つ目は、物件が売りに出されている間、関係者などに頼んで満室にしておき、物件売却後に関係者を退去させる手口です。例えば「最初の1カ月は家賃が振り込まれていたのに翌月になると半分近くが退去した」という事例があります。

2つ目は、不動産投資の世界で「カーテンスキーム」と呼ばれる詐欺です。これは、物件を売りに出している間、空き部屋にカーテンを取り付けて入居者がいるように見せかける手口です。

有効な対策

満室を装って契約を持ちかける手口は、後から詐欺行為を立証することが困難です。そのため、売買契約を交わす前に見破ることが重要です。具体的な対策としては、レントロール(各部屋の賃貸借条件をまとめた資料)を必ず確認し、直近数カ月の間に新規契約している部屋が多い場合は、カーテンスキームの可能性を疑い購入を避けましょう。ただし、レントロール自体を偽装しているケースもあるため注意が必要です。

カーテンスキームを見破るための対策として現地確認も重要です。部屋にカーテンが取り付けられていても、ポストや部屋の入り口付近、駐車場の状況などから生活感が感じられないような場合は安易に契約を進めないようにしましょう。

手口5.海外不動産への投資を持ちかける詐欺

同じ不動産投資でも、海外と国内では商慣習や法律が異なります。一般的に海外、特に発展途上国では詐欺に遭うリスクが高いため注意しましょう。

事例紹介

海外における不動産投資詐欺の事例としては「売買契約を交わしてお金を払ったのに 物件引渡前に不動産会社との連絡が途絶えて公式サイトもなくなっていた」というようなケースが挙げられます。また 海外の新築不動産では「プレビルド(Pre build)」の物件販売も珍しくありません。プレビルドとは、数年後など将来物件が完成することを前提にお金を支払う契約方式のことです。

プレビルドでは、「予定していた期日までに物件が完成しない」「物件の引き渡しが受けられない」などのトラブル事例があります。

有効な対策

海外の不動産投資詐欺を見破るのは、上級者でも難しいです。トラブルが起きても日本の法律が及ばないことが多いため、国内の関係機関や弁護士に相談しても解決できない可能性も高いです。このようなことを踏まえると、不動産投資の初心者から中級者の人が海外物件を買い付けるなら国内市場に上場しているような大手デベロッパーを通すのが安全でしょう。

不動産投資詐欺の業者に共通する特徴

不動産投資詐欺の業者は、以下に挙げる5つの特徴のいくつかが該当することが多いです。

特徴1.断定的にメリットを解説する

不動産投資のコンサルティングで営業担当者がメリットについて解説すること自体は問題ありません。しかし「値上がりする」「絶対に儲かる」といった将来利益の断定は宅地建物取引業法に抵触します。(法第47条の2第1項-不確実な将来利益の断定的判断を提供する行為)不動産投資の詐欺業者は、こういった断定的な物言いをすることが多いです。

特徴2.事前にデメリットやリスクを伝えない

不動産投資のメリットばかり強調するセールストークも詐欺業者の特徴の一つです。不動産投資も他の投資と同じようにデメリットやリスクがあります。これらのネガティブな情報についても丁寧に情報提供してくれるのが信頼できる不動産会社です。

特徴3.おとり広告などを掲載している

見込客を集めるために売る意思のない物件で釣ることを「おとり広告」実在しない物件で釣ることを「虚偽広告」といいます。これらの広告は、宅地建物取引業法、不当景品類及び不当表示防止法などで禁止されています。一般的には、入居者向けの賃貸募集でおとり広告や虚偽広告が使われることが多いです。しかし、不動産投資詐欺で用いられるケースもあります。相場の物件価格や利回りとかけ離れた物件には、飛びつかないよう注意しましょう。

特徴4.事務所が雑居ビル、または存在しない

不動産投資の詐欺業者は、ある程度儲けたら計画倒産や姿をくらますのを前提としていることも少なくありません。そのため、事務所が敷金の安い雑居ビルや、廉価な費用で契約できるレンタルオフィス、シェアオフィスというケースも多いです。さらには、虚偽の住所を表示しているようなケースもあります。

特徴5.契約締結を急かす

悪徳業者は、不動産投資に限らず契約締結を急かしてくる一面があります。急かす理由は、相手に考える時間や家族に相談する時間を与えないためです。

不動産投資詐欺を回避する7つの方法

いくつかのポイントを押さえておけば不動産投資詐欺のリスクを軽減できます。悪徳業者の被害に遭わないための主な方法は以下の7つです。

回避方法1.不動産会社の言動に注意する

不動産投資の詐欺業者の特徴には「断定的にメリットを解説する」「事前にデメリットやリスクを伝えない」などがありました。これらの特徴を意識して、営業担当者(コンサルタント)の言動から「良いことばかり言って強引に契約を得る」といった姿勢が見えた場合は契約を見送ることが大切です。手付金の支払いや契約締結を急かされた場合も詐欺の可能性があるため注意しましょう。

回避方法2.不動産会社の事務所を確認する

不動産投資の詐欺業者には「事務所が雑居ビルなど、または存在しない」というケースがあるので、営業担当者から名刺をもらったら記載されている住所でGoogle Earthで検索して入居しているビルの雰囲気を確かめるのが有効です。ただし「住所を偽っている」「レンタルオフィスやシェアオフィスに入居している」などの可能性もあるので、相手先の事務所のオフィスで打ち合わせするなどの方法で確認をするとよいでしょう。

回避方法3.不動産投資の基本知識を身につけておく

不動産投資の詐欺に遭った人の多くが悪徳業者のセールストークを鵜呑みにすることで被害にあっています。これを考慮すると、投資家自身が不動産の基本知識を身につけることが詐欺を回避する有効な方法といえるでしょう。不動産投資の専門知識を身につけるには、以下のような方法があります。

  • 不動産投資をテーマにした本をなるべく多く読む
  • 不動産取引や賃貸管理に関する資格を取得する(宅建士や賃管士など)
  • 不動産投資の複数のセミナーに参加する

回避方法4.不動産会社の情報を確認して信頼できるか見極める

「好印象の営業担当者だったので信用してしまった」「業者のことを調べずに契約してしまった」というのも不動産投資詐欺に遭う典型的なケースです。

不動産投資詐欺に遭わないためには、パートナーとなる不動産会社を選ぶ際、以下に挙げるような項目をチェックすることも大切です。

宅建業免許を取得しているか

宅建業免許なしで物件の仲介をすることは宅建業法に抵触します。特に不動産会社の規模が小さかったり社歴が浅かったりする場合は、念のため宅建業免許を持っているかを確認しましょう。国土交通省の「宅地建物取引業者 検索(外部リンク)」を利用すると簡単に宅地建物取引業者を確認できます。

一定期間の社歴があるか

社歴は長いほど安全ですが「創業から10年以上」というのが一つの目安になるでしょう。なぜなら創業から10年以内に多くの割合の企業が淘汰されるといわれているからです。

社員数や資本金が多いか

不動産業は、資本力が重要な業種なので、資本金が1,000万円以下などの企業だと不安があります。社員数も企業の信用力を測る指標の一つで、100名以上の規模感が目安となります。

不明点や納得できないことがある場合は話を進めない

「相手は不動産のプロだから言うことを聞いていればいい」といった受け身な考え方はやめましょう。不動産投資は事業および投資という側面があり最終的に自己責任となるため、不明点や納得できない点を解消しないまま契約を交わしてはいけません。

不動産投資の成功者とつながりを持つ

不動産投資の勉強会や大家の会などのネットワークを通してほかの投資家と情報交換することも不動産投資詐欺を回避するのに役立ちます。なぜなら情報交換を通して先輩大家の失敗談、時代ごとに流行している不動産投資詐欺の手口などが学べるからです。ただし参加している大家のネットワーク自体が不動産投資の詐欺師たちの温床ということも考えられます。参加する前にネットワークの評判やうわさをリサーチすることが大切です。

契約前に現地調査を行う

本記事の前半でお伝えしたように、不動産投資の詐欺には、満室を装って契約を持ちかける手口があります。契約前に現地調査を行うことで「周辺の物件が空室だらけなのに満室なのはおかしい」「生活実態が感じられないのでカーテンスキームではないか」といったことに気づいて詐欺を回避できる可能性もあります。

不動産投資詐欺に遭ってしまった場合の相談先

不動産投資の知識をいくら身につけても業者選びにいくら気をつけても詐欺に遭う可能性をゼロにすることはできません。「詐欺に遭ってしまった」「詐欺に遭ってしまったかもしれない」と思った時は、すぐに以下のような機関へ相談することをおすすめします。

相談先1.国民生活センター(消費生活センター)

国民生活センターは、消費者トラブルの未然防止やトラブル解決のための支援を行う独立行政法人です。局番なし「188(いやや)」の消費者ホットラインに電話するとお近くの消費者生活相談窓口を案内してくれます。

・相談内容:手付金やデート商法など
・相談機関:国民生活センター(外部リンク)
・電話:消費者ホットライン局番なしの188

相談先2.保証協会

「全国宅地建物取引業保証協会(全宅保証)」「不動産保証協会」などの公益社団法人は、宅建業者に対する苦情解決や手付金の保管・保証などの業務を行っています。不動産会社が保証協会の会員の場合は、これらの機関に相談することで解決に向けたサポートや手付金の保証をしてもらえる可能性があります。

・相談内容:宅建業者に対する苦情解決や手付金の保証など
・相談機関:全国宅地建物取引業保証協会(外部リンク)不動産保証協会(外部リンク)

相談先3.免許行政庁

不動産の仲介やサブリースの広告、勧誘、重要事項説明などの違反については、国土交通省が管轄しています。連絡することで悪徳業者への行政指導や業務停止命令などをしてもらえる可能性があります。

・相談内容:仲介やサブリースに係わる業務
・相談機関:国土交通省(外部リンク)など
・電話:国土交通省(代表):03-5253-8111

相談先4.弁護士

弁護士にはそれぞれ得意分野があるので、不動産に詳しい弁護士に相談することが望ましいでしょう。

「弁護士を探す方法が分からない」「弁護士費用が気になる」という場合は、国が設立した法的トラブル解決の総合案内所「法テラス」に相談してみましょう。

・相談内容:不動産投資のトラブル全般
・相談機関:日本司法支援センター法テラス(外部リンク)など
・電話:法テラス0570−078374(平日9〜21時、土曜9〜17時)

まとめ

この記事では、不動産投資詐欺に遭わないために知っておくべき悪徳業者の手口や特徴、回避方法などについて解説しました。

最も大切なことは「気をつけていても詐欺に遭う可能性がある」ことを認識することでしょう。「自分が詐欺になんか遭うわけがない」と自信過剰な人ほど、不動産投資の勉強を怠ったり悪徳業者の営業トークを鵜呑みにしてしまったりするものです。

手付金を渡す前や契約を交わす前には、一度立ち止まって「詐欺に遭っている可能性がないか」について確認してみましょう。

ベルテックスでは不動産にまつわるセミナーを開催しています。ぜひお問い合わせください。

この記事を書いた人

ベルテックスコラム事務局

不動産コンサルタント・税理士

不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。