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2024.02.29
ベルテックスコラム事務局
不動産投資の仕組みとは?メリットとリスク・利益を得る方法をわかりやすく解説
- はじめ方・基礎知識
- メリット
- リスク
- 賃貸管理
- 不動産投資
不動産投資は、マンションやアパートなどに投資して利益を得る方法です。将来への不安から、仕事をしながら副業で不動産投資に取り組む人が増えています。安定収入が期待できる不動産投資に興味があるものの「難しそう」「ハードルが高い」と感じている人もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、不動産投資を検討している初心者の方に向けて、不動産投資の基本的な仕組みについて詳しく解説します。
不動産投資とは
不動産投資とは、購入した不動産を第三者に貸し出して家賃収入を得る投資方法です。入居者がいる限り、労働時間に関係なく収入を得られます。入居者募集や賃貸借契約などの賃貸管理は、管理会社に委託できるため、会社員が副業として取り組むことも可能です。
不動産は、販売価格が高額であるため、まとまったお金を準備する必要があります。しかし、金融機関の融資を利用できるので、頭金や初期費用を用意できれば物件を取得できます。不動産投資を始める場合は、不動産会社で物件を紹介してもらうのが一般的です。プロが物件選びをサポートしてくれるため、初心者でも安心して投資を始められるでしょう。ただし、不動産会社や担当者によって取扱物件や実績は異なり、相性の良し悪しもあります。
不動産投資で成功するためには、信頼できる不動産会社や担当者に出会えるかという点も重要なポイントです。
不動産投資で利益が出る2つの仕組み
不動産投資で得られる利益には、「インカムゲイン」と「キャピタルゲイン」の2つがあります。それぞれ利益を得る方法やタイミングが異なるため、違いを理解しておくことが大切です。
ここでは、インカムゲインとキャピタルゲインの違いについて説明します。
インカムゲイン
インカムゲインとは、資産を保有している間に得られる利益のことです。不動産投資では、家賃収入や更新料、礼金がインカムゲインに該当します。インカムゲインの1回あたりの利益は、それほど高額ではありません。しかし、定期的に一定の収入を得られるため、給与のように安定した収入源となります。
不動産投資は、長期の家賃収入を得ることが主な目的であるため、インカムゲイン重視の投資方法といえるでしょう。
キャピタルゲイン
キャピタルゲインとは、保有資産を売却することで得られる利益のことです。不動産は価格が変動するため、購入時より高い価格で売却できれば購入価格と売却価格の差額が利益となります。例えば2,000万円で購入したマンションを2,500万円で売却した場合、差額500万円がキャピタルゲインとなります。不動産投資では、インカムゲインに加えてキャピタルゲインを得られる可能性があります。
ただし、売買差益には「譲渡所得」として所得税や住民税がかかるため、利益がそのまま手元に残るわけではありません。購入してから5年以下の短期間で売却すると、「短期譲渡所得」として39.63%(復興特別所得税と住民税を含む)という高い税率が適用されるので注意が必要です。また、不動産価格が購入時より値下がりすれば売却によって損失が生じます。
不動産は短期間で大きく値上がりすることは少ないため、キャピタルゲインよりインカムゲイン(家賃収入)を重視する方がよいでしょう。
不動産投資のコスト
不動産投資は初期費用や維持費がかかるので、コストが家賃収入を上回ると損失が発生します。安定収入を確保するには、どのようなコストがかかるかを理解して、利益の出る物件に投資することが大切です。ここでは、不動産投資にかかる主なコストを紹介します。
仲介手数料
仲介手数料とは、不動産売買の仲介を不動産会社(仲介会社)に依頼した場合に支払う手数料です。仲介会社は売主と買主の間に入り、売買価格などの調整や売買契約事務などを行います。不動産会社が受け取る仲介手数料は宅地建物取引業法において上限額が定められており、売買価格が400万円を超える場合、上限額は「売買価格×3%+6万円+消費税」です。売買価格が2,000万円であれば72万6,000円(2,000万円×3%+6万円+消費税6万6,000円)が上限額となります。仲介手数料は成功報酬であるため、売買契約が成立しなければ支払いは不要です。また、不動産会社から直接物件を購入する場合は、仲介業務が行われないので仲介手数料は発生しません。
融資返済
不動産投資は、金融機関から融資を受けて物件を購入するのが一般的です。物件取得後は、借入金(元本と利息)を毎月返済しなくてはなりません。返済額のうち元本部分は借りたお金を返しているだけなので、正確にはコストではありませんが、毎月発生する支出です。毎月の返済額が家賃収入の範囲内であれば、自己資金の持ち出しは発生しません。
融資を受ける際は、ローン事務手数料や保証料を払う必要があります。金融機関によって料金体系が異なるので、事前に確認しておくことが大切です。
管理費・修繕積立金
ワンルームなどの区分マンションに投資する場合は、管理費と修繕積立金を毎月支払います。管理費は、マンションの共用部分の維持管理に使われる費用です。エントランスやごみ置き場の清掃、エレベーターや電気・給排水設備の保守点検などに充てられます。修繕積立金は、建物のメンテナンスや大規模修繕工事に備えて積み立てる費用です。
長期修繕計画に基づいて、区分所有者から毎月一定の金額を徴収します。管理費・修繕積立金の金額は、マンションによって異なります。修繕積立金が十分に積み立てられていないと、将来値上げされる可能性もあります。不動産投資の利回りを左右するため、物件購入前に金額や積み立て状況を確認しておきましょう。
修繕費
不動産投資では、退去が発生すると次の入居者を迎えるために室内のクリーニングや原状回復工事を行います。また、給湯器やエアコンなどの設備が壊れた場合は交換が必要です。区分マンションの場合、室内(専用部分)の修繕費は管理費・修繕積立金とは別にオーナーが負担しなくてはなりません。修繕費は不定期で発生するため、ある程度まとまったお金を準備しておくと安心です。
租税公課
不動産投資における租税公課とは、税務上の必要経費として認められる税金のことです。具体的には、登録免許税や不動産取得税、固定資産税などが該当します。登録免許税は不動産登記時、不動産取得税は物件購入後にかかる税金です。固定資産税は、毎年1月1日時点の不動産所有者に対して課税されるため、毎年支払う必要があります。
租税公課の他に、家賃収入から必要経費を差し引いて計算する「不動産所得」に対して所得税や住民税がかかります。所得税・住民税は必要経費にはなりませんが、確定申告をして毎年税金を納める必要があります。
賃貸管理委託料
賃貸管理を管理会社に委託する場合は、賃貸管理委託料が毎月かかります。自分で賃貸管理を行うことも可能ですが、副業として不動産投資に取り組むなら管理会社に任せるのが現実的です。賃貸管理は業務範囲が幅広く、入居者から問い合わせがあればすぐに対応しなくてはならないこともあるので、仕事をしながらでは難しいでしょう。
賃貸管理委託料は管理会社によって異なりますが、一般的には月額家賃の5%程度が相場です。
不動産投資の種類
不動産投資は、投資対象となる物件によっていくつかの種類があり、それぞれ特徴が異なります。その内容をまとめると、以下のようになります。
種類 | メリット | デメリット |
---|---|---|
区分マンション | 購入価格が安く売却しやすい | 所有しているのが1室だけだと利益が限定される |
一棟物件 | まとまった利益を得やすい | 物件価格が高額である |
戸建て | ファミリー層向け物件なら長期入居に繋がりやすい | 修繕費がかかりやすい |
駐車場 | 初期費用を抑えやすい | 駐車できる台数が少ないと大きな利益を得られない |
コインランドリー | 無人で経営できる | まとまった初期費用がかかる |
さらに不動産投資の種類ごとの詳細について確認していきましょう。
区分マンション
ワンルームマンションなどの1室を購入し、入居者に貸し出して家賃収入を得る方法です。一棟物件に比べると価格が安く、初期費用を抑えられるため、初心者に人気があります。中古であれば価格が数百万円程度の物件もあるため、現金で購入することも可能です。区分マンションは、一棟物件と比較して買い手を見つけやすく売却しやすいこともメリットといえます。
ただし、1室だけで大きな利益を得ることはできません。収益を増やすためには、物件を追加取得して規模を拡大していく必要があるでしょう。
一棟マンション/アパート(一棟物件)
マンションやアパートを一棟丸ごと購入し、各部屋を入居者に貸し出して家賃収入を得る方法です。物件価格が高額であるため、融資を受けて購入するのが一般的です。貸し出せる部屋数が多いので、入居者を見つけてうまく運用できれば大きな利益を得られる可能性があります。ただし、投資金額が大きい分、リスクが高くなるため、経験者向けの投資方法といえるでしょう。
戸建て
戸建て住宅を購入し、入居者に貸し出して家賃収入を得る方法です。ファミリー層が入居するケースが多く、単身者に比べると長く住んでもらえる可能性があります。戸建ては価格が安い物件もあるので、うまく運用できれば大きな利益を得られるでしょう。
ただし、戸建ての多くは木造であるため、鉄筋コンクリート造のマンションよりも老朽化が進みやすく、多額の修繕費がかかることもあります。また、一度退去が発生すると、次の入居者が見つかるまでに時間がかかることも多いので注意が必要です。
駐車場・コインランドリー
所有している土地を活用したい場合は、駐車場やコインランドリーを経営する方法もあります。駐車場は工事に手間がかからず、初期費用を抑えることが可能です。ただし、貸し出せる台数が少ないと、大きな利益を得ることはできません。コインランドリーは無人で経営できますが、建物の建築や洗濯機などの設備設置のために、まとまった初期費用がかかります。
賃貸住宅経営とは仕組みが異なりますが、土地活用が目的なら選択肢の一つになるでしょう。
不動産投資の7つのメリット
不動産投資には、家賃収入以外にもさまざまなメリットがあります。ここでは、不動産投資のメリットを見ていきましょう。
1.レバレッジ効果がある
レバレッジ効果とは、少額の投資で大きなリターンを生む効果のことです。不動産投資は、株式投資やFXなどと異なり、金融機関からの融資を受けて物件を取得できます。借入金(他人資本)を利用することによって、自己資金の何倍もの金額の投資を行うことができます。その結果、自己資金が少なくても、より大きな利益を得られる可能性があります。
自己資金1,000万円で投資を始める場合、借入金を活用するかどうかで、利益にどれくらいの差が生じるかをまとめました。
レバレッジ効果なし | レバレッジ効果あり | |
---|---|---|
物件価格 | 1,000万円 (自己資金1,000万円) |
3,000万円 (自己資金1,000万円、借入金2,000万円) |
利回り | 5% | 5% |
年間家賃収入 | 50万円 | 150万円 |
自己資金に対する利回り | 5% | 15% |
どちらも自己資金は1,000万円、物件価格に対する利回りは5%です。しかし、レバレッジを効かせることによって、年間家賃収入は100万円(150万円-50万円)、自己資金に対する利回りは10%(15%-5%)の差が生じています。利息の支払いを考慮する必要はありますが、借入金を活用することで、投資効率が大きく向上します。
家賃収入から借入金の返済を行えば、自己資金を使うことなく効率的に資産を増やすことが可能です。
2.長期の安定収入が期待できる
不動産投資により、長期にわたって安定収入を得られる可能性があります。入居者がいる限り、オーナーには毎月一定額の家賃が振り込まれます。定期的にメンテナンスや修繕を行い、適切に建物を管理することで、賃貸不動産としてより長く稼働できるでしょう。
3.節税効果がある
不動産投資には、初期費用や維持費がかかります。退去が発生して家賃収入が減少することもあるので、不動産所得が赤字になる年もあるでしょう。その場合、不動産所得の赤字と他の所得(給与所得など)を損益通算して課税所得を減らすことが可能です。結果として、所得税や住民税の負担軽減につながることから節税効果があります。
4.保険効果がある
不動産投資で金融機関から融資を受ける場合は、原則として「団体信用生命保険(団信)」に加入します。返済中に契約者が死亡した場合、保険金で残債が返済される仕組みになっています。本人に万が一のことがあれば、家族にローンのない不動産を残せるので、生命保険代わりになります。家族は、不動産投資を引き継いで家賃収入を得るか、売却してまとまったお金を手にするかを選択できます。
5.相続税対策が可能
相続税は、相続で取得した財産に対して課税される税金です。不動産は路線価や固定資産税評価額をもとに評価されるので、一般的には時価よりも評価額が下がります。そのため、同額の預貯金よりも、不動産を相続する方が相続税の負担が軽減されます。
6.インフレ対策になる
不動産投資は、インフレ対策としても有効です。一般的に物価が上昇すると、同じものを買うのに今までより多くのお金が必要になるので、預貯金の価値は目減りします。
一方、不動産はインフレに強い資産といわれており、物価上昇時には不動産の価値も上昇する傾向にあります。そのため、不動産を保有することで、インフレ時の資産の目減りを軽減できる可能性があります。
7.年金の替わりになる可能性がある
不動産投資では、ローンを完済すれば家賃収入の大半が手元に残るため、「私的年金づくり」の効果があります。
2019年、金融庁の金融融審議会 市場ワーキング・グループ報告書が発端となり、「老後の30年間で2,000万円が不足する(=公的年金だけでは老後資金をまかなえない)」という議論が世間で巻き起こりました。識者の見解の中には「不足額は2,000万円を大きく超えるというものもありました。
「公的年金だけだと、実際に老後資金がいくら足りなくなるか」については、各自でシミュレーションを行う必要があるでしょう。いずれにしても、不動産投資は早く始めるほどローンの完済を早められる、返済期間を長めに設定できるといったメリットを享受できます。
不動産投資の8つのデメリット
ここまで見てきたように、不動産投資は数多くのメリットを得られる仕組みです。一方で複数のデメリットもあるので、その内容を把握して対策を講じた上で始めることが大切です。
1.空室リスクがある
空室リスクとは、入居者がいなくなって家賃収入を得られなくなるリスクのことです。不動産投資は退去が発生すると、次の入居者が見つかるまでは家賃が入ってきません。そのため、空室リスクが低い物件を選ぶことが重要です。
具体的には、「人口が多い」「ターミナル駅から近い」「施設が充実していて生活に便利」など、賃貸需要のあるエリアの物件を選ぶことがポイントとなります。
2.開始時に初期費用が必要
不動産投資を始めるには、ある程度まとまった初期費用が必要です。手元資金が少ない人にとっては、これもデメリットといえます。
不動産投資における初期費用とは、「ローンの頭金」や「購入時の諸費用」などのことです。一棟物件の頭金の相場は、物件価格の2〜3割程度といわれています。また、都心の区分マンションであれば、頭金なしのフルローンで始められるケースもあります(ただし、申込者の属性が高い場合などに限られます)。
購入時の諸費用の目安は、物件価格の7〜10%程度が目安といわれています。主な項目は次のとおりです。
・ 仲介手数料
・ 登録免許税
・ 不動産取得税
・ 印紙税
・ 火災/地震保険料 など
3.災害リスクがある
不動産は実物資産であるため、地震や火災、台風などの災害によって建物に被害が出る恐れがあります。被災して建物が毀損した場合、修繕費用はオーナー負担です。また、修繕完了まで部屋を貸すことができなければ、その間は家賃収入を得られません。
災害に強い物件を選ぶとともに、火災保険や地震保険に加入してリスクに備えることが大切です。
4.資産価値・家賃下落リスクがある
マンションやアパートは、築年数の経過に伴い資産価値や家賃が下落するのが一般的です。入居者がいたとしても、資産価値の下落幅が家賃収入の合計を上回れば、トータルでは損益がマイナスになってしまいます。また、家賃が下落すると、当初の見込みよりも収益性が下がります。不動産は個別性が高いので、物件によって資産価値や家賃の下落率は異なります。地域ごとの不動産価格や家賃相場の推移を確認して、資産価値・家賃が下がりにくい物件を探しましょう。
5.建物を維持するためにランニングコストが発生する
不動産投資を始めると、物件の種類(アパート、ワンルームマンション、戸建てなど)にかかわらずランニングコストがかかります。その項目の例は次のとおりです。
・ 入居者退去時の原状回復費用(大家負担分)
・ 入居者退去時のハウスクリーニング費
・ 細かい修繕費用
・ 管理委託費
・ 入居者募集時の仲介料や広告費
・ 固定資産税、都市計画税
・ 共有部分の水道光熱費(一棟物件の場合)
・ 火災/地震保険料の更新費 など
家賃収入からこれらのランニングコストなどを差し引き、手元に残ったお金がキャッシュフローになります。なお、ランニングコストは入居者がいない時期でも発生するため、コストを抑える努力を続けることが大切です。
6.流動性リスクがある
流動性リスクとは、資産を売却したい時に売却できない、あるいは希望価格で売却できないリスクのことです。
株式や投資信託であれば、証券口座を通して数日で現金化できます。一方、不動産は買い手を見つけ、価格交渉などを行った上で売買契約を締結する必要があるので、売却までに1~3カ月程度かかるのが一般的です。
7.金利上昇リスクがある
不動産投資ローンを変動金利で借りる場合は、金利上昇リスクがあります。市場金利が上昇すれば、それに合わせてローン金利も上昇するため、返済負担が増えるかもしれません。不動産投資においてレバレッジ効果は魅力ですが、金利が将来どのように推移するかを予測するのは難しいので、無理な借り入れは避けた方がいいでしょう。
金利上昇リスクが不安な場合は、固定金利で借りるのも選択肢の一つです。
8.家賃滞納リスクがある
家賃滞納リスクとは、入居者が家賃を滞納することで収入がなくなるリスクのことです。最悪の場合、多額の滞納家賃を支払わずに夜逃げをされることもあります。
家賃滞納は賃貸経営に大きな打撃を与えるため、事前対策が欠かせません。具体的には、以下のような対策が考えられます。
・ 家賃保証サービスを契約しておく
・ 家賃が入金されなかったら即督促をする
・ 家賃督促でノウハウのある管理会社と契約する など
家賃保証サービスを利用する際に注意したいのは、損失の全額を補填してくれるとは限らないことです。サービスによって保証範囲や内容が異なるため、比較した上で契約することが大切です。
不動産投資の仕組みについてよくある質問とその回答
初心者から寄せられることの多い、不動産投資の仕組みに関する質問を紹介します。
不動産投資はなぜ「やめとけ」といわれるのでしょうか?
「不動産投資はやめとけ」といわれる主な理由は、次のとおりです。
・ 初期費用がかかるから
・ 空室になると家賃収入を得られなくなるから
・ 悪徳業者がいるから
・ 「投資は危険」という先入観があるから
・ 不動産投資の内容を理解していないから など
ここで注意したいのは、不動産投資に限らず、他の投資に対してもネガティブな意見は必ずあるということです。「株式投資はやめとけ」「投資信託はやめとけ」といったネガティブな意見に惑わされていると、何もできません。
大切なことは、「投資をするなら、どんな方法で行うか」をご自身の判断で決めることです。なお、「投資をしないリスク」もあるので注意しましょう。
不動産投資で元を取るには何年かかる?
不動産投資で元を取るまでの期間は、「5〜10年程度」を目安とする傾向があります。ここでいう「元を取る」とは、不動産投資を始めるときに投じた「自己資金を回収すること」です。
例えば、不動産投資を始める際に自己資金を1,000万円入れたなら、それを5〜10年程度での回収を目指すことになります。不動産投資で元を取ることを考える際に便利な指標が「自己資金配当率(CCR)」です。公式は次のとおりで、この数値が大きいほど「投資効率が高い」ということになります。
自己資金配当率(CCR)=年間のキャッシュフロー÷自己資金額×100
※年間のキャッシュフロー=年間の家賃収入−年間の諸経費・租税公課
不動産投資の成功率は?
不動産投資の成功率は、「その人が何を目的に投資をしているか」によって変わります。
例えば、目的が「不動産所得だけで生活する専業大家になること」であれば、成功のハードルは一気に上がります。成功率でいえば、5〜10%程度なのではないでしょうか。「家賃収入を本業の足しにすること」が目的なら、成功率は50〜60%程度まで高まるでしょう。
キャッシュフローがそれほど多くなくても(あるいは収支がマイナスでも)、「将来の老後資金にすること」が目的であれば、成功率は70〜80%程度まで高まるかもしれません。
このように、不動産投資の成功率はその人の目的によって大きく変わります。そのため、「不動産投資の成功率は何%である」と断定することはできません。
不動産投資はどんな人におすすめですか?
一般的に、不動産投資は以下のような人に向いているといわれます。
・ 安定収入がある、資産が多い
不動産投資は、ローン審査に通らなければ始められません。その意味で、審査に通りやすい安定収入のある会社員や公務員は不動産投資に向いています。こういった方々が潤沢な金融資産を持っていれば、ローン審査でさらに有利になります。
・ 借入が少ない
他の借入(カーローンやショッピングローンなど)が少ない人も、ローン審査では有利です。
・ 決断力がある
優良物件に出会った時に、迷わず買い付けを入れる決断力が求められます。
・ 期的な視点で物事を考えられる人
不動産投資は家賃収入をコツコツ積み上げていくことで、やがて大きな資産を生み出す投資手法です。
まとめ
不動産投資は安定した収入を期待できる点が魅力ですが、初めて物件を購入する時は不安を感じるでしょう。不動産投資で成功するには、物件を購入する前に基本的な仕組みを理解しておくことが大切です。
少しでもリスクを抑えたい場合は、比較的少額から投資できる区分マンションから始めてみてはいかがでしょうか。
この記事を書いた人
ベルテックスコラム事務局
不動産コンサルタント・税理士
不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。
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不動産投資は、マンションやアパートなどに投資して利益を得る方法です。将来への不安から、仕事をしながら副業で不動産投資に取り組む人が増えています。安定収入が期待できる不動産投資に興味があるものの「難しそう」「ハードルが高い」と感じている人もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、不動産投資を検討している初心者の方に向けて、不動産投資の基本的な仕組みについて詳しく解説します。
不動産投資とは
不動産投資とは、購入した不動産を第三者に貸し出して家賃収入を得る投資方法です。入居者がいる限り、労働時間に関係なく収入を得られます。入居者募集や賃貸借契約などの賃貸管理は、管理会社に委託できるため、会社員が副業として取り組むことも可能です。
不動産は、販売価格が高額であるため、まとまったお金を準備する必要があります。しかし、金融機関の融資を利用できるので、頭金や初期費用を用意できれば物件を取得できます。不動産投資を始める場合は、不動産会社で物件を紹介してもらうのが一般的です。プロが物件選びをサポートしてくれるため、初心者でも安心して投資を始められるでしょう。ただし、不動産会社や担当者によって取扱物件や実績は異なり、相性の良し悪しもあります。
不動産投資で成功するためには、信頼できる不動産会社や担当者に出会えるかという点も重要なポイントです。
不動産投資で利益が出る2つの仕組み
不動産投資で得られる利益には、「インカムゲイン」と「キャピタルゲイン」の2つがあります。それぞれ利益を得る方法やタイミングが異なるため、違いを理解しておくことが大切です。
ここでは、インカムゲインとキャピタルゲインの違いについて説明します。
インカムゲイン
インカムゲインとは、資産を保有している間に得られる利益のことです。不動産投資では、家賃収入や更新料、礼金がインカムゲインに該当します。インカムゲインの1回あたりの利益は、それほど高額ではありません。しかし、定期的に一定の収入を得られるため、給与のように安定した収入源となります。
不動産投資は、長期の家賃収入を得ることが主な目的であるため、インカムゲイン重視の投資方法といえるでしょう。
キャピタルゲイン
キャピタルゲインとは、保有資産を売却することで得られる利益のことです。不動産は価格が変動するため、購入時より高い価格で売却できれば購入価格と売却価格の差額が利益となります。例えば2,000万円で購入したマンションを2,500万円で売却した場合、差額500万円がキャピタルゲインとなります。不動産投資では、インカムゲインに加えてキャピタルゲインを得られる可能性があります。
ただし、売買差益には「譲渡所得」として所得税や住民税がかかるため、利益がそのまま手元に残るわけではありません。購入してから5年以下の短期間で売却すると、「短期譲渡所得」として39.63%(復興特別所得税と住民税を含む)という高い税率が適用されるので注意が必要です。また、不動産価格が購入時より値下がりすれば売却によって損失が生じます。
不動産は短期間で大きく値上がりすることは少ないため、キャピタルゲインよりインカムゲイン(家賃収入)を重視する方がよいでしょう。
不動産投資のコスト
不動産投資は初期費用や維持費がかかるので、コストが家賃収入を上回ると損失が発生します。安定収入を確保するには、どのようなコストがかかるかを理解して、利益の出る物件に投資することが大切です。ここでは、不動産投資にかかる主なコストを紹介します。
仲介手数料
仲介手数料とは、不動産売買の仲介を不動産会社(仲介会社)に依頼した場合に支払う手数料です。仲介会社は売主と買主の間に入り、売買価格などの調整や売買契約事務などを行います。不動産会社が受け取る仲介手数料は宅地建物取引業法において上限額が定められており、売買価格が400万円を超える場合、上限額は「売買価格×3%+6万円+消費税」です。売買価格が2,000万円であれば72万6,000円(2,000万円×3%+6万円+消費税6万6,000円)が上限額となります。仲介手数料は成功報酬であるため、売買契約が成立しなければ支払いは不要です。また、不動産会社から直接物件を購入する場合は、仲介業務が行われないので仲介手数料は発生しません。
融資返済
不動産投資は、金融機関から融資を受けて物件を購入するのが一般的です。物件取得後は、借入金(元本と利息)を毎月返済しなくてはなりません。返済額のうち元本部分は借りたお金を返しているだけなので、正確にはコストではありませんが、毎月発生する支出です。毎月の返済額が家賃収入の範囲内であれば、自己資金の持ち出しは発生しません。
融資を受ける際は、ローン事務手数料や保証料を払う必要があります。金融機関によって料金体系が異なるので、事前に確認しておくことが大切です。
管理費・修繕積立金
ワンルームなどの区分マンションに投資する場合は、管理費と修繕積立金を毎月支払います。管理費は、マンションの共用部分の維持管理に使われる費用です。エントランスやごみ置き場の清掃、エレベーターや電気・給排水設備の保守点検などに充てられます。修繕積立金は、建物のメンテナンスや大規模修繕工事に備えて積み立てる費用です。
長期修繕計画に基づいて、区分所有者から毎月一定の金額を徴収します。管理費・修繕積立金の金額は、マンションによって異なります。修繕積立金が十分に積み立てられていないと、将来値上げされる可能性もあります。不動産投資の利回りを左右するため、物件購入前に金額や積み立て状況を確認しておきましょう。
修繕費
不動産投資では、退去が発生すると次の入居者を迎えるために室内のクリーニングや原状回復工事を行います。また、給湯器やエアコンなどの設備が壊れた場合は交換が必要です。区分マンションの場合、室内(専用部分)の修繕費は管理費・修繕積立金とは別にオーナーが負担しなくてはなりません。修繕費は不定期で発生するため、ある程度まとまったお金を準備しておくと安心です。
租税公課
不動産投資における租税公課とは、税務上の必要経費として認められる税金のことです。具体的には、登録免許税や不動産取得税、固定資産税などが該当します。登録免許税は不動産登記時、不動産取得税は物件購入後にかかる税金です。固定資産税は、毎年1月1日時点の不動産所有者に対して課税されるため、毎年支払う必要があります。
租税公課の他に、家賃収入から必要経費を差し引いて計算する「不動産所得」に対して所得税や住民税がかかります。所得税・住民税は必要経費にはなりませんが、確定申告をして毎年税金を納める必要があります。
賃貸管理委託料
賃貸管理を管理会社に委託する場合は、賃貸管理委託料が毎月かかります。自分で賃貸管理を行うことも可能ですが、副業として不動産投資に取り組むなら管理会社に任せるのが現実的です。賃貸管理は業務範囲が幅広く、入居者から問い合わせがあればすぐに対応しなくてはならないこともあるので、仕事をしながらでは難しいでしょう。
賃貸管理委託料は管理会社によって異なりますが、一般的には月額家賃の5%程度が相場です。
不動産投資の種類
不動産投資は、投資対象となる物件によっていくつかの種類があり、それぞれ特徴が異なります。その内容をまとめると、以下のようになります。
種類 | メリット | デメリット |
---|---|---|
区分マンション | 購入価格が安く売却しやすい | 所有しているのが1室だけだと利益が限定される |
一棟物件 | まとまった利益を得やすい | 物件価格が高額である |
戸建て | ファミリー層向け物件なら長期入居に繋がりやすい | 修繕費がかかりやすい |
駐車場 | 初期費用を抑えやすい | 駐車できる台数が少ないと大きな利益を得られない |
コインランドリー | 無人で経営できる | まとまった初期費用がかかる |
さらに不動産投資の種類ごとの詳細について確認していきましょう。
区分マンション
ワンルームマンションなどの1室を購入し、入居者に貸し出して家賃収入を得る方法です。一棟物件に比べると価格が安く、初期費用を抑えられるため、初心者に人気があります。中古であれば価格が数百万円程度の物件もあるため、現金で購入することも可能です。区分マンションは、一棟物件と比較して買い手を見つけやすく売却しやすいこともメリットといえます。
ただし、1室だけで大きな利益を得ることはできません。収益を増やすためには、物件を追加取得して規模を拡大していく必要があるでしょう。
一棟マンション/アパート(一棟物件)
マンションやアパートを一棟丸ごと購入し、各部屋を入居者に貸し出して家賃収入を得る方法です。物件価格が高額であるため、融資を受けて購入するのが一般的です。貸し出せる部屋数が多いので、入居者を見つけてうまく運用できれば大きな利益を得られる可能性があります。ただし、投資金額が大きい分、リスクが高くなるため、経験者向けの投資方法といえるでしょう。
戸建て
戸建て住宅を購入し、入居者に貸し出して家賃収入を得る方法です。ファミリー層が入居するケースが多く、単身者に比べると長く住んでもらえる可能性があります。戸建ては価格が安い物件もあるので、うまく運用できれば大きな利益を得られるでしょう。
ただし、戸建ての多くは木造であるため、鉄筋コンクリート造のマンションよりも老朽化が進みやすく、多額の修繕費がかかることもあります。また、一度退去が発生すると、次の入居者が見つかるまでに時間がかかることも多いので注意が必要です。
駐車場・コインランドリー
所有している土地を活用したい場合は、駐車場やコインランドリーを経営する方法もあります。駐車場は工事に手間がかからず、初期費用を抑えることが可能です。ただし、貸し出せる台数が少ないと、大きな利益を得ることはできません。コインランドリーは無人で経営できますが、建物の建築や洗濯機などの設備設置のために、まとまった初期費用がかかります。
賃貸住宅経営とは仕組みが異なりますが、土地活用が目的なら選択肢の一つになるでしょう。
不動産投資の7つのメリット
不動産投資には、家賃収入以外にもさまざまなメリットがあります。ここでは、不動産投資のメリットを見ていきましょう。
1.レバレッジ効果がある
レバレッジ効果とは、少額の投資で大きなリターンを生む効果のことです。不動産投資は、株式投資やFXなどと異なり、金融機関からの融資を受けて物件を取得できます。借入金(他人資本)を利用することによって、自己資金の何倍もの金額の投資を行うことができます。その結果、自己資金が少なくても、より大きな利益を得られる可能性があります。
自己資金1,000万円で投資を始める場合、借入金を活用するかどうかで、利益にどれくらいの差が生じるかをまとめました。
レバレッジ効果なし | レバレッジ効果あり | |
---|---|---|
物件価格 | 1,000万円 (自己資金1,000万円) |
3,000万円 (自己資金1,000万円、借入金2,000万円) |
利回り | 5% | 5% |
年間家賃収入 | 50万円 | 150万円 |
自己資金に対する利回り | 5% | 15% |
どちらも自己資金は1,000万円、物件価格に対する利回りは5%です。しかし、レバレッジを効かせることによって、年間家賃収入は100万円(150万円-50万円)、自己資金に対する利回りは10%(15%-5%)の差が生じています。利息の支払いを考慮する必要はありますが、借入金を活用することで、投資効率が大きく向上します。
家賃収入から借入金の返済を行えば、自己資金を使うことなく効率的に資産を増やすことが可能です。
2.長期の安定収入が期待できる
不動産投資により、長期にわたって安定収入を得られる可能性があります。入居者がいる限り、オーナーには毎月一定額の家賃が振り込まれます。定期的にメンテナンスや修繕を行い、適切に建物を管理することで、賃貸不動産としてより長く稼働できるでしょう。
3.節税効果がある
不動産投資には、初期費用や維持費がかかります。退去が発生して家賃収入が減少することもあるので、不動産所得が赤字になる年もあるでしょう。その場合、不動産所得の赤字と他の所得(給与所得など)を損益通算して課税所得を減らすことが可能です。結果として、所得税や住民税の負担軽減につながることから節税効果があります。
4.保険効果がある
不動産投資で金融機関から融資を受ける場合は、原則として「団体信用生命保険(団信)」に加入します。返済中に契約者が死亡した場合、保険金で残債が返済される仕組みになっています。本人に万が一のことがあれば、家族にローンのない不動産を残せるので、生命保険代わりになります。家族は、不動産投資を引き継いで家賃収入を得るか、売却してまとまったお金を手にするかを選択できます。
5.相続税対策が可能
相続税は、相続で取得した財産に対して課税される税金です。不動産は路線価や固定資産税評価額をもとに評価されるので、一般的には時価よりも評価額が下がります。そのため、同額の預貯金よりも、不動産を相続する方が相続税の負担が軽減されます。
6.インフレ対策になる
不動産投資は、インフレ対策としても有効です。一般的に物価が上昇すると、同じものを買うのに今までより多くのお金が必要になるので、預貯金の価値は目減りします。
一方、不動産はインフレに強い資産といわれており、物価上昇時には不動産の価値も上昇する傾向にあります。そのため、不動産を保有することで、インフレ時の資産の目減りを軽減できる可能性があります。
7.年金の替わりになる可能性がある
不動産投資では、ローンを完済すれば家賃収入の大半が手元に残るため、「私的年金づくり」の効果があります。
2019年、金融庁の金融融審議会 市場ワーキング・グループ報告書が発端となり、「老後の30年間で2,000万円が不足する(=公的年金だけでは老後資金をまかなえない)」という議論が世間で巻き起こりました。識者の見解の中には「不足額は2,000万円を大きく超えるというものもありました。
「公的年金だけだと、実際に老後資金がいくら足りなくなるか」については、各自でシミュレーションを行う必要があるでしょう。いずれにしても、不動産投資は早く始めるほどローンの完済を早められる、返済期間を長めに設定できるといったメリットを享受できます。
不動産投資の8つのデメリット
ここまで見てきたように、不動産投資は数多くのメリットを得られる仕組みです。一方で複数のデメリットもあるので、その内容を把握して対策を講じた上で始めることが大切です。
1.空室リスクがある
空室リスクとは、入居者がいなくなって家賃収入を得られなくなるリスクのことです。不動産投資は退去が発生すると、次の入居者が見つかるまでは家賃が入ってきません。そのため、空室リスクが低い物件を選ぶことが重要です。
具体的には、「人口が多い」「ターミナル駅から近い」「施設が充実していて生活に便利」など、賃貸需要のあるエリアの物件を選ぶことがポイントとなります。
2.開始時に初期費用が必要
不動産投資を始めるには、ある程度まとまった初期費用が必要です。手元資金が少ない人にとっては、これもデメリットといえます。
不動産投資における初期費用とは、「ローンの頭金」や「購入時の諸費用」などのことです。一棟物件の頭金の相場は、物件価格の2〜3割程度といわれています。また、都心の区分マンションであれば、頭金なしのフルローンで始められるケースもあります(ただし、申込者の属性が高い場合などに限られます)。
購入時の諸費用の目安は、物件価格の7〜10%程度が目安といわれています。主な項目は次のとおりです。
・ 仲介手数料
・ 登録免許税
・ 不動産取得税
・ 印紙税
・ 火災/地震保険料 など
3.災害リスクがある
不動産は実物資産であるため、地震や火災、台風などの災害によって建物に被害が出る恐れがあります。被災して建物が毀損した場合、修繕費用はオーナー負担です。また、修繕完了まで部屋を貸すことができなければ、その間は家賃収入を得られません。
災害に強い物件を選ぶとともに、火災保険や地震保険に加入してリスクに備えることが大切です。
4.資産価値・家賃下落リスクがある
マンションやアパートは、築年数の経過に伴い資産価値や家賃が下落するのが一般的です。入居者がいたとしても、資産価値の下落幅が家賃収入の合計を上回れば、トータルでは損益がマイナスになってしまいます。また、家賃が下落すると、当初の見込みよりも収益性が下がります。不動産は個別性が高いので、物件によって資産価値や家賃の下落率は異なります。地域ごとの不動産価格や家賃相場の推移を確認して、資産価値・家賃が下がりにくい物件を探しましょう。
5.建物を維持するためにランニングコストが発生する
不動産投資を始めると、物件の種類(アパート、ワンルームマンション、戸建てなど)にかかわらずランニングコストがかかります。その項目の例は次のとおりです。
・ 入居者退去時の原状回復費用(大家負担分)
・ 入居者退去時のハウスクリーニング費
・ 細かい修繕費用
・ 管理委託費
・ 入居者募集時の仲介料や広告費
・ 固定資産税、都市計画税
・ 共有部分の水道光熱費(一棟物件の場合)
・ 火災/地震保険料の更新費 など
家賃収入からこれらのランニングコストなどを差し引き、手元に残ったお金がキャッシュフローになります。なお、ランニングコストは入居者がいない時期でも発生するため、コストを抑える努力を続けることが大切です。
6.流動性リスクがある
流動性リスクとは、資産を売却したい時に売却できない、あるいは希望価格で売却できないリスクのことです。
株式や投資信託であれば、証券口座を通して数日で現金化できます。一方、不動産は買い手を見つけ、価格交渉などを行った上で売買契約を締結する必要があるので、売却までに1~3カ月程度かかるのが一般的です。
7.金利上昇リスクがある
不動産投資ローンを変動金利で借りる場合は、金利上昇リスクがあります。市場金利が上昇すれば、それに合わせてローン金利も上昇するため、返済負担が増えるかもしれません。不動産投資においてレバレッジ効果は魅力ですが、金利が将来どのように推移するかを予測するのは難しいので、無理な借り入れは避けた方がいいでしょう。
金利上昇リスクが不安な場合は、固定金利で借りるのも選択肢の一つです。
8.家賃滞納リスクがある
家賃滞納リスクとは、入居者が家賃を滞納することで収入がなくなるリスクのことです。最悪の場合、多額の滞納家賃を支払わずに夜逃げをされることもあります。
家賃滞納は賃貸経営に大きな打撃を与えるため、事前対策が欠かせません。具体的には、以下のような対策が考えられます。
・ 家賃保証サービスを契約しておく
・ 家賃が入金されなかったら即督促をする
・ 家賃督促でノウハウのある管理会社と契約する など
家賃保証サービスを利用する際に注意したいのは、損失の全額を補填してくれるとは限らないことです。サービスによって保証範囲や内容が異なるため、比較した上で契約することが大切です。
不動産投資の仕組みについてよくある質問とその回答
初心者から寄せられることの多い、不動産投資の仕組みに関する質問を紹介します。
不動産投資はなぜ「やめとけ」といわれるのでしょうか?
「不動産投資はやめとけ」といわれる主な理由は、次のとおりです。
・ 初期費用がかかるから
・ 空室になると家賃収入を得られなくなるから
・ 悪徳業者がいるから
・ 「投資は危険」という先入観があるから
・ 不動産投資の内容を理解していないから など
ここで注意したいのは、不動産投資に限らず、他の投資に対してもネガティブな意見は必ずあるということです。「株式投資はやめとけ」「投資信託はやめとけ」といったネガティブな意見に惑わされていると、何もできません。
大切なことは、「投資をするなら、どんな方法で行うか」をご自身の判断で決めることです。なお、「投資をしないリスク」もあるので注意しましょう。
不動産投資で元を取るには何年かかる?
不動産投資で元を取るまでの期間は、「5〜10年程度」を目安とする傾向があります。ここでいう「元を取る」とは、不動産投資を始めるときに投じた「自己資金を回収すること」です。
例えば、不動産投資を始める際に自己資金を1,000万円入れたなら、それを5〜10年程度での回収を目指すことになります。不動産投資で元を取ることを考える際に便利な指標が「自己資金配当率(CCR)」です。公式は次のとおりで、この数値が大きいほど「投資効率が高い」ということになります。
自己資金配当率(CCR)=年間のキャッシュフロー÷自己資金額×100
※年間のキャッシュフロー=年間の家賃収入−年間の諸経費・租税公課
不動産投資の成功率は?
不動産投資の成功率は、「その人が何を目的に投資をしているか」によって変わります。
例えば、目的が「不動産所得だけで生活する専業大家になること」であれば、成功のハードルは一気に上がります。成功率でいえば、5〜10%程度なのではないでしょうか。「家賃収入を本業の足しにすること」が目的なら、成功率は50〜60%程度まで高まるでしょう。
キャッシュフローがそれほど多くなくても(あるいは収支がマイナスでも)、「将来の老後資金にすること」が目的であれば、成功率は70〜80%程度まで高まるかもしれません。
このように、不動産投資の成功率はその人の目的によって大きく変わります。そのため、「不動産投資の成功率は何%である」と断定することはできません。
不動産投資はどんな人におすすめですか?
一般的に、不動産投資は以下のような人に向いているといわれます。
・ 安定収入がある、資産が多い
不動産投資は、ローン審査に通らなければ始められません。その意味で、審査に通りやすい安定収入のある会社員や公務員は不動産投資に向いています。こういった方々が潤沢な金融資産を持っていれば、ローン審査でさらに有利になります。
・ 借入が少ない
他の借入(カーローンやショッピングローンなど)が少ない人も、ローン審査では有利です。
・ 決断力がある
優良物件に出会った時に、迷わず買い付けを入れる決断力が求められます。
・ 期的な視点で物事を考えられる人
不動産投資は家賃収入をコツコツ積み上げていくことで、やがて大きな資産を生み出す投資手法です。
まとめ
不動産投資は安定した収入を期待できる点が魅力ですが、初めて物件を購入する時は不安を感じるでしょう。不動産投資で成功するには、物件を購入する前に基本的な仕組みを理解しておくことが大切です。
少しでもリスクを抑えたい場合は、比較的少額から投資できる区分マンションから始めてみてはいかがでしょうか。
この記事を書いた人
ベルテックスコラム事務局
不動産コンサルタント・税理士
不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。