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2025.06.23
ベルテックスコラム事務局
不動産投資で破産することもある?破産率の実態と主な要因&予防策
- はじめ方・基礎知識
不動産投資には安定した収益が期待されていますが、一方でローン返済が滞るなどして破産するリスクがあることは否めません。実際に破産する人の割合は統計上低くなっているものの、苦しい経営を強いられている投資家がいるのは確かです。
投資失敗の主な要因は、物件選定のミスや収支計画・融資計画の甘さです。これから資産運用を始める人は、ここであらかじめ原因と対策を押さえておきましょう。
不動産投資で破産する実態とは
不動産投資は資産形成の有効な手段として人気がありますが、「破産するリスクがある」という不安から踏み出せない方も多いでしょう。
実際のところ、不動産投資による破産はどの程度起きているのでしょうか。また、破産に至るケースにはどのような共通点があるのでしょうか。
不動産投資による破産率は低い
不動産投資による破産率を直接示す統計は存在しませんが、関連する複数の信頼性の高いデータから推測できます。
金融庁の統計によれば、開示されているリスク管理債権(回収できなくなる可能性のある債権)は、およそ10年にわたって1.2%から1.5%の低水準で推移しています。
住宅ローンの回収状況や、破産理由に関するデータも確認してみましょう。
住宅金融支援機構のディスクロージャー誌によれば、住宅ローンのリスク管理債権は全体の3.04%に過ぎません。さらに日弁連の調査では、自己破産全体における「投資の失敗」を原因とする割合はわずか1.53%、同時に「住宅購入」原因とする割合も7.26%と、合計でも9%に満たない数値です。
これら3つのデータから、不動産投資が原因で破産に至るケースは少ないものと考えられます。もっとも、返済不能には至らないものの苦戦している投資家が存在することは否定できません。
【参考】日本弁護士連合会 消費者問題対策委員会「2020年破産事件及び個人再生事件記録調査」2021 年12月公表
【参考】金融庁「金融再生法開示債権等の推移 2024年9月期」2025年7月28日公表
不動産投資の失敗により破産に至る典型的なケース
不動産投資は安定した収益が期待できる投資方法ですが、失敗するとローンの返済が滞るなどして破産に至ります。具体的にどんな状況が想定できるのか、典型的な5つのケースから考えてみましょう。
過剰な物件取得による資金ショート
投資規模の拡大や赤字の埋め合わせを狙い、短期間で複数物件を取得するケースです。物件を購入する際の融資比率が毎回大きいと、毎月の返済額の上昇幅が大きくなり、資金繰りが悪化しやすくなります。
立地・需要調査不足による長期空室
入居者が集まらず、長期空室が続くケースです。人口減少地域や交通アクセスの悪い立地、築古物件などを十分な調査なしに購入してしまうと、想定した家賃収入が得られず、毎月の返済が困難になります。
資金計画の甘さによる資金枯渇
修繕費や管理費の見積もり不足から予想外の出費が発生し、資金が枯渇するケースです。とくに築古物件では、購入後に大規模修繕が必要となることが多々あります。
金利の上昇・本業収入の減少
融資条件が変化したり、本業で得ている収入が転職・配置換えなどによって減少したりすることで、収支状況が悪化し、破綻に至るケースです。とくに変動金利で多額のローンを組んでいると、金利上昇のリスクが高まります。
災害・事故による物件損壊
地震や火災そのほかの災害の発生により、物件損壊と保険による補償の不足が相まって立ちゆかなくなるケースです。保険加入時に補償の範囲を確認しなかったことや、必要な特約を付帯させなかったことが原因です。
不動産投資で破産するとどうなる?
不動産投資が原因で自己破産に至った場合、その影響は財産や信用、資格・職業にまで及びます。
日々の暮らし(とくに決済手段)に問題が生じるだけでなく、本業での活動が制限されることで生活水準が大きく下がる可能性もあるのです。
自宅を含め、財産は換価処分される
個人が破産開始決定を受けると、債権者に分配する目的で、一定額までの現金や家財道具・仕事道具などを除くほとんどの財産が換価処分されてしまいます。
換価処分とは、物品や有価証券等を現在価値で転売し、現金化する行為のことを指します。
住まいや自家用車についても例外ではありません。その結果、引越しや移動手段の再検討を迫られます。
一定期間にわたり融資を受けられなくなる
自己破産により債権回収ができなくなった事実は、CIC(シー・アイ・シー)、JICC(日本信用情報機構)、KSC(全国銀行個人信用情報センター)といった信用情報機関に登録されます。
登録された情報は5年から10年にわたって保持され、各種ローンやクレジットカード発行の審査が否決される原因となります。
連帯保証人への一括請求が実行される
自己破産した時点で連帯保証のある融資契約については、保証人に対して残債務の一括請求が行われます。同居家族やそのほかの近しい親族が保証人となっているケースでは、その保証人も債務整理の必要に迫られ、人間関係が悪化しかねません。
資格および職業が制限される
破産手続き中および免責決定までの間は、法律によって就けない職業や資格に制限があります。他人の金銭・資産を扱う 各種士業や、会社役員、そのほかの許認可を必要とする業種(警備業など)です。
これらの制限は破産手続が終結して復権(=破産者でなくなること)によって解除されますが、営業できない期間の発生による悪影響は否定できません。
不動産投資で破産する5つの要因と予防策
不動産投資で破産に至るケースを分析すると、共通する要因がいくつかあります。経営上難のある物件を選んでしまう、収支計画やリスク対策が甘いなどの要因です。
これから投資を始めるときは、以下で挙げる5パターンの失敗を避け、適切な対策をとりましょう。
物件選びでミスがある
投資用物件の選定を誤ると、思うように利益が出ないばかりか、諸費用やローンの返済などによって赤字化します。
この状況が続くと、赤字を埋めようとして追加で物件を購入する・本業収入や新たな借り入れで赤字を埋めるなどの対応をとらざるを得ず、最悪の場合は破産にいたります。
よくあるのは、次のような問題を抱える物件を選んでしまうことです。
-
需要が低い(人口減少などが原因)
-
維持管理コストが高い(老朽化が原因)
-
被災し、多額の修繕コストを必要とする
上記の問題を回避するなら、地域の需要把握や、物件の維持・管理のためのコストの確認、災害リスクのチェックが欠かせません。最低でも、購入を決める前に次のポイントを押さえておきたいところです。
地域の需要を把握する
物件を選定するときは、最低でも人口動態や人流の予測を確認しておくべきです。
データによれば、2035年までに東京以外の46道府県で65歳未満の人口が減少し続け、地方では急速に空室率が上昇する可能性があります。人の流れ(周辺環境の将来性)については、市区町村の都市計画マスタープランや再開発情報から調査できます。
【参考】国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5(2023)年推計)」2023年12月22日
耐用年数や修繕コストを確認する
築古物件では、耐用年数と修繕コストの関係を把握することが重要です。
国土交通省の「長期修繕計画作成ガイドライン」などを参考に、築年数別の修繕費用を試算し、大規模修繕のタイミングを予測しなければなりません。
【参考】国土交通省「長期修繕計画作成ガイドライン」2024年6月改定
自然災害のリスクについて確認する
災害による物件損壊のリスクは、国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」でチェックできます。
色のついた地域の物件を検討するときは、事前に想定される被災の程度を確認するとともに、売主からもしっかりと説明を受けるべきです。
【参考】国土交通省「ハザードマップポータルサイト」2025年3月26日現在
フルローン・オーバーローンを安易に組む
物件価格の全額を融資でまかなう「フルローン」や、物件価格のみならず諸費用まで融資でまかなう「オーバーローン」は、総返済額および毎月の返済額を大幅に上昇させます。十分に利益が出ていても経営が苦しくなる可能性があるため、なるべく避けるべきです。
銀行融資では、審査によって無理のない融資額が決定されますが、借り入れをする側でも物件価格および年収に対する適正な融資額の比率に注意しなければなりません。一般的には、次のように考えられます。
物件価格に対する融資額の比率
物件価格に対する借入金の比率(LTV/Loan to Value)は50%から70%が適正とされています。参考までに、国内の不動産投資信託では50%程度をターゲットとしています。
年収に対する借入限度額の比率
本業の年収に対する借入限度額は、一般に5倍から6倍程度とされています。キャッシュフロー分析では返済余裕率(DSCR)を1.25以上確保することが安全運用の基準です。これは「年間賃料収入÷年間ローン返済額」で計算し、1を下回ると赤字経営となります。
高金利ローンを利用している・金利上昇を見越せていない
不動産投資での融資は高額貸付と長期返済に特徴があり、金利が上がるとそれだけ経営は苦しくなります。金利によって返済負担が大きくなると、やはり破産につながりかねません。
融資契約のときに注意したいのは、金利は必ずしも一定の水準ではなく、契約条件や契約時期によって変動する可能性です。借り入れの検討では、最低でも次のポイントに注意を払いましょう。
変動金利と固定金利の選び方
変動金利は当初の返済負担が軽い反面、将来の金利上昇リスクがあります。
一方、固定金利は当初負担は重いものの長期的な安定性があるため、投資期間に応じた選択が重要です。不動産会社や金融機関の返済シミュレーションを活用し、複数の金利シナリオで返済計画を検討するようにしましょう。
金利上昇への備え
日銀による量的緩和の縮小や長短金利操作の調整などに注目し、政策変更前に対策を講じましょう。
金利上昇に備えた資金バッファとしては、最低でも6か月分の返済額を流動性の高い資産で確保し、突発的な状況変化に対応できる体制を整えておくことが必要です。
空室リスクへの備えが不足している
入居者のいない部屋は収入ゼロであり、赤字転落に直結します。好条件の物件でも、常に満室を維持できるとは限りません。投資を始める前に空室率の想定やターゲット設定を実施し、万一のときに備えてなるべく資金を準備しておくようにしましょう。
基本的な内容として押さえておきたいのは、下記の項目です。
適正な空室率の目安
適正空室率は地域や物件タイプにより異なり、国土交通省や総務省の統計などから目安を知ることができます。
投資にあたっては、周辺の賃貸経営の実情について、公的資料だけでなく不動産会社への問い合わせ等、実例に詳しい情報筋を使って調査するようにしましょう。
ターゲット設定の必要性
国立社会保障・人口問題研究所の調査では、今後も単身世帯が増加し、特に都心部では高齢単身者の増加が顕著と予測されています。
このようなデータを基に、物件のスペックや設備を入居ターゲットに合わせて選定・改修することが欠かせません。
【参考】国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計(全国推計) 」2024年推計
空室発生に向けた準備
空室発生時の月間キャッシュアウトは「ローン返済額+管理費・修繕積立金+保険料+固定資産税」で計算し、この金額の3か月分以上を準備金として確保しておきたいところです。
修繕・管理コストの見積りが甘い
修繕・管理コストの見積り不足は、想定外の出費に対応できず、破産を招きがちです。適切な修繕やリノベーションを怠ると、空室率の増加を招き、収入も減少しかねません。大規模修繕や定期的・突発的な修繕の頻度と必要な費用を見込んでおき、備えをしておくことが大切です。
具体的には、次のようなことが言えます。
大規模修繕のスパン
国土交通省の資料によれば、計画期間は30年以上とし、2回の大規模修繕工事を含める期間で設計すべきとされています。同ガイドラインでは外壁塗装は12年から15年、空調・換気設備の交換は13年から17年など、具体的な修繕周期も示されています。
【参考】国土交通省「長期修繕計画ガイドライン」2024年6月改定版
修繕費用の相場
構造別の修繕費用は、10戸の集合住宅を新築から30年間にわたって運用する場合、RC造(1K)で計177万円、木造(1LDK~2DK)で計216万円かかるとの試算があります。
大規模修繕の時期(目安として11年目から25年目)に費用が集中し、この時期も見込んで修繕積立金を試算しておくべきです。
【参考】国土交通省 住宅局住宅総合整備課賃貸住宅対策室「民間賃貸住宅の計画修繕ガイドブック」2025年3月18日現在
突発的に発生する修繕資金の目安
突然設備が壊れるなどの予想外の修繕については、年間収入の10%から15%程度の備えがあると良いでしょう。
特に給排水管の漏水や空調機器の故障など、入居者生活に直結する設備の緊急修繕は先送りできないため、常に修繕準備金を確保しておきたいところです。
出口戦略がない
出口戦略(運用を終えて利益を確定させる方法)がないと、赤字が膨らんだり、相続などによる承継が失敗して運用が難しくなったりする可能性があります。
物件の経済的寿命や税務上の減価償却期間を踏まえ、適切に「どのくらい運用して、どんな方法で運用を終えるのか」を考えておきましょう。
戦略を考えるための基本的なヒントとしては、次のようなことが言えます。不動産市況や金利環境は常に変化するため、少なくとも年に1回は出口戦略の見直すのも大切です。
減価償却の時期
木造アパートなら22年、RC造マンションなら47年で減価償却が完了し、その後の節税効果は薄くなります。実際の経済的寿命はさらに長いため、この差を踏まえた計画が必要です。
【参考】国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表」2025年3月18日現在
リノベーションのタイミング
物件価値を維持・向上させるための戦略的リノベーションは、築15年目から20年目と築30年目から35年目が適切なタイミングとされています。
この時期に時代のニーズに合わせた設備更新を行うことで、資産価値の下落を防ぎ、売却時の価格交渉を有利に進められます。
相続対策で投資する場合のポイント
相続対策として不動産投資を行う場合は、相続発生時の評価額や納税資金の確保など、相続税対策と出口戦略を連携させることが重要です。
売却時には譲渡所得税(所有期間5年超で長期譲渡所得税率15%+復興特別所得税0.315%)や住民税(5%)を考慮し、可能な限り特例措置を活用した税効率の高い計画を立てましょう。
【参考】国税庁「土地や建物を売ったとき」2024年年4月1日現在
破産の危機に陥ったときの緊急対応策
不動産投資で資金繰りが悪化し、破産の危機に直面したときには、冷静かつ迅速な対応が求められます。ここで紹介する対応をより早い段階で実施できれば、破産手続によるデメリットは回避できるでしょう。
入居率を改善するための戦略を練る
空室が増えてきたときは、入居の条件を見直しましょう。家賃の引き下げには即効性が期待でき、一時的に5%から10%程度安くして様子を見てみるのもひとつの方法です。
予算と時間が許すようなら、費用対効果の高いリノベーションも検討できるでしょう。とくにキッチン・バス・フローリングなど水回りの設備更新は入居者獲得に効果的です。
ほかには、入居条件の柔軟化も考えられます。ペット可・保証人不要・短期契約可などの条件緩和は、入居のハードルを下げる効果があります。
家賃保証やサブリース契約を活用する
家賃保証は空室リスクに備える有効な手段です。保証の内容については「滞納保証」と「空室保証」がある点に留意しましょう。滞納保証は入居者の家賃未払いをカバーするのに対し、空室保証はより包括的に空室期間の家賃をカバーします。
家賃保証契約で確認しておきたいのは、免責期間(新築から数か月間や入居者退去後の保証対象外期間)、保証上限額、解約条件の3つです。とくに免責期間は、複数の退去が重なると大きな負担となる可能性があるため注意が必要です。
より深刻な状況である場合、サブリース契約への切替えも選択肢となります。サブリース会社が物件を一括借り上げ、通常は市場家賃の85%から90%を保証するシステムです。
ただし、保証額が数年ごとに見直され減額される可能性や、オーナーが家賃設定に関与できなくなる点、そしてトラブルの可能性が否定できなくなる点には要注意です。
ローン借り換えや金融機関との交渉を実行する
資金繰りが厳しくなった場合、より金利条件のよい商品への借り換えを優先的に検討し、難しいようであれば金融機関との交渉を考えるべきです。
交渉する場合には、返済期間の延長や金利の低減を求めることになります。交渉では、現状分析や改善策を盛り込んだ提案書が必要となり、場合によっては保証人の追加や定期預金の契約なども検討しなければなりません。
交渉が難航するときは、中小企業再生支援協議会や事業再生ADRなどの公的支援制度の活用も検討できるでしょう。これらの機関は中立的立場から再生計画策定を支援し、金融機関との調整役も担います。
任意売却を検討する
資金繰りの改善が見込めない場合、最終手段として任意売却の検討が必要です。任意売却とは、債権者(かつ抵当権者)の同意を得て一般市場で物件を売却する方法です。
任意売却のメリットは、競売と比較して20%から30%程度高い価格での売却が期待できる点です。売却してなお残った返済分は引き続き債務整理を検討する必要があるため、少しでも高く売れる方法を選ぶのは重要です。
成功する投資家と破産する投資家の違い
不動産投資での成功と失敗を分ける最大の要因は、判断基準が「データと事実」と「感覚」のどちらであるかです。
成功する投資家は物件選定に時間をかけ、リスク管理を徹底し、情報収集と専門家ネットワークを構築しています。資産全体を俯瞰してチェックできるポートフォリオ戦略も重要だと言えます。
物件選定をきちんとできているか
成功する投資家は、物件を選ぶ際に、なるべく公的かつ客観的な資料に基づいて判断します。使用する資料としては、先に挙げた人口動態や世帯構成の変化に関するデータや、国土交通省の地価公示データ、そのほかにも周囲の賃貸需要を示す施設情報に関する資料などが挙げられます。
建物の品質評価でも違いが生じます。本人や業者が物件を訪れ「開閉できる箇所すべての確認」「水道をすべて流してみる」「点検口から内部確認」などを実施しているかどうかで、修繕時期と費用の予想を正確に行えるかどうかが変わります。
リスク想定と資金バッファが確保できているか
成功する投資家は、一定期間にわたって無収入または赤字になってもショートしないだけの額を蓄えています。このときに想定したいのは、空室率の上昇、不動産市況の変化、金利変動です。
それぞれのリスクについては、日銀の資料や地域に関する公的な資料、さらに周辺の賃貸物件の実績などから分析しています。
本業収入と不動産収入のバランスも重要です。一般的には、不動産収入への依存度を総収入の50%以下に抑えて運用するのが無難とされます。
保険に関しても、毎月の保険料とのバランスを考えながら、補償内容を適切に組み合わせられるかどうかが、アクシデント発生時の結果を左右します。
情報収集や専門家とのつながりを強化できているか
成功する投資家は信頼性の高い情報源を活用し、常に最新の市場動向を把握しています。自分で情報を集めるばかりではなく、現場の情報を持つ専門家(不動産会社など)とのつながりを強化しているのも特徴です。
専門家のネットワークを通じて得られる生の情報は、公開データだけでは把握できない市場感覚を養うのに役立ちます。
投資の損益に詳しい不動産会社だけではなく、税理士、弁護士、不動産鑑定士、宅建士などとも随時交流できるかどうかも、危機に陥ったときの結果を分けます。
ポートフォリオ戦略や分散投資を実践できているか
成功する投資家は、物件ごとの特性を理解し、投資先を複数の資産に分散するとともに、それを一元的に管理できる適切なポートフォリオを構築しています。
分散投資とポートフォリオの存在は、それぞれの損益の情報をリアルタイムで取得し、赤字のリスクがあるときに資産のバランスを変化させるため重要です。
上記のような戦略がないと「見た目において高利回りの資産にばかり投資してしまう」という失敗につながります。利益率のいい資産および物件は、損益が変動しやすく、赤字が続いて多額の損失を出してしまうリスクが隠れているかもしれません。
ハイリスク資産とローリスク資産を組み合わせ、赤字の危機を軟着陸させることのできる戦略が大切です。
まとめ
不動産投資による破産率は統計的に見れば低いものの、物件選定の誤り、過剰なローン、金利変動、空室リスク、修繕費用の見積もり不足、出口戦略の欠如といった要因が重なると破産の危険性は高まります。収支を安定させるため、初心者はリスクの理解と十分な対策を心がけましょう。
資産運用の成功の要は「情報を持つ専門家とのつながり」です。ベルテックスでは、最新かつ具体的なデータと確かな実績をもとに不動産投資を支援しています。まずは資料請求からご検討ください。
この記事を書いた人
ベルテックスコラム事務局
不動産コンサルタント・税理士
不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。
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2025.06.23
ベルテックスコラム事務局
不動産投資で破産することもある?破産率の実態と主な要因&予防策
- はじめ方・基礎知識
不動産投資には安定した収益が期待されていますが、一方でローン返済が滞るなどして破産するリスクがあることは否めません。実際に破産する人の割合は統計上低くなっているものの、苦しい経営を強いられている投資家がいるのは確かです。
投資失敗の主な要因は、物件選定のミスや収支計画・融資計画の甘さです。これから資産運用を始める人は、ここであらかじめ原因と対策を押さえておきましょう。
不動産投資で破産する実態とは
不動産投資は資産形成の有効な手段として人気がありますが、「破産するリスクがある」という不安から踏み出せない方も多いでしょう。
実際のところ、不動産投資による破産はどの程度起きているのでしょうか。また、破産に至るケースにはどのような共通点があるのでしょうか。
不動産投資による破産率は低い
不動産投資による破産率を直接示す統計は存在しませんが、関連する複数の信頼性の高いデータから推測できます。
金融庁の統計によれば、開示されているリスク管理債権(回収できなくなる可能性のある債権)は、およそ10年にわたって1.2%から1.5%の低水準で推移しています。
住宅ローンの回収状況や、破産理由に関するデータも確認してみましょう。
住宅金融支援機構のディスクロージャー誌によれば、住宅ローンのリスク管理債権は全体の3.04%に過ぎません。さらに日弁連の調査では、自己破産全体における「投資の失敗」を原因とする割合はわずか1.53%、同時に「住宅購入」原因とする割合も7.26%と、合計でも9%に満たない数値です。
これら3つのデータから、不動産投資が原因で破産に至るケースは少ないものと考えられます。もっとも、返済不能には至らないものの苦戦している投資家が存在することは否定できません。
【参考】日本弁護士連合会 消費者問題対策委員会「2020年破産事件及び個人再生事件記録調査」2021 年12月公表
【参考】金融庁「金融再生法開示債権等の推移 2024年9月期」2025年7月28日公表
不動産投資の失敗により破産に至る典型的なケース
不動産投資は安定した収益が期待できる投資方法ですが、失敗するとローンの返済が滞るなどして破産に至ります。具体的にどんな状況が想定できるのか、典型的な5つのケースから考えてみましょう。
過剰な物件取得による資金ショート
投資規模の拡大や赤字の埋め合わせを狙い、短期間で複数物件を取得するケースです。物件を購入する際の融資比率が毎回大きいと、毎月の返済額の上昇幅が大きくなり、資金繰りが悪化しやすくなります。
立地・需要調査不足による長期空室
入居者が集まらず、長期空室が続くケースです。人口減少地域や交通アクセスの悪い立地、築古物件などを十分な調査なしに購入してしまうと、想定した家賃収入が得られず、毎月の返済が困難になります。
資金計画の甘さによる資金枯渇
修繕費や管理費の見積もり不足から予想外の出費が発生し、資金が枯渇するケースです。とくに築古物件では、購入後に大規模修繕が必要となることが多々あります。
金利の上昇・本業収入の減少
融資条件が変化したり、本業で得ている収入が転職・配置換えなどによって減少したりすることで、収支状況が悪化し、破綻に至るケースです。とくに変動金利で多額のローンを組んでいると、金利上昇のリスクが高まります。
災害・事故による物件損壊
地震や火災そのほかの災害の発生により、物件損壊と保険による補償の不足が相まって立ちゆかなくなるケースです。保険加入時に補償の範囲を確認しなかったことや、必要な特約を付帯させなかったことが原因です。
不動産投資で破産するとどうなる?
不動産投資が原因で自己破産に至った場合、その影響は財産や信用、資格・職業にまで及びます。
日々の暮らし(とくに決済手段)に問題が生じるだけでなく、本業での活動が制限されることで生活水準が大きく下がる可能性もあるのです。
自宅を含め、財産は換価処分される
個人が破産開始決定を受けると、債権者に分配する目的で、一定額までの現金や家財道具・仕事道具などを除くほとんどの財産が換価処分されてしまいます。
換価処分とは、物品や有価証券等を現在価値で転売し、現金化する行為のことを指します。
住まいや自家用車についても例外ではありません。その結果、引越しや移動手段の再検討を迫られます。
一定期間にわたり融資を受けられなくなる
自己破産により債権回収ができなくなった事実は、CIC(シー・アイ・シー)、JICC(日本信用情報機構)、KSC(全国銀行個人信用情報センター)といった信用情報機関に登録されます。
登録された情報は5年から10年にわたって保持され、各種ローンやクレジットカード発行の審査が否決される原因となります。
連帯保証人への一括請求が実行される
自己破産した時点で連帯保証のある融資契約については、保証人に対して残債務の一括請求が行われます。同居家族やそのほかの近しい親族が保証人となっているケースでは、その保証人も債務整理の必要に迫られ、人間関係が悪化しかねません。
資格および職業が制限される
破産手続き中および免責決定までの間は、法律によって就けない職業や資格に制限があります。他人の金銭・資産を扱う 各種士業や、会社役員、そのほかの許認可を必要とする業種(警備業など)です。
これらの制限は破産手続が終結して復権(=破産者でなくなること)によって解除されますが、営業できない期間の発生による悪影響は否定できません。
不動産投資で破産する5つの要因と予防策
不動産投資で破産に至るケースを分析すると、共通する要因がいくつかあります。経営上難のある物件を選んでしまう、収支計画やリスク対策が甘いなどの要因です。
これから投資を始めるときは、以下で挙げる5パターンの失敗を避け、適切な対策をとりましょう。
物件選びでミスがある
投資用物件の選定を誤ると、思うように利益が出ないばかりか、諸費用やローンの返済などによって赤字化します。
この状況が続くと、赤字を埋めようとして追加で物件を購入する・本業収入や新たな借り入れで赤字を埋めるなどの対応をとらざるを得ず、最悪の場合は破産にいたります。
よくあるのは、次のような問題を抱える物件を選んでしまうことです。
-
需要が低い(人口減少などが原因)
-
維持管理コストが高い(老朽化が原因)
-
被災し、多額の修繕コストを必要とする
上記の問題を回避するなら、地域の需要把握や、物件の維持・管理のためのコストの確認、災害リスクのチェックが欠かせません。最低でも、購入を決める前に次のポイントを押さえておきたいところです。
地域の需要を把握する
物件を選定するときは、最低でも人口動態や人流の予測を確認しておくべきです。
データによれば、2035年までに東京以外の46道府県で65歳未満の人口が減少し続け、地方では急速に空室率が上昇する可能性があります。人の流れ(周辺環境の将来性)については、市区町村の都市計画マスタープランや再開発情報から調査できます。
【参考】国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5(2023)年推計)」2023年12月22日
耐用年数や修繕コストを確認する
築古物件では、耐用年数と修繕コストの関係を把握することが重要です。
国土交通省の「長期修繕計画作成ガイドライン」などを参考に、築年数別の修繕費用を試算し、大規模修繕のタイミングを予測しなければなりません。
【参考】国土交通省「長期修繕計画作成ガイドライン」2024年6月改定
自然災害のリスクについて確認する
災害による物件損壊のリスクは、国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」でチェックできます。
色のついた地域の物件を検討するときは、事前に想定される被災の程度を確認するとともに、売主からもしっかりと説明を受けるべきです。
【参考】国土交通省「ハザードマップポータルサイト」2025年3月26日現在
フルローン・オーバーローンを安易に組む
物件価格の全額を融資でまかなう「フルローン」や、物件価格のみならず諸費用まで融資でまかなう「オーバーローン」は、総返済額および毎月の返済額を大幅に上昇させます。十分に利益が出ていても経営が苦しくなる可能性があるため、なるべく避けるべきです。
銀行融資では、審査によって無理のない融資額が決定されますが、借り入れをする側でも物件価格および年収に対する適正な融資額の比率に注意しなければなりません。一般的には、次のように考えられます。
物件価格に対する融資額の比率
物件価格に対する借入金の比率(LTV/Loan to Value)は50%から70%が適正とされています。参考までに、国内の不動産投資信託では50%程度をターゲットとしています。
年収に対する借入限度額の比率
本業の年収に対する借入限度額は、一般に5倍から6倍程度とされています。キャッシュフロー分析では返済余裕率(DSCR)を1.25以上確保することが安全運用の基準です。これは「年間賃料収入÷年間ローン返済額」で計算し、1を下回ると赤字経営となります。
高金利ローンを利用している・金利上昇を見越せていない
不動産投資での融資は高額貸付と長期返済に特徴があり、金利が上がるとそれだけ経営は苦しくなります。金利によって返済負担が大きくなると、やはり破産につながりかねません。
融資契約のときに注意したいのは、金利は必ずしも一定の水準ではなく、契約条件や契約時期によって変動する可能性です。借り入れの検討では、最低でも次のポイントに注意を払いましょう。
変動金利と固定金利の選び方
変動金利は当初の返済負担が軽い反面、将来の金利上昇リスクがあります。
一方、固定金利は当初負担は重いものの長期的な安定性があるため、投資期間に応じた選択が重要です。不動産会社や金融機関の返済シミュレーションを活用し、複数の金利シナリオで返済計画を検討するようにしましょう。
金利上昇への備え
日銀による量的緩和の縮小や長短金利操作の調整などに注目し、政策変更前に対策を講じましょう。
金利上昇に備えた資金バッファとしては、最低でも6か月分の返済額を流動性の高い資産で確保し、突発的な状況変化に対応できる体制を整えておくことが必要です。
空室リスクへの備えが不足している
入居者のいない部屋は収入ゼロであり、赤字転落に直結します。好条件の物件でも、常に満室を維持できるとは限りません。投資を始める前に空室率の想定やターゲット設定を実施し、万一のときに備えてなるべく資金を準備しておくようにしましょう。
基本的な内容として押さえておきたいのは、下記の項目です。
適正な空室率の目安
適正空室率は地域や物件タイプにより異なり、国土交通省や総務省の統計などから目安を知ることができます。
投資にあたっては、周辺の賃貸経営の実情について、公的資料だけでなく不動産会社への問い合わせ等、実例に詳しい情報筋を使って調査するようにしましょう。
ターゲット設定の必要性
国立社会保障・人口問題研究所の調査では、今後も単身世帯が増加し、特に都心部では高齢単身者の増加が顕著と予測されています。
このようなデータを基に、物件のスペックや設備を入居ターゲットに合わせて選定・改修することが欠かせません。
【参考】国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計(全国推計) 」2024年推計
空室発生に向けた準備
空室発生時の月間キャッシュアウトは「ローン返済額+管理費・修繕積立金+保険料+固定資産税」で計算し、この金額の3か月分以上を準備金として確保しておきたいところです。
修繕・管理コストの見積りが甘い
修繕・管理コストの見積り不足は、想定外の出費に対応できず、破産を招きがちです。適切な修繕やリノベーションを怠ると、空室率の増加を招き、収入も減少しかねません。大規模修繕や定期的・突発的な修繕の頻度と必要な費用を見込んでおき、備えをしておくことが大切です。
具体的には、次のようなことが言えます。
大規模修繕のスパン
国土交通省の資料によれば、計画期間は30年以上とし、2回の大規模修繕工事を含める期間で設計すべきとされています。同ガイドラインでは外壁塗装は12年から15年、空調・換気設備の交換は13年から17年など、具体的な修繕周期も示されています。
【参考】国土交通省「長期修繕計画ガイドライン」2024年6月改定版
修繕費用の相場
構造別の修繕費用は、10戸の集合住宅を新築から30年間にわたって運用する場合、RC造(1K)で計177万円、木造(1LDK~2DK)で計216万円かかるとの試算があります。
大規模修繕の時期(目安として11年目から25年目)に費用が集中し、この時期も見込んで修繕積立金を試算しておくべきです。
【参考】国土交通省 住宅局住宅総合整備課賃貸住宅対策室「民間賃貸住宅の計画修繕ガイドブック」2025年3月18日現在
突発的に発生する修繕資金の目安
突然設備が壊れるなどの予想外の修繕については、年間収入の10%から15%程度の備えがあると良いでしょう。
特に給排水管の漏水や空調機器の故障など、入居者生活に直結する設備の緊急修繕は先送りできないため、常に修繕準備金を確保しておきたいところです。
出口戦略がない
出口戦略(運用を終えて利益を確定させる方法)がないと、赤字が膨らんだり、相続などによる承継が失敗して運用が難しくなったりする可能性があります。
物件の経済的寿命や税務上の減価償却期間を踏まえ、適切に「どのくらい運用して、どんな方法で運用を終えるのか」を考えておきましょう。
戦略を考えるための基本的なヒントとしては、次のようなことが言えます。不動産市況や金利環境は常に変化するため、少なくとも年に1回は出口戦略の見直すのも大切です。
減価償却の時期
木造アパートなら22年、RC造マンションなら47年で減価償却が完了し、その後の節税効果は薄くなります。実際の経済的寿命はさらに長いため、この差を踏まえた計画が必要です。
【参考】国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表」2025年3月18日現在
リノベーションのタイミング
物件価値を維持・向上させるための戦略的リノベーションは、築15年目から20年目と築30年目から35年目が適切なタイミングとされています。
この時期に時代のニーズに合わせた設備更新を行うことで、資産価値の下落を防ぎ、売却時の価格交渉を有利に進められます。
相続対策で投資する場合のポイント
相続対策として不動産投資を行う場合は、相続発生時の評価額や納税資金の確保など、相続税対策と出口戦略を連携させることが重要です。
売却時には譲渡所得税(所有期間5年超で長期譲渡所得税率15%+復興特別所得税0.315%)や住民税(5%)を考慮し、可能な限り特例措置を活用した税効率の高い計画を立てましょう。
【参考】国税庁「土地や建物を売ったとき」2024年年4月1日現在
破産の危機に陥ったときの緊急対応策
不動産投資で資金繰りが悪化し、破産の危機に直面したときには、冷静かつ迅速な対応が求められます。ここで紹介する対応をより早い段階で実施できれば、破産手続によるデメリットは回避できるでしょう。
入居率を改善するための戦略を練る
空室が増えてきたときは、入居の条件を見直しましょう。家賃の引き下げには即効性が期待でき、一時的に5%から10%程度安くして様子を見てみるのもひとつの方法です。
予算と時間が許すようなら、費用対効果の高いリノベーションも検討できるでしょう。とくにキッチン・バス・フローリングなど水回りの設備更新は入居者獲得に効果的です。
ほかには、入居条件の柔軟化も考えられます。ペット可・保証人不要・短期契約可などの条件緩和は、入居のハードルを下げる効果があります。
家賃保証やサブリース契約を活用する
家賃保証は空室リスクに備える有効な手段です。保証の内容については「滞納保証」と「空室保証」がある点に留意しましょう。滞納保証は入居者の家賃未払いをカバーするのに対し、空室保証はより包括的に空室期間の家賃をカバーします。
家賃保証契約で確認しておきたいのは、免責期間(新築から数か月間や入居者退去後の保証対象外期間)、保証上限額、解約条件の3つです。とくに免責期間は、複数の退去が重なると大きな負担となる可能性があるため注意が必要です。
より深刻な状況である場合、サブリース契約への切替えも選択肢となります。サブリース会社が物件を一括借り上げ、通常は市場家賃の85%から90%を保証するシステムです。
ただし、保証額が数年ごとに見直され減額される可能性や、オーナーが家賃設定に関与できなくなる点、そしてトラブルの可能性が否定できなくなる点には要注意です。
ローン借り換えや金融機関との交渉を実行する
資金繰りが厳しくなった場合、より金利条件のよい商品への借り換えを優先的に検討し、難しいようであれば金融機関との交渉を考えるべきです。
交渉する場合には、返済期間の延長や金利の低減を求めることになります。交渉では、現状分析や改善策を盛り込んだ提案書が必要となり、場合によっては保証人の追加や定期預金の契約なども検討しなければなりません。
交渉が難航するときは、中小企業再生支援協議会や事業再生ADRなどの公的支援制度の活用も検討できるでしょう。これらの機関は中立的立場から再生計画策定を支援し、金融機関との調整役も担います。
任意売却を検討する
資金繰りの改善が見込めない場合、最終手段として任意売却の検討が必要です。任意売却とは、債権者(かつ抵当権者)の同意を得て一般市場で物件を売却する方法です。
任意売却のメリットは、競売と比較して20%から30%程度高い価格での売却が期待できる点です。売却してなお残った返済分は引き続き債務整理を検討する必要があるため、少しでも高く売れる方法を選ぶのは重要です。
成功する投資家と破産する投資家の違い
不動産投資での成功と失敗を分ける最大の要因は、判断基準が「データと事実」と「感覚」のどちらであるかです。
成功する投資家は物件選定に時間をかけ、リスク管理を徹底し、情報収集と専門家ネットワークを構築しています。資産全体を俯瞰してチェックできるポートフォリオ戦略も重要だと言えます。
物件選定をきちんとできているか
成功する投資家は、物件を選ぶ際に、なるべく公的かつ客観的な資料に基づいて判断します。使用する資料としては、先に挙げた人口動態や世帯構成の変化に関するデータや、国土交通省の地価公示データ、そのほかにも周囲の賃貸需要を示す施設情報に関する資料などが挙げられます。
建物の品質評価でも違いが生じます。本人や業者が物件を訪れ「開閉できる箇所すべての確認」「水道をすべて流してみる」「点検口から内部確認」などを実施しているかどうかで、修繕時期と費用の予想を正確に行えるかどうかが変わります。
リスク想定と資金バッファが確保できているか
成功する投資家は、一定期間にわたって無収入または赤字になってもショートしないだけの額を蓄えています。このときに想定したいのは、空室率の上昇、不動産市況の変化、金利変動です。
それぞれのリスクについては、日銀の資料や地域に関する公的な資料、さらに周辺の賃貸物件の実績などから分析しています。
本業収入と不動産収入のバランスも重要です。一般的には、不動産収入への依存度を総収入の50%以下に抑えて運用するのが無難とされます。
保険に関しても、毎月の保険料とのバランスを考えながら、補償内容を適切に組み合わせられるかどうかが、アクシデント発生時の結果を左右します。
情報収集や専門家とのつながりを強化できているか
成功する投資家は信頼性の高い情報源を活用し、常に最新の市場動向を把握しています。自分で情報を集めるばかりではなく、現場の情報を持つ専門家(不動産会社など)とのつながりを強化しているのも特徴です。
専門家のネットワークを通じて得られる生の情報は、公開データだけでは把握できない市場感覚を養うのに役立ちます。
投資の損益に詳しい不動産会社だけではなく、税理士、弁護士、不動産鑑定士、宅建士などとも随時交流できるかどうかも、危機に陥ったときの結果を分けます。
ポートフォリオ戦略や分散投資を実践できているか
成功する投資家は、物件ごとの特性を理解し、投資先を複数の資産に分散するとともに、それを一元的に管理できる適切なポートフォリオを構築しています。
分散投資とポートフォリオの存在は、それぞれの損益の情報をリアルタイムで取得し、赤字のリスクがあるときに資産のバランスを変化させるため重要です。
上記のような戦略がないと「見た目において高利回りの資産にばかり投資してしまう」という失敗につながります。利益率のいい資産および物件は、損益が変動しやすく、赤字が続いて多額の損失を出してしまうリスクが隠れているかもしれません。
ハイリスク資産とローリスク資産を組み合わせ、赤字の危機を軟着陸させることのできる戦略が大切です。
まとめ
不動産投資による破産率は統計的に見れば低いものの、物件選定の誤り、過剰なローン、金利変動、空室リスク、修繕費用の見積もり不足、出口戦略の欠如といった要因が重なると破産の危険性は高まります。収支を安定させるため、初心者はリスクの理解と十分な対策を心がけましょう。
資産運用の成功の要は「情報を持つ専門家とのつながり」です。ベルテックスでは、最新かつ具体的なデータと確かな実績をもとに不動産投資を支援しています。まずは資料請求からご検討ください。
この記事を書いた人
ベルテックスコラム事務局
不動産コンサルタント・税理士
不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。