2024.09.06

不動産投資のコツ

ベルテックスコラム事務局

不動産投資で保険効果を狙うなら団信がおすすめ

  • はじめ方・基礎知識
  • 不動産投資

不動産投資は、将来の安定した収入を得るための魅力的な手段として、多くの投資家に選ばれています。家賃収入を得られることに加え、団体信用生命保険(団信)を活用した保険効果も期待できます。

この記事では、なぜ団信が不動産投資において保険効果を持つのか、その仕組みやメリット、注意点について詳しく解説します。安定収入を求める投資家に団信がどのような価値をもたらすのかを理解し、投資判断に役立ててください。

団体信用生命保険(団信)とは

団体信用生命保険(団信)は、ローンの返済者に万一のことがあった場合に、保険金が支払われることでローンの残高がゼロになる仕組みです。団信に加入しておくと、遺された家族が多額のローンを背負い、返済に苦労するという事態を防げます。また、ローン完済後の資産を家族に遺せるという大きなメリットもあります。

住宅ローンを組むときは団信に加入するのが一般的ですが、実は不動産投資ローンでも団信に加入できる金融機関があります。

団信の保険金を受けとる条件は、本人が死亡もしくは高度障害状態になったときです。しかし最近では、介護状態になった場合や、がんや生活習慣病になった場合にも保険金がおりるタイプの団信も登場しています。さらに、健康上の理由で通常の団信に加入できない人でも加入できる可能性がある「ワイド団信」もあります。

団信の契約者は金融機関のため、ローンの返済者は金利を0.1~0.3%上乗せして払う形で保険料を負担します。なお、死亡と高度障害状態が保障される一般的な団信は、金利の上乗せなしで加入できることもあります。

保険効果のある資産運用はなぜ必要なのか

保険効果のある資産運用がなぜ必要かというと、我々の生活は予測困難な出来事によって影響を受けることがあるためです。突発的な出費、収入の途絶えなどの要因にどのように備えるべきか、以下で詳しく解説します。

1. 突発的な出費への備え

ケガや病気で入院や通院が必要になることは、予測できません。
保険効果のある資産運用は、健康問題に関する突発的な支出に対応するための手段として機能します。
例えば、入院保障の特約が付いている団信があります。

2. 収入の途絶えへの対策

家庭の収入源が1つのみの場合、その収入源が途絶えた際に生活が立ち行かなくなる恐れがあります。例えば1馬力家庭の場合、働いている方が死亡や高度障害で働けなくなった場合、収入が大きく減少します。
収入が途絶えるリスクに備えるためにも、保険効果のある資産運用を検討しましょう。残された家族には不動産という資産が残るため、収入が途絶えても耐えられる可能性が高まります。

不動産投資が保険代わりになる3つの理由

定期的な家賃収入、団体信用保険、そして遺産の観点から、不動産投資がどのように保険の役割を果たすか、以下で詳しく解説します。

定期的な家賃収入

不動産投資によって、入居者から定期的に家賃収入を得ることができます。家賃収入は、残された家族にとって重要な収入源です。死亡や高度障害によって収入が途絶えても、不動産からの家賃収入があれば生活を維持できるでしょう。

団体信用生命保険

団体信用生命保険は、ローンの返済者に万が一のことがあった場合に、保険金でローンの残高がゼロになる仕組みです。残された家族は不動産を所有し続けて家賃収入を得ることができます。また、売却によって売却益を得ることも選択肢の1つです。このように団信は生命保険と同様の効果を得ることができます。

遺産の観点からの重要性

不動産投資は、将来の遺産形成の手段として重要な役割を果たします。所有者が亡くなっても、遺産として家族に残すことができます。また、団信に入っていれば、ローン残高が0になるため、相続人が返済を肩代わりすることもありません。

知っておきたい!不動産投資以外で保険効果のあるもの

不動産投資のほかにも、保険効果があるものが存在します。それぞれ詳しく見ていきましょう。  

預金

預金は、銀行や金融機関に資金を預ける金融取引です。ここで知っておきたいのが「預金保険制度」です。 預金者の元本が最大1,000万円まで保証されるため、金融機関が経営破綻した場合でも資産を全て失うことはありません。 この制度は、金融システムの安定性と預金者の保護を両立させるために存在しています。預金は一般的に低リスクな資産形成手段とされますが、その安定性をさらに高めるために預金保険制度を利用することで、将来の不安を軽減できます。

貯蓄型保険

貯蓄型保険には、個人年金保険、養老保険、終身保険、学資保険などがあります。

個人年金保険は、老後の生活資金を確保するために設計された保険です。将来の年金支給額や年金受取時期を自分で選び、保険料を支払いながら資金を積み立てていきます。 養老保険は、加入者が高齢になった際に一時金を受け取るもので、老後の生活資金や医療費などに活用できます。一方、終身保険は加入者の死亡時に一定の保険金が支払われるもので、家族を経済的に守る手段として重要です。

学資保険は、子供の進学費用をサポートするために設計された保険です。子供の成長に合わせて資金を積み立て、進学時に必要な費用を確保できます。

団体信用生命保険と生命(死亡)保険の2つの違い

近年、経済の不確実性が高まる中で、資産の保全や家族の未来への備えがますます重要視されています。不動産投資はそのような要望に応える方法の一つとして注目を集めています。まずは、団体信用生命保険と生命保険(死亡保険)の違いを理解することが大切です。

保険料

団体信用生命保険の保険料は金利を上乗せして支払われることが一般的です。これに対して生命保険(死亡保険)は、契約内容や被保険者の条件によって異なりますが、一般的に毎月支払います。

一般の生命保険(死亡保険)の場合、掛け捨て型の保険と貯蓄型の終身保険に分類されます。掛け捨て型は保険料の支払い期間と補償期間が決まっています。終身保険は保険料を一生涯支払い、補償も一生涯続きます。

加入条件

団体信用生命保険は、不動産購入時にローンを組む際に加入します。

健康状態に問題がある場合、個人として不動産を取得する場合は団体信用保険への加入が難しいケースもあります。生命保険(死亡保険)も同様に、健康状態を確認する審査が行われ、その結果に基づいて加入の可否が決定されます。

団体信用生命保険に加入すれば生命保険は必要ないのか?

団体信用生命保険は、ローンを組む人だけが入れるお得な保険と見ることもできます。しかし、「団信に入っていれば、生命保険は一切必要ない」というわけではありません。

一般的に団信では金融機関に保険金が支払われ、ローンの残債がゼロになります。遺族に保険金が支払われるわけではありません。

継続的に家賃収入を得られるとはいえ、それだけでは心もとないケースもあるでしょう。遺族に保険金としてまとまったお金を渡したいのであれば、団信とは別で生命保険に加入しておく必要があります。 また、介護状態やがん、生活習慣病などを保障してくれる団信も登場していますが、それだけで十分とは限りません。団信の保障内容をよく確認したうえで、団信についていない保障が必要なときは一般の生命保険への加入も検討しましょう。

不動産投資と生命保険の保障額をシミュレーション

続いて、不動産投資ローンで団信に加入するケースと一般の生命保険に加入するケースを比較し、シミュレーションを行います。実際の利息や保険料は、借入総額や上乗せ金利、年齢、保障内容によって大きく変わるため、あくまで参考例としてご覧ください。

【不動産投資の前提条件】
・物件価格、不動産投資ローンの借入総額は3,000万円
・返済期間は30年、元利均等
・団信の金利上乗せは0.2%
・家賃収入は毎月10万円


【生命保険の前提条件】
・30歳男性
・保険金3,000万円の定期保険
・毎月の保険料5,000円

  不動産投資 生命保険
利息・保険料の負担額(30年) 利息約91万円 保険料180万円
万一のことがあった場合 遺族に遺されるもの ローン完済後の3,000万円の不動産
毎月10万円の家賃収入
保険金3,000万円

※簡略化するため物件価格と借入総額は同額とし、賃貸経営の経費は考慮していません。

ローンの残債が0円になる団信と、まとまった保険金を家族が受け取る生命保険を一概に比較することはできませんが、利息や保険料の負担という観点で見ると、団信は圧倒的に有利といえます。また、生命保険なら保険金を受け取るだけですが、不動産投資なら遺された家族は毎月の家賃収入も受け取れます。

不動産投資を保険代わりにする際のリスク

不動産投資を生命保険の代わりにする際は、次のようなリスクを負います。

空室リスク

不動産投資における収入源は家賃収入です。この家賃収入は保証されているわけではなく、空室リスクがあります。特に、競合物件が多数ある場所では、差別化を図らないと空室率が上昇し、家賃収入が減少する可能性が高いでしょう。 ニーズの変化や周辺環境の変化によって空室リスクが変動する点にも注意が必要です。

家賃滞納リスク

入居者が家賃を支払えない状況が発生する可能性があります。この場合、収入が途絶えるだけでなく、滞納者がいる限り新たな入居者を募集することも難しく、管理の負担も増えてしまいます。家賃滞納の解決には訴訟手続きとそれに伴う費用が発生する場合もあります。そのため、入居審査の厳格化や保証会社の利用などによって、家賃滞納リスクに備えることが大切です。

自然災害のリスク

所有する不動産が自然災害などの被害を受けるリスクも考慮すべきです。災害が発生すると、通常の賃貸経営が継続できなくなり、家賃収入が途絶える可能性があります。特に地震や津波などの自然災害は突発的かつ予測が難しいため、十分な備えが必要です。地震保険や火災保険などの保険に加入することで、被害発生時のリスクを軽減できます。また、物件所在地のハザードマップの確認や適切な耐震工事なども重要です。

老朽化による修繕リスク

所有する不動産が老朽化すると、定期的な修繕が必要となります。修繕を怠ると、建物の価値や賃貸需要が低下し、収入が減少する可能性があります。建物の管理や保守にはコストと時間がかかるため、将来の修繕計画を立てておくことが重要です。また、修繕リスクを軽減するために、建物の品質や耐久性にこだわることも大切です。 不動産投資を保険代わりにする際には、これらのリスクを十分に理解し、対策を講じることが重要です。保険効果を得る一方で、投資に伴うリスクも見逃さずに管理することで、安定的な資産形成が可能となるでしょう。

相続税が増えるリスク

不動産投資が成功し、家賃収入を得て資産が増えると、相続税が増えるリスクがあります。

不動産や現預金、生命保険など財産の情報を一覧にまとめ、どのくらいの相続税がかかるかシミュレーションしておきましょう。納税に必要な資金は現預金として保有しておけば、遺族は相続した資産の中から納税できます。

また、毎月110万円までは贈与しても贈与税がかからないため、子供や孫に贈与して相続税対策をするという選択肢もあります。(2023年10月26日現在) ただし、毎年決まった額を継続的に贈与すると、暦年贈与とみなされて贈与税がかかる恐れがあることに注意しましょう。

さらに、不動産投資は財産の評価額を下げることで相続税対策になるという側面もあります。不動産投資をするときは、財産が増えると相続税がかかるリスクがあることを踏まえて、必要に応じて対策を講じましょう。

流動性が低いためすぐに換金できないリスク

不動産は流動性が低く、すぐに換金できないというリスクがあります。

病気やケガなどでまとまった資金が必要になり、不動産を売却して資金を得たいと思っても、すぐに希望価格で売却できるとは限りません。売却を急ぐあまり、価格を下げざるを得ないこともあります。また、価格を下げたにもかかわらず、買い手が見つからないケースも少なくありません。

すぐに換金できないという不動産の特性を踏まえ、生活防衛資金は多めに預貯金で用意しておくことが大切です。また、いざというときの出費に対応できるよう、必要な保険に加入して備えておくのもよいでしょう。

不動産投資をするなら加入すべき保険

続いて、不動産投資をする際に加入すべき保険を3つご紹介します。保険に加入することで、災害リスクや修繕リスクなど、不動産投資にまつわるリスクに備えることができます。必要な備えをしておくことは、精神的な安心感にもつながり、賃貸経営も安定するでしょう。

火災保険

火災保険は、火災をはじめとした幅広い災害による被害を補償してくれる保険です。火災以外に落雷や風災、雪災、水災といった災害も補償範囲に含めることができます。また、石を投げ込まれて窓ガラスが割れるといった、物体の落下や飛来についても補償してくれるケースがあります。

火災保険の補償範囲は、地域の気候や物件の周辺環境、保険料などを考慮して決めましょう。たとえば、海の近くなら高潮、河川が近いなら氾濫、山の近くなら土砂崩れ、豪雪地帯なら雪害、台風がよく通過するなら風災など、地域や立地によって補償の必要性が異なります。

火災保険で注意したいのは、地震が原因の火災や、地震が原因の津波や噴火による被害は補償されないことです。

地震保険

地震による被害や、地震が原因の津波や噴火による被害に備えるには、地震保険に入る必要があります。
地震保険は単独では契約できず、火災保険とセットで加入しなければなりません。なお、すでに火災保険に入っていても、後で地震保険に入ることができます。

地震保険の契約金額は、火災保険の契約金額の30~50%の範囲内で決められます。建物の限度額は5,000万円です。保険料は、建物の構造や所在地によって変わります。

地震保険は政府と民間の損害保険会社が共同で運営する、公共性の高い保険です。そのため、保険会社によって補償内容や保険料が変わることはありません。

なお、個人で地震保険に加入すると地震保険料控除を受けられますが、不動産投資の場合は火災保険料と同じく、不動産投資の経費として計上します。そのため、地震保険料控除を受けることはできません。

まとめ

不動産投資は、その安定感や将来の資産形成に対する魅力から、保険の代わりとしても注目を集めています。ここでは、不動産投資が保険効果を持つ理由についてまとめます。

年齢制限がない

生命保険は加入できる期間に制限がありますが、現金で購入する場合、不動産投資には制限がありません。老後の資産形成や遺産の準備として、中高年から始める方もいます。ただし、ローンを組む場合には、金融機関によって上限年齢が定められていることがあるので注意が必要です。

節税効果が高い

家賃収入から支出を差し引いた額に対して税金がかかりますが、物件の保険料や管理費、修繕費などの経費が税務上認められるため、税負担を軽減できる可能性があります。

インフレリスクにも対応できる

不動産投資は、インフレーションに強い資産運用です。物価が上昇する状況下でも、家賃は上昇傾向にあるため、収益の維持が可能です。これにより、将来の経済状況に対しても安定感を保つことができます。

不動産投資は、その特性から保険の代替手段としても優れた選択肢と言えます。今回、解説した内容を参考に不動産投資を検討してみましょう。 ベルテックスでは不動産投資にまつわるセミナーを開催しています。ご自宅からオンラインでご参加いただけますので、より詳しく話を聞いてみたい方はぜひお気軽にお問い合わせください。

この記事を書いた人

ベルテックスコラム事務局

不動産コンサルタント・税理士

不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。

2024.09.06

不動産投資のコツ

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不動産投資で保険効果を狙うなら団信がおすすめ

  • はじめ方・基礎知識
  • 不動産投資

不動産投資は、将来の安定した収入を得るための魅力的な手段として、多くの投資家に選ばれています。家賃収入を得られることに加え、団体信用生命保険(団信)を活用した保険効果も期待できます。

この記事では、なぜ団信が不動産投資において保険効果を持つのか、その仕組みやメリット、注意点について詳しく解説します。安定収入を求める投資家に団信がどのような価値をもたらすのかを理解し、投資判断に役立ててください。

団体信用生命保険(団信)とは

団体信用生命保険(団信)は、ローンの返済者に万一のことがあった場合に、保険金が支払われることでローンの残高がゼロになる仕組みです。団信に加入しておくと、遺された家族が多額のローンを背負い、返済に苦労するという事態を防げます。また、ローン完済後の資産を家族に遺せるという大きなメリットもあります。

住宅ローンを組むときは団信に加入するのが一般的ですが、実は不動産投資ローンでも団信に加入できる金融機関があります。

団信の保険金を受けとる条件は、本人が死亡もしくは高度障害状態になったときです。しかし最近では、介護状態になった場合や、がんや生活習慣病になった場合にも保険金がおりるタイプの団信も登場しています。さらに、健康上の理由で通常の団信に加入できない人でも加入できる可能性がある「ワイド団信」もあります。

団信の契約者は金融機関のため、ローンの返済者は金利を0.1~0.3%上乗せして払う形で保険料を負担します。なお、死亡と高度障害状態が保障される一般的な団信は、金利の上乗せなしで加入できることもあります。

保険効果のある資産運用はなぜ必要なのか

保険効果のある資産運用がなぜ必要かというと、我々の生活は予測困難な出来事によって影響を受けることがあるためです。突発的な出費、収入の途絶えなどの要因にどのように備えるべきか、以下で詳しく解説します。

1. 突発的な出費への備え

ケガや病気で入院や通院が必要になることは、予測できません。
保険効果のある資産運用は、健康問題に関する突発的な支出に対応するための手段として機能します。
例えば、入院保障の特約が付いている団信があります。

2. 収入の途絶えへの対策

家庭の収入源が1つのみの場合、その収入源が途絶えた際に生活が立ち行かなくなる恐れがあります。例えば1馬力家庭の場合、働いている方が死亡や高度障害で働けなくなった場合、収入が大きく減少します。
収入が途絶えるリスクに備えるためにも、保険効果のある資産運用を検討しましょう。残された家族には不動産という資産が残るため、収入が途絶えても耐えられる可能性が高まります。

不動産投資が保険代わりになる3つの理由

定期的な家賃収入、団体信用保険、そして遺産の観点から、不動産投資がどのように保険の役割を果たすか、以下で詳しく解説します。

定期的な家賃収入

不動産投資によって、入居者から定期的に家賃収入を得ることができます。家賃収入は、残された家族にとって重要な収入源です。死亡や高度障害によって収入が途絶えても、不動産からの家賃収入があれば生活を維持できるでしょう。

団体信用生命保険

団体信用生命保険は、ローンの返済者に万が一のことがあった場合に、保険金でローンの残高がゼロになる仕組みです。残された家族は不動産を所有し続けて家賃収入を得ることができます。また、売却によって売却益を得ることも選択肢の1つです。このように団信は生命保険と同様の効果を得ることができます。

遺産の観点からの重要性

不動産投資は、将来の遺産形成の手段として重要な役割を果たします。所有者が亡くなっても、遺産として家族に残すことができます。また、団信に入っていれば、ローン残高が0になるため、相続人が返済を肩代わりすることもありません。

知っておきたい!不動産投資以外で保険効果のあるもの

不動産投資のほかにも、保険効果があるものが存在します。それぞれ詳しく見ていきましょう。  

預金

預金は、銀行や金融機関に資金を預ける金融取引です。ここで知っておきたいのが「預金保険制度」です。 預金者の元本が最大1,000万円まで保証されるため、金融機関が経営破綻した場合でも資産を全て失うことはありません。 この制度は、金融システムの安定性と預金者の保護を両立させるために存在しています。預金は一般的に低リスクな資産形成手段とされますが、その安定性をさらに高めるために預金保険制度を利用することで、将来の不安を軽減できます。

貯蓄型保険

貯蓄型保険には、個人年金保険、養老保険、終身保険、学資保険などがあります。

個人年金保険は、老後の生活資金を確保するために設計された保険です。将来の年金支給額や年金受取時期を自分で選び、保険料を支払いながら資金を積み立てていきます。 養老保険は、加入者が高齢になった際に一時金を受け取るもので、老後の生活資金や医療費などに活用できます。一方、終身保険は加入者の死亡時に一定の保険金が支払われるもので、家族を経済的に守る手段として重要です。

学資保険は、子供の進学費用をサポートするために設計された保険です。子供の成長に合わせて資金を積み立て、進学時に必要な費用を確保できます。

団体信用生命保険と生命(死亡)保険の2つの違い

近年、経済の不確実性が高まる中で、資産の保全や家族の未来への備えがますます重要視されています。不動産投資はそのような要望に応える方法の一つとして注目を集めています。まずは、団体信用生命保険と生命保険(死亡保険)の違いを理解することが大切です。

保険料

団体信用生命保険の保険料は金利を上乗せして支払われることが一般的です。これに対して生命保険(死亡保険)は、契約内容や被保険者の条件によって異なりますが、一般的に毎月支払います。

一般の生命保険(死亡保険)の場合、掛け捨て型の保険と貯蓄型の終身保険に分類されます。掛け捨て型は保険料の支払い期間と補償期間が決まっています。終身保険は保険料を一生涯支払い、補償も一生涯続きます。

加入条件

団体信用生命保険は、不動産購入時にローンを組む際に加入します。

健康状態に問題がある場合、個人として不動産を取得する場合は団体信用保険への加入が難しいケースもあります。生命保険(死亡保険)も同様に、健康状態を確認する審査が行われ、その結果に基づいて加入の可否が決定されます。

団体信用生命保険に加入すれば生命保険は必要ないのか?

団体信用生命保険は、ローンを組む人だけが入れるお得な保険と見ることもできます。しかし、「団信に入っていれば、生命保険は一切必要ない」というわけではありません。

一般的に団信では金融機関に保険金が支払われ、ローンの残債がゼロになります。遺族に保険金が支払われるわけではありません。

継続的に家賃収入を得られるとはいえ、それだけでは心もとないケースもあるでしょう。遺族に保険金としてまとまったお金を渡したいのであれば、団信とは別で生命保険に加入しておく必要があります。 また、介護状態やがん、生活習慣病などを保障してくれる団信も登場していますが、それだけで十分とは限りません。団信の保障内容をよく確認したうえで、団信についていない保障が必要なときは一般の生命保険への加入も検討しましょう。

不動産投資と生命保険の保障額をシミュレーション

続いて、不動産投資ローンで団信に加入するケースと一般の生命保険に加入するケースを比較し、シミュレーションを行います。実際の利息や保険料は、借入総額や上乗せ金利、年齢、保障内容によって大きく変わるため、あくまで参考例としてご覧ください。

【不動産投資の前提条件】
・物件価格、不動産投資ローンの借入総額は3,000万円
・返済期間は30年、元利均等
・団信の金利上乗せは0.2%
・家賃収入は毎月10万円


【生命保険の前提条件】
・30歳男性
・保険金3,000万円の定期保険
・毎月の保険料5,000円

  不動産投資 生命保険
利息・保険料の負担額(30年) 利息約91万円 保険料180万円
万一のことがあった場合 遺族に遺されるもの ローン完済後の3,000万円の不動産
毎月10万円の家賃収入
保険金3,000万円

※簡略化するため物件価格と借入総額は同額とし、賃貸経営の経費は考慮していません。

ローンの残債が0円になる団信と、まとまった保険金を家族が受け取る生命保険を一概に比較することはできませんが、利息や保険料の負担という観点で見ると、団信は圧倒的に有利といえます。また、生命保険なら保険金を受け取るだけですが、不動産投資なら遺された家族は毎月の家賃収入も受け取れます。

不動産投資を保険代わりにする際のリスク

不動産投資を生命保険の代わりにする際は、次のようなリスクを負います。

空室リスク

不動産投資における収入源は家賃収入です。この家賃収入は保証されているわけではなく、空室リスクがあります。特に、競合物件が多数ある場所では、差別化を図らないと空室率が上昇し、家賃収入が減少する可能性が高いでしょう。 ニーズの変化や周辺環境の変化によって空室リスクが変動する点にも注意が必要です。

家賃滞納リスク

入居者が家賃を支払えない状況が発生する可能性があります。この場合、収入が途絶えるだけでなく、滞納者がいる限り新たな入居者を募集することも難しく、管理の負担も増えてしまいます。家賃滞納の解決には訴訟手続きとそれに伴う費用が発生する場合もあります。そのため、入居審査の厳格化や保証会社の利用などによって、家賃滞納リスクに備えることが大切です。

自然災害のリスク

所有する不動産が自然災害などの被害を受けるリスクも考慮すべきです。災害が発生すると、通常の賃貸経営が継続できなくなり、家賃収入が途絶える可能性があります。特に地震や津波などの自然災害は突発的かつ予測が難しいため、十分な備えが必要です。地震保険や火災保険などの保険に加入することで、被害発生時のリスクを軽減できます。また、物件所在地のハザードマップの確認や適切な耐震工事なども重要です。

老朽化による修繕リスク

所有する不動産が老朽化すると、定期的な修繕が必要となります。修繕を怠ると、建物の価値や賃貸需要が低下し、収入が減少する可能性があります。建物の管理や保守にはコストと時間がかかるため、将来の修繕計画を立てておくことが重要です。また、修繕リスクを軽減するために、建物の品質や耐久性にこだわることも大切です。 不動産投資を保険代わりにする際には、これらのリスクを十分に理解し、対策を講じることが重要です。保険効果を得る一方で、投資に伴うリスクも見逃さずに管理することで、安定的な資産形成が可能となるでしょう。

相続税が増えるリスク

不動産投資が成功し、家賃収入を得て資産が増えると、相続税が増えるリスクがあります。

不動産や現預金、生命保険など財産の情報を一覧にまとめ、どのくらいの相続税がかかるかシミュレーションしておきましょう。納税に必要な資金は現預金として保有しておけば、遺族は相続した資産の中から納税できます。

また、毎月110万円までは贈与しても贈与税がかからないため、子供や孫に贈与して相続税対策をするという選択肢もあります。(2023年10月26日現在) ただし、毎年決まった額を継続的に贈与すると、暦年贈与とみなされて贈与税がかかる恐れがあることに注意しましょう。

さらに、不動産投資は財産の評価額を下げることで相続税対策になるという側面もあります。不動産投資をするときは、財産が増えると相続税がかかるリスクがあることを踏まえて、必要に応じて対策を講じましょう。

流動性が低いためすぐに換金できないリスク

不動産は流動性が低く、すぐに換金できないというリスクがあります。

病気やケガなどでまとまった資金が必要になり、不動産を売却して資金を得たいと思っても、すぐに希望価格で売却できるとは限りません。売却を急ぐあまり、価格を下げざるを得ないこともあります。また、価格を下げたにもかかわらず、買い手が見つからないケースも少なくありません。

すぐに換金できないという不動産の特性を踏まえ、生活防衛資金は多めに預貯金で用意しておくことが大切です。また、いざというときの出費に対応できるよう、必要な保険に加入して備えておくのもよいでしょう。

不動産投資をするなら加入すべき保険

続いて、不動産投資をする際に加入すべき保険を3つご紹介します。保険に加入することで、災害リスクや修繕リスクなど、不動産投資にまつわるリスクに備えることができます。必要な備えをしておくことは、精神的な安心感にもつながり、賃貸経営も安定するでしょう。

火災保険

火災保険は、火災をはじめとした幅広い災害による被害を補償してくれる保険です。火災以外に落雷や風災、雪災、水災といった災害も補償範囲に含めることができます。また、石を投げ込まれて窓ガラスが割れるといった、物体の落下や飛来についても補償してくれるケースがあります。

火災保険の補償範囲は、地域の気候や物件の周辺環境、保険料などを考慮して決めましょう。たとえば、海の近くなら高潮、河川が近いなら氾濫、山の近くなら土砂崩れ、豪雪地帯なら雪害、台風がよく通過するなら風災など、地域や立地によって補償の必要性が異なります。

火災保険で注意したいのは、地震が原因の火災や、地震が原因の津波や噴火による被害は補償されないことです。

地震保険

地震による被害や、地震が原因の津波や噴火による被害に備えるには、地震保険に入る必要があります。
地震保険は単独では契約できず、火災保険とセットで加入しなければなりません。なお、すでに火災保険に入っていても、後で地震保険に入ることができます。

地震保険の契約金額は、火災保険の契約金額の30~50%の範囲内で決められます。建物の限度額は5,000万円です。保険料は、建物の構造や所在地によって変わります。

地震保険は政府と民間の損害保険会社が共同で運営する、公共性の高い保険です。そのため、保険会社によって補償内容や保険料が変わることはありません。

なお、個人で地震保険に加入すると地震保険料控除を受けられますが、不動産投資の場合は火災保険料と同じく、不動産投資の経費として計上します。そのため、地震保険料控除を受けることはできません。

まとめ

不動産投資は、その安定感や将来の資産形成に対する魅力から、保険の代わりとしても注目を集めています。ここでは、不動産投資が保険効果を持つ理由についてまとめます。

年齢制限がない

生命保険は加入できる期間に制限がありますが、現金で購入する場合、不動産投資には制限がありません。老後の資産形成や遺産の準備として、中高年から始める方もいます。ただし、ローンを組む場合には、金融機関によって上限年齢が定められていることがあるので注意が必要です。

節税効果が高い

家賃収入から支出を差し引いた額に対して税金がかかりますが、物件の保険料や管理費、修繕費などの経費が税務上認められるため、税負担を軽減できる可能性があります。

インフレリスクにも対応できる

不動産投資は、インフレーションに強い資産運用です。物価が上昇する状況下でも、家賃は上昇傾向にあるため、収益の維持が可能です。これにより、将来の経済状況に対しても安定感を保つことができます。

不動産投資は、その特性から保険の代替手段としても優れた選択肢と言えます。今回、解説した内容を参考に不動産投資を検討してみましょう。 ベルテックスでは不動産投資にまつわるセミナーを開催しています。ご自宅からオンラインでご参加いただけますので、より詳しく話を聞いてみたい方はぜひお気軽にお問い合わせください。

この記事を書いた人

ベルテックスコラム事務局

不動産コンサルタント・税理士

不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。