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2025.12.19
川淵 ゆかり
「子どもの教育費」「親の介護費」…人生の2大支出に「家賃収入」で備える方法
- 家賃収入
30代・40代を襲う「ダブルケア」のリスク
ダブルケアとは、子育てと親や親族の介護が同時期に発生する状態を指します。晩婚化により出産年齢が高齢化したことで、子育ての最中に親の介護が重なってしまう人が増えているのです。
令和5年厚生労働省「人口動態統計月報年計(概数)」によると、第一子出産年齢は、昭和50年には25.7歳でしたが、平成27年には30.7歳、令和5年には31.0歳まで上昇しています。
平成28年4月内閣府男女共同参画局「育児と介護のダブルケアの実態に関する調査」によると、ダブルケアラー(ダブルケアを行う人)の人口は約25.3万人。その内訳は女性が16.8万人、男性が8.5万人です。年代別にみると、30代の女性が43.4%で男性が40.0%、40代の女性が40.4%で男性が38.2%、という数字が出ています。
つまり、ダブルケアを行う人は、30~40歳代が多く、男女ともに全体の約8割を占めている、ということになります。
平均寿命の延伸に伴い介護期間も長期化しており、現役世代への負担は増すばかりです。
介護は家計にも大きく影響してきますが、特に大きなリスクとなるのが「介護離職」です。年間約10万人が家族の介護を理由に離職しており、その約8割が女性という現実があります。昨今は、住宅価格の高騰もあり、ペアローンなどで夫婦が助け合って住宅ローンを返済している世帯も多いでしょう。
物価上昇も続くなか、共働きが多くなっている現代、妻の介護離職は家計に甚大なダメージを与えます。30代~40代での収入ダウンは、教育費の捻出だけでなく、将来の自らの老後資金形成にも暗い影を落としかねません。
シミュレーション:教育費と介護費、実際いくらかかる?
では、実際にどれくらいの費用がかかるのか、シミュレーションしてみましょう。
教育費用の目安(小学校~大学)
国立成育医療研究センター(東京)が行ったアンケート調査によると、第一子が生まれてからの子育て費用の総額は、中学卒業までで1,632万円、高校卒業までが2,172万円という結果が出ています。年間費用は年齢とともに増加傾向にあり、各年齢で食費や衣類などの生活費が半分程度を占めており、中学や高校進学時の負担増が顕著です。
小学校~大学までにかかる教育費をみていきましょう。教育費は、学校教育費・学校給食費・学校外活動費の合計としています。
- 小学校:公立なら6年間で約200万円、私立は約1,000万円かかるとされています。
- 中学校:公立3年間で約150万円、私立で約420万円かかることが多いです。
- 高校:公立3年間で約140万円、私立で約290万円が目安です。
さらに大学は、子どもの教育費の中で最も高額になる可能性があります。
| 大学の種類 | 通学方法 | 4年間の教育費概算 |
| 国立大学 | 自宅通学 | 約520万円 |
| 国立大学 | 下宿 | 約800万円 |
| 私立文系 | 自宅通学 | 約700万円 |
| 私立文系 | 下宿 | 約990万円 |
| 私立理系 | 自宅通学 | 約840万円 |
| 私立理系 | 下宿 | 約1,120万円 |
[図表]大学進学、教育費の目安
出所:公益財団法人 生命保険文化センター「ライフプラン情報ブック」より筆者作成
これらの費用には、受験費用、入学金、授業料、生活費などが含まれます。
教育資金が不足した場合、「奨学金」に頼るケースも多いですが、貸与型奨学金は実質的に「子どもの借金」です。大学を卒業し、社会に出た途端に借金を抱えた状態で送り出すことになるのです。奨学金によって、結婚や住宅ローンの借り入れに支障が出るケースも散見されます。子どもの将来の負担になるため、可能な限り、計画的な教育資金作りや親が契約者となる教育ローンを利用することが望まれます。
介護費費用の目安
次に介護費用をみてみましょう。生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査(2人以上世帯)」(2024年度)によると、介護期間の平均は4年7ヵ月から5年1ヵ月。介護にかかる費用は、一時費用と月々の費用があり、平均総額は約500万円から542万円となっています。
介護費用の内訳とその平均は次のとおりです。
介護にかかる費用の目安
- 一時費用(住宅改修・ベッド購入など):47.2万円~74万円
- 月々の費用(全体平均):9.0万円
- 在宅介護:月額5.2万円~5.3万円
- 施設介護:月額13.8万円
- 要支援1:月額平均4.1万円
- 要介護5:月額平均10.6万円
※介護度が上がるほど費用は高額になります。
介護に入る前、親が元気なうちに財政状況(預貯金や保険の加入状況)を確認しておく必要があります。
「貯蓄」で備えることの難しさ
教育資金作りの代表とされてきた「学資保険」や「こども保険」ですが、超低金利時代が長かった日本では、魅力が薄れつつあります。商品によっては、払い込んだ保険料の合計よりも受け取れる保険金が少ない「元本割れ」の状態になることも。返戻率100%以上の商品や、特約を絞り込んだシンプルな商品を見極める必要があります。
さらに懸念されるのが「インフレ(物価上昇)」です。 近年、直撃していますが、現金のまま持っているだけでは、資産の実質的な価値は目減りしてしまいます。物価上昇率を上回る運用が求められますが、積立投資などは成果が出るまでに長い時間が必要です。数年先に確実に必要となる教育・介護資金には、別の視点での準備も検討すべきでしょう。
なぜ「家賃収入」が教育・介護費用に適しているのか
そこで選択肢の一つとして提案したいのが、不動産による「家賃収入」の確保です。教育や介護といった継続的な支出に対して、家賃収入は非常に相性がよいといえます。その理由は主に2点あります。
1.「毎月」「安定的」に入ってくるキャッシュフローであること
株式投資などは相場によって資産額が変動しますが、不動産投資は入居者がいる限り、毎月決まった日に家賃が入金されます。この「予測可能な定期収入」は、毎月の月謝や介護施設費用などの支払いに充てる原資として、目途が立ちやすいのです。
2.インフレに強い(家賃は上昇傾向)
不動産は実物資産であり、インフレ局面では物件価格だけでなく、家賃も上昇する傾向にあります。物価が上がり、教育費や介護費が値上がりしたとしても、家賃収入も連動して増えれば、負担増を相殺する効果が期待できます。
現在、資金力のある人であれば、不動産ローンを利用することで「レバレッジ効果」を利かせ、自己資金以上の投資が可能です。ただし、物件購入には初期費用も必要であり、修繕費や固定資産税などのランニングコストも発生します。
「毎月手元にいくら残るか(キャッシュフロー)」を厳密にシミュレーションしたうえで始めることが肝要です。
「教育や介護にお金がかかる時期に、不動産なんて買えるのか?」と不安に思う人もいるかもしれません。しかし、だからこそ検討したいのが、少額の自己資金で始められる「区分マンション(ワンルームなど)」への投資です。
一棟アパートなどは多額の初期費用が必要ですが、都心の区分マンションであれば、提携ローンを活用することで、手元の現金を大きく減らさずにスタートすることが可能です。いざというときのために現預金は温存しつつ、銀行の融資力(他人の資本)を使って資産を作り、そこから家賃収入を得る。この効率のよさこそが、支出の多い現役世代にとっての賢い選択肢といえるでしょう。
まとめ
賃貸を始めれば、翌月から入ってくる「家賃収入」。待ったなしの教育費用や、いつ終わるか見通しにくい介護費用の負担を軽減する有効な手段となる可能性があります。
もちろん、ローン返済や管理コストといった支出も伴うため、自身の資産状況やライフプランに合わせ、最適な選択肢を専門家と相談しながら検討することをおすすめします。
教育と介護の二大支出は誰にでも訪れる可能性がある課題です。いまから備えることで、将来の安心につながるでしょう。
<参考>
平成28年4月内閣府男女共同参画局「育児と介護のダブルケアの実態に関する調査」
https://www.gender.go.jp/research/kenkyu/wcare_research.html
令和5年厚生労働省「人口動態統計月報年計(概数)」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai23/index.html
この記事を書いた人
川淵 ゆかり
川淵ゆかり事務所 代表 ファイナンシャルプランナー (1級ファイナンシャル・プランニング技能士)
国立大学行政事務(国家公務員)後にシステムエンジニアとして、物流・会計・都市銀行などのシステム開発を担当。その後FPとして独立し、ライフプランやマネープランのセミナーのほか、日商簿記1級、CFP、情報処理技術者試験の合格経験を活かして、企業や大学での資格講座・短期大学や専門学校での非常勤講師としても勤める。 https://yukarik-fp.jimdofree.com/
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川淵 ゆかり
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- 家賃収入
30代・40代を襲う「ダブルケア」のリスク
ダブルケアとは、子育てと親や親族の介護が同時期に発生する状態を指します。晩婚化により出産年齢が高齢化したことで、子育ての最中に親の介護が重なってしまう人が増えているのです。
令和5年厚生労働省「人口動態統計月報年計(概数)」によると、第一子出産年齢は、昭和50年には25.7歳でしたが、平成27年には30.7歳、令和5年には31.0歳まで上昇しています。
平成28年4月内閣府男女共同参画局「育児と介護のダブルケアの実態に関する調査」によると、ダブルケアラー(ダブルケアを行う人)の人口は約25.3万人。その内訳は女性が16.8万人、男性が8.5万人です。年代別にみると、30代の女性が43.4%で男性が40.0%、40代の女性が40.4%で男性が38.2%、という数字が出ています。
つまり、ダブルケアを行う人は、30~40歳代が多く、男女ともに全体の約8割を占めている、ということになります。
平均寿命の延伸に伴い介護期間も長期化しており、現役世代への負担は増すばかりです。
介護は家計にも大きく影響してきますが、特に大きなリスクとなるのが「介護離職」です。年間約10万人が家族の介護を理由に離職しており、その約8割が女性という現実があります。昨今は、住宅価格の高騰もあり、ペアローンなどで夫婦が助け合って住宅ローンを返済している世帯も多いでしょう。
物価上昇も続くなか、共働きが多くなっている現代、妻の介護離職は家計に甚大なダメージを与えます。30代~40代での収入ダウンは、教育費の捻出だけでなく、将来の自らの老後資金形成にも暗い影を落としかねません。
シミュレーション:教育費と介護費、実際いくらかかる?
では、実際にどれくらいの費用がかかるのか、シミュレーションしてみましょう。
教育費用の目安(小学校~大学)
国立成育医療研究センター(東京)が行ったアンケート調査によると、第一子が生まれてからの子育て費用の総額は、中学卒業までで1,632万円、高校卒業までが2,172万円という結果が出ています。年間費用は年齢とともに増加傾向にあり、各年齢で食費や衣類などの生活費が半分程度を占めており、中学や高校進学時の負担増が顕著です。
小学校~大学までにかかる教育費をみていきましょう。教育費は、学校教育費・学校給食費・学校外活動費の合計としています。
- 小学校:公立なら6年間で約200万円、私立は約1,000万円かかるとされています。
- 中学校:公立3年間で約150万円、私立で約420万円かかることが多いです。
- 高校:公立3年間で約140万円、私立で約290万円が目安です。
さらに大学は、子どもの教育費の中で最も高額になる可能性があります。
| 大学の種類 | 通学方法 | 4年間の教育費概算 |
| 国立大学 | 自宅通学 | 約520万円 |
| 国立大学 | 下宿 | 約800万円 |
| 私立文系 | 自宅通学 | 約700万円 |
| 私立文系 | 下宿 | 約990万円 |
| 私立理系 | 自宅通学 | 約840万円 |
| 私立理系 | 下宿 | 約1,120万円 |
[図表]大学進学、教育費の目安
出所:公益財団法人 生命保険文化センター「ライフプラン情報ブック」より筆者作成
これらの費用には、受験費用、入学金、授業料、生活費などが含まれます。
教育資金が不足した場合、「奨学金」に頼るケースも多いですが、貸与型奨学金は実質的に「子どもの借金」です。大学を卒業し、社会に出た途端に借金を抱えた状態で送り出すことになるのです。奨学金によって、結婚や住宅ローンの借り入れに支障が出るケースも散見されます。子どもの将来の負担になるため、可能な限り、計画的な教育資金作りや親が契約者となる教育ローンを利用することが望まれます。
介護費費用の目安
次に介護費用をみてみましょう。生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査(2人以上世帯)」(2024年度)によると、介護期間の平均は4年7ヵ月から5年1ヵ月。介護にかかる費用は、一時費用と月々の費用があり、平均総額は約500万円から542万円となっています。
介護費用の内訳とその平均は次のとおりです。
介護にかかる費用の目安
- 一時費用(住宅改修・ベッド購入など):47.2万円~74万円
- 月々の費用(全体平均):9.0万円
- 在宅介護:月額5.2万円~5.3万円
- 施設介護:月額13.8万円
- 要支援1:月額平均4.1万円
- 要介護5:月額平均10.6万円
※介護度が上がるほど費用は高額になります。
介護に入る前、親が元気なうちに財政状況(預貯金や保険の加入状況)を確認しておく必要があります。
「貯蓄」で備えることの難しさ
教育資金作りの代表とされてきた「学資保険」や「こども保険」ですが、超低金利時代が長かった日本では、魅力が薄れつつあります。商品によっては、払い込んだ保険料の合計よりも受け取れる保険金が少ない「元本割れ」の状態になることも。返戻率100%以上の商品や、特約を絞り込んだシンプルな商品を見極める必要があります。
さらに懸念されるのが「インフレ(物価上昇)」です。 近年、直撃していますが、現金のまま持っているだけでは、資産の実質的な価値は目減りしてしまいます。物価上昇率を上回る運用が求められますが、積立投資などは成果が出るまでに長い時間が必要です。数年先に確実に必要となる教育・介護資金には、別の視点での準備も検討すべきでしょう。
なぜ「家賃収入」が教育・介護費用に適しているのか
そこで選択肢の一つとして提案したいのが、不動産による「家賃収入」の確保です。教育や介護といった継続的な支出に対して、家賃収入は非常に相性がよいといえます。その理由は主に2点あります。
1.「毎月」「安定的」に入ってくるキャッシュフローであること
株式投資などは相場によって資産額が変動しますが、不動産投資は入居者がいる限り、毎月決まった日に家賃が入金されます。この「予測可能な定期収入」は、毎月の月謝や介護施設費用などの支払いに充てる原資として、目途が立ちやすいのです。
2.インフレに強い(家賃は上昇傾向)
不動産は実物資産であり、インフレ局面では物件価格だけでなく、家賃も上昇する傾向にあります。物価が上がり、教育費や介護費が値上がりしたとしても、家賃収入も連動して増えれば、負担増を相殺する効果が期待できます。
現在、資金力のある人であれば、不動産ローンを利用することで「レバレッジ効果」を利かせ、自己資金以上の投資が可能です。ただし、物件購入には初期費用も必要であり、修繕費や固定資産税などのランニングコストも発生します。
「毎月手元にいくら残るか(キャッシュフロー)」を厳密にシミュレーションしたうえで始めることが肝要です。
「教育や介護にお金がかかる時期に、不動産なんて買えるのか?」と不安に思う人もいるかもしれません。しかし、だからこそ検討したいのが、少額の自己資金で始められる「区分マンション(ワンルームなど)」への投資です。
一棟アパートなどは多額の初期費用が必要ですが、都心の区分マンションであれば、提携ローンを活用することで、手元の現金を大きく減らさずにスタートすることが可能です。いざというときのために現預金は温存しつつ、銀行の融資力(他人の資本)を使って資産を作り、そこから家賃収入を得る。この効率のよさこそが、支出の多い現役世代にとっての賢い選択肢といえるでしょう。
まとめ
賃貸を始めれば、翌月から入ってくる「家賃収入」。待ったなしの教育費用や、いつ終わるか見通しにくい介護費用の負担を軽減する有効な手段となる可能性があります。
もちろん、ローン返済や管理コストといった支出も伴うため、自身の資産状況やライフプランに合わせ、最適な選択肢を専門家と相談しながら検討することをおすすめします。
教育と介護の二大支出は誰にでも訪れる可能性がある課題です。いまから備えることで、将来の安心につながるでしょう。
<参考>
平成28年4月内閣府男女共同参画局「育児と介護のダブルケアの実態に関する調査」
https://www.gender.go.jp/research/kenkyu/wcare_research.html
令和5年厚生労働省「人口動態統計月報年計(概数)」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai23/index.html
この記事を書いた人
川淵 ゆかり
川淵ゆかり事務所 代表 ファイナンシャルプランナー (1級ファイナンシャル・プランニング技能士)
国立大学行政事務(国家公務員)後にシステムエンジニアとして、物流・会計・都市銀行などのシステム開発を担当。その後FPとして独立し、ライフプランやマネープランのセミナーのほか、日商簿記1級、CFP、情報処理技術者試験の合格経験を活かして、企業や大学での資格講座・短期大学や専門学校での非常勤講師としても勤める。 https://yukarik-fp.jimdofree.com/