2024.02.29

不動産投資の基本

ベルテックスコラム事務局

投資用マンションはデメリットが多いって本当?失敗しないコツは?

  • はじめ方・基礎知識
  • メリット
  • リスク
  • マンション投資
  • 初心者

不動産投資に興味を持ち始めると、マンションオーナーに憧れを抱く一方で「投資用マンションは失敗するからやめた方がいい」と言う声を聞き、躊躇してしまう人が多いと思います。堅実な資産形成のためにおすすめのマンション投資ですが、スタートするには不動産投資の仕組みに対する理解が必要です。

本記事では、投資用マンションのメリットやデメリット、失敗を回避するためのコツについて解説します。全ての不動産投資に共通して言える内容もあるので、ぜひ最後までご覧ください。

投資用マンションとは

投資用マンションとは、自らが住む居住用マンションとは異なり、賃貸用として入居者に貸し出して家賃収入を得ることを目的としたマンションのことです。
「老後の暮らしを豊かにするため」などの理由から、将来に向けた資産形成として会社員などから人気があります。

投資用マンションで資産形成する方法には、1棟マンション投資と区分マンション投資の2種類があり、価格面で手が出しやすいことから1室、もしくは数室を購入する区分マンション投資が人気です。

高額な商品である不動産を購入する際、金融機関からの借り入れを行うことが一般的ですが、投資用マンションでは低金利である「住宅ローン」を利用して購入することはできません。住宅ローンよりも金利が高く、審査の厳しい「投資用ローン」として借り入れを行うため、実際に購入できる人が限定的な投資方法です。

投資用マンションのメリット

日本では古くより「不動産投資」が行われ、近年でも多くの投資家から注目を集め続けています。不動産経営は株やFXなど先物取引とは違い、有形物が存在する実物資産の利点を活かせることが大きな特徴です。投資用マンションのメリットにはどのようなものがあるのか、下記に5点挙げてみました。

家賃収入を得られる

1つ目のメリットであり、投資用マンションを購入する大きな目的が「入居者である第三者から家賃収入を得られること」です。
投資用マンションを購入して運用を始めると、入居者さえ見つかれば一定期間は毎月安定した収入が得られます。不動産経営では、家賃収入から毎月のローン返済をまかなう仕組みです。

上手くいけば、家賃収入だけでローンを完済して資産も手に入れることができます。また、ローン返済後は家賃収入がまるまる手元に残るので、老後の年金にプラスする資産形成にピッタリな投資と言えるでしょう。

インフレに強い資産を持てる

2つ目のメリットは、実物資産という特性を活かしてインフレに強い資産を持つことができる点です。インフレとは「インフレーション」の略で、モノの価値が上昇する、つまり日用品などの価格が上がることによりお金の価値が下落することを言います。現在の日本でも2020年より世界中で大流行した新型コロナウイルスの影響などでインフレが続き、物価が上昇に歯止めがきかない状況です。そんな時でも不動産投資がインフレに強いと言われるのは、主に3つの理由があります。

  1. 物価上昇に伴い家賃が上昇しやすくなる
  2. 不動産そのものに価値があるため物価変動の影響を受けづらい
  3. ローンによる借り入れ金額が実質的に目減りすることになる

3点目の理由についてイメージしづらいかもしれませんが、インフレ時には投資用ローンで借り入れをしているお金の価値も下がっている状況になります。逆に言えば、毎月の返済金額そのものは変わらなくても、返済するお金の価値は下がっているのです。このように経済状況の変動に左右されにくいことは、大きな強みと言えるでしょう。

本業と両立しやすい

3つ目のメリットは、サラリーマンなど本業の仕事と両立がしやすいことです。投資や資産形成に興味があっても、いざスタートするとなると本業が忙しくなかなか腰が上がらない人も多いでしょう。

しかし、マンション投資や他の不動産投資では、一度購入してしまえば委託料を支払ってプロである管理会社に物件の管理・入居者の対応を一任することが可能です。
購入時こそ物件選定やローン審査などの手間がかかりますが、その後は管理会社からの報告や交渉に対応するだけなので、本業が忙しくても毎月の作業は収支明細の確認ぐらいでしょう。

節税対策になる

4つ目のメリットは、投資用マンションの運用をすることで節税対策になることです。節税について耳にしたことがある人の多くは、個人所有による所得税と住民税のことを言われているかと思います。これは、確定申告時に行われる経費計上や損益通算により、最終的にトータルの課税所得を減らす仕組みによるものです。ただし、損益通算はマンション投資の運用が赤字になったときに限り、適用は限定的になります。

投資用マンションの運用は、相続税・贈与税の節税対策としても有効的です。日本では、親族から遺された資産を相続すると、相続人は資産によって相続税が課税されます。相続税は国税庁が定める「相続税評価額」を基準に算出されますが、預貯金よりも建物による資産の方が評価額は低く設定されているのです。その結果、課税される相続税の額面を抑えることができます。

また、保有資産を生前贈与する場合には、適用要件を満たすと「相続時精算課税制度」などの特例制度により一定額までは非課税で贈与することが可能です。
このように節税の種類は様々であるため、得られる恩恵は人それぞれでしょう。

レバレッジを効かせられる

5つ目のメリットは、不動産投資にはレバレッジを効かせられることです。不動産投資のレバレッジ効果とは、融資利用を活かして少額の自己資金で高い収益性を得ること言います。立地や物件などの諸条件で費用は異なりますが、投資用マンションの価格帯で多いのは1,000~3,000万円程度です。手元に500万円の自己資金があった場合に物件価格500万円のマンションを購入するのと、融資利用して物件価格3,000万円のマンションを購入するのでは、後者の方が収益性の高い運用ができます。

金融機関からの借り入れでレバレッジ効果を得られるのは、不動産投資ならではのメリットでしょう。

投資用マンションのデメリット

投資用マンションには多くのメリットがある反面、高額商品なのでリスクが多いのも事実です。下記では、投資用マンションのデメリットについて挙げてみました。

空室リスクがある

不動産投資を行う上で、様々なリスクが伴います。

はじめにご紹介するのが、空室リスクです。先述で入居者が見つかると一定期間は安定的な収入が得られることをお伝えしましたが、入居者が見つからない場合には収入が得られません。家賃収入によりローン返済を行う不動産投資では、空室の発生はまさに大打撃です。1棟経営の場合は、空室が発生しても他室からの家賃収入によりローン返済額を下回らずに済むことがありますが、区分マンションなど1室経営では、他室からの家賃収入でカバーできず預貯金などによる手出しが必要となります。

家賃滞納リスクがある

次に家賃滞納のリスクです。家賃滞納で怖いのは収入が途絶えることだけではありません。

はじめに懸念されるのは、新しい入居者を募集したくても消費者保護の観点から退去させることは容易でなく、そのまま住み続けられてしまうことが挙げられます。
家賃滞納が発生すると、入居者から入金が無くても会計上は未収金として処理が必要です。さらに未収金でも税金の課税対象となってしまうので、オーナーの悩みの種となるでしょう。

もう1つの懸念は、失踪や夜逃げをされてしまい、貯まった滞納分が未払いになってしまうケースです。一昔前まではオーナーが泣き寝入りせざるを得ないことが多くありましたが、家賃保証会社を上手く活用することで被害を最小限に抑えることもできるようになってきました。

家賃下落リスクがある

経年とともに家賃下落のリスクがあることも忘れてはいけません。建物や設備は経年により古くなって価値が下がるので、将来に向かって家賃は下降していくものです。このデメリットに対処するには「家賃の下落幅をいかに抑えるか」が重要になるでしょう。

家賃下落が発生するのは既存入居者が退去後、新しい入居者を募集するタイミングで空室が長く続いた際に多く見られます。駅から近く周辺環境が良いなど需要の多い人気物件で、適正価格であれば家賃下落は起こりづらいものです。
また、空室を長引かせないためには、水回り設備を新品に交換することなども有効的でしょう。

金利上昇リスクがある

金融機関からの借り入れによるマンション投資は、経済情勢の変動によって金利上昇のリスクがあります。借り入れ金額が多いほど金利上昇のリスクは大きくなり、返済に占めるキャッシュフローの割合が高くなり悪影響となるでしょう。

金利が上昇した場合、手元に貯めておいた資金で繰り上げ返済をすることで利息を減らすことも検討するべきです。固定金利を選択することで金利上昇リスクを抑えることは可能ですが、そもそも変動金利よりも高い利率の固定金利を選択することが不動産投資においてベストとは言えません。金利上昇リスクに対処するためには、事前に金利上昇リスクを加味したシミュレーションを綿密に行うことでしょう。

災害リスクがある

発生の想定が難しいのが、災害リスクです。

地震や大雨、台風など自然災害は避けようがありませんが、建物に大きなダメージを与えて修繕費が膨大になることが懸念されます。自然災害についてはいつ起こるか分からないので、最低限やれることはやっておくべきです。エリアのハザードマップや建物の耐震性・耐火性についての確認は必ずしておきましょう。中古物件の場合、昭和56年6月1日以降の新耐震基準を満たしているかは非常に重要ポイントです。

また、災害リスクによる修繕は保険の適用対象となるケースが多くあります。保険内容を精査して適切な保険加入をすることで、被害をカバーできるような体制を整えておきましょう。

資産価値が下落する可能性がある

そのものに価値がある実物資産には、資産価値の下落リスクがあります。「物件エリア自体の衰退」「経年による建物の老朽化」など様々な理由で資産価値が下落し、思っていたような価格で売却ができないことがあるでしょう。資産価値は、ポイントを抑えることで高く保ち続けることができます。

  • 日常的なメンテナンスを行う
  • リフォームやリノベーションを行う
  • ペット飼育可物件にする
  • 設備類を新品に取り換える

資産価値の下落に対応するためには、あらかじめ出口戦略を考案しておくことも大切です。また、区分マンションでは土地の所有権を一部有しますが、実質的に土地を自分のものにすることはできません。その点では、1棟投資の方が土地そのものまで自分の資産にすることができるため、資産価値が高いと言えます。

株式や債権よりも流動性が低い

最後にご紹介するデメリットは、株式や債権よりも流動性が低いことです。どういうことかというと、流動性が高い株式や債権は市場ですぐに買い手が見つかり現金化することができます。反対に流動性が低いということは、購入希望者そのものが多くないため売却までに時間がかかってしまう、ということです。

ただし、流動性が低いものの相場の変動性は穏やかなので、資産としての不安定さは少ないように思います。

投資用マンションで失敗しないコツ

投資用マンションのメリット・デメリットについてご理解頂けたでしょうか。ここからは、投資用マンションの購入を検討している方へ失敗しないためのコツをお伝えします。

賃貸需要のある物件を選ぶ

マンション投資を行う際には賃貸需要の高い物件を選定することが、成功に導く最重要ポイントです。賃貸需要の高い人気物件は「空室リスク」「家賃下落リスク」「資産価値下落リスク」を低減させてくれます。

賃貸需要の高い物件とは?

  • 対象エリアにおける適正家賃である
  • 対象エリアの需要にあった間取りである
  • 人気のある駅から近い(徒歩7分以内が理想)
  • スーパー・薬局・コンビニなど日用品販売店から近い

賃貸需要の高い物件は、金融機関のローン審査でも評価され金利が優遇される可能性があります。不動産は出会いと言うように、上記の条件を満たす物件でなければ安易に手を出してはいけません。

新耐震基準を満たす物件を選ぶ

次に昭和56年6月1日以降に建築された新耐震基準を満たす物件を選択しましょう。前章の「災害リスク」でお伝えした耐震性が低いことはもちろんですが、他にも旧耐震を避けるべき理由があります。節税対策となる贈与税の非課税制度が利用できないことや将来的にマンション積立修繕金が予想以上の高額になってしまうことです。

また、地震発生による建物倒壊で入居者が怪我や死亡してしまった場合には、賠償責任を問われてしまうリスクがあります。ちなみに新耐震基準の起算日となる昭和56年6月1日以降とは、新築年月日ではなく確認申請の承認日ですので注意しましょう。

入居者募集に強い管理会社を選ぶ

空室を出さないためには、入居者募集(客付け)に強い管理会社を選ぶことです。現在は、約8割近くの人がインターネットリサーチによる方法で部屋探しを行っています。
重要視するべき点は、客付けのために需要の高い媒介ポータルサイトを利用していること、写真の撮り方が上手なことです。

また、管理会社が街の賃貸仲介会社へ客付けを依頼する場合もあるので、賃貸仲介会社との良好な関係性が築けているかどうかも確認しましょう。

建物のメンテナンスをしっかりと行なう

建物の購入後は、メンテナンスをしっかりと行いましょう。区分マンションは一般的に修繕積立金を支払い、管理組合がメンテナンスや大規模修繕を行います。

しかし、1棟経営では全てを自分で行わなくてはなりません。日頃のメンテナンスにより建物の状態を知っておくことで、突発的に発生する修繕費を抑え、建物を長持ちさせることができます。建物を維持するための費用を惜しむと結果的に大損失に繋がることがあるので、外壁塗装や屋根の防水工事など高額メンテナンスにおいても購入前から頭に入れておきましょう。

信頼できる不動産投資会社に相談する

不動産投資家に共通して言えることですが、信頼して相談できる不動産投資会社や担当者がいることはとても強みになります。不動産会社はお客様に販売した商品から利益を算出しているので、中にはやはりお客様の足元を見る悪徳業者がいるのも事実です。

不動産投資は、物件の購入後も不動産会社と長いお付き合いになります。マンション投資を成功させるためには、リスク発生時の対処法やいざと言うときに正確な情報を得られるメンターを見つけておくことも非常に重要です。複数の不動産会社を比較して、安心して相談のできる会社、担当者を見つけましょう。

まとめ

本記事では、前半で挙げた投資用マンションのメリットとデメリットを踏まえ、後半ではマンション投資で失敗しないためのコツについて解説しました。区分マンションでもワンルーム物件と3LDK以上となるファミリー向け物件では、運用戦略が異なります。投資用マンションの購入を検討している人は、デメリットで起こりうるリスクを十分理解した上で綿密にキャッシュフローのシミュレーションを行い、成功できる物件を見極めましょう。

ベルテックスでは、不動産投資の専門家による無料オンラインセミナーを開催しています。ご自宅からオンラインでご参加いただけますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

この記事を書いた人

ベルテックスコラム事務局

不動産コンサルタント・税理士

不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。

2024.02.29

不動産投資の基本

ベルテックスコラム事務局

投資用マンションはデメリットが多いって本当?失敗しないコツは?

  • はじめ方・基礎知識
  • メリット
  • リスク
  • マンション投資
  • 初心者

不動産投資に興味を持ち始めると、マンションオーナーに憧れを抱く一方で「投資用マンションは失敗するからやめた方がいい」と言う声を聞き、躊躇してしまう人が多いと思います。堅実な資産形成のためにおすすめのマンション投資ですが、スタートするには不動産投資の仕組みに対する理解が必要です。

本記事では、投資用マンションのメリットやデメリット、失敗を回避するためのコツについて解説します。全ての不動産投資に共通して言える内容もあるので、ぜひ最後までご覧ください。

投資用マンションとは

投資用マンションとは、自らが住む居住用マンションとは異なり、賃貸用として入居者に貸し出して家賃収入を得ることを目的としたマンションのことです。
「老後の暮らしを豊かにするため」などの理由から、将来に向けた資産形成として会社員などから人気があります。

投資用マンションで資産形成する方法には、1棟マンション投資と区分マンション投資の2種類があり、価格面で手が出しやすいことから1室、もしくは数室を購入する区分マンション投資が人気です。

高額な商品である不動産を購入する際、金融機関からの借り入れを行うことが一般的ですが、投資用マンションでは低金利である「住宅ローン」を利用して購入することはできません。住宅ローンよりも金利が高く、審査の厳しい「投資用ローン」として借り入れを行うため、実際に購入できる人が限定的な投資方法です。

投資用マンションのメリット

日本では古くより「不動産投資」が行われ、近年でも多くの投資家から注目を集め続けています。不動産経営は株やFXなど先物取引とは違い、有形物が存在する実物資産の利点を活かせることが大きな特徴です。投資用マンションのメリットにはどのようなものがあるのか、下記に5点挙げてみました。

家賃収入を得られる

1つ目のメリットであり、投資用マンションを購入する大きな目的が「入居者である第三者から家賃収入を得られること」です。
投資用マンションを購入して運用を始めると、入居者さえ見つかれば一定期間は毎月安定した収入が得られます。不動産経営では、家賃収入から毎月のローン返済をまかなう仕組みです。

上手くいけば、家賃収入だけでローンを完済して資産も手に入れることができます。また、ローン返済後は家賃収入がまるまる手元に残るので、老後の年金にプラスする資産形成にピッタリな投資と言えるでしょう。

インフレに強い資産を持てる

2つ目のメリットは、実物資産という特性を活かしてインフレに強い資産を持つことができる点です。インフレとは「インフレーション」の略で、モノの価値が上昇する、つまり日用品などの価格が上がることによりお金の価値が下落することを言います。現在の日本でも2020年より世界中で大流行した新型コロナウイルスの影響などでインフレが続き、物価が上昇に歯止めがきかない状況です。そんな時でも不動産投資がインフレに強いと言われるのは、主に3つの理由があります。

  1. 物価上昇に伴い家賃が上昇しやすくなる
  2. 不動産そのものに価値があるため物価変動の影響を受けづらい
  3. ローンによる借り入れ金額が実質的に目減りすることになる

3点目の理由についてイメージしづらいかもしれませんが、インフレ時には投資用ローンで借り入れをしているお金の価値も下がっている状況になります。逆に言えば、毎月の返済金額そのものは変わらなくても、返済するお金の価値は下がっているのです。このように経済状況の変動に左右されにくいことは、大きな強みと言えるでしょう。

本業と両立しやすい

3つ目のメリットは、サラリーマンなど本業の仕事と両立がしやすいことです。投資や資産形成に興味があっても、いざスタートするとなると本業が忙しくなかなか腰が上がらない人も多いでしょう。

しかし、マンション投資や他の不動産投資では、一度購入してしまえば委託料を支払ってプロである管理会社に物件の管理・入居者の対応を一任することが可能です。
購入時こそ物件選定やローン審査などの手間がかかりますが、その後は管理会社からの報告や交渉に対応するだけなので、本業が忙しくても毎月の作業は収支明細の確認ぐらいでしょう。

節税対策になる

4つ目のメリットは、投資用マンションの運用をすることで節税対策になることです。節税について耳にしたことがある人の多くは、個人所有による所得税と住民税のことを言われているかと思います。これは、確定申告時に行われる経費計上や損益通算により、最終的にトータルの課税所得を減らす仕組みによるものです。ただし、損益通算はマンション投資の運用が赤字になったときに限り、適用は限定的になります。

投資用マンションの運用は、相続税・贈与税の節税対策としても有効的です。日本では、親族から遺された資産を相続すると、相続人は資産によって相続税が課税されます。相続税は国税庁が定める「相続税評価額」を基準に算出されますが、預貯金よりも建物による資産の方が評価額は低く設定されているのです。その結果、課税される相続税の額面を抑えることができます。

また、保有資産を生前贈与する場合には、適用要件を満たすと「相続時精算課税制度」などの特例制度により一定額までは非課税で贈与することが可能です。
このように節税の種類は様々であるため、得られる恩恵は人それぞれでしょう。

レバレッジを効かせられる

5つ目のメリットは、不動産投資にはレバレッジを効かせられることです。不動産投資のレバレッジ効果とは、融資利用を活かして少額の自己資金で高い収益性を得ること言います。立地や物件などの諸条件で費用は異なりますが、投資用マンションの価格帯で多いのは1,000~3,000万円程度です。手元に500万円の自己資金があった場合に物件価格500万円のマンションを購入するのと、融資利用して物件価格3,000万円のマンションを購入するのでは、後者の方が収益性の高い運用ができます。

金融機関からの借り入れでレバレッジ効果を得られるのは、不動産投資ならではのメリットでしょう。

投資用マンションのデメリット

投資用マンションには多くのメリットがある反面、高額商品なのでリスクが多いのも事実です。下記では、投資用マンションのデメリットについて挙げてみました。

空室リスクがある

不動産投資を行う上で、様々なリスクが伴います。

はじめにご紹介するのが、空室リスクです。先述で入居者が見つかると一定期間は安定的な収入が得られることをお伝えしましたが、入居者が見つからない場合には収入が得られません。家賃収入によりローン返済を行う不動産投資では、空室の発生はまさに大打撃です。1棟経営の場合は、空室が発生しても他室からの家賃収入によりローン返済額を下回らずに済むことがありますが、区分マンションなど1室経営では、他室からの家賃収入でカバーできず預貯金などによる手出しが必要となります。

家賃滞納リスクがある

次に家賃滞納のリスクです。家賃滞納で怖いのは収入が途絶えることだけではありません。

はじめに懸念されるのは、新しい入居者を募集したくても消費者保護の観点から退去させることは容易でなく、そのまま住み続けられてしまうことが挙げられます。
家賃滞納が発生すると、入居者から入金が無くても会計上は未収金として処理が必要です。さらに未収金でも税金の課税対象となってしまうので、オーナーの悩みの種となるでしょう。

もう1つの懸念は、失踪や夜逃げをされてしまい、貯まった滞納分が未払いになってしまうケースです。一昔前まではオーナーが泣き寝入りせざるを得ないことが多くありましたが、家賃保証会社を上手く活用することで被害を最小限に抑えることもできるようになってきました。

家賃下落リスクがある

経年とともに家賃下落のリスクがあることも忘れてはいけません。建物や設備は経年により古くなって価値が下がるので、将来に向かって家賃は下降していくものです。このデメリットに対処するには「家賃の下落幅をいかに抑えるか」が重要になるでしょう。

家賃下落が発生するのは既存入居者が退去後、新しい入居者を募集するタイミングで空室が長く続いた際に多く見られます。駅から近く周辺環境が良いなど需要の多い人気物件で、適正価格であれば家賃下落は起こりづらいものです。
また、空室を長引かせないためには、水回り設備を新品に交換することなども有効的でしょう。

金利上昇リスクがある

金融機関からの借り入れによるマンション投資は、経済情勢の変動によって金利上昇のリスクがあります。借り入れ金額が多いほど金利上昇のリスクは大きくなり、返済に占めるキャッシュフローの割合が高くなり悪影響となるでしょう。

金利が上昇した場合、手元に貯めておいた資金で繰り上げ返済をすることで利息を減らすことも検討するべきです。固定金利を選択することで金利上昇リスクを抑えることは可能ですが、そもそも変動金利よりも高い利率の固定金利を選択することが不動産投資においてベストとは言えません。金利上昇リスクに対処するためには、事前に金利上昇リスクを加味したシミュレーションを綿密に行うことでしょう。

災害リスクがある

発生の想定が難しいのが、災害リスクです。

地震や大雨、台風など自然災害は避けようがありませんが、建物に大きなダメージを与えて修繕費が膨大になることが懸念されます。自然災害についてはいつ起こるか分からないので、最低限やれることはやっておくべきです。エリアのハザードマップや建物の耐震性・耐火性についての確認は必ずしておきましょう。中古物件の場合、昭和56年6月1日以降の新耐震基準を満たしているかは非常に重要ポイントです。

また、災害リスクによる修繕は保険の適用対象となるケースが多くあります。保険内容を精査して適切な保険加入をすることで、被害をカバーできるような体制を整えておきましょう。

資産価値が下落する可能性がある

そのものに価値がある実物資産には、資産価値の下落リスクがあります。「物件エリア自体の衰退」「経年による建物の老朽化」など様々な理由で資産価値が下落し、思っていたような価格で売却ができないことがあるでしょう。資産価値は、ポイントを抑えることで高く保ち続けることができます。

  • 日常的なメンテナンスを行う
  • リフォームやリノベーションを行う
  • ペット飼育可物件にする
  • 設備類を新品に取り換える

資産価値の下落に対応するためには、あらかじめ出口戦略を考案しておくことも大切です。また、区分マンションでは土地の所有権を一部有しますが、実質的に土地を自分のものにすることはできません。その点では、1棟投資の方が土地そのものまで自分の資産にすることができるため、資産価値が高いと言えます。

株式や債権よりも流動性が低い

最後にご紹介するデメリットは、株式や債権よりも流動性が低いことです。どういうことかというと、流動性が高い株式や債権は市場ですぐに買い手が見つかり現金化することができます。反対に流動性が低いということは、購入希望者そのものが多くないため売却までに時間がかかってしまう、ということです。

ただし、流動性が低いものの相場の変動性は穏やかなので、資産としての不安定さは少ないように思います。

投資用マンションで失敗しないコツ

投資用マンションのメリット・デメリットについてご理解頂けたでしょうか。ここからは、投資用マンションの購入を検討している方へ失敗しないためのコツをお伝えします。

賃貸需要のある物件を選ぶ

マンション投資を行う際には賃貸需要の高い物件を選定することが、成功に導く最重要ポイントです。賃貸需要の高い人気物件は「空室リスク」「家賃下落リスク」「資産価値下落リスク」を低減させてくれます。

賃貸需要の高い物件とは?

  • 対象エリアにおける適正家賃である
  • 対象エリアの需要にあった間取りである
  • 人気のある駅から近い(徒歩7分以内が理想)
  • スーパー・薬局・コンビニなど日用品販売店から近い

賃貸需要の高い物件は、金融機関のローン審査でも評価され金利が優遇される可能性があります。不動産は出会いと言うように、上記の条件を満たす物件でなければ安易に手を出してはいけません。

新耐震基準を満たす物件を選ぶ

次に昭和56年6月1日以降に建築された新耐震基準を満たす物件を選択しましょう。前章の「災害リスク」でお伝えした耐震性が低いことはもちろんですが、他にも旧耐震を避けるべき理由があります。節税対策となる贈与税の非課税制度が利用できないことや将来的にマンション積立修繕金が予想以上の高額になってしまうことです。

また、地震発生による建物倒壊で入居者が怪我や死亡してしまった場合には、賠償責任を問われてしまうリスクがあります。ちなみに新耐震基準の起算日となる昭和56年6月1日以降とは、新築年月日ではなく確認申請の承認日ですので注意しましょう。

入居者募集に強い管理会社を選ぶ

空室を出さないためには、入居者募集(客付け)に強い管理会社を選ぶことです。現在は、約8割近くの人がインターネットリサーチによる方法で部屋探しを行っています。
重要視するべき点は、客付けのために需要の高い媒介ポータルサイトを利用していること、写真の撮り方が上手なことです。

また、管理会社が街の賃貸仲介会社へ客付けを依頼する場合もあるので、賃貸仲介会社との良好な関係性が築けているかどうかも確認しましょう。

建物のメンテナンスをしっかりと行なう

建物の購入後は、メンテナンスをしっかりと行いましょう。区分マンションは一般的に修繕積立金を支払い、管理組合がメンテナンスや大規模修繕を行います。

しかし、1棟経営では全てを自分で行わなくてはなりません。日頃のメンテナンスにより建物の状態を知っておくことで、突発的に発生する修繕費を抑え、建物を長持ちさせることができます。建物を維持するための費用を惜しむと結果的に大損失に繋がることがあるので、外壁塗装や屋根の防水工事など高額メンテナンスにおいても購入前から頭に入れておきましょう。

信頼できる不動産投資会社に相談する

不動産投資家に共通して言えることですが、信頼して相談できる不動産投資会社や担当者がいることはとても強みになります。不動産会社はお客様に販売した商品から利益を算出しているので、中にはやはりお客様の足元を見る悪徳業者がいるのも事実です。

不動産投資は、物件の購入後も不動産会社と長いお付き合いになります。マンション投資を成功させるためには、リスク発生時の対処法やいざと言うときに正確な情報を得られるメンターを見つけておくことも非常に重要です。複数の不動産会社を比較して、安心して相談のできる会社、担当者を見つけましょう。

まとめ

本記事では、前半で挙げた投資用マンションのメリットとデメリットを踏まえ、後半ではマンション投資で失敗しないためのコツについて解説しました。区分マンションでもワンルーム物件と3LDK以上となるファミリー向け物件では、運用戦略が異なります。投資用マンションの購入を検討している人は、デメリットで起こりうるリスクを十分理解した上で綿密にキャッシュフローのシミュレーションを行い、成功できる物件を見極めましょう。

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この記事を書いた人

ベルテックスコラム事務局

不動産コンサルタント・税理士

不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。