2024.07.09

不動産投資の基本

ベルテックスコラム事務局

不動産投資詐欺の5つの手口!悪徳業者の特徴や回避方法、相談先も解説

  • リスク
  • 詐欺

不動産投資は、資産運用の有効な手段の一つとして注目されています。一方で悪徳業者による詐欺被害が後を絶たないことも事実です。不動産投資詐欺に遭わないためには、悪徳業者の手口や特徴、回避方法などを十分に知っておくことが大切です。

不動産投資詐欺のよくある手口として、以下の5つが挙げられます。

手口 特徴
手付金を利用した詐欺 手付け金を支払ったあと、業者と音信不通になる
婚活サイトやマッチングアプリを利用した詐欺 デートを重ねて信頼関係が構築されたタイミングで、投資用不動産の購入を薦められる(ロマンス詐欺)
サブリース契約による詐欺 サブリース契約によって投資家にメリットがあるような説明を口頭で行い、実際は内容にデメリットだらけの契約を結ぶ
満室を装って契約を持ちかける詐欺 サクラを入居させて満室を装い、投資家に物件を購入させる
物件購入後に退去者が続出し、不動産経営が立ち行かなくなる
海外不動産への投資を持ちかける詐欺 海外にある物件を購入させる
しかし、実際の相場よりも高値で販売する、物件自体が存在しない場合もある

この記事では、このような不動産投資で詐欺に遭わないために必要な情報をまとめて解説します。

不動産投資詐欺でよくある5つの手口

詐欺とは、人を欺いて財産の引き渡しをさせたり利益を得たりする行為です。不動産投資に関する詐欺には、主に以下の5つの手口があります。

手口1.手付金を利用した詐欺

手付金を利用した不動産投資詐欺では、売買契約のために支払った手付金を「持ち逃げされる」「だまし取られる」「返してもらえない」などというパターンがあります。

事例紹介

具体的な手付金詐欺の一例として、手付金の支払いをして売買契約を結んだのに物件引渡前に売主が行方をくらますなどが挙げられます。手付金とは、不動産の売買契約時に買主から売主に支払われるお金です。買主は、契約成立後も物件引渡前であれば、手付金を放棄することで(売主は手付金の倍額を支払うことで)損害賠償を負うことなく解除できるなどの効果があります。
このケースでは、不動産の所有権を有する本来の買主が詐欺を働くのではなく、仲介業者などが連携し、グループで計画を企てる場合がほとんどです。2017年に大きな話題となった、積水ハウス地面師詐欺事件のように、詐欺師が所有権者や仲介業者になりすまし、書類の改ざんなどを行います。
取引に違和感があれば、不動産会社や所有権者の書類確認、隣地の人に聞き込みなどを行って予防するようにしましょう。


有効な対策

悪徳業者に不動産投資の手付金をだまし取られた場合は、取り返すのが困難になるケースも少なくありません。そのため基本的に信頼できない不動産会社などに手付金を渡さないことが大切です。手付金をだまし取られた場合、宅建業者に対する苦情解決や手付金の保全を行う保証協会に相談することで手付金を取り戻せるケースもあります。(詳細は記事の後半で解説)

手口2.婚活サイトやマッチングアプリを利用した詐欺

「デート商法」「恋人商法」と呼ばれる詐欺は、異性の恋愛感情を利用して不動産などの高額な商品を売りつける詐欺です。(ロマンス詐欺)

SNS型投資詐欺・ロマンス詐欺の認知件数・被害額(令和5年・月別)
 
事例紹介

デートを重ねて相手が信用した段階で「2人の将来のために」などの甘い言葉を駆使して物件の契約を結ばせて、その後連絡が途絶えるといった事例があります。デート商法は、昔からある古典的な詐欺手法の一つです。近年では、婚活サイトやマッチングアプリを通して知り合った異性に不動産などの高額商品を購入させる事例が増えています。

デート商法の不動産投資詐欺では「投資コンサルタント」「ファイナンシャルプランナー」などの職業を装い犯行に及ぶことが多い傾向にあります。

有効な対策

婚活サイトやマッチングアプリを通して知り合った異性が高額商品をしつこく勧めてきた場合は、疑うのが基本です。契約してしまった場合は、クーリングオフによって契約解除できる可能性もあります。また、2018年の消費者契約法の改正により、デート商法などの不当な勧誘による契約は後から取り消せるという規定が新設されました。条件に該当すればこれらの方法で解決を図ることができます。

参照:消費者庁「早わかり!消費者契約法

手口3.サブリース契約による詐欺

サブリース(マスターリースとも呼ばれる)自体は、適正に利用すれば空室リスクを軽減するのに役立つ面もあります。しかし、サブリースを使ってオーナーを欺く事例が後を絶たないため要注意です。
サブリース契約とは、サブリース会社が物件を丸ごと一括借り上げし、毎月一定の賃料を収めることを前提にオーナーに転貸することを指します。オーナーにとっては、空室があっても一定の家賃収入が保証されること・管理を委託できることなどが、サブリース契約を結ぶメリットです。
しかし、実際は契約内容の説明自体に偽りがあったり、相場賃料から乖離した家賃設定で契約を交わしたりというトラブルが起きています。オーナーにとってのデメリットを説明されず、借主になることでサブリース会社側が契約弱者として守られてしまうのです。
結果的にオーナーは十分な家賃を受け取ることができず、アパートローンの返済に苦しむことになります。

事例紹介

「30年一括借り上げ、家賃保証」という謳い文句に引かれてサブリース契約を結んだオーナーが、突如契約を打ち切られたという事例を紹介しましょう。サブリース契約は、物件所有者が貸主として見なされ、サブリース会社は借主として保護される立場関係にあります。
サブリース契約による詐欺では「○年にわたってサブリース家賃は下がらない」というような断定的な説明を受けたにもかかわらず、後日借地借家法をたてに減額請求されました。さらには、条件が悪くなりサブリース会社側から一方的に契約解除をされたようです。
しかし、その点に関しては、実は契約書に明記されています。サブリース会社はあえてその点を省略して契約内容を説明し、収益が下がったタイミングなどで契約期間満了を待たずに契約を打ち切ります。

国交省、消費者庁、金融庁が連名で作成した注意喚起を促す資料には、契約期間中に契約解除を迫られる事例なども紹介されています。

有効な対策

サブリース業者(不動産会社、賃貸管理会社など)は、サブリース契約を交わす前に重要事項について書面を交付して説明を行う義務があります。まずは、その内容をしっかり理解して疑問があったら確認し、その疑問が払拭されなければ契約しないことが重要です。

また、サブリース業者が「家賃の値下がりがない」「家賃が保証される」といった不実のことを伝える勧誘行為は、賃貸住宅管理業法に抵触する可能性があります。トラブルに遭った際は、専門機関や不動産に強い弁護士に相談することをおすすめします。(詳細は本記事の後半で解説)

手口4.満室を装って契約を持ちかける詐欺

満室を装って契約を持ちかけられる不動産投資詐欺には、以下の2つのパターンがあります。

事例紹介

1つ目は、物件が売りに出されている間、関係者などに頼んで満室にしておき、物件売却後に関係者を退去させる手口です。例えば、一棟アパートの購入者が「最初の1カ月は家賃が振り込まれていたのに翌月になると半分近くが退去した」という事例があります。
「満室で十分な家賃収入が見込める」「空室が発生しても他の部屋でフォローできる」という点に惹かれて購入した物件ですが、同時期に複数の世帯で退去が発生しました。これは、売却を有利にするために、売主が仕込んだサクラの入居者です。
しかし、売主が満室であることを偽装していたのかどうかを、証拠を持って立証するのは極めて困難です。このような場合、売主の責任を追及することが難しく、現実的な話をすると買主は諦めて新たな入居付けに追われます。

2つ目は、不動産投資の世界で「カーテンスキーム」と呼ばれる詐欺です。これは、物件を売りに出している間、空き部屋にカーテンを取り付けて入居者がいるように見せかける手口です。

完全に見破ることは難しいですが、いずれにしても契約時に入居者の有無を書類で確認し、具体的にいつ頃から入居しているのかを把握しておきましょう。

有効な対策

満室を装って契約を持ちかける手口は、後から詐欺行為を立証することが困難です。そのため、売買契約を交わす前に見破ることが重要です。具体的な対策としては、レントロール(各部屋の賃貸借条件をまとめた資料)を必ず確認し、直近数カ月の間に新規契約している部屋が多い場合は、カーテンスキームの可能性を疑い購入を避けましょう。ただし、レントロール自体を偽装しているケースもあるため注意が必要です。

カーテンスキームを見破るための対策として現地確認も重要です。部屋にカーテンが取り付けられていても、ポストや部屋の入り口付近、駐車場の状況などから生活感が感じられないような場合は安易に契約を進めないようにしましょう。

手口5.海外不動産への投資を持ちかける詐欺

同じ不動産投資でも、海外と国内では商慣習や法律が異なります。一般的に海外、特に発展途上国では詐欺に遭うリスクが高いため注意しましょう。

事例紹介

海外における不動産投資詐欺の事例としては「売買契約を交わしてお金を払ったのに 物件引渡前に不動産会社との連絡が途絶えて公式サイトもなくなっていた」というようなケースが挙げられます。また 海外の新築不動産では「プレビルド(Pre build)」の物件販売も珍しくありません。プレビルドとは、数年後など将来物件が完成することを前提にお金を支払う契約方式のことです。
プレビルドでは、「予定していた期日までに物件が完成しない」「物件の引き渡しが受けられない」などのトラブル事例があります。

有効な対策

海外の不動産投資詐欺を見破るのは、上級者でも難しいです。トラブルが起きても日本の法律が及ばないことが多いため、国内の関係機関や弁護士に相談しても解決できない可能性も高いです。このようなことを踏まえると、不動産投資の初心者から中級者の人が海外物件を買い付けるなら国内市場に上場しているような大手デベロッパーを通すのが安全でしょう。

自分が詐欺の当事者になっている3つのパターン

不動産投資では、知らない間に自身が詐欺に加担してしまうケースがあります。この場合、詐欺の被害者は自身が融資を受ける金融機関です。

  • 審査書類の改ざん
  • 二重売買契約
  • 1法人1物件スキーム

自分が詐欺の当事者になっている代表的な上記3つのケースを具体的に解説します。

審査書類の改ざん

よくあるケースとして、ローン審査の通過が厳しいことを理由に不動産会社から促されて、審査書類の改ざんを行うことです。文書偽造はれっきとした詐欺行為の1つですので、絶対にしてはいけません。
例えば、金融機関から審査資料として求められる銀行口座残高のスクリーンショットを、不動産会社が画像編集するケースがあります。100万円の口座残高を3,000万円に修正し、審査に通りやすくするわけです。
また、偽装を見抜かれずに審査を通過したとしても、後々発覚してしまった場合には、ローン残債の一括返済を求められます。このようなトラブルに巻き込まれないためにも、審査資料の提出をする際は不動産会社・金融機関の担当者と自身の三者が立ち合い、書類の内容に相違がないか確認しながら進めるようにしましょう。

二重売買契約

二重売買契約とは、不動産会社が作成した二パターンの契約書に署名・押印し、契約締結することを指します。具体的には、正式な契約書と、実際の売買価格よりも高い金額を記載した金融機関用のダミーとなる契約書を作成し、より多くの融資を引き出すことが目的です。
悪質な不動産業者になると、二種類の契約書を作成するリスクの説明もしないまま押印を求めてくることもあります。このケースでも文書偽造に加担したことになってしまい、発覚時には同様に借入金の一括返済を求められる可能性があるので注意が必要です。

このようなトラブルを防止するため、最悪の事態に対するリスクを理解し、不動産会社の言いなりにならないようにしましょう。

1法人1物件スキーム

1法人1物件スキームとは、物件を購入する度に新しく法人を立ち上げ、その都度新しい会社名義で融資を受けることを指します。この手法を用いることで、個人名義で借入をするよりも多額の融資を受けられるようになります。
短期間のうちに通常は購入できない複数の物件を取得可能なので、事業拡大へ意欲的な人が加担してしまうケースが多いようです。しかし、既に借入があることを隠ぺいして融資を申し込むことは、詐欺行為に該当します。
合併などにより、近年は銀行間での情報共有が進んでいるため、1法人1物件スキームが以前よりも発覚する可能性が高まっているようです。1法人1物件スキームを行ってしまったことで、借入金の一括返済を求められても仕方がないでしょう。

不動産投資詐欺の業者に共通する特徴

不動産投資詐欺の業者は、以下に挙げる5つの特徴のいくつかが該当することが多いです。

特徴1.断定的にメリットを解説する

不動産投資のコンサルティングで営業担当者がメリットについて解説すること自体は問題ありません。しかし「値上がりする」「絶対に儲かる」といった将来利益の断定は宅地建物取引業法に抵触します。(法第47条の2第1項-不確実な将来利益の断定的判断を提供する行為)不動産投資の詐欺業者は、こういった断定的な物言いをすることが多いです。

特徴2.事前にデメリットやリスクを伝えない

不動産投資のメリットばかり強調するセールストークも詐欺業者の特徴の一つです。不動産投資も他の投資と同じようにデメリットやリスクがあります。これらのネガティブな情報についても丁寧に情報提供してくれるのが信頼できる不動産会社です。

特徴3.おとり広告などを掲載している

見込客を集めるために売る意思のない物件で釣ることを「おとり広告」、実在しない物件で釣ることを「虚偽広告」といいます。これらの広告は、宅地建物取引業法、不当景品類及び不当表示防止法などで禁止されています。一般的には、入居者向けの賃貸募集でおとり広告や虚偽広告が使われることが多いです。しかし、不動産投資詐欺で用いられるケースもあります。相場の物件価格や利回りとかけ離れた物件には、飛びつかないよう注意しましょう。

特徴4.事務所が雑居ビル、または存在しない

不動産投資の詐欺業者は、ある程度儲けたら計画倒産や姿をくらますのを前提としていることも少なくありません。そのため、事務所が敷金の安い雑居ビルや、廉価な費用で契約できるレンタルオフィス、シェアオフィスというケースも多いです。さらには、虚偽の住所を表示しているようなケースもあります。

特徴5.契約締結を急かす

悪徳業者は、不動産投資に限らず契約締結を急かしてくる一面があります。急かす理由は、相手に考える時間や家族に相談する時間を与えないためです。

不動産投資詐欺を回避する7つの方法

いくつかのポイントを押さえておけば不動産投資詐欺のリスクを軽減できます。悪徳業者の被害に遭わないための主な方法は以下の7つです。

回避方法1.不動産会社の言動に注意する

不動産投資の詐欺業者の特徴には「断定的にメリットを解説する」「事前にデメリットやリスクを伝えない」などがありました。これらの特徴を意識して、営業担当者(コンサルタント)の言動から「良いことばかり言って強引に契約を得る」といった姿勢が見えた場合は契約を見送ることが大切です。手付金の支払いや契約締結を急かされた場合も詐欺の可能性があるため注意しましょう。

回避方法2.不動産会社の事務所を確認する

不動産投資の詐欺業者には「事務所が雑居ビルなど、または存在しない」というケースがあるので、営業担当者から名刺をもらったら記載されている住所でGoogle Earthで検索して入居しているビルの雰囲気を確かめるのが有効です。ただし「住所を偽っている」「レンタルオフィスやシェアオフィスに入居している」などの可能性もあるので、相手先の事務所のオフィスで打ち合わせするなどの方法で確認をするとよいでしょう。

回避方法3.不動産投資の基本知識を身につけておく

不動産投資の詐欺に遭った人の多くが悪徳業者のセールストークを鵜呑みにすることで被害にあっています。これを考慮すると、投資家自身が不動産の基本知識を身につけることが詐欺を回避する有効な方法といえるでしょう。不動産投資の専門知識を身につけるには、以下のような方法があります。

  • 不動産投資をテーマにした本をなるべく多く読む
  • 不動産取引や賃貸管理に関する資格を取得する(宅建士や賃管士など)
  • 不動産投資の複数のセミナーに参加する

回避方法4.不動産会社の情報を確認して信頼できるか見極める

「好印象の営業担当者だったので信用してしまった」「業者のことを調べずに契約してしまった」というのも不動産投資詐欺に遭う典型的なケースです。
不動産投資詐欺に遭わないためには、パートナーとなる不動産会社を選ぶ際、以下に挙げるような項目をチェックすることも大切です。

宅建業免許を取得しているか

宅建業免許なしで物件の仲介をすることは宅建業法に抵触します。特に不動産会社の規模が小さかったり社歴が浅かったりする場合は、念のため宅建業免許を持っているかを確認しましょう。国土交通省の「宅地建物取引業者  検索」を利用すると簡単に宅地建物取引業者を確認できます。

一定期間の社歴があるか

社歴は長いほど安全ですが「創業から10年以上」というのが一つの目安になるでしょう。なぜなら創業から10年以内に多くの割合の企業が淘汰されるといわれているからです。

社員数や資本金が多いか

不動産業は、資本力が重要な業種なので、資本金が1,000万円以下などの企業だと不安があります。社員数も企業の信用力を測る指標の一つで、100名以上の規模感が目安となります。

回避方法5.不明点や納得できないことがある場合は話を進めない

「相手は不動産のプロだから言うことを聞いていればいい」といった受け身な考え方はやめましょう。不動産投資は事業および投資という側面があり最終的に自己責任となるため、不明点や納得できない点を解消しないまま契約を交わしてはいけません。

回避方法6.不動産投資の成功者とつながりを持つ

不動産投資の勉強会や大家の会などのネットワークを通してほかの投資家と情報交換することも不動産投資詐欺を回避するのに役立ちます。なぜなら情報交換を通して先輩大家の失敗談、時代ごとに流行している不動産投資詐欺の手口などが学べるからです。ただし参加している大家のネットワーク自体が不動産投資の詐欺師たちの温床ということも考えられます。参加する前にネットワークの評判やうわさをリサーチすることが大切です。

回避方法7.契約前に現地調査を行う

本記事の前半でお伝えしたように、不動産投資の詐欺には、満室を装って契約を持ちかける手口があります。契約前に現地調査を行うことで「周辺の物件が空室だらけなのに満室なのはおかしい」「生活実態が感じられないのでカーテンスキームではないか」といったことに気づいて詐欺を回避できる可能性もあります。

不動産投資詐欺に遭ってしまった場合の相談先

不動産投資の知識をいくら身につけても業者選びにいくら気をつけても詐欺に遭う可能性をゼロにすることはできません。「詐欺に遭ってしまった」「詐欺に遭ってしまったかもしれない」と思った時は、すぐに以下のような機関へ相談することをおすすめします。

相談先 特徴
国民生活センター(消費生活センター) 都道府県・市区町村に設置されている消費者トラブルに関する相談窓口。
しつこく勧誘された、業者に騙されたなどのトラブルの相談先に適している。
保証協会 宅建業を営む不動産会社が加盟する団体。
不動産会社との間で起きたトラブルの相談に適している。
免許行政庁 悪質な勧誘などに対する苦情・相談に応対してくれる機関。
悪質・乱暴な勧誘・営業を受けた際の相談先に適している。
弁護士 法律のスペシャリスト。
不動産会社との間で起きたトラブルを法的視点から解決したい際の相談先に適している。

 

相談先1.国民生活センター(消費生活センター)

国民生活センターは、消費者トラブルの未然防止やトラブル解決のための支援を行う独立行政法人で、相談窓口が各都道府県・市町村に設置されています。トラブルの内容に対して、適切な相談先の紹介や情報提供を公平的な立場から行ってくれるのが特徴です。
国民生活センターの公式サイトによると、不動産投資詐欺に関する相談事例として、以下のものが挙げられています。

  • 投資用マンションをしつこく勧誘され、事業者が怖くて契約をしてしまった
  • 街頭アンケートに記入したら投資用マンションを勧誘され契約してしまった
  • 家賃保証があると勧誘され投資用マンションを購入したが、赤字になっている
  • 事業者に指示されて虚偽申告をしローン等を組んだが支払えない

局番なし「188(いやや)」の消費者ホットラインに電話するとお近くの消費者生活相談窓口を案内してくれます。

    • 相談内容:手付金やデート商法など
    • 相談機関:国民生活センター
    • 電話:消費者ホットライン局番なしの188

相談先2.保証協会

保証協会は正式には「宅地建物取引業保証協会」といい、宅建業を営む不動産会社が加盟する団体です。
「全国宅地建物取引業保証協会(全宅保証)」「不動産保証協会」などの公益社団法人は、宅建業者に対する苦情解決や手付金の保管・保証などの業務を行っています。不動産会社が保証協会の会員の場合は、所属する不動産会社に関する相談や苦情を受け付けており、これらの機関に相談することで解決に向けたサポートや手付金の保証をしてもらえる可能性があります。
また、不動産会社との間でトラブルが解決しない場合は、生じた債権を上限額まで弁済する制度もあるため消費者の強い味方です。
例えば、「手付金支払い後に業者と連絡が取れなくなった」「二重売買契約を締結された」「審査書類を改ざんされた」などのトラブルが発生した際に、相談を持ち掛けるといいでしょう。
また、取引きする不動産会社が保証協会に加盟しているかどうかを事前に確認しておくことで、トラブルを未然に防げる可能性が高まります。

・相談内容:宅建業者に対する苦情解決や手付金の保証など
・相談機関:全国宅地建物取引業保証協会不動産保証協会

 

相談先3.免許行政庁

不動産の仲介やサブリースの広告、勧誘、重要事項説明などの違反については、国土交通省が管轄しており、連絡することで悪徳業者への行政指導や業務停止命令などをしてもらえる可能性があります。
国土交通省の公式サイトでは、以下のような勧誘トラブルは免許行政庁に相談するよう呼び掛けています。

  • 断ったにもかかわらずしつこく電話をかけてくる
  • 長時間にわたって電話を切らせてくれなかった
  • 深夜や早朝といった迷惑な時間に電話をかけられた
  • 脅迫めいた発言があった
  • 自宅に押しかけられ強引に契約を迫られた
  • 絶対に儲かるから心配ないと言われた

(引用:国土交通省HP「国土交通省から消費者の皆さんへのお知らせ・注意喚起(マンションの悪質勧誘・訪問、アンケート調査等)

不動産会社や営業担当者の職務におかしな点があると感じたら、一度相談してみましょう。

・相談内容:仲介やサブリースに係わる業務
・相談機関:国土交通省など
・電話:国土交通省(代表):03-5253-8111

相談先4.弁護士

法律に関するトラブルは、法のスペシャリストである弁護士に相談するのも1つの手段です。弁護士にはそれぞれ得意分野があるので、不動産に詳しい弁護士に相談することが望ましいでしょう。

  • 契約後に手付解除を申し出たら、違約金の請求をされた
  • 執拗・強引な勧誘に押されて物件を購入したが、本意ではなく解約したい
  • サブリース契約で一方的に賃料を引き下げられ、損失を被り改善の余地がない

相談事例としては、上記のようなものが挙げられます。他にも権利関係など法律が関係する問題がある場合は、弁護士への相談がおすすめです。
「弁護士を探す方法が分からない」「弁護士費用が気になる」という場合は、国が設立した法的トラブル解決の総合案内所「法テラス」に相談してみましょう。無料法律相談や弁護士費用の立て替えも行っているため、経済的に不安がある方でも気軽に利用できます。


・相談内容:不動産投資のトラブル全般
・相談機関:日本司法支援センター 法テラス(外部リンク)など
・電話:法テラス0570−078374(平日9〜21時、土曜9〜17時)

まとめ

この記事では、不動産投資詐欺に遭わないために知っておくべき悪徳業者の手口や特徴、回避方法などについて解説しました。

最も大切なことは「気をつけていても詐欺に遭う可能性がある」ことを認識することでしょう。「自分が詐欺になんか遭うわけがない」と自信過剰な人ほど、不動産投資の勉強を怠ったり悪徳業者の営業トークを鵜呑みにしてしまったりするものです。

手付金を渡す前や契約を交わす前には、一度立ち止まって「詐欺に遭っている可能性がないか」について確認してみましょう。

ベルテックスでは不動産にまつわるセミナーを開催しています。ぜひお問い合わせください。

この記事を書いた人

ベルテックスコラム事務局

不動産コンサルタント・税理士

不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。

2024.07.09

不動産投資の基本

ベルテックスコラム事務局

不動産投資詐欺の5つの手口!悪徳業者の特徴や回避方法、相談先も解説

  • リスク
  • 詐欺

不動産投資は、資産運用の有効な手段の一つとして注目されています。一方で悪徳業者による詐欺被害が後を絶たないことも事実です。不動産投資詐欺に遭わないためには、悪徳業者の手口や特徴、回避方法などを十分に知っておくことが大切です。

不動産投資詐欺のよくある手口として、以下の5つが挙げられます。

手口 特徴
手付金を利用した詐欺 手付け金を支払ったあと、業者と音信不通になる
婚活サイトやマッチングアプリを利用した詐欺 デートを重ねて信頼関係が構築されたタイミングで、投資用不動産の購入を薦められる(ロマンス詐欺)
サブリース契約による詐欺 サブリース契約によって投資家にメリットがあるような説明を口頭で行い、実際は内容にデメリットだらけの契約を結ぶ
満室を装って契約を持ちかける詐欺 サクラを入居させて満室を装い、投資家に物件を購入させる
物件購入後に退去者が続出し、不動産経営が立ち行かなくなる
海外不動産への投資を持ちかける詐欺 海外にある物件を購入させる
しかし、実際の相場よりも高値で販売する、物件自体が存在しない場合もある

この記事では、このような不動産投資で詐欺に遭わないために必要な情報をまとめて解説します。

不動産投資詐欺でよくある5つの手口

詐欺とは、人を欺いて財産の引き渡しをさせたり利益を得たりする行為です。不動産投資に関する詐欺には、主に以下の5つの手口があります。

手口1.手付金を利用した詐欺

手付金を利用した不動産投資詐欺では、売買契約のために支払った手付金を「持ち逃げされる」「だまし取られる」「返してもらえない」などというパターンがあります。

事例紹介

具体的な手付金詐欺の一例として、手付金の支払いをして売買契約を結んだのに物件引渡前に売主が行方をくらますなどが挙げられます。手付金とは、不動産の売買契約時に買主から売主に支払われるお金です。買主は、契約成立後も物件引渡前であれば、手付金を放棄することで(売主は手付金の倍額を支払うことで)損害賠償を負うことなく解除できるなどの効果があります。
このケースでは、不動産の所有権を有する本来の買主が詐欺を働くのではなく、仲介業者などが連携し、グループで計画を企てる場合がほとんどです。2017年に大きな話題となった、積水ハウス地面師詐欺事件のように、詐欺師が所有権者や仲介業者になりすまし、書類の改ざんなどを行います。
取引に違和感があれば、不動産会社や所有権者の書類確認、隣地の人に聞き込みなどを行って予防するようにしましょう。


有効な対策

悪徳業者に不動産投資の手付金をだまし取られた場合は、取り返すのが困難になるケースも少なくありません。そのため基本的に信頼できない不動産会社などに手付金を渡さないことが大切です。手付金をだまし取られた場合、宅建業者に対する苦情解決や手付金の保全を行う保証協会に相談することで手付金を取り戻せるケースもあります。(詳細は記事の後半で解説)

手口2.婚活サイトやマッチングアプリを利用した詐欺

「デート商法」「恋人商法」と呼ばれる詐欺は、異性の恋愛感情を利用して不動産などの高額な商品を売りつける詐欺です。(ロマンス詐欺)

SNS型投資詐欺・ロマンス詐欺の認知件数・被害額(令和5年・月別)
 
事例紹介

デートを重ねて相手が信用した段階で「2人の将来のために」などの甘い言葉を駆使して物件の契約を結ばせて、その後連絡が途絶えるといった事例があります。デート商法は、昔からある古典的な詐欺手法の一つです。近年では、婚活サイトやマッチングアプリを通して知り合った異性に不動産などの高額商品を購入させる事例が増えています。

デート商法の不動産投資詐欺では「投資コンサルタント」「ファイナンシャルプランナー」などの職業を装い犯行に及ぶことが多い傾向にあります。

有効な対策

婚活サイトやマッチングアプリを通して知り合った異性が高額商品をしつこく勧めてきた場合は、疑うのが基本です。契約してしまった場合は、クーリングオフによって契約解除できる可能性もあります。また、2018年の消費者契約法の改正により、デート商法などの不当な勧誘による契約は後から取り消せるという規定が新設されました。条件に該当すればこれらの方法で解決を図ることができます。

参照:消費者庁「早わかり!消費者契約法

手口3.サブリース契約による詐欺

サブリース(マスターリースとも呼ばれる)自体は、適正に利用すれば空室リスクを軽減するのに役立つ面もあります。しかし、サブリースを使ってオーナーを欺く事例が後を絶たないため要注意です。
サブリース契約とは、サブリース会社が物件を丸ごと一括借り上げし、毎月一定の賃料を収めることを前提にオーナーに転貸することを指します。オーナーにとっては、空室があっても一定の家賃収入が保証されること・管理を委託できることなどが、サブリース契約を結ぶメリットです。
しかし、実際は契約内容の説明自体に偽りがあったり、相場賃料から乖離した家賃設定で契約を交わしたりというトラブルが起きています。オーナーにとってのデメリットを説明されず、借主になることでサブリース会社側が契約弱者として守られてしまうのです。
結果的にオーナーは十分な家賃を受け取ることができず、アパートローンの返済に苦しむことになります。

事例紹介

「30年一括借り上げ、家賃保証」という謳い文句に引かれてサブリース契約を結んだオーナーが、突如契約を打ち切られたという事例を紹介しましょう。サブリース契約は、物件所有者が貸主として見なされ、サブリース会社は借主として保護される立場関係にあります。
サブリース契約による詐欺では「○年にわたってサブリース家賃は下がらない」というような断定的な説明を受けたにもかかわらず、後日借地借家法をたてに減額請求されました。さらには、条件が悪くなりサブリース会社側から一方的に契約解除をされたようです。
しかし、その点に関しては、実は契約書に明記されています。サブリース会社はあえてその点を省略して契約内容を説明し、収益が下がったタイミングなどで契約期間満了を待たずに契約を打ち切ります。

国交省、消費者庁、金融庁が連名で作成した注意喚起を促す資料には、契約期間中に契約解除を迫られる事例なども紹介されています。

有効な対策

サブリース業者(不動産会社、賃貸管理会社など)は、サブリース契約を交わす前に重要事項について書面を交付して説明を行う義務があります。まずは、その内容をしっかり理解して疑問があったら確認し、その疑問が払拭されなければ契約しないことが重要です。

また、サブリース業者が「家賃の値下がりがない」「家賃が保証される」といった不実のことを伝える勧誘行為は、賃貸住宅管理業法に抵触する可能性があります。トラブルに遭った際は、専門機関や不動産に強い弁護士に相談することをおすすめします。(詳細は本記事の後半で解説)

手口4.満室を装って契約を持ちかける詐欺

満室を装って契約を持ちかけられる不動産投資詐欺には、以下の2つのパターンがあります。

事例紹介

1つ目は、物件が売りに出されている間、関係者などに頼んで満室にしておき、物件売却後に関係者を退去させる手口です。例えば、一棟アパートの購入者が「最初の1カ月は家賃が振り込まれていたのに翌月になると半分近くが退去した」という事例があります。
「満室で十分な家賃収入が見込める」「空室が発生しても他の部屋でフォローできる」という点に惹かれて購入した物件ですが、同時期に複数の世帯で退去が発生しました。これは、売却を有利にするために、売主が仕込んだサクラの入居者です。
しかし、売主が満室であることを偽装していたのかどうかを、証拠を持って立証するのは極めて困難です。このような場合、売主の責任を追及することが難しく、現実的な話をすると買主は諦めて新たな入居付けに追われます。

2つ目は、不動産投資の世界で「カーテンスキーム」と呼ばれる詐欺です。これは、物件を売りに出している間、空き部屋にカーテンを取り付けて入居者がいるように見せかける手口です。

完全に見破ることは難しいですが、いずれにしても契約時に入居者の有無を書類で確認し、具体的にいつ頃から入居しているのかを把握しておきましょう。

有効な対策

満室を装って契約を持ちかける手口は、後から詐欺行為を立証することが困難です。そのため、売買契約を交わす前に見破ることが重要です。具体的な対策としては、レントロール(各部屋の賃貸借条件をまとめた資料)を必ず確認し、直近数カ月の間に新規契約している部屋が多い場合は、カーテンスキームの可能性を疑い購入を避けましょう。ただし、レントロール自体を偽装しているケースもあるため注意が必要です。

カーテンスキームを見破るための対策として現地確認も重要です。部屋にカーテンが取り付けられていても、ポストや部屋の入り口付近、駐車場の状況などから生活感が感じられないような場合は安易に契約を進めないようにしましょう。

手口5.海外不動産への投資を持ちかける詐欺

同じ不動産投資でも、海外と国内では商慣習や法律が異なります。一般的に海外、特に発展途上国では詐欺に遭うリスクが高いため注意しましょう。

事例紹介

海外における不動産投資詐欺の事例としては「売買契約を交わしてお金を払ったのに 物件引渡前に不動産会社との連絡が途絶えて公式サイトもなくなっていた」というようなケースが挙げられます。また 海外の新築不動産では「プレビルド(Pre build)」の物件販売も珍しくありません。プレビルドとは、数年後など将来物件が完成することを前提にお金を支払う契約方式のことです。
プレビルドでは、「予定していた期日までに物件が完成しない」「物件の引き渡しが受けられない」などのトラブル事例があります。

有効な対策

海外の不動産投資詐欺を見破るのは、上級者でも難しいです。トラブルが起きても日本の法律が及ばないことが多いため、国内の関係機関や弁護士に相談しても解決できない可能性も高いです。このようなことを踏まえると、不動産投資の初心者から中級者の人が海外物件を買い付けるなら国内市場に上場しているような大手デベロッパーを通すのが安全でしょう。

自分が詐欺の当事者になっている3つのパターン

不動産投資では、知らない間に自身が詐欺に加担してしまうケースがあります。この場合、詐欺の被害者は自身が融資を受ける金融機関です。

  • 審査書類の改ざん
  • 二重売買契約
  • 1法人1物件スキーム

自分が詐欺の当事者になっている代表的な上記3つのケースを具体的に解説します。

審査書類の改ざん

よくあるケースとして、ローン審査の通過が厳しいことを理由に不動産会社から促されて、審査書類の改ざんを行うことです。文書偽造はれっきとした詐欺行為の1つですので、絶対にしてはいけません。
例えば、金融機関から審査資料として求められる銀行口座残高のスクリーンショットを、不動産会社が画像編集するケースがあります。100万円の口座残高を3,000万円に修正し、審査に通りやすくするわけです。
また、偽装を見抜かれずに審査を通過したとしても、後々発覚してしまった場合には、ローン残債の一括返済を求められます。このようなトラブルに巻き込まれないためにも、審査資料の提出をする際は不動産会社・金融機関の担当者と自身の三者が立ち合い、書類の内容に相違がないか確認しながら進めるようにしましょう。

二重売買契約

二重売買契約とは、不動産会社が作成した二パターンの契約書に署名・押印し、契約締結することを指します。具体的には、正式な契約書と、実際の売買価格よりも高い金額を記載した金融機関用のダミーとなる契約書を作成し、より多くの融資を引き出すことが目的です。
悪質な不動産業者になると、二種類の契約書を作成するリスクの説明もしないまま押印を求めてくることもあります。このケースでも文書偽造に加担したことになってしまい、発覚時には同様に借入金の一括返済を求められる可能性があるので注意が必要です。

このようなトラブルを防止するため、最悪の事態に対するリスクを理解し、不動産会社の言いなりにならないようにしましょう。

1法人1物件スキーム

1法人1物件スキームとは、物件を購入する度に新しく法人を立ち上げ、その都度新しい会社名義で融資を受けることを指します。この手法を用いることで、個人名義で借入をするよりも多額の融資を受けられるようになります。
短期間のうちに通常は購入できない複数の物件を取得可能なので、事業拡大へ意欲的な人が加担してしまうケースが多いようです。しかし、既に借入があることを隠ぺいして融資を申し込むことは、詐欺行為に該当します。
合併などにより、近年は銀行間での情報共有が進んでいるため、1法人1物件スキームが以前よりも発覚する可能性が高まっているようです。1法人1物件スキームを行ってしまったことで、借入金の一括返済を求められても仕方がないでしょう。

不動産投資詐欺の業者に共通する特徴

不動産投資詐欺の業者は、以下に挙げる5つの特徴のいくつかが該当することが多いです。

特徴1.断定的にメリットを解説する

不動産投資のコンサルティングで営業担当者がメリットについて解説すること自体は問題ありません。しかし「値上がりする」「絶対に儲かる」といった将来利益の断定は宅地建物取引業法に抵触します。(法第47条の2第1項-不確実な将来利益の断定的判断を提供する行為)不動産投資の詐欺業者は、こういった断定的な物言いをすることが多いです。

特徴2.事前にデメリットやリスクを伝えない

不動産投資のメリットばかり強調するセールストークも詐欺業者の特徴の一つです。不動産投資も他の投資と同じようにデメリットやリスクがあります。これらのネガティブな情報についても丁寧に情報提供してくれるのが信頼できる不動産会社です。

特徴3.おとり広告などを掲載している

見込客を集めるために売る意思のない物件で釣ることを「おとり広告」、実在しない物件で釣ることを「虚偽広告」といいます。これらの広告は、宅地建物取引業法、不当景品類及び不当表示防止法などで禁止されています。一般的には、入居者向けの賃貸募集でおとり広告や虚偽広告が使われることが多いです。しかし、不動産投資詐欺で用いられるケースもあります。相場の物件価格や利回りとかけ離れた物件には、飛びつかないよう注意しましょう。

特徴4.事務所が雑居ビル、または存在しない

不動産投資の詐欺業者は、ある程度儲けたら計画倒産や姿をくらますのを前提としていることも少なくありません。そのため、事務所が敷金の安い雑居ビルや、廉価な費用で契約できるレンタルオフィス、シェアオフィスというケースも多いです。さらには、虚偽の住所を表示しているようなケースもあります。

特徴5.契約締結を急かす

悪徳業者は、不動産投資に限らず契約締結を急かしてくる一面があります。急かす理由は、相手に考える時間や家族に相談する時間を与えないためです。

不動産投資詐欺を回避する7つの方法

いくつかのポイントを押さえておけば不動産投資詐欺のリスクを軽減できます。悪徳業者の被害に遭わないための主な方法は以下の7つです。

回避方法1.不動産会社の言動に注意する

不動産投資の詐欺業者の特徴には「断定的にメリットを解説する」「事前にデメリットやリスクを伝えない」などがありました。これらの特徴を意識して、営業担当者(コンサルタント)の言動から「良いことばかり言って強引に契約を得る」といった姿勢が見えた場合は契約を見送ることが大切です。手付金の支払いや契約締結を急かされた場合も詐欺の可能性があるため注意しましょう。

回避方法2.不動産会社の事務所を確認する

不動産投資の詐欺業者には「事務所が雑居ビルなど、または存在しない」というケースがあるので、営業担当者から名刺をもらったら記載されている住所でGoogle Earthで検索して入居しているビルの雰囲気を確かめるのが有効です。ただし「住所を偽っている」「レンタルオフィスやシェアオフィスに入居している」などの可能性もあるので、相手先の事務所のオフィスで打ち合わせするなどの方法で確認をするとよいでしょう。

回避方法3.不動産投資の基本知識を身につけておく

不動産投資の詐欺に遭った人の多くが悪徳業者のセールストークを鵜呑みにすることで被害にあっています。これを考慮すると、投資家自身が不動産の基本知識を身につけることが詐欺を回避する有効な方法といえるでしょう。不動産投資の専門知識を身につけるには、以下のような方法があります。

  • 不動産投資をテーマにした本をなるべく多く読む
  • 不動産取引や賃貸管理に関する資格を取得する(宅建士や賃管士など)
  • 不動産投資の複数のセミナーに参加する

回避方法4.不動産会社の情報を確認して信頼できるか見極める

「好印象の営業担当者だったので信用してしまった」「業者のことを調べずに契約してしまった」というのも不動産投資詐欺に遭う典型的なケースです。
不動産投資詐欺に遭わないためには、パートナーとなる不動産会社を選ぶ際、以下に挙げるような項目をチェックすることも大切です。

宅建業免許を取得しているか

宅建業免許なしで物件の仲介をすることは宅建業法に抵触します。特に不動産会社の規模が小さかったり社歴が浅かったりする場合は、念のため宅建業免許を持っているかを確認しましょう。国土交通省の「宅地建物取引業者  検索」を利用すると簡単に宅地建物取引業者を確認できます。

一定期間の社歴があるか

社歴は長いほど安全ですが「創業から10年以上」というのが一つの目安になるでしょう。なぜなら創業から10年以内に多くの割合の企業が淘汰されるといわれているからです。

社員数や資本金が多いか

不動産業は、資本力が重要な業種なので、資本金が1,000万円以下などの企業だと不安があります。社員数も企業の信用力を測る指標の一つで、100名以上の規模感が目安となります。

回避方法5.不明点や納得できないことがある場合は話を進めない

「相手は不動産のプロだから言うことを聞いていればいい」といった受け身な考え方はやめましょう。不動産投資は事業および投資という側面があり最終的に自己責任となるため、不明点や納得できない点を解消しないまま契約を交わしてはいけません。

回避方法6.不動産投資の成功者とつながりを持つ

不動産投資の勉強会や大家の会などのネットワークを通してほかの投資家と情報交換することも不動産投資詐欺を回避するのに役立ちます。なぜなら情報交換を通して先輩大家の失敗談、時代ごとに流行している不動産投資詐欺の手口などが学べるからです。ただし参加している大家のネットワーク自体が不動産投資の詐欺師たちの温床ということも考えられます。参加する前にネットワークの評判やうわさをリサーチすることが大切です。

回避方法7.契約前に現地調査を行う

本記事の前半でお伝えしたように、不動産投資の詐欺には、満室を装って契約を持ちかける手口があります。契約前に現地調査を行うことで「周辺の物件が空室だらけなのに満室なのはおかしい」「生活実態が感じられないのでカーテンスキームではないか」といったことに気づいて詐欺を回避できる可能性もあります。

不動産投資詐欺に遭ってしまった場合の相談先

不動産投資の知識をいくら身につけても業者選びにいくら気をつけても詐欺に遭う可能性をゼロにすることはできません。「詐欺に遭ってしまった」「詐欺に遭ってしまったかもしれない」と思った時は、すぐに以下のような機関へ相談することをおすすめします。

相談先 特徴
国民生活センター(消費生活センター) 都道府県・市区町村に設置されている消費者トラブルに関する相談窓口。
しつこく勧誘された、業者に騙されたなどのトラブルの相談先に適している。
保証協会 宅建業を営む不動産会社が加盟する団体。
不動産会社との間で起きたトラブルの相談に適している。
免許行政庁 悪質な勧誘などに対する苦情・相談に応対してくれる機関。
悪質・乱暴な勧誘・営業を受けた際の相談先に適している。
弁護士 法律のスペシャリスト。
不動産会社との間で起きたトラブルを法的視点から解決したい際の相談先に適している。

 

相談先1.国民生活センター(消費生活センター)

国民生活センターは、消費者トラブルの未然防止やトラブル解決のための支援を行う独立行政法人で、相談窓口が各都道府県・市町村に設置されています。トラブルの内容に対して、適切な相談先の紹介や情報提供を公平的な立場から行ってくれるのが特徴です。
国民生活センターの公式サイトによると、不動産投資詐欺に関する相談事例として、以下のものが挙げられています。

  • 投資用マンションをしつこく勧誘され、事業者が怖くて契約をしてしまった
  • 街頭アンケートに記入したら投資用マンションを勧誘され契約してしまった
  • 家賃保証があると勧誘され投資用マンションを購入したが、赤字になっている
  • 事業者に指示されて虚偽申告をしローン等を組んだが支払えない

局番なし「188(いやや)」の消費者ホットラインに電話するとお近くの消費者生活相談窓口を案内してくれます。

    • 相談内容:手付金やデート商法など
    • 相談機関:国民生活センター
    • 電話:消費者ホットライン局番なしの188

相談先2.保証協会

保証協会は正式には「宅地建物取引業保証協会」といい、宅建業を営む不動産会社が加盟する団体です。
「全国宅地建物取引業保証協会(全宅保証)」「不動産保証協会」などの公益社団法人は、宅建業者に対する苦情解決や手付金の保管・保証などの業務を行っています。不動産会社が保証協会の会員の場合は、所属する不動産会社に関する相談や苦情を受け付けており、これらの機関に相談することで解決に向けたサポートや手付金の保証をしてもらえる可能性があります。
また、不動産会社との間でトラブルが解決しない場合は、生じた債権を上限額まで弁済する制度もあるため消費者の強い味方です。
例えば、「手付金支払い後に業者と連絡が取れなくなった」「二重売買契約を締結された」「審査書類を改ざんされた」などのトラブルが発生した際に、相談を持ち掛けるといいでしょう。
また、取引きする不動産会社が保証協会に加盟しているかどうかを事前に確認しておくことで、トラブルを未然に防げる可能性が高まります。

・相談内容:宅建業者に対する苦情解決や手付金の保証など
・相談機関:全国宅地建物取引業保証協会不動産保証協会

 

相談先3.免許行政庁

不動産の仲介やサブリースの広告、勧誘、重要事項説明などの違反については、国土交通省が管轄しており、連絡することで悪徳業者への行政指導や業務停止命令などをしてもらえる可能性があります。
国土交通省の公式サイトでは、以下のような勧誘トラブルは免許行政庁に相談するよう呼び掛けています。

  • 断ったにもかかわらずしつこく電話をかけてくる
  • 長時間にわたって電話を切らせてくれなかった
  • 深夜や早朝といった迷惑な時間に電話をかけられた
  • 脅迫めいた発言があった
  • 自宅に押しかけられ強引に契約を迫られた
  • 絶対に儲かるから心配ないと言われた

(引用:国土交通省HP「国土交通省から消費者の皆さんへのお知らせ・注意喚起(マンションの悪質勧誘・訪問、アンケート調査等)

不動産会社や営業担当者の職務におかしな点があると感じたら、一度相談してみましょう。

・相談内容:仲介やサブリースに係わる業務
・相談機関:国土交通省など
・電話:国土交通省(代表):03-5253-8111

相談先4.弁護士

法律に関するトラブルは、法のスペシャリストである弁護士に相談するのも1つの手段です。弁護士にはそれぞれ得意分野があるので、不動産に詳しい弁護士に相談することが望ましいでしょう。

  • 契約後に手付解除を申し出たら、違約金の請求をされた
  • 執拗・強引な勧誘に押されて物件を購入したが、本意ではなく解約したい
  • サブリース契約で一方的に賃料を引き下げられ、損失を被り改善の余地がない

相談事例としては、上記のようなものが挙げられます。他にも権利関係など法律が関係する問題がある場合は、弁護士への相談がおすすめです。
「弁護士を探す方法が分からない」「弁護士費用が気になる」という場合は、国が設立した法的トラブル解決の総合案内所「法テラス」に相談してみましょう。無料法律相談や弁護士費用の立て替えも行っているため、経済的に不安がある方でも気軽に利用できます。


・相談内容:不動産投資のトラブル全般
・相談機関:日本司法支援センター 法テラス(外部リンク)など
・電話:法テラス0570−078374(平日9〜21時、土曜9〜17時)

まとめ

この記事では、不動産投資詐欺に遭わないために知っておくべき悪徳業者の手口や特徴、回避方法などについて解説しました。

最も大切なことは「気をつけていても詐欺に遭う可能性がある」ことを認識することでしょう。「自分が詐欺になんか遭うわけがない」と自信過剰な人ほど、不動産投資の勉強を怠ったり悪徳業者の営業トークを鵜呑みにしてしまったりするものです。

手付金を渡す前や契約を交わす前には、一度立ち止まって「詐欺に遭っている可能性がないか」について確認してみましょう。

ベルテックスでは不動産にまつわるセミナーを開催しています。ぜひお問い合わせください。

この記事を書いた人

ベルテックスコラム事務局

不動産コンサルタント・税理士

不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。