2024.08.16

資産運用

ベルテックスコラム事務局

【FIRE】最低限必要な資産は?失敗しないための実現方法や適した投資方法をチェック

  • FIRE

ここ数年で「FIRE」という言葉をよく耳にするようになりました。定年前に退職して、その後は運用益だけで生活すること、と曖昧なイメージはお持ちの方もいるかもしれませんが、具体的にはどんな生活で、どんな資金繰りをしているのでしょうか。今回は、そのようなFIREに関する疑問点を紐解いていきます。

多くの人が憧れるFIREに関する疑問点を解決していきますので、ぜひ読んでみてください。これを読んで、一人でもFIREに近づく人がいれば幸いです。

FIREは運用益で生計を立てる土台ができた状態のこと

FIREとは、運用益で生計を立てる土台ができた状態を指します。同じように定年前に退職する「早期リタイア」とどう異なるのでしょうか。早期リタイアとの比較を含めてFIREがいかなるものかを見ていきましょう。     

FIREとは経済的自立を指す

FIREとは、「Financial Independence, Retire Early」の頭文字を取った言葉で、「経済的自立」、「早期退職」といった意味合いを持つ言葉です。欧米では、前々から普及していた考え方でしたが、ここ数年で日本でも若年層を中心にこの言葉が広がっていき、ひそかなブームになりました。

ブームの理由としては、コロナ禍で世界経済に懸念を持った方が増えたこと、老後2000万問題が話題になったこと、NISAやiDeCoといった初心者でも取り組みやすい投資商材が増えたことなど様々な意見があります。

日本では、退職は60歳~65歳の定年におこなうものだという概念があります。しかし、FIREでは、60~65歳の定年に達しない年齢で退職し、その後の人生は働くことなく、趣味に時間を費やしたり、田舎で自給自足生活を送ったり、自由に時間を使うことを目標としています。

早期リタイアと異なる点

定年の年齢に達するまでに退職するという点で、「FIRE」と「早期リタイア」は似ていますが、異なる点があります。

「早期リタイア」は、退職までに、一生働かなくても生活できるほどの蓄えを備えて退職することを指します。ですので、早期リタイアをおこなった後の人生では、貯め込んだ蓄えを切り崩しながら生活していくことになります。年々、貯蓄額は減少していくのです。

一方「FIRE」は、運用益で生活費を得られるほどの資産が形成されたという目途が立ってから退職することを指しますFIREは、資産額は減少することなく(価格変動での減少はあり得ますが)、その資産が生み出す配当金や利息などで生活するというスタイルであり、資産が減少するか否かが早期リタイアと大きな異なる点となります。

FIREした後は、毎年、運用益の範囲内で生活することになります。生活スタイルや、資産額によって個人差はありますが、得られる運用益の額によっては、質素・節約をしながらの生活になることもあります。よって、早期リタイアより必要な総資産額自体は少なくなります。

実は色々ある、FIREの種類

FIREと一言でいっても細かく分けると、実は様々な種類があります。それぞれの種類にはどのような特徴があるのか見ていきましょう。

コーストFIRE 

コーストFIREは、退職以降の貯蓄をこれ以上続けなくても良い状態を差します例えば、老後3,000万円欲しい方にとって、40歳時点で800万があり、運用益7%で回せるのであればコーストFIREは達成です。(試算上、20年間の運用で3,000万円以上に達するため)
また、コーストFIREの場合、仕事は辞めません。その分、今稼いだお金は全て使って良いという考え方です。老後の生活資金のことを考えなくて良い自由と安心感を得られるのが強みでしょう。

バリスタFIRE

バリスタFIREは、プライベートな時間を確保しやすいパート・アルバイトで働き続けるタイプのFIREです生活費の半分は、蓄えてきた資産からの運用益で賄い、あとの半分はパート・アルバイトとして働きながらの収入で確保するといった方法です。
体力が低下していく年代で無理をせず働きながら収入を得られる、そしてプライベートも充実でき、年金などの社会保険料も年金額が多めに受け取れる厚生年金に加入できる(働き方によりますが)といったメリットがあります。  

サイドFIRE

サイドFIREは、定年退職後、副業収入を得ながら、運用益からも収入を得るタイプのFIREです運用益だけでなく、他の収入源を確保する点はバリスタFIREと似ていますが、バリスタFIREがパート・アルバイトといった雇用される側として働くのに対し、サイドFIREは「個人事業主」として収入を得る点が異なります。リタイア後は、運用益から得られる収入と、副業から得られる収入の2本柱で生活していくので、運用資産は比較的少なく済むメリットがあります。副業として何かスキルをお持ちの方には比較的成功しやすいFIREです。

リーンFIRE

リーンFIREは、リタイア後の日々の生活を質素・倹約しながら送るタイプのFIREです。ほかのFIREと同様にリタイア後は運用益からの収入で生活しますが、外食などを積極的におこなわず自炊で賄い、高価な買い物や贅沢な趣味などよりは、少額な資金での楽しみを見つけるミニマリストに向いています。その分、FIREにかかる必要資金も少額で済むのが利点です。     

ファットFIRE

定年前に仕事を完全にリタイアした後、最低限必要な生活費だけでなく、高価な買い物ができるなど優雅な生活が送れるほどの収入を運用益で得られるタイプのFIREをファットFIREといいます。贅沢な生活を送るためには多額の運用資産が必要なため、その資産を形成するための努力は相当なものとなります。

FIREの実現方法

FIREを実現するためには方法があります。その考え方を理解して、計画を立てていきましょう。

年間支出を資産4%に抑える  

FIREを実現するためには、年間支出を資産の4%に抑えることが望ましいと言われています最低限の生活費だけでなく、旅行など趣味にかける費用を合わせ、資産の4%に出費を抑えるのです。それが資産を目減りさせることなく生活できるといったFIRE成功のカギとなります。

ところでなぜ「4%」なのでしょうか? この4%という数字の根拠は、アメリカの経済の流れからきています。第二次世界大戦後75年間における米株式市場で重要な株価指数である「S&P500」の上昇率は年平均で約7%もあります。そして同期間においてアメリカのインフレ率は3%でした。その差である4%は実質的な資産の上昇幅であり、年4%の利益を出すことは誰でも可能な数字であるとの見込みからです。

日本でもNISAやiDeCoなどで個人投資家の増加を促す政策が広まったり、東京証券取引所の改革などにより株価が上昇していたり、新規投資家が参入しやすい流れが出来ています。年利4%であれば、リスクの低い米国債等や人気インデックスファンドの銘柄でも現状達成の見込みが高い数字といえるでしょう。

必要資金は生活費から逆算して25倍

年間支出は資産の4%に抑える、ということは、逆算するとFIRE後の資産額は、生活費の25倍が必要ということになります「年間支出は資産の4%」よりは、「生活費の25倍の資産が必要」という考え方を念頭に置く方がわかりやすいでしょう。それは、将来の生活費は、各々の生活スタイルや価値観で異なってくるからです。

将来、優雅な生活を送りたいという考え方の方と、とりあえず住むため食べるために必要なお金があればいいという考え方の方とでは、将来の生活費はずいぶん異なってきます。それに伴い、準備すべき資産額も大きく差が出てくるでしょう。ですので、ご自身が将来どのような生活を描くのかで必要な資産の額を決めていきましょう。

FIRE種類別の必要資金の目安

・コーストFIRE

コーストFIREを実現するために必要な資産額は目標とする年齢によっても異なりますが、3,000~6,000万円程度と言われています。コーストFIREは、定年退職まではフルタイムで働き続きながら、リタイア後の生活資金を先に貯めておくスタイルです。働き続ける想定のため、社会保険料の負担も少なく、年金も満額入ってくるでしょう。

・バリスタFIRE

バリスタFIREを実現するために必要な資産額は4,000~6,000万円程度と言われています。運用益を得つつも、パート・アルバイトとして働きながら収入を得るのがバリスタFIREのスタイルです。5,000万円の資産額がある場合、年4%の運用益を税引き後に得る額は月々約13万円となります。それ以外の生活費をパート・アルバイトとしての収入で賄います。 厚生年金に加入できるケース
日本では、社会保険に加入できるのは➀フルタイムで働く方か、正社員の3/4の労働時間がある方 ➁週の労働時間20時間以上、月額賃金8.8万以上、2か月を超える雇用の見込みがある が対象です。その範囲で働いて生活費を工面していくことになります。

・サイドFIRE

サイドFIREを実現するために必要な資産額は2,000~5,000万円ほどと言われています。必要な資産額が比較的少額なのは、運用益のほかに、副業で得られる収入が確保されているからです。最低限必要な生活費を運用益でまかない、副業収入でよりゆとりのある生活を送れるような目標設定となるでしょう。ただし、早期退職する関係で厚生年金が少額になる事は注意しましょう。老後は減った分の年金を考慮して、運用益で生活が困らない資産の組み立てをすると良いでしょう。

・リーンFIRE

リーンFIREは、7,000~8,000万円ほどの資産が必要でしょう。リーンFIREは、質素・倹約がモットーの生活スタイルの方々がおこなう方法です。

生命保険文化センターが2022年4月おこなった調査によると、夫婦二人暮らしの老後の最低生活費の平均額は月23万2,000円です。そして約14%の方が20万円以下となっています。リーンFIREを目標とする方はこのゾーン前後を想定されるでしょう。8,000万円の資産額の場合、4%の運用益を税引き後に月々得る額は約21万円となります。

・ファットFIRE

ファットFIREを実現するために準備しておきたい資産額はどのような生活をしたいかによりますが、多い人だと5億円ほどとなるでしょう。5億円の4%は2,000万円です。税引き後だと1,500万円となり、月々125万円を得ることになります。仮に1億円でも月25万が得られますから、経済的自立を達成していると言えるでしょう。しかし、その資金を準備するためには大きな努力が必要となるでしょう。

FIREのメリット・デメリット

FIREにはメリットとデメリットがあります。実際にFIREを目指す前にしっかりと理解しておきましょう。

FIREのメリット  

  • ストレスを感じることなく、自由な生活を送れる
    まずFIREを目指す人の多くは、自由な生活を送ることが目標となっているでしょう。業務内容や職場環境などのストレスを感じることがなく、好きな事を好きな時におこなえます。
  • 趣味や家族に割く時間が増える
    早期退職することで、仕事という時間の縛りから解放されます。それにより、仕事に割いていた時間を趣味や家族との時間に充てることができるのです。時間を気にせず好きなことに没頭したり、家族と旅行に行ったり、家事をおこなったりなどして充実した生活を送ることができます
  • 新たなチャレンジができる
    FIREを実現した後からが人生の本番、と言う方がいるように、第二の人生を始めやすいタイミングです。自らの努力で得た時間的・経済的余裕を十分に生かして思い切った行動を取ることができます。
  • 資産運用など金融の知識が身に付く
    FIREを実現させるためには、目標金額に到達するため資産運用をおこないます。それに伴い、投資や税金、国際的な経済状況などを勉強することになるでしょう。これらの知識はFIRE後の生活にも役立つはずです。

FIREのデメリット

  • 想定外の急な出費に弱い
    FIREは資産額の年4%の範囲内での出費を想定したプランとなっています。平常に生活できている時は、予定の範囲で出費は抑えられるでしょうが、時には想定外のことが起きて出費がかさばる可能性があります。「大きな病気を患った」場合や、「子どもが海外留学を希望しだした」場合など、当初思っていなかったことが起きることもあるでしょう。その場合、資産を取り崩す必要が出てくるかもしれません
  • 4%ルールを保った生活
    FIREは、毎年資産額に対して年4%の運用益が得られることを見込んで生活することを想定しています。しかし、経済状況によっては毎年4%の運用益を見込めない可能性があります。運用益は、おおむね株式の配当金や債券の利息などが源となるでしょうが、株式の配当金は企業業績によって毎年変動しますし、債券の利息は金利情勢いわば国内景気などで変動します。FIREを検討する際、想定の運用益が見込めない場合にはどうすべきか考えておく必要があります。
  • 老齢年金の受給額が減る
    サイドFIREでも触れましたが、FIREした後、会社で雇用される立場でなくなった場合、加入する年金が厚生年金から国民年金に切り替わります。厚生年金の掛金は高いですが(半分は会社負担ではあります)、その分、老齢年金の受給額は国民年金のみの場合よりも大きくなります。それが国民年金に切り替わるのです。FIREを検討する際、老後の生活資金をどう賄うかも念頭に入れて計画を立てましょう
  • 再就職が難しくなる
    一度、会社を退職して、しばらくの間、無職の生活を送ると、再就職を検討した際に希望の条件で採用されることが難しくなるでしょう。年を経るほど難易度が高くなります。FIRE後、収支が当初の計画通りにすすまない場合のことも考慮しておく必要があります。

FIREを目指すならやっておきたい投資法とは

FIREを成功させるためには、資産運用をおこなって、お金に働いてもらう必要があります。投資には様々な種類がありますが、特におすすめの投資法を上げてみました。

投資信託

投資信託は、運用のプロが投資家から資金を募り、様々な有価証券に分散投資する金融商品です。商品ごとにテーマがあるのが特徴で、分散投資の投資対象はそのテーマに沿ったものとなります。たとえば「世界株ファンド」という商品は、世界中の株式に投資するテーマで、投資家から募った資金を日本やアメリカ、ヨーロッパ、東南アジアなどの株式に分散投資して、収益を上げることを目標としています。

投資信託の中でも投資初心者の方には「インデックスファンド」がおすすめです。インデックスファンドは、さまざまな株価指標に連動する投資信託なのでファンド価格の動きが把握しやすいからです。たとえば「日経平均株価インデックスファンド」の場合、投資家から募った資金を日経平均株価採用225銘柄に分散投資する投資信託です。

知識が無くても、時間をかけずに安定した利益を出しやすいのが特徴です投資信託の場合、分配金は年に一回や、そもそも払われないケースもあります。銘柄の選定時に、分配金を受け取りたいのか、受け取らなくていいから投資効率が良い銘柄を選びたいかは注意して選ぶようにしましょう。

個別株

証券取引所に上場している株式を購入する方法があります。特に高配当株は持っている株数に応じて配当金が得られるため、FIREとは相性がいいでしょうなお、株式を購入する際は、証券会社に口座を開設する必要がありますが、手数料が安いネット証券で開設するのがお得です。  

ETF

ETFは、「上場投資信託」の名称で、投資信託の一種です。上記で説明した投資信託と異なる点が主に2点あります。

1点目は、ETFは価格が株価指数などの指標と連動することです。具体的に言うとニュースで伝えられる「日経平均株価」や「TOPIX(東証株価指数)」などに連動するので、新聞やネットを開いて価格を調べなくても、動きが把握できます。一方、投資信託の場合、運用のプロが分散投資する銘柄の動きによって価格が変動します。

そして2点目は株式と同様に証券取引所の立会時間中は常に値動きがあり、売買が可能なことです。これにより同一日に安い価格で購入して高くなったら売却して利益を出せることも可能な商品です。一方、投資信託の場合、株式等の取引の終値で価格の計算がおこなわれるので、一日ひとつの価格のみで売買されることになります。ETFは株式と同様の取引となるので、ネット証券で売買した方が手数料は安く抑えられます。

不動産投資

不動産投資はFIRE向きのメリットが多い投資商品です。主なメリットは以下の通りです。

  • 生命保険代わりになる
    ローンを組んで不動産投資をおこなう場合、ローンを借り入れる金融機関で「団体信用生命保険」に加入します。投資家に万が一のことがおきた場合、残りの借入残高はその保険が支払ってくれるのです。残された家族は、ローンの負担なく不動産のみを相続するので家賃収入を全額受け取ることができます。これが生命保険代わりになると言われる由縁です。
  • 節税対策になる
    不動産投資は、節税対策にもなります。不動産投資では、赤字になる年がでてくる場合があります。不動産投資に伴う不動産所得は、給与所得と損益通算ができるので、給与所得の黒字と不動産所得の赤字を合算して税負担を減らすことが可能なのです。これにより所得税と住民税の節税が可能です。
  • レバレッジ効果が高い
    不動産投資はレバレッジ効果が高いです少ない自己資金で大きな収益が得られます。購入する不動産を担保にローンを組むことで、自己資金の少ない投資が可能となります。不動産投資のレバレッジ効果について詳しく知りたい方は以下の記事をご確認ください。

FIREでお金に困った際のポイント

FIREした後、想定外の事態に陥る可能性があります。そのような時、どのような対策を立てれば良い方向へ向かうでしょうか。いくつかの対策をあげてみました。

生活費の見直しをする

想定より運用益が得られなかったり、生活費がかかったりする場合が出てくるでしょう。その時は、生活費を見直してみましょう。外食の頻度を減らす、生命保険の見直しをする、高いガソリンを消費する自動車での外出を控えるなどの方法を考えて、生活費を削減するのも一つの方法です。

自分のFIREのスタイルを見直す

自身のFIREのスタイルを見直してみることも検討してみましょう運用益のみで生活するスタイルなら、サイドFIREなど副業収入も得られるスタイルに切り替えてみましょう。運用益以外での収入を確保することが大事になってきます。  

運用効率を見直す

運用益を得る元になる資産の入れ替えを検討してみましょう。経済状況は常に変化しており、運用益も変動します運用益が思ったほど得られない時期、別の金融商品で高利回りのものがあるかもしれません。ポートフォリオを組み直して運用益を得られる資産内容に変更することも検討してみましょう。

投資の専門家に相談する

投資経験者や証券会社、不動産投資会社などの専門家に相談してみるのも良い方法でしょう。これらの専門家は、さまざまな成功、失敗のノウハウを持っています。専門家に自分の資産状況に見合った的確なアドバイスを貰えれば、良い方向へつながるでしょう。

まとめ

今回は、FIREについてのお話をしてきました。FIREを目指している、憧れる方は多いでしょう。実際にFIREを成功させた方は世の中にいます。そのFIREにもメリットだけでなく、デメリットもあります。FIREを成功させたい場合、デメリットや想定外のことが起きた場合の対策も念頭に置いて計画を立てましょう。そして、理想の生活スタイルのFIREを実現させましょう。

ベルテックスではFPなど有資格者の資産形成コンサルタントも多く在籍しています。もしFIREに挑戦したいという方は、個別セミナーの形で資産状況を伺ってご対応も可能です。ぜひご参加ください!

この記事を書いた人

ベルテックスコラム事務局

不動産コンサルタント・税理士

不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。

2024.08.16

資産運用

ベルテックスコラム事務局

【FIRE】最低限必要な資産は?失敗しないための実現方法や適した投資方法をチェック

  • FIRE

ここ数年で「FIRE」という言葉をよく耳にするようになりました。定年前に退職して、その後は運用益だけで生活すること、と曖昧なイメージはお持ちの方もいるかもしれませんが、具体的にはどんな生活で、どんな資金繰りをしているのでしょうか。今回は、そのようなFIREに関する疑問点を紐解いていきます。

多くの人が憧れるFIREに関する疑問点を解決していきますので、ぜひ読んでみてください。これを読んで、一人でもFIREに近づく人がいれば幸いです。

FIREは運用益で生計を立てる土台ができた状態のこと

FIREとは、運用益で生計を立てる土台ができた状態を指します。同じように定年前に退職する「早期リタイア」とどう異なるのでしょうか。早期リタイアとの比較を含めてFIREがいかなるものかを見ていきましょう。     

FIREとは経済的自立を指す

FIREとは、「Financial Independence, Retire Early」の頭文字を取った言葉で、「経済的自立」、「早期退職」といった意味合いを持つ言葉です。欧米では、前々から普及していた考え方でしたが、ここ数年で日本でも若年層を中心にこの言葉が広がっていき、ひそかなブームになりました。

ブームの理由としては、コロナ禍で世界経済に懸念を持った方が増えたこと、老後2000万問題が話題になったこと、NISAやiDeCoといった初心者でも取り組みやすい投資商材が増えたことなど様々な意見があります。

日本では、退職は60歳~65歳の定年におこなうものだという概念があります。しかし、FIREでは、60~65歳の定年に達しない年齢で退職し、その後の人生は働くことなく、趣味に時間を費やしたり、田舎で自給自足生活を送ったり、自由に時間を使うことを目標としています。

早期リタイアと異なる点

定年の年齢に達するまでに退職するという点で、「FIRE」と「早期リタイア」は似ていますが、異なる点があります。

「早期リタイア」は、退職までに、一生働かなくても生活できるほどの蓄えを備えて退職することを指します。ですので、早期リタイアをおこなった後の人生では、貯め込んだ蓄えを切り崩しながら生活していくことになります。年々、貯蓄額は減少していくのです。

一方「FIRE」は、運用益で生活費を得られるほどの資産が形成されたという目途が立ってから退職することを指しますFIREは、資産額は減少することなく(価格変動での減少はあり得ますが)、その資産が生み出す配当金や利息などで生活するというスタイルであり、資産が減少するか否かが早期リタイアと大きな異なる点となります。

FIREした後は、毎年、運用益の範囲内で生活することになります。生活スタイルや、資産額によって個人差はありますが、得られる運用益の額によっては、質素・節約をしながらの生活になることもあります。よって、早期リタイアより必要な総資産額自体は少なくなります。

実は色々ある、FIREの種類

FIREと一言でいっても細かく分けると、実は様々な種類があります。それぞれの種類にはどのような特徴があるのか見ていきましょう。

コーストFIRE 

コーストFIREは、退職以降の貯蓄をこれ以上続けなくても良い状態を差します例えば、老後3,000万円欲しい方にとって、40歳時点で800万があり、運用益7%で回せるのであればコーストFIREは達成です。(試算上、20年間の運用で3,000万円以上に達するため)
また、コーストFIREの場合、仕事は辞めません。その分、今稼いだお金は全て使って良いという考え方です。老後の生活資金のことを考えなくて良い自由と安心感を得られるのが強みでしょう。

バリスタFIRE

バリスタFIREは、プライベートな時間を確保しやすいパート・アルバイトで働き続けるタイプのFIREです生活費の半分は、蓄えてきた資産からの運用益で賄い、あとの半分はパート・アルバイトとして働きながらの収入で確保するといった方法です。
体力が低下していく年代で無理をせず働きながら収入を得られる、そしてプライベートも充実でき、年金などの社会保険料も年金額が多めに受け取れる厚生年金に加入できる(働き方によりますが)といったメリットがあります。  

サイドFIRE

サイドFIREは、定年退職後、副業収入を得ながら、運用益からも収入を得るタイプのFIREです運用益だけでなく、他の収入源を確保する点はバリスタFIREと似ていますが、バリスタFIREがパート・アルバイトといった雇用される側として働くのに対し、サイドFIREは「個人事業主」として収入を得る点が異なります。リタイア後は、運用益から得られる収入と、副業から得られる収入の2本柱で生活していくので、運用資産は比較的少なく済むメリットがあります。副業として何かスキルをお持ちの方には比較的成功しやすいFIREです。

リーンFIRE

リーンFIREは、リタイア後の日々の生活を質素・倹約しながら送るタイプのFIREです。ほかのFIREと同様にリタイア後は運用益からの収入で生活しますが、外食などを積極的におこなわず自炊で賄い、高価な買い物や贅沢な趣味などよりは、少額な資金での楽しみを見つけるミニマリストに向いています。その分、FIREにかかる必要資金も少額で済むのが利点です。     

ファットFIRE

定年前に仕事を完全にリタイアした後、最低限必要な生活費だけでなく、高価な買い物ができるなど優雅な生活が送れるほどの収入を運用益で得られるタイプのFIREをファットFIREといいます。贅沢な生活を送るためには多額の運用資産が必要なため、その資産を形成するための努力は相当なものとなります。

FIREの実現方法

FIREを実現するためには方法があります。その考え方を理解して、計画を立てていきましょう。

年間支出を資産4%に抑える  

FIREを実現するためには、年間支出を資産の4%に抑えることが望ましいと言われています最低限の生活費だけでなく、旅行など趣味にかける費用を合わせ、資産の4%に出費を抑えるのです。それが資産を目減りさせることなく生活できるといったFIRE成功のカギとなります。

ところでなぜ「4%」なのでしょうか? この4%という数字の根拠は、アメリカの経済の流れからきています。第二次世界大戦後75年間における米株式市場で重要な株価指数である「S&P500」の上昇率は年平均で約7%もあります。そして同期間においてアメリカのインフレ率は3%でした。その差である4%は実質的な資産の上昇幅であり、年4%の利益を出すことは誰でも可能な数字であるとの見込みからです。

日本でもNISAやiDeCoなどで個人投資家の増加を促す政策が広まったり、東京証券取引所の改革などにより株価が上昇していたり、新規投資家が参入しやすい流れが出来ています。年利4%であれば、リスクの低い米国債等や人気インデックスファンドの銘柄でも現状達成の見込みが高い数字といえるでしょう。

必要資金は生活費から逆算して25倍

年間支出は資産の4%に抑える、ということは、逆算するとFIRE後の資産額は、生活費の25倍が必要ということになります「年間支出は資産の4%」よりは、「生活費の25倍の資産が必要」という考え方を念頭に置く方がわかりやすいでしょう。それは、将来の生活費は、各々の生活スタイルや価値観で異なってくるからです。

将来、優雅な生活を送りたいという考え方の方と、とりあえず住むため食べるために必要なお金があればいいという考え方の方とでは、将来の生活費はずいぶん異なってきます。それに伴い、準備すべき資産額も大きく差が出てくるでしょう。ですので、ご自身が将来どのような生活を描くのかで必要な資産の額を決めていきましょう。

FIRE種類別の必要資金の目安

・コーストFIRE

コーストFIREを実現するために必要な資産額は目標とする年齢によっても異なりますが、3,000~6,000万円程度と言われています。コーストFIREは、定年退職まではフルタイムで働き続きながら、リタイア後の生活資金を先に貯めておくスタイルです。働き続ける想定のため、社会保険料の負担も少なく、年金も満額入ってくるでしょう。

・バリスタFIRE

バリスタFIREを実現するために必要な資産額は4,000~6,000万円程度と言われています。運用益を得つつも、パート・アルバイトとして働きながら収入を得るのがバリスタFIREのスタイルです。5,000万円の資産額がある場合、年4%の運用益を税引き後に得る額は月々約13万円となります。それ以外の生活費をパート・アルバイトとしての収入で賄います。 厚生年金に加入できるケース
日本では、社会保険に加入できるのは➀フルタイムで働く方か、正社員の3/4の労働時間がある方 ➁週の労働時間20時間以上、月額賃金8.8万以上、2か月を超える雇用の見込みがある が対象です。その範囲で働いて生活費を工面していくことになります。

・サイドFIRE

サイドFIREを実現するために必要な資産額は2,000~5,000万円ほどと言われています。必要な資産額が比較的少額なのは、運用益のほかに、副業で得られる収入が確保されているからです。最低限必要な生活費を運用益でまかない、副業収入でよりゆとりのある生活を送れるような目標設定となるでしょう。ただし、早期退職する関係で厚生年金が少額になる事は注意しましょう。老後は減った分の年金を考慮して、運用益で生活が困らない資産の組み立てをすると良いでしょう。

・リーンFIRE

リーンFIREは、7,000~8,000万円ほどの資産が必要でしょう。リーンFIREは、質素・倹約がモットーの生活スタイルの方々がおこなう方法です。

生命保険文化センターが2022年4月おこなった調査によると、夫婦二人暮らしの老後の最低生活費の平均額は月23万2,000円です。そして約14%の方が20万円以下となっています。リーンFIREを目標とする方はこのゾーン前後を想定されるでしょう。8,000万円の資産額の場合、4%の運用益を税引き後に月々得る額は約21万円となります。

・ファットFIRE

ファットFIREを実現するために準備しておきたい資産額はどのような生活をしたいかによりますが、多い人だと5億円ほどとなるでしょう。5億円の4%は2,000万円です。税引き後だと1,500万円となり、月々125万円を得ることになります。仮に1億円でも月25万が得られますから、経済的自立を達成していると言えるでしょう。しかし、その資金を準備するためには大きな努力が必要となるでしょう。

FIREのメリット・デメリット

FIREにはメリットとデメリットがあります。実際にFIREを目指す前にしっかりと理解しておきましょう。

FIREのメリット  

  • ストレスを感じることなく、自由な生活を送れる
    まずFIREを目指す人の多くは、自由な生活を送ることが目標となっているでしょう。業務内容や職場環境などのストレスを感じることがなく、好きな事を好きな時におこなえます。
  • 趣味や家族に割く時間が増える
    早期退職することで、仕事という時間の縛りから解放されます。それにより、仕事に割いていた時間を趣味や家族との時間に充てることができるのです。時間を気にせず好きなことに没頭したり、家族と旅行に行ったり、家事をおこなったりなどして充実した生活を送ることができます
  • 新たなチャレンジができる
    FIREを実現した後からが人生の本番、と言う方がいるように、第二の人生を始めやすいタイミングです。自らの努力で得た時間的・経済的余裕を十分に生かして思い切った行動を取ることができます。
  • 資産運用など金融の知識が身に付く
    FIREを実現させるためには、目標金額に到達するため資産運用をおこないます。それに伴い、投資や税金、国際的な経済状況などを勉強することになるでしょう。これらの知識はFIRE後の生活にも役立つはずです。

FIREのデメリット

  • 想定外の急な出費に弱い
    FIREは資産額の年4%の範囲内での出費を想定したプランとなっています。平常に生活できている時は、予定の範囲で出費は抑えられるでしょうが、時には想定外のことが起きて出費がかさばる可能性があります。「大きな病気を患った」場合や、「子どもが海外留学を希望しだした」場合など、当初思っていなかったことが起きることもあるでしょう。その場合、資産を取り崩す必要が出てくるかもしれません
  • 4%ルールを保った生活
    FIREは、毎年資産額に対して年4%の運用益が得られることを見込んで生活することを想定しています。しかし、経済状況によっては毎年4%の運用益を見込めない可能性があります。運用益は、おおむね株式の配当金や債券の利息などが源となるでしょうが、株式の配当金は企業業績によって毎年変動しますし、債券の利息は金利情勢いわば国内景気などで変動します。FIREを検討する際、想定の運用益が見込めない場合にはどうすべきか考えておく必要があります。
  • 老齢年金の受給額が減る
    サイドFIREでも触れましたが、FIREした後、会社で雇用される立場でなくなった場合、加入する年金が厚生年金から国民年金に切り替わります。厚生年金の掛金は高いですが(半分は会社負担ではあります)、その分、老齢年金の受給額は国民年金のみの場合よりも大きくなります。それが国民年金に切り替わるのです。FIREを検討する際、老後の生活資金をどう賄うかも念頭に入れて計画を立てましょう
  • 再就職が難しくなる
    一度、会社を退職して、しばらくの間、無職の生活を送ると、再就職を検討した際に希望の条件で採用されることが難しくなるでしょう。年を経るほど難易度が高くなります。FIRE後、収支が当初の計画通りにすすまない場合のことも考慮しておく必要があります。

FIREを目指すならやっておきたい投資法とは

FIREを成功させるためには、資産運用をおこなって、お金に働いてもらう必要があります。投資には様々な種類がありますが、特におすすめの投資法を上げてみました。

投資信託

投資信託は、運用のプロが投資家から資金を募り、様々な有価証券に分散投資する金融商品です。商品ごとにテーマがあるのが特徴で、分散投資の投資対象はそのテーマに沿ったものとなります。たとえば「世界株ファンド」という商品は、世界中の株式に投資するテーマで、投資家から募った資金を日本やアメリカ、ヨーロッパ、東南アジアなどの株式に分散投資して、収益を上げることを目標としています。

投資信託の中でも投資初心者の方には「インデックスファンド」がおすすめです。インデックスファンドは、さまざまな株価指標に連動する投資信託なのでファンド価格の動きが把握しやすいからです。たとえば「日経平均株価インデックスファンド」の場合、投資家から募った資金を日経平均株価採用225銘柄に分散投資する投資信託です。

知識が無くても、時間をかけずに安定した利益を出しやすいのが特徴です投資信託の場合、分配金は年に一回や、そもそも払われないケースもあります。銘柄の選定時に、分配金を受け取りたいのか、受け取らなくていいから投資効率が良い銘柄を選びたいかは注意して選ぶようにしましょう。

個別株

証券取引所に上場している株式を購入する方法があります。特に高配当株は持っている株数に応じて配当金が得られるため、FIREとは相性がいいでしょうなお、株式を購入する際は、証券会社に口座を開設する必要がありますが、手数料が安いネット証券で開設するのがお得です。  

ETF

ETFは、「上場投資信託」の名称で、投資信託の一種です。上記で説明した投資信託と異なる点が主に2点あります。

1点目は、ETFは価格が株価指数などの指標と連動することです。具体的に言うとニュースで伝えられる「日経平均株価」や「TOPIX(東証株価指数)」などに連動するので、新聞やネットを開いて価格を調べなくても、動きが把握できます。一方、投資信託の場合、運用のプロが分散投資する銘柄の動きによって価格が変動します。

そして2点目は株式と同様に証券取引所の立会時間中は常に値動きがあり、売買が可能なことです。これにより同一日に安い価格で購入して高くなったら売却して利益を出せることも可能な商品です。一方、投資信託の場合、株式等の取引の終値で価格の計算がおこなわれるので、一日ひとつの価格のみで売買されることになります。ETFは株式と同様の取引となるので、ネット証券で売買した方が手数料は安く抑えられます。

不動産投資

不動産投資はFIRE向きのメリットが多い投資商品です。主なメリットは以下の通りです。

  • 生命保険代わりになる
    ローンを組んで不動産投資をおこなう場合、ローンを借り入れる金融機関で「団体信用生命保険」に加入します。投資家に万が一のことがおきた場合、残りの借入残高はその保険が支払ってくれるのです。残された家族は、ローンの負担なく不動産のみを相続するので家賃収入を全額受け取ることができます。これが生命保険代わりになると言われる由縁です。
  • 節税対策になる
    不動産投資は、節税対策にもなります。不動産投資では、赤字になる年がでてくる場合があります。不動産投資に伴う不動産所得は、給与所得と損益通算ができるので、給与所得の黒字と不動産所得の赤字を合算して税負担を減らすことが可能なのです。これにより所得税と住民税の節税が可能です。
  • レバレッジ効果が高い
    不動産投資はレバレッジ効果が高いです少ない自己資金で大きな収益が得られます。購入する不動産を担保にローンを組むことで、自己資金の少ない投資が可能となります。不動産投資のレバレッジ効果について詳しく知りたい方は以下の記事をご確認ください。

FIREでお金に困った際のポイント

FIREした後、想定外の事態に陥る可能性があります。そのような時、どのような対策を立てれば良い方向へ向かうでしょうか。いくつかの対策をあげてみました。

生活費の見直しをする

想定より運用益が得られなかったり、生活費がかかったりする場合が出てくるでしょう。その時は、生活費を見直してみましょう。外食の頻度を減らす、生命保険の見直しをする、高いガソリンを消費する自動車での外出を控えるなどの方法を考えて、生活費を削減するのも一つの方法です。

自分のFIREのスタイルを見直す

自身のFIREのスタイルを見直してみることも検討してみましょう運用益のみで生活するスタイルなら、サイドFIREなど副業収入も得られるスタイルに切り替えてみましょう。運用益以外での収入を確保することが大事になってきます。  

運用効率を見直す

運用益を得る元になる資産の入れ替えを検討してみましょう。経済状況は常に変化しており、運用益も変動します運用益が思ったほど得られない時期、別の金融商品で高利回りのものがあるかもしれません。ポートフォリオを組み直して運用益を得られる資産内容に変更することも検討してみましょう。

投資の専門家に相談する

投資経験者や証券会社、不動産投資会社などの専門家に相談してみるのも良い方法でしょう。これらの専門家は、さまざまな成功、失敗のノウハウを持っています。専門家に自分の資産状況に見合った的確なアドバイスを貰えれば、良い方向へつながるでしょう。

まとめ

今回は、FIREについてのお話をしてきました。FIREを目指している、憧れる方は多いでしょう。実際にFIREを成功させた方は世の中にいます。そのFIREにもメリットだけでなく、デメリットもあります。FIREを成功させたい場合、デメリットや想定外のことが起きた場合の対策も念頭に置いて計画を立てましょう。そして、理想の生活スタイルのFIREを実現させましょう。

ベルテックスではFPなど有資格者の資産形成コンサルタントも多く在籍しています。もしFIREに挑戦したいという方は、個別セミナーの形で資産状況を伺ってご対応も可能です。ぜひご参加ください!

この記事を書いた人

ベルテックスコラム事務局

不動産コンサルタント・税理士

不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。