2023.11.14

資産運用

ベルテックスコラム事務局

太陽光発電 VS 不動産投資、投資効果を徹底比較!

  • 資産形成
  • 金融商品VS不動産投資
  • 比較

太陽光発電投資は、手軽で簡単な投資法の一つです。家庭でも太陽光パネルを屋根に設置しており、身近な投資先として注目されています。投資といえば、不動産投資をイメージする方が多いのではないでしょうか。今回は、太陽光発電と不動産投資の投資効果を比較検証します。

太陽光発電投資とは?

太陽光発電投資とは、具体的にどんなシステムで、どのような特徴があるのでしょうか。詳しくみていきましょう。

太陽光発電投資の仕組み

太陽光発電投資の収益は、発電した電力を電力会社に買い取ってもらうことで得られます。この仕組みは、2012年に導入された「再生エネルギー固定価格買取制度(通称FIT)」に基づいています。FITは、太陽光発電プロジェクトを開始した年から20年間、一定の価格で電力を買い取ってもらえる仕組みです。

FITが最初に導入された当初は、買取単価が1kWh当たり42円と高額でした。しかし、多くの事業者が太陽光発電プロジェクトに参入し、競争が激化したため、年々買取単価が減少しています。令和5年度には買取単価が16円となり、当初の価格から26円も下がっています。

再生エネルギー固定価格買取制度 太陽光発電の1kWhあたり買取単価の推移

買取価格(1kWhあたり)/10kW未満
平成24年度 42円
平成25年度 38円
平成26年度  37円
平成27年度 33円
平成28年度 31円
平成29年度 28円
平成30年度 26円
令和元年度 24円
令和2年度  21円
令和3年度 19円
令和4年度 17円
令和5年度 16円

 

【引用元】資源エネルギー庁「太陽光発電について」より


FITは太陽光設備を屋根に貼り付ければ得られるわけではありません。電力会社と経済産業省に申請をおこなうことではじめて得られます。以下はFITの申請の流れです。

1.    太陽光発電の販売店との売買契約を締結します。
2.    電力会社に接続契約を申請します
3.    電力会社と接続契約完了後、経済産業省に設備認定を申請する。

令和5年度の各電力会社への接続契約の申請締め切りは以下のとおりです。

電力会社 10kw未満 10~50kw
北海道電力 11月10日 10月13日
東北電力 10月20日 10月6日
東京電力  11月10日 10月13日
北陸電力  10月27日 10月6日
中部電力 11月 2日 10月13日
関西電力 11月22日 10月31日
中国電力 11月 2日 10月13日
四国電力 11月 2日 10月13日
九州電力 11月10日 10月13日
沖縄電力 期限設定なし 期限設定なし

 

経済産業省への設備認定の申請締切日は以下のとおりです。
設置容量10kw未満・・・令和6年1月5日
設置容量10kw以上・・・令和5年12月15日

2022年4月から、日本では「FIP(Feed-in Premium)」制度が導入されました。FIPは、FITとは異なり、再生可能エネルギー発電事業者が卸市場などで電力を売却する際、売電価格に対して一定のプレミアム(補助額)を上乗せする仕組みです。この制度の目的は、再生可能エネルギーの普及と促進を促すことです。
出力1MW以上・・・FIPに移行
出力50kw~1MW・・・FITとFIPいずれかを選択
出力50kw以下・・・FIT

太陽光発電投資の利回り

太陽光発電を投資する際、最も注目すべき要素は「利回り」です。他にも株式投資や不動産投資など多くの投資方法がありますが、太陽光発電投資の魅力は、高い利回りが期待できる点にあります。
太陽光発電投資の利回りには「表面利回り」と「実質利回り」の2通りの計算方法があります。

1.    表面利回り
太陽光発電投資における表面利回りは、投資費用と売電収入から計算します。
表面利回り=年間売電収入÷初期投資費用×100
表面利回りは、すぐに利回りを計算したい時や、広告宣伝に用いられるような形で利用されます。
2.    実質利回り
実質利回りは、実際にかかる費用も考慮した利回りになります。正確な利回りを求めたい場合は実質利回りを計算します。
実質利回り=(年間売電収入-年間支出)÷初期投資費用×100

そして太陽光発電投資の実質利回りは、初期費用や発電量などで異なりますが、平均的には7~10%ほど見込めると言われています。

太陽光発電投資の初期投資

太陽光発電投資における初期投資は、利回り計算をおこなう上で必ず用いられる項目です。そして投資をおこなう上で最大の関心事の一つにもなります。

太陽光発電 設置年度別設置費用(10kw以上)(単位:万円/kw)

項目 平成25年 平成28年 平成31年 令和4年
パネル 20.9 18.0 13.2 10.2
パワコン 4.7 4.7 4.0 3.0
架台 3.8 3.2 2.8 3.3
その他機器 3.8 1.5 1.7 1.6
工事費 7.3 6.8 6.6 7.4
設計費 0.2 0.2 0.1 0.2
土地造成費 0.3 0.7 0.8 1.2
接続費 0.8 1.0 1.1 1.4
その他値引き -3.5 -3.0 -2.2 -2.1
合計 38.3 32.4 28.1 26.2

 

【引用元】資源エネルギー庁「太陽光発電について」より

パネル代を中心にモノの費用は生産量増加に伴い年々下落傾向にあり、トータルの費用も令和4年には当初の3分の2まで下がりました。しかし、人件費が増加しており、モノの値段以外は年々増加しています。

太陽光発電投資における維持管理費

年間の10~15kwの場合の1kwあたりの平均運転維持費は以下のとおりです。
地上設置・・・0.52万円
屋上設置・・・0.55万円
平均・・・0.53万円 

◎おもな維持管理内容
具体的にどのような維持管理をおこなうのでしょうか。

・定期点検
定期点検では、発電設備のシステムが正常の稼働するのかの点検のほか、太陽光パネルの清掃や除草などをおこないます。年に2~3回おこなうことが望ましいです。
・スポット点検
定期点検とは異なり、どこかに異常が発見されたときにのみ点検をおこないます。
・保険
保険は自然災害など万が一のことがおきた場合の補償を受けるためのものです。自然災害によってパネル等に損害があった場合に補償される火災保険、パネル等が破損するなどして他人のモノや体に損害を与えた場合に補償する賠償保険などに加入しておくと安心です。

太陽光発電投資のメリット

太陽光発電投資のメリットをあげてみます。

・利回りが高い
太陽光発電投資は利回りが高いです。平均して7~10%ほどあるといわれます。利回りが高いと初期費用の回収時期が早く訪れて、早い段階から利益を得られます。他の投資商品と比較しても高めであることから、多くの人が市場に参入してくる可能性があります。

・固定価格買取制度がある
太陽光発電投資の売上である発電での収入は、国が指定する「固定価格買取制度」によって単価が固定されているため、安定収入を得ることができます。単価は年々下落傾向にあるものの、初期投資も年々下がっていることもあり、利回りはそれほど落ちていません。

また、固定価格買取制度の影響で金融機関から融資を受けやすくなっています。これは、20年間決められた単価で電力を売上に計上できることにより、貸し倒れリスクを軽減できるためです。

・寿命が長い
ソーラーパネルの寿命は30年ほどです。固定価格買取制度が終了する20年を経過しても使い続けられることは大きなメリットです。初期費用を回収してからは全額が利益となるため、寿命が長ければ長いほど手元に残るお金が多くなります。

太陽光発電投資のデメリッ ト

太陽光発電投資にはデメリットも存在します。

・出力抑制がある
電力の出力抑制とは、電力の需要と供給のバランスをコントロールするシステムです。電力需要に対して供給側である電力の発電が多いと、発電量を抑制します。最初に火力発電の発電量を抑えますが、それでも供給量が多い場合は、太陽光発電への供給量を抑制するようになります。

・電圧抑制がある
電圧抑制とは、太陽光発電で獲得した電気の電圧が必要以上に上がらないように、パワーコンディショナーによって電圧が抑制される現象を指します。電圧抑制が起きると、発電量が少なくなり、結果として売電量も減ってしまいます。

・太陽光発電を稼働して20年後にどうなるか
固定価格買取制度を利用して太陽光発電を稼働させてから20年間は、同じ価格で電力を買い取ってもらえます。しかし20年後は、固定価格で買い取ってもらうことができません。買取単価は下がることになるでしょう。それまでに初期投資の回収がおこなわれていなければ、太陽光発電投資の成功は厳しくなるでしょう。

・天候の影響を受ける
太陽光で発電するため、太陽光が弱いと発電が厳しくなります。夜になると太陽光がないため発電できないのはもちろん、太陽が出ない日の発電量は減ります。雨や曇りの日や日陰でも、明るい時間は多少の発電ができますが、収入は減少します。 

太陽光発電 VS 不動産投資 メリット・デメリットを徹底比較

太陽光発電と不動産投資の特徴・メリット・デメリットについて比較解説します。

項目 太陽光発電 不動産投資
年金対策 
インフレ対策
節税効果
保険効果 × 
下落相場対策 ×  × 
再現性
管理のしやすさ

 

年金対策

太陽光発電投資は、年金対策になります。老後生活で最も求められるものは安定収入です。太陽光発電投資では固定価格買取制度を利用することにより、太陽光発電の稼働を始めて20年間は一定金額を買い取ってもらえることが保証されています。

また、太陽光発電投資は高い利回りが得られる傾向があり、初期投資の回収も20年間で終えることが可能です。ただし、固定価格買取制度が終了する20年後以降は買取単価が下がることが予想されるため、20年間でその後の生活費の一部として貯蓄しておくことも必要となるでしょう。

一方、不動産投資も年金対策に向いています。毎月定期的に一定額の家賃収入を得られます。そして不動産は太陽光発電以上の長期間安定収入を得られる可能性を秘めています。耐用年数は鉄筋コンクリート造で47年、木造でも22年あり、実際には耐用年数よりも長い期間所有でき、長い老後の年金の不足分を補える収入が期待できます。

インフレ対策

太陽光発電投資はインフレ対策としても活用できます。太陽光発電投資での利回りは平均で10%ほどの高い利回りを得られます。そして20年間はその利回りが保証されています。日本で10%以上のインフレは現段階では考えにくく、現金で保有しておくよりは太陽光発電投資をおこなう方が所有する資産の価値が上がることになります。

そして、不動産投資もインフレ対策になります。物価が上がりだすと、それに連動して不動産価格や家賃も上がる傾向にあります。不動産は実物資産なのでインフレに強いとされています。

節税効果

太陽光発電投資には節税効果があります。太陽光発電の設備の購入にかかった費用や減価償却費を確定申告で計上できます。それに相当する金額は所得から差し引くことができるため、課税金額を抑えることが可能です。

一方、不動産投資にも節税効果があります。不動産投資でも減価償却費等で必要経費ならびに損金が発生した場合、損失額は給与所得と損益通算できます。たとえばサラリーマンなどが不動産投資をおこなっている場合、不動産投資で会計上損失が出たとき、給与所得と相殺することで課税所得が減り、納めるべき税額を減らすことができます。

保険効果

太陽光発電投資では保険効果は望みにくいでしょう。

不動産投資には保険効果があります。特に、不動産をローンで購入する場合、生命保険のような役割を果たします。銀行や金融機関からのローンを受けて不動産投資をする際、通常、金融機関は団体信用生命保険に加入することになります。団体信用生命保険とは、ローンの返済中に借り手が亡くなった場合、その時点のローン残額を保険金で支払い、借入が消滅します。その結果、相続人には借入のない不動産が残り、家賃収入を100%受け取ることができるわけです。このように、不動産投資は保険効果も期待できる投資方法の一つです。

下落相場対策

太陽光発電投資では、発電収益が売電価格や天候に依存しており、これらの要因が変動すると収益に影響を及ぼす可能性があります。下落相場時には売電価格が低下することがあるため、十分なリサーチとリスク管理が必要です。また、設備のメンテナンスやアップグレードも検討しましょう。

不動産投資においても家賃相場の下落には対応できません。リフォームや付加価値をつけて、少しでも入居者を増やすことが重要です。

再現性

太陽光発電投資は再現性があります。太陽光パネルの設置場所などを成功例と照らし合わせながらおこない、固定価格買取制度の申請をして認可が下りれば、安定した収入が得られます。ただし、買取価格が年々下がっているので収益性は低くなる可能性があります。

不動産投資にも再現性があります。
セキュリティ機能が整備されている物件は女性に人気があったり、ペット飼育可能物件が人気だったり、と空室が出にくい物件の傾向があります。ターゲットに応じて適切な物件を選ぶことが重要です。

管理のしやすさ

太陽光発電投資の管理はおこないやすいです。2017年の改正FIT法により、「保守点検及び維持管理」が法的に義務付けられました。

一方、不動産投資は、物件や入居者の管理が必要です。物件管理は共用部の清掃や、屋根や外壁の修繕、入居者管理では入居者の募集や苦情、要望への対応などをおこなうことになります。ただこれらの管理は、委託料を支払うことで不動産管理会社に一任できます。

太陽光発電 VS 不動産投資 選ぶ基準のポイント

太陽光発電と不動産投資は、どんな人が向いているでしょうか。投資家の適正を踏まえて詳しく見ていきましょう。

不動産投資に向いている人

不動産投資に向いている人は以下のとおりです。

・収入が安定している人
不動産投資をおこなうには、多額の資金が必要です。その資金を賄うには、金融機関でローンを組んで投資することになります。不動産投資には少なくとも千万円単位の資金が必要となるので、ローンを組むには厳しい審査を通過することが必須となります。それに適応できるのは、安定した収入を得ている人となるでしょう。

・勤続年数が長い人
不動産投資をおこなう際にローンを組む場合が多いですが、勤続年数が長い人もローンを組む際に審査が通りやすいです。勤続年数が長い人は、安定した収入とともに人間性も安定しており、ローン返済も信用できる人とみなされる傾向があります。

・収入が多い人
収入が多い人もローンの審査が通りやすいです。さらにローンには借入の上限がありますが、年収の何倍までという金融機関が多いので、年収が高いほど多くの借り入れが可能になります。

・保有資産が多い人
保有資産が多い人もローンの審査が通りやすいです。このような方も現金で不動産を購入することでローン返済することなく家賃収入を得ることができます。

太陽光発電投資が向いている人

太陽光発電投資に向いている人もいます。

・投資初心者
太陽光発電投資は投資初心者に向いています。太陽光発電投資は、株式投資や不動産投資ほど、さまざまな勉強をする必要がないので着手しやすいこと、そして他の投資方法と比較して失敗の可能性が低いことにより、投資への免疫が低い投資初心者には適しています。

・手間をかけたくない人
太陽光発電投資の管理は、あまり手間がかかりません。年間に数度、正確に太陽光が稼働しているのかの定期点検を行ったり、太陽光パネルの清掃や近隣の草刈りなどをおこなう程度で、毎日株価をチェックしたり入居者の募集や管理をしたりといった手間がかかりません。

・安定した収入を得たい人
太陽光発電投資は、安定した収入を得たい人に向いています。太陽光発電投資は、発電した電力を固定価格買取制度により、20年間決まった単価を得られます。月により得られる金額は異なりますが、得られる単価が決まっていることは、大きなメリットといえます。

まとめ

今回は、太陽光発電投資と不動産投資を比較しながら、それぞれの特徴をあげました。太陽光発電投資は国主導の固定価格買取制度によって電力の買取が行われ、安定した収入が得られることがわかりました。
太陽光発電投資も不動産投資も多くのメリットがあります。自身の投資目的や投資に対する価値観を踏まえ、自身に合った方法で資産形成をしましょう。

ベルテックスでは不動産投資やその他の資産運用にまつわる資産形成セミナーを開催しています。ご自宅からオンラインでご参加いただけますので、より詳しく話を聞いてみたい方はぜひお気軽にお問い合わせください。

この記事を書いた人

ベルテックスコラム事務局

不動産コンサルタント・税理士

不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。

2023.11.14

資産運用

ベルテックスコラム事務局

太陽光発電 VS 不動産投資、投資効果を徹底比較!

  • 資産形成
  • 金融商品VS不動産投資
  • 比較

太陽光発電投資は、手軽で簡単な投資法の一つです。家庭でも太陽光パネルを屋根に設置しており、身近な投資先として注目されています。投資といえば、不動産投資をイメージする方が多いのではないでしょうか。今回は、太陽光発電と不動産投資の投資効果を比較検証します。

太陽光発電投資とは?

太陽光発電投資とは、具体的にどんなシステムで、どのような特徴があるのでしょうか。詳しくみていきましょう。

太陽光発電投資の仕組み

太陽光発電投資の収益は、発電した電力を電力会社に買い取ってもらうことで得られます。この仕組みは、2012年に導入された「再生エネルギー固定価格買取制度(通称FIT)」に基づいています。FITは、太陽光発電プロジェクトを開始した年から20年間、一定の価格で電力を買い取ってもらえる仕組みです。

FITが最初に導入された当初は、買取単価が1kWh当たり42円と高額でした。しかし、多くの事業者が太陽光発電プロジェクトに参入し、競争が激化したため、年々買取単価が減少しています。令和5年度には買取単価が16円となり、当初の価格から26円も下がっています。

再生エネルギー固定価格買取制度 太陽光発電の1kWhあたり買取単価の推移

買取価格(1kWhあたり)/10kW未満
平成24年度 42円
平成25年度 38円
平成26年度  37円
平成27年度 33円
平成28年度 31円
平成29年度 28円
平成30年度 26円
令和元年度 24円
令和2年度  21円
令和3年度 19円
令和4年度 17円
令和5年度 16円

 

【引用元】資源エネルギー庁「太陽光発電について」より


FITは太陽光設備を屋根に貼り付ければ得られるわけではありません。電力会社と経済産業省に申請をおこなうことではじめて得られます。以下はFITの申請の流れです。

1.    太陽光発電の販売店との売買契約を締結します。
2.    電力会社に接続契約を申請します
3.    電力会社と接続契約完了後、経済産業省に設備認定を申請する。

令和5年度の各電力会社への接続契約の申請締め切りは以下のとおりです。

電力会社 10kw未満 10~50kw
北海道電力 11月10日 10月13日
東北電力 10月20日 10月6日
東京電力  11月10日 10月13日
北陸電力  10月27日 10月6日
中部電力 11月 2日 10月13日
関西電力 11月22日 10月31日
中国電力 11月 2日 10月13日
四国電力 11月 2日 10月13日
九州電力 11月10日 10月13日
沖縄電力 期限設定なし 期限設定なし

 

経済産業省への設備認定の申請締切日は以下のとおりです。
設置容量10kw未満・・・令和6年1月5日
設置容量10kw以上・・・令和5年12月15日

2022年4月から、日本では「FIP(Feed-in Premium)」制度が導入されました。FIPは、FITとは異なり、再生可能エネルギー発電事業者が卸市場などで電力を売却する際、売電価格に対して一定のプレミアム(補助額)を上乗せする仕組みです。この制度の目的は、再生可能エネルギーの普及と促進を促すことです。
出力1MW以上・・・FIPに移行
出力50kw~1MW・・・FITとFIPいずれかを選択
出力50kw以下・・・FIT

太陽光発電投資の利回り

太陽光発電を投資する際、最も注目すべき要素は「利回り」です。他にも株式投資や不動産投資など多くの投資方法がありますが、太陽光発電投資の魅力は、高い利回りが期待できる点にあります。
太陽光発電投資の利回りには「表面利回り」と「実質利回り」の2通りの計算方法があります。

1.    表面利回り
太陽光発電投資における表面利回りは、投資費用と売電収入から計算します。
表面利回り=年間売電収入÷初期投資費用×100
表面利回りは、すぐに利回りを計算したい時や、広告宣伝に用いられるような形で利用されます。
2.    実質利回り
実質利回りは、実際にかかる費用も考慮した利回りになります。正確な利回りを求めたい場合は実質利回りを計算します。
実質利回り=(年間売電収入-年間支出)÷初期投資費用×100

そして太陽光発電投資の実質利回りは、初期費用や発電量などで異なりますが、平均的には7~10%ほど見込めると言われています。

太陽光発電投資の初期投資

太陽光発電投資における初期投資は、利回り計算をおこなう上で必ず用いられる項目です。そして投資をおこなう上で最大の関心事の一つにもなります。

太陽光発電 設置年度別設置費用(10kw以上)(単位:万円/kw)

項目 平成25年 平成28年 平成31年 令和4年
パネル 20.9 18.0 13.2 10.2
パワコン 4.7 4.7 4.0 3.0
架台 3.8 3.2 2.8 3.3
その他機器 3.8 1.5 1.7 1.6
工事費 7.3 6.8 6.6 7.4
設計費 0.2 0.2 0.1 0.2
土地造成費 0.3 0.7 0.8 1.2
接続費 0.8 1.0 1.1 1.4
その他値引き -3.5 -3.0 -2.2 -2.1
合計 38.3 32.4 28.1 26.2

 

【引用元】資源エネルギー庁「太陽光発電について」より

パネル代を中心にモノの費用は生産量増加に伴い年々下落傾向にあり、トータルの費用も令和4年には当初の3分の2まで下がりました。しかし、人件費が増加しており、モノの値段以外は年々増加しています。

太陽光発電投資における維持管理費

年間の10~15kwの場合の1kwあたりの平均運転維持費は以下のとおりです。
地上設置・・・0.52万円
屋上設置・・・0.55万円
平均・・・0.53万円 

◎おもな維持管理内容
具体的にどのような維持管理をおこなうのでしょうか。

・定期点検
定期点検では、発電設備のシステムが正常の稼働するのかの点検のほか、太陽光パネルの清掃や除草などをおこないます。年に2~3回おこなうことが望ましいです。
・スポット点検
定期点検とは異なり、どこかに異常が発見されたときにのみ点検をおこないます。
・保険
保険は自然災害など万が一のことがおきた場合の補償を受けるためのものです。自然災害によってパネル等に損害があった場合に補償される火災保険、パネル等が破損するなどして他人のモノや体に損害を与えた場合に補償する賠償保険などに加入しておくと安心です。

太陽光発電投資のメリット

太陽光発電投資のメリットをあげてみます。

・利回りが高い
太陽光発電投資は利回りが高いです。平均して7~10%ほどあるといわれます。利回りが高いと初期費用の回収時期が早く訪れて、早い段階から利益を得られます。他の投資商品と比較しても高めであることから、多くの人が市場に参入してくる可能性があります。

・固定価格買取制度がある
太陽光発電投資の売上である発電での収入は、国が指定する「固定価格買取制度」によって単価が固定されているため、安定収入を得ることができます。単価は年々下落傾向にあるものの、初期投資も年々下がっていることもあり、利回りはそれほど落ちていません。

また、固定価格買取制度の影響で金融機関から融資を受けやすくなっています。これは、20年間決められた単価で電力を売上に計上できることにより、貸し倒れリスクを軽減できるためです。

・寿命が長い
ソーラーパネルの寿命は30年ほどです。固定価格買取制度が終了する20年を経過しても使い続けられることは大きなメリットです。初期費用を回収してからは全額が利益となるため、寿命が長ければ長いほど手元に残るお金が多くなります。

太陽光発電投資のデメリッ ト

太陽光発電投資にはデメリットも存在します。

・出力抑制がある
電力の出力抑制とは、電力の需要と供給のバランスをコントロールするシステムです。電力需要に対して供給側である電力の発電が多いと、発電量を抑制します。最初に火力発電の発電量を抑えますが、それでも供給量が多い場合は、太陽光発電への供給量を抑制するようになります。

・電圧抑制がある
電圧抑制とは、太陽光発電で獲得した電気の電圧が必要以上に上がらないように、パワーコンディショナーによって電圧が抑制される現象を指します。電圧抑制が起きると、発電量が少なくなり、結果として売電量も減ってしまいます。

・太陽光発電を稼働して20年後にどうなるか
固定価格買取制度を利用して太陽光発電を稼働させてから20年間は、同じ価格で電力を買い取ってもらえます。しかし20年後は、固定価格で買い取ってもらうことができません。買取単価は下がることになるでしょう。それまでに初期投資の回収がおこなわれていなければ、太陽光発電投資の成功は厳しくなるでしょう。

・天候の影響を受ける
太陽光で発電するため、太陽光が弱いと発電が厳しくなります。夜になると太陽光がないため発電できないのはもちろん、太陽が出ない日の発電量は減ります。雨や曇りの日や日陰でも、明るい時間は多少の発電ができますが、収入は減少します。 

太陽光発電 VS 不動産投資 メリット・デメリットを徹底比較

太陽光発電と不動産投資の特徴・メリット・デメリットについて比較解説します。

項目 太陽光発電 不動産投資
年金対策 
インフレ対策
節税効果
保険効果 × 
下落相場対策 ×  × 
再現性
管理のしやすさ

 

年金対策

太陽光発電投資は、年金対策になります。老後生活で最も求められるものは安定収入です。太陽光発電投資では固定価格買取制度を利用することにより、太陽光発電の稼働を始めて20年間は一定金額を買い取ってもらえることが保証されています。

また、太陽光発電投資は高い利回りが得られる傾向があり、初期投資の回収も20年間で終えることが可能です。ただし、固定価格買取制度が終了する20年後以降は買取単価が下がることが予想されるため、20年間でその後の生活費の一部として貯蓄しておくことも必要となるでしょう。

一方、不動産投資も年金対策に向いています。毎月定期的に一定額の家賃収入を得られます。そして不動産は太陽光発電以上の長期間安定収入を得られる可能性を秘めています。耐用年数は鉄筋コンクリート造で47年、木造でも22年あり、実際には耐用年数よりも長い期間所有でき、長い老後の年金の不足分を補える収入が期待できます。

インフレ対策

太陽光発電投資はインフレ対策としても活用できます。太陽光発電投資での利回りは平均で10%ほどの高い利回りを得られます。そして20年間はその利回りが保証されています。日本で10%以上のインフレは現段階では考えにくく、現金で保有しておくよりは太陽光発電投資をおこなう方が所有する資産の価値が上がることになります。

そして、不動産投資もインフレ対策になります。物価が上がりだすと、それに連動して不動産価格や家賃も上がる傾向にあります。不動産は実物資産なのでインフレに強いとされています。

節税効果

太陽光発電投資には節税効果があります。太陽光発電の設備の購入にかかった費用や減価償却費を確定申告で計上できます。それに相当する金額は所得から差し引くことができるため、課税金額を抑えることが可能です。

一方、不動産投資にも節税効果があります。不動産投資でも減価償却費等で必要経費ならびに損金が発生した場合、損失額は給与所得と損益通算できます。たとえばサラリーマンなどが不動産投資をおこなっている場合、不動産投資で会計上損失が出たとき、給与所得と相殺することで課税所得が減り、納めるべき税額を減らすことができます。

保険効果

太陽光発電投資では保険効果は望みにくいでしょう。

不動産投資には保険効果があります。特に、不動産をローンで購入する場合、生命保険のような役割を果たします。銀行や金融機関からのローンを受けて不動産投資をする際、通常、金融機関は団体信用生命保険に加入することになります。団体信用生命保険とは、ローンの返済中に借り手が亡くなった場合、その時点のローン残額を保険金で支払い、借入が消滅します。その結果、相続人には借入のない不動産が残り、家賃収入を100%受け取ることができるわけです。このように、不動産投資は保険効果も期待できる投資方法の一つです。

下落相場対策

太陽光発電投資では、発電収益が売電価格や天候に依存しており、これらの要因が変動すると収益に影響を及ぼす可能性があります。下落相場時には売電価格が低下することがあるため、十分なリサーチとリスク管理が必要です。また、設備のメンテナンスやアップグレードも検討しましょう。

不動産投資においても家賃相場の下落には対応できません。リフォームや付加価値をつけて、少しでも入居者を増やすことが重要です。

再現性

太陽光発電投資は再現性があります。太陽光パネルの設置場所などを成功例と照らし合わせながらおこない、固定価格買取制度の申請をして認可が下りれば、安定した収入が得られます。ただし、買取価格が年々下がっているので収益性は低くなる可能性があります。

不動産投資にも再現性があります。
セキュリティ機能が整備されている物件は女性に人気があったり、ペット飼育可能物件が人気だったり、と空室が出にくい物件の傾向があります。ターゲットに応じて適切な物件を選ぶことが重要です。

管理のしやすさ

太陽光発電投資の管理はおこないやすいです。2017年の改正FIT法により、「保守点検及び維持管理」が法的に義務付けられました。

一方、不動産投資は、物件や入居者の管理が必要です。物件管理は共用部の清掃や、屋根や外壁の修繕、入居者管理では入居者の募集や苦情、要望への対応などをおこなうことになります。ただこれらの管理は、委託料を支払うことで不動産管理会社に一任できます。

太陽光発電 VS 不動産投資 選ぶ基準のポイント

太陽光発電と不動産投資は、どんな人が向いているでしょうか。投資家の適正を踏まえて詳しく見ていきましょう。

不動産投資に向いている人

不動産投資に向いている人は以下のとおりです。

・収入が安定している人
不動産投資をおこなうには、多額の資金が必要です。その資金を賄うには、金融機関でローンを組んで投資することになります。不動産投資には少なくとも千万円単位の資金が必要となるので、ローンを組むには厳しい審査を通過することが必須となります。それに適応できるのは、安定した収入を得ている人となるでしょう。

・勤続年数が長い人
不動産投資をおこなう際にローンを組む場合が多いですが、勤続年数が長い人もローンを組む際に審査が通りやすいです。勤続年数が長い人は、安定した収入とともに人間性も安定しており、ローン返済も信用できる人とみなされる傾向があります。

・収入が多い人
収入が多い人もローンの審査が通りやすいです。さらにローンには借入の上限がありますが、年収の何倍までという金融機関が多いので、年収が高いほど多くの借り入れが可能になります。

・保有資産が多い人
保有資産が多い人もローンの審査が通りやすいです。このような方も現金で不動産を購入することでローン返済することなく家賃収入を得ることができます。

太陽光発電投資が向いている人

太陽光発電投資に向いている人もいます。

・投資初心者
太陽光発電投資は投資初心者に向いています。太陽光発電投資は、株式投資や不動産投資ほど、さまざまな勉強をする必要がないので着手しやすいこと、そして他の投資方法と比較して失敗の可能性が低いことにより、投資への免疫が低い投資初心者には適しています。

・手間をかけたくない人
太陽光発電投資の管理は、あまり手間がかかりません。年間に数度、正確に太陽光が稼働しているのかの定期点検を行ったり、太陽光パネルの清掃や近隣の草刈りなどをおこなう程度で、毎日株価をチェックしたり入居者の募集や管理をしたりといった手間がかかりません。

・安定した収入を得たい人
太陽光発電投資は、安定した収入を得たい人に向いています。太陽光発電投資は、発電した電力を固定価格買取制度により、20年間決まった単価を得られます。月により得られる金額は異なりますが、得られる単価が決まっていることは、大きなメリットといえます。

まとめ

今回は、太陽光発電投資と不動産投資を比較しながら、それぞれの特徴をあげました。太陽光発電投資は国主導の固定価格買取制度によって電力の買取が行われ、安定した収入が得られることがわかりました。
太陽光発電投資も不動産投資も多くのメリットがあります。自身の投資目的や投資に対する価値観を踏まえ、自身に合った方法で資産形成をしましょう。

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この記事を書いた人

ベルテックスコラム事務局

不動産コンサルタント・税理士

不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。