2024.02.29

不動産投資の基本

ベルテックスコラム事務局

容積率とは何か?計算方法や上限・緩和特例について解説!

  • はじめ方・基礎知識
  • 計算

「土地」や「建物」には人々の安全や住みやすい暮らしを守るため、様々な法律が設けられています。さらに特有の法令・条例・規則が定められている地域もあり、その基準全てを満たした建築物にしなくてはいけません。

今回は、中でも重要な「容積率」について、どのような規制であるのか詳しくお伝えしていきます。
容積率を理解せずに不動産を購入してしまうと、理想の広さや間取の家を建設することができず後悔してしまうかもしれません。

容積率とは

不動産やマイホームを購入したことある人、もしくは興味がある人は「容積率」や「建ぺい率」について、一度は聞いたり目にしたことがあるでしょう。しかし、頭ではなんとなくのイメージで理解しているけれど、実際に自分で言葉にして説明するのは難しいものです。

容積率の概要

容積率とは「建物の延床面積の敷地面積に対する割合」のことです。延床面積とは各階の床面積を合算した数値で、イメージしやすく言えば「土地に対して何階建てまでの建物を建築できるか」「容積率が高いほど、高さのある建築物が立てられる」ということになります。冒頭でもお伝えした通り、各規制には人々の生活を守るという意図がありますが、容積率は主に人口抑制のために定められました。

もしも容積率を高く設定して、その地域に高い建築物が建てられるようになると、人口過多になってしまう可能性が懸念されます。さらに、水や電気などの資源不足が引き起こされ、さらに事態が悪化してしまうと貧困や経済格差を招いてしまう可能性もあります。

容積率は、供給される資源と人口割合を調整する重要な意味合いを持っているのです。

建ぺい率との違い

家探しの際に利用するポータルサイトなどで、容積率とセットで出てくる規制に「建ぺい率」があります。建ぺい率とは、敷地面積に対する建築面積の割合のことです。分かりやすく言うと「土地に対して何%の割合で家屋を建築してよいか」を定めた数値になります。例えば、建ぺい率60%と設定された100平米の土地がある場合、60平米までの敷地上であれば建物を建築することが可能です。

容積率とセットで使われていますが両者は全く別物で、建ぺい率には防火対策や風通し・日当たりを確保する意図があります。敷地の隅から隅までピッタリに建物が建築されてしまうと、火災が発生した場合すぐに隣地へ燃え広がってしまいますが、建ぺい率を定めることによって被害拡大を防止してくれるでしょう。

同様に隣地と建物同士の距離が近いと風の通り道が無く湿気がこもりやすく、さらに日が当たらず室内が暗くなってしまうなどの不具合が発生します。建ぺい率を設定することにより、日照・採光・通風などを保った快適な生活を送ることができます。

容積率の計算方法

容積率の制限を超える建物は、違法建築物となり建物を建てることができません。本章では容積率の計算方法について説明するので、実際に計算をして建築できる建物のイメージをしてみましょう。

容積率の計算式

容積率は、下記の計算式で算出することができます。

容積率(%)=延床面積÷敷地面積× 100

前章でもお伝えした通り、延床面積は建物の各階の床面積を合計した数値のことで、敷地面積とは建物を建設する対象地の土地面積を入れます。

延床面積に含まれないもの

上記の計算式にある「延床面積」には、含まないと定められているスペースがあります。

・駐車場(屋根なし)・物置
屋根のない駐車場は延床面積に含まなくてよいとされていますが、屋根がある場合には建築物とみなされ延床面積に含めなくてはいけません。
その他、地面と接面している10平米を超える物置は、原則として建築物とみなされます。

・玄関ポーチ
玄関ポーチとは、玄関の外側に付いている庇(ひさし)の下にあたる空間です。
同様に門扉から玄関までのアプローチ部分も延床面積には含みません。

・バルコニー、ベランダ
外壁から幅が2mを超えないバルコニーおよびベランダは、延床面積は含まれません。

・ウッドデッキ
リビングの窓を出て趣味などで使用するウッドデッキスペースも延床面積には含まれません。

・吹き抜け
寸法による延床面積に含まれるか否かの条件・制限などはなく、吹き抜けは全て除外されます。
縦に広がる空間をうまく利用して、広々とした家を建てることができます。

・小屋根収納(ロフト)
延床面積に含まないロフトには、条件があります。
・天井高が1.4m以下
・ロフトが存在する階の1/2以下の面積
・ロフトにはしごが固定されていない

これらの条件を満たせば、延床面積には含まなくても良いとされています。

容積率の計算例

では、実際に容積率の計算をシミュレーションしてみましょう。注文住宅などで建てたい家の延床面積が130平米と決まっており、検討している土地の敷地面積110平米の場合、容積率は130 ÷ 110 × 100 = 118となります。

つまり、検討地の容積率限度が100%以下の地域では、検討している注文住宅を建築することができません。反対に購入したい土地の目処がついており、これから建物を検討する場合は「建築面積=敷地面積×容積率」で、建築できる面積が算出できます。

あくまで建築面積の上限値を算出する計算式で、必ずしも算出された広さの建築物を立てなくてはならないと言うわけではありません。

容積率の計算に役立つ便利なサイト

容積率の計算式についてご理解してもらえたと思いますが、インターネット上では簡単に計算を行ってくれるサイトがあるので、2つご紹介します。

高精度計算サイト-CASIO

1つ目は、高精度計算サイト「CASIO」です。

ke!san「容積率の計算

敷地面積や延床面積を入力すると、計算を行ってくれます。本サイトの優れている点は、一定要件を満たした地下室や駐車場がある場合に適用される容積率の緩和特例(後述)にも対応しており、何平米緩和されるのか数値まで詳細表示してくれることです。

自分で計算するには、要件を満たしているか確認に手間がかかりますが、自動で行ってくれるのでとても便利です。

自動計算(建ぺい率と容積率の計算)

2つ目は、容積率とは切り離せない建ぺい率についても同時に計算してくれるサイトをご紹介します。

レスキューワーク株式会社「建ぺい率と容積率の計算

本サイトは、敷地面積・建物面積・延床面積の値を入力すると容積率と建ぺい率を算出してくれるのは、高精度計算サイトCASIOと同様です。さらに対象地が決まっている場合、土地面積・容積率・建ぺい率を入力すると建築面積および延床面積を算出してくれるので、これから注文住宅などで間取を決めていく方におすすめできます。

容積率の上限

容積率には地域ごとや前面道路の幅員による上限が設けられています。

用途地域による指定容積率の上限

用途地域に応じて容積率の上限が下記の通り定められており、指定容積率と呼びます。
指定建ぺい率の上限も併せて確認しましょう。

用途地域 容積率(%) 建ぺい率(%)
第一種低層住居専用地域 50、60、80、100、150、200 30、40、50、60
第二種低層住居専用地域 50、60、80、100、150、200 30、40、50、60
第一種中高層住居専用地域 100、150、200、300、400、500 30、40、50、60
第二種中高層住居専用地域 100、150、200、300、400、500 30、40、50、60
第一種住居専用地域 100、150、200、300、400、500 50、60、80
第二種住居専用地域 100、150、200、300、400、500 50、60、80
準住居地域 100、150、200、300、400、500 50、60、80
田園住居地域 50、60、80、100、150、200 30、40、50、60
近隣商業地域 100、150、200、300、400、500 60、80
商業地域 200、300、400、500、600、700
800、900、1,000、1,100、1,200、1,300
80
準工業地域 100、150、200、300、400、500 50、60、80
工業地域 100、150、200、300、400 50、60
工業専用地域 100、150、200、300、400 30、40、50、60

地域ごとの容積率や建ぺい率は、対象地の管轄する市役所(区役所)の都市計画課に問い合わせると確認することができます。

前面道路の幅による上限

次に前面道路の幅員による容積率の上限についてご紹介します。
前面道路が12m未満で狭い地域では、容積率が厳しく設定されるケースがあります。

前面道路の幅による容積率は下記の計算式で算出します。

用途地域が住居系の場合

前面道路の幅員(m)×0.4×100=容積率(%)
※ただし、特定行政庁が指定する一部の区域では0.4でなく0.6を乗じる場合があります。

前面道路が4mの場合には、4×0.4×100=160で容積率の上限は160%ということになり、地域ごとに指定されている指定容積率と、前面道路の幅による容積率の上限のいずれか小さい方が採用されます。この例を用いると、指定容積率200%であれば160%が採用され、指定容積率150%であれば150%が採用されるということになります。また、住居系以外の場合には係数が異なるので注意しましょう。

用途地域が非住居系の場合

前面道路の幅員(m)×0.6×100=容積率(%)
※ただし、特定行政庁が指定する一部の区域では乗数0.6でなく0.4もしくは0.8を乗じる場合があります。

土地が二つ以上の道路に面している場合には、幅員が広い方の数値を計算式に採用します。

容積率緩和の特例

前面道路の幅によって容積率の条件が厳しくなることがありますが、反対に容積率が緩和されることもあります。本章では、容積率緩和の特例を2つお伝えしましょう。

特定道路から分岐する道路に接する土地

特定道路(15m以上の道路)から分岐する道路に接する土地には、一定の条件を満たす場合に容積率が緩和される特例が適用されます。
分岐する道路幅が狭くなることで急激に容積率が減少することが懸念されますが、本特例により土地の容積率の減少の差を縮めてくれるのです。

容積率緩和のための条件

・前面道路の幅員が6m以上12m未満である
・特定道路までの距離が70m以内の土地である

 ※計算式で示す距離とは、敷地から特定道路に最も近い地点での計測によります。

容積率が緩和されると、計算式は下記の通りとなります。

1. 加算値=(12-前面道路幅員)×(70-特定道路までの距離)÷70
2. 容積率(%)=(前面道路幅員+加算値)×係数×100

※計算式で示す係数とは、住居系地域は0.4、非住居系域は0.6を基本としますが特定行政庁の指定する地域では一部異なります。

例えば、指定容積率500%の準工業地域(特定行政庁の指定する地域ではないものとする)で特定道路までの距離が35mの地点に位置し、8mの前面道路に接する土地があると仮定しましょう。
加算値は(12-8)×(70-35)÷70で2、容積率は(8+2)×0.6×100で600%となります。

仮定したパターンでは、本来は指定容積率よりも厳しい前面道路の幅による容積率の上限(8×0.6×100)480%が採用されますが、特例の適用により120%も容積率が緩和されるのです。地下室や駐車場がある場合も、容積率が緩和されることがあります。

地下室における容積率の緩和条件

  1. 住宅の用途に供する部分である
  2. 地下室の天井から地上までの高さが1m以下である
  3. 地階である

これらの条件を全て満たすと、床面積の1/3を限度として容積率の計算式で除外してもよいことになっています。100平米の対象地で容積率100%と指定されている場合、通常では延床面積の上限は100平米ですが、緩和条件を満たした地下を作ることにより延床面積150平米を上限とする建物を建築することができるということです。

駐車場における容積率の緩和条件

駐車場(車庫)は、敷地内にある建物を合計した延床面積の1/5を上限に容積率を緩和されます。
例えば100平米の対象地で容積率100%と指定されている場合、通常では延床面積の上限は100平米ですが、住宅部分100平米と車庫部分20平米で120平米の建物を建築することができるということです。

また、不動産投資を始めるにあたり知っておきたいポイントについてはこちらの記事で詳しく紹介しております。

まとめ

今回は、建築基準法で規定されている容積率について解説しました。
容積率は地域人口を調整することで、災害の防止や資源を枯渇させないために非常に重要な役割を果たして言います。

また、容積率には特例による緩和や前面道路による制限も付加されているため、建て替えも考慮して自分でしっかりと理解しておくことが必要です。違法建築物を建築することなく、周辺住民が安全に生活できるような町づくりをしましょう。

ベルテックスでは、不動産投資の専門家による無料オンラインセミナーを開催しています。ご自宅からオンラインでご参加いただけますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

この記事を書いた人

ベルテックスコラム事務局

不動産コンサルタント・税理士

不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。

2024.02.29

不動産投資の基本

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容積率とは何か?計算方法や上限・緩和特例について解説!

  • はじめ方・基礎知識
  • 計算

「土地」や「建物」には人々の安全や住みやすい暮らしを守るため、様々な法律が設けられています。さらに特有の法令・条例・規則が定められている地域もあり、その基準全てを満たした建築物にしなくてはいけません。

今回は、中でも重要な「容積率」について、どのような規制であるのか詳しくお伝えしていきます。
容積率を理解せずに不動産を購入してしまうと、理想の広さや間取の家を建設することができず後悔してしまうかもしれません。

容積率とは

不動産やマイホームを購入したことある人、もしくは興味がある人は「容積率」や「建ぺい率」について、一度は聞いたり目にしたことがあるでしょう。しかし、頭ではなんとなくのイメージで理解しているけれど、実際に自分で言葉にして説明するのは難しいものです。

容積率の概要

容積率とは「建物の延床面積の敷地面積に対する割合」のことです。延床面積とは各階の床面積を合算した数値で、イメージしやすく言えば「土地に対して何階建てまでの建物を建築できるか」「容積率が高いほど、高さのある建築物が立てられる」ということになります。冒頭でもお伝えした通り、各規制には人々の生活を守るという意図がありますが、容積率は主に人口抑制のために定められました。

もしも容積率を高く設定して、その地域に高い建築物が建てられるようになると、人口過多になってしまう可能性が懸念されます。さらに、水や電気などの資源不足が引き起こされ、さらに事態が悪化してしまうと貧困や経済格差を招いてしまう可能性もあります。

容積率は、供給される資源と人口割合を調整する重要な意味合いを持っているのです。

建ぺい率との違い

家探しの際に利用するポータルサイトなどで、容積率とセットで出てくる規制に「建ぺい率」があります。建ぺい率とは、敷地面積に対する建築面積の割合のことです。分かりやすく言うと「土地に対して何%の割合で家屋を建築してよいか」を定めた数値になります。例えば、建ぺい率60%と設定された100平米の土地がある場合、60平米までの敷地上であれば建物を建築することが可能です。

容積率とセットで使われていますが両者は全く別物で、建ぺい率には防火対策や風通し・日当たりを確保する意図があります。敷地の隅から隅までピッタリに建物が建築されてしまうと、火災が発生した場合すぐに隣地へ燃え広がってしまいますが、建ぺい率を定めることによって被害拡大を防止してくれるでしょう。

同様に隣地と建物同士の距離が近いと風の通り道が無く湿気がこもりやすく、さらに日が当たらず室内が暗くなってしまうなどの不具合が発生します。建ぺい率を設定することにより、日照・採光・通風などを保った快適な生活を送ることができます。

容積率の計算方法

容積率の制限を超える建物は、違法建築物となり建物を建てることができません。本章では容積率の計算方法について説明するので、実際に計算をして建築できる建物のイメージをしてみましょう。

容積率の計算式

容積率は、下記の計算式で算出することができます。

容積率(%)=延床面積÷敷地面積× 100

前章でもお伝えした通り、延床面積は建物の各階の床面積を合計した数値のことで、敷地面積とは建物を建設する対象地の土地面積を入れます。

延床面積に含まれないもの

上記の計算式にある「延床面積」には、含まないと定められているスペースがあります。

・駐車場(屋根なし)・物置
屋根のない駐車場は延床面積に含まなくてよいとされていますが、屋根がある場合には建築物とみなされ延床面積に含めなくてはいけません。
その他、地面と接面している10平米を超える物置は、原則として建築物とみなされます。

・玄関ポーチ
玄関ポーチとは、玄関の外側に付いている庇(ひさし)の下にあたる空間です。
同様に門扉から玄関までのアプローチ部分も延床面積には含みません。

・バルコニー、ベランダ
外壁から幅が2mを超えないバルコニーおよびベランダは、延床面積は含まれません。

・ウッドデッキ
リビングの窓を出て趣味などで使用するウッドデッキスペースも延床面積には含まれません。

・吹き抜け
寸法による延床面積に含まれるか否かの条件・制限などはなく、吹き抜けは全て除外されます。
縦に広がる空間をうまく利用して、広々とした家を建てることができます。

・小屋根収納(ロフト)
延床面積に含まないロフトには、条件があります。
・天井高が1.4m以下
・ロフトが存在する階の1/2以下の面積
・ロフトにはしごが固定されていない

これらの条件を満たせば、延床面積には含まなくても良いとされています。

容積率の計算例

では、実際に容積率の計算をシミュレーションしてみましょう。注文住宅などで建てたい家の延床面積が130平米と決まっており、検討している土地の敷地面積110平米の場合、容積率は130 ÷ 110 × 100 = 118となります。

つまり、検討地の容積率限度が100%以下の地域では、検討している注文住宅を建築することができません。反対に購入したい土地の目処がついており、これから建物を検討する場合は「建築面積=敷地面積×容積率」で、建築できる面積が算出できます。

あくまで建築面積の上限値を算出する計算式で、必ずしも算出された広さの建築物を立てなくてはならないと言うわけではありません。

容積率の計算に役立つ便利なサイト

容積率の計算式についてご理解してもらえたと思いますが、インターネット上では簡単に計算を行ってくれるサイトがあるので、2つご紹介します。

高精度計算サイト-CASIO

1つ目は、高精度計算サイト「CASIO」です。

ke!san「容積率の計算

敷地面積や延床面積を入力すると、計算を行ってくれます。本サイトの優れている点は、一定要件を満たした地下室や駐車場がある場合に適用される容積率の緩和特例(後述)にも対応しており、何平米緩和されるのか数値まで詳細表示してくれることです。

自分で計算するには、要件を満たしているか確認に手間がかかりますが、自動で行ってくれるのでとても便利です。

自動計算(建ぺい率と容積率の計算)

2つ目は、容積率とは切り離せない建ぺい率についても同時に計算してくれるサイトをご紹介します。

レスキューワーク株式会社「建ぺい率と容積率の計算

本サイトは、敷地面積・建物面積・延床面積の値を入力すると容積率と建ぺい率を算出してくれるのは、高精度計算サイトCASIOと同様です。さらに対象地が決まっている場合、土地面積・容積率・建ぺい率を入力すると建築面積および延床面積を算出してくれるので、これから注文住宅などで間取を決めていく方におすすめできます。

容積率の上限

容積率には地域ごとや前面道路の幅員による上限が設けられています。

用途地域による指定容積率の上限

用途地域に応じて容積率の上限が下記の通り定められており、指定容積率と呼びます。
指定建ぺい率の上限も併せて確認しましょう。

用途地域 容積率(%) 建ぺい率(%)
第一種低層住居専用地域 50、60、80、100、150、200 30、40、50、60
第二種低層住居専用地域 50、60、80、100、150、200 30、40、50、60
第一種中高層住居専用地域 100、150、200、300、400、500 30、40、50、60
第二種中高層住居専用地域 100、150、200、300、400、500 30、40、50、60
第一種住居専用地域 100、150、200、300、400、500 50、60、80
第二種住居専用地域 100、150、200、300、400、500 50、60、80
準住居地域 100、150、200、300、400、500 50、60、80
田園住居地域 50、60、80、100、150、200 30、40、50、60
近隣商業地域 100、150、200、300、400、500 60、80
商業地域 200、300、400、500、600、700
800、900、1,000、1,100、1,200、1,300
80
準工業地域 100、150、200、300、400、500 50、60、80
工業地域 100、150、200、300、400 50、60
工業専用地域 100、150、200、300、400 30、40、50、60

地域ごとの容積率や建ぺい率は、対象地の管轄する市役所(区役所)の都市計画課に問い合わせると確認することができます。

前面道路の幅による上限

次に前面道路の幅員による容積率の上限についてご紹介します。
前面道路が12m未満で狭い地域では、容積率が厳しく設定されるケースがあります。

前面道路の幅による容積率は下記の計算式で算出します。

用途地域が住居系の場合

前面道路の幅員(m)×0.4×100=容積率(%)
※ただし、特定行政庁が指定する一部の区域では0.4でなく0.6を乗じる場合があります。

前面道路が4mの場合には、4×0.4×100=160で容積率の上限は160%ということになり、地域ごとに指定されている指定容積率と、前面道路の幅による容積率の上限のいずれか小さい方が採用されます。この例を用いると、指定容積率200%であれば160%が採用され、指定容積率150%であれば150%が採用されるということになります。また、住居系以外の場合には係数が異なるので注意しましょう。

用途地域が非住居系の場合

前面道路の幅員(m)×0.6×100=容積率(%)
※ただし、特定行政庁が指定する一部の区域では乗数0.6でなく0.4もしくは0.8を乗じる場合があります。

土地が二つ以上の道路に面している場合には、幅員が広い方の数値を計算式に採用します。

容積率緩和の特例

前面道路の幅によって容積率の条件が厳しくなることがありますが、反対に容積率が緩和されることもあります。本章では、容積率緩和の特例を2つお伝えしましょう。

特定道路から分岐する道路に接する土地

特定道路(15m以上の道路)から分岐する道路に接する土地には、一定の条件を満たす場合に容積率が緩和される特例が適用されます。
分岐する道路幅が狭くなることで急激に容積率が減少することが懸念されますが、本特例により土地の容積率の減少の差を縮めてくれるのです。

容積率緩和のための条件

・前面道路の幅員が6m以上12m未満である
・特定道路までの距離が70m以内の土地である

 ※計算式で示す距離とは、敷地から特定道路に最も近い地点での計測によります。

容積率が緩和されると、計算式は下記の通りとなります。

1. 加算値=(12-前面道路幅員)×(70-特定道路までの距離)÷70
2. 容積率(%)=(前面道路幅員+加算値)×係数×100

※計算式で示す係数とは、住居系地域は0.4、非住居系域は0.6を基本としますが特定行政庁の指定する地域では一部異なります。

例えば、指定容積率500%の準工業地域(特定行政庁の指定する地域ではないものとする)で特定道路までの距離が35mの地点に位置し、8mの前面道路に接する土地があると仮定しましょう。
加算値は(12-8)×(70-35)÷70で2、容積率は(8+2)×0.6×100で600%となります。

仮定したパターンでは、本来は指定容積率よりも厳しい前面道路の幅による容積率の上限(8×0.6×100)480%が採用されますが、特例の適用により120%も容積率が緩和されるのです。地下室や駐車場がある場合も、容積率が緩和されることがあります。

地下室における容積率の緩和条件

  1. 住宅の用途に供する部分である
  2. 地下室の天井から地上までの高さが1m以下である
  3. 地階である

これらの条件を全て満たすと、床面積の1/3を限度として容積率の計算式で除外してもよいことになっています。100平米の対象地で容積率100%と指定されている場合、通常では延床面積の上限は100平米ですが、緩和条件を満たした地下を作ることにより延床面積150平米を上限とする建物を建築することができるということです。

駐車場における容積率の緩和条件

駐車場(車庫)は、敷地内にある建物を合計した延床面積の1/5を上限に容積率を緩和されます。
例えば100平米の対象地で容積率100%と指定されている場合、通常では延床面積の上限は100平米ですが、住宅部分100平米と車庫部分20平米で120平米の建物を建築することができるということです。

また、不動産投資を始めるにあたり知っておきたいポイントについてはこちらの記事で詳しく紹介しております。

まとめ

今回は、建築基準法で規定されている容積率について解説しました。
容積率は地域人口を調整することで、災害の防止や資源を枯渇させないために非常に重要な役割を果たして言います。

また、容積率には特例による緩和や前面道路による制限も付加されているため、建て替えも考慮して自分でしっかりと理解しておくことが必要です。違法建築物を建築することなく、周辺住民が安全に生活できるような町づくりをしましょう。

ベルテックスでは、不動産投資の専門家による無料オンラインセミナーを開催しています。ご自宅からオンラインでご参加いただけますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

この記事を書いた人

ベルテックスコラム事務局

不動産コンサルタント・税理士

不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。