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2025.01.29
ベルテックスコラム事務局
アパート経営の成功率はどれくらい?黒字収益を達成する方法
- はじめ方・基礎知識
- 日本の現状
- 初心者
「給料と年金だけでは老後の生活資金が足りない」といわれている昨今、副業としてアパート経営に興味を持っている方も多いかと思います。しかし、初期費用や黒字化までの期間、成功率といった点で不安を感じ、実際に始めるまでに迷ってしまう方も少なくありません。
この記事では、アパート経営の成功率や黒字化のための方法、そして副業としてのリスクとリターンについて解説します。さらに、成功のための準備や失敗を避けるためのポイントも紹介します。
アパート経営の「成功」とは
アパート経営の成功率について解説する前に、アパート経営の成功とはなんなのか考えてみましょう。アパート経営の目的は家賃収入で収益を上げるほかに、節税対策や団体信用生命保険の加入による保険効果、相続税対策などさまざまです。これらの目的が達成されるアパート経営であれば、「成功」したといえるでしょう。
アパート経営でどの目的を重要視するかは個々人の事情によります。ここではいったん、多くの人が目的とするであろう「家賃収入による黒字化」を成功と定義して解説します。
アパート経営の黒字化は10年前後が目安
アパート経営で黒字化するまでにかかる期間は、一般的に5年から10年が目安とされています。どのくらいかかるかはアパート購入時の初期投資額やローンの返済状況、さらには地域の賃貸市場の動向といった複数の要因によって変動します。特に初期費用が大きい場合、短期間での黒字化は難しく、長期的な視点での経営計画が必要です。
アパートの入居率が高く、常に満室であれば家賃収入も安定し、計画通りに収益を得やすくなります。しかし、空室が多くなると家賃収入が減少し、ローン返済が厳しくなる場合もあります。
加えて、アパート経営を長期的に成功させるためには、ローン返済だけでなく、固定資産税や修繕費用といった経常的にかかる経費も考慮に入れる必要があります。経費は、物件やローンなどの条件によって変動しますが、家賃収入に対しておおむね15〜20%ほどを占めると言われます。
アパート経営では、月々のローン返済額や経費を念頭に置いたうえで、収支が黒字化するよう適切な事業計画を立てることが重要です。
アパート経営の成功率が7割は、あくまで民間企業データ
不動産売却一括査定Webサービス「イエウール」の調査によると、アパート経営の成功率は、約7割という数値が示されています。この調査はアパート経営の「成功」を「物件オーナーが満足しているか」と定義していますので、このデータからは、アパート経営を始めた7割の人が適切に経営を継続し、それぞれにとって満足行く結果を出しているということがいえるでしょう。ただし、この調査では成功=黒字化ではないので、黒字化しているオーナーの割合については、データがないのが現状です。また、満足度についてもあくまで民間企業のデータであり、公的なデータではないことを考慮する必要があるでしょう。
アパート経営で黒字化しているオーナーは、リスクを把握し、計画的に対応策を講じています。物件選びから賃貸管理、空室リスクへの対応、修繕費の確保など、経営の細部まで戦略的に進めています。逆に、適切な対策が取れなければ、空室が続き収益が伸び悩むこともあります。
そのため、成功率を高めるには、リスクに備えた具体的な計画を立て、長期的な経営戦略を持つことが重要です。成功例や失敗例を参考に、自身の経営プランを見直し、必要な対策を講じることが、アパート経営の成功につながります。
アパート経営の成功率を限りなく高める要素とは
アパート経営の成功率は、物件の選定やローン条件の調整など、工夫次第で高めることができます。具体的な工夫の方法には次のようなものがあります。
立地調査から条件の良い土地を選ぶ
アパート経営においては、立地の選定が成功の鍵です。
購入する物件を選ぶ際は、人口が増加している地域や、賃貸物件の需要が高いエリアを選びましょう。―こうした地域は若い世代やファミリー層が多く、賃貸ニーズが高いです。そのため、長期的な経営の安定が期待できます。
駅近や交通の便が良いエリアは、単身者や通勤・通学者に人気です。これらの物件は空室率が低く、家賃の下落リスクも少ない傾向にあります。大学や専門学校の近くは学生の賃貸需要が高く、安定した入居が期待できます。学期ごとに入居者が入れ替わるので、家賃を上げやすいというメリットもあります。
さらに、商業施設が近くにある場所や、生活環境が整っているエリアも、家族世帯や高齢者に人気があります。スーパーマーケットやショッピングモールが近い便利な物件は、家賃を多少高く設定しても入居者が集まりやすく、長期的な入居も見込めます。
逆に、交通の便が悪い場所では、家賃を下げないと入居者確保が難しくなります。そのため、立地条件をしっかりと調査し、周辺環境やターゲットとする入居者層に合った場所を選ぶことが、アパート経営の成功につながります。
初期費用の30%の自己資金を確保する
アパート経営を始める時は、初期費用の10%以上を自己資金で用意するのが推奨されます。しかし、より安定した経営を目指すなら、30%の自己資金を確保するのが理想です。
初期費用には、物件の購入費やリフォーム費用、登記費用、不動産取得税などが含まれますが、そのほとんどは建築費や物件購入費が占めます。その30%を自己資金で用意すれば、借入金が減り、毎月のローン返済の負担も軽くなります。
たとえば、1億円のアパートを購入する場合、自己資金として物件価格の30%の3,000万円を用意すれば、ローンでの借入額は7,000万円になります。このように、自己資金が多いほど、ローンの返済額が少なくなります。もし空室が発生しても、返済に困るリスクを減らせます。
さらに、自己資金が多いと金融機関からの信用が高まり、好条件の融資を受けられる可能性があります。金利が低ければ返済総額が減り、長期的な収益が向上します。
さらに、修繕費用や設備の更新費用など、予期せぬ支出が発生した場合にも、自己資金が多いことで余裕を持って対応できるため、安定した経営が可能となります。 このように、自己資金を十分に確保し、経営に余裕を持たせることは、さまざまな面でアパート経営の成功につながります。
空室・家賃下落リスク対策をする
所有物件の空室が続くと家賃収入が減ります。その結果、ローン返済や維持費の負担が重くなります。アパート経営において、空室リスクや家賃下落リスクは、収益に大きく影響を与えるため、事前にこれらのリスクに対策を講じておくことが重要です。
まず、周辺地域の家賃相場を参考に、適正な価格を設定しましょう。
家賃が高すぎると入居者が集まりません。逆に安すぎると、物件の価値が低く見られ、早期退去の原因になります。
競合物件との差別化を意識し、物件の資産価値を保つことも大事です。古い物件でも、定期的なリフォームや設備更新で入居者に選ばれやすくなります。
壁紙の変更や床の張り替えなどの内装リフォームは手軽ですが、物件の印象を大きく変えられます。さらに、トイレや浴室の設備を最新のものにすることで、物件の魅力が向上し、入居者が確保しやすくなります。
管理会社に管理委託する
アパート経営では、設備の故障や騒音問題、入居者間のトラブルなどが発生し、入居者からクレームを受けることもあります。これらをオーナー自身で解決すると時間と労力がかかり、精神的負担も増します。しかし、賃貸管理を管理会社に委託すれば、専門スタッフが迅速に対応してくれるため、負担が大幅に軽減します。
たとえば、エアコンが故障したような場合も管理会社が修理業者を手配し、入居者対応もしてくれます。
さらに、管理会社は以下のような賃貸管理業務も代行します。
- 入居者の募集
- 入居者との契約手続き
- 家賃の回収
- 家賃対応などのトラブルの対応
- 退去時の原状回復工事
- 退去時の清掃手配
効率的に入居者を募集できる管理会社であれば、空室リスクが軽減され、オーナーが集客に費やす手間を大幅に削減できます。加えて、入居中のトラブルから退去時の対応にいたるまで、管理会社に一任できるため、賃貸経営にかかる手間はほとんどありません。一方で、管理会社の対応がずさんだと、これら賃貸管理業務がオーナーに降りかかってくることになります。信頼できる管理会社を見極めることも、アパート経営で成功するには非常に重要といえるでしょう。
老朽化の対策費用を確保する
アパート経営において、建物の老朽化は避けられない課題です。安定的な経営には、定期的なメンテナンスや修繕が欠かせません。外観や設備の劣化は入居者の満足度を低下させ、空室や家賃の引き下げを招くリスクがあります。そのため、老朽化に備えて、必要な資金を計画的に確保することが重要です。
建物のメンテナンスには、外壁の補修や防水工事、屋根の点検などが含まれます。たとえば、ひび割れや劣化を早期に発見して対処することで、大規模な修繕を避け、長期的にコストを抑えることができます。
設備の劣化も、経年とともに問題になってきます。エアコンや給湯器などの設備が故障すると、入居者にとって不便なだけでなく、退去の原因になることもあります。設備の交換や修繕には多額の費用がかかるため、事前に資金を積み立てておくことが求められます。たとえば、エアコン1台の交換費用は10万円ほどかかることがあります。
信頼できる不動産投資会社に相談する
アパート経営を成功に導くためには、経験豊富なプロに相談することが効果的です。不動産投資会社のサポートを受けることで、自分では見逃してしまうようなリスクや重要なポイントについて適切なアドバイスが得られ、成功率が向上します。
不動産投資会社は、物件選定や資金計画、経営リスクへの対応など、多方面でサポートを提供します。たとえば物件選びでは、家賃だけでなく、地域の将来性や賃貸需要、入居者層の動向なども考慮し提案してくれます。
また、ローンの返済シミュレーションや収支の見通しについて具体的なアドバイスが受けられるため、資金計画の面でも経営の安定性が向上します。
アパート経営が失敗する主な理由と対策
アパート経営を成功させるためには、失敗しやすいポイントを把握し、事前に対策を講じることが重要です。以下は、よくある失敗の理由とその対策です。
空室リスク対策の甘さ
空室が出ると家賃収入が減り、アパート経営が厳しくなります。空室を防ぐためには、物件の魅力を高めることが大切です。たとえば、入居者が好むようなリフォームをしたり、定期的にメンテナンスを行ったりすることで、空室が続くのを防げます。
また、周辺の家賃相場を調べて、適正な家賃を設定することも効果的です。
リフォームの際は、キッチンやトイレ、浴室の設備を最新のものにするなど、入居者にとって快適な環境を整えることを念頭に置くといいでしょう。内装は過度にこだわるよりも、万人に嫌われないシンプルなデザインが入居率の維持につながります。また、周辺の賃料相場を調べ、適正な賃料を設定しましょう。
不動産投資の空室リスクと対策については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
【おすすめ関連記事】不動産投資の空室リスクとは 原因とリスク対策を徹底解説
老朽化に備えた修繕積立をしていない
アパートを長期的に経営する場合、建物や設備の老朽化は避けられない問題です。老朽化を放置し、大規模な修繕が必要になると、修繕費用も高額になります。
こうした事態を避けるため、計画的に修繕積立金を確保し、定期的なメンテナンスを行いましょう。たとえば、毎月家賃収入の5%を積み立てることで、外壁や屋根の修繕など、予想外の修理費にも対応できます。
家賃下落に備えた資金を確保していなかった
賃貸市場は常に変動しています。周辺物件の家賃が下がった場合は、自分の物件の家賃も下げざるを得ない場合があります。
家賃の下落に備えるには、毎月の家賃収入の5〜10%を運転資金として積み立てておくといいでしょう。もし実際に下落したときには、この積み立てた運転資金からローンの返済や修繕費用に充てることで一時的に不足を補うことができます。
ですが、根本的には家賃が下がらないような、賃貸需要の高いエリアの物件を購入することをおすすめします。また、リフォームや設備更新で物件の競争力を高めることも、家賃を高く保つ方法として効果的です。
アパート経営にかかる費用
アパート経営には、大きく分けて初期費用と、毎年発生する維持費用がかかります。特に、建築費と運営コストを正確に把握することが重要です。
初期費用
アパート経営の初期費用は、主に次のような費用が挙げられます。
- 本体工事費(建築費)
- 建物附帯工事費(駐車場、庭、塀など)
- 土地の調査費・測量費
- 不動産登記費用(登録免許税、司法書士報酬など)
このうち、費用の大部分を占めるのが、本体工事費(建築費)です。大手不動産一括査定サイトのHOME4Uによると、アパートの構造によって工事費の坪単価相場は以下のようになります。
アパート構造 | 2階建て | 3階建て |
---|---|---|
木造 | 77〜100万円 | 80〜100万円 |
鉄骨造 | 90〜120万円 | 軽量鉄骨:90~105万円 重量鉄骨:90〜120万円 |
鉄筋コンクリート造 | 90〜120万円 | 100〜120万円 |
【引用】HOME4U「アパート経営に必要な自己資金はいくら?かかる初期費用やリスクを解説」2024年8月29日掲載
木造は比較的安価で建築期間が短い一方、鉄骨造や鉄筋コンクリート造は耐久性が高く、長期間の運用に向いています。
維持費用
また、アパート経営では、毎年維持費がかかります。主な維持費と家賃収入に対する一般的な割合を表にまとめました。
支出項目 | 賃収入に対する割合 |
---|---|
固定資産税や都市計画税などの公租公課 | 10% |
不動産管理会社への管理委託料 | 10% |
修繕積立金 | 5% |
火災保険や地震保険の積立金 | 5% |
借入返済金 | 45~55%(一般的な返済比率の場合) |
たとえば、家賃収入が1,000万円の場合、固定資産税などに100万円、管理委託料に100万円、修繕積立金に50万円、保険積立金に50万円、借入返済に450〜550万円がかかる計算になります。
確保しておきたい自己資金
アパート経営に必要な自己資金の目安は、先に見たとおり、初期費用の10%~30%です。 たとえば、総建築費が2億円のアパートを建設する場合、自己資金として2,000万円から6,000万円を準備する必要があります。自己資金が多ければ、借入金額が少なくなり、経営の安定につながります。
自己資金が不足していると、返済計画に余裕がなくなり、空室や修繕費の予想外の支出で経営が厳しくなるリスクがあります。最悪の場合、追加融資が難しくなり、経営が赤字になる可能性も高まります。
まとめ
アパート経営を成功させるには、事前に資金計画を立て、空室や修繕費などのリスクに備えることが不可欠です。 黒字化を目指すには、まず5年から10年の期間を目安に長期的な計画を立てることが大切です。その際、定期的な支出や予想されるリスクに備えて、資金を十分に確保しておきましょう。 また、信頼できる不動産投資会社に相談することで、物件選びや資金計画をプロの視点で進められ、経営のリスクを大幅に軽減できます。
ベルテックスの無料個別相談では、最新の市場動向や成功のポイント、リスク管理の強化まで、資産形成のプロからサポートを受けることができます。早めに相談して不動産投資の具体的な全体像をつかんでおくことで、アパート経営の成功率を高めることができるでしょう。
この記事を書いた人
ベルテックスコラム事務局
不動産コンサルタント・税理士
不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。
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2025.01.29
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アパート経営の成功率はどれくらい?黒字収益を達成する方法
- はじめ方・基礎知識
- 日本の現状
- 初心者
「給料と年金だけでは老後の生活資金が足りない」といわれている昨今、副業としてアパート経営に興味を持っている方も多いかと思います。しかし、初期費用や黒字化までの期間、成功率といった点で不安を感じ、実際に始めるまでに迷ってしまう方も少なくありません。
この記事では、アパート経営の成功率や黒字化のための方法、そして副業としてのリスクとリターンについて解説します。さらに、成功のための準備や失敗を避けるためのポイントも紹介します。
アパート経営の「成功」とは
アパート経営の成功率について解説する前に、アパート経営の成功とはなんなのか考えてみましょう。アパート経営の目的は家賃収入で収益を上げるほかに、節税対策や団体信用生命保険の加入による保険効果、相続税対策などさまざまです。これらの目的が達成されるアパート経営であれば、「成功」したといえるでしょう。
アパート経営でどの目的を重要視するかは個々人の事情によります。ここではいったん、多くの人が目的とするであろう「家賃収入による黒字化」を成功と定義して解説します。
アパート経営の黒字化は10年前後が目安
アパート経営で黒字化するまでにかかる期間は、一般的に5年から10年が目安とされています。どのくらいかかるかはアパート購入時の初期投資額やローンの返済状況、さらには地域の賃貸市場の動向といった複数の要因によって変動します。特に初期費用が大きい場合、短期間での黒字化は難しく、長期的な視点での経営計画が必要です。
アパートの入居率が高く、常に満室であれば家賃収入も安定し、計画通りに収益を得やすくなります。しかし、空室が多くなると家賃収入が減少し、ローン返済が厳しくなる場合もあります。
加えて、アパート経営を長期的に成功させるためには、ローン返済だけでなく、固定資産税や修繕費用といった経常的にかかる経費も考慮に入れる必要があります。経費は、物件やローンなどの条件によって変動しますが、家賃収入に対しておおむね15〜20%ほどを占めると言われます。
アパート経営では、月々のローン返済額や経費を念頭に置いたうえで、収支が黒字化するよう適切な事業計画を立てることが重要です。
アパート経営の成功率が7割は、あくまで民間企業データ
不動産売却一括査定Webサービス「イエウール」の調査によると、アパート経営の成功率は、約7割という数値が示されています。この調査はアパート経営の「成功」を「物件オーナーが満足しているか」と定義していますので、このデータからは、アパート経営を始めた7割の人が適切に経営を継続し、それぞれにとって満足行く結果を出しているということがいえるでしょう。ただし、この調査では成功=黒字化ではないので、黒字化しているオーナーの割合については、データがないのが現状です。また、満足度についてもあくまで民間企業のデータであり、公的なデータではないことを考慮する必要があるでしょう。
アパート経営で黒字化しているオーナーは、リスクを把握し、計画的に対応策を講じています。物件選びから賃貸管理、空室リスクへの対応、修繕費の確保など、経営の細部まで戦略的に進めています。逆に、適切な対策が取れなければ、空室が続き収益が伸び悩むこともあります。
そのため、成功率を高めるには、リスクに備えた具体的な計画を立て、長期的な経営戦略を持つことが重要です。成功例や失敗例を参考に、自身の経営プランを見直し、必要な対策を講じることが、アパート経営の成功につながります。
アパート経営の成功率を限りなく高める要素とは
アパート経営の成功率は、物件の選定やローン条件の調整など、工夫次第で高めることができます。具体的な工夫の方法には次のようなものがあります。
立地調査から条件の良い土地を選ぶ
アパート経営においては、立地の選定が成功の鍵です。
購入する物件を選ぶ際は、人口が増加している地域や、賃貸物件の需要が高いエリアを選びましょう。―こうした地域は若い世代やファミリー層が多く、賃貸ニーズが高いです。そのため、長期的な経営の安定が期待できます。
駅近や交通の便が良いエリアは、単身者や通勤・通学者に人気です。これらの物件は空室率が低く、家賃の下落リスクも少ない傾向にあります。大学や専門学校の近くは学生の賃貸需要が高く、安定した入居が期待できます。学期ごとに入居者が入れ替わるので、家賃を上げやすいというメリットもあります。
さらに、商業施設が近くにある場所や、生活環境が整っているエリアも、家族世帯や高齢者に人気があります。スーパーマーケットやショッピングモールが近い便利な物件は、家賃を多少高く設定しても入居者が集まりやすく、長期的な入居も見込めます。
逆に、交通の便が悪い場所では、家賃を下げないと入居者確保が難しくなります。そのため、立地条件をしっかりと調査し、周辺環境やターゲットとする入居者層に合った場所を選ぶことが、アパート経営の成功につながります。
初期費用の30%の自己資金を確保する
アパート経営を始める時は、初期費用の10%以上を自己資金で用意するのが推奨されます。しかし、より安定した経営を目指すなら、30%の自己資金を確保するのが理想です。
初期費用には、物件の購入費やリフォーム費用、登記費用、不動産取得税などが含まれますが、そのほとんどは建築費や物件購入費が占めます。その30%を自己資金で用意すれば、借入金が減り、毎月のローン返済の負担も軽くなります。
たとえば、1億円のアパートを購入する場合、自己資金として物件価格の30%の3,000万円を用意すれば、ローンでの借入額は7,000万円になります。このように、自己資金が多いほど、ローンの返済額が少なくなります。もし空室が発生しても、返済に困るリスクを減らせます。
さらに、自己資金が多いと金融機関からの信用が高まり、好条件の融資を受けられる可能性があります。金利が低ければ返済総額が減り、長期的な収益が向上します。
さらに、修繕費用や設備の更新費用など、予期せぬ支出が発生した場合にも、自己資金が多いことで余裕を持って対応できるため、安定した経営が可能となります。 このように、自己資金を十分に確保し、経営に余裕を持たせることは、さまざまな面でアパート経営の成功につながります。
空室・家賃下落リスク対策をする
所有物件の空室が続くと家賃収入が減ります。その結果、ローン返済や維持費の負担が重くなります。アパート経営において、空室リスクや家賃下落リスクは、収益に大きく影響を与えるため、事前にこれらのリスクに対策を講じておくことが重要です。
まず、周辺地域の家賃相場を参考に、適正な価格を設定しましょう。
家賃が高すぎると入居者が集まりません。逆に安すぎると、物件の価値が低く見られ、早期退去の原因になります。
競合物件との差別化を意識し、物件の資産価値を保つことも大事です。古い物件でも、定期的なリフォームや設備更新で入居者に選ばれやすくなります。
壁紙の変更や床の張り替えなどの内装リフォームは手軽ですが、物件の印象を大きく変えられます。さらに、トイレや浴室の設備を最新のものにすることで、物件の魅力が向上し、入居者が確保しやすくなります。
管理会社に管理委託する
アパート経営では、設備の故障や騒音問題、入居者間のトラブルなどが発生し、入居者からクレームを受けることもあります。これらをオーナー自身で解決すると時間と労力がかかり、精神的負担も増します。しかし、賃貸管理を管理会社に委託すれば、専門スタッフが迅速に対応してくれるため、負担が大幅に軽減します。
たとえば、エアコンが故障したような場合も管理会社が修理業者を手配し、入居者対応もしてくれます。
さらに、管理会社は以下のような賃貸管理業務も代行します。
- 入居者の募集
- 入居者との契約手続き
- 家賃の回収
- 家賃対応などのトラブルの対応
- 退去時の原状回復工事
- 退去時の清掃手配
効率的に入居者を募集できる管理会社であれば、空室リスクが軽減され、オーナーが集客に費やす手間を大幅に削減できます。加えて、入居中のトラブルから退去時の対応にいたるまで、管理会社に一任できるため、賃貸経営にかかる手間はほとんどありません。一方で、管理会社の対応がずさんだと、これら賃貸管理業務がオーナーに降りかかってくることになります。信頼できる管理会社を見極めることも、アパート経営で成功するには非常に重要といえるでしょう。
老朽化の対策費用を確保する
アパート経営において、建物の老朽化は避けられない課題です。安定的な経営には、定期的なメンテナンスや修繕が欠かせません。外観や設備の劣化は入居者の満足度を低下させ、空室や家賃の引き下げを招くリスクがあります。そのため、老朽化に備えて、必要な資金を計画的に確保することが重要です。
建物のメンテナンスには、外壁の補修や防水工事、屋根の点検などが含まれます。たとえば、ひび割れや劣化を早期に発見して対処することで、大規模な修繕を避け、長期的にコストを抑えることができます。
設備の劣化も、経年とともに問題になってきます。エアコンや給湯器などの設備が故障すると、入居者にとって不便なだけでなく、退去の原因になることもあります。設備の交換や修繕には多額の費用がかかるため、事前に資金を積み立てておくことが求められます。たとえば、エアコン1台の交換費用は10万円ほどかかることがあります。
信頼できる不動産投資会社に相談する
アパート経営を成功に導くためには、経験豊富なプロに相談することが効果的です。不動産投資会社のサポートを受けることで、自分では見逃してしまうようなリスクや重要なポイントについて適切なアドバイスが得られ、成功率が向上します。
不動産投資会社は、物件選定や資金計画、経営リスクへの対応など、多方面でサポートを提供します。たとえば物件選びでは、家賃だけでなく、地域の将来性や賃貸需要、入居者層の動向なども考慮し提案してくれます。
また、ローンの返済シミュレーションや収支の見通しについて具体的なアドバイスが受けられるため、資金計画の面でも経営の安定性が向上します。
アパート経営が失敗する主な理由と対策
アパート経営を成功させるためには、失敗しやすいポイントを把握し、事前に対策を講じることが重要です。以下は、よくある失敗の理由とその対策です。
空室リスク対策の甘さ
空室が出ると家賃収入が減り、アパート経営が厳しくなります。空室を防ぐためには、物件の魅力を高めることが大切です。たとえば、入居者が好むようなリフォームをしたり、定期的にメンテナンスを行ったりすることで、空室が続くのを防げます。
また、周辺の家賃相場を調べて、適正な家賃を設定することも効果的です。
リフォームの際は、キッチンやトイレ、浴室の設備を最新のものにするなど、入居者にとって快適な環境を整えることを念頭に置くといいでしょう。内装は過度にこだわるよりも、万人に嫌われないシンプルなデザインが入居率の維持につながります。また、周辺の賃料相場を調べ、適正な賃料を設定しましょう。
不動産投資の空室リスクと対策については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
【おすすめ関連記事】不動産投資の空室リスクとは 原因とリスク対策を徹底解説
老朽化に備えた修繕積立をしていない
アパートを長期的に経営する場合、建物や設備の老朽化は避けられない問題です。老朽化を放置し、大規模な修繕が必要になると、修繕費用も高額になります。
こうした事態を避けるため、計画的に修繕積立金を確保し、定期的なメンテナンスを行いましょう。たとえば、毎月家賃収入の5%を積み立てることで、外壁や屋根の修繕など、予想外の修理費にも対応できます。
家賃下落に備えた資金を確保していなかった
賃貸市場は常に変動しています。周辺物件の家賃が下がった場合は、自分の物件の家賃も下げざるを得ない場合があります。
家賃の下落に備えるには、毎月の家賃収入の5〜10%を運転資金として積み立てておくといいでしょう。もし実際に下落したときには、この積み立てた運転資金からローンの返済や修繕費用に充てることで一時的に不足を補うことができます。
ですが、根本的には家賃が下がらないような、賃貸需要の高いエリアの物件を購入することをおすすめします。また、リフォームや設備更新で物件の競争力を高めることも、家賃を高く保つ方法として効果的です。
アパート経営にかかる費用
アパート経営には、大きく分けて初期費用と、毎年発生する維持費用がかかります。特に、建築費と運営コストを正確に把握することが重要です。
初期費用
アパート経営の初期費用は、主に次のような費用が挙げられます。
- 本体工事費(建築費)
- 建物附帯工事費(駐車場、庭、塀など)
- 土地の調査費・測量費
- 不動産登記費用(登録免許税、司法書士報酬など)
このうち、費用の大部分を占めるのが、本体工事費(建築費)です。大手不動産一括査定サイトのHOME4Uによると、アパートの構造によって工事費の坪単価相場は以下のようになります。
アパート構造 | 2階建て | 3階建て |
---|---|---|
木造 | 77〜100万円 | 80〜100万円 |
鉄骨造 | 90〜120万円 | 軽量鉄骨:90~105万円 重量鉄骨:90〜120万円 |
鉄筋コンクリート造 | 90〜120万円 | 100〜120万円 |
【引用】HOME4U「アパート経営に必要な自己資金はいくら?かかる初期費用やリスクを解説」2024年8月29日掲載
木造は比較的安価で建築期間が短い一方、鉄骨造や鉄筋コンクリート造は耐久性が高く、長期間の運用に向いています。
維持費用
また、アパート経営では、毎年維持費がかかります。主な維持費と家賃収入に対する一般的な割合を表にまとめました。
支出項目 | 賃収入に対する割合 |
---|---|
固定資産税や都市計画税などの公租公課 | 10% |
不動産管理会社への管理委託料 | 10% |
修繕積立金 | 5% |
火災保険や地震保険の積立金 | 5% |
借入返済金 | 45~55%(一般的な返済比率の場合) |
たとえば、家賃収入が1,000万円の場合、固定資産税などに100万円、管理委託料に100万円、修繕積立金に50万円、保険積立金に50万円、借入返済に450〜550万円がかかる計算になります。
確保しておきたい自己資金
アパート経営に必要な自己資金の目安は、先に見たとおり、初期費用の10%~30%です。 たとえば、総建築費が2億円のアパートを建設する場合、自己資金として2,000万円から6,000万円を準備する必要があります。自己資金が多ければ、借入金額が少なくなり、経営の安定につながります。
自己資金が不足していると、返済計画に余裕がなくなり、空室や修繕費の予想外の支出で経営が厳しくなるリスクがあります。最悪の場合、追加融資が難しくなり、経営が赤字になる可能性も高まります。
まとめ
アパート経営を成功させるには、事前に資金計画を立て、空室や修繕費などのリスクに備えることが不可欠です。 黒字化を目指すには、まず5年から10年の期間を目安に長期的な計画を立てることが大切です。その際、定期的な支出や予想されるリスクに備えて、資金を十分に確保しておきましょう。 また、信頼できる不動産投資会社に相談することで、物件選びや資金計画をプロの視点で進められ、経営のリスクを大幅に軽減できます。
ベルテックスの無料個別相談では、最新の市場動向や成功のポイント、リスク管理の強化まで、資産形成のプロからサポートを受けることができます。早めに相談して不動産投資の具体的な全体像をつかんでおくことで、アパート経営の成功率を高めることができるでしょう。
この記事を書いた人
ベルテックスコラム事務局
不動産コンサルタント・税理士
不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。