2023.10.10

不動産投資の基本

ベルテックスコラム事務局

マンション経営の7つのリスクと効果的な対策を解説

  • リスク

マンション経営は、動く金額が大きいため、リスクを気にする人が多いかもしれません。マンション経営のリスクについて以下のような疑問を抱くことはないでしょうか。

  • マンション経営にはどのようなリスクがあるのか
  • リスクが顕在化するとどうなるのか
  • リスクに対してどのような準備や対策をすればいいのか

マンション経営は事業の一つである以上、一定のリスクはありますが、いずれも事前にリスクを把握しておくことで対策を講じることが可能です。この記事では、マンション経営のリスクと効果的な対策について解説します。

マンション経営の7つのリスク

マンション経営における主なリスクは、以下の7つです。

  • 空室リスク
  • 滞納リスク
  • 家賃下落リスク
  • 金利上昇リスク
  • 災害リスク
  • 資産価値下落リスク
  • 突発的な修繕リスク

それぞれのリスクの具体的な内容や顕在化した場合に起きることについて説明します。

空室リスク

空室リスクとは、物件の入居者がいない状態が発生し、家賃収入が得られなくなるリスクです。マンション経営の主たる収入は家賃収入なので、空室リスクは収支の悪化に直結します。そのため、空室リスクはマンション経営をする上で最も対策が必要なリスクの一つといえます。

就職や異動などで転居が多発する時期(2~3月頃、9~10月頃)に一時的に空き室が発生し、次の入居者がすぐに見つかるような場合(空室期間が短い場合)は大きなリスクになりません。しかし、空室期間が長期化するにつれて大きなリスクになっていきます。

空室が続くということは、家賃収入が得られない、すなわちマンション経営における売上が立たない状態が続くことです。これでは、キャッシュフローが赤字になってしまいます。空室リスクが顕在化すると手元資金や本業からの収入をローン返済に充てなければいけなくなる可能性があることは、しっかりと認識しておきましょう。

滞納リスク

滞納リスクとは、入居者に家賃を支払ってもらえず、家賃収入が得られなくなるリスクのことです。家賃収入が得られなくなる点で滞納リスクと空室リスクは共通していますが、対処の難易度やコストにおいて両者は大きく異なります。滞納リスクが顕在化すると、家賃を滞納している入居者を法的手続に沿って強制退去させる事態に発展する可能性があるからです。

家賃を滞納している入居者を法的に強制退去させるためには、多大な手間(入居者への内容証明郵便の送付、訴訟手続など)と費用(弁護士費用、強制執行に係る費用等)がかかります。また、これらの手続きを行っても、滞納された分の家賃を回収できる可能性は低いでしょう。

家賃下落リスク

家賃下落リスクとは、建物の経年劣化や周辺マーケットの変化などの要因によって、家賃を下げなければ入居者が見つからなくなるリスクのことです。建物や設備が経年とともに劣化・老朽化したり周辺に新築物件が供給されたりすると、一般的に家賃は下落していきます。

家賃収入の下落は、マンション経営における売上の減少になり、キャッシュフローの悪化に直結するため注意が必要です。都心の賃貸需要が旺盛なエリアの物件など一部の例外を除き「物件購入時と同じ家賃が将来も続く可能性は低い」ということを認識しておきましょう。

金利上昇リスク

金利上昇リスクとは、変動金利(借入期間中に適用される利率が変動する金利タイプ)でローンを組んでいる場合に、借入期間中に金利が上昇するリスクのことです。ローン金利が上昇すると毎月の支払利息の金額が増えるため、固定費の増加につながります。ローン金利は、日銀の金融政策の影響を受けるため、今後の動向を注視しておくとよいでしょう。

実際、金利変動によって支払利息がどの程度変動するのか以下の事例でシミュレーションしてみましょう。

・借入金額:5,000万円
・借入期間:25年
・金利タイプ:変動金利

【金利と返済額の関係】

金利 年間返済額 総返済額
2% 約254万3,136円 約6,357万7,897円
3% 約284万5,272円 約7,113万1,423円
4% 約316万7,028円 約7,113万1,423円

上記の事例では、金利が1%上がるごとに年間の固定費が約30万円、総返済額が約800万円も増加することが分かります。1%の違いだったとしても、年額や総支払額に換算すると大きな差が生じるという点はしっかりと認識しておきましょう。

災害リスク

災害リスクとは、地震や台風、大雨などの自然災害や、付随する火災、水災などの二次災害によって建物が損傷するリスクのことです。災害によって建物が損傷すると多額の修繕費がかかるだけではなく、賃貸ができない期間が発生することにより家賃収入が得られないリスクがあります。そのため、災害リスクは、自然災害が多い日本でのマンション経営において看過できないリスクといえるでしょう。

資産価値下落リスク

資産価値下落リスクとは、建物の経年劣化や周辺マーケットの変化などの要因によって物件価格(資産価値)が下落するリスクのことです。不動産は、築年数の経過による建物および設備の劣化・老朽化や、周辺エリアでの新築物件の供給などの要因から、経年とともに価値が下落する傾向があります。物件の資産価値が購入時よりも下落することは、物件売却時の損失につながるため注意が必要です。

突発的な修繕リスク

突発的な修繕費リスクとは、建物や設備が劣化したり故障したりしたために修繕費が必要になるリスクのことです。マンション内にあるエアコンや給湯器、エレベーターといった大型設備、外壁塗装やタイルなどは、修繕や交換時に多額の費用がかかります。適切な修繕が行き届いていないと賃貸マンションとしての質が低下し、家賃下落や空室率の上昇につながるリスクもあるため注意が必要です。

マンション経営のリスクの回避法

マンション経営には、多方面においてリスクが伴いますが、いずれも事前に準備や対策をしておくことで、リスクが顕在化した際の損失を最小限に抑えることが可能です。

ここでは、各リスクに対して事前にできる準備や対策の内容について説明します。

空室リスク

空室リスクへの主な対策としては、以下の3つが挙げられます。

  • 賃貸需要の高い立地を選ぶ
  • 入居付けに強い管理会社に依頼する
  • 同じエリアで近しい物件の空室率や家賃を確認する

それぞれの対策の内容を具体的に説明します。

賃貸需要の高い立地を選ぶ

「賃貸需要の高い立地」とは、賃貸住宅の需要が旺盛なエリア、すなわち中長期的に人口の増加が見込まれるエリアのことです。物件を購入する前に最寄り駅の乗降客数の推移や自治体が発表している人口動態に関するデータ、再開発案件の有無などの情報を参照して、総合的にマーケット調査をしておきましょう。

入居付けに強い管理会社に依頼する

投資する物件の空室が埋まるか否かは、管理会社の質に大きく左右される可能性があります。賃貸管理を管理会社に委託している場合、空室の募集をするのは管理会社となるため、その管理会社がどのような方法でどの程度の範囲に物件情報を公開して営業活動しているのかを確認しましょう。

管理会社が万全を尽くしても空室が埋まらない場合は、そのエリアの入居者募集に強い仲介会社にオーナー自らが物件情報を持参することも経営努力の一環として取り得る選択肢の一つです。

同じエリアで近しい物件の空室率や家賃を確認する

平均的な空室率や妥当な賃貸条件(家賃、礼金、フリーレントなど)の目安を推し測る一つの基準として同じエリアの競合物件における空室率を参照するのが合理的といえます。

周辺の競合物件がどのような条件で入居者募集をしており、その結果としてどの程度の空室率になっているのかを確認し、自分の物件の賃貸条件を設定する時や変更するときの参考値にするといいでしょう。

滞納リスク

滞納リスクへの主な対策としては、以下の2つが挙げられます。

  • 入居時の審査を厳格にする
  • 入居者に家賃保証会社への加入をしてもらう

それぞれの対策の内容を具体的に説明します。

入居時の審査を厳格にする

家賃滞納リスクを回避するためには、入居者の職業や勤務先、年収、資産状況などの情報を確認し、中長期的に家賃を支払い続けられる経済力があるか否かを見極めることが重要です。

「空室を早く埋めたい」というオーナーとしての焦りがある状況下でも、入居者の支払能力は厳格に審査しましょう。入居者が見つかったとしても家賃滞納が発生すると家賃を回収できないだけでなく訴訟などの手続きが必要となる場合もあります。結果として空室時よりも状況が悪くなる可能性があるという点は押さえておきましょう。

入居者に家賃保証会社への加入をしてもらう

入居審査を厳格に行った上で、入居者に家賃保証会社への加入をしてもらうことで、滞納リスクによる損害を軽減することができます。家賃保証会社とは、入居者が家賃を払えない場合に入居者に代わって家賃の立て替え払いしてくれる会社のことです。

原則として家賃保証会社に支払う保証料は入居者負担となるため、オーナー側にリスクはありません。入居者募集時に家賃保証会社への加入を条件として設定しておくと安心です。近年は、家賃保証会社への加入を必須とするケースが増えています。

家賃下落リスク

家賃下落リスクへの主な対策は、以下の3つが挙げられます。

  • 新築の場合、築5年、10年、15年での近しい物件の家賃を確認しておく
  • 設備など定期的に物件への投資を検討する
  • 仲介会社との関係を構築しておく

それぞれの対策の内容を具体的に説明します。

新築の場合、築5年、10年、15年での近しい物件の家賃を確認しておく

家賃下落リスクの対策として大切なのは、家賃が下落することを見越した対策と、家賃の下落をできるかぎり緩やかにするための対策に分けて考えることです。

家賃が下落することを見越した対策としては、物件購入時に資金計画を立てる際、周辺の競合物件における家賃が築年数とともにどのように推移しているかを築年数ごとに整理しておくといいでしょう。

周辺の競合物件で新築、築5年、10年、15年の物件をそれぞれに洗い出し、それぞれの家賃をグラフなどにまとめて、家賃が今後の経年でどのように推移しそうかを事前に想定することが重要です。

特に新築物件を購入する場合は「家賃は経年とともに下落するもの」という認識のもと家賃下落を想定した資金計画を立てておきましょう。

設備など定期的に物件への投資を検討する

家賃の下落をできるかぎり緩やかにするための対策としては、定期的な設備のリニューアルや室内のリフォームといった設備投資が挙げられます。建物や設備の老朽化は、家賃下落の要因になり得るため、周辺で供給される新築物件に大きな引けを取らないよう、内装を定期的に刷新していくことが重要です。

仲介会社との関係を構築しておく

家賃の下落をできるかぎり緩やかにするためには、仲介会社との関係を日常的に構築しておくことも大切です。なぜならお客さまに物件を紹介したり、内見に案内したりするのは仲介会社だからです。仲介会社がお客さまに自分の物件の魅力をしっかりとアピールしてくれれば、家賃を下げなくても空室が埋まるかもしれません。

空室が出た際の物件紹介やマーケットヒアリングなどを目的として定期的にコンタクトを取っておくと仲介会社との関係性を構築しやすくなります。

金利上昇リスク

金利上昇リスクへの主な対策としては、以下の2つが挙げられます。

  • 家賃収入などから余剰資金を貯めて繰上返済する
  • 固定金利に変更する

それぞれの対策の内容を具体的に説明します。

家賃収入などから余剰資金を貯めて繰上返済する

支払利息の金額は、融資残高に金利を乗じて決まるため、融資残高が減れば金利が上がったとしても支払利息の総額を抑えることができます。家賃収入の一部を毎月ストックしておき、定期的に繰上返済に充てられれば「融資残高を減らす」という形でリスクヘッジをすることが可能です。

固定金利に変更する

金利上昇リスクは「変動金利」を選択した場合に生じ得るリスクです。そのため「固定金利」という金利が変動しない金利パターンに変更することで金利上昇リスクを回避することも選択肢の一つです。

災害リスク

災害リスクへの対策としては、損害保険(火災保険、地震保険および各種特約)への加入が挙げられます。前提として当該物件エリアのハザードマップや過去の災害に関するデータを参照することは必要です。しかし、災害そのものを未然に防止することはできないため、災害が発生した場合の善後策として損害保険に加入しておきましょう。

地震保険とは、地震・噴火・津波を原因とする火災・損壊・埋没・流失によって生じた損害を補償してくれる保険のことです。火災保険だけでは、地震による火災(延焼・拡大を含む)が補償されないので、火災保険でカバーできない部分を補うために地震保険にあわせて加入することが必要です。ただし、地震保険は単独で加入ができないため、必ず火災保険とセットで加入する必要があります。

資産価値リスク

資産価値リスクへの主な対策としては、以下の2つが挙げられます。

  • 不動産価格に大きく影響する金利動向を定期的にチェックする
  • 残債と実勢価格を定期的に確認する

それぞれの対策の内容を具体的に説明します。

金利動向を定期的にチェックする

不動産を購入する際は金融機関から融資を受けることが多いため、不動産価格は金利動向に大きく左右されます。例えば、低金利時は低コストで資金調達ができるため、買い手が増えて価格が上がりやすくなる傾向にあります。逆に金利が上がると資金調達時のコストが増えるため、買い手が減って価格が下がりやすくなります。

「金利と不動産価格には一定の相関関係がある」という認識を持った上で金利動向を定期的にチェックすることが大切です。

残債と実勢価格を定期的に確認する

融資を受けて物件を購入している場合は、融資残高と実勢価格(実際の取引が成立する価格)との差額を定期的に確認するようにしましょう。なぜなら売却した場合に得られた資金でローンを完済できるかは非常に重要なポイントとなるからです。

物件の資産価値の下落によって実勢価格が融資残高を下回ってしまった場合、手元資金で差額を補てんしなければ売却できない可能性があります。逆にいうと実勢価格が下がっていたとしても売却時点で融資残高を上回っていればローンを完済できるため安全ということです。

突発的な修繕リスク

修繕コストの発生は、マンション経営において避けては通れない必要経費の一つです。そのため事前に修繕計画を立て計画的に修繕費を積み立てておくことが大切です。各種設備には、おおよその交換時期があるため、その周期に合わせて十分な修繕費用が貯まるように修繕計画を立てておきましょう。

災害や事故などによる修繕リスクを回避すべく各種保険に加入しておくとさらに安心です。各損害保険会社が多種多様なリスクに対応できる保険商品を揃えているため、必要に応じて検討するとよいでしょう。

まとめ

この記事では、マンション経営の7つのリスクと対策について解説しました。いずれもマンション経営のパフォーマンスに大きく影響する可能性があるため、事前にリスクの内容をよく理解して万全な対策を講じることが大切です。また、物件の購入を検討する際に、物件の周辺エリアで顕在化しやすいリスクや合理的な対策について十分にリサーチしておくことは、マンション経営の安全性を高めることにつながります。

ベルテックスでは不動産にまつわる資産形成セミナーを開催しています。ぜひお問い合わせください。

この記事を書いた人

ベルテックスコラム事務局

不動産コンサルタント・税理士

不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。

2023.10.10

不動産投資の基本

ベルテックスコラム事務局

マンション経営の7つのリスクと効果的な対策を解説

  • リスク

マンション経営は、動く金額が大きいため、リスクを気にする人が多いかもしれません。マンション経営のリスクについて以下のような疑問を抱くことはないでしょうか。

  • マンション経営にはどのようなリスクがあるのか
  • リスクが顕在化するとどうなるのか
  • リスクに対してどのような準備や対策をすればいいのか

マンション経営は事業の一つである以上、一定のリスクはありますが、いずれも事前にリスクを把握しておくことで対策を講じることが可能です。この記事では、マンション経営のリスクと効果的な対策について解説します。

マンション経営の7つのリスク

マンション経営における主なリスクは、以下の7つです。

  • 空室リスク
  • 滞納リスク
  • 家賃下落リスク
  • 金利上昇リスク
  • 災害リスク
  • 資産価値下落リスク
  • 突発的な修繕リスク

それぞれのリスクの具体的な内容や顕在化した場合に起きることについて説明します。

空室リスク

空室リスクとは、物件の入居者がいない状態が発生し、家賃収入が得られなくなるリスクです。マンション経営の主たる収入は家賃収入なので、空室リスクは収支の悪化に直結します。そのため、空室リスクはマンション経営をする上で最も対策が必要なリスクの一つといえます。

就職や異動などで転居が多発する時期(2~3月頃、9~10月頃)に一時的に空き室が発生し、次の入居者がすぐに見つかるような場合(空室期間が短い場合)は大きなリスクになりません。しかし、空室期間が長期化するにつれて大きなリスクになっていきます。

空室が続くということは、家賃収入が得られない、すなわちマンション経営における売上が立たない状態が続くことです。これでは、キャッシュフローが赤字になってしまいます。空室リスクが顕在化すると手元資金や本業からの収入をローン返済に充てなければいけなくなる可能性があることは、しっかりと認識しておきましょう。

滞納リスク

滞納リスクとは、入居者に家賃を支払ってもらえず、家賃収入が得られなくなるリスクのことです。家賃収入が得られなくなる点で滞納リスクと空室リスクは共通していますが、対処の難易度やコストにおいて両者は大きく異なります。滞納リスクが顕在化すると、家賃を滞納している入居者を法的手続に沿って強制退去させる事態に発展する可能性があるからです。

家賃を滞納している入居者を法的に強制退去させるためには、多大な手間(入居者への内容証明郵便の送付、訴訟手続など)と費用(弁護士費用、強制執行に係る費用等)がかかります。また、これらの手続きを行っても、滞納された分の家賃を回収できる可能性は低いでしょう。

家賃下落リスク

家賃下落リスクとは、建物の経年劣化や周辺マーケットの変化などの要因によって、家賃を下げなければ入居者が見つからなくなるリスクのことです。建物や設備が経年とともに劣化・老朽化したり周辺に新築物件が供給されたりすると、一般的に家賃は下落していきます。

家賃収入の下落は、マンション経営における売上の減少になり、キャッシュフローの悪化に直結するため注意が必要です。都心の賃貸需要が旺盛なエリアの物件など一部の例外を除き「物件購入時と同じ家賃が将来も続く可能性は低い」ということを認識しておきましょう。

金利上昇リスク

金利上昇リスクとは、変動金利(借入期間中に適用される利率が変動する金利タイプ)でローンを組んでいる場合に、借入期間中に金利が上昇するリスクのことです。ローン金利が上昇すると毎月の支払利息の金額が増えるため、固定費の増加につながります。ローン金利は、日銀の金融政策の影響を受けるため、今後の動向を注視しておくとよいでしょう。

実際、金利変動によって支払利息がどの程度変動するのか以下の事例でシミュレーションしてみましょう。

・借入金額:5,000万円
・借入期間:25年
・金利タイプ:変動金利

【金利と返済額の関係】

金利 年間返済額 総返済額
2% 約254万3,136円 約6,357万7,897円
3% 約284万5,272円 約7,113万1,423円
4% 約316万7,028円 約7,113万1,423円

上記の事例では、金利が1%上がるごとに年間の固定費が約30万円、総返済額が約800万円も増加することが分かります。1%の違いだったとしても、年額や総支払額に換算すると大きな差が生じるという点はしっかりと認識しておきましょう。

災害リスク

災害リスクとは、地震や台風、大雨などの自然災害や、付随する火災、水災などの二次災害によって建物が損傷するリスクのことです。災害によって建物が損傷すると多額の修繕費がかかるだけではなく、賃貸ができない期間が発生することにより家賃収入が得られないリスクがあります。そのため、災害リスクは、自然災害が多い日本でのマンション経営において看過できないリスクといえるでしょう。

資産価値下落リスク

資産価値下落リスクとは、建物の経年劣化や周辺マーケットの変化などの要因によって物件価格(資産価値)が下落するリスクのことです。不動産は、築年数の経過による建物および設備の劣化・老朽化や、周辺エリアでの新築物件の供給などの要因から、経年とともに価値が下落する傾向があります。物件の資産価値が購入時よりも下落することは、物件売却時の損失につながるため注意が必要です。

突発的な修繕リスク

突発的な修繕費リスクとは、建物や設備が劣化したり故障したりしたために修繕費が必要になるリスクのことです。マンション内にあるエアコンや給湯器、エレベーターといった大型設備、外壁塗装やタイルなどは、修繕や交換時に多額の費用がかかります。適切な修繕が行き届いていないと賃貸マンションとしての質が低下し、家賃下落や空室率の上昇につながるリスクもあるため注意が必要です。

マンション経営のリスクの回避法

マンション経営には、多方面においてリスクが伴いますが、いずれも事前に準備や対策をしておくことで、リスクが顕在化した際の損失を最小限に抑えることが可能です。

ここでは、各リスクに対して事前にできる準備や対策の内容について説明します。

空室リスク

空室リスクへの主な対策としては、以下の3つが挙げられます。

  • 賃貸需要の高い立地を選ぶ
  • 入居付けに強い管理会社に依頼する
  • 同じエリアで近しい物件の空室率や家賃を確認する

それぞれの対策の内容を具体的に説明します。

賃貸需要の高い立地を選ぶ

「賃貸需要の高い立地」とは、賃貸住宅の需要が旺盛なエリア、すなわち中長期的に人口の増加が見込まれるエリアのことです。物件を購入する前に最寄り駅の乗降客数の推移や自治体が発表している人口動態に関するデータ、再開発案件の有無などの情報を参照して、総合的にマーケット調査をしておきましょう。

入居付けに強い管理会社に依頼する

投資する物件の空室が埋まるか否かは、管理会社の質に大きく左右される可能性があります。賃貸管理を管理会社に委託している場合、空室の募集をするのは管理会社となるため、その管理会社がどのような方法でどの程度の範囲に物件情報を公開して営業活動しているのかを確認しましょう。

管理会社が万全を尽くしても空室が埋まらない場合は、そのエリアの入居者募集に強い仲介会社にオーナー自らが物件情報を持参することも経営努力の一環として取り得る選択肢の一つです。

同じエリアで近しい物件の空室率や家賃を確認する

平均的な空室率や妥当な賃貸条件(家賃、礼金、フリーレントなど)の目安を推し測る一つの基準として同じエリアの競合物件における空室率を参照するのが合理的といえます。

周辺の競合物件がどのような条件で入居者募集をしており、その結果としてどの程度の空室率になっているのかを確認し、自分の物件の賃貸条件を設定する時や変更するときの参考値にするといいでしょう。

滞納リスク

滞納リスクへの主な対策としては、以下の2つが挙げられます。

  • 入居時の審査を厳格にする
  • 入居者に家賃保証会社への加入をしてもらう

それぞれの対策の内容を具体的に説明します。

入居時の審査を厳格にする

家賃滞納リスクを回避するためには、入居者の職業や勤務先、年収、資産状況などの情報を確認し、中長期的に家賃を支払い続けられる経済力があるか否かを見極めることが重要です。

「空室を早く埋めたい」というオーナーとしての焦りがある状況下でも、入居者の支払能力は厳格に審査しましょう。入居者が見つかったとしても家賃滞納が発生すると家賃を回収できないだけでなく訴訟などの手続きが必要となる場合もあります。結果として空室時よりも状況が悪くなる可能性があるという点は押さえておきましょう。

入居者に家賃保証会社への加入をしてもらう

入居審査を厳格に行った上で、入居者に家賃保証会社への加入をしてもらうことで、滞納リスクによる損害を軽減することができます。家賃保証会社とは、入居者が家賃を払えない場合に入居者に代わって家賃の立て替え払いしてくれる会社のことです。

原則として家賃保証会社に支払う保証料は入居者負担となるため、オーナー側にリスクはありません。入居者募集時に家賃保証会社への加入を条件として設定しておくと安心です。近年は、家賃保証会社への加入を必須とするケースが増えています。

家賃下落リスク

家賃下落リスクへの主な対策は、以下の3つが挙げられます。

  • 新築の場合、築5年、10年、15年での近しい物件の家賃を確認しておく
  • 設備など定期的に物件への投資を検討する
  • 仲介会社との関係を構築しておく

それぞれの対策の内容を具体的に説明します。

新築の場合、築5年、10年、15年での近しい物件の家賃を確認しておく

家賃下落リスクの対策として大切なのは、家賃が下落することを見越した対策と、家賃の下落をできるかぎり緩やかにするための対策に分けて考えることです。

家賃が下落することを見越した対策としては、物件購入時に資金計画を立てる際、周辺の競合物件における家賃が築年数とともにどのように推移しているかを築年数ごとに整理しておくといいでしょう。

周辺の競合物件で新築、築5年、10年、15年の物件をそれぞれに洗い出し、それぞれの家賃をグラフなどにまとめて、家賃が今後の経年でどのように推移しそうかを事前に想定することが重要です。

特に新築物件を購入する場合は「家賃は経年とともに下落するもの」という認識のもと家賃下落を想定した資金計画を立てておきましょう。

設備など定期的に物件への投資を検討する

家賃の下落をできるかぎり緩やかにするための対策としては、定期的な設備のリニューアルや室内のリフォームといった設備投資が挙げられます。建物や設備の老朽化は、家賃下落の要因になり得るため、周辺で供給される新築物件に大きな引けを取らないよう、内装を定期的に刷新していくことが重要です。

仲介会社との関係を構築しておく

家賃の下落をできるかぎり緩やかにするためには、仲介会社との関係を日常的に構築しておくことも大切です。なぜならお客さまに物件を紹介したり、内見に案内したりするのは仲介会社だからです。仲介会社がお客さまに自分の物件の魅力をしっかりとアピールしてくれれば、家賃を下げなくても空室が埋まるかもしれません。

空室が出た際の物件紹介やマーケットヒアリングなどを目的として定期的にコンタクトを取っておくと仲介会社との関係性を構築しやすくなります。

金利上昇リスク

金利上昇リスクへの主な対策としては、以下の2つが挙げられます。

  • 家賃収入などから余剰資金を貯めて繰上返済する
  • 固定金利に変更する

それぞれの対策の内容を具体的に説明します。

家賃収入などから余剰資金を貯めて繰上返済する

支払利息の金額は、融資残高に金利を乗じて決まるため、融資残高が減れば金利が上がったとしても支払利息の総額を抑えることができます。家賃収入の一部を毎月ストックしておき、定期的に繰上返済に充てられれば「融資残高を減らす」という形でリスクヘッジをすることが可能です。

固定金利に変更する

金利上昇リスクは「変動金利」を選択した場合に生じ得るリスクです。そのため「固定金利」という金利が変動しない金利パターンに変更することで金利上昇リスクを回避することも選択肢の一つです。

災害リスク

災害リスクへの対策としては、損害保険(火災保険、地震保険および各種特約)への加入が挙げられます。前提として当該物件エリアのハザードマップや過去の災害に関するデータを参照することは必要です。しかし、災害そのものを未然に防止することはできないため、災害が発生した場合の善後策として損害保険に加入しておきましょう。

地震保険とは、地震・噴火・津波を原因とする火災・損壊・埋没・流失によって生じた損害を補償してくれる保険のことです。火災保険だけでは、地震による火災(延焼・拡大を含む)が補償されないので、火災保険でカバーできない部分を補うために地震保険にあわせて加入することが必要です。ただし、地震保険は単独で加入ができないため、必ず火災保険とセットで加入する必要があります。

資産価値リスク

資産価値リスクへの主な対策としては、以下の2つが挙げられます。

  • 不動産価格に大きく影響する金利動向を定期的にチェックする
  • 残債と実勢価格を定期的に確認する

それぞれの対策の内容を具体的に説明します。

金利動向を定期的にチェックする

不動産を購入する際は金融機関から融資を受けることが多いため、不動産価格は金利動向に大きく左右されます。例えば、低金利時は低コストで資金調達ができるため、買い手が増えて価格が上がりやすくなる傾向にあります。逆に金利が上がると資金調達時のコストが増えるため、買い手が減って価格が下がりやすくなります。

「金利と不動産価格には一定の相関関係がある」という認識を持った上で金利動向を定期的にチェックすることが大切です。

残債と実勢価格を定期的に確認する

融資を受けて物件を購入している場合は、融資残高と実勢価格(実際の取引が成立する価格)との差額を定期的に確認するようにしましょう。なぜなら売却した場合に得られた資金でローンを完済できるかは非常に重要なポイントとなるからです。

物件の資産価値の下落によって実勢価格が融資残高を下回ってしまった場合、手元資金で差額を補てんしなければ売却できない可能性があります。逆にいうと実勢価格が下がっていたとしても売却時点で融資残高を上回っていればローンを完済できるため安全ということです。

突発的な修繕リスク

修繕コストの発生は、マンション経営において避けては通れない必要経費の一つです。そのため事前に修繕計画を立て計画的に修繕費を積み立てておくことが大切です。各種設備には、おおよその交換時期があるため、その周期に合わせて十分な修繕費用が貯まるように修繕計画を立てておきましょう。

災害や事故などによる修繕リスクを回避すべく各種保険に加入しておくとさらに安心です。各損害保険会社が多種多様なリスクに対応できる保険商品を揃えているため、必要に応じて検討するとよいでしょう。

まとめ

この記事では、マンション経営の7つのリスクと対策について解説しました。いずれもマンション経営のパフォーマンスに大きく影響する可能性があるため、事前にリスクの内容をよく理解して万全な対策を講じることが大切です。また、物件の購入を検討する際に、物件の周辺エリアで顕在化しやすいリスクや合理的な対策について十分にリサーチしておくことは、マンション経営の安全性を高めることにつながります。

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この記事を書いた人

ベルテックスコラム事務局

不動産コンサルタント・税理士

不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。