2024.05.13

資産運用

ベルテックスコラム事務局

女性の1人暮らし、老後資金はいくら必要?女性視点のリアルな実態

  • 老後資金
  • 不動産投資
  • NISA
  • iDeCo

「老後2,000万円問題」が話題となって久しいですが、この問題を皮切りに、将来を不安に思う人が増えたように思います。2019年に発表された調査では、定年を迎えた65歳以上の夫婦二人世帯が、老後20年~30年程度生活するために約2,000万円不足するとされています。
では、女性の1人暮らしのケースでは、どのくらいの老後資金が必要となるのでしょうか。必要額を試算するには、預金や投資による貯蓄に加え、年金などの老後の収入源を考慮し、生活費や介護費などの支出の見積もりをします。平均的に女性は男性よりも長生きする傾向にあり、長期的な資金計画が大切です。
この記事では、「実際に女性の1人暮らしでは、どの程度の老後資金が必要なのか?」独身女性のリアルな実態を解説していきます。

一人暮らしをする独身女性の老後資金で考えること

老後生活では衣食住、趣味や交際費など様々な支出が考えられますが、老齢年金だけでこれらをまかなうことは難しいのが、現状です。
では、独身女性ではどれだけの不足分が生じるのか、項目ごとに見ていきましょう。

独身女性の老後の収入額

日本の独身女性の老後収入は、老齢年金に依存傾向だと言えるでしょう。
勤労世代の働き方によって、国民年金か厚生年金のどちらを受給するか分かれ、さらに支給額は個人の加入期間や支払額によって異なります。受給額を平均すると女性は男性よりも年金額が低く、早いうちからの資金計画が求められます。

厚生年金の場合

「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、男性の年金受給額が月額平均163,875円であるのに対し、女性は月額104,878円と約6万円の差が生じています。
この格差は単に男女の年収差だけではなく、女性がライフイベントによって経済的に不利な立場に置かれていたことが考えられます。例えば、夫の扶養に入っていた期間や、出産・育児のために離職した経験などによるものです。

そのため、「生涯独身」であるのか「離婚による独身」であるのかによっても老後の収入は異なりますので、自身が受給できる正確な年金額を、一度確認してみるとよいでしょう。
独身女性は、個人で積極的な資産形成や投資戦略を検討するとともに、社会全体で男女間の給与格差やキャリアの不平等を解消する取り組みが求められます。
また、女性自身もキャリアや経済的な独立を追求し、年金だけではなく、他の収入源を確保することも重要です。年金以外の収入源の確保ができれば、独身女性がより経済的に安定し、安心して老後を迎えることができるでしょう。

国民年金の場合 

自営業やフリーランスとして働く人は、国民年金(基礎年金)を納める第1号被保険者に該当します。会社員(第2号被保険者)のように厚生年金を納めていないため、受給できる年金額は低くなります。

同調査によると、国民年金における女性の年金受給額は月額平均54,426円です。国民年金では通常の日常生活をまかなうことさえ難しいうえに、医療費、介護費、住宅費、娯楽費といったその他の支出へ対応するのは、非常にハードでしょう。

 ・ 男性に比べて老後の平均収入が低い傾向にある
 ・ 男性に比べて平均寿命が高い
 ・ 結婚やパートナーシップによる経済的な支援を受けることができない。

独身女性はこれらを考慮し、長期的な視野を持ち、将来への不確実性に備える必要があります。

独身女性の老後の支出額

独身女性の老後の支出額は、様々な要因によって大きく異なります。
まず、勤労時の年収によって生活水準が違うため、生活費が変わってきます。また、趣味の有無によって娯楽、旅行などの活動にかかる費用もそれぞれで、持ち家か賃貸かによって、住居環境の維持にかかる費用にも大きな差が生じるでしょう。

そして、老後の支出では「介護費」や「医療費」が大きな課題の1つです。高齢になると健康問題が増える可能性が高く、医療費や介護サービスに充てる資金が多く必要になります。他にも子や孫へのお祝いや援助がある場合、独身女性の老後の支出額は膨大になる可能性があります。

消費支出 

厚生労働省による「家計調査報告〔家計収支編〕2022年(令和4年)平均結果の概要」では、老後の単身無職世帯の消費支出は、必要最低限の生活で月額143,139円が必要であるという結果が出ています。

ただし、これは男性の単身無職世帯の消費支出も含んだ金額です。女性は友達とお茶をしたり、旅行に行ったりする「娯楽費」や「交際費」の部分で消費が膨らみやすく、外見の維持にかかる費用もあるため上記よりも支出が高額になることが懸念されています。

非消費支出

非消費支出は、生活費や娯楽費とは異なり、税金や社会保険料などの日常生活に直接関係しない支出のことです。同調査によれば、単身無職世帯の非消費支出(男性含む。)は、月額12,356円であるとされています。

 
これらの金額から考慮すると、勤労時代に会社員で老後に厚生年金を受給する場合、毎月5万円程度の不足が考えられます。一方、自営業者やフリーランスで老後に国民年金を受給する場合は、毎月10万円程度の資金不足が見込まれるでしょう。

独身女性の老後期間

老後における毎月の収入額と支出額が明らかになったところで、次に考えるのは老後期間の長さ、つまり、定年退職後から死ぬまでの期間です。

平均寿命は87.09歳

厚生労働省が発表した「令和4年 簡易生命表」によれば、日本人女性の平均寿命は87.09歳です。これは世界で最も長い寿命であり、日本の高度な医療技術や健康習慣、食生活の改善などが背景として
考えられるでしょう。
また、女性の平均寿命が男性よりも長いのは、生活習慣や遺伝的な要因、そして老後に社交的な場を持ちストレス軽減できる環境を持っていることが一因とされています。
この87.09歳はあくまでも女性全体の平均値であり、実際には100歳まで生きる女性の数も増加傾向にあります。自分の老後期間の長さは誰にも分かりませんが、長寿リスクを念頭に置きながら、資金形成をしていかなくてはいけません。

独身女性が老後に必要な金額はいくら?

この章では、「厚生年金を受給するケース」と「国民年金を受給するケース」で、どれだけの老後資金が必要なのか、具体的に試算していきましょう。

65歳から厚生年金を受給する場合

シミュレーションでは、65歳から87歳までの22年間を老後期間と仮定します。

・104,878円(毎月の収入)-155,495円(毎月の消費支出)=50,617円(毎月の不足分)
・50,617円×12ヶ月×22年=13,362,888円(トータル不足額)

※155,495円(毎月の消費支出)は、必要最低限の生活支出143,139円と非消費支出12,356円の合計です。
※2024年4月試算

上記の試算によると、独身女性は老後に1,336万円が必要ということになります。あくまでも厚生年金受給者の平均的なモデルケースなので、結婚や出産、育児のために夫の扶養に入っていた場合や、年金受給額が少ないケースではマイナスのふり幅もあります。
また、試算の数値は現時点で公表されているデータを用いたものなので、実際の試算では将来的な収入および支出の増減を考慮してください。

65歳から国民年金を受給する場合

では、同様に国民年金を受給する場合の試算を行ってみましょう。

・54,426円(毎月の収入)-155,495円(毎月の消費支出)=101,069円(毎月の不足分)
・101,069円×12ヶ月×22年=26,682,216円(トータル不足額)
※2024年4月試算

国民年金は毎月の不足分が多いため、老後資金として2,668万円が必要となり、厚生年金受給者に比べてよりマイナス分が大きくなります。厚生年金同様、何らかの理由で支払額が少ない場合は一段と少なくなるでしょう。

平均寿命までに必要な老後資金は1,336万円~2,668万円

上記の試算から、独身女性は65歳で定年退職してから平均寿命までの間に、13,362,888円~26,682,216円程度の資金が必要であることが分かりました。
ただし、先述の消費支出では住居費が12,746円と低く、これは持ち家率が高いことが要因にあると考えられます。賃貸で家賃が発生する場合、住居費はより高くなり、消費支出が増えるでしょう。
また、保険医療の項目は8,128円とありますが、年齢や健康状態によって負担額が増える可能性も視野に入れておかなくてはなりません。

平均寿命までにゆとりある生活をするのに必要な老後資金は2,512万円~3,843万円 

ここでもう一点抑えたいポイントは、先述の老後資金目安は「必要最低限の生活」を送るために要する金額であるということです。趣味を充実させたり、旅行やレジャーに出かけたりと「ゆとりある老後」を送るには、最低限必要な生活費にプラスした資金の上乗せが必要です。
生命保険文化センターの「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」によれば、夫婦二人でゆとりある老後生活を送るためには、毎月平均37.9万円が必要であるとしています。単純計算すれば、夫婦二人で割って一人あたり18.95万円ですが、女性は男性よりも消費支出が高くなりやすいことを考慮し、20万円で試算してみましょう。

【厚生年金の場合】
・104,878円(毎月の収入)-200,000円(毎月の消費支出)=95,122円(毎月の不足分)
・95,122円×12ヶ月×22年=25,122,208円(トータル不足額)

【国民年金の場合】
・54,426円(毎月の収入)-200,000円(毎月の消費支出)=145,574円(毎月の不足分)
・145,574円×12ヶ月×22年=38,431,536円(トータル不足額)
※2024年4月試算

ただし、独身女性は要介護状態となった場合、夫や子に頼れず、老人ホームなどの介護施設へ入所することも考えられます。そうなると、上記で試算した金額よりもさらに多額な貯蓄が必要になります。
現時点で、老後生活を謳歌するためには老後資金の貯蓄額は2,000万円では不十分であり、この状況は今後ますます厳しいものとなるでしょう。

独身女性における老後資金の現状

本章では、独身女性の老後資金についての懸念点を、より掘り下げていきましょう。具体的な問題を挙げ、考慮すべき点を解説します。

①婚姻件数は低下・離婚件数は増加している

独身女性における老後資金の現状は、「婚姻件数の低下」と「離婚件数の増加」が大きな影響を与えています。
厚生労働省が公表した「令和4年(2022年)の人口動態統計月報年計(概数)の概要」によると、2022年における婚姻件数は50万4,878組で、離婚件数は17万9,096組でした。ここ数十年の推移では結婚する人が減少し、離婚率が増加傾向にあることが明らかになっています。
1972年にピーク時の婚姻件数は109万9,984組であるのに対し、50年間で約半減している驚愕の状況です。これは、結婚と離婚に対する社会的な考え方や、価値観の多様化が反映している結果でしょう。若い世代において子を持つことを希望しない人が増え、未婚と言う選択肢が浸透し始めていることが要因とされています。

従来、結婚によって夫婦間での生活費や老後のサポートが期待される一面がありました。しかし、結婚やパートナーシップの選択が減少する中で、ゆとりある老後を過ごすためには、自分自身で資金形成を行うことがますます重要になってくるでしょう。

②独身女性は老後に資金不足になりやすい

独身女性が老後、特に資金不足になりやすい理由のひとつは、先述したように年金受給額が低いことが要因として挙げられます。
正社員として働いていても、女性は男性よりも年収が低く、非正規雇用や短時間労働の増加も背景にあります。女性の労働市場参加率が高まる一方で、非正規雇用や短時間労働も増えており、これらの雇用形態では年金の受給額が低くなりやすいです。

また、既婚歴がある女性の場合、出産や育児で一時的に離職しているケースがあります。多くの女性が家事や育児などの家庭的な役割を担い、働きながらのキャリア形成が難しくなります。そして、離婚後に子の養育資金を十分に受け取れない場合には、毎月の生活ですらギリギリという状況も珍しくはないでしょう。
これらの厳しい環境が要因となって、独身女性は老後の資金不足に陥りやすいとされています。

③高齢になるほど医療費・介護費の負担増

人も建物と同様に、年を取ると病気のリスクが高まり、健康を維持するには身体のメンテナンスを要します。そのため、通院費、薬剤費、検査費、入院費など、医療サービスの利用にかかる費用が増加します。
厚生労働省保険局調査課が公表する「医療保険に関する基礎資料~令和3年度の医療費等の状況~」によれば、20代前半と比較して70代前半の医療費は6倍以上に増加している事がわかりました。

高齢になって医療費の自己負担割合が2割へ軽減されても、その費用は相当な負担となることが予想されます。

④家族に負担をかけてしまう

兄弟や子がいる場合、家族へ負担をかけてしまうことも考えられます。主な問題点は、以下の通りです。

1.介護負担: 健康状態が悪化した場合、家族が介護を負担する必要が生じます。介護には金銭面以外にも時間や精神的な負担がかかるため、家族の生活や仕事に影響を与える可能性があります。

2.経済的負担: 老後に十分な貯蓄や年金を準備していない場合、家族が老後の生活費や医療費を負担する必要性が生じます。これにより、家族の経済状況に影響が及ぶ可能性があります。

3.精神的負担: 独身女性が孤独や不安を感じる事や、認知症などの疾患に苦しむケースで、家族がそれに対処するために精神的な負担を抱えることがあります。そのため、家族間の関係に影響を与える可能性があります。

子がいる場合には、将来的に同居の検討や介護について、どのようにするべきか事前に話し合いをしておくことも重要です。家族全員が納得する計画を立てることで、介護に関する家族間のトラブルを回避できます。
また、子が遠方で生活をしているケースでは介護施設の利用も視野に入れる必要があります。

⑤子がいなくても、甥や姪などへのお祝い費がかかる 

自身に子がいないケースであっても、甥や姪などの親戚に対してお祝い費用がかかる場合があります。
特に入学式や卒業式、成人式などの特別なイベント時には、祝儀や祝い品が必要な場合もあるでしょう。これらの費用は、年齢が上がるにつれて増額することも視野にいれなくてはなりません。
また、自身が高齢になる頃には、親族の結婚や出産などのイベントでまとまった資金が必要になるタイミングです。将来起こりうるこれらのイベントを予算に組み込み、計画的に資金確保する必要があります。

⑥子に頼れなければ介護施設利用料の負担が重い

子に経済的支援が期待できないケースや、子がいないケースでは、多くの介護費用が必要になります。
1ヶ月あたりの負担額を下記で詳しく見てみましょう。

 
個室や多床室(相部屋)など住環境の違いによって、自己負担額が異なります。また、特別養護老人ホームは公的施設で格安に設定されており、民間施設を利用すると自己負担額はさらに増えるでしょう。
結婚歴がない人の場合、この費用は計画的に用意しなくてはなりません。

⑦女性は「交際費」も増加傾向にある

女性の交際費が増加傾向にある要因には、趣味や娯楽活動の充実が挙げられます。具体的には友人とのお茶会やサークル活動など、積極的な社会参加にかかる費用です。
また、このように定期的に人と接触する機会が設けられると、健康や外見の維持にかかる費用が高くなることも理由の1つです。このような社会的な活動や健康維持に伴う費用が増えることで、交際費が増加すると考えられます。

独身女性が老後資金に備えるにはどんな方法がある?

退職後は誰しもこれまでの人間関係や時間に縛られず、穏やかに充実した時間を過ごしたいと思うものでしょう。では、充実した老後に向けた備えには、どのような方法があるのでしょうか。

投資による資産運用

最近耳にすることが多くなった「資産運用」ですが、実際に運用する方法や種類は多岐に渡ります。今回は、初心者でも手軽に始められる方法をいくつかご紹介します。

NISA 

NISA(少額投資非課税制度)は、年間の投資額が一定枠内であれば、その運用益が非課税となる制度で、独身女性の老後資金準備の有力な手段です。節税しながら、将来の安定した生活を築くための貯蓄に活用できます。
新NISAには「つみたて投資枠」と「成長投資枠」があり、2つを併用することも可能です。毎月の投資額を変更できるので、私たちのライフスタイルや目標に合わせて柔軟な選択ができます。少額スタートが可能であり、毎月の生活や急な出費にも対応しやすいことが魅力です。

iDeCo

iDeCo(個人型確定拠出年金)は、個人が将来の老後資金を築くための私的年金制度です。
雇用者や個人事業主も加入でき、毎月一定額を積み立てて将来の年金受給額を確定できます。iDeCoの特徴は、掛金全額が所得控除の対象となり、所得税や住民税を軽減できることです。
また、NISA制度のように運用益は非課税で、年金として受け取る際にも税制優遇措置が適用されます。ただし、通常は60歳までの掛金の引き出しや途中解約ができず、毎月の掛金の金額変更は年1回のみです。柔軟性には制約がありますが、高所得者にとっては大きな節税効果を期待できる制度です。

株式投資

独身女性が老後資金を調達する方法として、株式投資は大きな資産形成に繋がる有力な選択肢です。株式投資では、企業の成長や株価の上昇によって資産を増やすことができます。
また、株式や株式関連の投資信託を購入することで、将来的に運用益を得ることができます。長期的な視野で考え、市場の変動に対する耐性を持ちながら、資産運用ができるでしょう。
しかし、株式投資は投資としてのレベルが高く、商品によってはハイリスク・ハイリターンにもなり得るため、リスク管理が必要です。そのため、年齢次第では挑戦しない方が良い場合もあります。
株式投資は、自身の資産状況や目標額に合わせて適切な投資戦略を検討し、時には投資のプロに相談することも重要です。

不動産投資

不動産投資は、物件を購入して賃料収入を得る投資法で、将来に向けた資産形成ができるとともに老後の私的年金代わりにもおすすめです。不動産投資は所有物件にかかる経費やローンの利息などが経費として認められるため、節税効果もあります。
また、レバレッジの活用による収益性の高さが特徴です。銀行からの融資を受けることで、少額の自己資金で効果的な投資が可能になり、収益の最大化を図ります。
さらに、不動産投資は団信(団体信用生命保険)に加入することで、万が一の際に生命保険の代役を果たし、家族や相続人への保護も行えます。
不動産投資は将来の安定した収入源として、積極的に取り組む価値があるでしょう。

個人年金保険で私的年金を作る 

個人年金保険とは、契約時に決めた年齢まで保険料を積み立て、私的年金として受け取れる貯蓄型の保険です。私的年金は、一般的に以下の4つに分類されます。

終身年金

終身年金は、契約者が生存している限り、永続的に支給される年金制度です。契約者が亡くなった場合でも、年金受給権の取得者には遺族年金が支給されることがあります。この年金制度は、契約者とその家族の生活を安定させるためのものであり、将来の不確実性への安心感を提供します。
長期的な資金計画を立てる際にも役立ちますが、保険料が比較的割高になるというデメリットには、あらかじめ注意が必要です。

定額年金

定額年金は、契約者に毎月一定の金額が支給される保険の制度です。契約時に支払う保険料や支給額が固定されており、将来の収入を安定的に確保します。この年金制度は、将来の収入を見通しやすくし、受給者が毎月の支出を計画しやすいというメリットもあります。
万が一被保険者が亡くなった場合も、当初払い込みした一時払い保険料か積立金額のいずれか大きい金額が死亡給付金として遺族に支払われ、「生命保険」ならではの税制上の優遇措置もあります。

確定年金

確定年金は、契約時に支払う保険料と受け取り時の年金額が事前に確定されるタイプの年金制度で、将来の受給額があらかじめ予測できます。この種の年金は、受給者が将来の収入を正確に見込みたい場合に適している手段と言えるでしょう。
定期的な支出を計画する上で役立ち、受給額の変動リスクを排除することができます。

変額年金

変額年金は、契約者が支払う保険料が積み立て型の投資商品に投資され、その成果に応じた年金を受け取れる保険です。運用成績によって年金額が変動することが特徴です。
このタイプの年金は、投資によるリターンを追求したい人や多少のリスクを取ってでも資産を増やしたい人に適しています。ただし、将来受け取れる資金が減収する可能性も許容しなくてはなりません。

副業に挑戦する

貯蓄に回す資金を増やすため、副業で収入を増やすことも大切です。
独身女性におすすめの副業には、ウェブデザインやライティング、オンライン販売などがあります。パソコンを用いたこれらの仕事は老後にも活用できるため、早いうちからのパソコンスキル習得は不可欠です。柔軟な働き方や収入の増加に役立つため、苦手だと敬遠せずに、若いうちから学んでおくことを推奨します。

持ち家はリースバックを検討する

持ち家のリースバックも、独身女性が老後資金を準備する際に検討すべき選択肢の一つでしょう。リースバックとは、持ち家を企業に売却した後、企業と賃貸契約をしてそのまま住み続けることです。
リースバックによってまとまった現金を得ることができ、老後の生活費や医療費などの支出をまかなうための貴重な手段となり得ます。また、賃貸として利用することで、近所に知られる心配もありません。
ただし、リースバックは通常よりも売却金額が低くなったり、買戻しをする際に売却額よりも高くなったりするリスクが伴います。賃貸契約の条件についても内容次第では、永続的に住み続けることができないというデメリットもあります。
リースバックに関する詳細な情報や専門家の助言を得て、自身の状況に最適な選択を検討しましょう。

一人暮らしの独身女性の老後は楽しい?資産形成をするメリット 

綿密なシミュレーションを重ね、計画的な資産形成をすることで、自立した生活や多彩なライフスタイルを選択できるようになります。そして、経済的安定が精神的な安らぎにも繋がります。老後資金をしっかりと貯蓄しておけば、独身女性は以下のようなメリットを得られるでしょう。

老後に自由な時間を楽しめる

老後は仕事に関連する時間の縛りがないため、たとえば昼間にスポーツジムへ通ったり、平日のお得な時期に旅行へ行ったりと時間を有効に使えます。
また、挑戦したかったことにも時間を割くことができ、新しい趣味やスキルを身につけるチャンスです。新たなチャレンジによって、さらに人生が開花するでしょう。

人間関係に縛られない

子を持たない独身女性は夫や子、孫との関係に拘束されることなく、自分の人生を自由にコントロールできます。
また、お金があれば、人間関係を選ぶことができます。自分の価値観や趣味に合う人との繋がりを新たに築き、より充実した老後ライフを満喫できるでしょう。

不測のトラブルにも対処できる

不測のトラブルとは、身体の不調や住居・設備の故障などの問題を指しますが、これらはお金を使えばほとんどが解決できます。経済的な自立があれば、突発的な出費やトラブルにも冷静に対処できるため、老後でも安心して生活を送ることができます。

まとめ

この記事では、「女性の1人暮らし」にポイントを充て、老後資金がどれぐらい必要であるかを解説しました。
女性は男性よりも平均寿命が長く、医療も今後ますます進化していくため、さらに長生きになると予想されます。また、夫や子など頼れる人がいないという点では、介護施設入居のリスクも懸念点です。
十分な老後資金を準備するためには、即効性のある方法はありません。生活費の見直しや、貯蓄の習慣を身につけ、早いうちからの資金確保が必要です。
また、預貯金だけでなく積極的な投資で資産運用を行うことも選択肢の1つです。人生100年時代と言われる今日では、いつ病気になって資金不足に陥るか不安は尽きません。老後の人生設計に向けた準備として、退職後ではなく若いうちから計画的な資産形成を始めておくことが大切です。

この記事を書いた人

ベルテックスコラム事務局

不動産コンサルタント・税理士

不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。

2024.05.13

資産運用

ベルテックスコラム事務局

女性の1人暮らし、老後資金はいくら必要?女性視点のリアルな実態

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  • 不動産投資
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「老後2,000万円問題」が話題となって久しいですが、この問題を皮切りに、将来を不安に思う人が増えたように思います。2019年に発表された調査では、定年を迎えた65歳以上の夫婦二人世帯が、老後20年~30年程度生活するために約2,000万円不足するとされています。
では、女性の1人暮らしのケースでは、どのくらいの老後資金が必要となるのでしょうか。必要額を試算するには、預金や投資による貯蓄に加え、年金などの老後の収入源を考慮し、生活費や介護費などの支出の見積もりをします。平均的に女性は男性よりも長生きする傾向にあり、長期的な資金計画が大切です。
この記事では、「実際に女性の1人暮らしでは、どの程度の老後資金が必要なのか?」独身女性のリアルな実態を解説していきます。

一人暮らしをする独身女性の老後資金で考えること

老後生活では衣食住、趣味や交際費など様々な支出が考えられますが、老齢年金だけでこれらをまかなうことは難しいのが、現状です。
では、独身女性ではどれだけの不足分が生じるのか、項目ごとに見ていきましょう。

独身女性の老後の収入額

日本の独身女性の老後収入は、老齢年金に依存傾向だと言えるでしょう。
勤労世代の働き方によって、国民年金か厚生年金のどちらを受給するか分かれ、さらに支給額は個人の加入期間や支払額によって異なります。受給額を平均すると女性は男性よりも年金額が低く、早いうちからの資金計画が求められます。

厚生年金の場合

「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、男性の年金受給額が月額平均163,875円であるのに対し、女性は月額104,878円と約6万円の差が生じています。
この格差は単に男女の年収差だけではなく、女性がライフイベントによって経済的に不利な立場に置かれていたことが考えられます。例えば、夫の扶養に入っていた期間や、出産・育児のために離職した経験などによるものです。

そのため、「生涯独身」であるのか「離婚による独身」であるのかによっても老後の収入は異なりますので、自身が受給できる正確な年金額を、一度確認してみるとよいでしょう。
独身女性は、個人で積極的な資産形成や投資戦略を検討するとともに、社会全体で男女間の給与格差やキャリアの不平等を解消する取り組みが求められます。
また、女性自身もキャリアや経済的な独立を追求し、年金だけではなく、他の収入源を確保することも重要です。年金以外の収入源の確保ができれば、独身女性がより経済的に安定し、安心して老後を迎えることができるでしょう。

国民年金の場合 

自営業やフリーランスとして働く人は、国民年金(基礎年金)を納める第1号被保険者に該当します。会社員(第2号被保険者)のように厚生年金を納めていないため、受給できる年金額は低くなります。

同調査によると、国民年金における女性の年金受給額は月額平均54,426円です。国民年金では通常の日常生活をまかなうことさえ難しいうえに、医療費、介護費、住宅費、娯楽費といったその他の支出へ対応するのは、非常にハードでしょう。

 ・ 男性に比べて老後の平均収入が低い傾向にある
 ・ 男性に比べて平均寿命が高い
 ・ 結婚やパートナーシップによる経済的な支援を受けることができない。

独身女性はこれらを考慮し、長期的な視野を持ち、将来への不確実性に備える必要があります。

独身女性の老後の支出額

独身女性の老後の支出額は、様々な要因によって大きく異なります。
まず、勤労時の年収によって生活水準が違うため、生活費が変わってきます。また、趣味の有無によって娯楽、旅行などの活動にかかる費用もそれぞれで、持ち家か賃貸かによって、住居環境の維持にかかる費用にも大きな差が生じるでしょう。

そして、老後の支出では「介護費」や「医療費」が大きな課題の1つです。高齢になると健康問題が増える可能性が高く、医療費や介護サービスに充てる資金が多く必要になります。他にも子や孫へのお祝いや援助がある場合、独身女性の老後の支出額は膨大になる可能性があります。

消費支出 

厚生労働省による「家計調査報告〔家計収支編〕2022年(令和4年)平均結果の概要」では、老後の単身無職世帯の消費支出は、必要最低限の生活で月額143,139円が必要であるという結果が出ています。

ただし、これは男性の単身無職世帯の消費支出も含んだ金額です。女性は友達とお茶をしたり、旅行に行ったりする「娯楽費」や「交際費」の部分で消費が膨らみやすく、外見の維持にかかる費用もあるため上記よりも支出が高額になることが懸念されています。

非消費支出

非消費支出は、生活費や娯楽費とは異なり、税金や社会保険料などの日常生活に直接関係しない支出のことです。同調査によれば、単身無職世帯の非消費支出(男性含む。)は、月額12,356円であるとされています。

 
これらの金額から考慮すると、勤労時代に会社員で老後に厚生年金を受給する場合、毎月5万円程度の不足が考えられます。一方、自営業者やフリーランスで老後に国民年金を受給する場合は、毎月10万円程度の資金不足が見込まれるでしょう。

独身女性の老後期間

老後における毎月の収入額と支出額が明らかになったところで、次に考えるのは老後期間の長さ、つまり、定年退職後から死ぬまでの期間です。

平均寿命は87.09歳

厚生労働省が発表した「令和4年 簡易生命表」によれば、日本人女性の平均寿命は87.09歳です。これは世界で最も長い寿命であり、日本の高度な医療技術や健康習慣、食生活の改善などが背景として
考えられるでしょう。
また、女性の平均寿命が男性よりも長いのは、生活習慣や遺伝的な要因、そして老後に社交的な場を持ちストレス軽減できる環境を持っていることが一因とされています。
この87.09歳はあくまでも女性全体の平均値であり、実際には100歳まで生きる女性の数も増加傾向にあります。自分の老後期間の長さは誰にも分かりませんが、長寿リスクを念頭に置きながら、資金形成をしていかなくてはいけません。

独身女性が老後に必要な金額はいくら?

この章では、「厚生年金を受給するケース」と「国民年金を受給するケース」で、どれだけの老後資金が必要なのか、具体的に試算していきましょう。

65歳から厚生年金を受給する場合

シミュレーションでは、65歳から87歳までの22年間を老後期間と仮定します。

・104,878円(毎月の収入)-155,495円(毎月の消費支出)=50,617円(毎月の不足分)
・50,617円×12ヶ月×22年=13,362,888円(トータル不足額)

※155,495円(毎月の消費支出)は、必要最低限の生活支出143,139円と非消費支出12,356円の合計です。
※2024年4月試算

上記の試算によると、独身女性は老後に1,336万円が必要ということになります。あくまでも厚生年金受給者の平均的なモデルケースなので、結婚や出産、育児のために夫の扶養に入っていた場合や、年金受給額が少ないケースではマイナスのふり幅もあります。
また、試算の数値は現時点で公表されているデータを用いたものなので、実際の試算では将来的な収入および支出の増減を考慮してください。

65歳から国民年金を受給する場合

では、同様に国民年金を受給する場合の試算を行ってみましょう。

・54,426円(毎月の収入)-155,495円(毎月の消費支出)=101,069円(毎月の不足分)
・101,069円×12ヶ月×22年=26,682,216円(トータル不足額)
※2024年4月試算

国民年金は毎月の不足分が多いため、老後資金として2,668万円が必要となり、厚生年金受給者に比べてよりマイナス分が大きくなります。厚生年金同様、何らかの理由で支払額が少ない場合は一段と少なくなるでしょう。

平均寿命までに必要な老後資金は1,336万円~2,668万円

上記の試算から、独身女性は65歳で定年退職してから平均寿命までの間に、13,362,888円~26,682,216円程度の資金が必要であることが分かりました。
ただし、先述の消費支出では住居費が12,746円と低く、これは持ち家率が高いことが要因にあると考えられます。賃貸で家賃が発生する場合、住居費はより高くなり、消費支出が増えるでしょう。
また、保険医療の項目は8,128円とありますが、年齢や健康状態によって負担額が増える可能性も視野に入れておかなくてはなりません。

平均寿命までにゆとりある生活をするのに必要な老後資金は2,512万円~3,843万円 

ここでもう一点抑えたいポイントは、先述の老後資金目安は「必要最低限の生活」を送るために要する金額であるということです。趣味を充実させたり、旅行やレジャーに出かけたりと「ゆとりある老後」を送るには、最低限必要な生活費にプラスした資金の上乗せが必要です。
生命保険文化センターの「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」によれば、夫婦二人でゆとりある老後生活を送るためには、毎月平均37.9万円が必要であるとしています。単純計算すれば、夫婦二人で割って一人あたり18.95万円ですが、女性は男性よりも消費支出が高くなりやすいことを考慮し、20万円で試算してみましょう。

【厚生年金の場合】
・104,878円(毎月の収入)-200,000円(毎月の消費支出)=95,122円(毎月の不足分)
・95,122円×12ヶ月×22年=25,122,208円(トータル不足額)

【国民年金の場合】
・54,426円(毎月の収入)-200,000円(毎月の消費支出)=145,574円(毎月の不足分)
・145,574円×12ヶ月×22年=38,431,536円(トータル不足額)
※2024年4月試算

ただし、独身女性は要介護状態となった場合、夫や子に頼れず、老人ホームなどの介護施設へ入所することも考えられます。そうなると、上記で試算した金額よりもさらに多額な貯蓄が必要になります。
現時点で、老後生活を謳歌するためには老後資金の貯蓄額は2,000万円では不十分であり、この状況は今後ますます厳しいものとなるでしょう。

独身女性における老後資金の現状

本章では、独身女性の老後資金についての懸念点を、より掘り下げていきましょう。具体的な問題を挙げ、考慮すべき点を解説します。

①婚姻件数は低下・離婚件数は増加している

独身女性における老後資金の現状は、「婚姻件数の低下」と「離婚件数の増加」が大きな影響を与えています。
厚生労働省が公表した「令和4年(2022年)の人口動態統計月報年計(概数)の概要」によると、2022年における婚姻件数は50万4,878組で、離婚件数は17万9,096組でした。ここ数十年の推移では結婚する人が減少し、離婚率が増加傾向にあることが明らかになっています。
1972年にピーク時の婚姻件数は109万9,984組であるのに対し、50年間で約半減している驚愕の状況です。これは、結婚と離婚に対する社会的な考え方や、価値観の多様化が反映している結果でしょう。若い世代において子を持つことを希望しない人が増え、未婚と言う選択肢が浸透し始めていることが要因とされています。

従来、結婚によって夫婦間での生活費や老後のサポートが期待される一面がありました。しかし、結婚やパートナーシップの選択が減少する中で、ゆとりある老後を過ごすためには、自分自身で資金形成を行うことがますます重要になってくるでしょう。

②独身女性は老後に資金不足になりやすい

独身女性が老後、特に資金不足になりやすい理由のひとつは、先述したように年金受給額が低いことが要因として挙げられます。
正社員として働いていても、女性は男性よりも年収が低く、非正規雇用や短時間労働の増加も背景にあります。女性の労働市場参加率が高まる一方で、非正規雇用や短時間労働も増えており、これらの雇用形態では年金の受給額が低くなりやすいです。

また、既婚歴がある女性の場合、出産や育児で一時的に離職しているケースがあります。多くの女性が家事や育児などの家庭的な役割を担い、働きながらのキャリア形成が難しくなります。そして、離婚後に子の養育資金を十分に受け取れない場合には、毎月の生活ですらギリギリという状況も珍しくはないでしょう。
これらの厳しい環境が要因となって、独身女性は老後の資金不足に陥りやすいとされています。

③高齢になるほど医療費・介護費の負担増

人も建物と同様に、年を取ると病気のリスクが高まり、健康を維持するには身体のメンテナンスを要します。そのため、通院費、薬剤費、検査費、入院費など、医療サービスの利用にかかる費用が増加します。
厚生労働省保険局調査課が公表する「医療保険に関する基礎資料~令和3年度の医療費等の状況~」によれば、20代前半と比較して70代前半の医療費は6倍以上に増加している事がわかりました。

高齢になって医療費の自己負担割合が2割へ軽減されても、その費用は相当な負担となることが予想されます。

④家族に負担をかけてしまう

兄弟や子がいる場合、家族へ負担をかけてしまうことも考えられます。主な問題点は、以下の通りです。

1.介護負担: 健康状態が悪化した場合、家族が介護を負担する必要が生じます。介護には金銭面以外にも時間や精神的な負担がかかるため、家族の生活や仕事に影響を与える可能性があります。

2.経済的負担: 老後に十分な貯蓄や年金を準備していない場合、家族が老後の生活費や医療費を負担する必要性が生じます。これにより、家族の経済状況に影響が及ぶ可能性があります。

3.精神的負担: 独身女性が孤独や不安を感じる事や、認知症などの疾患に苦しむケースで、家族がそれに対処するために精神的な負担を抱えることがあります。そのため、家族間の関係に影響を与える可能性があります。

子がいる場合には、将来的に同居の検討や介護について、どのようにするべきか事前に話し合いをしておくことも重要です。家族全員が納得する計画を立てることで、介護に関する家族間のトラブルを回避できます。
また、子が遠方で生活をしているケースでは介護施設の利用も視野に入れる必要があります。

⑤子がいなくても、甥や姪などへのお祝い費がかかる 

自身に子がいないケースであっても、甥や姪などの親戚に対してお祝い費用がかかる場合があります。
特に入学式や卒業式、成人式などの特別なイベント時には、祝儀や祝い品が必要な場合もあるでしょう。これらの費用は、年齢が上がるにつれて増額することも視野にいれなくてはなりません。
また、自身が高齢になる頃には、親族の結婚や出産などのイベントでまとまった資金が必要になるタイミングです。将来起こりうるこれらのイベントを予算に組み込み、計画的に資金確保する必要があります。

⑥子に頼れなければ介護施設利用料の負担が重い

子に経済的支援が期待できないケースや、子がいないケースでは、多くの介護費用が必要になります。
1ヶ月あたりの負担額を下記で詳しく見てみましょう。

 
個室や多床室(相部屋)など住環境の違いによって、自己負担額が異なります。また、特別養護老人ホームは公的施設で格安に設定されており、民間施設を利用すると自己負担額はさらに増えるでしょう。
結婚歴がない人の場合、この費用は計画的に用意しなくてはなりません。

⑦女性は「交際費」も増加傾向にある

女性の交際費が増加傾向にある要因には、趣味や娯楽活動の充実が挙げられます。具体的には友人とのお茶会やサークル活動など、積極的な社会参加にかかる費用です。
また、このように定期的に人と接触する機会が設けられると、健康や外見の維持にかかる費用が高くなることも理由の1つです。このような社会的な活動や健康維持に伴う費用が増えることで、交際費が増加すると考えられます。

独身女性が老後資金に備えるにはどんな方法がある?

退職後は誰しもこれまでの人間関係や時間に縛られず、穏やかに充実した時間を過ごしたいと思うものでしょう。では、充実した老後に向けた備えには、どのような方法があるのでしょうか。

投資による資産運用

最近耳にすることが多くなった「資産運用」ですが、実際に運用する方法や種類は多岐に渡ります。今回は、初心者でも手軽に始められる方法をいくつかご紹介します。

NISA 

NISA(少額投資非課税制度)は、年間の投資額が一定枠内であれば、その運用益が非課税となる制度で、独身女性の老後資金準備の有力な手段です。節税しながら、将来の安定した生活を築くための貯蓄に活用できます。
新NISAには「つみたて投資枠」と「成長投資枠」があり、2つを併用することも可能です。毎月の投資額を変更できるので、私たちのライフスタイルや目標に合わせて柔軟な選択ができます。少額スタートが可能であり、毎月の生活や急な出費にも対応しやすいことが魅力です。

iDeCo

iDeCo(個人型確定拠出年金)は、個人が将来の老後資金を築くための私的年金制度です。
雇用者や個人事業主も加入でき、毎月一定額を積み立てて将来の年金受給額を確定できます。iDeCoの特徴は、掛金全額が所得控除の対象となり、所得税や住民税を軽減できることです。
また、NISA制度のように運用益は非課税で、年金として受け取る際にも税制優遇措置が適用されます。ただし、通常は60歳までの掛金の引き出しや途中解約ができず、毎月の掛金の金額変更は年1回のみです。柔軟性には制約がありますが、高所得者にとっては大きな節税効果を期待できる制度です。

株式投資

独身女性が老後資金を調達する方法として、株式投資は大きな資産形成に繋がる有力な選択肢です。株式投資では、企業の成長や株価の上昇によって資産を増やすことができます。
また、株式や株式関連の投資信託を購入することで、将来的に運用益を得ることができます。長期的な視野で考え、市場の変動に対する耐性を持ちながら、資産運用ができるでしょう。
しかし、株式投資は投資としてのレベルが高く、商品によってはハイリスク・ハイリターンにもなり得るため、リスク管理が必要です。そのため、年齢次第では挑戦しない方が良い場合もあります。
株式投資は、自身の資産状況や目標額に合わせて適切な投資戦略を検討し、時には投資のプロに相談することも重要です。

不動産投資

不動産投資は、物件を購入して賃料収入を得る投資法で、将来に向けた資産形成ができるとともに老後の私的年金代わりにもおすすめです。不動産投資は所有物件にかかる経費やローンの利息などが経費として認められるため、節税効果もあります。
また、レバレッジの活用による収益性の高さが特徴です。銀行からの融資を受けることで、少額の自己資金で効果的な投資が可能になり、収益の最大化を図ります。
さらに、不動産投資は団信(団体信用生命保険)に加入することで、万が一の際に生命保険の代役を果たし、家族や相続人への保護も行えます。
不動産投資は将来の安定した収入源として、積極的に取り組む価値があるでしょう。

個人年金保険で私的年金を作る 

個人年金保険とは、契約時に決めた年齢まで保険料を積み立て、私的年金として受け取れる貯蓄型の保険です。私的年金は、一般的に以下の4つに分類されます。

終身年金

終身年金は、契約者が生存している限り、永続的に支給される年金制度です。契約者が亡くなった場合でも、年金受給権の取得者には遺族年金が支給されることがあります。この年金制度は、契約者とその家族の生活を安定させるためのものであり、将来の不確実性への安心感を提供します。
長期的な資金計画を立てる際にも役立ちますが、保険料が比較的割高になるというデメリットには、あらかじめ注意が必要です。

定額年金

定額年金は、契約者に毎月一定の金額が支給される保険の制度です。契約時に支払う保険料や支給額が固定されており、将来の収入を安定的に確保します。この年金制度は、将来の収入を見通しやすくし、受給者が毎月の支出を計画しやすいというメリットもあります。
万が一被保険者が亡くなった場合も、当初払い込みした一時払い保険料か積立金額のいずれか大きい金額が死亡給付金として遺族に支払われ、「生命保険」ならではの税制上の優遇措置もあります。

確定年金

確定年金は、契約時に支払う保険料と受け取り時の年金額が事前に確定されるタイプの年金制度で、将来の受給額があらかじめ予測できます。この種の年金は、受給者が将来の収入を正確に見込みたい場合に適している手段と言えるでしょう。
定期的な支出を計画する上で役立ち、受給額の変動リスクを排除することができます。

変額年金

変額年金は、契約者が支払う保険料が積み立て型の投資商品に投資され、その成果に応じた年金を受け取れる保険です。運用成績によって年金額が変動することが特徴です。
このタイプの年金は、投資によるリターンを追求したい人や多少のリスクを取ってでも資産を増やしたい人に適しています。ただし、将来受け取れる資金が減収する可能性も許容しなくてはなりません。

副業に挑戦する

貯蓄に回す資金を増やすため、副業で収入を増やすことも大切です。
独身女性におすすめの副業には、ウェブデザインやライティング、オンライン販売などがあります。パソコンを用いたこれらの仕事は老後にも活用できるため、早いうちからのパソコンスキル習得は不可欠です。柔軟な働き方や収入の増加に役立つため、苦手だと敬遠せずに、若いうちから学んでおくことを推奨します。

持ち家はリースバックを検討する

持ち家のリースバックも、独身女性が老後資金を準備する際に検討すべき選択肢の一つでしょう。リースバックとは、持ち家を企業に売却した後、企業と賃貸契約をしてそのまま住み続けることです。
リースバックによってまとまった現金を得ることができ、老後の生活費や医療費などの支出をまかなうための貴重な手段となり得ます。また、賃貸として利用することで、近所に知られる心配もありません。
ただし、リースバックは通常よりも売却金額が低くなったり、買戻しをする際に売却額よりも高くなったりするリスクが伴います。賃貸契約の条件についても内容次第では、永続的に住み続けることができないというデメリットもあります。
リースバックに関する詳細な情報や専門家の助言を得て、自身の状況に最適な選択を検討しましょう。

一人暮らしの独身女性の老後は楽しい?資産形成をするメリット 

綿密なシミュレーションを重ね、計画的な資産形成をすることで、自立した生活や多彩なライフスタイルを選択できるようになります。そして、経済的安定が精神的な安らぎにも繋がります。老後資金をしっかりと貯蓄しておけば、独身女性は以下のようなメリットを得られるでしょう。

老後に自由な時間を楽しめる

老後は仕事に関連する時間の縛りがないため、たとえば昼間にスポーツジムへ通ったり、平日のお得な時期に旅行へ行ったりと時間を有効に使えます。
また、挑戦したかったことにも時間を割くことができ、新しい趣味やスキルを身につけるチャンスです。新たなチャレンジによって、さらに人生が開花するでしょう。

人間関係に縛られない

子を持たない独身女性は夫や子、孫との関係に拘束されることなく、自分の人生を自由にコントロールできます。
また、お金があれば、人間関係を選ぶことができます。自分の価値観や趣味に合う人との繋がりを新たに築き、より充実した老後ライフを満喫できるでしょう。

不測のトラブルにも対処できる

不測のトラブルとは、身体の不調や住居・設備の故障などの問題を指しますが、これらはお金を使えばほとんどが解決できます。経済的な自立があれば、突発的な出費やトラブルにも冷静に対処できるため、老後でも安心して生活を送ることができます。

まとめ

この記事では、「女性の1人暮らし」にポイントを充て、老後資金がどれぐらい必要であるかを解説しました。
女性は男性よりも平均寿命が長く、医療も今後ますます進化していくため、さらに長生きになると予想されます。また、夫や子など頼れる人がいないという点では、介護施設入居のリスクも懸念点です。
十分な老後資金を準備するためには、即効性のある方法はありません。生活費の見直しや、貯蓄の習慣を身につけ、早いうちからの資金確保が必要です。
また、預貯金だけでなく積極的な投資で資産運用を行うことも選択肢の1つです。人生100年時代と言われる今日では、いつ病気になって資金不足に陥るか不安は尽きません。老後の人生設計に向けた準備として、退職後ではなく若いうちから計画的な資産形成を始めておくことが大切です。

この記事を書いた人

ベルテックスコラム事務局

不動産コンサルタント・税理士

不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。