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2024.02.29
ベルテックスコラム事務局
投資用マンションの利回りについて徹底解説|高利回り物件の特徴とは
- はじめ方・基礎知識
- マンション投資
- 利回り
投資用マンションの購入を検討するとき、重要な指標のひとつに「利回り」があります。 本記事の前半では、投資用マンションの利回りとは何か、どんな種類があり、それぞれの利回り相場はどれくらいなのかなど基本知識を中心に解説します。
そして後半では、高利回り物件の特徴や利回りシミュレーションなど、より実践的な内容をお伝えします。最後までお読みいただくことで投資用マンションにおける利回りの意味や重要性を理解でき、ご自身に合った物件を購入しやすくなります。
投資用マンションの利回りとは
利回りとは「投資金額に対する収益の割合」を表し、利回りが高いほど運用効率が高いことを示します。一方で、リスクとリターンは裏表の関係になるため、投資用マンションの利回りが高いということはリスクが高い可能性もあるため注意が必要です(例:空室リスク、修繕リスクなど)。
これを踏まえて、投資用マンションでよく使われる4種類の利回りを確認していきます。
表面利回り(グロス)
表面利回り(グロス)とは、単純に物件価格に対する年間収入や利益の割合です。通常、マンションの利回りの話を行う時や、不動産業者が物件を紹介する際に表示している利回りは表面利回りのことを指します。
表面利回りをわかりやすく言えば、「ざっくりとした大まかな利回り」です。たとえば、不動産投資を検討している段階で投資用マンションを比較する際などに便利です。表面利回りの計算式は次の通りです。
表面利回りを用いてある程度物件を絞ったら、次にご紹介する「実質利回り」を使ってより確度の高い絞り込みを行いましょう。
実質利回り(ネット)
実質利回り(ネット)とは、物件価格に対する割合を計算する際の年間収入や利益に当たる額がさまざまな経費を引いた額となります。ざっくり大まかな利回りとなる表面利回りに対して実質利回りは、実際に手にする額を利用しての利回り計算となります。実質利回りは表面利回りと比較すると約2%低くなると言われます。
ただし、「表面利回りと比較すると約2%低い」というのはあくまでも目安です。購入前には、投資用マンションを運用したときにかかる諸経費の項目や金額を出してみて、実質利回りを計算することをおすすめします。実質利回りの計算式は次の通りです。
想定利回り
想定利回りとは、その投資用マンションが「1年を通して満室になること」を想定して計算した利回りのことです。表面利回りの「年間収入÷物件価格×100」の計算式の「年間収入」の部分が家賃相場や過去の家賃収入などをもとにした満室家賃収入になります。
想定利回りは、投資用マンションの広告や物件情報などに記載されているケースがよくあります。ただし、数十室などある程度の規模の1棟マンションを運用していて、1年を通して満室ということはほとんどないため、あくまでも参考情報として取り扱うのが良いでしょう。
現行利回り
現行利回りとは、現時点(または直近)で「空室となっている部屋の家賃収入を差引いて計算した」利回りのことです。表面利回りの「年間収入÷物件価格×100」の計算式の「年間収入」の部分が、実際の家賃収入になります。
たとえば、10部屋ある投資用マンション(1部屋の年間家賃収入・約100万円)で、2室が空室だとしましょう。この場合は、8室分の家賃収入約800万円(8部屋×約100万円)が年間収入になります。現行利回りを確認することで、購入直後のリアルな利回りが掴めます。契約前や物件検討中に確認してみると良いでしょう。
投資用マンションの種類と利回りの相場
ひと口に投資マンションの利回りといってもいくつかの種類があり、それによって相場が変わってきます。
ここでは投資用マンションの4つの種類(区分新築マンション、区分中古マンション、1棟新築マンション、1棟中古マンション)の特徴と、それぞれの利回りの相場をご紹介します。どの種類がご自身に合うかを考えてみましょう。
区分新築マンション
区分新築マンションの「区分」とは、マンションを1室ごとに区分けしたものを言います。区分新築マンションは、新築マンションの1室に投資することです。1室ごとの投資となるので初期投資が少なくて済む反面、家賃収入も1室分しか見込めないため多くはありません。
ただし、所有する部屋数を増やせば、区分新築マンションでも経営規模を拡大することは可能です。一般的に区分新築マンションは低利回り傾向です。なぜなら、新築のため建物の価値が高く、購入価格が割高になりやすいからです。
新築マンションの利回り(ワンルームタイプ)の相場は、東京23区で3%台後半程度、地方都市になると、利回りの相場は東京23区の利回りプラス0.5〜1%程度になります。
【参照元】日本不動産研究所「第48回 不動産投資家調査(2023年4月現在)」より
区分中古マンション
区分中古マンションは、中古マンションの1室に投資することを言います。こちらも1室ごとの投資となります。そして中古マンションなので新築よりも投資額が少なく済みます。ただし、新築区分と比べると、建物の築年数が経っている分、家賃収入が少なくなります。
区分中古マンションは物件価格が割安な傾向ですが、建物や設備が古い分、修繕や設備交換のコストがかかりやすいです。物件価格の安さや利回りの高さだけを見て「お得!」と判断しないよう注意しましょう。
区分中古マンションの利回りの相場は、地域や築年数で大きく変わってきます。一例だと、全国平均の利回りの相場(平均・築30年)は7%程度です。また、東北エリアになると、ほぼ同じ築年数でも利回りの相場は12%以上になります。
1棟新築マンション
1棟新築マンションは、1室単位で投資する区分マンションとは異なり、新築マンション1棟にまるごと投資することです。ここでご紹介する4種類の投資用マンションの中では最も投資額が大きくなります。その分、家賃収入も最も多くなります。
1棟新築マンションの利回りは、まさにケースバイケースです。たとえば、東京都心の一等地の高級マンションと地方都市の一般的なマンションでは大きな開きがあります。また、所有している土地に投資用マンションを建てるのか、土地と建物を購入するかでも大きく変わってきます。
一例だと、大手デベロッパーが東京23区で売りに出している1棟新築マンションの利回りの相場は、3.5〜4.5% 程度です。同じ大手デベロッパーの1棟新築マンションでも、地方都市になると利回りの相場は5〜6%程度となっています。
1棟中古マンション
1棟中古マンションは、中古マンション1棟まるごと投資することです。新築ほどはかかりませんが、まるごと1棟に投資するので、それなりの資金が必要となります。合わせて、1棟中古マンションは、購入後にまとまった修繕費用が発生するリスクがありますので、手元資金が潤沢な人向きの投資用マンションと言えるでしょう。
1棟中古マンションも1棟新築と同様、地域や築年数によって大きく利回りの相場が変わってきます。一例だと、1棟中古マンションの全国平均の利回りの相場(平均・築22年)は、8%程度です。一方で、需要の少ない地方都市では利回りの相場が高い傾向があり、たとえば信州・北陸エリアでは12%以上が相場です。
【参照元】健美家「収益物件 市場動向 マンスリーレポート(2023年5月期)」より
投資用マンション利回りを高めるためには
投資用マンションを購入するなら、できるだけ利回りは高い方がいいですよね。ではどうすれば高利回りを得られるのかを考えてみましょう。今回は、➀投資用マンション購入前、➁投資用マンション購入後と、それぞれのタイミングで利回りを高めるための秘訣をみていきます。
➀投資用マンション購入前
高利回りを実現するためには、購入前に入念に案を練るべきです。一度購入してしまったら、なかなか方針転換するのが大変です。さまざまな案がありますので、参考にしてください。
【立地の良い物件を購入する】
利回りの高さを維持するのに大事なのが入居率です。新築の間は満室が続いていても、築年数が経過していくと入居率が下がる傾向があります。築年数が浅い物件は賃貸需要が高いためです。ただ、立地の良い物件だと、築年数を経過していても入居率が高い状態を維持できる可能性があります。
駅に近い物件は常に人気です。利便性の良さが抜群ですし、すでに開発されているエリアの場合は、新築物件が建つ余地が少ない可能性があり競争相手も出てこないため入居率が高いまま維持できます。
立地条件を考える際に、その立地に見合った間取りにすることも入居率を高く維持するには重要になってきます。そのポイントを外してしまったら、せっかくの好立地を生かすことが出来ません。たとえば、大学の近くは築年数が経過しても入居者が絶えない好立地の場所といえます。この場所に見合った間取りはワンルームか1LDKになるでしょう。一人暮らしに対応する間取りです。ここに3LDKなどの間取りの物件を建てても入居率は上がらないでしょう。ほかにも近隣に学校やスーパー、ドラッグストアなどがある場所も人気です。このような場所にファミリータイプの間取りの物件があれば入居率の高さが維持できるでしょう。
さらに一つ付け加えると、災害が起きにくい場所も人気です。特に最近、頻発しているゲリラ豪雨では多くのマンションが水害にあっています。そのようなリスクを避けるため自治体が作成しているハザードマップでどの場所だと災害にあいにくいかを確認することが必要です。入居者の募集の際、安全な地区だとアピールすることは安心感につながります。
このように物件購入の際、立地を確認することで長期的な高利回りの実現へ近づきます。
【購入価格を下げる】
購入価格が下がると必然的に利回りは上がります。安く購入するために、不動産業者の言い値で購入するのではなく、指値を提示して売主がその値段で売るのを待ちましょう。指値で買えなければ諦めてほかの物件の購入を検討する、そういった考えで高利回り物件を購入するのも一つの方法です。
➁投資用マンション購入後
【リフォームする】
高利回りを実現するためには入居率を上げることが大事です。築年数が経過し入居率の低下が続くようだと、利回りも低く推移してしまいます。入居率を高める対策の一つとして、リフォームがあげられます。人気の機能を取り付けることで利便性を高めることや、近隣の物件では見かけない仕様にして付加価値を付け差別化を図ることを検討してみましょう。
具体的には、インターホンをテレビモニター付きにすることや、トイレを洗浄機付きにする、お風呂の追い炊き機能や浴室乾燥機機能の追加などは人気の機能となります。そして付加価値のある仕様としては、ペット共生型マンションにしたり、家電とスマホを連携させて遠隔操作でエアコンのスイッチを入れられたり、お風呂のお湯を貯めたりできる仕様にするなどが挙げられます。
【入居者の要望に応える】
入居者に満足してもらうことは、長い間住んでもらうことに繋がり、空室を生みにくくします。とはいっても満足している声というのはなかなか耳に入ってくるものではありません。ポイントとなるのは、マイナスを0ないしはプラスにすることです。
マイナスとは要望、苦情やクレームのことです。電球の切り替えなどや近隣住民の騒音、ゴミ出しに関することが主にあげられます。このような案件に即座に対応することが重要になってきます。クレームに素早く対処すると入居者からの満足度は上がります。しかし対応が後手に回ってしまうと不満が高まってくるので注意しなければなりません。
このような場合、一人で解決するには難しい案件も出てきます。不動産管理会社などと普段からコミュニケーションを取り、即座に対応できるような関係を構築しておくことが重要になってきます。
利回りのシミュレーション
不動産投資において、利回りは重要な指標の1つです。投資用マンションを購入する際は「表面利回り」だけでなく、「実質利回り」や「現行利回り」も確認しましょう。投資用マンションの広告や物件情報には、利回りが明記されていることが多いですが、数値を鵜呑みにするのではなく、ご自身で計算してみることが重要です。
なぜなら、記載されている利回り自体が間違っている可能性もゼロではないからです。また、ご自身で計算することで、実際に入ってくる家賃収入や、購入時・運営時にかかる諸費用も実感できます。ご参考に、ここでは「都内新築マンション」と「都内中古マンション」の利回りをシミュレーションしてみたいと思います。
都内新築マンションの場合
はじめに、都内新築マンションの「表面利回り」と「実質利回り」を計算してみましょう。シミュレーションの設定条件は次の通りです。
〈設定条件〉
・新築マンション(1棟物件/RC造5階建)
・所在地:文京区
・物件価格:2億3,500万円(税込)
・購入時の諸経費:2,350万円(物件価格の10%)
・運営の諸経費:188万円(家賃収入の20%)
・年間家賃収入:942万円
【表面利回り(想定利回り)】
上記の投資用マンションの場合、表面利回り(想定利回り)のシミュレーション結果は下記のようになります。
=利回り4%
【実質利回り】
今度は、上記の都内新築の投資用マンションの「実質利回り」を計算してみましょう。先ほどの表面利回りに、購入時および運営にかかる諸経費が反映され、実際の利回りに近くなります。
=利回り3.57%
都内中古マンションの場合
次に、都内中古マンションの「表面利回り」と「現行利回り」を計算してみましょう。シミュレーションの設定条件は次の通りです。
〈設定条件〉
・中古マンション(1棟物件/RC造3階建/築25年)
・所在地:中野区
・物件価格:9,780万円(税込)
・購入時の諸経費:978万円(物件価格の10%)
・運営の諸経費:147万円(家賃収入の20%)
・年間家賃収入:735万円
・稼働状況:10室中2室が空室
【表面利回り】
上記の投資用マンションの場合、表面利回りのシミュレーション結果は下記のようになります。
=利回り7.52%
【現行利回り】
今度は、上記の都内中古の投資用マンションの現行利回りを計算してみましょう。先ほどの表面利回りに、現時点の稼働状況(10室中2室が空室)が反映されます。
年間家賃収入735万円×稼働状況80%
=588万円
年間家賃収入588万円÷物件価格9,780万円×100
=利回り6%
高利回りのマンション投資の特徴と注意点
高利回りのマンションにはさまざまな特徴があります。利回りの高さに目がいきがちですが、注意すべき点にも目を向けておかなければなりません。
地価が安い
マンション建築が行われる時、最初に行われるのは土地の購入です。マンション価格は土地を購入する代金も含まれているので、地価が安ければ、マンション価格はその分安くなります。マンションの購入費用が安くなると、家賃収入が購入価格に占める割合が高くなるので高利回りとなります。
そして大きく視野を広げると安い地価、高い地価の特徴をもつ地域があります。都市部だと地価が高いので、購入費用は高くなります。それに対し、地方部は地価が安いので購入費用は安く済み、利回りは上昇します。
しかし地価が安いからといって安心はできません。地価は、利便性が良いエリア、人口が多いところ、ブランド力のある土地などが高くなる傾向があります。そういった場所は人が住みたい場所でもあります。その逆で利便性があまりよくなく、人があまり住んでいない場所などは安くなります。そういったエリアの利回りは購入価格が安くても、それほど上がらない可能性もあるので注意が必要です。
建物価格が安い
建物価格が安いとマンションの購入費用も安くなります。それに伴い利回りが高くなります。
安い建物価格の物件は中古物件などが該当します。新築物件と比較すると購入費用が安く抑えられます。その分、利回りは高くなります。ただこちらも注意しなければならないのが、中古物件だと老朽化が進んでおり、空室がでる可能性が高く、利回りがその分低下するリスクがあることです。中古物件を購入する場合は、利回りが高いなどと油断せず、長い目で見た場合、高い利回りを維持できる物件なのかどうかを十分に検討すべきでしょう。
管理コストが安い
管理コストが安いと計算上利回りが上がります。経営努力でコストを削減した場合なら大丈夫なのですが、必要な経費を用意していない場合など経営努力を怠ることで利回りを高くしても、いつかしわ寄せが来て大変なことになります。修繕積立金を用意していなかったら、いざ外壁や屋根の塗り替えなどの大規模修繕を行う場合、いきなり100万円単位の資金を準備しなければならなくなります。それに入居者の要望に応えずにコスト削減を優先するなど経営努力を怠る場合は、いずれ入居者が離れていき、逆に利回りが低下しかねません。
満室想定が前提なら要注意
高利回りを実現するためには、入居率が重要になってきます。満室が常に続けば高利回りが実現できるのですが、現実ではなかなか理想どおりにはいかないものです。新築の間は満室でも、時間の経過とともに空室ができて入居率が下がる可能性は否めません。中古物件になると実際には空室が存在していても、満室状態での利回りが掲載されることもあります。当初の購入計画の際、近隣のマンションを見て築年数が経過するごとに入居率がどうなる傾向なのか、同じタイプのマンションの入居率はどのくらいなのか、などの確認をしておきましょう。自身の物件の将来の姿がある程度想像できるかもしれません。
築年数は必ずチェック
中古物件の購入を検討する際、必ず築年数はチェックしましょう。高利回りを謳っている物件の中には築年数が経過していて物件価格が安くなることでその利回りが実現できているものもあります。築年数が経過している物件は、購入してわずか数年で外壁などの改修工事などを行わなければならない可能性があります。入居率が思っているほど高くなく、リフォームを行わなければならないこともあるでしょう。築年数をチェックして、購入するかの判断と、購入するならその後の対策を考えましょう。
【おすすめ関連記事】マンション経営の利回りの計算方法や目安を解説!
まとめ
今回は、投資用マンションの利回りに関してお伝えしてきました。投資用マンションを購入する最大の目的は利益を得ることになります。そのためには、購入の検討をする段階で立地条件や物件の仕様などを確認することが大事となってきます。
そして、購入後も利回り低下が予想されることへの対策を考えておく必要があります。いずれにしろ一人で考えるのではなく、不動産投資に関するプロの助言を聴きながら、最善の方法を探っていくべきでしょう。利回りだけを考えていては大事なことを見失いがちになります。過去の成功例、失敗例を知るプロの意見を参考にして、実際に足を運び、マンションへの投資を成功させましょう。
ベルテックスでは不動産投資にまつわるセミナーを開催しています。ご自宅からオンラインでご参加いただけますので、より詳しく話を聞いてみたい方はぜひお気軽にお問い合わせください。
この記事を書いた人
ベルテックスコラム事務局
不動産コンサルタント・税理士
不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。
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投資用マンションの利回りについて徹底解説|高利回り物件の特徴とは
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投資用マンションの購入を検討するとき、重要な指標のひとつに「利回り」があります。 本記事の前半では、投資用マンションの利回りとは何か、どんな種類があり、それぞれの利回り相場はどれくらいなのかなど基本知識を中心に解説します。
そして後半では、高利回り物件の特徴や利回りシミュレーションなど、より実践的な内容をお伝えします。最後までお読みいただくことで投資用マンションにおける利回りの意味や重要性を理解でき、ご自身に合った物件を購入しやすくなります。
投資用マンションの利回りとは
利回りとは「投資金額に対する収益の割合」を表し、利回りが高いほど運用効率が高いことを示します。一方で、リスクとリターンは裏表の関係になるため、投資用マンションの利回りが高いということはリスクが高い可能性もあるため注意が必要です(例:空室リスク、修繕リスクなど)。
これを踏まえて、投資用マンションでよく使われる4種類の利回りを確認していきます。
表面利回り(グロス)
表面利回り(グロス)とは、単純に物件価格に対する年間収入や利益の割合です。通常、マンションの利回りの話を行う時や、不動産業者が物件を紹介する際に表示している利回りは表面利回りのことを指します。
表面利回りをわかりやすく言えば、「ざっくりとした大まかな利回り」です。たとえば、不動産投資を検討している段階で投資用マンションを比較する際などに便利です。表面利回りの計算式は次の通りです。
表面利回りを用いてある程度物件を絞ったら、次にご紹介する「実質利回り」を使ってより確度の高い絞り込みを行いましょう。
実質利回り(ネット)
実質利回り(ネット)とは、物件価格に対する割合を計算する際の年間収入や利益に当たる額がさまざまな経費を引いた額となります。ざっくり大まかな利回りとなる表面利回りに対して実質利回りは、実際に手にする額を利用しての利回り計算となります。実質利回りは表面利回りと比較すると約2%低くなると言われます。
ただし、「表面利回りと比較すると約2%低い」というのはあくまでも目安です。購入前には、投資用マンションを運用したときにかかる諸経費の項目や金額を出してみて、実質利回りを計算することをおすすめします。実質利回りの計算式は次の通りです。
想定利回り
想定利回りとは、その投資用マンションが「1年を通して満室になること」を想定して計算した利回りのことです。表面利回りの「年間収入÷物件価格×100」の計算式の「年間収入」の部分が家賃相場や過去の家賃収入などをもとにした満室家賃収入になります。
想定利回りは、投資用マンションの広告や物件情報などに記載されているケースがよくあります。ただし、数十室などある程度の規模の1棟マンションを運用していて、1年を通して満室ということはほとんどないため、あくまでも参考情報として取り扱うのが良いでしょう。
現行利回り
現行利回りとは、現時点(または直近)で「空室となっている部屋の家賃収入を差引いて計算した」利回りのことです。表面利回りの「年間収入÷物件価格×100」の計算式の「年間収入」の部分が、実際の家賃収入になります。
たとえば、10部屋ある投資用マンション(1部屋の年間家賃収入・約100万円)で、2室が空室だとしましょう。この場合は、8室分の家賃収入約800万円(8部屋×約100万円)が年間収入になります。現行利回りを確認することで、購入直後のリアルな利回りが掴めます。契約前や物件検討中に確認してみると良いでしょう。
投資用マンションの種類と利回りの相場
ひと口に投資マンションの利回りといってもいくつかの種類があり、それによって相場が変わってきます。
ここでは投資用マンションの4つの種類(区分新築マンション、区分中古マンション、1棟新築マンション、1棟中古マンション)の特徴と、それぞれの利回りの相場をご紹介します。どの種類がご自身に合うかを考えてみましょう。
区分新築マンション
区分新築マンションの「区分」とは、マンションを1室ごとに区分けしたものを言います。区分新築マンションは、新築マンションの1室に投資することです。1室ごとの投資となるので初期投資が少なくて済む反面、家賃収入も1室分しか見込めないため多くはありません。
ただし、所有する部屋数を増やせば、区分新築マンションでも経営規模を拡大することは可能です。一般的に区分新築マンションは低利回り傾向です。なぜなら、新築のため建物の価値が高く、購入価格が割高になりやすいからです。
新築マンションの利回り(ワンルームタイプ)の相場は、東京23区で3%台後半程度、地方都市になると、利回りの相場は東京23区の利回りプラス0.5〜1%程度になります。
【参照元】日本不動産研究所「第48回 不動産投資家調査(2023年4月現在)」より
区分中古マンション
区分中古マンションは、中古マンションの1室に投資することを言います。こちらも1室ごとの投資となります。そして中古マンションなので新築よりも投資額が少なく済みます。ただし、新築区分と比べると、建物の築年数が経っている分、家賃収入が少なくなります。
区分中古マンションは物件価格が割安な傾向ですが、建物や設備が古い分、修繕や設備交換のコストがかかりやすいです。物件価格の安さや利回りの高さだけを見て「お得!」と判断しないよう注意しましょう。
区分中古マンションの利回りの相場は、地域や築年数で大きく変わってきます。一例だと、全国平均の利回りの相場(平均・築30年)は7%程度です。また、東北エリアになると、ほぼ同じ築年数でも利回りの相場は12%以上になります。
1棟新築マンション
1棟新築マンションは、1室単位で投資する区分マンションとは異なり、新築マンション1棟にまるごと投資することです。ここでご紹介する4種類の投資用マンションの中では最も投資額が大きくなります。その分、家賃収入も最も多くなります。
1棟新築マンションの利回りは、まさにケースバイケースです。たとえば、東京都心の一等地の高級マンションと地方都市の一般的なマンションでは大きな開きがあります。また、所有している土地に投資用マンションを建てるのか、土地と建物を購入するかでも大きく変わってきます。
一例だと、大手デベロッパーが東京23区で売りに出している1棟新築マンションの利回りの相場は、3.5〜4.5% 程度です。同じ大手デベロッパーの1棟新築マンションでも、地方都市になると利回りの相場は5〜6%程度となっています。
1棟中古マンション
1棟中古マンションは、中古マンション1棟まるごと投資することです。新築ほどはかかりませんが、まるごと1棟に投資するので、それなりの資金が必要となります。合わせて、1棟中古マンションは、購入後にまとまった修繕費用が発生するリスクがありますので、手元資金が潤沢な人向きの投資用マンションと言えるでしょう。
1棟中古マンションも1棟新築と同様、地域や築年数によって大きく利回りの相場が変わってきます。一例だと、1棟中古マンションの全国平均の利回りの相場(平均・築22年)は、8%程度です。一方で、需要の少ない地方都市では利回りの相場が高い傾向があり、たとえば信州・北陸エリアでは12%以上が相場です。
【参照元】健美家「収益物件 市場動向 マンスリーレポート(2023年5月期)」より
投資用マンション利回りを高めるためには
投資用マンションを購入するなら、できるだけ利回りは高い方がいいですよね。ではどうすれば高利回りを得られるのかを考えてみましょう。今回は、➀投資用マンション購入前、➁投資用マンション購入後と、それぞれのタイミングで利回りを高めるための秘訣をみていきます。
➀投資用マンション購入前
高利回りを実現するためには、購入前に入念に案を練るべきです。一度購入してしまったら、なかなか方針転換するのが大変です。さまざまな案がありますので、参考にしてください。
【立地の良い物件を購入する】
利回りの高さを維持するのに大事なのが入居率です。新築の間は満室が続いていても、築年数が経過していくと入居率が下がる傾向があります。築年数が浅い物件は賃貸需要が高いためです。ただ、立地の良い物件だと、築年数を経過していても入居率が高い状態を維持できる可能性があります。
駅に近い物件は常に人気です。利便性の良さが抜群ですし、すでに開発されているエリアの場合は、新築物件が建つ余地が少ない可能性があり競争相手も出てこないため入居率が高いまま維持できます。
立地条件を考える際に、その立地に見合った間取りにすることも入居率を高く維持するには重要になってきます。そのポイントを外してしまったら、せっかくの好立地を生かすことが出来ません。たとえば、大学の近くは築年数が経過しても入居者が絶えない好立地の場所といえます。この場所に見合った間取りはワンルームか1LDKになるでしょう。一人暮らしに対応する間取りです。ここに3LDKなどの間取りの物件を建てても入居率は上がらないでしょう。ほかにも近隣に学校やスーパー、ドラッグストアなどがある場所も人気です。このような場所にファミリータイプの間取りの物件があれば入居率の高さが維持できるでしょう。
さらに一つ付け加えると、災害が起きにくい場所も人気です。特に最近、頻発しているゲリラ豪雨では多くのマンションが水害にあっています。そのようなリスクを避けるため自治体が作成しているハザードマップでどの場所だと災害にあいにくいかを確認することが必要です。入居者の募集の際、安全な地区だとアピールすることは安心感につながります。
このように物件購入の際、立地を確認することで長期的な高利回りの実現へ近づきます。
【購入価格を下げる】
購入価格が下がると必然的に利回りは上がります。安く購入するために、不動産業者の言い値で購入するのではなく、指値を提示して売主がその値段で売るのを待ちましょう。指値で買えなければ諦めてほかの物件の購入を検討する、そういった考えで高利回り物件を購入するのも一つの方法です。
➁投資用マンション購入後
【リフォームする】
高利回りを実現するためには入居率を上げることが大事です。築年数が経過し入居率の低下が続くようだと、利回りも低く推移してしまいます。入居率を高める対策の一つとして、リフォームがあげられます。人気の機能を取り付けることで利便性を高めることや、近隣の物件では見かけない仕様にして付加価値を付け差別化を図ることを検討してみましょう。
具体的には、インターホンをテレビモニター付きにすることや、トイレを洗浄機付きにする、お風呂の追い炊き機能や浴室乾燥機機能の追加などは人気の機能となります。そして付加価値のある仕様としては、ペット共生型マンションにしたり、家電とスマホを連携させて遠隔操作でエアコンのスイッチを入れられたり、お風呂のお湯を貯めたりできる仕様にするなどが挙げられます。
【入居者の要望に応える】
入居者に満足してもらうことは、長い間住んでもらうことに繋がり、空室を生みにくくします。とはいっても満足している声というのはなかなか耳に入ってくるものではありません。ポイントとなるのは、マイナスを0ないしはプラスにすることです。
マイナスとは要望、苦情やクレームのことです。電球の切り替えなどや近隣住民の騒音、ゴミ出しに関することが主にあげられます。このような案件に即座に対応することが重要になってきます。クレームに素早く対処すると入居者からの満足度は上がります。しかし対応が後手に回ってしまうと不満が高まってくるので注意しなければなりません。
このような場合、一人で解決するには難しい案件も出てきます。不動産管理会社などと普段からコミュニケーションを取り、即座に対応できるような関係を構築しておくことが重要になってきます。
利回りのシミュレーション
不動産投資において、利回りは重要な指標の1つです。投資用マンションを購入する際は「表面利回り」だけでなく、「実質利回り」や「現行利回り」も確認しましょう。投資用マンションの広告や物件情報には、利回りが明記されていることが多いですが、数値を鵜呑みにするのではなく、ご自身で計算してみることが重要です。
なぜなら、記載されている利回り自体が間違っている可能性もゼロではないからです。また、ご自身で計算することで、実際に入ってくる家賃収入や、購入時・運営時にかかる諸費用も実感できます。ご参考に、ここでは「都内新築マンション」と「都内中古マンション」の利回りをシミュレーションしてみたいと思います。
都内新築マンションの場合
はじめに、都内新築マンションの「表面利回り」と「実質利回り」を計算してみましょう。シミュレーションの設定条件は次の通りです。
〈設定条件〉
・新築マンション(1棟物件/RC造5階建)
・所在地:文京区
・物件価格:2億3,500万円(税込)
・購入時の諸経費:2,350万円(物件価格の10%)
・運営の諸経費:188万円(家賃収入の20%)
・年間家賃収入:942万円
【表面利回り(想定利回り)】
上記の投資用マンションの場合、表面利回り(想定利回り)のシミュレーション結果は下記のようになります。
=利回り4%
【実質利回り】
今度は、上記の都内新築の投資用マンションの「実質利回り」を計算してみましょう。先ほどの表面利回りに、購入時および運営にかかる諸経費が反映され、実際の利回りに近くなります。
=利回り3.57%
都内中古マンションの場合
次に、都内中古マンションの「表面利回り」と「現行利回り」を計算してみましょう。シミュレーションの設定条件は次の通りです。
〈設定条件〉
・中古マンション(1棟物件/RC造3階建/築25年)
・所在地:中野区
・物件価格:9,780万円(税込)
・購入時の諸経費:978万円(物件価格の10%)
・運営の諸経費:147万円(家賃収入の20%)
・年間家賃収入:735万円
・稼働状況:10室中2室が空室
【表面利回り】
上記の投資用マンションの場合、表面利回りのシミュレーション結果は下記のようになります。
=利回り7.52%
【現行利回り】
今度は、上記の都内中古の投資用マンションの現行利回りを計算してみましょう。先ほどの表面利回りに、現時点の稼働状況(10室中2室が空室)が反映されます。
年間家賃収入735万円×稼働状況80%
=588万円
年間家賃収入588万円÷物件価格9,780万円×100
=利回り6%
高利回りのマンション投資の特徴と注意点
高利回りのマンションにはさまざまな特徴があります。利回りの高さに目がいきがちですが、注意すべき点にも目を向けておかなければなりません。
地価が安い
マンション建築が行われる時、最初に行われるのは土地の購入です。マンション価格は土地を購入する代金も含まれているので、地価が安ければ、マンション価格はその分安くなります。マンションの購入費用が安くなると、家賃収入が購入価格に占める割合が高くなるので高利回りとなります。
そして大きく視野を広げると安い地価、高い地価の特徴をもつ地域があります。都市部だと地価が高いので、購入費用は高くなります。それに対し、地方部は地価が安いので購入費用は安く済み、利回りは上昇します。
しかし地価が安いからといって安心はできません。地価は、利便性が良いエリア、人口が多いところ、ブランド力のある土地などが高くなる傾向があります。そういった場所は人が住みたい場所でもあります。その逆で利便性があまりよくなく、人があまり住んでいない場所などは安くなります。そういったエリアの利回りは購入価格が安くても、それほど上がらない可能性もあるので注意が必要です。
建物価格が安い
建物価格が安いとマンションの購入費用も安くなります。それに伴い利回りが高くなります。
安い建物価格の物件は中古物件などが該当します。新築物件と比較すると購入費用が安く抑えられます。その分、利回りは高くなります。ただこちらも注意しなければならないのが、中古物件だと老朽化が進んでおり、空室がでる可能性が高く、利回りがその分低下するリスクがあることです。中古物件を購入する場合は、利回りが高いなどと油断せず、長い目で見た場合、高い利回りを維持できる物件なのかどうかを十分に検討すべきでしょう。
管理コストが安い
管理コストが安いと計算上利回りが上がります。経営努力でコストを削減した場合なら大丈夫なのですが、必要な経費を用意していない場合など経営努力を怠ることで利回りを高くしても、いつかしわ寄せが来て大変なことになります。修繕積立金を用意していなかったら、いざ外壁や屋根の塗り替えなどの大規模修繕を行う場合、いきなり100万円単位の資金を準備しなければならなくなります。それに入居者の要望に応えずにコスト削減を優先するなど経営努力を怠る場合は、いずれ入居者が離れていき、逆に利回りが低下しかねません。
満室想定が前提なら要注意
高利回りを実現するためには、入居率が重要になってきます。満室が常に続けば高利回りが実現できるのですが、現実ではなかなか理想どおりにはいかないものです。新築の間は満室でも、時間の経過とともに空室ができて入居率が下がる可能性は否めません。中古物件になると実際には空室が存在していても、満室状態での利回りが掲載されることもあります。当初の購入計画の際、近隣のマンションを見て築年数が経過するごとに入居率がどうなる傾向なのか、同じタイプのマンションの入居率はどのくらいなのか、などの確認をしておきましょう。自身の物件の将来の姿がある程度想像できるかもしれません。
築年数は必ずチェック
中古物件の購入を検討する際、必ず築年数はチェックしましょう。高利回りを謳っている物件の中には築年数が経過していて物件価格が安くなることでその利回りが実現できているものもあります。築年数が経過している物件は、購入してわずか数年で外壁などの改修工事などを行わなければならない可能性があります。入居率が思っているほど高くなく、リフォームを行わなければならないこともあるでしょう。築年数をチェックして、購入するかの判断と、購入するならその後の対策を考えましょう。
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まとめ
今回は、投資用マンションの利回りに関してお伝えしてきました。投資用マンションを購入する最大の目的は利益を得ることになります。そのためには、購入の検討をする段階で立地条件や物件の仕様などを確認することが大事となってきます。
そして、購入後も利回り低下が予想されることへの対策を考えておく必要があります。いずれにしろ一人で考えるのではなく、不動産投資に関するプロの助言を聴きながら、最善の方法を探っていくべきでしょう。利回りだけを考えていては大事なことを見失いがちになります。過去の成功例、失敗例を知るプロの意見を参考にして、実際に足を運び、マンションへの投資を成功させましょう。
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この記事を書いた人
ベルテックスコラム事務局
不動産コンサルタント・税理士
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