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2024.02.29
ベルテックスコラム事務局
ファミリーマンション投資とは?メリット、デメリットを解説
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不動産投資と聞いて思い浮かべる代表的な手法は、「ワンルーム投資」「一棟アパート投資」でしょう。不動産投資において多くの投資初心者や会社員が最初に購入するのは、ワンルームの収益物件です。ワンルーム投資の運用が安定してくると2棟目、3棟目の購入を検討するものの、一棟アパートは高額でローン審査も厳しく、容易には手が出せません。 そこで今回は、その中間とも言える「ファミリーマンション投資」に特化して、ワンルーム投資との違いやファミリーマンション投資のメリット・デメリットについてお伝えしていきましょう。
ファミリーマンション投資とは?単身向けとの違い
「ファミリーマンション」と言えば、「若い夫婦2人世帯」や「夫婦2人と1人以上の子からなる世帯」をイメージするかと思いますが、実は明確な定義はありません。 60歳以上の高齢夫婦がファミリーマンションを購入するケースも多く、概念としては「複数人からなるファミリーが生活する仕様で設計されたマンション」というイメージでしょう。 単身向けのコンパクトマンションで行う「ワンルーム投資」と、ファミリー向けの少しゆとりのある広さのマンションで行う「ファミリーマンション投資」について、具体的な違いをご紹介していきましょう。
専有面積と価格の違い
まずは、居住人数が違うことから必然的に日常生活を送るうえで必要となる専有面積の違い、そして価格の違いが挙げられます。世帯人数や居住地域にもよりますが、国土交通省によれば「単身者」と「2人以上の世帯」の居住面積水準を下記の通り定めています。
【誘導居住面積水準】
一般型 | 都市居住型 |
---|---|
単身者:55㎡ | 単身者:40㎡ |
2人以上の世帯:25㎡×世帯人数+25㎡ | 2人以上の世帯:20㎡×世帯人数+15㎡ |
【最低居住面積水準】
・単身者:25㎡ |
参照元:国土交通省「2021年国土交通省公表「住生活基本計画(全国計画)」より
2人以上の世帯における誘導居住面積水準は、子の年齢や人数によって異なりますが、キャッシュフローを最重要視するファミリーマンション投資では誘導居住面積水準を下回る場合も多くあります。また、ワンルーム投資では、都心から少々離れていても最低居住面積水準程度の物件も多くみられるでしょう。 専有面積が違えば、当然に取得価格も異なります。物件の取得エリアによって相場が異なるので、㎡あたりの単価を調べることで建物価格や家賃の目安を把握しましょう。
間取りの違い
間取りとしては、単身者向けの投資物件の多くは1R、1K、1DK、1LDK程度である一方、基本的に「夫婦2人と1人以上の子」を想定して作られるファミリーマンションで投資をするには、3DK以上が理想的です。東京都内、特に23区内においては2LDKの物件も多くみられます。 賃貸契約時の家族構成が「夫婦2人と子1人」でも、子が2人以上になる可能性のあるファミリーも多く、例えば長方形型でゆくゆく2部屋に分けられるなど間取りの自由が利く物件は人気です。
立地の違い
単身者向けの投資物件は、コンパクトで価格的にも建てやすいことから駅近であることが重要です。 また、多くの人が就労しているため都心までのアクセスの利便性が重視されます。不動産ポータルサイトの検索で引っかかる「10分以内」が理想的でしょう。 反対にファミリー向けの物件は、広い敷地面積が必要なので必然的に駅から遠い物件も多くなります。 転勤族で会社から家賃補助が出るなど一部の人には駅近が好まれますが、それ以上に子育てのしやすさが求められます。学校や公園、スーパーや充実したショッピングセンターの近くが好まれるでしょう。
設備の違い
全国賃貸住宅新聞が行っている「入居者に人気の設備」を見ると、両者が求める設備について違いが浮き上がります。 「インターネット無料」「エアコン」など共通して必要とされている設備もありますが、仕事で不在の多い単身者に特に人気が高いのが「宅配ボックス」です。 ファミリーからの声としては、毎日の料理に欠かせずグレードの高い「システムキッチン」や、生活時間帯の違いから「追い炊き機能」が人気設備として挙がりました。
ファミリーマンション投資の5つのメリット
ファミリーマンション投資には、ワンルーム投資とは異なる独自のメリットがあります。
その1:入居期間が長く安定経営ができる
公益財団法人日本賃貸住宅管理協会が公開しているデータによると、単身者とファミリーの平均居住期間は下記の通り、明らかになりました。
全体 | 単身 | ファミリー | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
最大 | 最小 | 最大 | 最小 | 最大 | 最小 | |
全国 | 10年1ヶ月 | 2年 | 12年6ヶ月 | 6ヶ月 | 15年 | 2年 |
首都圏 | 10年 | 2年 | 8年 | 1年 | 15年 | 2年 |
関西圏 | 8年 | 2年 | 5年6ヶ月 | 6ヶ月 | 10年 | 3年 |
その他のエリア | 10年1ヶ月 | 2年 | 12年6ヶ月 | 1年 | 10年 | 2年 |
参照元:日管協総合研究所「第26回賃貸住宅市場景況感調査「日管協短観」」より
全国の平均居住年数は単身世帯が3年3ヶ月、ファミリー世帯が5年1ヶ月となっており、単身世帯と比べて長期間の入居が期待できます。
また、上表を見ると、単身世帯は最小居住年数が短く賃貸経営においては不安定な一面がある一方、ファミリー世帯は最小値・最大値ともにどのエリアにおいても安定的です。
その2:単身者向け物件よりも設定家賃が高い
ファミリーマンションは専有面積が大きく、複数の部屋数を確保していることから設定家賃が高くなります。エリアによって設定家賃は異なりますが、先述の通り居住期間が長い傾向にあるので、高い設定家賃で安定した収入が期待出来るでしょう。毎月多額の家賃収入が入ると、不動産投資を行ううえで気持ちに余裕ができます。
その3:駅近でなくても需要が見込める
投資家の多くは駅近物件に狙いを定めているためライバルが多く、物件の取得に時間がかかってしまいます。 しかし、ファミリー層は「エリア」や「学区」を重視する傾向にあり、駅までのアクセスが二の次となる世帯が多い傾向にあります。家族の住みやすさや快適さを重視するため、エリアや学区によっては、駅から少し離れても需要が見込める点は強みとなるでしょう。
その4:出口戦略で有利になることがある
インカムゲインとキャピタルゲイン両方の損益を通算する不動産投資は、終了するときの出口戦略も非常に重要となります。投資用マンションは一般のマンションよりも需要が少なく、相場よりも割安で取引されるケースもあるようです。 しかし、ファミリーマンションを売却する場合、「投資家」だけでなく「マイホームを購入したいファミリー」もターゲットとなり得るため、出口戦略が有利に働きます。
多くのファミリー世帯は「住宅ローン控除」を利用して購入したいと考えるため、あらかじめ出口戦略を考えるなら「床面積50平方メートル以上」など適用要件を満たす物件を選定しましょう。 不動産投資の出口戦略については、こちらの記事でも解説しておりますのでご覧下さい。
【おすすめ関連記事】不動産投資の出口戦略とは?プラス収支で終えるためのノウハウや注意点を解説
その5:入居者の属性が比較的に良い
設定家賃が高い物件は入居者の属性が良い、つまり「質の高い入居者」を確保できることもメリットの1つです。 安定した企業・職業に就いている人が多く、傾向として家賃滞納や入居者間のトラブルが少ないため、オーナー側の安心材料となるでしょう。
ファミリーマンション投資5つのデメリット
多くの魅力的なメリットがある一方で、ファミリーマンション投資のデメリットもあります。こちらも順にご説明していきましょう。
その1:ワンルーム投資よりも物件価格が高い
まずは、物件価格が高いことです。 ファミリーマンションは単身者向けのマンションよりも専有面積が広いので、その分価格も高額になります。
その2:リスク面で初心者には不向き
不動産投資は「ローリスク・ローリターン」「ハイリスク・ハイリターン」の法則どおり、価格が高いものほどリスクが大きくなるものです。ファミリーマンション投資は、ワンルーム投資よりも借入金額が大きく、返済負担が増えることから「借入リスク」があります。 また、ファミリーは転居頻度が少ないため、単身者よりも需要数が多くありません。そのため「空室リスク」の長期化が考えられます。借入金額が大きいことから、長期化すると資金面でのやりくりがひっ迫し、リスクを考慮すると初心者には不向きな投資法です。
その3:運用における実質利回りが低い
ファミリーマンション投資は家賃が高くなるメリットがある一方で、実は運用における実質利回りは低いことが挙げられます。 なぜなら、家賃を㎡単価で換算すると、専有面積が小さいワンルームの方が高くなるからです。このことを知らずに購入してしまうと、思いのほかキャッシュフローが良くないことに驚くかもしれません。
その4:修繕費の負担が大きくなりがち
ファミリーマンションは専有面積が広い、部屋数が多い、水回りなどの使用頻度が多いなどの理由から、原状回復費や設備交換といった修繕費負担が大きくなるデメリットもあります。 原状回復費は、入居時入れ替えに伴って必ず行う「ハウスクリーニング」だけでも間取りによって基本料が異なります。設備交換の一例を挙げると、ファミリーマンション投資では給湯器の容量が大きいものが必要となるでしょう。
【おすすめ関連記事】不動産投資の修繕リスク、事前にいくらぐらい必要か把握しておこう
その5:将来性を見込みづらい
不動産投資は何十年と先まで見越した戦略立てが非常に大切です。 日本では少子高齢化による人口減少が予想されていますが、国立社会保障・人口問題研究所によると「世帯数」が増えている逆説の状況が明らかになりました。世帯数増加の要因は、単身世帯の増加です。予想値を上回るペースで単身世帯が増えており、今後もさらに単身世帯は増加する見込みです。 このことから、ファミリーマンション投資は将来性が見込みづらいデメリットがあります。
ファミリーマンション投資を成功させるには?物件選定のポイント
ファミリーマンション投資は家族が快適な暮らしを送ることができるよう、幅広いファミリー層から好まれる物件選定をする必要があります。 最後の章では、ファミリーマンション投資を成功させるために選ぶべき物件のポイントをご紹介します。
生活環境が充実している
1つ目は、周辺の生活環境が充実しているエリア・立地を選定することです。
学校や公園までの安全性や交通量、スーパー・薬局など日常生活で利用する施設が近くにあるかどうかは快適さを大きく左右します。徒歩圏内にこのような施設があれば、高齢夫婦などの車を持たない世帯にとっても生活しやすく、需要幅が広がるでしょう。 人気のある小・中学校の学区を選ぶことも大切です。物件価格が安いからといって、低所得者や生活保護の多い団地が多いエリアを選ぶと、一部の方からは敬遠されることがあります。
生活音が気になりにくい物件を選ぶ
子育て世帯をターゲットとする物件選定には、生活音に対する配慮も必要です。特に子どもが小さい家庭では、泣き声や足音などの騒音を気にする人は多いでしょう。 オートロックは人気設備の1つですが、オートロック付きマンションの1階は意外とファミリーからの人気が高い傾向にあります。
もう1つの考慮点として、エントランスから住戸までの距離も大切です。例えば、エレベーターのない3階立ての最上階の部屋となると、赤ちゃんや小さい子どもを連れながら毎日行き来するのは苦痛と感じる方もいます。 子どもが小さいうちに限った悩みという見方もありますが、賃貸需要に関わる大切なポイントです。
ファミリー層に好まれる設備を取り入れる
3つ目は、設備面の充実さです。 それぞれの年齢、生活する時間帯が異なるファミリー層ならではの「生活のお助け設備」を取り入れましょう。
室内の設備で言うと「ウォークインクローゼット」「大型シューズボックス」などの収納スペース、水回りは「システムキッチン(3口以上)」「追い炊き機能」「浴室乾燥機」が人気です。 また、ファミリー層は車を所有する世帯もいるので、マンション近隣に月極駐車場があるなど駐車場の確保ができるとよりよいでしょう。
初心者の方はワンルームがおすすめ!
ファミリーマンション投資は多くのファミリー層からのニーズに応えた物件選定をすることで、需要を維持し続けることができます。 しかし、不動産投資初心者においては上述したリスクをカバーできる状態にしてからスタートすることが望ましいでしょう。ローリスクなワンルーム投資で実績を積むことで運用方法が身に付き、さらに銀行融資も通りやすくなります。ワンルーム投資での経験を活かし、ファミリーマンション投資に挑戦してみましょう。
まとめ
本記事では、ファミリーマンション投資について単身向けの物件と比較しながらメリットやデメリット、物件選定のポイントを解説しました。 ファミリーマンション投資は平均居住期間が長く、人気のあるエリアや好まれる設備を取り入れることで安定した賃貸経営ができるでしょう。 しかし、「空室リスク」「借入リスク」「修繕リスク」が懸念され、経験の少ない初心者には不向きな投資法でもあります。初心者は、まずはワンルーム投資からスタートして基盤を築くことから始めましょう。
不動産投資を専門に取り扱う弊社でも、毎日セミナーを行っております。豊富な知識やスキルの高い担当者がお客様に合った物件をご紹介させて頂きますので、不動産投資に関する心配ごとやお悩みは弊社まで是非お気軽にお問い合わせください。
この記事を書いた人
ベルテックスコラム事務局
不動産コンサルタント・税理士
不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。
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ファミリーマンション投資とは?メリット、デメリットを解説
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不動産投資と聞いて思い浮かべる代表的な手法は、「ワンルーム投資」「一棟アパート投資」でしょう。不動産投資において多くの投資初心者や会社員が最初に購入するのは、ワンルームの収益物件です。ワンルーム投資の運用が安定してくると2棟目、3棟目の購入を検討するものの、一棟アパートは高額でローン審査も厳しく、容易には手が出せません。 そこで今回は、その中間とも言える「ファミリーマンション投資」に特化して、ワンルーム投資との違いやファミリーマンション投資のメリット・デメリットについてお伝えしていきましょう。
ファミリーマンション投資とは?単身向けとの違い
「ファミリーマンション」と言えば、「若い夫婦2人世帯」や「夫婦2人と1人以上の子からなる世帯」をイメージするかと思いますが、実は明確な定義はありません。 60歳以上の高齢夫婦がファミリーマンションを購入するケースも多く、概念としては「複数人からなるファミリーが生活する仕様で設計されたマンション」というイメージでしょう。 単身向けのコンパクトマンションで行う「ワンルーム投資」と、ファミリー向けの少しゆとりのある広さのマンションで行う「ファミリーマンション投資」について、具体的な違いをご紹介していきましょう。
専有面積と価格の違い
まずは、居住人数が違うことから必然的に日常生活を送るうえで必要となる専有面積の違い、そして価格の違いが挙げられます。世帯人数や居住地域にもよりますが、国土交通省によれば「単身者」と「2人以上の世帯」の居住面積水準を下記の通り定めています。
【誘導居住面積水準】
一般型 | 都市居住型 |
---|---|
単身者:55㎡ | 単身者:40㎡ |
2人以上の世帯:25㎡×世帯人数+25㎡ | 2人以上の世帯:20㎡×世帯人数+15㎡ |
【最低居住面積水準】
・単身者:25㎡ |
参照元:国土交通省「2021年国土交通省公表「住生活基本計画(全国計画)」より
2人以上の世帯における誘導居住面積水準は、子の年齢や人数によって異なりますが、キャッシュフローを最重要視するファミリーマンション投資では誘導居住面積水準を下回る場合も多くあります。また、ワンルーム投資では、都心から少々離れていても最低居住面積水準程度の物件も多くみられるでしょう。 専有面積が違えば、当然に取得価格も異なります。物件の取得エリアによって相場が異なるので、㎡あたりの単価を調べることで建物価格や家賃の目安を把握しましょう。
間取りの違い
間取りとしては、単身者向けの投資物件の多くは1R、1K、1DK、1LDK程度である一方、基本的に「夫婦2人と1人以上の子」を想定して作られるファミリーマンションで投資をするには、3DK以上が理想的です。東京都内、特に23区内においては2LDKの物件も多くみられます。 賃貸契約時の家族構成が「夫婦2人と子1人」でも、子が2人以上になる可能性のあるファミリーも多く、例えば長方形型でゆくゆく2部屋に分けられるなど間取りの自由が利く物件は人気です。
立地の違い
単身者向けの投資物件は、コンパクトで価格的にも建てやすいことから駅近であることが重要です。 また、多くの人が就労しているため都心までのアクセスの利便性が重視されます。不動産ポータルサイトの検索で引っかかる「10分以内」が理想的でしょう。 反対にファミリー向けの物件は、広い敷地面積が必要なので必然的に駅から遠い物件も多くなります。 転勤族で会社から家賃補助が出るなど一部の人には駅近が好まれますが、それ以上に子育てのしやすさが求められます。学校や公園、スーパーや充実したショッピングセンターの近くが好まれるでしょう。
設備の違い
全国賃貸住宅新聞が行っている「入居者に人気の設備」を見ると、両者が求める設備について違いが浮き上がります。 「インターネット無料」「エアコン」など共通して必要とされている設備もありますが、仕事で不在の多い単身者に特に人気が高いのが「宅配ボックス」です。 ファミリーからの声としては、毎日の料理に欠かせずグレードの高い「システムキッチン」や、生活時間帯の違いから「追い炊き機能」が人気設備として挙がりました。
ファミリーマンション投資の5つのメリット
ファミリーマンション投資には、ワンルーム投資とは異なる独自のメリットがあります。
その1:入居期間が長く安定経営ができる
公益財団法人日本賃貸住宅管理協会が公開しているデータによると、単身者とファミリーの平均居住期間は下記の通り、明らかになりました。
全体 | 単身 | ファミリー | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
最大 | 最小 | 最大 | 最小 | 最大 | 最小 | |
全国 | 10年1ヶ月 | 2年 | 12年6ヶ月 | 6ヶ月 | 15年 | 2年 |
首都圏 | 10年 | 2年 | 8年 | 1年 | 15年 | 2年 |
関西圏 | 8年 | 2年 | 5年6ヶ月 | 6ヶ月 | 10年 | 3年 |
その他のエリア | 10年1ヶ月 | 2年 | 12年6ヶ月 | 1年 | 10年 | 2年 |
参照元:日管協総合研究所「第26回賃貸住宅市場景況感調査「日管協短観」」より
全国の平均居住年数は単身世帯が3年3ヶ月、ファミリー世帯が5年1ヶ月となっており、単身世帯と比べて長期間の入居が期待できます。
また、上表を見ると、単身世帯は最小居住年数が短く賃貸経営においては不安定な一面がある一方、ファミリー世帯は最小値・最大値ともにどのエリアにおいても安定的です。
その2:単身者向け物件よりも設定家賃が高い
ファミリーマンションは専有面積が大きく、複数の部屋数を確保していることから設定家賃が高くなります。エリアによって設定家賃は異なりますが、先述の通り居住期間が長い傾向にあるので、高い設定家賃で安定した収入が期待出来るでしょう。毎月多額の家賃収入が入ると、不動産投資を行ううえで気持ちに余裕ができます。
その3:駅近でなくても需要が見込める
投資家の多くは駅近物件に狙いを定めているためライバルが多く、物件の取得に時間がかかってしまいます。 しかし、ファミリー層は「エリア」や「学区」を重視する傾向にあり、駅までのアクセスが二の次となる世帯が多い傾向にあります。家族の住みやすさや快適さを重視するため、エリアや学区によっては、駅から少し離れても需要が見込める点は強みとなるでしょう。
その4:出口戦略で有利になることがある
インカムゲインとキャピタルゲイン両方の損益を通算する不動産投資は、終了するときの出口戦略も非常に重要となります。投資用マンションは一般のマンションよりも需要が少なく、相場よりも割安で取引されるケースもあるようです。 しかし、ファミリーマンションを売却する場合、「投資家」だけでなく「マイホームを購入したいファミリー」もターゲットとなり得るため、出口戦略が有利に働きます。
多くのファミリー世帯は「住宅ローン控除」を利用して購入したいと考えるため、あらかじめ出口戦略を考えるなら「床面積50平方メートル以上」など適用要件を満たす物件を選定しましょう。 不動産投資の出口戦略については、こちらの記事でも解説しておりますのでご覧下さい。
【おすすめ関連記事】不動産投資の出口戦略とは?プラス収支で終えるためのノウハウや注意点を解説
その5:入居者の属性が比較的に良い
設定家賃が高い物件は入居者の属性が良い、つまり「質の高い入居者」を確保できることもメリットの1つです。 安定した企業・職業に就いている人が多く、傾向として家賃滞納や入居者間のトラブルが少ないため、オーナー側の安心材料となるでしょう。
ファミリーマンション投資5つのデメリット
多くの魅力的なメリットがある一方で、ファミリーマンション投資のデメリットもあります。こちらも順にご説明していきましょう。
その1:ワンルーム投資よりも物件価格が高い
まずは、物件価格が高いことです。 ファミリーマンションは単身者向けのマンションよりも専有面積が広いので、その分価格も高額になります。
その2:リスク面で初心者には不向き
不動産投資は「ローリスク・ローリターン」「ハイリスク・ハイリターン」の法則どおり、価格が高いものほどリスクが大きくなるものです。ファミリーマンション投資は、ワンルーム投資よりも借入金額が大きく、返済負担が増えることから「借入リスク」があります。 また、ファミリーは転居頻度が少ないため、単身者よりも需要数が多くありません。そのため「空室リスク」の長期化が考えられます。借入金額が大きいことから、長期化すると資金面でのやりくりがひっ迫し、リスクを考慮すると初心者には不向きな投資法です。
その3:運用における実質利回りが低い
ファミリーマンション投資は家賃が高くなるメリットがある一方で、実は運用における実質利回りは低いことが挙げられます。 なぜなら、家賃を㎡単価で換算すると、専有面積が小さいワンルームの方が高くなるからです。このことを知らずに購入してしまうと、思いのほかキャッシュフローが良くないことに驚くかもしれません。
その4:修繕費の負担が大きくなりがち
ファミリーマンションは専有面積が広い、部屋数が多い、水回りなどの使用頻度が多いなどの理由から、原状回復費や設備交換といった修繕費負担が大きくなるデメリットもあります。 原状回復費は、入居時入れ替えに伴って必ず行う「ハウスクリーニング」だけでも間取りによって基本料が異なります。設備交換の一例を挙げると、ファミリーマンション投資では給湯器の容量が大きいものが必要となるでしょう。
【おすすめ関連記事】不動産投資の修繕リスク、事前にいくらぐらい必要か把握しておこう
その5:将来性を見込みづらい
不動産投資は何十年と先まで見越した戦略立てが非常に大切です。 日本では少子高齢化による人口減少が予想されていますが、国立社会保障・人口問題研究所によると「世帯数」が増えている逆説の状況が明らかになりました。世帯数増加の要因は、単身世帯の増加です。予想値を上回るペースで単身世帯が増えており、今後もさらに単身世帯は増加する見込みです。 このことから、ファミリーマンション投資は将来性が見込みづらいデメリットがあります。
ファミリーマンション投資を成功させるには?物件選定のポイント
ファミリーマンション投資は家族が快適な暮らしを送ることができるよう、幅広いファミリー層から好まれる物件選定をする必要があります。 最後の章では、ファミリーマンション投資を成功させるために選ぶべき物件のポイントをご紹介します。
生活環境が充実している
1つ目は、周辺の生活環境が充実しているエリア・立地を選定することです。
学校や公園までの安全性や交通量、スーパー・薬局など日常生活で利用する施設が近くにあるかどうかは快適さを大きく左右します。徒歩圏内にこのような施設があれば、高齢夫婦などの車を持たない世帯にとっても生活しやすく、需要幅が広がるでしょう。 人気のある小・中学校の学区を選ぶことも大切です。物件価格が安いからといって、低所得者や生活保護の多い団地が多いエリアを選ぶと、一部の方からは敬遠されることがあります。
生活音が気になりにくい物件を選ぶ
子育て世帯をターゲットとする物件選定には、生活音に対する配慮も必要です。特に子どもが小さい家庭では、泣き声や足音などの騒音を気にする人は多いでしょう。 オートロックは人気設備の1つですが、オートロック付きマンションの1階は意外とファミリーからの人気が高い傾向にあります。
もう1つの考慮点として、エントランスから住戸までの距離も大切です。例えば、エレベーターのない3階立ての最上階の部屋となると、赤ちゃんや小さい子どもを連れながら毎日行き来するのは苦痛と感じる方もいます。 子どもが小さいうちに限った悩みという見方もありますが、賃貸需要に関わる大切なポイントです。
ファミリー層に好まれる設備を取り入れる
3つ目は、設備面の充実さです。 それぞれの年齢、生活する時間帯が異なるファミリー層ならではの「生活のお助け設備」を取り入れましょう。
室内の設備で言うと「ウォークインクローゼット」「大型シューズボックス」などの収納スペース、水回りは「システムキッチン(3口以上)」「追い炊き機能」「浴室乾燥機」が人気です。 また、ファミリー層は車を所有する世帯もいるので、マンション近隣に月極駐車場があるなど駐車場の確保ができるとよりよいでしょう。
初心者の方はワンルームがおすすめ!
ファミリーマンション投資は多くのファミリー層からのニーズに応えた物件選定をすることで、需要を維持し続けることができます。 しかし、不動産投資初心者においては上述したリスクをカバーできる状態にしてからスタートすることが望ましいでしょう。ローリスクなワンルーム投資で実績を積むことで運用方法が身に付き、さらに銀行融資も通りやすくなります。ワンルーム投資での経験を活かし、ファミリーマンション投資に挑戦してみましょう。
まとめ
本記事では、ファミリーマンション投資について単身向けの物件と比較しながらメリットやデメリット、物件選定のポイントを解説しました。 ファミリーマンション投資は平均居住期間が長く、人気のあるエリアや好まれる設備を取り入れることで安定した賃貸経営ができるでしょう。 しかし、「空室リスク」「借入リスク」「修繕リスク」が懸念され、経験の少ない初心者には不向きな投資法でもあります。初心者は、まずはワンルーム投資からスタートして基盤を築くことから始めましょう。
不動産投資を専門に取り扱う弊社でも、毎日セミナーを行っております。豊富な知識やスキルの高い担当者がお客様に合った物件をご紹介させて頂きますので、不動産投資に関する心配ごとやお悩みは弊社まで是非お気軽にお問い合わせください。
この記事を書いた人
ベルテックスコラム事務局
不動産コンサルタント・税理士
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