2024.05.13

資産運用

ベルテックスコラム事務局

50代からの老後資金の準備では遅い?効率的に1,000万円を貯めるには

  • 老後資金
  • 不動産投資
  • NISA
  • iDeCo

50代を目前にして、老後の資金準備に不安を感じ始めている方も多いでしょう。
しかし、「50代から老後資金の準備スタートは遅いのか?」という疑問に対して、50歳を過ぎても老後資金として1,000万円を貯蓄することは、決して叶わぬ夢ではありません。
本記事では、50代から始める老後に向けた貯蓄方法と、1,000万円を効率的に貯めるための具体的な投資方法をご紹介します。50代からでも十分に老後資金を形成するためのヒントをぜひ参考にしてください。

50代の老後の資金形成はどれぐらいできている?

50代における老後の資金形成は、一般的にその人のライフステージやキャリアと密接に関連しています。多くの人は、子育てや住宅ローンの返済などが一段落または終了間近で、貯蓄に対してより積極的な姿勢を取り始めることが多いです。
しかし、実際のところ、貯蓄額や資産形成の進捗は人によって大きく異なるのが現実です。統計によると、老後資金に対する意識が高まっている一方で、実際の貯蓄額は目標値に満たない人が多いとされています。

50代の平均貯蓄額はいくら?

老後資金がいくら必要かという問題は人それぞれで異なりますが、平均的にみると一人あたり2,000~3,000万円程度必要であるとされています。一般的に平均貯蓄額が1,000万円を超えるのは40代以上とされていますが、50代の人はどれほどの資産形成ができているのでしょうか。金融広報中央委員会によれば、世帯主の年齢が50歳代の家計における金融資産保有額は、以下のようになります。


金融資産保有世帯とは、現金以外に株式や債券など将来に向けて運用しているお金を保有する世帯のことです。
上記の結果を比較すると、金融資産を保有している世帯の方が、平均貯蓄額が高いことが分かります。

50歳代の中央値はいくら?

また、同データによると金融資産保有額の中央値は、以下のようになりました。

50歳代の金融資産保有額の中央値

  金融資産保有世帯 金融資産非保有世帯を含む
中央値 745万円 300万円

(出展:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)より)

金融資産を保有していない世帯を含む中央値は300万円と低く、こちらも同様に金融資産保有世帯が高い数値を誇っており、金融資産を有する重要性は明らかでしょう。
ちなみに、金融資産保有世帯のうち、世帯主が50歳代の世帯における「種類別金融商品保有額」は、以下の通りです。

・ 金銭信託:22万円
・ 生命保険:224万円
・ 損害保険:28万円
・ 個人年金保険:128万円
・ 債券:39万円
・ 株式:257万円
・ 投資信託:134万円
・ 財形貯蓄:94万円
・ その他金融商品:22万円

現在の50代は、「生命保険」や「株式」を特に多く保有していると言えます。

50代からでも老後の資金形成はできる 

前章でも明らかになった通り、現在の50代の多くは、老後生活をまかなえるほどの蓄えがあるとは言えません。
しかし、50代からでも老後の資金形成を始めることは十分可能です。時間は限られているものの、計画的な貯蓄や資産運用によって「お金を働かせる」ことで、まだまだ資金増加を目指せます。大切なのは、何もしてこなかった過去の自分に後悔するのではなく「今から行動を起こすこと」です。
まずは家計を見直し、不要な出費を減らす努力をします。
次に、リスクの少ない投資を検討し、安定型の貯蓄を目指していきましょう。
そして、節税効果のある制度を活用することで効率的な資金形成を目指せるでしょう。いくつから始めても、ポイントになるのは「継続性」です。少額でもよいので、コツコツと資金を積み重ねることで、老後の安心につながります。

本記事を読んでいる時点において40代前半の方は、以下の記事も合わせて読むとよいでしょう。

50代は老後の資金形成時期として好適

一般的に40代は子の教育資金で多くの出費がある時期で、思ったように貯蓄ができないという家庭が多く見られます。一方50代は、退職までの残りの期間や家計の負担が比較的軽減される時期であるため、老後資金の形成に適していると言えるでしょう。
老後資金を少しでも多く形成するためには、賢い運用方法を知り、着実な資金形成を心がけることが肝心です。

50代にみる老後資金への備えの特徴

現在50代の方が若い頃、特に社会に出る20代の頃は、ちょうどバブル経済が崩壊したタイミングでしょう。バブルで好景気の頃は、設備投資や住宅投資などの投資が特に好調で、高利率で伸び続けていました。
しかし、1990年代のバブル崩壊以降、当時を生きた人たちは地価や株価の暴落、そして景気の冷え込みを目の当たりにします。みるみるうちに世間や経済の状況が大きく変わり、これらの投資が一斉に減少に転じたため、「投資は危険」という意識が強く持たれた時代でしょう。
1990年代は投資の後退期とも言え、日本人が現金貯蓄を好むようになったきっかけとも言えます。そのため、未だに「投資が危険」という認識は強く、投資スタートへなかなか重い腰が上がらない人も少なくありません。
今の50代、特に投資を始めていない50代の人にとって大切なのは「意識改革」です。適切なリスク管理を行えば、投資は効率的に資産を増やせる方法であることを理解し、すぐに老後資金の貯蓄に向けた勉強を始めましょう。

50代は老後の資金形成に向けた「進展期」

50代という年代は、キャリア的にも収入が安定している期間でありながら、子育てや住宅ローンなどの大きな出費が落ち着いていることから、老後の生活に向けた資金を積み立てやすい時期であると言えるのです。
 
上図のサイクルを理解し、40代で十分な貯蓄ができなかったからと悲観的にならず、50代から60代にかけて一気に資金形成の波に乗っていきましょう。
50代は、仕事で得た経験や知識が豊富であるため、投資の判断をする上での基盤が整っているとも言える時期です。この年代は定期預金だけでなく、分散投資を駆使してリスクを低減しつつ、資産拡大を目指すことが望まれます。

50代から老後資金1,000万円を貯める効率的な運用方法

50歳を過ぎて老後資金を効率よく貯めるためには「現実的な目標設定」と、「目標に到達するための具体的な戦略」が必要になります。
これから紹介する5つの運用方法を参考に、小さなスタートからでも着実な資産形成を目指しましょう。資産運用の可能性は多様で、リスクとリターンを考慮した上で、自分に合う方法を選ぶことが大切です。

新NISA

NISA(ニーサ)は売買益や配当収入が非課税で資産運用ができる制度です。
50代から始める場合、設定できる期間や投資可能な金額に限りがありますが、資産増の効果を得るためには非常に有効な方法です。では、どのようなロードマップを描けば良いのでしょうか。
まずは、自己資金をどれだけNISA口座に移せるかを決め、その金額をベースに毎年の投資計画を立てます。
次に、適切な金融商品を選び、積立投資などで地道に資産を増やしていく戦略が有効でしょう。リスク管理を意識しながら、15年、20年という長い目で見た資産運用が、1,000万円貯めるための重要なポイントになります。
たとえば、50歳から毎月5万円を想定利回り3%で運用すると、15年後には元本900万円に対して1,134万円の運用成果を挙げることが可能です。
 
毎月5万円の積立が難しい場合には、積立期間を長くしたり、利回りを高くしたりして、着実に目標を達成していきましょう。

iDeCo(個人型確定拠出年金)

個人型確定拠出年金(iDeCo)は、将来の年金を自ら増やすための制度です。50歳からスタートするとしても、iDeCoを活用することで税制優遇を受けながら資産を形成できます。毎月の掛金は全額所得控除が適用されるため、所得の多い人にとって特に推奨される運用法です。

iDeCoで老後までに1,000万円達成を目指すためには、まず「毎月の掛金の設定」から始めましょう。先述のNISAは毎月積立額を自由に変更できるのに対し、iDeCoは原則として年に1度しか掛金の変更が認められていません。また、原則として60歳までは掛金の引き出しができませんので、無理のない金額設定にしてください。
掛金が決まったら、投資期間、投資商品のリスク・リターンを考慮し、NISA同様に長期の運用シミュレーションをします。定期的な見直しとバランス調整を行いながら、コツコツと投資を続けることが、目標達成への近道となるでしょう。

不動産投資

次におすすめする運用法は、不動産投資です。50代から始める不動産投資の戦略としては、地域や物件の選定がとても重要になります。将来性のあるエリアの中古物件に目を向け、リフォームや修繕を行いながら適正な賃料を設定し、安定した入居率を保つことが成功のカギです。
不動産投資で1,000万円を貯めるには、物件次第では1室だけの所有では難しいかもしれません。物件選びに加え、融資利用や税制面での対策をしながら、所有する収益物件を増やしていきましょう。
ただし、50代からの不動産投資は初期費用を含めたフルローンを組めない可能性が高く、老後までの期間も短いため計画性が極めて重要です。

株式投資

初心者でもしっかりと勉強すれば、老後までに株式投資で1,000万円の貯蓄は達成できます。
主要な株式市場における平均利回りは5~10%程度と言われており、「ミドルリスク・ミドルリターン」の位置づけでありながらも、株式投資は難易度が高いと感じる人が多いようです。
株式投資の利益には、購入時の値段よりも上がったタイミングで売却すると得られるキャピタルゲインと、保有中の配当、分配で得られるインカムゲインがあります。

キャピタルゲインは株価の値動きに連動するため、利益が大きい反面、リスクも高いのが特徴です。一方のインカムゲインは、キャピタルゲインと比較するとローリスク・ローリターンで行う投資手法です。
初心者が50代から老後までに1,000万円を目標とするなら、まずは1株から購入できるミニ株からスタートしてください。リスクとのバランスを見ながら、株数や金額を増やしてキャピタルゲインを狙っていきましょう。最初から1つの銘柄に固執し、大金を投じるのはNG行為です。

・ 成長株投資:今後の企業の成長が見込める銘柄へ投資する
・ 割安株投資:業績が好調だが株価が割安な銘柄へ投資する
・ 低位株投資:あまり注目されておらず単元株でも少額投資できる銘柄へ投資する

50代で株式投資を始めるなら、上記のような銘柄へ投資することが推奨されます。

個人年金保険

老後の私的年金として活用されるケースの多い個人年金保険ですが、その中でも貯蓄型の保険である変額保険は、将来のお金が大きく増収する可能性があります。
変額保険は、新NISAのつみたて投資枠と同じように自分でファンドを選択して積立運用ができるため、運用次第で50代からでも1,000万円は夢ではありません。つみたてNISAとの大きく異なる点として、保険商品なのでがんや脳卒中などになると、その後は保険料が免除されるケースが一般的です。
このようなメリットがある一方で、運用コストが高いというデメリットもあります。新NISAは信託報酬のみの運用コストですが、変額保険では「保険関係費」が差し引かれます。
また、健康状態によっては保険料が高額になったり、保障内容が変わってしまったりと、考慮すべき点が多くみられるでしょう。これらの費用の影響で「元本割れ」してしまう可能性もありますので、変額保険での運用は特に慎重にするべきです。

財形貯蓄

一部の人に限って利用できるのが、財形貯蓄です。財形貯蓄は、従業員の資産形成を支える制度で、勤務先の企業が導入していれば、福利厚生の一環で利用できます。
この制度では、企業の提携先によって貯蓄制度が少々異なります。たとえば、提携先が銀行である場合は、定期預金や定期貯金などが一般的ですし、証券会社であれば投資信託や国債などに投資が可能です。提携先が銀行で定期貯金のみだけを行う企業も見受けられるため、勤務先へ確認してみましょう。
また、財形貯蓄制度には「一般財形貯蓄」「財形住宅貯蓄」「財形年金貯蓄」の3種類があります。老後の資金形成が目的の場合は「一般財形貯蓄」か「財形年金貯蓄」のいずれかになりますが、個別条件を正確に理解しておくことが大切です。

50代で老後資金への備えで考慮すべきこと

年齢が50代になると、老後の生活に必要な資金をどのようにして形成するかという問題が急速に身近なものになってきます。いままでに積み立てていた貯蓄に加え、さらに効率的な資産運用を進めなければなりません。
50代からの資金形成では、いくつかの点に注目しながら老後のマネープランを立てていくことが重要です。具体的な検討事項として、私的年金の導入、リスクを抑えた投資、分散投資によるリスクの低減、借入の見直しや保険の確認、そして老後の住まい計画が挙げられます。

1.私的年金で収入源を増やす

老後の安定した収入源を確保するためには、公的年金だけに頼るのではなく、2つ目の収入源となる私的年金を検討しましょう。

【企業単位の私的年金】
・ 企業型確定拠出年金
・ 確定給付企業年金

【個人単位の私的年金】
・ iDeCo(個人型確定拠出年金)
・ 国民年金基金
・ 個人年金保険

代表的な私的年金の選択肢は、上記のようなものです。これらは長期間にわたってコツコツと資金を積み立て、老後には定期的に収入を得ることができる仕組みになっています。年齢が50代からでもスタート可能で、節税効果も期待できます。
ただし、プランごとに条件が異なるため、自分の生活スタイルや将来設計に合わせて選んでいく必要があるのです。
また「私的年金代わり」として、不動産投資を選択する人もいます。自分で不動産を購入し、第三者に貸し出すことで毎月の家賃収入を得る方法です。先述の通り、50代だとフルローンを組むことは難しい場合もあり、老後までにローン完済できるような資金計画をしておく必要があります。

2.ローリスク投資を心がける 

50代から行う老後資金の準備において、リスクの高い投資は避けた方が賢明です。年齢が進んだ場合、大きな投資損失から回復する時間と収入が限られているからです。
そのため、国債や公社債、定期預金など比較的安全性の高い商品への投資を選ぶべきでしょう。リスクを最小限に抑えつつ、着実に資産を増やしていく方法の選択が大切です。これは、50代以降の年代に共通して言える話であり、まとまった退職金を手にした場合も同様です。

ただし、いくら低リスクで安心だからと言っても、定期預金だけの運用ではいけません。2024年3月時点における1年もの定期預金の金利は、最も高い銀行でも0.4%程度です。100万円を預けると1年後に利子が4,000円(税抜前)支払われることになります。
長らく超低金利時代が続いた日本では、最近の金利引き上げの兆候によって定期預金の0.4%は高利率のように感じられますが、50代から定期預金だけで1,000万円を貯めるのは難しいでしょう。ローリスク投資を意識しつつ、目標設定と達成に向けた運用のバランスが重要です。

3.分散投資でリスクの低減をさせる

投資の基本中の基本である分散投資は、資産運用におけるリスクを分散し、安定した収益を目指すために効果的です。具体的な分散方法は、以下の4つです。

1.    銘柄の分散
2.    資産の分散
3.    地域の分散
4.    時間の分散

投資する資産や地域、業種や時間を複数にわけることで、一つの投資に偏ることなく、市場の変動に対して柔軟に対応できる体制を整えます。たとえば、株式だけでなく、債権や不動産、さらには異なる通貨で運用するなど、さまざまな分野への投資が望ましいでしょう。
20代と比較すると効果が薄れますが、50代から始める資金形成でもドル・コスト平均法による「時間の分散」は有効です。

4.借入の見直しをする

借入金の返済は、収入が減少する老後に大きな影を落とします。
持ち家の住宅ローンの返済が老後にまで残っている場合には、繰り上げ返済を活用して負債を軽減していくことが肝要です。これは、自動車や教育資金におけるローンでも同様です。
しかし、繰り上げ返済をできるだけの資金の余裕がない家庭も少なくありません。その場合は、返済プランの見直しや借り換えも検討し、返済負担の軽減を考えていきましょう。

5.保険内容の確認・見直しをする 

加齢とともに健康リスクは増加しますが、保険内容の過剰な保障付帯は無用な負担となり得ます。医療の発達や治療法の進化によって、保険内容も時代に合わせた新たな商品・サービスが生み出されています。もしかすると、長期間同じ内容で払い込みを続けている、という人は今のプランが必ずしも最適ではないかもしれません。
現在加入している保険を見直し、現在の生活状況や健康状態、将来の見通しを踏まえた上で、適切な保障内容へと調整することが大切です。

6.老後の住まいの計画

老後の住まいをどのようにするかによって、資金計画は大きく相違します。
持ち家の所有は資産形成の一環として長期間の財政計画に貢献できますが、維持費や固定資産税などのコストも発生します。これらの通常の維持費とは別に、老後の身体の衰えを考慮し、バリアフリー化や子との二世帯住宅などについても考えていかなくてはなりません。
住宅のバリアフリー化は自身で予算を決めて行いますが、施工内容によっては200万円以上の費用がかかるケースもあります。

反対に賃貸の場合は、資金を他の投資に回すことができる一方で、家賃の支払いという固定費が発生します。また、一定クオリティ以上の住宅設備を求めるとなると、家賃もそれなりに高額になってしまうでしょう。どちらを選ぶにせよ、将来のライフスタイルや資金の流れを事前にしっかり考え、計画を立てることが求められます。

老後資金計画は予期せぬ出費にも備えたマネープランを

老後の生活を安心して過ごすためには、日常の生活費のみならず、予期せぬ事態が発生した際の備えも重要です。50代から1000万円の資金を準備できても、不意の出費があると赤字リスクを抱えてしまうかもしれません。では、「予期せぬ出費」について、具体的に解説しましょう。

緊急時における資金確保計画

緊急時に備える資金計画では、どの程度の貯金が必要かを見積もることから始まります。
具体的な費用には、まず老後に増加が見込まれる医療費と介護費があります。日本の後期高齢者医療制度では、医療費の窓口での自己負担割合は70歳から74歳までの方は原則2割、75歳以上の方は原則1割です。現役時代よりも負担額が減少しても、高齢者にとって医療費の負担は重くのしかかります。

 
また、介護費用は住宅のバリアフリー化やベッド購入などの一時的な費用として平均74万円、おむつ代や施設利用料などで月額平均8.3万円が必要というデータがあります。(以下図参照)
 
 
(出典:公益財団法人生命保険文化センター「2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査」)

介護状態や介護を要する時期によっても金額に大きな差がありますが、早いうちにこれらの課題へ取り組んでおく必要があるでしょう。
他にも、老後に資金確保が必要とされるものとして、以下の「特別支出」があります。

・ 交際費
・ 家族や親戚の冠婚葬祭費
・ 自動車関連費
・ 家電の買い替え費用

上記に加え、持ち家の場合は以下の費用も必要です。

・ 住宅の突発的な修繕費
・ 税金(固定資産税など)

特に冠婚葬祭費用は、自分ではコントロールするのが難しい費用です。老後資金は、これらの要素を見据えたうえで試算しておくことが重要です。

健康管理と介護予防の計画

これらの予期せぬ出費を発生させず、老後の生活を豊かに過ごすためには、健康管理と介護予防は欠かせません。健康な体は、老後資金を節約するだけでなく、生活の質をも大きく向上させるからです。具体的に、以下の3つを実施しましょう。

健康診断による潜在的疾患の早期発見

年を重ねるとともに、健康のリスクが高まりますが、定期的な健康診断によって、見逃されがちな疾患の早期発見が可能です。特に、高血圧や糖尿病などの生活習慣病は、症状が出る前に予防することが非常に効果的です。
健康診断では、血圧測定や血液検査、エコー検査などによって体の状態をチェックできるので、異常が見つかれば直ちに専門家と相談し、適切な対策を講じましょう。また、国や市町村が行う無料のがん検診なども積極的に受診し、早期発見・早期治療につなげてください。

食事や運動に気を付ける

健康的な生活習慣は「食事」と「運動」に始まります。バランスの取れた食事は、体の機能を維持し、病気の予防につながります。特に、野菜を多く取り入れた和食中心の食生活は、生活習慣病のリスクを下げるとされています。
運動に関しても、無理なく続けられる範囲で日常に取り入れることが大切です。ウォーキングなどの有酸素運動と筋トレなどによる無酸素運動を適切に組み合わせることで、脂肪燃焼が促進されます。激しい運動が苦手な人は、ヨガなど自分に合った運動を見つけて、コツコツと続けるよう心がけましょう。健康な体作りのためには、日々の積み重ねが非常に重要です。

生活環境の整備をする

自分自身が日ごろから生活しやすい環境に整えることも、健康維持と介護予防につながります。
たとえば、家の中で転倒などの事故を防ぐためには、段差の解消や滑りにくい床材への変更、手すりの設置などが効果的です。また、照明を明るくすると視界が良好になり、つまずきのリスクを減らせます。
これらの環境改善は、介護が必要になった時にも有効なので、可能であれば早めに取り組んでおくと良いでしょう。

まとめ

この記事では、50代からでも遅くないという前向きなメッセージと共に、老後の資金形成に役立つ情報を幅広く提供しました。50代の平均貯蓄額の参考データから始まり、資産を増やす投資の基礎知識、そして老後までに1000万円を貯める具体的な運用方法を明らかにしています。
また、50代で老後資金の備えを始める際に考慮すべきポイントや、将来起こりうる問題に備えた資金計画の立て方にも触れました。
50代からの老後資金準備には多くの人が不安を抱えていますが、早期に計画を開始し、着実な資産形成に努めることが、より充実した未来への鍵となります。50歳は一般的に老後とされる65歳まで、15年の時間があります。残されたこの時間をいかに有効的に使えるかどうかで、老後の生活が一変するでしょう。

この記事を書いた人

ベルテックスコラム事務局

不動産コンサルタント・税理士

不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。

2024.05.13

資産運用

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50代からの老後資金の準備では遅い?効率的に1,000万円を貯めるには

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  • 不動産投資
  • NISA
  • iDeCo

50代を目前にして、老後の資金準備に不安を感じ始めている方も多いでしょう。
しかし、「50代から老後資金の準備スタートは遅いのか?」という疑問に対して、50歳を過ぎても老後資金として1,000万円を貯蓄することは、決して叶わぬ夢ではありません。
本記事では、50代から始める老後に向けた貯蓄方法と、1,000万円を効率的に貯めるための具体的な投資方法をご紹介します。50代からでも十分に老後資金を形成するためのヒントをぜひ参考にしてください。

50代の老後の資金形成はどれぐらいできている?

50代における老後の資金形成は、一般的にその人のライフステージやキャリアと密接に関連しています。多くの人は、子育てや住宅ローンの返済などが一段落または終了間近で、貯蓄に対してより積極的な姿勢を取り始めることが多いです。
しかし、実際のところ、貯蓄額や資産形成の進捗は人によって大きく異なるのが現実です。統計によると、老後資金に対する意識が高まっている一方で、実際の貯蓄額は目標値に満たない人が多いとされています。

50代の平均貯蓄額はいくら?

老後資金がいくら必要かという問題は人それぞれで異なりますが、平均的にみると一人あたり2,000~3,000万円程度必要であるとされています。一般的に平均貯蓄額が1,000万円を超えるのは40代以上とされていますが、50代の人はどれほどの資産形成ができているのでしょうか。金融広報中央委員会によれば、世帯主の年齢が50歳代の家計における金融資産保有額は、以下のようになります。


金融資産保有世帯とは、現金以外に株式や債券など将来に向けて運用しているお金を保有する世帯のことです。
上記の結果を比較すると、金融資産を保有している世帯の方が、平均貯蓄額が高いことが分かります。

50歳代の中央値はいくら?

また、同データによると金融資産保有額の中央値は、以下のようになりました。

50歳代の金融資産保有額の中央値

  金融資産保有世帯 金融資産非保有世帯を含む
中央値 745万円 300万円

(出展:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)より)

金融資産を保有していない世帯を含む中央値は300万円と低く、こちらも同様に金融資産保有世帯が高い数値を誇っており、金融資産を有する重要性は明らかでしょう。
ちなみに、金融資産保有世帯のうち、世帯主が50歳代の世帯における「種類別金融商品保有額」は、以下の通りです。

・ 金銭信託:22万円
・ 生命保険:224万円
・ 損害保険:28万円
・ 個人年金保険:128万円
・ 債券:39万円
・ 株式:257万円
・ 投資信託:134万円
・ 財形貯蓄:94万円
・ その他金融商品:22万円

現在の50代は、「生命保険」や「株式」を特に多く保有していると言えます。

50代からでも老後の資金形成はできる 

前章でも明らかになった通り、現在の50代の多くは、老後生活をまかなえるほどの蓄えがあるとは言えません。
しかし、50代からでも老後の資金形成を始めることは十分可能です。時間は限られているものの、計画的な貯蓄や資産運用によって「お金を働かせる」ことで、まだまだ資金増加を目指せます。大切なのは、何もしてこなかった過去の自分に後悔するのではなく「今から行動を起こすこと」です。
まずは家計を見直し、不要な出費を減らす努力をします。
次に、リスクの少ない投資を検討し、安定型の貯蓄を目指していきましょう。
そして、節税効果のある制度を活用することで効率的な資金形成を目指せるでしょう。いくつから始めても、ポイントになるのは「継続性」です。少額でもよいので、コツコツと資金を積み重ねることで、老後の安心につながります。

本記事を読んでいる時点において40代前半の方は、以下の記事も合わせて読むとよいでしょう。

50代は老後の資金形成時期として好適

一般的に40代は子の教育資金で多くの出費がある時期で、思ったように貯蓄ができないという家庭が多く見られます。一方50代は、退職までの残りの期間や家計の負担が比較的軽減される時期であるため、老後資金の形成に適していると言えるでしょう。
老後資金を少しでも多く形成するためには、賢い運用方法を知り、着実な資金形成を心がけることが肝心です。

50代にみる老後資金への備えの特徴

現在50代の方が若い頃、特に社会に出る20代の頃は、ちょうどバブル経済が崩壊したタイミングでしょう。バブルで好景気の頃は、設備投資や住宅投資などの投資が特に好調で、高利率で伸び続けていました。
しかし、1990年代のバブル崩壊以降、当時を生きた人たちは地価や株価の暴落、そして景気の冷え込みを目の当たりにします。みるみるうちに世間や経済の状況が大きく変わり、これらの投資が一斉に減少に転じたため、「投資は危険」という意識が強く持たれた時代でしょう。
1990年代は投資の後退期とも言え、日本人が現金貯蓄を好むようになったきっかけとも言えます。そのため、未だに「投資が危険」という認識は強く、投資スタートへなかなか重い腰が上がらない人も少なくありません。
今の50代、特に投資を始めていない50代の人にとって大切なのは「意識改革」です。適切なリスク管理を行えば、投資は効率的に資産を増やせる方法であることを理解し、すぐに老後資金の貯蓄に向けた勉強を始めましょう。

50代は老後の資金形成に向けた「進展期」

50代という年代は、キャリア的にも収入が安定している期間でありながら、子育てや住宅ローンなどの大きな出費が落ち着いていることから、老後の生活に向けた資金を積み立てやすい時期であると言えるのです。
 
上図のサイクルを理解し、40代で十分な貯蓄ができなかったからと悲観的にならず、50代から60代にかけて一気に資金形成の波に乗っていきましょう。
50代は、仕事で得た経験や知識が豊富であるため、投資の判断をする上での基盤が整っているとも言える時期です。この年代は定期預金だけでなく、分散投資を駆使してリスクを低減しつつ、資産拡大を目指すことが望まれます。

50代から老後資金1,000万円を貯める効率的な運用方法

50歳を過ぎて老後資金を効率よく貯めるためには「現実的な目標設定」と、「目標に到達するための具体的な戦略」が必要になります。
これから紹介する5つの運用方法を参考に、小さなスタートからでも着実な資産形成を目指しましょう。資産運用の可能性は多様で、リスクとリターンを考慮した上で、自分に合う方法を選ぶことが大切です。

新NISA

NISA(ニーサ)は売買益や配当収入が非課税で資産運用ができる制度です。
50代から始める場合、設定できる期間や投資可能な金額に限りがありますが、資産増の効果を得るためには非常に有効な方法です。では、どのようなロードマップを描けば良いのでしょうか。
まずは、自己資金をどれだけNISA口座に移せるかを決め、その金額をベースに毎年の投資計画を立てます。
次に、適切な金融商品を選び、積立投資などで地道に資産を増やしていく戦略が有効でしょう。リスク管理を意識しながら、15年、20年という長い目で見た資産運用が、1,000万円貯めるための重要なポイントになります。
たとえば、50歳から毎月5万円を想定利回り3%で運用すると、15年後には元本900万円に対して1,134万円の運用成果を挙げることが可能です。
 
毎月5万円の積立が難しい場合には、積立期間を長くしたり、利回りを高くしたりして、着実に目標を達成していきましょう。

iDeCo(個人型確定拠出年金)

個人型確定拠出年金(iDeCo)は、将来の年金を自ら増やすための制度です。50歳からスタートするとしても、iDeCoを活用することで税制優遇を受けながら資産を形成できます。毎月の掛金は全額所得控除が適用されるため、所得の多い人にとって特に推奨される運用法です。

iDeCoで老後までに1,000万円達成を目指すためには、まず「毎月の掛金の設定」から始めましょう。先述のNISAは毎月積立額を自由に変更できるのに対し、iDeCoは原則として年に1度しか掛金の変更が認められていません。また、原則として60歳までは掛金の引き出しができませんので、無理のない金額設定にしてください。
掛金が決まったら、投資期間、投資商品のリスク・リターンを考慮し、NISA同様に長期の運用シミュレーションをします。定期的な見直しとバランス調整を行いながら、コツコツと投資を続けることが、目標達成への近道となるでしょう。

不動産投資

次におすすめする運用法は、不動産投資です。50代から始める不動産投資の戦略としては、地域や物件の選定がとても重要になります。将来性のあるエリアの中古物件に目を向け、リフォームや修繕を行いながら適正な賃料を設定し、安定した入居率を保つことが成功のカギです。
不動産投資で1,000万円を貯めるには、物件次第では1室だけの所有では難しいかもしれません。物件選びに加え、融資利用や税制面での対策をしながら、所有する収益物件を増やしていきましょう。
ただし、50代からの不動産投資は初期費用を含めたフルローンを組めない可能性が高く、老後までの期間も短いため計画性が極めて重要です。

株式投資

初心者でもしっかりと勉強すれば、老後までに株式投資で1,000万円の貯蓄は達成できます。
主要な株式市場における平均利回りは5~10%程度と言われており、「ミドルリスク・ミドルリターン」の位置づけでありながらも、株式投資は難易度が高いと感じる人が多いようです。
株式投資の利益には、購入時の値段よりも上がったタイミングで売却すると得られるキャピタルゲインと、保有中の配当、分配で得られるインカムゲインがあります。

キャピタルゲインは株価の値動きに連動するため、利益が大きい反面、リスクも高いのが特徴です。一方のインカムゲインは、キャピタルゲインと比較するとローリスク・ローリターンで行う投資手法です。
初心者が50代から老後までに1,000万円を目標とするなら、まずは1株から購入できるミニ株からスタートしてください。リスクとのバランスを見ながら、株数や金額を増やしてキャピタルゲインを狙っていきましょう。最初から1つの銘柄に固執し、大金を投じるのはNG行為です。

・ 成長株投資:今後の企業の成長が見込める銘柄へ投資する
・ 割安株投資:業績が好調だが株価が割安な銘柄へ投資する
・ 低位株投資:あまり注目されておらず単元株でも少額投資できる銘柄へ投資する

50代で株式投資を始めるなら、上記のような銘柄へ投資することが推奨されます。

個人年金保険

老後の私的年金として活用されるケースの多い個人年金保険ですが、その中でも貯蓄型の保険である変額保険は、将来のお金が大きく増収する可能性があります。
変額保険は、新NISAのつみたて投資枠と同じように自分でファンドを選択して積立運用ができるため、運用次第で50代からでも1,000万円は夢ではありません。つみたてNISAとの大きく異なる点として、保険商品なのでがんや脳卒中などになると、その後は保険料が免除されるケースが一般的です。
このようなメリットがある一方で、運用コストが高いというデメリットもあります。新NISAは信託報酬のみの運用コストですが、変額保険では「保険関係費」が差し引かれます。
また、健康状態によっては保険料が高額になったり、保障内容が変わってしまったりと、考慮すべき点が多くみられるでしょう。これらの費用の影響で「元本割れ」してしまう可能性もありますので、変額保険での運用は特に慎重にするべきです。

財形貯蓄

一部の人に限って利用できるのが、財形貯蓄です。財形貯蓄は、従業員の資産形成を支える制度で、勤務先の企業が導入していれば、福利厚生の一環で利用できます。
この制度では、企業の提携先によって貯蓄制度が少々異なります。たとえば、提携先が銀行である場合は、定期預金や定期貯金などが一般的ですし、証券会社であれば投資信託や国債などに投資が可能です。提携先が銀行で定期貯金のみだけを行う企業も見受けられるため、勤務先へ確認してみましょう。
また、財形貯蓄制度には「一般財形貯蓄」「財形住宅貯蓄」「財形年金貯蓄」の3種類があります。老後の資金形成が目的の場合は「一般財形貯蓄」か「財形年金貯蓄」のいずれかになりますが、個別条件を正確に理解しておくことが大切です。

50代で老後資金への備えで考慮すべきこと

年齢が50代になると、老後の生活に必要な資金をどのようにして形成するかという問題が急速に身近なものになってきます。いままでに積み立てていた貯蓄に加え、さらに効率的な資産運用を進めなければなりません。
50代からの資金形成では、いくつかの点に注目しながら老後のマネープランを立てていくことが重要です。具体的な検討事項として、私的年金の導入、リスクを抑えた投資、分散投資によるリスクの低減、借入の見直しや保険の確認、そして老後の住まい計画が挙げられます。

1.私的年金で収入源を増やす

老後の安定した収入源を確保するためには、公的年金だけに頼るのではなく、2つ目の収入源となる私的年金を検討しましょう。

【企業単位の私的年金】
・ 企業型確定拠出年金
・ 確定給付企業年金

【個人単位の私的年金】
・ iDeCo(個人型確定拠出年金)
・ 国民年金基金
・ 個人年金保険

代表的な私的年金の選択肢は、上記のようなものです。これらは長期間にわたってコツコツと資金を積み立て、老後には定期的に収入を得ることができる仕組みになっています。年齢が50代からでもスタート可能で、節税効果も期待できます。
ただし、プランごとに条件が異なるため、自分の生活スタイルや将来設計に合わせて選んでいく必要があるのです。
また「私的年金代わり」として、不動産投資を選択する人もいます。自分で不動産を購入し、第三者に貸し出すことで毎月の家賃収入を得る方法です。先述の通り、50代だとフルローンを組むことは難しい場合もあり、老後までにローン完済できるような資金計画をしておく必要があります。

2.ローリスク投資を心がける 

50代から行う老後資金の準備において、リスクの高い投資は避けた方が賢明です。年齢が進んだ場合、大きな投資損失から回復する時間と収入が限られているからです。
そのため、国債や公社債、定期預金など比較的安全性の高い商品への投資を選ぶべきでしょう。リスクを最小限に抑えつつ、着実に資産を増やしていく方法の選択が大切です。これは、50代以降の年代に共通して言える話であり、まとまった退職金を手にした場合も同様です。

ただし、いくら低リスクで安心だからと言っても、定期預金だけの運用ではいけません。2024年3月時点における1年もの定期預金の金利は、最も高い銀行でも0.4%程度です。100万円を預けると1年後に利子が4,000円(税抜前)支払われることになります。
長らく超低金利時代が続いた日本では、最近の金利引き上げの兆候によって定期預金の0.4%は高利率のように感じられますが、50代から定期預金だけで1,000万円を貯めるのは難しいでしょう。ローリスク投資を意識しつつ、目標設定と達成に向けた運用のバランスが重要です。

3.分散投資でリスクの低減をさせる

投資の基本中の基本である分散投資は、資産運用におけるリスクを分散し、安定した収益を目指すために効果的です。具体的な分散方法は、以下の4つです。

1.    銘柄の分散
2.    資産の分散
3.    地域の分散
4.    時間の分散

投資する資産や地域、業種や時間を複数にわけることで、一つの投資に偏ることなく、市場の変動に対して柔軟に対応できる体制を整えます。たとえば、株式だけでなく、債権や不動産、さらには異なる通貨で運用するなど、さまざまな分野への投資が望ましいでしょう。
20代と比較すると効果が薄れますが、50代から始める資金形成でもドル・コスト平均法による「時間の分散」は有効です。

4.借入の見直しをする

借入金の返済は、収入が減少する老後に大きな影を落とします。
持ち家の住宅ローンの返済が老後にまで残っている場合には、繰り上げ返済を活用して負債を軽減していくことが肝要です。これは、自動車や教育資金におけるローンでも同様です。
しかし、繰り上げ返済をできるだけの資金の余裕がない家庭も少なくありません。その場合は、返済プランの見直しや借り換えも検討し、返済負担の軽減を考えていきましょう。

5.保険内容の確認・見直しをする 

加齢とともに健康リスクは増加しますが、保険内容の過剰な保障付帯は無用な負担となり得ます。医療の発達や治療法の進化によって、保険内容も時代に合わせた新たな商品・サービスが生み出されています。もしかすると、長期間同じ内容で払い込みを続けている、という人は今のプランが必ずしも最適ではないかもしれません。
現在加入している保険を見直し、現在の生活状況や健康状態、将来の見通しを踏まえた上で、適切な保障内容へと調整することが大切です。

6.老後の住まいの計画

老後の住まいをどのようにするかによって、資金計画は大きく相違します。
持ち家の所有は資産形成の一環として長期間の財政計画に貢献できますが、維持費や固定資産税などのコストも発生します。これらの通常の維持費とは別に、老後の身体の衰えを考慮し、バリアフリー化や子との二世帯住宅などについても考えていかなくてはなりません。
住宅のバリアフリー化は自身で予算を決めて行いますが、施工内容によっては200万円以上の費用がかかるケースもあります。

反対に賃貸の場合は、資金を他の投資に回すことができる一方で、家賃の支払いという固定費が発生します。また、一定クオリティ以上の住宅設備を求めるとなると、家賃もそれなりに高額になってしまうでしょう。どちらを選ぶにせよ、将来のライフスタイルや資金の流れを事前にしっかり考え、計画を立てることが求められます。

老後資金計画は予期せぬ出費にも備えたマネープランを

老後の生活を安心して過ごすためには、日常の生活費のみならず、予期せぬ事態が発生した際の備えも重要です。50代から1000万円の資金を準備できても、不意の出費があると赤字リスクを抱えてしまうかもしれません。では、「予期せぬ出費」について、具体的に解説しましょう。

緊急時における資金確保計画

緊急時に備える資金計画では、どの程度の貯金が必要かを見積もることから始まります。
具体的な費用には、まず老後に増加が見込まれる医療費と介護費があります。日本の後期高齢者医療制度では、医療費の窓口での自己負担割合は70歳から74歳までの方は原則2割、75歳以上の方は原則1割です。現役時代よりも負担額が減少しても、高齢者にとって医療費の負担は重くのしかかります。

 
また、介護費用は住宅のバリアフリー化やベッド購入などの一時的な費用として平均74万円、おむつ代や施設利用料などで月額平均8.3万円が必要というデータがあります。(以下図参照)
 
 
(出典:公益財団法人生命保険文化センター「2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査」)

介護状態や介護を要する時期によっても金額に大きな差がありますが、早いうちにこれらの課題へ取り組んでおく必要があるでしょう。
他にも、老後に資金確保が必要とされるものとして、以下の「特別支出」があります。

・ 交際費
・ 家族や親戚の冠婚葬祭費
・ 自動車関連費
・ 家電の買い替え費用

上記に加え、持ち家の場合は以下の費用も必要です。

・ 住宅の突発的な修繕費
・ 税金(固定資産税など)

特に冠婚葬祭費用は、自分ではコントロールするのが難しい費用です。老後資金は、これらの要素を見据えたうえで試算しておくことが重要です。

健康管理と介護予防の計画

これらの予期せぬ出費を発生させず、老後の生活を豊かに過ごすためには、健康管理と介護予防は欠かせません。健康な体は、老後資金を節約するだけでなく、生活の質をも大きく向上させるからです。具体的に、以下の3つを実施しましょう。

健康診断による潜在的疾患の早期発見

年を重ねるとともに、健康のリスクが高まりますが、定期的な健康診断によって、見逃されがちな疾患の早期発見が可能です。特に、高血圧や糖尿病などの生活習慣病は、症状が出る前に予防することが非常に効果的です。
健康診断では、血圧測定や血液検査、エコー検査などによって体の状態をチェックできるので、異常が見つかれば直ちに専門家と相談し、適切な対策を講じましょう。また、国や市町村が行う無料のがん検診なども積極的に受診し、早期発見・早期治療につなげてください。

食事や運動に気を付ける

健康的な生活習慣は「食事」と「運動」に始まります。バランスの取れた食事は、体の機能を維持し、病気の予防につながります。特に、野菜を多く取り入れた和食中心の食生活は、生活習慣病のリスクを下げるとされています。
運動に関しても、無理なく続けられる範囲で日常に取り入れることが大切です。ウォーキングなどの有酸素運動と筋トレなどによる無酸素運動を適切に組み合わせることで、脂肪燃焼が促進されます。激しい運動が苦手な人は、ヨガなど自分に合った運動を見つけて、コツコツと続けるよう心がけましょう。健康な体作りのためには、日々の積み重ねが非常に重要です。

生活環境の整備をする

自分自身が日ごろから生活しやすい環境に整えることも、健康維持と介護予防につながります。
たとえば、家の中で転倒などの事故を防ぐためには、段差の解消や滑りにくい床材への変更、手すりの設置などが効果的です。また、照明を明るくすると視界が良好になり、つまずきのリスクを減らせます。
これらの環境改善は、介護が必要になった時にも有効なので、可能であれば早めに取り組んでおくと良いでしょう。

まとめ

この記事では、50代からでも遅くないという前向きなメッセージと共に、老後の資金形成に役立つ情報を幅広く提供しました。50代の平均貯蓄額の参考データから始まり、資産を増やす投資の基礎知識、そして老後までに1000万円を貯める具体的な運用方法を明らかにしています。
また、50代で老後資金の備えを始める際に考慮すべきポイントや、将来起こりうる問題に備えた資金計画の立て方にも触れました。
50代からの老後資金準備には多くの人が不安を抱えていますが、早期に計画を開始し、着実な資産形成に努めることが、より充実した未来への鍵となります。50歳は一般的に老後とされる65歳まで、15年の時間があります。残されたこの時間をいかに有効的に使えるかどうかで、老後の生活が一変するでしょう。

この記事を書いた人

ベルテックスコラム事務局

不動産コンサルタント・税理士

不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。