2024.11.11

不動産投資の基本

ベルテックスコラム事務局

福岡の不動産投資は危険?東京都との比較で特長や注意点を検証【東京VS福岡】

  • 日本の現状
  • メリット
  • リスク

不動産投資への関心が高まる、不動産投資を検討している方は、いったいどのエリアの物件に投資すべきか迷う方も多いのではないでしょうか。

エリアを選定する際は、他の地域との比較を行い、その地域に将来性があるのかを検討しなければいけません。

今回は五大都市のひとつである福岡にフォーカスを当て、福岡で不動産投資を行う際の将来性を東京都と比較し、福岡県内のおすすめエリアや、福岡での不動産投資を成功させるポイントを紹介します。

【東京23区と比較】福岡不動産投資の将来性

不動産投資のエリアを選定する際、やはり東京都との比較検討は外せません。東京都はもっとも人口が集中し、賃貸需要も高いエリアだからです。

ここでは、東京23区と福岡との人口推移や入居者属性などを比較しながら、福岡での不動産投資の特徴を紹介します。

人口推移

総務省統計局「人口推計」(2023年10月1日現在)によると、東京都の人口1,404万6,000人に対し、福岡県の人口は全国7位の510万3,000人でした。

順位 人口増加数の大きい都道府県 2020年度人口数
1位 東京都 1,408万6,000人
2位 神奈川県 922万9,000人
3位 大阪府 876万3,000人
4位 埼玉県 733万1,000人
5位 千葉県 625万7,000人
6位 兵庫県 537万人
7位 福岡県 510万3,000人
8位 北海道 509万,2000人
9位 静岡県 355万5,000人
10位 茨城県 282万5,000人

 

続いて、2015 年〜2020年の人口増加数が最も大きい市町村は、東京都特別区部の47万1,794人に次いで、福岡県福岡市が7万4,680人で全国2位という結果が出ています。

順位 人口増加数の大きい市町村 2015~2020年増加数
1位 東京都 特別区部 47万1,794人
2位 福岡県 福岡市 7万4,680人
3位 神奈川県 川崎市 6万3,868人
4位 大阪府 大阪市 6万3,557人
5位 埼玉県 さいたま市 6万0,612人
6位 神奈川県 横浜市 5万3,474人
7位 愛知県 名古屋市 3万7,768人
8位 千葉県 流山市 2万5,587人
9位 北海道 札幌市 2万2,709人
10位 千葉県 船橋市 2万82人

 

都道府県別、市町村別にみても人口は東京都に軍配が上がりますが、全国と比較しても福岡県は人口も多く、増加率も上位に位置しています。

福岡市の人口が増えた要因としては、企業誘致で雇用の創出が増えたことや、県外からの若い世代の人口流入などが考えられます。

福岡市は現在も人口が増加しており、2040年まで増加し続けると予測されています。

福岡市の将来人口推計

【引用】福岡市「福岡市の将来人口推計」2024年4月公表

 

また、大規模な二大再開発の「天神ビッグバン」「博多コネクティッド」などによって、利便性が高いコンパクトシティとして「住みやすさ」が評価され始めていることも人口増加につながっていると考えられます。

入居者の属性

賃貸経営するうえで確認しなければいけない点は、入居者の属性です。
ここでいう「属性」とは、住人の経済力や信頼性、モラルの高さなどを指します。

入居者の収入が家賃に対して低すぎる場合、家賃滞納されるリスクが高まり、収入減につながるだけでなく、督促や家賃の回収といった管理コストが上がります。

さらに、モラルがない入居者の場合、第三者に又貸ししたり、部屋の設備などを壊したりといったトラブルを起こす可能性もあります。

すべての人に当てはまるわけではありませんが、家賃に見合った収入が安定的に確保されている入居者であれば、家賃も毎月支払われ、トラブルを起こしにくいといえるでしょう。

賃貸トラブルで多い居住者間のマナー違反

賃貸マンションのトラブル発生状況 居住者間のマナーが60%

国土交通省の「令和5年度マンション総合調査」(2024年6月21日公表)によると、賃貸マンションのトラブルでもっとも多いのは「居住者間のマナー」(60.5%)です。

具体的には「生活音(43.6%)」、「違法駐車(18.2%)」「ペット飼育(14.2%)」などが挙げられます。ですが、これらは全国的な調査であり、東京と福岡の地域差を示す公的なデータはありません。

ただし、一般的な傾向として、都市部では賃貸物件の供給が多く、競争が激しいため、管理会社やオーナーが物件の維持管理に力を入れていることが考えられます。また、入居者側も選択肢が多いため、自分に合った物件を選びやすい環境にあると言えるでしょう。

 

一方、地方都市では、物件の供給が限られている場合があり、管理が行き届かないケースも考えられます。しかし、地域コミュニティが強固なため、入居者同士のトラブルが少ない可能性もあります。

具体的なデータがないため、これらは推測の域を出ませんが、賃貸物件を選ぶ際は、物件の管理状況や周辺環境、地域の特性などを総合的に判断することが重要です。

家賃

全国賃貸管理ビジネス協会では、全国家賃の動向について調査しており、2024年度9月調査では東京都と福岡県の平均家賃は以下の表の通りでした。

  1部屋 2部屋 3部屋 総賃料平均
東京都 7万5,537円 9万602円 9万8,675円 7万8,965円
福岡県 5万2,228円 6万6,729円 7万1,408円 6万275円

 

たとえば、区分マンション投資でワンルームマンションの賃貸経営を行う場合、東京と福岡では1年あたりの収入に約28万円の差が出ることになります。

老後の収入源を目的に区分マンションを長期的に保有する場合は、東京と福岡の物件で、ローン完済後の家賃収入に差が出ることを加味する必要があるでしょう。

ただし、九州では首都圏と比較し、物件価格が安いので、家賃が安くても利回りは高い傾向にあります。自分の不動産投資の目的に照らして、適した物件に投資をすることが大事だといえるでしょう。

【参考】不動産投資と収益物件の情報サイト健美家(けんびや)「収益物件 市場動向四半期レポート2024年7月~9月期」(2024年10月8日掲載)

人気度

福岡県は、いい部屋ネット「街の住みここち&住みたい街ランキング2024都道府県版」(2024年8月21日掲載)で、住みたい街ランキング2位を獲得しています。

順位 自治体名
1位 東京都
2位 福岡県
3位 神奈川県
4位 沖縄県
5位 北海道
6位 宮城県
7位 大阪府
8位 兵庫県
9位 静岡県
10位 長野県

 

福岡県は3年連続2位という結果。また、同じくいい部屋ネットの「住みたい街(自治体)ランキング」(2024年8月21日掲載)では5年連続で福岡市が1位となっています。

順位 自治体名
1位 福岡県 福岡市
2位 沖縄県 那覇市
3位 神奈川県 横浜市
4位 宮城県 仙台市
5位 北海道 札幌市
6位 大阪府 大阪市
7位 京都府 京都市
8位 東京都 港区
9位 兵庫県 神戸市
10位 東京都 中央区

 

福岡県はビジネスの拠点でもあり、商業施設が充実しています。県庁所在地である福岡市は、天神などの繁華街が複数あり多くの人で賑わっています。

また、福岡空港も市内から5キロ圏内の場所に位置するため、県外や海外からのアクセスが良いところも魅力の一つです。

さらに、市内から少し離れれば程よく自然もあり、海産物と山の幸、両方の食べ物がおいしいというイメージの良さがランキングに反映されたと考えられます。

福岡の不動産投資おすすめエリア

不動産投資を成功させるためには、賃貸需要が高いエリアの物件を選定することが重要です。
ここでは福岡で、賃貸需要が高いと考えられるおすすめのエリアを2か所紹介します。

博多駅周辺・ベイサイドエリア

博多駅周辺はオフィスや商業の中心であり、ベイサイドエリアは海が見えるロケーションでありながら博多や天神などの中心街へのアクセスもしやすいため、人気が高いエリアです。

現在、博多駅周辺では「博多コネクティッド」という再開発プロジェクトが行われています。
同エリアでは更新期を迎えた建物も多いため、博多コネクティッドでは10年間で20棟の建て替え誘導を目標としており、経済波及効果は1年間で約5,000億円とも想定されています。

新たなオフィス街になることで、雇用者数も32,000人から51,000人の1.6倍になる予定です。

現在では以下のプロジェクトが決まっており、すでに竣工している建物も多くあります。

名称 竣工年月
博多イーストテラス 2022年8月 完成
コネクトスクエア博多 2024年3月 完成
(仮称)西日本シティ銀行本店別館ビル建て替え計画他 2026年1月(予定)
博多駅前3丁目プロジェクト 2025年6月(予定)
(仮称)博多駅空中都市プロジェクト 2028年末(予定)
都ホテル博多 2019年7月 完成
ザ・ブラッサム博多プレミア 2019年9月 完成
九勧承天寺通りビル 2020年4月 完成
博多深見パークビルディング 2021年1月 完成
筑紫口駅前広場 2022年8月 完成

 

また、博多コネクティッドの再開発に伴い、2023年3月末時点では同エリア付近での建築確認申請数は25棟にもなり、すでに18棟も竣工しています。

貸家に関しては、福岡県の新設住宅着工戸数を確認すると、以下の表のとおり博多区は毎月多くの建物が建築されていることがわかるでしょう。

年度 博多区の新設住宅着工戸数
2024年6月 194戸
2024年7月 404戸
2024年8月 309戸

 

貸家が多く建築されるということは、賃貸需要が高いということでもあります。もともと博多駅・ベイサイドエリアは福岡の中でも定番の人気エリアです。

リクルートが公表した「住みたい街ランキング2023 福岡県版/福岡市民版」(2023年9月29日掲載)を確認すると、博多駅周辺は3年連続1位を獲得しています。

人気のあるエリアであるため、投資先としても家賃が値崩れしにくく、築古物件でも埋まりやすいので、新築マンションなどが多く建築されているのです。

また住民が増えるにつれて、スーパーやドラックストア、病院なども増加しており、博多・ベイサイドエリアだけで生活が完結することから賃貸需要も高まっています。

博多は九州屈指の商業・オフィス街の集積地です。鉄道やバス、空港などの交通の拠点である一方で、伝統的な祭りなどの地域資源が多く、都会的な機能との調和が魅力的な街です。福岡での不動産投資を考えているなら、注目すべき投資先としてチェックしておきましょう。

【参考】福岡市「天神ビッグバン・博多コネクティッドのリーフレット」2024年10月29日現在

天神エリア

天神エリアでは、「天神ビッグバン」という再開発プロジェクトが進んでいます。
更新期を迎えたビルを耐震性の高い先進的なビルに建て替えることによって、働く人や訪れる人の安心度を高めることを目的としています。

天神ビッグバンでは、すでに竣工している建物もあり、現在では以下の11もの工事が予定されています。

名称 竣工年月
天神ビジネスセンター 2021年9月 完成
福岡大名ガーデンシティ 2022年12月 完成
ヒューリック福岡ビル 2024年12月(予定)
ONE FUKUOKA BLDG. 2024年末(予定)
天神1丁目北14番街区ビル 2025年3月(予定)
住友生命福岡ビル・天神西通りビジネスセンター建替え計画 2025年5月(予定)
天神1-7計画 2026年12月末(予定)
天神ビジネスセンター2期計画 2026年6月(予定)
天神2丁目南ブロック駅前東西街区 2030年(予定)
天神1丁目15・16番街区 2030年(予定)
福岡中央郵便局・イオンショッパーズ福岡段階連鎖建替えプロジェクト 2030年(予定)

 

天神の再開発により、雇用者数の増大も大きく見込めます。博多駅へのアクセスもよいことから、住居だけでなく、企業からの人気も高まることでしょう。

実際にこれらの再開発により、国土交通省が発表する「【令和6年地価公示】都道府県別・用途別対前年平均変動率」(2024年3月掲載) では、福岡県の商業地の地価上昇率は4年連続全国1位を記録しています。

順位 自治体名 地価上昇率
1位 福岡県 5.3%
2位 北海道 4.9%
3位 宮城県 3.6%

 

地価が高くなっているということは、福岡県に魅力を感じている人も多いということです。

さらに天神ビッグバンは2030年まで計画されているため、今後も地価上昇が期待できるエリアといえるでしょう。

福岡県の不動産投資物件を購入し、将来的に売却すれば、売却益を狙うこともできるため、ぜひチェックしておきたいエリアの一つです。

【参考】福岡市「天神ビッグバン・博多コネクティッドのリーフレット」2024年10月29日現在

福岡県で不動産投資を成功させるポイント

東京都と比較すると、福岡県は人口推移や県民の属性などは劣る点がありますが、再開発に伴う将来性には大きな期待が持てるエリアです。

とはいえ、福岡県で不動産投資をすれば必ず成功するというわけではありません。
不動産投資の成功率を高めるために、以下の3つのポイントを理解してから始めましょう。

エリアごとの特徴や歴史を十分に調査する

不動産投資を成功させるためには、エリアごとの特徴や歴史を調査したうえで投資物件を選定することが大切です。

福岡県は地震が少ない地域として知られていますが、県内には6つの主要活断層帯があり、なかでも警固断層の存在が注目されています。
警固断層は、玄界灘から博多湾を経て、福岡平野にかけてほぼ北西−南東に分布する活断層帯です。

過去には2005年に玄界灘でマグネチュード7.0の地震が発生し、震源に近い福岡市西区の玄界島で住宅の半数が全壊する被害がありました。

地震調査研究推進本部では、今後30年以内に地震が発生する確率を4つのランクに分けており、警固断層は最上位のSランク(地震発生確率3%以上)に位置づけされています。

想定される地震の規模はマグニチュード7.2。死者1,000人以上、約1万8000棟の建物が全壊となる被害想定です。

特に博多駅周辺や天神エリアは、福岡市の中でも警固断層が近く、揺れやすいと考えられています。

住所検索ハザードマップでは、国立研究開発法人防災科学技術研究所の「全国地震動予測地図2020」(2021年3月掲載)をもとに、今後30年間に震度6以上の地震に見舞われる確率が高い福岡県の区市町村ランキングが公表されています。

順位 自治体名 震度6強以上 震度6弱以上
1位 福岡市 南区 4.2% 12.1%
2位 三井郡 大刀洗町 3.9% 16.8%
3位 糟屋郡 志免町 3.9% 12.0%
4位 築上群 吉富町 3.6% 21.4%
5位 福岡市 博多区 3.5% 9.3%
6位 福岡市 城南区 3.2% 8.5%
7位 糟屋郡 新宮町 3.0% 9.8%
8位 福岡市 西区 2.8% 8.3%
9位 春日市 2.8% 6.8%
10位 中間市 2.7% 12.5%

 

【引用】住所検索ハザードマップ「日本全国!47都道府県の地震危険度ランキング」2022年2月12日掲載

 

天神エリアがある福岡市中央区は、震度6強以上の地震が発生する可能性は2.6%で12位です。

地震以外にも、福岡市は那珂川や御笠川、博多川に囲まれた地域であるため、洪水リスクが高い地域です。過去には九州豪雨などの自然災害で、多くの建物の被害を受けたこともあります。

このように、事前にハザードマップなどを確認すれば、どの程度の災害リスクを織り込んで不動産投資を行うべきかの目途が立ちます。エリアごとの特徴や歴史を十分調査したうえで、投資物件の選定を行いましょう。

地域経済の動きを把握する

経済が活性化すればそこに雇用が生まれ、そのための賃貸需要が増えます。そのため、不動産投資をする際には地域経済の動向を把握しておくことが大切です。

特に福岡では、人口減少が進む日本国内で経済が活性化しており、多くの企業が福岡で人材を求め、地域の成長に貢献しています。また、福岡市の調査によれば2020年以降、雇用数は増加傾向にあり、開業率も全国の主要都市の中で1位を記録しています(福岡市経済観光文化局「福岡市経済の概況」2024年9月掲載)。

AI技術の普及により、今後はロボットや自動化の導入が進む可能性もありますが、不動産投資においては依然として「人が集まる地域」の物件が重視されます。そのため、投資物件の経済動向に注視し、需要の変化を見極めることが大切です。

交通利便性を重視する

福岡県内に投資する際は、交通利便性を重視しておきましょう。

福岡県は、森記念財団都市戦略研究所がまとめた「世界の都市力総合ランキング」によると、公共交通の充実・正確さランキングで世界32位、日本2位です。

通勤と通学時間が短いだけでなく、福岡空港から博多駅まではわずか5分、天神までもたった11分とアクセス力も高い点が評価されています。

特に福岡市の魅力、住みやすさの要因は市内外への交通利便性が良い点です。空港線、七隈線、箱崎線といった地下鉄が中心部を走り、路線バスも福岡市内に1137か所もあります。

博多駅周辺で不動産投資をするのであれば、商業地のあるキャナルシティに近い祇園地区や、七隈線延伸により利便性が向上した薬院エリアがおすすめです。

飲食店やオフィスが多い天神から大名赤坂エリアなども狙い目です。博多駅から電車で13分ほどで行ける「舞鶴公園」や「大濠公園」なども近く、ファミリー層の入居者もターゲットになるでしょう。

西新・百道浜エリアは、PayPayドームから南西側に位置し、築古物件も多いですが、博多駅から電車で21分、天神駅から15分ほどの立地です。
中古物件から投資したい方や、リノベーションして不動産投資を行いたい方におすすめです。

まとめ

福岡県は東京都と比較すると、人口推移や平均年収などは劣る部分がありますが、2大再開発プロジェクトによって多くの雇用が生まれる期待があります。

人が多く集まると、当然ながら賃貸需要が高まるため、福岡での不動産投資は今まさに狙い目ともいえるでしょう。

ベルテックスでは、不動産投資セミナーを毎日開催しています。不動産投資に関する心配ごとやお悩みはぜひお気軽にお問い合わせください。

この記事を書いた人

ベルテックスコラム事務局

不動産コンサルタント・税理士

不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。

2024.11.11

不動産投資の基本

ベルテックスコラム事務局

福岡の不動産投資は危険?東京都との比較で特長や注意点を検証【東京VS福岡】

  • 日本の現状
  • メリット
  • リスク

不動産投資への関心が高まる、不動産投資を検討している方は、いったいどのエリアの物件に投資すべきか迷う方も多いのではないでしょうか。

エリアを選定する際は、他の地域との比較を行い、その地域に将来性があるのかを検討しなければいけません。

今回は五大都市のひとつである福岡にフォーカスを当て、福岡で不動産投資を行う際の将来性を東京都と比較し、福岡県内のおすすめエリアや、福岡での不動産投資を成功させるポイントを紹介します。

【東京23区と比較】福岡不動産投資の将来性

不動産投資のエリアを選定する際、やはり東京都との比較検討は外せません。東京都はもっとも人口が集中し、賃貸需要も高いエリアだからです。

ここでは、東京23区と福岡との人口推移や入居者属性などを比較しながら、福岡での不動産投資の特徴を紹介します。

人口推移

総務省統計局「人口推計」(2023年10月1日現在)によると、東京都の人口1,404万6,000人に対し、福岡県の人口は全国7位の510万3,000人でした。

順位 人口増加数の大きい都道府県 2020年度人口数
1位 東京都 1,408万6,000人
2位 神奈川県 922万9,000人
3位 大阪府 876万3,000人
4位 埼玉県 733万1,000人
5位 千葉県 625万7,000人
6位 兵庫県 537万人
7位 福岡県 510万3,000人
8位 北海道 509万,2000人
9位 静岡県 355万5,000人
10位 茨城県 282万5,000人

 

続いて、2015 年〜2020年の人口増加数が最も大きい市町村は、東京都特別区部の47万1,794人に次いで、福岡県福岡市が7万4,680人で全国2位という結果が出ています。

順位 人口増加数の大きい市町村 2015~2020年増加数
1位 東京都 特別区部 47万1,794人
2位 福岡県 福岡市 7万4,680人
3位 神奈川県 川崎市 6万3,868人
4位 大阪府 大阪市 6万3,557人
5位 埼玉県 さいたま市 6万0,612人
6位 神奈川県 横浜市 5万3,474人
7位 愛知県 名古屋市 3万7,768人
8位 千葉県 流山市 2万5,587人
9位 北海道 札幌市 2万2,709人
10位 千葉県 船橋市 2万82人

 

都道府県別、市町村別にみても人口は東京都に軍配が上がりますが、全国と比較しても福岡県は人口も多く、増加率も上位に位置しています。

福岡市の人口が増えた要因としては、企業誘致で雇用の創出が増えたことや、県外からの若い世代の人口流入などが考えられます。

福岡市は現在も人口が増加しており、2040年まで増加し続けると予測されています。

福岡市の将来人口推計

【引用】福岡市「福岡市の将来人口推計」2024年4月公表

 

また、大規模な二大再開発の「天神ビッグバン」「博多コネクティッド」などによって、利便性が高いコンパクトシティとして「住みやすさ」が評価され始めていることも人口増加につながっていると考えられます。

入居者の属性

賃貸経営するうえで確認しなければいけない点は、入居者の属性です。
ここでいう「属性」とは、住人の経済力や信頼性、モラルの高さなどを指します。

入居者の収入が家賃に対して低すぎる場合、家賃滞納されるリスクが高まり、収入減につながるだけでなく、督促や家賃の回収といった管理コストが上がります。

さらに、モラルがない入居者の場合、第三者に又貸ししたり、部屋の設備などを壊したりといったトラブルを起こす可能性もあります。

すべての人に当てはまるわけではありませんが、家賃に見合った収入が安定的に確保されている入居者であれば、家賃も毎月支払われ、トラブルを起こしにくいといえるでしょう。

賃貸トラブルで多い居住者間のマナー違反

賃貸マンションのトラブル発生状況 居住者間のマナーが60%

国土交通省の「令和5年度マンション総合調査」(2024年6月21日公表)によると、賃貸マンションのトラブルでもっとも多いのは「居住者間のマナー」(60.5%)です。

具体的には「生活音(43.6%)」、「違法駐車(18.2%)」「ペット飼育(14.2%)」などが挙げられます。ですが、これらは全国的な調査であり、東京と福岡の地域差を示す公的なデータはありません。

ただし、一般的な傾向として、都市部では賃貸物件の供給が多く、競争が激しいため、管理会社やオーナーが物件の維持管理に力を入れていることが考えられます。また、入居者側も選択肢が多いため、自分に合った物件を選びやすい環境にあると言えるでしょう。

 

一方、地方都市では、物件の供給が限られている場合があり、管理が行き届かないケースも考えられます。しかし、地域コミュニティが強固なため、入居者同士のトラブルが少ない可能性もあります。

具体的なデータがないため、これらは推測の域を出ませんが、賃貸物件を選ぶ際は、物件の管理状況や周辺環境、地域の特性などを総合的に判断することが重要です。

家賃

全国賃貸管理ビジネス協会では、全国家賃の動向について調査しており、2024年度9月調査では東京都と福岡県の平均家賃は以下の表の通りでした。

  1部屋 2部屋 3部屋 総賃料平均
東京都 7万5,537円 9万602円 9万8,675円 7万8,965円
福岡県 5万2,228円 6万6,729円 7万1,408円 6万275円

 

たとえば、区分マンション投資でワンルームマンションの賃貸経営を行う場合、東京と福岡では1年あたりの収入に約28万円の差が出ることになります。

老後の収入源を目的に区分マンションを長期的に保有する場合は、東京と福岡の物件で、ローン完済後の家賃収入に差が出ることを加味する必要があるでしょう。

ただし、九州では首都圏と比較し、物件価格が安いので、家賃が安くても利回りは高い傾向にあります。自分の不動産投資の目的に照らして、適した物件に投資をすることが大事だといえるでしょう。

【参考】不動産投資と収益物件の情報サイト健美家(けんびや)「収益物件 市場動向四半期レポート2024年7月~9月期」(2024年10月8日掲載)

人気度

福岡県は、いい部屋ネット「街の住みここち&住みたい街ランキング2024都道府県版」(2024年8月21日掲載)で、住みたい街ランキング2位を獲得しています。

順位 自治体名
1位 東京都
2位 福岡県
3位 神奈川県
4位 沖縄県
5位 北海道
6位 宮城県
7位 大阪府
8位 兵庫県
9位 静岡県
10位 長野県

 

福岡県は3年連続2位という結果。また、同じくいい部屋ネットの「住みたい街(自治体)ランキング」(2024年8月21日掲載)では5年連続で福岡市が1位となっています。

順位 自治体名
1位 福岡県 福岡市
2位 沖縄県 那覇市
3位 神奈川県 横浜市
4位 宮城県 仙台市
5位 北海道 札幌市
6位 大阪府 大阪市
7位 京都府 京都市
8位 東京都 港区
9位 兵庫県 神戸市
10位 東京都 中央区

 

福岡県はビジネスの拠点でもあり、商業施設が充実しています。県庁所在地である福岡市は、天神などの繁華街が複数あり多くの人で賑わっています。

また、福岡空港も市内から5キロ圏内の場所に位置するため、県外や海外からのアクセスが良いところも魅力の一つです。

さらに、市内から少し離れれば程よく自然もあり、海産物と山の幸、両方の食べ物がおいしいというイメージの良さがランキングに反映されたと考えられます。

福岡の不動産投資おすすめエリア

不動産投資を成功させるためには、賃貸需要が高いエリアの物件を選定することが重要です。
ここでは福岡で、賃貸需要が高いと考えられるおすすめのエリアを2か所紹介します。

博多駅周辺・ベイサイドエリア

博多駅周辺はオフィスや商業の中心であり、ベイサイドエリアは海が見えるロケーションでありながら博多や天神などの中心街へのアクセスもしやすいため、人気が高いエリアです。

現在、博多駅周辺では「博多コネクティッド」という再開発プロジェクトが行われています。
同エリアでは更新期を迎えた建物も多いため、博多コネクティッドでは10年間で20棟の建て替え誘導を目標としており、経済波及効果は1年間で約5,000億円とも想定されています。

新たなオフィス街になることで、雇用者数も32,000人から51,000人の1.6倍になる予定です。

現在では以下のプロジェクトが決まっており、すでに竣工している建物も多くあります。

名称 竣工年月
博多イーストテラス 2022年8月 完成
コネクトスクエア博多 2024年3月 完成
(仮称)西日本シティ銀行本店別館ビル建て替え計画他 2026年1月(予定)
博多駅前3丁目プロジェクト 2025年6月(予定)
(仮称)博多駅空中都市プロジェクト 2028年末(予定)
都ホテル博多 2019年7月 完成
ザ・ブラッサム博多プレミア 2019年9月 完成
九勧承天寺通りビル 2020年4月 完成
博多深見パークビルディング 2021年1月 完成
筑紫口駅前広場 2022年8月 完成

 

また、博多コネクティッドの再開発に伴い、2023年3月末時点では同エリア付近での建築確認申請数は25棟にもなり、すでに18棟も竣工しています。

貸家に関しては、福岡県の新設住宅着工戸数を確認すると、以下の表のとおり博多区は毎月多くの建物が建築されていることがわかるでしょう。

年度 博多区の新設住宅着工戸数
2024年6月 194戸
2024年7月 404戸
2024年8月 309戸

 

貸家が多く建築されるということは、賃貸需要が高いということでもあります。もともと博多駅・ベイサイドエリアは福岡の中でも定番の人気エリアです。

リクルートが公表した「住みたい街ランキング2023 福岡県版/福岡市民版」(2023年9月29日掲載)を確認すると、博多駅周辺は3年連続1位を獲得しています。

人気のあるエリアであるため、投資先としても家賃が値崩れしにくく、築古物件でも埋まりやすいので、新築マンションなどが多く建築されているのです。

また住民が増えるにつれて、スーパーやドラックストア、病院なども増加しており、博多・ベイサイドエリアだけで生活が完結することから賃貸需要も高まっています。

博多は九州屈指の商業・オフィス街の集積地です。鉄道やバス、空港などの交通の拠点である一方で、伝統的な祭りなどの地域資源が多く、都会的な機能との調和が魅力的な街です。福岡での不動産投資を考えているなら、注目すべき投資先としてチェックしておきましょう。

【参考】福岡市「天神ビッグバン・博多コネクティッドのリーフレット」2024年10月29日現在

天神エリア

天神エリアでは、「天神ビッグバン」という再開発プロジェクトが進んでいます。
更新期を迎えたビルを耐震性の高い先進的なビルに建て替えることによって、働く人や訪れる人の安心度を高めることを目的としています。

天神ビッグバンでは、すでに竣工している建物もあり、現在では以下の11もの工事が予定されています。

名称 竣工年月
天神ビジネスセンター 2021年9月 完成
福岡大名ガーデンシティ 2022年12月 完成
ヒューリック福岡ビル 2024年12月(予定)
ONE FUKUOKA BLDG. 2024年末(予定)
天神1丁目北14番街区ビル 2025年3月(予定)
住友生命福岡ビル・天神西通りビジネスセンター建替え計画 2025年5月(予定)
天神1-7計画 2026年12月末(予定)
天神ビジネスセンター2期計画 2026年6月(予定)
天神2丁目南ブロック駅前東西街区 2030年(予定)
天神1丁目15・16番街区 2030年(予定)
福岡中央郵便局・イオンショッパーズ福岡段階連鎖建替えプロジェクト 2030年(予定)

 

天神の再開発により、雇用者数の増大も大きく見込めます。博多駅へのアクセスもよいことから、住居だけでなく、企業からの人気も高まることでしょう。

実際にこれらの再開発により、国土交通省が発表する「【令和6年地価公示】都道府県別・用途別対前年平均変動率」(2024年3月掲載) では、福岡県の商業地の地価上昇率は4年連続全国1位を記録しています。

順位 自治体名 地価上昇率
1位 福岡県 5.3%
2位 北海道 4.9%
3位 宮城県 3.6%

 

地価が高くなっているということは、福岡県に魅力を感じている人も多いということです。

さらに天神ビッグバンは2030年まで計画されているため、今後も地価上昇が期待できるエリアといえるでしょう。

福岡県の不動産投資物件を購入し、将来的に売却すれば、売却益を狙うこともできるため、ぜひチェックしておきたいエリアの一つです。

【参考】福岡市「天神ビッグバン・博多コネクティッドのリーフレット」2024年10月29日現在

福岡県で不動産投資を成功させるポイント

東京都と比較すると、福岡県は人口推移や県民の属性などは劣る点がありますが、再開発に伴う将来性には大きな期待が持てるエリアです。

とはいえ、福岡県で不動産投資をすれば必ず成功するというわけではありません。
不動産投資の成功率を高めるために、以下の3つのポイントを理解してから始めましょう。

エリアごとの特徴や歴史を十分に調査する

不動産投資を成功させるためには、エリアごとの特徴や歴史を調査したうえで投資物件を選定することが大切です。

福岡県は地震が少ない地域として知られていますが、県内には6つの主要活断層帯があり、なかでも警固断層の存在が注目されています。
警固断層は、玄界灘から博多湾を経て、福岡平野にかけてほぼ北西−南東に分布する活断層帯です。

過去には2005年に玄界灘でマグネチュード7.0の地震が発生し、震源に近い福岡市西区の玄界島で住宅の半数が全壊する被害がありました。

地震調査研究推進本部では、今後30年以内に地震が発生する確率を4つのランクに分けており、警固断層は最上位のSランク(地震発生確率3%以上)に位置づけされています。

想定される地震の規模はマグニチュード7.2。死者1,000人以上、約1万8000棟の建物が全壊となる被害想定です。

特に博多駅周辺や天神エリアは、福岡市の中でも警固断層が近く、揺れやすいと考えられています。

住所検索ハザードマップでは、国立研究開発法人防災科学技術研究所の「全国地震動予測地図2020」(2021年3月掲載)をもとに、今後30年間に震度6以上の地震に見舞われる確率が高い福岡県の区市町村ランキングが公表されています。

順位 自治体名 震度6強以上 震度6弱以上
1位 福岡市 南区 4.2% 12.1%
2位 三井郡 大刀洗町 3.9% 16.8%
3位 糟屋郡 志免町 3.9% 12.0%
4位 築上群 吉富町 3.6% 21.4%
5位 福岡市 博多区 3.5% 9.3%
6位 福岡市 城南区 3.2% 8.5%
7位 糟屋郡 新宮町 3.0% 9.8%
8位 福岡市 西区 2.8% 8.3%
9位 春日市 2.8% 6.8%
10位 中間市 2.7% 12.5%

 

【引用】住所検索ハザードマップ「日本全国!47都道府県の地震危険度ランキング」2022年2月12日掲載

 

天神エリアがある福岡市中央区は、震度6強以上の地震が発生する可能性は2.6%で12位です。

地震以外にも、福岡市は那珂川や御笠川、博多川に囲まれた地域であるため、洪水リスクが高い地域です。過去には九州豪雨などの自然災害で、多くの建物の被害を受けたこともあります。

このように、事前にハザードマップなどを確認すれば、どの程度の災害リスクを織り込んで不動産投資を行うべきかの目途が立ちます。エリアごとの特徴や歴史を十分調査したうえで、投資物件の選定を行いましょう。

地域経済の動きを把握する

経済が活性化すればそこに雇用が生まれ、そのための賃貸需要が増えます。そのため、不動産投資をする際には地域経済の動向を把握しておくことが大切です。

特に福岡では、人口減少が進む日本国内で経済が活性化しており、多くの企業が福岡で人材を求め、地域の成長に貢献しています。また、福岡市の調査によれば2020年以降、雇用数は増加傾向にあり、開業率も全国の主要都市の中で1位を記録しています(福岡市経済観光文化局「福岡市経済の概況」2024年9月掲載)。

AI技術の普及により、今後はロボットや自動化の導入が進む可能性もありますが、不動産投資においては依然として「人が集まる地域」の物件が重視されます。そのため、投資物件の経済動向に注視し、需要の変化を見極めることが大切です。

交通利便性を重視する

福岡県内に投資する際は、交通利便性を重視しておきましょう。

福岡県は、森記念財団都市戦略研究所がまとめた「世界の都市力総合ランキング」によると、公共交通の充実・正確さランキングで世界32位、日本2位です。

通勤と通学時間が短いだけでなく、福岡空港から博多駅まではわずか5分、天神までもたった11分とアクセス力も高い点が評価されています。

特に福岡市の魅力、住みやすさの要因は市内外への交通利便性が良い点です。空港線、七隈線、箱崎線といった地下鉄が中心部を走り、路線バスも福岡市内に1137か所もあります。

博多駅周辺で不動産投資をするのであれば、商業地のあるキャナルシティに近い祇園地区や、七隈線延伸により利便性が向上した薬院エリアがおすすめです。

飲食店やオフィスが多い天神から大名赤坂エリアなども狙い目です。博多駅から電車で13分ほどで行ける「舞鶴公園」や「大濠公園」なども近く、ファミリー層の入居者もターゲットになるでしょう。

西新・百道浜エリアは、PayPayドームから南西側に位置し、築古物件も多いですが、博多駅から電車で21分、天神駅から15分ほどの立地です。
中古物件から投資したい方や、リノベーションして不動産投資を行いたい方におすすめです。

まとめ

福岡県は東京都と比較すると、人口推移や平均年収などは劣る部分がありますが、2大再開発プロジェクトによって多くの雇用が生まれる期待があります。

人が多く集まると、当然ながら賃貸需要が高まるため、福岡での不動産投資は今まさに狙い目ともいえるでしょう。

ベルテックスでは、不動産投資セミナーを毎日開催しています。不動産投資に関する心配ごとやお悩みはぜひお気軽にお問い合わせください。

この記事を書いた人

ベルテックスコラム事務局

不動産コンサルタント・税理士

不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。