2023.11.10

不動産投資の基本

ベルテックスコラム事務局

不動産投資で失敗する人の特徴とは?失敗例と成功に導く5つのポイントを解説

  • 不動産投資
  • 事例

2010年頃から、サラリーマンでも手ごろな価格で始められる「ワンルーム投資」ブームが広がり、不動産投資は私たちにとって身近な存在となりました。その一方で、不動産投資に対するリスクの理解が足りず、綿密な計画を怠って不動産投資に失敗するケースも多くみられています。

本記事では、不動産投資で失敗する人の特徴について、実際に起こった事件を用いて解説していきます。

不動産投資の「失敗」とは

不動産投資の「失敗」とは、全てを差し引きした結果「赤字になること」です。

不動産投資の利益には、物件の保有中に得られるインカムゲイン(家賃収入)と、売却時に得られるキャピタルゲイン(売却益)があります。本記事では、主にインカムゲインの赤字について解説しますが、最終的にはキャピタルゲインを含めた結果が赤字かどうかで、成功か失敗かが決まります。

では、過去に発生した不動産投資の失敗例について、状況に応じて5つ解説していきましょう。

失敗例➀:空室

不動産投資を行う上で、一番多いのが「空室」に伴う失敗です。

収入源となる入居者が決まらなければ、家賃収入が入らず、毎月貯蓄を切り崩してローン返済に追われてしまいます。最悪のケースでは、手元の資金が尽きて自己破産に陥り、完全に「失敗」となります。

空室の発生を回避したい人の中には、一定数「サブリース契約」について興味を持つ人がいますが、過去にはサブリース契約による「失敗例」がありました。サブリースとは、入居者が決まらなくても一定期間は家賃を保障してくれる契約形態のことで、たとえ空室でも家賃の7~8割程度をサブリース会社が支払ってくれる制度です。

しかし、2018年の「かぼちゃの馬車事件」では、サブリース会社の株式会社スマートデイズが経営破綻してしまい、多くの投資家がローン返済に行き詰まり自己破産せざるを得ない状況となりました。

本事件では、不動産会社が経営破綻するまでの背景に非常に多くの問題点がありましたが、このような被害を防ぐためにも、適切な「空室対策」の方法を見極める必要があります。

失敗例②:家賃下落・不動産価格下落

賃貸物件の場合、一般的に建物の経年によって、家賃は徐々に下落していくものと考えられます。

経年による家賃下落はシミュレーションで回避することが可能ですが、エリアにおける周辺環境に頼りすぎてしまうと、不測の事態で家賃が暴落する危険性があります。

例えば、大手電機メーカー「キャノン」の大型製造工場(大分県杵築市)の撤退です。2008年に発生したリーマンショックにより翌年向上を撤退したキャノンですが、工場の従業員が借りることを前提として、周辺には多くの物件が建てられていました。入居者の退去後は地方であるために他に有力な借り手が無く、周辺一帯の家賃相場・不動産相場ともに下落してしまったのです。

他にも、中央大学、文教大学、東京理科大学など有名大学におけるキャンパス移転も同様で、このような事態が起こると周辺の賃貸物件は、家賃が急落する可能性があります。

失敗例③:予期できない災害による修繕

もう1つの不測の事態は、「災害」です。

近年の温暖化や異常気象により、世界中で災害による大きな被害が出ています。災害件数が増え、災害規模が大きくなっていることの裏付けとして2022年10月以降、火災保険料が大幅な値上げへと改定されました。

物件を購入する際、ほとんどの人がハザードマップを確認していますが、残念ながらハザードマップでの予測ではカバーしきれないことが起こっています。

2021年7月に発生した「熱海市伊豆山土石流災害」では、記録的な豪雨で土砂災害が発生し、多くの人や建物が犠牲となりました。調査を進めると、被害拡大の裏側には国・自治体によるずさんな盛土規制が見つかりました。

同じような違法盛土は全国的に存在しているとされ、このように予測不能な災害被害で修繕が強いられるケースがあります。

失敗例④:事故発生による突発的な出費

好調なキャッシュフローを維持するために物件の点検や修繕を怠ってしまうと、過失による事故が起こります。

北海道では、2020年に築古アパートの外廊下が崩落し、居住者が重軽傷を負う事件がありました。修繕費用はあらかじめ計画に組み込むことが重要で、安上がりに済ませようとすると余計に大きな出費となります。昨今の物価上昇も追い打ちをかけ、支払うことを免れない費用以外のものにお金をかけないオーナーがいます。

特に一棟アパートの場合、建物における修繕費は事前に長期目線での計画を立てておきましょう。

失敗例⑤:ローンの返済が厳しくなった

ローンの返済が厳しくなる原因は、先述の「空室」だけとは限りません。

家賃収入に対してローンの返済比率が高すぎることや、家賃下落が激しく想定していた家賃収入が得られない、金利が上昇により返済額が増加してしまったなど、その理由は様々です。

自己破産を回避できたとしても、結果として「失敗」に留まるだけでなく、資金繰りで日常生活にも影響を及ぼすなど心身ともに疲弊してしまうでしょう。

 

不動産投資で失敗する人の特徴

上記のような不動産投資で失敗する人には、実は共通点があります。

不動産投資で失敗する人に挙げられる「特徴」を5つご紹介します。これから不動産投資を始める方は、とりわけ注意しながら確認して下さい。

長期的な目線で計画していなかった

失敗する人のほとんどは、目先の利益を考えてしまい、十分な計画性がないままスタートしてしまう傾向にあります。不動産投資は長期的な目線で計画立てすることで、大きく失敗する確率が低くなります。

株式投資など他の投資でも計画性は非常に重要ですが、その中でも不動産投資は運用期間が長い商品なので特に長期の綿密な運用計画が大切です。

リスクのシミュレーション不足

「計画性」の面で言うと、類似した特徴に「リスクのシミュレーション不足」も挙げられます。

不動産投資には特有のリスクが複数存在しますが、人ごとのように思ってしまい、想定リスクの把握ができていない人が多いようです。不動産投資に見るリスクを理解し、購入前にすべてのリスクに対するシミュレーションを繰り返しましょう。

物件選定を誤ってしまった

投資物件は「成功するか失敗するか、9割がエリアで決まる」とも言われており、立地の選定が非常に重要であると言われています。

しかし、不動産投資初心者は立地よりも「利回り」を重視して失敗する人が多いようです。利回りの中でも「実質利回り」を重視するならまだしも、高数値で表される「表面利回り」を過信しすぎる人がいます。表面利回りは必要経費を差し引く前の計算で算出された数値なので、必然的に利回りは高くなります。不動産投資をスタートし、思ったよりも利回りが低いと焦ることが無いよう、理解が必要です。

利回りについて知りたい方は、こちらの記事で詳しく解説しておりますのでご覧ください。

不動産会社選びを重視しなかった

不動産投資において、パートナーとなる不動産会社は、いわば生涯の伴侶のようなものです。不動産投資を成功に導くためには、キャッシュフローや利回りなど数字の部分だけでなく、不動産会社の競合調査もぬかりなく行いましょう。

具体的には、会社や担当者の信頼性、レスポンスの早さ、契約内容などです。契約内容に関しては、会社によって細かな差がある場合があります。不動産投資の収支を左右する非常に肝要な点であるため、物件選定と同様に重きをおいて下さい。

人の意見を鵜呑みにしていた

不動産投資における交流会や、不動産会社の営業担当から聞く話では、不動産投資で成功する夢のある話を聞く機会が多くあります。

すでにオーナーとして成功している方から、「あの物件は買い時だ」とか「買わなきゃ損する」と言われ、実際に購入してしまう人がいます。いくら経験が豊富だとしても、人の意見を鵜呑みにしてはいけません。不動産投資において「PDCAサイクル」の「P」は、特に重要な項目です。人任せにせず、必ずリスクヘッジやシミュレーションをした上で、納得してから購入しましょう。

不動産投資の成功に導く5つのポイント

最後の章では、不動産投資を成功に導くポイントをご紹介していきます。

1.リスクヘッジをする

まずは、運用する上で考えられるリスクヘッジをしっかりと行いましょう。下記では、特に重要な5つのリスクをご紹介します。

空室リスク

最も大きなリスクと言われているのが「空室リスク」です。空室の発生は収入源が遮断されてしまうだけでなく、長期化すると「家賃下落」が免れず更に悪循環となります。

【対策】
「供給<需要」となるエリア・物件を選ぶ
・入居者のニーズにあった間取り・設備のある物件を選ぶ
・建物管理がしっかりできている物件を選ぶ

家賃下落・不動産価格

家賃の値下げはその後のキャッシュフローを永続的に悪化させてしまい、不動産価格の下落、つまり最終的な資産価値の下落へ繋がります。一般的に家賃は新築時に一番高く、築年数が経つほど下落していきますが、資産価値の突然の急落には十分に注意しましょう。

【対策】
・特定の企業・大学の需要に頼らない物件を選ぶ
再開発などの都市計画をまめにチェックする

災害リスク

いつ起こるか分からない予期せぬ災害には、事前の手厚い備えが大切です。前提として、1981年5月31日以前に建てられた「旧耐震物件」は避けた方が無難でしょう。

【対策】
・新耐震基準を満たした物件を購入する
・地震保険に加入する
ハザードマップを確認する
・複数の物件を購入する場合は、エリアを分散させる

修繕・コストリスク

想像以上に多い出費となるのが、修繕などのコストです。建物にかかる修繕費とは別で、「原状回復費」も念頭に入れておかなくてはいけません。いつ退去するか分からない上に、室内の使用状況次第では多額の出費となります。

【対策】
・原状回復費用などはあらかじめ用意しておく
 (毎月のキャッシュフローから少しずつ貯めておく)
保証プランがある不動産会社を選ぶ

金利上昇リスク

アパートローンを組んで不動産投資を行う人のほとんどは、利率の低い「変動金利」を採用しています。しかし、変動金利は半年に一度見直しがされ、現在の超低金利時代において、今後いつ上昇するか分かりません。融資審査の際、わずか0.1%の差でも、極力低い利率の金融機関から借り入れを行う方が得策です。

【対策】
・経済情勢に合わせた正しい金利の選択が重要
提携金融機関数の多い不動産会社から購入する

2.表面利回りだけでなく実質利回りも計算する

物件選定の際には、利回りが高く計算される表面利回りではなく、実質利回りで計算およびシミュレーションしましょう。

例えば、表面利回りは新築や築浅物件が低く、築古物件は高くなりますが、築古物件には建物の修繕コストや資産価値の下落リスクなどが考えられます。また、家賃が安い築古物件は属性のよくない入居者が入り、退去時に必要以上に修繕費がかかってしまうなどのデメリットもあります。物件の状況から実質利回りも考えたうえで、購入の良し悪しを判断しましょう。

3.周辺の家賃相場を確認する

物件選定では物件価格や利回りに目がいきがちですが、周辺のライバル物件の家賃相場調査も非常に重要です。もしも相場に見合わない家賃設定をされている場合、空室が続き比較的早い段階で家賃下落が起こります。また、「購入価格」のわりに売却時には低い価格でしか売れない、というような状況に繋がります。

4.長期のシミュレーションを行う

長期間続くローン返済やあらゆるリスクに怯えていると、毎月プラスを出したい気持ちが先走ってしまいます。しかし、不動産投資は長期で運用しながら、計画と戦略を練り続け「黒字にしていく」投資法です。この仕組みをきちんと理解して、長期目線でシミュレーションを行いましょう。

また、不動産会社が行うセミナーなどでは「物件購入後は、オーナー様は何もしなくていいです」などと言われますが、そうではありません。不動産市場の動向や入居者のニーズ、物件管理などを幅広く学ぶ継続的な努力が必要です。

5.信頼できる不動産会社に管理委託する

専門的な知識を要する不動産投資において、多くの場合は不動産会社へ物件の管理を委託しますが、委託先の会社選びはひときわ慎重になって下さい。

先述した不動産会社ごとの契約・サービス内容と併せて、自分の話や置かれた状況にどれだけ親身になってくれるかも非常に大切なポイントです。空室などのリスクが発生した場合、的確なアドバイスやフォローをしてもらえなければ、毎月お金を支払ってプロに委託している意味がありません。不動産投資で困った時、心置きなく相談できるパートナーを探しましょう。

まとめ

本記事では、不動産投資における「失敗」をテーマに実際の失敗例や失敗する人の特徴、成功に導くポイントをお伝えしました。

不動産投資の成功には計画性と戦略立てが不可欠で、特に「物件選び」「リスクヘッジのシミュレーション」「不動産会社の見極め」には注視しましょう。不動産投資は、物事を自分で考え判断することができ、地道な努力を厭わない人に良好な結果をもたらす魅力的な投資法です。

ベルテックスでは不動産投資にまつわるセミナーを開催しています。ご自宅からオンラインでご参加いただけますので、より詳しく話を聞いてみたい方はぜひお気軽にお問い合わせください。

この記事を書いた人

ベルテックスコラム事務局

不動産コンサルタント・税理士

不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。

2023.11.10

不動産投資の基本

ベルテックスコラム事務局

不動産投資で失敗する人の特徴とは?失敗例と成功に導く5つのポイントを解説

  • 不動産投資
  • 事例

2010年頃から、サラリーマンでも手ごろな価格で始められる「ワンルーム投資」ブームが広がり、不動産投資は私たちにとって身近な存在となりました。その一方で、不動産投資に対するリスクの理解が足りず、綿密な計画を怠って不動産投資に失敗するケースも多くみられています。

本記事では、不動産投資で失敗する人の特徴について、実際に起こった事件を用いて解説していきます。

不動産投資の「失敗」とは

不動産投資の「失敗」とは、全てを差し引きした結果「赤字になること」です。

不動産投資の利益には、物件の保有中に得られるインカムゲイン(家賃収入)と、売却時に得られるキャピタルゲイン(売却益)があります。本記事では、主にインカムゲインの赤字について解説しますが、最終的にはキャピタルゲインを含めた結果が赤字かどうかで、成功か失敗かが決まります。

では、過去に発生した不動産投資の失敗例について、状況に応じて5つ解説していきましょう。

失敗例➀:空室

不動産投資を行う上で、一番多いのが「空室」に伴う失敗です。

収入源となる入居者が決まらなければ、家賃収入が入らず、毎月貯蓄を切り崩してローン返済に追われてしまいます。最悪のケースでは、手元の資金が尽きて自己破産に陥り、完全に「失敗」となります。

空室の発生を回避したい人の中には、一定数「サブリース契約」について興味を持つ人がいますが、過去にはサブリース契約による「失敗例」がありました。サブリースとは、入居者が決まらなくても一定期間は家賃を保障してくれる契約形態のことで、たとえ空室でも家賃の7~8割程度をサブリース会社が支払ってくれる制度です。

しかし、2018年の「かぼちゃの馬車事件」では、サブリース会社の株式会社スマートデイズが経営破綻してしまい、多くの投資家がローン返済に行き詰まり自己破産せざるを得ない状況となりました。

本事件では、不動産会社が経営破綻するまでの背景に非常に多くの問題点がありましたが、このような被害を防ぐためにも、適切な「空室対策」の方法を見極める必要があります。

失敗例②:家賃下落・不動産価格下落

賃貸物件の場合、一般的に建物の経年によって、家賃は徐々に下落していくものと考えられます。

経年による家賃下落はシミュレーションで回避することが可能ですが、エリアにおける周辺環境に頼りすぎてしまうと、不測の事態で家賃が暴落する危険性があります。

例えば、大手電機メーカー「キャノン」の大型製造工場(大分県杵築市)の撤退です。2008年に発生したリーマンショックにより翌年向上を撤退したキャノンですが、工場の従業員が借りることを前提として、周辺には多くの物件が建てられていました。入居者の退去後は地方であるために他に有力な借り手が無く、周辺一帯の家賃相場・不動産相場ともに下落してしまったのです。

他にも、中央大学、文教大学、東京理科大学など有名大学におけるキャンパス移転も同様で、このような事態が起こると周辺の賃貸物件は、家賃が急落する可能性があります。

失敗例③:予期できない災害による修繕

もう1つの不測の事態は、「災害」です。

近年の温暖化や異常気象により、世界中で災害による大きな被害が出ています。災害件数が増え、災害規模が大きくなっていることの裏付けとして2022年10月以降、火災保険料が大幅な値上げへと改定されました。

物件を購入する際、ほとんどの人がハザードマップを確認していますが、残念ながらハザードマップでの予測ではカバーしきれないことが起こっています。

2021年7月に発生した「熱海市伊豆山土石流災害」では、記録的な豪雨で土砂災害が発生し、多くの人や建物が犠牲となりました。調査を進めると、被害拡大の裏側には国・自治体によるずさんな盛土規制が見つかりました。

同じような違法盛土は全国的に存在しているとされ、このように予測不能な災害被害で修繕が強いられるケースがあります。

失敗例④:事故発生による突発的な出費

好調なキャッシュフローを維持するために物件の点検や修繕を怠ってしまうと、過失による事故が起こります。

北海道では、2020年に築古アパートの外廊下が崩落し、居住者が重軽傷を負う事件がありました。修繕費用はあらかじめ計画に組み込むことが重要で、安上がりに済ませようとすると余計に大きな出費となります。昨今の物価上昇も追い打ちをかけ、支払うことを免れない費用以外のものにお金をかけないオーナーがいます。

特に一棟アパートの場合、建物における修繕費は事前に長期目線での計画を立てておきましょう。

失敗例⑤:ローンの返済が厳しくなった

ローンの返済が厳しくなる原因は、先述の「空室」だけとは限りません。

家賃収入に対してローンの返済比率が高すぎることや、家賃下落が激しく想定していた家賃収入が得られない、金利が上昇により返済額が増加してしまったなど、その理由は様々です。

自己破産を回避できたとしても、結果として「失敗」に留まるだけでなく、資金繰りで日常生活にも影響を及ぼすなど心身ともに疲弊してしまうでしょう。

 

不動産投資で失敗する人の特徴

上記のような不動産投資で失敗する人には、実は共通点があります。

不動産投資で失敗する人に挙げられる「特徴」を5つご紹介します。これから不動産投資を始める方は、とりわけ注意しながら確認して下さい。

長期的な目線で計画していなかった

失敗する人のほとんどは、目先の利益を考えてしまい、十分な計画性がないままスタートしてしまう傾向にあります。不動産投資は長期的な目線で計画立てすることで、大きく失敗する確率が低くなります。

株式投資など他の投資でも計画性は非常に重要ですが、その中でも不動産投資は運用期間が長い商品なので特に長期の綿密な運用計画が大切です。

リスクのシミュレーション不足

「計画性」の面で言うと、類似した特徴に「リスクのシミュレーション不足」も挙げられます。

不動産投資には特有のリスクが複数存在しますが、人ごとのように思ってしまい、想定リスクの把握ができていない人が多いようです。不動産投資に見るリスクを理解し、購入前にすべてのリスクに対するシミュレーションを繰り返しましょう。

物件選定を誤ってしまった

投資物件は「成功するか失敗するか、9割がエリアで決まる」とも言われており、立地の選定が非常に重要であると言われています。

しかし、不動産投資初心者は立地よりも「利回り」を重視して失敗する人が多いようです。利回りの中でも「実質利回り」を重視するならまだしも、高数値で表される「表面利回り」を過信しすぎる人がいます。表面利回りは必要経費を差し引く前の計算で算出された数値なので、必然的に利回りは高くなります。不動産投資をスタートし、思ったよりも利回りが低いと焦ることが無いよう、理解が必要です。

利回りについて知りたい方は、こちらの記事で詳しく解説しておりますのでご覧ください。

不動産会社選びを重視しなかった

不動産投資において、パートナーとなる不動産会社は、いわば生涯の伴侶のようなものです。不動産投資を成功に導くためには、キャッシュフローや利回りなど数字の部分だけでなく、不動産会社の競合調査もぬかりなく行いましょう。

具体的には、会社や担当者の信頼性、レスポンスの早さ、契約内容などです。契約内容に関しては、会社によって細かな差がある場合があります。不動産投資の収支を左右する非常に肝要な点であるため、物件選定と同様に重きをおいて下さい。

人の意見を鵜呑みにしていた

不動産投資における交流会や、不動産会社の営業担当から聞く話では、不動産投資で成功する夢のある話を聞く機会が多くあります。

すでにオーナーとして成功している方から、「あの物件は買い時だ」とか「買わなきゃ損する」と言われ、実際に購入してしまう人がいます。いくら経験が豊富だとしても、人の意見を鵜呑みにしてはいけません。不動産投資において「PDCAサイクル」の「P」は、特に重要な項目です。人任せにせず、必ずリスクヘッジやシミュレーションをした上で、納得してから購入しましょう。

不動産投資の成功に導く5つのポイント

最後の章では、不動産投資を成功に導くポイントをご紹介していきます。

1.リスクヘッジをする

まずは、運用する上で考えられるリスクヘッジをしっかりと行いましょう。下記では、特に重要な5つのリスクをご紹介します。

空室リスク

最も大きなリスクと言われているのが「空室リスク」です。空室の発生は収入源が遮断されてしまうだけでなく、長期化すると「家賃下落」が免れず更に悪循環となります。

【対策】
「供給<需要」となるエリア・物件を選ぶ
・入居者のニーズにあった間取り・設備のある物件を選ぶ
・建物管理がしっかりできている物件を選ぶ

家賃下落・不動産価格

家賃の値下げはその後のキャッシュフローを永続的に悪化させてしまい、不動産価格の下落、つまり最終的な資産価値の下落へ繋がります。一般的に家賃は新築時に一番高く、築年数が経つほど下落していきますが、資産価値の突然の急落には十分に注意しましょう。

【対策】
・特定の企業・大学の需要に頼らない物件を選ぶ
再開発などの都市計画をまめにチェックする

災害リスク

いつ起こるか分からない予期せぬ災害には、事前の手厚い備えが大切です。前提として、1981年5月31日以前に建てられた「旧耐震物件」は避けた方が無難でしょう。

【対策】
・新耐震基準を満たした物件を購入する
・地震保険に加入する
ハザードマップを確認する
・複数の物件を購入する場合は、エリアを分散させる

修繕・コストリスク

想像以上に多い出費となるのが、修繕などのコストです。建物にかかる修繕費とは別で、「原状回復費」も念頭に入れておかなくてはいけません。いつ退去するか分からない上に、室内の使用状況次第では多額の出費となります。

【対策】
・原状回復費用などはあらかじめ用意しておく
 (毎月のキャッシュフローから少しずつ貯めておく)
保証プランがある不動産会社を選ぶ

金利上昇リスク

アパートローンを組んで不動産投資を行う人のほとんどは、利率の低い「変動金利」を採用しています。しかし、変動金利は半年に一度見直しがされ、現在の超低金利時代において、今後いつ上昇するか分かりません。融資審査の際、わずか0.1%の差でも、極力低い利率の金融機関から借り入れを行う方が得策です。

【対策】
・経済情勢に合わせた正しい金利の選択が重要
提携金融機関数の多い不動産会社から購入する

2.表面利回りだけでなく実質利回りも計算する

物件選定の際には、利回りが高く計算される表面利回りではなく、実質利回りで計算およびシミュレーションしましょう。

例えば、表面利回りは新築や築浅物件が低く、築古物件は高くなりますが、築古物件には建物の修繕コストや資産価値の下落リスクなどが考えられます。また、家賃が安い築古物件は属性のよくない入居者が入り、退去時に必要以上に修繕費がかかってしまうなどのデメリットもあります。物件の状況から実質利回りも考えたうえで、購入の良し悪しを判断しましょう。

3.周辺の家賃相場を確認する

物件選定では物件価格や利回りに目がいきがちですが、周辺のライバル物件の家賃相場調査も非常に重要です。もしも相場に見合わない家賃設定をされている場合、空室が続き比較的早い段階で家賃下落が起こります。また、「購入価格」のわりに売却時には低い価格でしか売れない、というような状況に繋がります。

4.長期のシミュレーションを行う

長期間続くローン返済やあらゆるリスクに怯えていると、毎月プラスを出したい気持ちが先走ってしまいます。しかし、不動産投資は長期で運用しながら、計画と戦略を練り続け「黒字にしていく」投資法です。この仕組みをきちんと理解して、長期目線でシミュレーションを行いましょう。

また、不動産会社が行うセミナーなどでは「物件購入後は、オーナー様は何もしなくていいです」などと言われますが、そうではありません。不動産市場の動向や入居者のニーズ、物件管理などを幅広く学ぶ継続的な努力が必要です。

5.信頼できる不動産会社に管理委託する

専門的な知識を要する不動産投資において、多くの場合は不動産会社へ物件の管理を委託しますが、委託先の会社選びはひときわ慎重になって下さい。

先述した不動産会社ごとの契約・サービス内容と併せて、自分の話や置かれた状況にどれだけ親身になってくれるかも非常に大切なポイントです。空室などのリスクが発生した場合、的確なアドバイスやフォローをしてもらえなければ、毎月お金を支払ってプロに委託している意味がありません。不動産投資で困った時、心置きなく相談できるパートナーを探しましょう。

まとめ

本記事では、不動産投資における「失敗」をテーマに実際の失敗例や失敗する人の特徴、成功に導くポイントをお伝えしました。

不動産投資の成功には計画性と戦略立てが不可欠で、特に「物件選び」「リスクヘッジのシミュレーション」「不動産会社の見極め」には注視しましょう。不動産投資は、物事を自分で考え判断することができ、地道な努力を厭わない人に良好な結果をもたらす魅力的な投資法です。

ベルテックスでは不動産投資にまつわるセミナーを開催しています。ご自宅からオンラインでご参加いただけますので、より詳しく話を聞いてみたい方はぜひお気軽にお問い合わせください。

この記事を書いた人

ベルテックスコラム事務局

不動産コンサルタント・税理士

不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。