2025.12.19

不動産投資の基礎知識

三原 由紀

年収800万円でも「貯蓄ゼロ」の落とし穴。FPが教える「先取り投資」としての不動産活用術

  • はじめ方・基礎知識

なぜ高年収なのに貯蓄できないのか?

「年収800万円」と聞くと、周囲からは“余裕のある生活”とみられがちです。しかし実際には、手元にお金が残らない人が少なくありません。その背景にあるのが「パーキンソンの法則」――支出は収入の増加に合わせて膨張する、という人間の習性です。 

年収が上がると、住まいや車、外食、教育などに自然とお金をかけるようになりがち。一度上げた生活レベルを下げることは難しく、収入が増えても支出も同じように膨らみ、結局お金が残らない――この終わりのない繰り返しを、俗に“ラットレース”と呼びます。 

給与が上がっても支出がそれ以上に増え、可処分所得(自由に使えるお金)は思ったほど伸びません。結果として、「高収入でもお金が残らない人」が少なくないのです。 

さらに、年収800万円層は税や社会保険料の負担も軽くはありません。所得税・住民税・社会保険料を合わせると、年収の約4分の1が差し引かれます。手取りはおおむね7割強。見た目の年収ほど“使えるお金”は多くないのが実情です。 

家計改善の第一歩「先取り貯蓄」と、その限界

こうした状況を防ぐために有効なのが「先取り貯蓄」です。給与が入ったらまず貯蓄分を自動的に取り分け、残りで生活を組み立てるという仕組みは、支出を抑えるうえで非常に効果的といえるでしょう。 

一方で、金利環境にも変化がみられます。2025年1月の日銀の利上げ以降、2025年11月時点の大手金融機関の普通預金金利は0.2%前後に上昇しています。しかし、2025年9月の消費者物価指数(CPI)は前年比 +2.9% と、日本銀行が掲げる物価安定目標(2%)を上回っています。このように 預金金利よりインフレ率が高い状況では、預金の実質的な購買力は年々目減りしてしまうのです。 

つまり、「貯めるだけ」では資産価値を守るには十分とはいえず、「お金を寝かせる」から「お金に働いてもらう」へ発想を転換することが重要です。 

FP推奨「先取り投資」という新しい家計防衛術

そこで注目されているのが、「先取り投資」という考え方です。給与が入ったら、まず投資分を確保し、残りで生活費をやりくりする。――未来の自分への“自動仕送り”のような仕組みです。 

NISAやiDeCoなど、少額から、かつ、税制優遇の恩恵を受けられる制度が整ったことで、多くの人がこの方法を実践できるようになりました。ただ、投資信託や株式は相場変動が避けられず、短期的な値動きに不安を感じる人も少なくありません。 

そんななか、“仕組み化された投資”として相性がいいのが不動産投資です。 

不動産投資が「最強の先取り投資」である理由

不動産投資の大きな特徴は、安定した給与収入がある人がローンを活用できる点にあります。入居者の家賃収入を原資に返済を進めながら、着実に残債を減らしていく――。ローンを利用しない“一括購入型”の投資では得られないメリットであり、継続的な収入がある勤労世帯だからこそ実現できる方法です。 

年収800万円前後の会社員であれば、家計への負担を抑えながら資産形成を進められる現実的な選択肢といえるでしょう。 

もちろん、空室リスクや金利変動への備えは欠かせません。しかし、適切な物件選びと管理を行えば、家賃収入を味方につけて「自動的に資産が積み上がる仕組み」をつくることができます。 

たとえば月10万円の家賃収入があり、返済額が月8万円であれば、家賃で返済をまかないながら、少しずつ自分の資産が積み上がっていきます。つまり、返済の仕組みそのものが“資産を積み上げる仕掛け”として機能するわけです。 

また、仮に家賃より返済額のほうが多い場合でも、返済の大部分を家賃収入がまかなうため、家計からの持ち出しは抑えられます。節税効果を得られるケースであれば、その分を返済に回すことも可能です。 

給与天引きのように「知らぬ間に資産が増えていく」感覚を得られるのも、不動産投資の大きな魅力でしょう。 

さらに、不動産投資ローンでは、万が一に備えて「団体信用生命保険(団信)」への加入が求められるケースが多くあります。契約者に万が一のことが起きた場合は、保険金でローン残債が完済され、家族にはローン残債のない不動産資産が残ります。“実質的な死亡保障の役割を果たす”という側面もあるのです。 

このように、家計のなかに“自動的に資産が積み上がる仕組み”をつくれるという点で、不動産投資は“最強の先取り投資”といえます。 

まとめ

高年収でも貯まらない背景には、心理的な支出拡大と物価上昇があり、「貯めるだけ」では資産価値が守れません。 

給与と家賃収入、そして団信の備えまで活用できる不動産投資は、勤労世帯だからこそ実現できる“先取り投資”。家計負担を抑えながら資産形成を進める有効な選択肢の一つです。 

この記事を書いた人

三原 由紀

合同会社エミタメ 代表 プレ定年専門FP® 「FP相談ねっと」認定FP

バブル期にOLを経験、子育て中で外に出られないときに同じアパートに住むママ友3人で株のネットトレードを始め、夫にナイショのままコッソリ1,000万円以上の利益を達成。子供の小学校入学を機に保険代理店でパート開始し、FP資格を取得。「無知はリスク(知らない=損をしていることもわからない)」を実感して、自らの家計を再生。
40代・50代に向け、プレ定年専門FPとして「お金で揉めない夫婦関係を構築」「50代からでも間に合う家計立て直し」を提案・実行支援する。保険や金融商品を売らない独立系FPとして活動中。

2025.12.19

不動産投資の基礎知識

三原 由紀

年収800万円でも「貯蓄ゼロ」の落とし穴。FPが教える「先取り投資」としての不動産活用術

  • はじめ方・基礎知識

なぜ高年収なのに貯蓄できないのか?

「年収800万円」と聞くと、周囲からは“余裕のある生活”とみられがちです。しかし実際には、手元にお金が残らない人が少なくありません。その背景にあるのが「パーキンソンの法則」――支出は収入の増加に合わせて膨張する、という人間の習性です。 

年収が上がると、住まいや車、外食、教育などに自然とお金をかけるようになりがち。一度上げた生活レベルを下げることは難しく、収入が増えても支出も同じように膨らみ、結局お金が残らない――この終わりのない繰り返しを、俗に“ラットレース”と呼びます。 

給与が上がっても支出がそれ以上に増え、可処分所得(自由に使えるお金)は思ったほど伸びません。結果として、「高収入でもお金が残らない人」が少なくないのです。 

さらに、年収800万円層は税や社会保険料の負担も軽くはありません。所得税・住民税・社会保険料を合わせると、年収の約4分の1が差し引かれます。手取りはおおむね7割強。見た目の年収ほど“使えるお金”は多くないのが実情です。 

家計改善の第一歩「先取り貯蓄」と、その限界

こうした状況を防ぐために有効なのが「先取り貯蓄」です。給与が入ったらまず貯蓄分を自動的に取り分け、残りで生活を組み立てるという仕組みは、支出を抑えるうえで非常に効果的といえるでしょう。 

一方で、金利環境にも変化がみられます。2025年1月の日銀の利上げ以降、2025年11月時点の大手金融機関の普通預金金利は0.2%前後に上昇しています。しかし、2025年9月の消費者物価指数(CPI)は前年比 +2.9% と、日本銀行が掲げる物価安定目標(2%)を上回っています。このように 預金金利よりインフレ率が高い状況では、預金の実質的な購買力は年々目減りしてしまうのです。 

つまり、「貯めるだけ」では資産価値を守るには十分とはいえず、「お金を寝かせる」から「お金に働いてもらう」へ発想を転換することが重要です。 

FP推奨「先取り投資」という新しい家計防衛術

そこで注目されているのが、「先取り投資」という考え方です。給与が入ったら、まず投資分を確保し、残りで生活費をやりくりする。――未来の自分への“自動仕送り”のような仕組みです。 

NISAやiDeCoなど、少額から、かつ、税制優遇の恩恵を受けられる制度が整ったことで、多くの人がこの方法を実践できるようになりました。ただ、投資信託や株式は相場変動が避けられず、短期的な値動きに不安を感じる人も少なくありません。 

そんななか、“仕組み化された投資”として相性がいいのが不動産投資です。 

不動産投資が「最強の先取り投資」である理由

不動産投資の大きな特徴は、安定した給与収入がある人がローンを活用できる点にあります。入居者の家賃収入を原資に返済を進めながら、着実に残債を減らしていく――。ローンを利用しない“一括購入型”の投資では得られないメリットであり、継続的な収入がある勤労世帯だからこそ実現できる方法です。 

年収800万円前後の会社員であれば、家計への負担を抑えながら資産形成を進められる現実的な選択肢といえるでしょう。 

もちろん、空室リスクや金利変動への備えは欠かせません。しかし、適切な物件選びと管理を行えば、家賃収入を味方につけて「自動的に資産が積み上がる仕組み」をつくることができます。 

たとえば月10万円の家賃収入があり、返済額が月8万円であれば、家賃で返済をまかないながら、少しずつ自分の資産が積み上がっていきます。つまり、返済の仕組みそのものが“資産を積み上げる仕掛け”として機能するわけです。 

また、仮に家賃より返済額のほうが多い場合でも、返済の大部分を家賃収入がまかなうため、家計からの持ち出しは抑えられます。節税効果を得られるケースであれば、その分を返済に回すことも可能です。 

給与天引きのように「知らぬ間に資産が増えていく」感覚を得られるのも、不動産投資の大きな魅力でしょう。 

さらに、不動産投資ローンでは、万が一に備えて「団体信用生命保険(団信)」への加入が求められるケースが多くあります。契約者に万が一のことが起きた場合は、保険金でローン残債が完済され、家族にはローン残債のない不動産資産が残ります。“実質的な死亡保障の役割を果たす”という側面もあるのです。 

このように、家計のなかに“自動的に資産が積み上がる仕組み”をつくれるという点で、不動産投資は“最強の先取り投資”といえます。 

まとめ

高年収でも貯まらない背景には、心理的な支出拡大と物価上昇があり、「貯めるだけ」では資産価値が守れません。 

給与と家賃収入、そして団信の備えまで活用できる不動産投資は、勤労世帯だからこそ実現できる“先取り投資”。家計負担を抑えながら資産形成を進める有効な選択肢の一つです。 

この記事を書いた人

三原 由紀

合同会社エミタメ 代表 プレ定年専門FP® 「FP相談ねっと」認定FP

バブル期にOLを経験、子育て中で外に出られないときに同じアパートに住むママ友3人で株のネットトレードを始め、夫にナイショのままコッソリ1,000万円以上の利益を達成。子供の小学校入学を機に保険代理店でパート開始し、FP資格を取得。「無知はリスク(知らない=損をしていることもわからない)」を実感して、自らの家計を再生。
40代・50代に向け、プレ定年専門FPとして「お金で揉めない夫婦関係を構築」「50代からでも間に合う家計立て直し」を提案・実行支援する。保険や金融商品を売らない独立系FPとして活動中。