2024.07.31

不動産投資の基本

ベルテックスコラム事務局

公務員の不動産投資|副業の注意点や成功させるポイントも紹介

  • メリット
  • 副業

近年、投資や副業を始める人が多くなっていますが、公務員の方の投資、副業事情はどうなっているのでしょうか。公務員は副業ができない、難しいという声をよく耳にしますが、実際はどうなのでしょうか。 

今回は、公務員の方の副業を不動産投資に絞ってご紹介します。不動産投資をするのは禁止されているかどうか、そしてメリットや注意点をあげてみました。これを読んで不動産投資を始めたい公務員の方のお役に立てればと思います。 

公務員の副業は禁止されている? 

働きながら不動産投資に取り組んでいる場合、不動産投資は副業にあたります。副業が認められている民間企業の社員なら問題ないでしょうが、公務員の場合、どうなるでしょうか。

国家公務員の副業は原則禁止

国家公務員の副業は、原則禁止されています。厳密に言うと「制限」されています。国家公務員法の第96条1項で国家公務員は、「国民全体の奉仕者として、公共の利益のために勤務し、且つ、業務の遂行に当たっては、全力を挙げてこれに専念しなければならない」とされています。この文面だけ見ても、国民全員のため、公共の利益のために公務員業に専念すべきであることがわかります。

そして、国家公務員法第103条では、国家公務員の、「営利企業の役員(取締役、監査役、理事等)兼業」と「自営兼業」の2種類を制限しています。営利企業の役員兼業については、報酬の有無にかかわらず、名義のみであっても禁止されています。国家公務員は国民全体の奉仕者という性格を有し、利益を追求することを目的とする企業の役員という立場は、相容れないということで兼業を制限されているのです。

ただ、一定規模以上の不動産等賃貸、太陽光電気の販売、農業等は「自営」に該当するものの所轄庁の長等の承認を得た場合は、行ってもよいとされています。

さらに第104条では、営利企業の役員の兼業や自営兼業以外の報酬を得る兼業を行う場合は、内閣総理大臣または所轄庁の長の許可が必要とされています。ここでいう兼業先は、非営利団体となっています。

許可を得る条件として、「公務員としての業務と兼業の業務との間に特別な利害関係がないこと」、「または、その発生のおそれがないこと」、「職務の遂行に支障がないと認める」ときに限ります。そして許可が出せない場合としては、「兼業に時間を割いたり、兼業が起因して心身の疲労が出たことによって、公務員の職務に支障が生じたり、職務遂行の能率が悪くなったりすること」や、「国家公務員としての信用を傷つけ、または官職全体に不名誉を与えること」などです。

【参考】内閣官房内閣人事局「国家公務員の兼業について

地方公務員は副業解禁が進んでいる

一方、地方公務員の副業事情はどうでしょうか。

地方公務員の副業についての基本的なスタンスは、国家公務員と同様ですが、「公務の能率の確保」、「職務の公正の確保」、「職員の品位の保持」等のため許可制を採用しています。

そして、地方公務員は許可なく、「営利団体の役員等を兼ねること」、「自身が営利企業を経営すること」、「報酬を得て事業または事務に従事すること」を行えないことになっています。

ただ、昨今は、政府の働き方改革推進により、民間では副業を解禁する企業が増加傾向にあります。それは地方自治体も例外ではありません。地方公務員も地域社会のコーディネーター等として、公務以外での活動が期待されているのです。

その代表例としては、2017年より神戸市が始めた「地域貢献応援制度」です。神戸市長が推進に取り組み、市職員が、知識や経験を生かし、市民の立場で地域における課題解決に積極的に取り組むことを後押しすることを目的としています。具体的には、手話が必要な来庁者の対応スタッフが、より多くの方を支援したいとの思いによりNPO法人に手話通訳家として登録し、地域へ貢献しながら報酬を得ています。

ほかにも兼業の許可基準を厳守して地域貢献に取り組む副業例はあります。山形県新庄市では「商業活性化支援」として、主任級の職員が地元NPO法人の理事長として商店街活性化に従事しています。そこでは立案した企画が成功し、全国の商店街に波及するといった効果が出ています。週休日や有休を活用して年間50日程度活動を行い、月3万円程度の報酬を得ています。

このように地方公務員は、もともと地域に密着した職務を行っていますが、副業として、通常の業務をさらに地域の活性化に活かす活動が全国に広がっています。

不動産投資が副業に該当するか判断する基準

では、不動産投資が副業に該当するかはどう判断すればいいのでしょうか。

国家公務員の人事の規則となる「人事院規則」の「14-8(営利企業の役員等の兼業)の運用について」に、公務員が不動産投資を行う際に、「副業」に該当するか否かの条件が記載されています。

5棟10室が一つの目安

人事院規則で、公務員の不動産投資が副業に該当する条件は以下のとおりです。

1.    不動産の賃貸
戸建て住宅の賃貸は、戸建て住宅を5棟以上所有していれば副業
戸建て住宅以外の賃貸住宅については、10室以上あると副業
土地の賃貸については、賃貸契約の件数が10件以上あれば副業
賃貸にかかる不動産が劇場、映画館、ゴルフ練習場等の娯楽集会、遊戯等のための設備を設けたものだと副業
賃貸にかかる建物が旅館・ホテル等特定の事業用のものだと副業

2.    駐車場の賃貸
立体駐車場や機械設備を設けた駐車場は副業
駐車台数が10台以上あれば副業

となっています。ここで、気になるのが、戸建て住宅と戸建て以外の賃貸住宅の両方を所有している場合です。この場合は、戸建て住宅1棟を2室と換算し、賃貸住宅の室数と合計して10室以上あれば、副業扱いとなります。さらに、「土地」の賃貸件数や「駐車場」の台数もそれぞれ1件数、1台数を1室と換算し、戸建て住宅、賃貸住宅の室数と合計して10室以上あれば副業扱いとなるので注意しましょう。

家賃収入の目安は年間500万円

先ほどは、公務員が不動産投資をする場合、副業にあたる「室数」の条件を説明しましたが、「収入金額」はいかなる金額だと副業にあたるのでしょうか。

収入ベースで副業にあたるのは、不動産または駐車場の賃貸料収入の額が年間500万円以上となっています。そして、不動産と駐車場のいずれも所有している場合は、不動産と駐車場の合計額が年間500万円以上になると副業にあたるとされています。

副業扱いに該当しても恐れることはありません。キチンと承認申請して承認されれば不動産投資は可能です。規則に則り承認申請を行いましょう。

公務員には不動産投資がおすすめの理由

不動産投資が「公務員向きの資産運用」といわれる主な理由は、次の3つです。

  • 与信枠が大きく、始めやすい
  • 長期の収支計画が立てやすい
  • 管理会社に運用を任せれば手間がかからない

そのため不動産投資は「公務員をしばらく続けたい」「公務員を定年まで続けたい」と思っているなら検討に値します。

与信枠が大きく始めやすい

与信枠とは、その金融機関からどれだけお金を借りられるかを示す融資限度額のことです。公務員は、一般的なビジネスパーソンと比べて与信枠が大きい(=融資の限度額が高い)ケースが多いため、不動産投資と相性が良いといわれています。しかし、なぜ与信枠が大きいと不動産投資に有利なのでしょうか。

なぜなら不動産投資を始める際に購入するマンションやアパートの費用は「ローン+自己資金(頭金)」で用意するのが一般的だからです。ローンの審査では、下記のような申込者の属性をもとに「融資の可否」や「与信枠」が決められます。

  • 勤務先の信用力
  • 年収
  • 一定の勤続年数
  • ほかの金融機関の借り入れや返済状況 など

このようにローン審査では、収入の安定性を重視されるため、公務員にとっては有利といえるのです。

長期の収支計画が立てやすい

不動産投資は、家賃収入を長期的にコツコツと積み上げながら資産形成できることが特徴です。まさに公務員向きの副業といえるでしょう。たとえば、ビジネスパーソンであれば転職や独立などで収入や生活の環境が激変するケースも少なくありません。また、それによって資産形成の計画が大きく変わる可能性もあります。

一方、公務員は今の仕事を長期的に続けることが前提である場合が大半なのではないでしょうか。資産形成の計画が大きく変わる可能性が少ないため、長期運用が基本の不動産投資と相性がよいのです。参考までに国家公務員の平均勤続年数は、常勤職員で18年8ヵ月、行政職(棒給表適用者)で26年8ヵ月となっています。

【参考】内閣官房 内閣人事局「退職手当の支給状況(令和3年度)

管理会社に運用を任せれば手間がかからない

不動産投資は、拘束時間がほとんどないため、自由になる時間の少ない公務員向けの資産運用といえます。公務員は、ビジネスパーソンと同様に勤務で大半の時間を拘束される傾向にあります。さらに、残り少ない自由時間を趣味・子育て・資格取得の勉強などに充当すると「副業に費やせる時間はごくわずか」という状況になるケースが多いかもしれません。

不動産投資では、家賃管理や清掃、クレーム対応などの入居者/物件管理が発生します。しかしこれらの業務は、管理会社へ委託できるため、オーナーの手間はほとんどかかりません。管理会社からの報告を受け、それに対応するなどの最低限の手間で済ませることができるでしょう。

公務員が不動産投資をするメリット

公務員の不動産投資にはどのようなメリットがあるでしょうか。不動産投資は高額な買い物です。メリットをしっかり理解しておきましょう。

節税効果が得られる

公務員が不動産投資をするメリットとして第一にあげたいのが「節税効果」です。主に節税の対象となるのは「所得税・住民税」です。

【所得税・住民税】
不動産投資を行っていると、不動産所得が赤字になる年が出てくる可能性があります。公務員の給料は給与所得、不動産投資の所得は不動産所得になりますが、給与所得と不動産所得は「損益通算」できます。不動産所得で赤字が出れば、給与所得の利益と相殺できるのです。所得税が節税されると、それに伴い住民税も減ります。

レバレッジ効果が高い

もう一つの不動産投資のメリットは、「レバレッジ効果が高い」ことです。レバレッジ効果が高いとは、「少額の資金で大きな利益が得られる」ということです。不動産投資は多くの場合、少額の自己資金と、多額の借り入れによって物件購入します。そして家賃として毎月数十万円単位の収益を得られる可能性があります。

この「自己資金を少額でしか投資しないにもかかわらず高収入を得られる」点で、不動産投資はレバレッジ効果が高い投資だといえるでしょう。

公務員が不動産投資をする際の注意点

原則副業が禁止されている公務員が不動産投資を行う場合の注意点を解説します。以下にあげる点を理解した上で不動産投資を行いましょう。

本業に支障をきたさないこと

公務員が不動産投資をする際は、本業に支障をきたさないよう注意しなければなりません。公務員の副業は公務の信用の確保を最優先して行わなければなりません。国家公務員法第104条の兼業について、内閣官房内閣人事局は、国家公務員の兼業の報酬や従事する時間について以下のように触れています。

報酬については、社会通念上相当と認められる程度を超えない額であることが定められています。そして、従事する時間は、職務専念義務の確保という観点から、公務員としての勤務時間と兼業に従事する時間が重複しないことや、兼業による心身の疲労のため、職務遂行上その能率に悪影響を与えると認められないこととされています。原則の兼業時間数は週8時間以下、1ヵ月30時間以下、平日(勤務日)は3時間以下です。

上記第104条の内容は、非営利団体への兼業に関するものです。不動産投資に関しては、年間の家賃収入の制限は具体的な規定がありますが、従事する時間の規定はありません。しかし、職務専念義務の確保という観点を持ちながら、本業に悪影響がないように行うべきでしょう。

副業に該当しないようにする

公務員が不動産投資を行う際には、副業に該当しないよう注意しなければなりません。前項でお伝えした賃貸室数や賃貸料を超えて「副業に該当する」とされた場合は、何らかの処分を受ける可能性があります(処分の内容については後述)。不動産投資を行う前に規則を確認し、抵触しないように注意しましょう。

ただ、副業に該当する条件を満たしてしまった場合でも、以下に該当する場合は「自営兼業承認申請書」を提出して承認を得ることで不動産投資を行うことが可能となります。

  • 不動産賃貸業と職員の職務との間に利害関係が生じない
  • 入居者募集や家賃、駐車場代の集金、不動産の維持管理等の不動産、または駐車場の賃貸にかかる管理事務を不動産管理会社などに委託するなどで公務員としての職務遂行に支障がない
  • 公務の公正性や信頼性を損なわない

公務員が不動産投資を成功させるためのポイント

不動産投資において公務員は、与信枠が大きいメリットがあります。しかしこの与信枠の大きさが逆に失敗の原因になるケースもあるため、以下のポイントを意識して慎重な物件選びや堅実な運営を心がけましょう。

  • 不動産業者を慎重に選ぶ
  • 不動産投資についてしっかりと理解した上ではじめる
  • 無理のない金額の融資を受ける
  • 不動産投資のリスクを理解してそれぞれに対策する

それぞれのポイントの詳細を確認していきましょう。

不動産業者を慎重に選ぶ

仲介会社から見たとき、与信枠の大きい公務員は理想的な顧客です。なかには、この与信枠の大きさにつけ込んで相場よりも割高な物件や空室リスクの高い物件を強引に勧誘する仲介会社も存在します。このような悪徳業者と付き合ってしまうと資産形成どころか、逆に資産を減らす結果になってしまう可能性もあるでしょう。

また、物件購入後に物件や入居者の管理を担当する管理会社については、管理力や客付け力のない業者を選んでしまうと空室率が高まりやすくなります。このように仲介会社や管理会社などの不動産業者選びは、不動産投資の成功・失敗に直結するため、実績・評判・信用力などを精査した上で慎重に選ぶことが大切です。

不動産投資についてしっかりと理解した上ではじめる

不動産投資は、管理会社に運用を任せれば手間がかかりません。そのため公務員に向いた資産運用法といえますが、だからといって管理会社に丸投げすればよいわけではありません。さまざまな局面で経営判断をするのはオーナーの役目です。的確な判断をするためには、基本知識が必須となります。不動産投資をしていくのに欠かせない基本知識の一例は、次のとおりです。

  • 不動産投資の仕組み
  • 物件の種類とそれぞれの特徴
  • 不動産投資の利回りとその計算方法
  • 不動産投資のメリット、デメリット
  • 適切な目標設定
  • 購入時や運営時にかかるコスト
  • 確定申告のルールや方法 など

上記に加えて、出口戦略や、所得税節税などの目的に合わせた関連知識を身につけることも必要です。

無理のない金額の融資を受ける

前述のとおり、公務員は安定収入と社会的信用力があるため、与信枠が大きい傾向があります。だからといって不動産投資ローンの借入額をむやみに増やしてしまうと過度なリスクとなりかねません。では、不動産投資の適正な借入額はどのように決めればよいのでしょうか。

まず「不動産投資で将来どれくらいの資産をつくりたいか」という目標を決め、そこから逆算して、その目標を達成するために以下のようなことを検討していくとよいでしょう。

a.目標を達成するための家賃収入
b.上記aを達成するための物件や経営規模
c.上記bを実現するためのローン借入額

この流れに沿って考える場合も、現実的な家賃収入や経営規模を意識することが大切です。

不動産投資のリスクを理解してそれぞれに対策する

不動産投資には、いくつかのリスクがあります。それぞれのリスクは、事前に対策を講じることで回避できます。逆に、対策を講じなければ不動産投資のリスクが高まってしまうため、注意しましょう。主な不動産投資のリスクには、次のようなものがあげられます。

  • 空室リスク
  • 家賃下落リスク
  • 物件価格下落リスク
  • 修繕費リスク
  • 家賃滞納リスク
  • 災害リスク
  • 金利上昇リスク

これらの不動産投資のリスクに加え、公務員には「副業とみなされた場合のリスク」もあります。たとえ不動産投資自体がうまくいっても、このリスクによって懲戒処分などを受けて周囲の信用を失えば意味がありません。「副業とみなされた場合のリスク」は、公務員にとって重要なテーマとなるため、次項で深掘りしていきます。

公務員の不動産投資が副業とみなされた場合のリスク

公務員が不動産投資を行った場合に副業とみなされた場合、どのようなリスクがあるでしょうか。副業に厳しい公務員です。リスクを理解しておかなければいけません。

懲戒処分を受ける可能性がある

前項で述べたとおり、戸建て住宅の場合5棟未満、区分所有の場合は10室未満、家賃収入は年間500万円未満等の条件であれば、副業に該当しないため承認申請なく行え、それらの条件を超える場合も副業の承認申請を行えば、規則に従っているので懲戒処分はありません。しかし、副業に該当するにもかかわらず許可なく経営を行った場合は、懲戒処分を受ける可能性があります。

国家公務員における懲戒処分の種類は、重い順から以下のとおりです。
免職
停職(1日以上1年以下の期間、職務に従事させず、給与が支給されません)
減給(1年以下の期間、俸給月額の5分の1以下相当額を給与から減額されます)
戒告(その責任を確認して、将来を戒めます)

実際に不動産投資の副業で懲戒処分を受けた例もあります。「家族から賃貸不動産を含む全財産を相続し、アパート及び駐車場経営を行っていたにもかかわらず、自営兼業の承認申請を怠っていた」ことで減給処分が下されました。

地方公務員の場合は自治体により異なる

地方公務員が不動産投資を副業で行っていた場合の懲戒処分は自治体によって異なります。

  • 公務員の三原則といわれる
  • 信用失墜行為の禁止
  • 守秘義務
  • 職務専念義務

に反する行為と認められた場合、それ相応の処分がなされるでしょう。そうならないためにも、規則を守りながら不動産投資に取り組みましょう。

公務員の不動産投資についてよくある質問とその回答

公務員でも不動産投資(不動産賃貸)をすることは認められていますが、公務員ならではの注意点もあります。特に経営規模が大きくなってきたとき(所有する戸数が多くなってきたとき、賃料収入が増えてきたとき)は注意が必要です。また公務員が不動産投資を行った場合でも確定申告は必須となります。これらの内容を詳しく確認してみましょう。

公務員が不動産投資をするのはいくらまでなら認められますか?

公務員が不動産投資をする際「いくらまでなら認められるか」についての決まりはありません。加えて国家公務員については、人事院規則に基づくと以下の条件の範囲内であれば職場の承認を受けなくてかまいません。

  • 戸建て住宅の賃貸は、戸建て住宅を5棟未満
  • 戸建て住宅以外の集合住宅については、10室未満

※集合住宅の場合、戸建て住宅1棟を2室と換算し、合計して10室未満

あわせて同規則では、賃料収入ベースでの指針も示しています。同様に以下の条件の範囲内であれば職場の承認を受けなくてかまいません。

  • 不動産または駐車場の賃貸料収入の額が年間500万円未満
  • 不動産と駐車場のいずれも所有している場合は、不動産と駐車場の合計額が年間500万円未満

※地方公務員については、詳しくは担当部署にご確認ください。

公務員が不動産所得を得る場合、確定申告は必要ですか?

公務員に限らず不動産所得を得る場合は、原則確定申告が必要です。
不動産投資による収支を記帳し、経費に関する領収書などを保存し、確定申告時には申告書の作成も行います。これらの記帳や確定申告書の作成は、税理士事務所に委託することも可能です。本業となる公務員の業務が忙しく時間がない人は、不動産投資を始める前後で信頼できる税理士を探しておくのがよいでしょう。
※公務員の所得以外の金額が20万円以下の場合は確定申告の義務はありません。

まとめ

今回は、公務員の副業事情や、不動産投資を行う際のメリット、注意点をお話ししてきました。公務員は原則副業禁止ですが、一定の条件のもと不動産投資が行えることがわかりました。そして公務員が不動産投資を行う際は、さまざまな注意点があることや副業とみなされた場合のリスクがあるため、いずれも十分理解して行うべきでしょう。しかし不動産投資にはメリットもあり、一定の条件以下の場合には、副業にはあたりません。ご興味がある方はメリット、リスクを理解し、規則の範囲内で不動産投資を行ってみてはいかがでしょうか。

ベルテックスでは、不動産投資の専門家による無料オンラインセミナーを開催しています。ご自宅からオンラインでご参加いただけますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

この記事を書いた人

ベルテックスコラム事務局

不動産コンサルタント・税理士

不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。

2024.07.31

不動産投資の基本

ベルテックスコラム事務局

公務員の不動産投資|副業の注意点や成功させるポイントも紹介

  • メリット
  • 副業

近年、投資や副業を始める人が多くなっていますが、公務員の方の投資、副業事情はどうなっているのでしょうか。公務員は副業ができない、難しいという声をよく耳にしますが、実際はどうなのでしょうか。 

今回は、公務員の方の副業を不動産投資に絞ってご紹介します。不動産投資をするのは禁止されているかどうか、そしてメリットや注意点をあげてみました。これを読んで不動産投資を始めたい公務員の方のお役に立てればと思います。 

公務員の副業は禁止されている? 

働きながら不動産投資に取り組んでいる場合、不動産投資は副業にあたります。副業が認められている民間企業の社員なら問題ないでしょうが、公務員の場合、どうなるでしょうか。

国家公務員の副業は原則禁止

国家公務員の副業は、原則禁止されています。厳密に言うと「制限」されています。国家公務員法の第96条1項で国家公務員は、「国民全体の奉仕者として、公共の利益のために勤務し、且つ、業務の遂行に当たっては、全力を挙げてこれに専念しなければならない」とされています。この文面だけ見ても、国民全員のため、公共の利益のために公務員業に専念すべきであることがわかります。

そして、国家公務員法第103条では、国家公務員の、「営利企業の役員(取締役、監査役、理事等)兼業」と「自営兼業」の2種類を制限しています。営利企業の役員兼業については、報酬の有無にかかわらず、名義のみであっても禁止されています。国家公務員は国民全体の奉仕者という性格を有し、利益を追求することを目的とする企業の役員という立場は、相容れないということで兼業を制限されているのです。

ただ、一定規模以上の不動産等賃貸、太陽光電気の販売、農業等は「自営」に該当するものの所轄庁の長等の承認を得た場合は、行ってもよいとされています。

さらに第104条では、営利企業の役員の兼業や自営兼業以外の報酬を得る兼業を行う場合は、内閣総理大臣または所轄庁の長の許可が必要とされています。ここでいう兼業先は、非営利団体となっています。

許可を得る条件として、「公務員としての業務と兼業の業務との間に特別な利害関係がないこと」、「または、その発生のおそれがないこと」、「職務の遂行に支障がないと認める」ときに限ります。そして許可が出せない場合としては、「兼業に時間を割いたり、兼業が起因して心身の疲労が出たことによって、公務員の職務に支障が生じたり、職務遂行の能率が悪くなったりすること」や、「国家公務員としての信用を傷つけ、または官職全体に不名誉を与えること」などです。

【参考】内閣官房内閣人事局「国家公務員の兼業について

地方公務員は副業解禁が進んでいる

一方、地方公務員の副業事情はどうでしょうか。

地方公務員の副業についての基本的なスタンスは、国家公務員と同様ですが、「公務の能率の確保」、「職務の公正の確保」、「職員の品位の保持」等のため許可制を採用しています。

そして、地方公務員は許可なく、「営利団体の役員等を兼ねること」、「自身が営利企業を経営すること」、「報酬を得て事業または事務に従事すること」を行えないことになっています。

ただ、昨今は、政府の働き方改革推進により、民間では副業を解禁する企業が増加傾向にあります。それは地方自治体も例外ではありません。地方公務員も地域社会のコーディネーター等として、公務以外での活動が期待されているのです。

その代表例としては、2017年より神戸市が始めた「地域貢献応援制度」です。神戸市長が推進に取り組み、市職員が、知識や経験を生かし、市民の立場で地域における課題解決に積極的に取り組むことを後押しすることを目的としています。具体的には、手話が必要な来庁者の対応スタッフが、より多くの方を支援したいとの思いによりNPO法人に手話通訳家として登録し、地域へ貢献しながら報酬を得ています。

ほかにも兼業の許可基準を厳守して地域貢献に取り組む副業例はあります。山形県新庄市では「商業活性化支援」として、主任級の職員が地元NPO法人の理事長として商店街活性化に従事しています。そこでは立案した企画が成功し、全国の商店街に波及するといった効果が出ています。週休日や有休を活用して年間50日程度活動を行い、月3万円程度の報酬を得ています。

このように地方公務員は、もともと地域に密着した職務を行っていますが、副業として、通常の業務をさらに地域の活性化に活かす活動が全国に広がっています。

不動産投資が副業に該当するか判断する基準

では、不動産投資が副業に該当するかはどう判断すればいいのでしょうか。

国家公務員の人事の規則となる「人事院規則」の「14-8(営利企業の役員等の兼業)の運用について」に、公務員が不動産投資を行う際に、「副業」に該当するか否かの条件が記載されています。

5棟10室が一つの目安

人事院規則で、公務員の不動産投資が副業に該当する条件は以下のとおりです。

1.    不動産の賃貸
戸建て住宅の賃貸は、戸建て住宅を5棟以上所有していれば副業
戸建て住宅以外の賃貸住宅については、10室以上あると副業
土地の賃貸については、賃貸契約の件数が10件以上あれば副業
賃貸にかかる不動産が劇場、映画館、ゴルフ練習場等の娯楽集会、遊戯等のための設備を設けたものだと副業
賃貸にかかる建物が旅館・ホテル等特定の事業用のものだと副業

2.    駐車場の賃貸
立体駐車場や機械設備を設けた駐車場は副業
駐車台数が10台以上あれば副業

となっています。ここで、気になるのが、戸建て住宅と戸建て以外の賃貸住宅の両方を所有している場合です。この場合は、戸建て住宅1棟を2室と換算し、賃貸住宅の室数と合計して10室以上あれば、副業扱いとなります。さらに、「土地」の賃貸件数や「駐車場」の台数もそれぞれ1件数、1台数を1室と換算し、戸建て住宅、賃貸住宅の室数と合計して10室以上あれば副業扱いとなるので注意しましょう。

家賃収入の目安は年間500万円

先ほどは、公務員が不動産投資をする場合、副業にあたる「室数」の条件を説明しましたが、「収入金額」はいかなる金額だと副業にあたるのでしょうか。

収入ベースで副業にあたるのは、不動産または駐車場の賃貸料収入の額が年間500万円以上となっています。そして、不動産と駐車場のいずれも所有している場合は、不動産と駐車場の合計額が年間500万円以上になると副業にあたるとされています。

副業扱いに該当しても恐れることはありません。キチンと承認申請して承認されれば不動産投資は可能です。規則に則り承認申請を行いましょう。

公務員には不動産投資がおすすめの理由

不動産投資が「公務員向きの資産運用」といわれる主な理由は、次の3つです。

  • 与信枠が大きく、始めやすい
  • 長期の収支計画が立てやすい
  • 管理会社に運用を任せれば手間がかからない

そのため不動産投資は「公務員をしばらく続けたい」「公務員を定年まで続けたい」と思っているなら検討に値します。

与信枠が大きく始めやすい

与信枠とは、その金融機関からどれだけお金を借りられるかを示す融資限度額のことです。公務員は、一般的なビジネスパーソンと比べて与信枠が大きい(=融資の限度額が高い)ケースが多いため、不動産投資と相性が良いといわれています。しかし、なぜ与信枠が大きいと不動産投資に有利なのでしょうか。

なぜなら不動産投資を始める際に購入するマンションやアパートの費用は「ローン+自己資金(頭金)」で用意するのが一般的だからです。ローンの審査では、下記のような申込者の属性をもとに「融資の可否」や「与信枠」が決められます。

  • 勤務先の信用力
  • 年収
  • 一定の勤続年数
  • ほかの金融機関の借り入れや返済状況 など

このようにローン審査では、収入の安定性を重視されるため、公務員にとっては有利といえるのです。

長期の収支計画が立てやすい

不動産投資は、家賃収入を長期的にコツコツと積み上げながら資産形成できることが特徴です。まさに公務員向きの副業といえるでしょう。たとえば、ビジネスパーソンであれば転職や独立などで収入や生活の環境が激変するケースも少なくありません。また、それによって資産形成の計画が大きく変わる可能性もあります。

一方、公務員は今の仕事を長期的に続けることが前提である場合が大半なのではないでしょうか。資産形成の計画が大きく変わる可能性が少ないため、長期運用が基本の不動産投資と相性がよいのです。参考までに国家公務員の平均勤続年数は、常勤職員で18年8ヵ月、行政職(棒給表適用者)で26年8ヵ月となっています。

【参考】内閣官房 内閣人事局「退職手当の支給状況(令和3年度)

管理会社に運用を任せれば手間がかからない

不動産投資は、拘束時間がほとんどないため、自由になる時間の少ない公務員向けの資産運用といえます。公務員は、ビジネスパーソンと同様に勤務で大半の時間を拘束される傾向にあります。さらに、残り少ない自由時間を趣味・子育て・資格取得の勉強などに充当すると「副業に費やせる時間はごくわずか」という状況になるケースが多いかもしれません。

不動産投資では、家賃管理や清掃、クレーム対応などの入居者/物件管理が発生します。しかしこれらの業務は、管理会社へ委託できるため、オーナーの手間はほとんどかかりません。管理会社からの報告を受け、それに対応するなどの最低限の手間で済ませることができるでしょう。

公務員が不動産投資をするメリット

公務員の不動産投資にはどのようなメリットがあるでしょうか。不動産投資は高額な買い物です。メリットをしっかり理解しておきましょう。

節税効果が得られる

公務員が不動産投資をするメリットとして第一にあげたいのが「節税効果」です。主に節税の対象となるのは「所得税・住民税」です。

【所得税・住民税】
不動産投資を行っていると、不動産所得が赤字になる年が出てくる可能性があります。公務員の給料は給与所得、不動産投資の所得は不動産所得になりますが、給与所得と不動産所得は「損益通算」できます。不動産所得で赤字が出れば、給与所得の利益と相殺できるのです。所得税が節税されると、それに伴い住民税も減ります。

レバレッジ効果が高い

もう一つの不動産投資のメリットは、「レバレッジ効果が高い」ことです。レバレッジ効果が高いとは、「少額の資金で大きな利益が得られる」ということです。不動産投資は多くの場合、少額の自己資金と、多額の借り入れによって物件購入します。そして家賃として毎月数十万円単位の収益を得られる可能性があります。

この「自己資金を少額でしか投資しないにもかかわらず高収入を得られる」点で、不動産投資はレバレッジ効果が高い投資だといえるでしょう。

公務員が不動産投資をする際の注意点

原則副業が禁止されている公務員が不動産投資を行う場合の注意点を解説します。以下にあげる点を理解した上で不動産投資を行いましょう。

本業に支障をきたさないこと

公務員が不動産投資をする際は、本業に支障をきたさないよう注意しなければなりません。公務員の副業は公務の信用の確保を最優先して行わなければなりません。国家公務員法第104条の兼業について、内閣官房内閣人事局は、国家公務員の兼業の報酬や従事する時間について以下のように触れています。

報酬については、社会通念上相当と認められる程度を超えない額であることが定められています。そして、従事する時間は、職務専念義務の確保という観点から、公務員としての勤務時間と兼業に従事する時間が重複しないことや、兼業による心身の疲労のため、職務遂行上その能率に悪影響を与えると認められないこととされています。原則の兼業時間数は週8時間以下、1ヵ月30時間以下、平日(勤務日)は3時間以下です。

上記第104条の内容は、非営利団体への兼業に関するものです。不動産投資に関しては、年間の家賃収入の制限は具体的な規定がありますが、従事する時間の規定はありません。しかし、職務専念義務の確保という観点を持ちながら、本業に悪影響がないように行うべきでしょう。

副業に該当しないようにする

公務員が不動産投資を行う際には、副業に該当しないよう注意しなければなりません。前項でお伝えした賃貸室数や賃貸料を超えて「副業に該当する」とされた場合は、何らかの処分を受ける可能性があります(処分の内容については後述)。不動産投資を行う前に規則を確認し、抵触しないように注意しましょう。

ただ、副業に該当する条件を満たしてしまった場合でも、以下に該当する場合は「自営兼業承認申請書」を提出して承認を得ることで不動産投資を行うことが可能となります。

  • 不動産賃貸業と職員の職務との間に利害関係が生じない
  • 入居者募集や家賃、駐車場代の集金、不動産の維持管理等の不動産、または駐車場の賃貸にかかる管理事務を不動産管理会社などに委託するなどで公務員としての職務遂行に支障がない
  • 公務の公正性や信頼性を損なわない

公務員が不動産投資を成功させるためのポイント

不動産投資において公務員は、与信枠が大きいメリットがあります。しかしこの与信枠の大きさが逆に失敗の原因になるケースもあるため、以下のポイントを意識して慎重な物件選びや堅実な運営を心がけましょう。

  • 不動産業者を慎重に選ぶ
  • 不動産投資についてしっかりと理解した上ではじめる
  • 無理のない金額の融資を受ける
  • 不動産投資のリスクを理解してそれぞれに対策する

それぞれのポイントの詳細を確認していきましょう。

不動産業者を慎重に選ぶ

仲介会社から見たとき、与信枠の大きい公務員は理想的な顧客です。なかには、この与信枠の大きさにつけ込んで相場よりも割高な物件や空室リスクの高い物件を強引に勧誘する仲介会社も存在します。このような悪徳業者と付き合ってしまうと資産形成どころか、逆に資産を減らす結果になってしまう可能性もあるでしょう。

また、物件購入後に物件や入居者の管理を担当する管理会社については、管理力や客付け力のない業者を選んでしまうと空室率が高まりやすくなります。このように仲介会社や管理会社などの不動産業者選びは、不動産投資の成功・失敗に直結するため、実績・評判・信用力などを精査した上で慎重に選ぶことが大切です。

不動産投資についてしっかりと理解した上ではじめる

不動産投資は、管理会社に運用を任せれば手間がかかりません。そのため公務員に向いた資産運用法といえますが、だからといって管理会社に丸投げすればよいわけではありません。さまざまな局面で経営判断をするのはオーナーの役目です。的確な判断をするためには、基本知識が必須となります。不動産投資をしていくのに欠かせない基本知識の一例は、次のとおりです。

  • 不動産投資の仕組み
  • 物件の種類とそれぞれの特徴
  • 不動産投資の利回りとその計算方法
  • 不動産投資のメリット、デメリット
  • 適切な目標設定
  • 購入時や運営時にかかるコスト
  • 確定申告のルールや方法 など

上記に加えて、出口戦略や、所得税節税などの目的に合わせた関連知識を身につけることも必要です。

無理のない金額の融資を受ける

前述のとおり、公務員は安定収入と社会的信用力があるため、与信枠が大きい傾向があります。だからといって不動産投資ローンの借入額をむやみに増やしてしまうと過度なリスクとなりかねません。では、不動産投資の適正な借入額はどのように決めればよいのでしょうか。

まず「不動産投資で将来どれくらいの資産をつくりたいか」という目標を決め、そこから逆算して、その目標を達成するために以下のようなことを検討していくとよいでしょう。

a.目標を達成するための家賃収入
b.上記aを達成するための物件や経営規模
c.上記bを実現するためのローン借入額

この流れに沿って考える場合も、現実的な家賃収入や経営規模を意識することが大切です。

不動産投資のリスクを理解してそれぞれに対策する

不動産投資には、いくつかのリスクがあります。それぞれのリスクは、事前に対策を講じることで回避できます。逆に、対策を講じなければ不動産投資のリスクが高まってしまうため、注意しましょう。主な不動産投資のリスクには、次のようなものがあげられます。

  • 空室リスク
  • 家賃下落リスク
  • 物件価格下落リスク
  • 修繕費リスク
  • 家賃滞納リスク
  • 災害リスク
  • 金利上昇リスク

これらの不動産投資のリスクに加え、公務員には「副業とみなされた場合のリスク」もあります。たとえ不動産投資自体がうまくいっても、このリスクによって懲戒処分などを受けて周囲の信用を失えば意味がありません。「副業とみなされた場合のリスク」は、公務員にとって重要なテーマとなるため、次項で深掘りしていきます。

公務員の不動産投資が副業とみなされた場合のリスク

公務員が不動産投資を行った場合に副業とみなされた場合、どのようなリスクがあるでしょうか。副業に厳しい公務員です。リスクを理解しておかなければいけません。

懲戒処分を受ける可能性がある

前項で述べたとおり、戸建て住宅の場合5棟未満、区分所有の場合は10室未満、家賃収入は年間500万円未満等の条件であれば、副業に該当しないため承認申請なく行え、それらの条件を超える場合も副業の承認申請を行えば、規則に従っているので懲戒処分はありません。しかし、副業に該当するにもかかわらず許可なく経営を行った場合は、懲戒処分を受ける可能性があります。

国家公務員における懲戒処分の種類は、重い順から以下のとおりです。
免職
停職(1日以上1年以下の期間、職務に従事させず、給与が支給されません)
減給(1年以下の期間、俸給月額の5分の1以下相当額を給与から減額されます)
戒告(その責任を確認して、将来を戒めます)

実際に不動産投資の副業で懲戒処分を受けた例もあります。「家族から賃貸不動産を含む全財産を相続し、アパート及び駐車場経営を行っていたにもかかわらず、自営兼業の承認申請を怠っていた」ことで減給処分が下されました。

地方公務員の場合は自治体により異なる

地方公務員が不動産投資を副業で行っていた場合の懲戒処分は自治体によって異なります。

  • 公務員の三原則といわれる
  • 信用失墜行為の禁止
  • 守秘義務
  • 職務専念義務

に反する行為と認められた場合、それ相応の処分がなされるでしょう。そうならないためにも、規則を守りながら不動産投資に取り組みましょう。

公務員の不動産投資についてよくある質問とその回答

公務員でも不動産投資(不動産賃貸)をすることは認められていますが、公務員ならではの注意点もあります。特に経営規模が大きくなってきたとき(所有する戸数が多くなってきたとき、賃料収入が増えてきたとき)は注意が必要です。また公務員が不動産投資を行った場合でも確定申告は必須となります。これらの内容を詳しく確認してみましょう。

公務員が不動産投資をするのはいくらまでなら認められますか?

公務員が不動産投資をする際「いくらまでなら認められるか」についての決まりはありません。加えて国家公務員については、人事院規則に基づくと以下の条件の範囲内であれば職場の承認を受けなくてかまいません。

  • 戸建て住宅の賃貸は、戸建て住宅を5棟未満
  • 戸建て住宅以外の集合住宅については、10室未満

※集合住宅の場合、戸建て住宅1棟を2室と換算し、合計して10室未満

あわせて同規則では、賃料収入ベースでの指針も示しています。同様に以下の条件の範囲内であれば職場の承認を受けなくてかまいません。

  • 不動産または駐車場の賃貸料収入の額が年間500万円未満
  • 不動産と駐車場のいずれも所有している場合は、不動産と駐車場の合計額が年間500万円未満

※地方公務員については、詳しくは担当部署にご確認ください。

公務員が不動産所得を得る場合、確定申告は必要ですか?

公務員に限らず不動産所得を得る場合は、原則確定申告が必要です。
不動産投資による収支を記帳し、経費に関する領収書などを保存し、確定申告時には申告書の作成も行います。これらの記帳や確定申告書の作成は、税理士事務所に委託することも可能です。本業となる公務員の業務が忙しく時間がない人は、不動産投資を始める前後で信頼できる税理士を探しておくのがよいでしょう。
※公務員の所得以外の金額が20万円以下の場合は確定申告の義務はありません。

まとめ

今回は、公務員の副業事情や、不動産投資を行う際のメリット、注意点をお話ししてきました。公務員は原則副業禁止ですが、一定の条件のもと不動産投資が行えることがわかりました。そして公務員が不動産投資を行う際は、さまざまな注意点があることや副業とみなされた場合のリスクがあるため、いずれも十分理解して行うべきでしょう。しかし不動産投資にはメリットもあり、一定の条件以下の場合には、副業にはあたりません。ご興味がある方はメリット、リスクを理解し、規則の範囲内で不動産投資を行ってみてはいかがでしょうか。

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この記事を書いた人

ベルテックスコラム事務局

不動産コンサルタント・税理士

不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。