- TOP
- 会社員のための不動産投資マガジン
- 記事一覧
- 「サブリースだから安心」「絶対儲かる」は危険信号! 弁護士が明かす「新手の不動産投資詐欺」と法的対処
2026.01.13
山村 暢彦
「サブリースだから安心」「絶対儲かる」は危険信号! 弁護士が明かす「新手の不動産投資詐欺」と法的対処
- 詐欺
- 弁護士
- 執筆記事
なぜ高年収サラリーマンが狙われるのか
不動産投資詐欺のターゲットとして最も狙われやすいのが、実は高年収の会社員です。理由は明確で、まず「ローン審査に通りやすい」ことです。安定した給与収入があるため、金融機関の融資が通りやすく、悪質な業者にとって“契約をまとめやすい顧客”なのです。
次に、「税金や資産形成への関心が高い」こと。節税や老後資金といったワードに敏感でありながら、不動産経営そのものに関する知識が乏しい人が多く、専門用語で説得されてしまうケースが目立ちます。さらに、「同年代の会社員」として親近感を演出し、カフェやホテルラウンジで丁寧に説明を重ねることで、信頼関係を巧みに築く手法もよく使われます。つまり、知識が浅く、資金力がある人ほど狙われやすいという皮肉な構造があるのです。
弁護士が警告する「危険なセールストーク」
不動産投資詐欺の多くは、巧みなセールストークから始まります。特に「絶対に儲かります」「節税効果が永久に続きます」「サブリース契約で30年間家賃保証します」「非公開の優良物件です」といった言葉には注意が必要です。これらの表現は、リスクを意図的に隠し、投資初心者の心理を突いた典型的な“誘導トーク”だからです。
たとえば、サブリース契約の「家賃保証」は、実際には2年ごとの見直し条項があり、途中で家賃が減額される可能性があります。また「非公開物件」と称するケースの多くは、相場より割高に設定された売れ残り物件であることも珍しくありません。「今すぐ契約しないと他の方に決まってしまいます」といった“即決を迫る言葉”も危険信号です。不動産投資に「絶対」は存在しません。冷静に持ち帰って確認する姿勢が、自分の資産を守る第一歩です。
事例紹介:巧妙化する詐欺・トラブルの手口
最近の不動産投資詐欺の手口には、表面上は合法に見えるものの、実際にはオーナーが損をするよう巧妙に仕組まれているものもあります。代表的なものが、サブリース契約の罠です。「30年間家賃保証」と説明されても、契約書を見ると「2年ごとに家賃見直し可」「空室期間は免責」といった条項があり、結局は保証どころか家賃が大幅に下がるケースが多発しています。
次に多いのが、二重契約トリックです。売主と締結する契約書と、金融機関に提出する契約書の金額が異なるというもので、実際の販売価格を高く見せて融資額を水増しします。これは宅建業法違反や詐欺罪に該当する可能性が高く、発覚すれば重大なトラブルに発展します。
さらに、手付金詐欺も増加傾向です。「仮押さえのため」として数十万円を振り込ませた後、連絡が取れなくなるようなケースも。こうした被害を防ぐためには、契約前に業者の宅建業免許を国土交通省や都道府県の公的サイトで確認することが重要です。
契約してしまったら…弁護士が教える「法的対処」
不動産投資のトラブルで「クーリングオフがあるから大丈夫」と思ってしまう方は少なくありません。しかし、実際にはクーリングオフが適用できるケースはごく限られています。たとえば、契約が行われた場所が不動産会社の事務所やモデルルームなどの場合、多くはクーリングオフの対象外になります。つまり、営業担当者に誘われてオフィスを訪問し、その場で署名した場合には、後から一方的に解約できない可能性が高いのです。
また、業者側も「クーリングオフできないような進め方」を意図的に取ることがあります。たとえば「オフィスでの契約にしましょう」「申込書ですから」と言いながら、その場で本契約に持ち込みます。こうした現実を踏まえると、“契約書にサインする前に一度立ち止まる”ことが何より大切です。 迷ったら、その場で署名せず、家に持ち帰って家族や専門家に相談しましょう。たった一晩冷静になるだけで、後悔する契約を避けられることもあります。弁護士への早期相談は、問題の芽を小さいうちに摘む有効な手段です。
仮に契約してしまった後でも、消費者契約法に基づいて「重要な事実を告げなかった」「不実の説明をした」といった場合には、契約を取り消せる可能性があります。また、宅建業法違反(誇大広告や重要事項の不説明など)が確認できれば、行政への申告や業者との交渉材料にもなります。被害を受けたと感じたら、証拠となる資料を整理し、早めに弁護士会の法律相談窓口や不動産トラブルに詳しい弁護士へ相談することが重要です。
まとめ
「サブリースだから安心」「節税になるから得」といった言葉の裏には、思わぬリスクが潜んでいます。特に、契約書の細部に“減額条項”や“免責期間”といった不利な条件が隠れているケースも少なくありません。クーリングオフが使えない場面も多いため、契約前に一度立ち止まり、第三者の意見を聞くことが何より大切です。
今回は注意喚起の意味であえて「詐欺」という強い言葉を用いました。しかし、実際に刑法上の詐欺に該当するケースはごく稀であり、多くは、法的には「誇張されたセールストーク」や「誤解を招く勧誘」にとどまり、後から法的に責任を問うのが難しいのが現実です。少しでも違和感を覚えたら、弁護士など専門家への早期相談が、被害を防ぐ最善の方法となります。
この記事を書いた人
山村 暢彦
弁護士法人 山村法律事務所 代表弁護士
実家で発生した不動産・相続トラブルをきっかけに弁護士を志し、現在も不動産法務に注力している。法律トラブルは表面化しにくく、早期対応こそが最善策につながるという考えから、セミナー講師としての情報発信にも積極的に取り組む。「不動産に強い」との評価から不動産相続案件の依頼が増え、複雑な相続や特殊訴訟も数多く担当してきた。相続開始直後の緊急相談から、事前の生前対策まで幅広く対応し、円満かつ実務的な解決を重視する。税理士・司法書士・不動産鑑定士らと連携し、依頼者ごとに最適な解決策と再発防止策を提案している。
- TOP
- 会社員のための不動産投資マガジン
- 記事一覧
- 「サブリースだから安心」「絶対儲かる」は危険信号! 弁護士が明かす「新手の不動産投資詐欺」と法的対処
2026.01.13
山村 暢彦
「サブリースだから安心」「絶対儲かる」は危険信号! 弁護士が明かす「新手の不動産投資詐欺」と法的対処
- 詐欺
- 弁護士
- 執筆記事
なぜ高年収サラリーマンが狙われるのか
不動産投資詐欺のターゲットとして最も狙われやすいのが、実は高年収の会社員です。理由は明確で、まず「ローン審査に通りやすい」ことです。安定した給与収入があるため、金融機関の融資が通りやすく、悪質な業者にとって“契約をまとめやすい顧客”なのです。
次に、「税金や資産形成への関心が高い」こと。節税や老後資金といったワードに敏感でありながら、不動産経営そのものに関する知識が乏しい人が多く、専門用語で説得されてしまうケースが目立ちます。さらに、「同年代の会社員」として親近感を演出し、カフェやホテルラウンジで丁寧に説明を重ねることで、信頼関係を巧みに築く手法もよく使われます。つまり、知識が浅く、資金力がある人ほど狙われやすいという皮肉な構造があるのです。
弁護士が警告する「危険なセールストーク」
不動産投資詐欺の多くは、巧みなセールストークから始まります。特に「絶対に儲かります」「節税効果が永久に続きます」「サブリース契約で30年間家賃保証します」「非公開の優良物件です」といった言葉には注意が必要です。これらの表現は、リスクを意図的に隠し、投資初心者の心理を突いた典型的な“誘導トーク”だからです。
たとえば、サブリース契約の「家賃保証」は、実際には2年ごとの見直し条項があり、途中で家賃が減額される可能性があります。また「非公開物件」と称するケースの多くは、相場より割高に設定された売れ残り物件であることも珍しくありません。「今すぐ契約しないと他の方に決まってしまいます」といった“即決を迫る言葉”も危険信号です。不動産投資に「絶対」は存在しません。冷静に持ち帰って確認する姿勢が、自分の資産を守る第一歩です。
事例紹介:巧妙化する詐欺・トラブルの手口
最近の不動産投資詐欺の手口には、表面上は合法に見えるものの、実際にはオーナーが損をするよう巧妙に仕組まれているものもあります。代表的なものが、サブリース契約の罠です。「30年間家賃保証」と説明されても、契約書を見ると「2年ごとに家賃見直し可」「空室期間は免責」といった条項があり、結局は保証どころか家賃が大幅に下がるケースが多発しています。
次に多いのが、二重契約トリックです。売主と締結する契約書と、金融機関に提出する契約書の金額が異なるというもので、実際の販売価格を高く見せて融資額を水増しします。これは宅建業法違反や詐欺罪に該当する可能性が高く、発覚すれば重大なトラブルに発展します。
さらに、手付金詐欺も増加傾向です。「仮押さえのため」として数十万円を振り込ませた後、連絡が取れなくなるようなケースも。こうした被害を防ぐためには、契約前に業者の宅建業免許を国土交通省や都道府県の公的サイトで確認することが重要です。
契約してしまったら…弁護士が教える「法的対処」
不動産投資のトラブルで「クーリングオフがあるから大丈夫」と思ってしまう方は少なくありません。しかし、実際にはクーリングオフが適用できるケースはごく限られています。たとえば、契約が行われた場所が不動産会社の事務所やモデルルームなどの場合、多くはクーリングオフの対象外になります。つまり、営業担当者に誘われてオフィスを訪問し、その場で署名した場合には、後から一方的に解約できない可能性が高いのです。
また、業者側も「クーリングオフできないような進め方」を意図的に取ることがあります。たとえば「オフィスでの契約にしましょう」「申込書ですから」と言いながら、その場で本契約に持ち込みます。こうした現実を踏まえると、“契約書にサインする前に一度立ち止まる”ことが何より大切です。 迷ったら、その場で署名せず、家に持ち帰って家族や専門家に相談しましょう。たった一晩冷静になるだけで、後悔する契約を避けられることもあります。弁護士への早期相談は、問題の芽を小さいうちに摘む有効な手段です。
仮に契約してしまった後でも、消費者契約法に基づいて「重要な事実を告げなかった」「不実の説明をした」といった場合には、契約を取り消せる可能性があります。また、宅建業法違反(誇大広告や重要事項の不説明など)が確認できれば、行政への申告や業者との交渉材料にもなります。被害を受けたと感じたら、証拠となる資料を整理し、早めに弁護士会の法律相談窓口や不動産トラブルに詳しい弁護士へ相談することが重要です。
まとめ
「サブリースだから安心」「節税になるから得」といった言葉の裏には、思わぬリスクが潜んでいます。特に、契約書の細部に“減額条項”や“免責期間”といった不利な条件が隠れているケースも少なくありません。クーリングオフが使えない場面も多いため、契約前に一度立ち止まり、第三者の意見を聞くことが何より大切です。
今回は注意喚起の意味であえて「詐欺」という強い言葉を用いました。しかし、実際に刑法上の詐欺に該当するケースはごく稀であり、多くは、法的には「誇張されたセールストーク」や「誤解を招く勧誘」にとどまり、後から法的に責任を問うのが難しいのが現実です。少しでも違和感を覚えたら、弁護士など専門家への早期相談が、被害を防ぐ最善の方法となります。
この記事を書いた人
山村 暢彦
弁護士法人 山村法律事務所 代表弁護士
実家で発生した不動産・相続トラブルをきっかけに弁護士を志し、現在も不動産法務に注力している。法律トラブルは表面化しにくく、早期対応こそが最善策につながるという考えから、セミナー講師としての情報発信にも積極的に取り組む。「不動産に強い」との評価から不動産相続案件の依頼が増え、複雑な相続や特殊訴訟も数多く担当してきた。相続開始直後の緊急相談から、事前の生前対策まで幅広く対応し、円満かつ実務的な解決を重視する。税理士・司法書士・不動産鑑定士らと連携し、依頼者ごとに最適な解決策と再発防止策を提案している。