2025.07.15

不動産投資の基本

ベルテックスコラム事務局

富裕層が不動産投資をする理由とは?年収ごとの不動産投資のメリットも解説

  • はじめ方・基礎知識
  • 日本の現状
  • 年収・収入

日本の富裕層とは?

そもそも、富裕層とはどのような人々をさす言葉なのでしょうか。

野村総合研究所のデータによれば、貯金や投資などの純金融資産が1億円以上5億円未満ある世帯を「富裕層」5億円以上ある世帯を「超富裕層」と定義しています。

日本では、富裕層は約153.5万世帯、超富裕層は約11.8万世帯存在するとされています。 

富裕層には大きく分けて二つのタイプがあります。一つ目は「収入が多い層」で、医師や弁護士、企業の役員など、毎月の給料やボーナスが多い人たちです。

もう一つは「資産が多い層」で、株式や不動産などの財産を保有している人たちです。 

富裕層が不動産投資をする6つの理由

収入や資産が多い富裕層が、なぜ不動産投資に注目するのでしょうか。ここでは、富裕層が不動産投資に注目する6つの理由について解説します。 

安定した収入を得たいから

富裕層が不動産投資に目を向ける理由の一つは、安定した収入を長期にわたって得られるからです。不動産投資とは、マンションやアパートなどの物件を購入し、それを人に貸すことで家賃収入を得る仕組みです。

この投資方法の大きな特徴は、毎月決まった日に家賃が入ってくる「定期性」にあります。

給料のように定期的に入る収入ですが、自分が働かなくても得られるという点が異なります。つまり、自分で働かなくても自動的に収入が手に入る「不労所得」を得られるのです。

富裕層が魅力を感じるのは、この安定性と継続性です。株式投資は値動きが激しく収入が不安定になりがちですが、不動産からの家賃収入は経済状況が多少変化しても比較的安定しています。入居者がいる限り毎月決まった額が入ってくるため、将来の生活設計が立てやすくなります。

また、不動産は物価上昇に強いという特性も持っています。インフレが進むと家賃も上がりやすく、資産価値が目減りしにくいのです。さらに、法人化することで税金面での優遇措置も受けられます。

このように、富裕層は不労所得が得られる点経済変動に強い安定性を有する点、そして資産価値が保全しやすい点という3つの魅力から、不動産投資を重要な資産運用の柱としているのです。

値上がりによる利益を狙えるから

富裕層が不動産投資に強い関心を示す理由は、物件価値の上昇による利益を手に入れられるからです。不動産は、景気変動や地域開発の進展によって価格が大きく変化します。

例えば、2,000万円で購入した都心のマンションが、数年後に交通網の発達や再開発によって2,500万円以上の価値になることも珍しくありません。

この購入価格と売却価格の差額が、富裕層が熱心に追求する利益となるのです。

月々の賃貸収入も魅力的ですが、富裕層にとってはむしろ資産価値の上昇による大きな収益が重要です。

彼らは資金力を活かして複数の優良物件を保有し、市場の波を捉えながら売却タイミングを見極めます。特に物価上昇期には不動産価格も連動して上がりやすく、資産価値が効率よく増大します。 

さらに、株式などの金融商品と比べて、不動産は比較的価格変動が穏やかで予測しやすい特徴があります。富裕層は経済情勢や都市計画を分析し、価値上昇が期待できるエリアを見極めることで、安定した資産形成を実現しているのです。 

このように、富裕層が不動産投資に惹かれるのは、単なる収入源としてではなく、長期的な資産価値の上昇による大きな利益獲得の可能性があるからなのです。 

節税できるから

不動産投資はさまざまな税金面でメリットをもたらすため、富裕層にとって魅力的な選択肢となっています。ここでは、所得税・住民税・相続税の節税について確認します。 

所得税における節税効果は、「減価償却費」を活用することで得られます。

減価償却費は、実際に現金が出ていかなくても、建物が年々古くなる分を費用として認めてもらえる仕組みです。この仕組みにより、家賃収入があっても帳簿上は赤字になることがあります。

不動産投資の赤字は、会社員の給与所得や事業からの利益(事業所得)と相殺できるため、全体の課税所得を減らせるのです。これを「損益通算」といいます。

高所得者ほど税率が高いため、損益通算の恩恵は大きなものとなるのです。

住民税は前年の所得に基づいて計算されるため、所得税で課税所得を減らせれば、自動的に住民税も軽減されます。所得税の最高税率は45%ですが、住民税と合わせると実質55%程度まで上昇します。

高額所得者が不動産投資で所得を圧縮すると、住民税においても相応の節税効果が生まれ、総合的な税負担を大幅に抑えられるのです。

富裕層にとって、相続税対策は重要な関心事です。現金や預金は額面通りの評価となりますが、不動産は評価方法に特徴があります。土地は公示価格より低い「路線価」で評価され、建物も時価より低く見積もられることが一般的です。

例えば、1億円で購入した不動産が相続時に7,000万円程度の評価になれば、3,000万円分の相続財産を圧縮できたことになります。

さらに、賃貸中の不動産には「貸家評価」という追加の減額措置も適用できるケースがあり、より効果的な相続税対策となります。

価格変動リスクが小さいから

不動産投資の魅力の一つに、価格変動リスクの低さがあります。

不動産は土地や建物という実物に価値が宿る資産であり、市場の一時的な感情に左右されにくい特性を持っています。株式市場では企業の業績発表や世界情勢の変化で価格が一日のうちに大きく揺れ動くことがありますが、不動産価格はそのような短期的な変動に影響されにくい安定性を示します。

不動産はインフレへの耐性が高いという特長も持ち合わせています。物価上昇が進むと、現金の価値は目減りしていきますが、不動産の価値や家賃収入はインフレに合わせて上がる傾向にあります。

経済全体が物価上昇の波に乗る中で、不動産という実物資産は価値を保ち、時にはそれを増大させることができるのです。

株式投資では企業の不祥事や市場心理の急変で資産価値が一気に目減りするリスクがありますが、不動産市場では、そうした急激な価値の変動が起こりにくいという安心感があります。

経済環境の変化に伴う緩やかな価格変動はあるものの、一夜にして資産価値が半減するような事態は稀です。

資産を多様化させたい富裕層にとって、不動産は長期的視点で見た際の安定性が魅力となっています。

景気の波に翻弄されることなく、世代を超えて価値を維持できる資産として、富裕層の資産ポートフォリオに不動産が組み込まれているのです。

分散投資の対象となるから

分散投資という観点からも、不動産投資にはメリットがあります。

古くから「全ての卵を一つのかごに盛るな」という格言が示すように、投資資金をさまざまな対象に分けることでリスク軽減が図れます。もし一つの投資先が失敗しても、他の資産が損失をカバーできるからです。

不動産は株式や債券など他の金融商品とは異なる特性を持っています。株式市場が低迷する局面でも、不動産からの家賃収入は比較的安定していることが多いです。

このように異なる値動きをする資産を組み合わせることで、資産全体の安定性が高まります。

また、不動産市場は金融市場と連動性が低いことも魅力です。世界的な景気後退で株価が全般的に下落する時でも、立地の良い物件の価値や家賃収入は堅調さを保つことがあります。

富裕層はこうした特性を活かし、株式や債券、預金などと合わせて不動産を保有することで、資産の安全性を高めているのです。

このように富裕層は単に資産を増やすだけでなく、さまざまな性質を持つ投資対象をバランスよく組み合わせることで、急激な経済変動にも強い資産形成を実現しているのです。 

レバレッジ効果が期待できる

不動産投資をする際、レバレッジ効果を得られることで資産を大きく増やせる可能性があります。

レバレッジ効果とは、少額の投資で大きなリターンを生む効果のことです。不動産投資では、金融機関からの融資を受けて物件を取得することで、このレバレッジ効果を活用できます。

つまり、借入金(他人資本)を利用することによって、自己資金の何倍もの金額の投資を行うことができます。

区分 

レバレッジ効果あり 

レバレッジ効果なし 

物件価格 

6,000万円 

2,000万円 

資金の内訳 

自己資金:2,000万円 

借入金:4,000万円 

自己資金:2,000万円 

借入金利 

2% 

なし 

利回り 

5% 

5% 

年間家賃収入 

300万円 

100万円 

年間返済金額 

80万円 

なし 

利益 

220万円 

100万円 

レバレッジ効果を利用すると、投資の幅が大きく広がります。自己資金1,000万円だけで投資する場合、購入できる物件は限られてしまいますが、銀行などからの借入を活用することで、より価値の高い物件を手に入れることができます。

さらに利点として、物件から得られる家賃収入を借入金の返済に充てることができるため、自分の資金をほとんど使わずに資産を効率的に増やしていくことが可能になります。

このレバレッジの仕組みを上手に活用することによって、少ない元手から大きなリターンを得られる投資効率の良い不動産投資を実現できるのです。

富裕層以外でも不動産投資は可能!

不動産投資は、富裕層向けの投資というイメージをお持ちかもしれません。しかし、実際は富裕層でなかったとしても、不動産投資は可能です。

ここでは、不動産投資の開始時期や不動産投資をしている人の年収について解説します。 

不動産投資の開始時期

【不動産投資を始めた年齢】

年代 

割合 

20代 

20.6% 

30代 

45.7% 

40代 

24.9% 

50代 

8.8% 

不動産投資を始める最適な時期は人それぞれですが、当社が行った調査によると、30代がもっとも多く約46%を占めています。20代の投資家も約21%存在し、合わせると全体の6割以上が30代までに投資を開始しているのが現状です。

さらに、40代までを含めると90%を超え、多くの方が現役世代のうちに資産形成を始めていることがわかります。

若いうちに投資を始めるメリットは数多くあります。20代後半から30代は、ローン返済期間を長く設定できるため月々の負担を抑えられます。

また、物件の管理や修繕に必要な体力も十分あり、長期的な視点で資産価値を高められる点も魅力です。

特に30代は職場での信頼も築かれ、安定した収入と一定の貯蓄があることから、金融機関の融資審査も通りやすくなります。頭金の準備もしやすく、投資の選択肢が広がる時期といえるでしょう。

長期的な視点で見れば、早く始めるほど複利効果も大きくなり、老後の資金確保にも役立ちます。

とはいえ、50代以降での不動産投資が遅すぎるといったことはありません。50代以降は退職金や貯蓄を活用した現金購入が可能であり、ローンを利用しない場合には年齢制限がありません。

ただし、融資期間が短くなるため、キャッシュフロー計画を慎重に立てる必要があります。

不動産投資に取り組む方々の年収層

不動産投資に取り組む方々の収入層は多岐にわたっていますが、興味深い分布を示しています。

【不動産投資を始めた人の年収】

年収 

割合 

500万円以下 

2.5% 

500~599万円 

15.8% 

600~699万円 

13.8% 

700~799万円 

12.3% 

800~899万円 

7.3% 

900~999万円 

8.0% 

1,000万円以上 

40.5% 

最も目立つのは年収1,000万円以上の層で、全体の約4割を占めています。これは収入に余裕がある方が資産形成の手段として不動産を選ぶ傾向が強いことを表しています。

しかし、中間所得層の参加も見逃せません。年収500万円~899万円の範囲に位置する投資家が全体の過半数を占めており、特に500万円台と600万円台の方々が積極的に不動産市場に参入しています。

この層は給与所得に加えて副収入を得る手段として不動産を活用していると考えられます。

また、700万円台の投資家も一定数存在し、将来の資産構築に向けた選択肢として不動産を選んでいます。一方で、年収500万円未満の層は比較的少数ですが、早期から資産形成を始める意識の高い方々と言えるでしょう。

このように、不動産投資は高所得者だけのものではなく、さまざまな収入層の方々が自分の経済状況に合わせた投資プランを立て、将来の経済的安定を目指して取り組んでいます。

収入に関わらず、計画的なアプローチで不動産投資の恩恵を受けられる可能性があることが、この数字から読み取れます。

年収ごとの不動産投資のメリット

年収という観点から見た際、不動産投資を始めることに、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、高所得者のメリットとそれ以外の人のメリットに分けて解説します。

国は、高所得者に対する明確な定義を示していませんが、一般的には所得税の税率が高い人を高所得者とみなすことが多いようです。そこで、今回は税制上の区切りである850万円以上を高所得者として話をすすめます。

高所得者の場合

高所得者の場合、最も大きなメリットは節税できることです。日本では、所得が高いほど税率が高くなる「超過累進課税」が採用されています。課税所得が定められた金額を超えると、超えた部分に高い税率が適用されるのです。

【所得税の速算表】

課税される所得金額 

税率 

1,000~194万9,000円 

5% 

195~329万9,000円 

10% 

330~694万9,000円 

20% 

695~899万9,000円 

23% 

900~1,799万9,000円 

33% 

1,800~3,999万9,000円 

40% 

4,000万円以上 

45% 

【参考】国税庁「No.2260 所得税の税率」2025年7月8日現在

このように、課税される所得金額が大きくなればなるほど税負担が重くなります。所得が高い人にとって、不動産投資で経費や損失を計上することは、課税対象所得を減らすという点で大きなメリットとなるのです。

それ以外の場合

不動産投資は高所得者だけのものではありません。年収850万円未満の方にとっても資産形成の有効な手段となります。まず、家賃収入という安定した現金の流れが得られる点が大きな魅力です。給与とは別の収入源を持つことで、経済的な安心感が高まります。

銀行からお金を借りて投資できる点も重要です。自己資金が少なくても、住宅ローンを活用して自分の手持ち資金以上の物件を購入できます。

例えば、500万円の貯金があれば、2,000万円台の物件も視野に入るでしょう。借入金で物件を購入し、入居者から支払われる家賃でローンを返済しながら最終的に資産を築ける仕組みは、一般所得者にとって大きな強みです。

税金面での優遇も見逃せません。物件の維持管理費や減価償却費などを経費として計上でき、所得税や住民税の負担軽減につながります。

特に会社員の方は、給与所得とは別に「不動産所得」として確定申告することで、税金の最適化が可能です。

さらに、インフレに強い資産として、お金の価値を守る効果も期待できます。現金は時間とともに価値が下がりがちですが、不動産は物価上昇に合わせて家賃収入も増える傾向があります。

将来の年金不安への備えとしても有効です。定年後も継続的な収入源となり、老後の生活を支える柱になります。計画的に始めることで、時間をかけて資産を育てられるのが不動産投資の魅力といえるでしょう。

事前に知っておくべき不動産投資の6つのリスク

ここまで述べてきたように、不動産は非常に魅力的な投資対象です。しかし、どのような投資であってもリスクは存在します。

ここでは、不動産投資の7つのリスクを紹介します。

空室リスク

空室リスクとは、物件に入居者がいない期間が発生し、その間家賃収入を得られなくなる可能性を指します。このリスクは、投資家にとって大きな課題となり得ます。

不動産投資の収益は主に家賃収入(インカムゲイン)によって成り立つため、空室が続くと収益が途絶え、ローン返済や維持管理費などの固定費用を自己資金で補填する必要が生じます。

立地条件や物件の魅力が不足している場合、競合物件との比較で入居者を確保しづらくなり、空室期間が長期化するリスクが高まります。また、経済状況や人口動態の変化も空室リスクを増大させる要因です。

家賃滞納・下落のリスク

家賃滞納と家賃下落のリスクは、収益性に直接影響を与える重要な課題です。

まず、家賃滞納のリスクとは、入居者が契約通りに家賃を支払わない状況を指します。この場合、オーナーは予定していた家賃収入を得られず、ローン返済や維持管理費などの固定費用を自己資金で補填する必要が生じます。

滞納が続くと新しい入居者募集ができないため、機会損失も発生します。さらに、未収金として扱われるため税金負担も増加する可能性があります。 

一方で、家賃下落リスクとは、物件の経年劣化や周辺市場の変化によって家賃相場が低下し、収入が減少する状況を指します。

特に人口減少や物件供給過多などの外的要因によって家賃が下落すると、長期的な収益計画が崩れる恐れがあります。

物件価値の下落リスク

物件価値の下落リスクとは、所有する物件の価格が市場の変動や周辺環境の変化によって減少し、資産価値が目減りする可能性を指します。このリスクは、景気の悪化や人口減少、地域の賃貸需要低下など多様な要因によって引き起こされます。

例えば、築年数が古くなることで競合物件に対する魅力が低下し、家賃収入が減少すると、収益力の低下が資産価値に直接影響を与えます。

また、不動産市場全体の価格が下落する局面では、売却時に購入価格を下回る金額でしか売却できない場合もあり、損失を被る可能性があります。

さらに、ローン残債が売却価格を上回る状況では追加費用を負担する必要が生じることもあります。

流動性リスク

流動性リスクとは、保有物件を現金化したい時に思うように売却できない可能性を指します。

不動産は株や債券と違い、すぐに売買できる市場が限られています。物件売却には通常数カ月から半年ほどの期間を要するため、急な資金需要に対応しにくい性質を持っています。

物件の立地や規模、経済状況によって売却のしやすさは大きく変わります。好立地の小型物件なら比較的早く買い手が見つかることもありますが、郊外の大型物件などは売却期間が長期化することもあるでしょう。

また、不動産市場の冷え込み時には希望価格での売却が難しくなり、価格を下げて売却せざるを得ないケースも発生します。

このように、不動産は即座に公正な市場価格で換金できるとは限らない資産であることを理解しておく必要があります。長期的な資金計画を立てる際には、この特性を十分考慮することが大切です。

自然災害リスク

不動産投資において懸念すべき脅威の一つが自然災害リスクです。

自然災害リスクとは、地震や津波、風水害などによって物件が損壊し、収益性や資産価値が著しく低下する可能性を指します。日本は地理的条件から地震や台風、豪雨などさまざまな天災が発生しやすい環境にあります。

特に地震による建物の損壊や津波による浸水被害は、投資物件の価値を一気に下落させることがあります。また、河川の氾濫や土砂崩れが起きやすい地域では、定期的な災害対策が必要になるでしょう。

自然災害は物件の運用停止や資産価値の目減りを引き起こし、売却時に希望価格で売れない場合もあります。

こうした事態に備えるため、物件購入前にはハザードマップの確認地盤調査耐震性能のチェックが欠かせません。適切な保険への加入も重要な対策となります。

自然の猛威に対する備えを怠ると、長年かけて築いた資産が一瞬で目減りする可能性があることを認識しておくべきでしょう。

【参考】国土交通省「ハザードマップポータルサイト」2025年4月4日現在 

金利上昇リスク

不動産投資で住宅ローンなどの借入金を活用する場合、将来の金利上昇が大きな懸念材料となります。特に変動金利を選択していると、市場の動向次第で毎月の返済負担が徐々に膨らみ、当初の収支計画が狂ってしまうことがあります。

日本では長らく超低金利時代が続いていましたが、経済環境の変化により金融機関の貸出金利も徐々に上向き始めています。住宅ローン金利が1%上昇するだけでも、3,000万円を35年間借りた場合、返済総額は数百万円も増加することもあります。

こうした事態に備えるためには、余裕を持った資金計画の立案が重要です。将来の金利上昇を見込んだ返済シミュレーションを行ったり、固定金利を一部取り入れたりするなど、リスク分散の工夫が必要となります。また、繰り上げ返済資金を確保しておくことで、突然の金利上昇時にも柔軟に対応できる態勢を整えておくことが賢明です。

不動産投資で成功するにはどうすればいい?

不動産投資で成功するには、どのような点に注意するべきでしょうか。

ここでは、成功するための4つのポイントを解説します。

需要が高いエリアを選ぶ

不動産投資で成功するためには、人気の高いエリア選びが重要なポイントとなります。多くの方が住みたいと思う地域では、空き部屋が生じるリスクが大幅に減少します。

交通の便が良く、買い物施設や医療機関など生活に必要な環境が整った場所は常に入居希望者でにぎわいます。

特に都心部や通勤圏内の地域は安定した家賃収入が見込めるでしょう。駅から近い物件や教育施設が充実したエリアも人気があります。

こうした場所を選べば、入居者の入れ替わりが生じても次の借り手がすぐに見つかりやすいのです。

将来的に物件を手放す際も、魅力的な立地であれば買い手が集まりやすく、スムーズな売却が可能になります。地域の発展性や将来性も考慮し、長期的な視点で物件選びをすることで、安定した資産形成につながるでしょう。

ローンの組み方に注意

資金計画、特に借入金の設計が重要です。金融機関から融資を受ける際は、自分の返済能力に見合った金額を設定することがカギとなります。

一般的に金融機関は、年間収入に対する借入総額の比率を重視しています。この「年収倍率」が適切な範囲内であれば、融資獲得の可能性が高まります。

株式会社MFSが2020年に行った調査によると、融資審査が通りやすいのは年収の8倍程度までの借入れで、この水準なら約40%の確率で承認されます。

比率が下がるほど審査通過の見込みは上昇し、融資条件も有利になります。業界平均は11.8倍程度ですが、15倍を超えると審査通過は極めて困難になります。

余裕を持った返済計画を立てることで、長期的に安定した投資活動を続けることができるのです。

ノウハウがあるパートナー(不動産会社)を選ぶ

不動産投資で成功するためには、豊富な知識と実績を持つ不動産会社との連携が不可欠です。物件選びから運用管理まで、専門的な知見が必要な不動産投資において、経験豊かなプロの存在は大きな強みとなります。

優れた不動産会社は市場の動きを的確に把握し、将来性のある地域や収益性の高い物件を見極める目を持っています。彼らの助言により、空室の少ない物件や家賃が安定している物件を見つけることができ、投資リスクを大幅に軽減できます。

また、契約後のサポート体制も重要です。入居者の募集や家賃の徴収、建物の保守点検など、日々の管理業務を任せられる体制が整っていると、投資家は本業に集中しながら不動産からの収入を得ることができます。

税金対策や将来の売却計画についても、専門的な視点からのアドバイスは非常に価値があります。法改正や市場変化に対応した戦略提案ができるパートナーがいれば、長期的な資産形成が可能になります。

信頼できる不動産会社との関係構築は、一時的な取引だけでなく、長い年月をかけた資産形成の基盤となります。プロの知識と経験を活用することで、不動産投資の成功確率は格段に高まるのです。

まとめ

今回は、富裕層が不動産投資をする理由やどのような人が不動産投資を行っているのか、不動産投資のリスク、成功するためのポイントを解説しました。

富裕層が不動産に投資する理由は、安定した収入の確保、資産価値の上昇による利益、節税効果、価格変動リスクの低さ、分散投資の一環、そしてレバレッジ効果などが挙げられます。

実際には富裕層に限らず、30代を中心としたさまざまな年収層の方々が不動産投資に取り組んでいます。

一方で、空室や家賃下落、物件価値の下落、流動性の低さ、自然災害、金利上昇といったリスクも存在します。これらのリスクを最小限に抑え成功するためには、需要の高いエリア選び、無理のないローン設計、信頼できる不動産会社とのパートナーシップが重要です。

不動産投資は計画的に取り組むことで、将来の資産形成を実現する有効な選択肢となるでしょう。

この記事を書いた人

ベルテックスコラム事務局

不動産コンサルタント・税理士

不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。

2025.07.15

不動産投資の基本

ベルテックスコラム事務局

富裕層が不動産投資をする理由とは?年収ごとの不動産投資のメリットも解説

  • はじめ方・基礎知識
  • 日本の現状
  • 年収・収入

日本の富裕層とは?

そもそも、富裕層とはどのような人々をさす言葉なのでしょうか。

野村総合研究所のデータによれば、貯金や投資などの純金融資産が1億円以上5億円未満ある世帯を「富裕層」5億円以上ある世帯を「超富裕層」と定義しています。

日本では、富裕層は約153.5万世帯、超富裕層は約11.8万世帯存在するとされています。 

富裕層には大きく分けて二つのタイプがあります。一つ目は「収入が多い層」で、医師や弁護士、企業の役員など、毎月の給料やボーナスが多い人たちです。

もう一つは「資産が多い層」で、株式や不動産などの財産を保有している人たちです。 

富裕層が不動産投資をする6つの理由

収入や資産が多い富裕層が、なぜ不動産投資に注目するのでしょうか。ここでは、富裕層が不動産投資に注目する6つの理由について解説します。 

安定した収入を得たいから

富裕層が不動産投資に目を向ける理由の一つは、安定した収入を長期にわたって得られるからです。不動産投資とは、マンションやアパートなどの物件を購入し、それを人に貸すことで家賃収入を得る仕組みです。

この投資方法の大きな特徴は、毎月決まった日に家賃が入ってくる「定期性」にあります。

給料のように定期的に入る収入ですが、自分が働かなくても得られるという点が異なります。つまり、自分で働かなくても自動的に収入が手に入る「不労所得」を得られるのです。

富裕層が魅力を感じるのは、この安定性と継続性です。株式投資は値動きが激しく収入が不安定になりがちですが、不動産からの家賃収入は経済状況が多少変化しても比較的安定しています。入居者がいる限り毎月決まった額が入ってくるため、将来の生活設計が立てやすくなります。

また、不動産は物価上昇に強いという特性も持っています。インフレが進むと家賃も上がりやすく、資産価値が目減りしにくいのです。さらに、法人化することで税金面での優遇措置も受けられます。

このように、富裕層は不労所得が得られる点経済変動に強い安定性を有する点、そして資産価値が保全しやすい点という3つの魅力から、不動産投資を重要な資産運用の柱としているのです。

値上がりによる利益を狙えるから

富裕層が不動産投資に強い関心を示す理由は、物件価値の上昇による利益を手に入れられるからです。不動産は、景気変動や地域開発の進展によって価格が大きく変化します。

例えば、2,000万円で購入した都心のマンションが、数年後に交通網の発達や再開発によって2,500万円以上の価値になることも珍しくありません。

この購入価格と売却価格の差額が、富裕層が熱心に追求する利益となるのです。

月々の賃貸収入も魅力的ですが、富裕層にとってはむしろ資産価値の上昇による大きな収益が重要です。

彼らは資金力を活かして複数の優良物件を保有し、市場の波を捉えながら売却タイミングを見極めます。特に物価上昇期には不動産価格も連動して上がりやすく、資産価値が効率よく増大します。 

さらに、株式などの金融商品と比べて、不動産は比較的価格変動が穏やかで予測しやすい特徴があります。富裕層は経済情勢や都市計画を分析し、価値上昇が期待できるエリアを見極めることで、安定した資産形成を実現しているのです。 

このように、富裕層が不動産投資に惹かれるのは、単なる収入源としてではなく、長期的な資産価値の上昇による大きな利益獲得の可能性があるからなのです。 

節税できるから

不動産投資はさまざまな税金面でメリットをもたらすため、富裕層にとって魅力的な選択肢となっています。ここでは、所得税・住民税・相続税の節税について確認します。 

所得税における節税効果は、「減価償却費」を活用することで得られます。

減価償却費は、実際に現金が出ていかなくても、建物が年々古くなる分を費用として認めてもらえる仕組みです。この仕組みにより、家賃収入があっても帳簿上は赤字になることがあります。

不動産投資の赤字は、会社員の給与所得や事業からの利益(事業所得)と相殺できるため、全体の課税所得を減らせるのです。これを「損益通算」といいます。

高所得者ほど税率が高いため、損益通算の恩恵は大きなものとなるのです。

住民税は前年の所得に基づいて計算されるため、所得税で課税所得を減らせれば、自動的に住民税も軽減されます。所得税の最高税率は45%ですが、住民税と合わせると実質55%程度まで上昇します。

高額所得者が不動産投資で所得を圧縮すると、住民税においても相応の節税効果が生まれ、総合的な税負担を大幅に抑えられるのです。

富裕層にとって、相続税対策は重要な関心事です。現金や預金は額面通りの評価となりますが、不動産は評価方法に特徴があります。土地は公示価格より低い「路線価」で評価され、建物も時価より低く見積もられることが一般的です。

例えば、1億円で購入した不動産が相続時に7,000万円程度の評価になれば、3,000万円分の相続財産を圧縮できたことになります。

さらに、賃貸中の不動産には「貸家評価」という追加の減額措置も適用できるケースがあり、より効果的な相続税対策となります。

価格変動リスクが小さいから

不動産投資の魅力の一つに、価格変動リスクの低さがあります。

不動産は土地や建物という実物に価値が宿る資産であり、市場の一時的な感情に左右されにくい特性を持っています。株式市場では企業の業績発表や世界情勢の変化で価格が一日のうちに大きく揺れ動くことがありますが、不動産価格はそのような短期的な変動に影響されにくい安定性を示します。

不動産はインフレへの耐性が高いという特長も持ち合わせています。物価上昇が進むと、現金の価値は目減りしていきますが、不動産の価値や家賃収入はインフレに合わせて上がる傾向にあります。

経済全体が物価上昇の波に乗る中で、不動産という実物資産は価値を保ち、時にはそれを増大させることができるのです。

株式投資では企業の不祥事や市場心理の急変で資産価値が一気に目減りするリスクがありますが、不動産市場では、そうした急激な価値の変動が起こりにくいという安心感があります。

経済環境の変化に伴う緩やかな価格変動はあるものの、一夜にして資産価値が半減するような事態は稀です。

資産を多様化させたい富裕層にとって、不動産は長期的視点で見た際の安定性が魅力となっています。

景気の波に翻弄されることなく、世代を超えて価値を維持できる資産として、富裕層の資産ポートフォリオに不動産が組み込まれているのです。

分散投資の対象となるから

分散投資という観点からも、不動産投資にはメリットがあります。

古くから「全ての卵を一つのかごに盛るな」という格言が示すように、投資資金をさまざまな対象に分けることでリスク軽減が図れます。もし一つの投資先が失敗しても、他の資産が損失をカバーできるからです。

不動産は株式や債券など他の金融商品とは異なる特性を持っています。株式市場が低迷する局面でも、不動産からの家賃収入は比較的安定していることが多いです。

このように異なる値動きをする資産を組み合わせることで、資産全体の安定性が高まります。

また、不動産市場は金融市場と連動性が低いことも魅力です。世界的な景気後退で株価が全般的に下落する時でも、立地の良い物件の価値や家賃収入は堅調さを保つことがあります。

富裕層はこうした特性を活かし、株式や債券、預金などと合わせて不動産を保有することで、資産の安全性を高めているのです。

このように富裕層は単に資産を増やすだけでなく、さまざまな性質を持つ投資対象をバランスよく組み合わせることで、急激な経済変動にも強い資産形成を実現しているのです。 

レバレッジ効果が期待できる

不動産投資をする際、レバレッジ効果を得られることで資産を大きく増やせる可能性があります。

レバレッジ効果とは、少額の投資で大きなリターンを生む効果のことです。不動産投資では、金融機関からの融資を受けて物件を取得することで、このレバレッジ効果を活用できます。

つまり、借入金(他人資本)を利用することによって、自己資金の何倍もの金額の投資を行うことができます。

区分 

レバレッジ効果あり 

レバレッジ効果なし 

物件価格 

6,000万円 

2,000万円 

資金の内訳 

自己資金:2,000万円 

借入金:4,000万円 

自己資金:2,000万円 

借入金利 

2% 

なし 

利回り 

5% 

5% 

年間家賃収入 

300万円 

100万円 

年間返済金額 

80万円 

なし 

利益 

220万円 

100万円 

レバレッジ効果を利用すると、投資の幅が大きく広がります。自己資金1,000万円だけで投資する場合、購入できる物件は限られてしまいますが、銀行などからの借入を活用することで、より価値の高い物件を手に入れることができます。

さらに利点として、物件から得られる家賃収入を借入金の返済に充てることができるため、自分の資金をほとんど使わずに資産を効率的に増やしていくことが可能になります。

このレバレッジの仕組みを上手に活用することによって、少ない元手から大きなリターンを得られる投資効率の良い不動産投資を実現できるのです。

富裕層以外でも不動産投資は可能!

不動産投資は、富裕層向けの投資というイメージをお持ちかもしれません。しかし、実際は富裕層でなかったとしても、不動産投資は可能です。

ここでは、不動産投資の開始時期や不動産投資をしている人の年収について解説します。 

不動産投資の開始時期

【不動産投資を始めた年齢】

年代 

割合 

20代 

20.6% 

30代 

45.7% 

40代 

24.9% 

50代 

8.8% 

不動産投資を始める最適な時期は人それぞれですが、当社が行った調査によると、30代がもっとも多く約46%を占めています。20代の投資家も約21%存在し、合わせると全体の6割以上が30代までに投資を開始しているのが現状です。

さらに、40代までを含めると90%を超え、多くの方が現役世代のうちに資産形成を始めていることがわかります。

若いうちに投資を始めるメリットは数多くあります。20代後半から30代は、ローン返済期間を長く設定できるため月々の負担を抑えられます。

また、物件の管理や修繕に必要な体力も十分あり、長期的な視点で資産価値を高められる点も魅力です。

特に30代は職場での信頼も築かれ、安定した収入と一定の貯蓄があることから、金融機関の融資審査も通りやすくなります。頭金の準備もしやすく、投資の選択肢が広がる時期といえるでしょう。

長期的な視点で見れば、早く始めるほど複利効果も大きくなり、老後の資金確保にも役立ちます。

とはいえ、50代以降での不動産投資が遅すぎるといったことはありません。50代以降は退職金や貯蓄を活用した現金購入が可能であり、ローンを利用しない場合には年齢制限がありません。

ただし、融資期間が短くなるため、キャッシュフロー計画を慎重に立てる必要があります。

不動産投資に取り組む方々の年収層

不動産投資に取り組む方々の収入層は多岐にわたっていますが、興味深い分布を示しています。

【不動産投資を始めた人の年収】

年収 

割合 

500万円以下 

2.5% 

500~599万円 

15.8% 

600~699万円 

13.8% 

700~799万円 

12.3% 

800~899万円 

7.3% 

900~999万円 

8.0% 

1,000万円以上 

40.5% 

最も目立つのは年収1,000万円以上の層で、全体の約4割を占めています。これは収入に余裕がある方が資産形成の手段として不動産を選ぶ傾向が強いことを表しています。

しかし、中間所得層の参加も見逃せません。年収500万円~899万円の範囲に位置する投資家が全体の過半数を占めており、特に500万円台と600万円台の方々が積極的に不動産市場に参入しています。

この層は給与所得に加えて副収入を得る手段として不動産を活用していると考えられます。

また、700万円台の投資家も一定数存在し、将来の資産構築に向けた選択肢として不動産を選んでいます。一方で、年収500万円未満の層は比較的少数ですが、早期から資産形成を始める意識の高い方々と言えるでしょう。

このように、不動産投資は高所得者だけのものではなく、さまざまな収入層の方々が自分の経済状況に合わせた投資プランを立て、将来の経済的安定を目指して取り組んでいます。

収入に関わらず、計画的なアプローチで不動産投資の恩恵を受けられる可能性があることが、この数字から読み取れます。

年収ごとの不動産投資のメリット

年収という観点から見た際、不動産投資を始めることに、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、高所得者のメリットとそれ以外の人のメリットに分けて解説します。

国は、高所得者に対する明確な定義を示していませんが、一般的には所得税の税率が高い人を高所得者とみなすことが多いようです。そこで、今回は税制上の区切りである850万円以上を高所得者として話をすすめます。

高所得者の場合

高所得者の場合、最も大きなメリットは節税できることです。日本では、所得が高いほど税率が高くなる「超過累進課税」が採用されています。課税所得が定められた金額を超えると、超えた部分に高い税率が適用されるのです。

【所得税の速算表】

課税される所得金額 

税率 

1,000~194万9,000円 

5% 

195~329万9,000円 

10% 

330~694万9,000円 

20% 

695~899万9,000円 

23% 

900~1,799万9,000円 

33% 

1,800~3,999万9,000円 

40% 

4,000万円以上 

45% 

【参考】国税庁「No.2260 所得税の税率」2025年7月8日現在

このように、課税される所得金額が大きくなればなるほど税負担が重くなります。所得が高い人にとって、不動産投資で経費や損失を計上することは、課税対象所得を減らすという点で大きなメリットとなるのです。

それ以外の場合

不動産投資は高所得者だけのものではありません。年収850万円未満の方にとっても資産形成の有効な手段となります。まず、家賃収入という安定した現金の流れが得られる点が大きな魅力です。給与とは別の収入源を持つことで、経済的な安心感が高まります。

銀行からお金を借りて投資できる点も重要です。自己資金が少なくても、住宅ローンを活用して自分の手持ち資金以上の物件を購入できます。

例えば、500万円の貯金があれば、2,000万円台の物件も視野に入るでしょう。借入金で物件を購入し、入居者から支払われる家賃でローンを返済しながら最終的に資産を築ける仕組みは、一般所得者にとって大きな強みです。

税金面での優遇も見逃せません。物件の維持管理費や減価償却費などを経費として計上でき、所得税や住民税の負担軽減につながります。

特に会社員の方は、給与所得とは別に「不動産所得」として確定申告することで、税金の最適化が可能です。

さらに、インフレに強い資産として、お金の価値を守る効果も期待できます。現金は時間とともに価値が下がりがちですが、不動産は物価上昇に合わせて家賃収入も増える傾向があります。

将来の年金不安への備えとしても有効です。定年後も継続的な収入源となり、老後の生活を支える柱になります。計画的に始めることで、時間をかけて資産を育てられるのが不動産投資の魅力といえるでしょう。

事前に知っておくべき不動産投資の6つのリスク

ここまで述べてきたように、不動産は非常に魅力的な投資対象です。しかし、どのような投資であってもリスクは存在します。

ここでは、不動産投資の7つのリスクを紹介します。

空室リスク

空室リスクとは、物件に入居者がいない期間が発生し、その間家賃収入を得られなくなる可能性を指します。このリスクは、投資家にとって大きな課題となり得ます。

不動産投資の収益は主に家賃収入(インカムゲイン)によって成り立つため、空室が続くと収益が途絶え、ローン返済や維持管理費などの固定費用を自己資金で補填する必要が生じます。

立地条件や物件の魅力が不足している場合、競合物件との比較で入居者を確保しづらくなり、空室期間が長期化するリスクが高まります。また、経済状況や人口動態の変化も空室リスクを増大させる要因です。

家賃滞納・下落のリスク

家賃滞納と家賃下落のリスクは、収益性に直接影響を与える重要な課題です。

まず、家賃滞納のリスクとは、入居者が契約通りに家賃を支払わない状況を指します。この場合、オーナーは予定していた家賃収入を得られず、ローン返済や維持管理費などの固定費用を自己資金で補填する必要が生じます。

滞納が続くと新しい入居者募集ができないため、機会損失も発生します。さらに、未収金として扱われるため税金負担も増加する可能性があります。 

一方で、家賃下落リスクとは、物件の経年劣化や周辺市場の変化によって家賃相場が低下し、収入が減少する状況を指します。

特に人口減少や物件供給過多などの外的要因によって家賃が下落すると、長期的な収益計画が崩れる恐れがあります。

物件価値の下落リスク

物件価値の下落リスクとは、所有する物件の価格が市場の変動や周辺環境の変化によって減少し、資産価値が目減りする可能性を指します。このリスクは、景気の悪化や人口減少、地域の賃貸需要低下など多様な要因によって引き起こされます。

例えば、築年数が古くなることで競合物件に対する魅力が低下し、家賃収入が減少すると、収益力の低下が資産価値に直接影響を与えます。

また、不動産市場全体の価格が下落する局面では、売却時に購入価格を下回る金額でしか売却できない場合もあり、損失を被る可能性があります。

さらに、ローン残債が売却価格を上回る状況では追加費用を負担する必要が生じることもあります。

流動性リスク

流動性リスクとは、保有物件を現金化したい時に思うように売却できない可能性を指します。

不動産は株や債券と違い、すぐに売買できる市場が限られています。物件売却には通常数カ月から半年ほどの期間を要するため、急な資金需要に対応しにくい性質を持っています。

物件の立地や規模、経済状況によって売却のしやすさは大きく変わります。好立地の小型物件なら比較的早く買い手が見つかることもありますが、郊外の大型物件などは売却期間が長期化することもあるでしょう。

また、不動産市場の冷え込み時には希望価格での売却が難しくなり、価格を下げて売却せざるを得ないケースも発生します。

このように、不動産は即座に公正な市場価格で換金できるとは限らない資産であることを理解しておく必要があります。長期的な資金計画を立てる際には、この特性を十分考慮することが大切です。

自然災害リスク

不動産投資において懸念すべき脅威の一つが自然災害リスクです。

自然災害リスクとは、地震や津波、風水害などによって物件が損壊し、収益性や資産価値が著しく低下する可能性を指します。日本は地理的条件から地震や台風、豪雨などさまざまな天災が発生しやすい環境にあります。

特に地震による建物の損壊や津波による浸水被害は、投資物件の価値を一気に下落させることがあります。また、河川の氾濫や土砂崩れが起きやすい地域では、定期的な災害対策が必要になるでしょう。

自然災害は物件の運用停止や資産価値の目減りを引き起こし、売却時に希望価格で売れない場合もあります。

こうした事態に備えるため、物件購入前にはハザードマップの確認地盤調査耐震性能のチェックが欠かせません。適切な保険への加入も重要な対策となります。

自然の猛威に対する備えを怠ると、長年かけて築いた資産が一瞬で目減りする可能性があることを認識しておくべきでしょう。

【参考】国土交通省「ハザードマップポータルサイト」2025年4月4日現在 

金利上昇リスク

不動産投資で住宅ローンなどの借入金を活用する場合、将来の金利上昇が大きな懸念材料となります。特に変動金利を選択していると、市場の動向次第で毎月の返済負担が徐々に膨らみ、当初の収支計画が狂ってしまうことがあります。

日本では長らく超低金利時代が続いていましたが、経済環境の変化により金融機関の貸出金利も徐々に上向き始めています。住宅ローン金利が1%上昇するだけでも、3,000万円を35年間借りた場合、返済総額は数百万円も増加することもあります。

こうした事態に備えるためには、余裕を持った資金計画の立案が重要です。将来の金利上昇を見込んだ返済シミュレーションを行ったり、固定金利を一部取り入れたりするなど、リスク分散の工夫が必要となります。また、繰り上げ返済資金を確保しておくことで、突然の金利上昇時にも柔軟に対応できる態勢を整えておくことが賢明です。

不動産投資で成功するにはどうすればいい?

不動産投資で成功するには、どのような点に注意するべきでしょうか。

ここでは、成功するための4つのポイントを解説します。

需要が高いエリアを選ぶ

不動産投資で成功するためには、人気の高いエリア選びが重要なポイントとなります。多くの方が住みたいと思う地域では、空き部屋が生じるリスクが大幅に減少します。

交通の便が良く、買い物施設や医療機関など生活に必要な環境が整った場所は常に入居希望者でにぎわいます。

特に都心部や通勤圏内の地域は安定した家賃収入が見込めるでしょう。駅から近い物件や教育施設が充実したエリアも人気があります。

こうした場所を選べば、入居者の入れ替わりが生じても次の借り手がすぐに見つかりやすいのです。

将来的に物件を手放す際も、魅力的な立地であれば買い手が集まりやすく、スムーズな売却が可能になります。地域の発展性や将来性も考慮し、長期的な視点で物件選びをすることで、安定した資産形成につながるでしょう。

ローンの組み方に注意

資金計画、特に借入金の設計が重要です。金融機関から融資を受ける際は、自分の返済能力に見合った金額を設定することがカギとなります。

一般的に金融機関は、年間収入に対する借入総額の比率を重視しています。この「年収倍率」が適切な範囲内であれば、融資獲得の可能性が高まります。

株式会社MFSが2020年に行った調査によると、融資審査が通りやすいのは年収の8倍程度までの借入れで、この水準なら約40%の確率で承認されます。

比率が下がるほど審査通過の見込みは上昇し、融資条件も有利になります。業界平均は11.8倍程度ですが、15倍を超えると審査通過は極めて困難になります。

余裕を持った返済計画を立てることで、長期的に安定した投資活動を続けることができるのです。

ノウハウがあるパートナー(不動産会社)を選ぶ

不動産投資で成功するためには、豊富な知識と実績を持つ不動産会社との連携が不可欠です。物件選びから運用管理まで、専門的な知見が必要な不動産投資において、経験豊かなプロの存在は大きな強みとなります。

優れた不動産会社は市場の動きを的確に把握し、将来性のある地域や収益性の高い物件を見極める目を持っています。彼らの助言により、空室の少ない物件や家賃が安定している物件を見つけることができ、投資リスクを大幅に軽減できます。

また、契約後のサポート体制も重要です。入居者の募集や家賃の徴収、建物の保守点検など、日々の管理業務を任せられる体制が整っていると、投資家は本業に集中しながら不動産からの収入を得ることができます。

税金対策や将来の売却計画についても、専門的な視点からのアドバイスは非常に価値があります。法改正や市場変化に対応した戦略提案ができるパートナーがいれば、長期的な資産形成が可能になります。

信頼できる不動産会社との関係構築は、一時的な取引だけでなく、長い年月をかけた資産形成の基盤となります。プロの知識と経験を活用することで、不動産投資の成功確率は格段に高まるのです。

まとめ

今回は、富裕層が不動産投資をする理由やどのような人が不動産投資を行っているのか、不動産投資のリスク、成功するためのポイントを解説しました。

富裕層が不動産に投資する理由は、安定した収入の確保、資産価値の上昇による利益、節税効果、価格変動リスクの低さ、分散投資の一環、そしてレバレッジ効果などが挙げられます。

実際には富裕層に限らず、30代を中心としたさまざまな年収層の方々が不動産投資に取り組んでいます。

一方で、空室や家賃下落、物件価値の下落、流動性の低さ、自然災害、金利上昇といったリスクも存在します。これらのリスクを最小限に抑え成功するためには、需要の高いエリア選び、無理のないローン設計、信頼できる不動産会社とのパートナーシップが重要です。

不動産投資は計画的に取り組むことで、将来の資産形成を実現する有効な選択肢となるでしょう。

この記事を書いた人

ベルテックスコラム事務局

不動産コンサルタント・税理士

不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。