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2025.03.05
ベルテックスコラム事務局
戸建ての不動産投資はおすすめ?メリット・デメリットを徹底比較
- 不動産投資
戸建てによる不動産投資は、時間に余裕がある方やローンを利用せずに始めたい方に特におすすめです。しかし、拘束時間が長い会社員や、物件数を増やしていきたい方には向いていません。
この記事では、その理由を裏付ける戸建て不動産投資のメリットとデメリットなどについて詳しく解説します。
不動産投資で戸建てを選んだときのメリット
不動産投資には、一棟アパート投資やワンルームマンション投資など、投資手法の違いでいくつかの種類に分かれます。
このうち、戸建て住宅を賃貸物件として貸し出す場合、一般的なメリットは以下のとおりです。
-
手軽な費用で投資をしやすい
-
高利回りの傾向がある
-
入居期間が長い傾向がある
-
不利な立地でも入居が期待できる
-
共用部の管理費用が不要である
-
資産価値に占める土地の割合が大きい
-
リフォームや建て替えを自由にできる
-
経費により節税効果を得られる
手軽な費用で投資しやすい
戸建ての不動産投資は、一棟アパートなどと比べて手軽な費用で始めやすいという特徴があります。そのため、「初期投資を抑えたい」「不動産投資ローンの審査に通りにくい」方々にとってはメリットとなります。
たとえば、東京23区の一棟マンションを取得する場合、新築だと数億円以上、築20年以上の中古物件だと5,000万円以上の費用が目安です。それに対して、地方の戸建て投資の場合、東京23区の新築だと4,000万円程度、地方の築古物件だと数百万円程度のものが多数見られます。
高利回りの傾向がある
戸建ての不動産投資は、一棟アパートやワンルームマンション投資などと比べて高利回りの傾向があります。「収益を最優先したい」方にとって、この点は大きなメリットとなります。
特に高利回りの傾向があるのは、数百万円程度、またはそれ以下で販売されている地方で中古の築古物件です。こうした戸建ては、利回りが10%以上、さらには20%を超えるケースも多く見られます。
たとえば、不動産投資サイトを検索すると、以下のような条件の物件が見つかります。
物件価格 |
利回り |
条件 |
---|---|---|
200万円 |
24% |
山形県 築41年 |
330万円 |
18% |
福島県 築46年 |
420万円 |
14% |
京都府 築53年 |
ただし、物件価格が安く利回りが極端に高いということは、それだけ古く、空室リスクが高いことの裏返しです。
実際に、不動産投資サイトで扱われている高利回りの中古戸建ては、空室状態で販売されていることが珍しくありません。利回りの高さに惑わされて、入居者を探すのが難しい物件を選ばないよう注意しましょう。
入居期間が長い傾向にある
戸建ての不動産投資は、入居者が決まると、その後長く住んでもらえる傾向にあります。これにより、空室リスクを軽減し、安定した経営を実現しやすくなります。
戸建て物件で入居期間が長くなりやすい理由は、集合住宅と比べて間取りが広く、周囲への生活音をあまり気にしなくてもいいため、ファミリー世帯に選ばれることが多いからです。ファミリー世帯は単身世帯よりも、入居期間が長い傾向があると言われます。というのも、ファミリー世帯にとっての転居は、子どもの転校が必要になったり、単身世帯と比べて引っ越し費用が多くかかったりと、大きな負担になりやすいからです。
日本賃貸住宅管理協会が発表している「日管協短観」によると、平均居住期間は単身世帯が3年3ヶ月であるのに対し、ファミリー世帯は5年3ヶ月となっています(全国平均)。ファミリー世帯の平均居住期間が2年長いため、その分、空室リスクが軽減されます。
また、入居者の回転率が低いため、退去時に発生するオーナー負担の原状回復費も抑えやすいと言えます。
【参考】公益財団法人日本賃貸住宅管理協会「第28回 日管協短観」2024年11月6日掲載
不利な立地でも入居が期待できる
不動産投資においては、地方や郊外、最寄り駅から離れた立地は入居者ニーズが低いため、一般的に不利とされています。しかし、戸建て物件の場合、不利な立地でも入居者を見つけられることがあります。
理由は、上述したとおり、戸建て物件の入居者がファミリー世帯中心であるため、不便な立地でも庭や居住空間が広めの戸建て賃貸を選びたいというニーズがあるからです。また、最寄り駅から離れた物件でも、入居者の移動手段が車中心であれば問題はありません。
共用部の管理費用が不要である
区分マンション投資では、毎月、共用部の管理費用が発生します。一方、戸建ての不動産投資では、共用のエントランスや廊下、階段、エレベーターなどがないため、これらに関連する管理費用が不要です。また、庭の手入れも、入居者が行うのが基本です(ただし、庭木の剪定や雪下ろしなどの費用をオーナーが負担する場合もあります)。
仮に管理費が月1万円の場合、年間で12万円、20年間で240万円の負担が発生します。長期的に見ると、共用部の管理費がかからないことは戸建ての不動産投資のメリットです。
資産価値に占める土地の割合が大きい
戸建ての不動産投資においては、物件価格に占める土地の価格の割合が大きい傾向があります。建物は築年数が増えるにつれて資産価値が減少し、最終的には資産価値がほぼ0円になります。一方で、土地は時間が経っても資産価値が維持されることが多いです。さらに、地価が上昇した場合には、取得時よりも土地の価値が増加する可能性もあります。
建物を解体した後には、新たな物件を建てて再び不動産投資を始めたり、土地として売却したりすることも可能です。
リフォームや建て替えを自由にできる
区分マンションの場合、リフォームや建て替えを行う際には、管理組合の決議が必須です。特にマンションの建て替えに関する決議は、所有者の大半の賛成が必要であり、非常にハードルが高いです。
一方、戸建ての不動産投資では、オーナーの判断で自由にリフォームや建て替えを行うことができます。物件の付加価値を高めるためにリフォームを行ったり、戸建て賃貸の物件を取り壊してアパートを建てたりするなどの施策をオーナーの判断で実施することが可能です。
経費により節税効果を得られる
不動産投資においては、賃貸経営で必要になる費用を「経費」として計上することで、収益や所得を圧縮し、節税効果を得ることが可能です。
経費には、建物の修繕費や税金、管理会社に支払う管理委託費など、さまざまな種類があります。意外なものでは、不動産投資の勉強にかかるセミナー受講費用や、そのための旅費・交通費、不動産会社との交際費なども含まれます。
その中で、特に大きな金額となりやすいのが、「減価償却費」です。
減価償却とは、長期間にわたって使用される固定資産(不動産投資の場合は主に建物・設備)を、その資産が使用可能な期間にわたって分割し、経費として計上することを指します。それぞれの固定資産には法定耐用年数(資産ごとの寿命の目安)が定められており、その年数にわたって少しずつ減価償却を行うことになります。
一般的な戸建て住宅の場合は、木造住宅のことが多く、耐用年数は「22年」と比較的短めです。そのため、減価償却できる期間こそ他の構造と比べて短くなりますが、見方を変えれば1年あたりの減価償却費を多く計上することが可能となります。
そのほか、鉄骨造や鉄筋コンクリート造など、建物は構造によって耐用年数が異なります。主な構造の耐用年数(新築の場合)は以下のとおりです。
構造 |
法定耐用年数 |
---|---|
木造 |
22年 |
鉄骨造 |
19~34年(鋼材の厚みで異なる) |
鉄骨コンクリート造 |
47年 |
【おすすめ関連記事】法定耐用年数とは?物理的耐用年数や寿命との違いも解説
不動産投資で戸建てを選んだときのデメリット
一方で、戸建ての不動産投資には、以下のような多くのデメリットもあります。
-
新築や都心の戸建ては価格が高い
-
入居者ニーズの低い地域での投資になりやすい
-
管理に手間がかかる(副業に向いていない)
-
退去後の空室期間が長引きやすい
-
不動産投資ローンを使いにくい
-
リスク分散をしにくい
-
規模拡大をしにくい
-
長期間にわたって節税効果を発揮できない
これらのデメリットを踏まえたうえで、「戸建て投資を選択するかどうか」について慎重に判断することが重要です。
新築や都心の戸建ては価格が高い
戸建ての不動産投資には、「手軽な費用で投資しやすい」というメリットもありますが、条件によっては初期投資が高額になることもあります。
たとえば、東京都内で敷地が広めの戸建ての場合、築年数が20年以上経っていても7,000万円や8,000万円台、それ以上の価格になることがあります。新築や築浅だと、さらに高額になります。「戸建て投資は初期費用が安い」というのは、地方で築年数の古い物件に関する話です。入居者ニーズの高いエリアにある戸建ては、初期費用が高くなることに注意が必要です。
入居者ニーズの低い地域での投資になりやすい
前項で解説したように、戸建て投資を東京都内など入居者ニーズの高いエリアで行うと、初期費用が高くなります。そのため、戸建ての不動産投資は、どうしても入居者ニーズの低い地方や郊外での運用になりやすいです。
そのようなエリアでも、運良く入居者を見つけられれば高利回りの確保が可能かもしれません。ですが、入居者が見つからなければ空室となり、家賃収入が途絶えます。戸建て投資を検討する際には「高利回りの裏に空室リスクが潜んでいること」を理解することが重要です。
管理に手間がかかる(副業に向いていない)
一般的に、区分マンション投資では、管理会社に管理業務を委託して物件を運用することが多いです。それに対して、戸建ての不動産投資は、オーナー自身で管理業務を行う自主管理を選ぶケースがよく見られます。理由は、自宅近くに物件を所有していたり、所有戸数が少なかったりするためです。
自主管理を前提にした場合、オーナー自身で物件を定期的に点検したり、破損箇所が発生した場合はすぐに対応したりする必要があります。そのため、副業を考えている会社員などにとっては、自主管理は負担が大きく不向きと言えるでしょう。
退去後の空室期間が長引きやすい
戸建て投資のターゲット層であるファミリー世帯は、単身者よりも世帯数が少ないため、入居者が退去してしまうと空室期間が長引くリスクがあります。特に、入居者のニーズが少ない地方や、最寄り駅から離れた戸建ては、年単位で空室になったり、そのまま空き家になってしまったりする可能性もあります。
空室リスクの観点から、不動産投資ローンを活用して戸建て投資を始めるのはリスクが高いといえます。
不動産投資ローンを使いにくい
戸建ての不動産投資は、以下のような理由で不動産投資ローンの審査に通りにくい傾向があります。
- 耐用年数が短いため、資産価値を評価されにくい
- 地方や郊外の立地の場合、空室リスクが高い
不動産投資ローンの活用を前提とする場合、新築や築浅の区分マンションによる不動産投資がおすすめです。耐用年数が長く、資産価値が評価されやすいため、審査が通りやすい傾向があります。
リスク分散をしにくい
不動産投資には空室や災害リスクがありますが、これは物件を所有する地域を分散させることでリスクを軽減できます。しかし、戸建て投資は不動産投資ローンを利用しにくいため、物件数を増やすのが難しい傾向があります。
その結果、リスク分散ができず、空室や災害のリスクを直接受けやすいです。リスク分散を重視したい場合は、物件価格が手頃で不動産投資ローンを利用しやすい区分マンションが適しています。
空室リスクとは?
一定期間(3ヶ月以上など)空室が発生し、家賃収入を得られなくなるリスクをいいます。不動産投資ローンを利用している場合、空室の間はオーナーの手持ち資金で毎月返済をしていくことになります。
災害リスクとは?
地震や火災などの影響で物件が使えなくなり、家賃収入を得られなくなるリスクです。建物が深刻な被害を受けた場合は、修繕や解体の費用もかかります。
規模拡大をしにくい
不動産投資のメリットは、他人資本(金融機関のローン)を活用しながら、効率的に収益を得たり、所有する物件を効率的に増やしたりできることです。しかし、戸建て投資は不動産投資ローンを利用しにくいため、自己資本(手持ち資金)で規模拡大を進めることが多いです。
そのため、戸建て投資は、短期間で所有戸数を増やしたい方には不向きです。規模拡大を優先する場合は、不動産投資ローンの審査に通りやすい区分マンションや、初めからまとまった戸数を所有できる一棟物件が適しているといえます。
長期間にわたって節税効果を発揮できない
メリットで解説したように、木造の戸建ては耐用年数が22年と短いという特徴があります。そのため、戸建ての不動産投資には、減価償却費を経費として計上できる期間が短く、長期間にわたって節税効果を発揮することが難しいというデメリットがあります。
長期間にわたって減価償却費を計上したい場合、耐用年数が47年と長い鉄筋コンクリート造のマンションが適しています。
戸建てと区分マンションの不動産投資を比較
不動産投資には、戸建て以外にもさまざまな種類がありますが、ここでは少ない初期費用で始めやすいワンルームマンションと比較することで、その特徴をより明確にします。戸建て投資のアドバンテージとしては、「利回りが高めの傾向がある」や「毎年、多めの減価償却を計上できる」などが挙げられます。
比較項目 |
戸建て投資 |
区分マンション投資 |
---|---|---|
物件価格 (東京都、中古の場合で比較*) |
1,899万円~127,900万円
|
1,330万円~11,480万円
|
利回り |
高い傾向がある |
やや低い傾向がある |
空室リスク |
一般的にリスクは高い ※特に、築古物件はリスクが高い |
一般的にリスクは低い ※ただし、築古物件はリスクが高い |
修繕リスク |
同上 |
同上 |
物件/入居者の管理 |
管理会社に委託することができる |
管理会社に委託することができる |
不動産投資ローン |
ローン審査に通りにくい |
ローン審査に通りやすい |
将来の売却 |
売却しにくい傾向がある |
売却しやすい傾向がある |
節税効果(減価償却費) |
毎年まとまった額の減価償却費を計上しやすい |
長期間にわたって減価償却費を計上できる |
*物件価格はアットホーム「東京都の中古住宅・一戸建て価格相場」「東京都の中古マンション価格相場」より引用。2025年2月3日現在
物件価格
一般的に、戸建て投資は数百万円などの少ない初期費用で始められるというイメージがあります。ただし、これは地方や郊外の中古物件に限った話です。地価の高い首都圏などにある戸建て物件は新築のワンルームマンション(2,000万円台半ばから3,000万円など)の価格を大きく上回ることもあります。
利回り
物件価格が安い中古の戸建ては、区分マンションよりも利回りが高い傾向があります。ただし、投資商品においてリターンとリスクは表裏一体の関係にあります。つまり、戸建て投資のリターンが大きいということは、それだけリスクが高いことを示します。
空室リスク
戸建て投資は、郊外や地方に物件があることが多いため、空室リスクが高い傾向があります。一方、区分マンション投資は、大都市の利便性の高い立地に物件があることが多く、空室リスクが低い傾向があります。
修繕リスク
戸建て投資では、外観や複数の部屋などの修繕を1人のオーナーが責任を持って行わなければならないため、修繕リスクが高いです。特に、築古戸建てによる不動産投資の場合、修繕リスクがさらに高まります。一方、区分マンション投資では、複数のオーナーで修繕費を分担するため、リスクは限定的です。
物件/入居者の管理
戸建ての不動産投資を行うオーナーの中には、手間のかかる自主管理を選ぶ人もいます。一方で、区分マンション投資を行う人の多くは、物件や入居者の管理を管理会社に委託しています。そのため、区分マンション投資では、ほとんど手間をかけずに運営することが一般的です。
不動産投資ローン
木造の戸建ては耐用年数が22年と短いため、資産価値が評価されにくく、不動産投資ローンの審査に通りにくいという傾向があります。一方、鉄筋コンクリート造の区分マンションは、耐用年数が47年と長いため、ローン審査に通りやすい傾向があります。
将来の売却
不動産投資の出口戦略には「所有しつづけ家賃収入を得る」または「物件を売却する」という選択肢があります。
物件を売却するという選択肢をとる場合、郊外や地方の戸建て投資と、大都市の区分マンション投資を比較すると、区分マンションの方が需要があるため、短期間で売却できる可能性が高いです。
節税効果(減価償却費)
物件価格が同じ場合、1年あたりに経費計上できる減価償却費は、木造の戸建ての方が多くなります。一方で、鉄筋コンクリート造の区分マンションは、新築物件であれば47年という長期間にわたって減価償却費を経費計上できます。木造の戸建ては耐用年数が新築でも22年しかないため、比較的早い段階で減価償却費を経費計上できなくなります。
戸建ての不動産投資をおすすめできる人は?
ここまで解説してきた内容をもとに、戸建ての不動産投資と相性が良いと考えられるタイプを考えてみましょう。
自営業者など時間に余裕がある人
戸建ての不動産投資を自主管理で行う場合、物件管理の手間がかかったり、入居者のクレームにすぐに対応しなければならなかったりするため、自営業者や退職した人など時間に余裕のある人に向いています。
築古物件で小さな投資額で始めたい人
オーナーの中には、ローンを使わず、中古の安い物件を購入して小さな投資額で不動産投資を始めたい人もいるでしょう。地方の築古戸建てなら、数百万円程度、それ以下の物件も多くあるため、戸建て投資が向いています。
規模拡大を考えていない人
戸建ては不動産投資ローンの審査に通りにくい傾向があります。また、仮に審査に通っても、融資額が限られる可能性があります。所有する物件数を増やしにくいため、規模拡大を考えていない人に向いています。
リフォームが得意な人
戸建て投資を得意とする人の中には、築古物件を購入し、自分でリフォームをして付加価値をつけて高利回りを実現している人もいます。DIYが得意な人やお仕事柄リフォームのノウハウを持っている人は、費用を抑えて付加価値を上げやすいため、戸建投資が向いています。
リスクを取ってでも高利回りにこだわる人
戸建ての不動産投資は、高利回りな一方でリスクが大きい傾向があります。リスクを許容してでも、ハイリターンにチャレンジしたい人は戸建て投資が向いています。ただし、失敗したときに備えて、戸建て投資は余裕資金の範囲内で行うことをおすすめします。
会社員は戸建ての不動産投資に不向き?
結論から申し上げると、会社員は戸建て投資に向いていません。理由として、以下の3つが挙げられます。
-
長期的な収益を確保しにくいから
-
会社員の信用力を活かしにくいから
-
管理に手間がかかるから
それぞれの詳細を確認しましょう。
長期的な収益を確保しにくいから
会社員は、老後の資金づくりを目的に不動産投資をすることが多いです。木造の戸建ては鉄筋コンクリート造のマンションなどと比べて寿命(耐用年数)が短く、長期的な収益を確保しにくい性格があります。老後の資金づくりを目的に不動産投資をするなら、耐用年数の長い建物が適しています。
会社員の信用力を活かしにくいから
会社員は安定収入があるという信用力があるため、不動産投資ローンの審査に通りやすい傾向があります。特に、一定以上の年収があり、勤続年数が3年以上の方は融資審査で有利です。信用力を生かして不動産投資をするなら、区分マンションやアパートが向いています。
管理に手間がかかるから
会社員が戸建て投資を自主管理で行った場合、平日の日中に入居者からトラブルやクレームの連絡があってもすぐに対応できません。会社員は管理会社に業務を委託したうえで区分マンションやアパートを運用するようなスキームが向いています。
失敗しない戸建て物件の選び方
戸建てによる不動産投資のメリットとデメリットを十分に理解した上で、戸建て投資を選びたいという人もいるでしょう。失敗しない戸建て物件の選び方のポイントは以下の通りです。
「2000年基準」の木造戸建てを選ぶ
築古の木造物件で耐震補強をしていない場合、大地震が発生すると、建物が倒壊し、不動産投資を継続できなくなる可能性があります。また、管理の不備や建物の欠陥が原因で入居者が怪我をしたり、亡くなったりした場合は、オーナーが責任を問われて多額の賠償金を支払わなくてはならない可能性があります。
耐震性のある建物選びの基準として、「新耐震基準(1981年6月1日以降の基準)を選ぶと良い」というアドバイスがよくあります。しかし、阪神淡路大震災では新耐震基準の木造住宅の多くが全半壊しました。この経験から、木造住宅に対してさらに耐震性のある「2000年基準(2000年6月1日以降の基準)」が策定されました。
災害リスクを軽減するという観点では、2000年基準の物件で不動産投資を行うのが安全です(建築確認日が2000年6月1日以降になっている木造の戸建ては2000年基準を満たしています)。
躯体の状態を確認してから購入する
中古の戸建て物件は、シロアリや湿気などにより躯体が傷んでいる可能性があります。その場合、耐震性や耐久性が弱っていて安全性に不安があります。契約前に戸建ての安全性を確認する方法としては、水平器で傾きを見る、床下や基礎周りの状態を確認するなどがあります。
しかし、住宅の素人が建物の安全性をしっかり確認するのは困難です。契約前に専門家が建物の状態を調査する建物状況調査(インスペクション)を実施することで、安全性に問題のある物件を回避しやすくなります。
駐車スペースのある物件を選ぶ
地方や郊外の戸建て賃貸を選ぶ入居者は、車を所有していることが多いため、駐車スペースがあるかないかで空室リスクが変わってくる可能性があります。特に最寄り駅から離れている物件は、駐車スペースのある戸建て物件を選びましょう。最低でも1台分、理想をいえば2台分以上の駐車スペースがある物件が望ましいです。
周辺に嫌悪施設がないことを確認する
戸建て賃貸の入居者はファミリー層が中心のため、周辺環境に敏感なことが多いです。これを考慮すると、周辺に嫌悪施設(火葬場、墓地、危険物処理場など)がない戸建て物件を選ぶのが賢明です。
ハザードマップを確認する
不動産は外観だけでは、どのような災害リスクが潜んでいるか分かりにくいものです。国土交通省が提供しているハザードマップを活用して、契約前に戸建て物件の災害リスクを把握することも重要です。災害リスクが高い場合は、契約を見送るという判断も必要でしょう。
【おすすめ関連サイト】国土交通省「ハザードマップポータルサイト」
まとめ:自分に合った物件の種類を選ぶことが重要
このコラムでは、戸建て投資について解説してきましたが、不動産投資にはこのほかにも、一棟マンション、区分マンション、アパートなどの選択肢もあります。とはいえ、初心者の方は「どの物件の種類が合っているか」を自分で判断するのは意外と難しいものです。
長期にわたって無理なく運用できる物件を適確に選ぶには、不動産会社のコンサルタントやアドバイザーなどの専門家のサポートを受けるのが有効です。まずは、信頼できるパートナー選びから始めましょう。
この記事を書いた人
ベルテックスコラム事務局
不動産コンサルタント・税理士
不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。
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この記事では、その理由を裏付ける戸建て不動産投資のメリットとデメリットなどについて詳しく解説します。
不動産投資で戸建てを選んだときのメリット
不動産投資には、一棟アパート投資やワンルームマンション投資など、投資手法の違いでいくつかの種類に分かれます。
このうち、戸建て住宅を賃貸物件として貸し出す場合、一般的なメリットは以下のとおりです。
-
手軽な費用で投資をしやすい
-
高利回りの傾向がある
-
入居期間が長い傾向がある
-
不利な立地でも入居が期待できる
-
共用部の管理費用が不要である
-
資産価値に占める土地の割合が大きい
-
リフォームや建て替えを自由にできる
-
経費により節税効果を得られる
手軽な費用で投資しやすい
戸建ての不動産投資は、一棟アパートなどと比べて手軽な費用で始めやすいという特徴があります。そのため、「初期投資を抑えたい」「不動産投資ローンの審査に通りにくい」方々にとってはメリットとなります。
たとえば、東京23区の一棟マンションを取得する場合、新築だと数億円以上、築20年以上の中古物件だと5,000万円以上の費用が目安です。それに対して、地方の戸建て投資の場合、東京23区の新築だと4,000万円程度、地方の築古物件だと数百万円程度のものが多数見られます。
高利回りの傾向がある
戸建ての不動産投資は、一棟アパートやワンルームマンション投資などと比べて高利回りの傾向があります。「収益を最優先したい」方にとって、この点は大きなメリットとなります。
特に高利回りの傾向があるのは、数百万円程度、またはそれ以下で販売されている地方で中古の築古物件です。こうした戸建ては、利回りが10%以上、さらには20%を超えるケースも多く見られます。
たとえば、不動産投資サイトを検索すると、以下のような条件の物件が見つかります。
物件価格 |
利回り |
条件 |
---|---|---|
200万円 |
24% |
山形県 築41年 |
330万円 |
18% |
福島県 築46年 |
420万円 |
14% |
京都府 築53年 |
ただし、物件価格が安く利回りが極端に高いということは、それだけ古く、空室リスクが高いことの裏返しです。
実際に、不動産投資サイトで扱われている高利回りの中古戸建ては、空室状態で販売されていることが珍しくありません。利回りの高さに惑わされて、入居者を探すのが難しい物件を選ばないよう注意しましょう。
入居期間が長い傾向にある
戸建ての不動産投資は、入居者が決まると、その後長く住んでもらえる傾向にあります。これにより、空室リスクを軽減し、安定した経営を実現しやすくなります。
戸建て物件で入居期間が長くなりやすい理由は、集合住宅と比べて間取りが広く、周囲への生活音をあまり気にしなくてもいいため、ファミリー世帯に選ばれることが多いからです。ファミリー世帯は単身世帯よりも、入居期間が長い傾向があると言われます。というのも、ファミリー世帯にとっての転居は、子どもの転校が必要になったり、単身世帯と比べて引っ越し費用が多くかかったりと、大きな負担になりやすいからです。
日本賃貸住宅管理協会が発表している「日管協短観」によると、平均居住期間は単身世帯が3年3ヶ月であるのに対し、ファミリー世帯は5年3ヶ月となっています(全国平均)。ファミリー世帯の平均居住期間が2年長いため、その分、空室リスクが軽減されます。
また、入居者の回転率が低いため、退去時に発生するオーナー負担の原状回復費も抑えやすいと言えます。
【参考】公益財団法人日本賃貸住宅管理協会「第28回 日管協短観」2024年11月6日掲載
不利な立地でも入居が期待できる
不動産投資においては、地方や郊外、最寄り駅から離れた立地は入居者ニーズが低いため、一般的に不利とされています。しかし、戸建て物件の場合、不利な立地でも入居者を見つけられることがあります。
理由は、上述したとおり、戸建て物件の入居者がファミリー世帯中心であるため、不便な立地でも庭や居住空間が広めの戸建て賃貸を選びたいというニーズがあるからです。また、最寄り駅から離れた物件でも、入居者の移動手段が車中心であれば問題はありません。
共用部の管理費用が不要である
区分マンション投資では、毎月、共用部の管理費用が発生します。一方、戸建ての不動産投資では、共用のエントランスや廊下、階段、エレベーターなどがないため、これらに関連する管理費用が不要です。また、庭の手入れも、入居者が行うのが基本です(ただし、庭木の剪定や雪下ろしなどの費用をオーナーが負担する場合もあります)。
仮に管理費が月1万円の場合、年間で12万円、20年間で240万円の負担が発生します。長期的に見ると、共用部の管理費がかからないことは戸建ての不動産投資のメリットです。
資産価値に占める土地の割合が大きい
戸建ての不動産投資においては、物件価格に占める土地の価格の割合が大きい傾向があります。建物は築年数が増えるにつれて資産価値が減少し、最終的には資産価値がほぼ0円になります。一方で、土地は時間が経っても資産価値が維持されることが多いです。さらに、地価が上昇した場合には、取得時よりも土地の価値が増加する可能性もあります。
建物を解体した後には、新たな物件を建てて再び不動産投資を始めたり、土地として売却したりすることも可能です。
リフォームや建て替えを自由にできる
区分マンションの場合、リフォームや建て替えを行う際には、管理組合の決議が必須です。特にマンションの建て替えに関する決議は、所有者の大半の賛成が必要であり、非常にハードルが高いです。
一方、戸建ての不動産投資では、オーナーの判断で自由にリフォームや建て替えを行うことができます。物件の付加価値を高めるためにリフォームを行ったり、戸建て賃貸の物件を取り壊してアパートを建てたりするなどの施策をオーナーの判断で実施することが可能です。
経費により節税効果を得られる
不動産投資においては、賃貸経営で必要になる費用を「経費」として計上することで、収益や所得を圧縮し、節税効果を得ることが可能です。
経費には、建物の修繕費や税金、管理会社に支払う管理委託費など、さまざまな種類があります。意外なものでは、不動産投資の勉強にかかるセミナー受講費用や、そのための旅費・交通費、不動産会社との交際費なども含まれます。
その中で、特に大きな金額となりやすいのが、「減価償却費」です。
減価償却とは、長期間にわたって使用される固定資産(不動産投資の場合は主に建物・設備)を、その資産が使用可能な期間にわたって分割し、経費として計上することを指します。それぞれの固定資産には法定耐用年数(資産ごとの寿命の目安)が定められており、その年数にわたって少しずつ減価償却を行うことになります。
一般的な戸建て住宅の場合は、木造住宅のことが多く、耐用年数は「22年」と比較的短めです。そのため、減価償却できる期間こそ他の構造と比べて短くなりますが、見方を変えれば1年あたりの減価償却費を多く計上することが可能となります。
そのほか、鉄骨造や鉄筋コンクリート造など、建物は構造によって耐用年数が異なります。主な構造の耐用年数(新築の場合)は以下のとおりです。
構造 |
法定耐用年数 |
---|---|
木造 |
22年 |
鉄骨造 |
19~34年(鋼材の厚みで異なる) |
鉄骨コンクリート造 |
47年 |
【おすすめ関連記事】法定耐用年数とは?物理的耐用年数や寿命との違いも解説
不動産投資で戸建てを選んだときのデメリット
一方で、戸建ての不動産投資には、以下のような多くのデメリットもあります。
-
新築や都心の戸建ては価格が高い
-
入居者ニーズの低い地域での投資になりやすい
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管理に手間がかかる(副業に向いていない)
-
退去後の空室期間が長引きやすい
-
不動産投資ローンを使いにくい
-
リスク分散をしにくい
-
規模拡大をしにくい
-
長期間にわたって節税効果を発揮できない
これらのデメリットを踏まえたうえで、「戸建て投資を選択するかどうか」について慎重に判断することが重要です。
新築や都心の戸建ては価格が高い
戸建ての不動産投資には、「手軽な費用で投資しやすい」というメリットもありますが、条件によっては初期投資が高額になることもあります。
たとえば、東京都内で敷地が広めの戸建ての場合、築年数が20年以上経っていても7,000万円や8,000万円台、それ以上の価格になることがあります。新築や築浅だと、さらに高額になります。「戸建て投資は初期費用が安い」というのは、地方で築年数の古い物件に関する話です。入居者ニーズの高いエリアにある戸建ては、初期費用が高くなることに注意が必要です。
入居者ニーズの低い地域での投資になりやすい
前項で解説したように、戸建て投資を東京都内など入居者ニーズの高いエリアで行うと、初期費用が高くなります。そのため、戸建ての不動産投資は、どうしても入居者ニーズの低い地方や郊外での運用になりやすいです。
そのようなエリアでも、運良く入居者を見つけられれば高利回りの確保が可能かもしれません。ですが、入居者が見つからなければ空室となり、家賃収入が途絶えます。戸建て投資を検討する際には「高利回りの裏に空室リスクが潜んでいること」を理解することが重要です。
管理に手間がかかる(副業に向いていない)
一般的に、区分マンション投資では、管理会社に管理業務を委託して物件を運用することが多いです。それに対して、戸建ての不動産投資は、オーナー自身で管理業務を行う自主管理を選ぶケースがよく見られます。理由は、自宅近くに物件を所有していたり、所有戸数が少なかったりするためです。
自主管理を前提にした場合、オーナー自身で物件を定期的に点検したり、破損箇所が発生した場合はすぐに対応したりする必要があります。そのため、副業を考えている会社員などにとっては、自主管理は負担が大きく不向きと言えるでしょう。
退去後の空室期間が長引きやすい
戸建て投資のターゲット層であるファミリー世帯は、単身者よりも世帯数が少ないため、入居者が退去してしまうと空室期間が長引くリスクがあります。特に、入居者のニーズが少ない地方や、最寄り駅から離れた戸建ては、年単位で空室になったり、そのまま空き家になってしまったりする可能性もあります。
空室リスクの観点から、不動産投資ローンを活用して戸建て投資を始めるのはリスクが高いといえます。
不動産投資ローンを使いにくい
戸建ての不動産投資は、以下のような理由で不動産投資ローンの審査に通りにくい傾向があります。
- 耐用年数が短いため、資産価値を評価されにくい
- 地方や郊外の立地の場合、空室リスクが高い
不動産投資ローンの活用を前提とする場合、新築や築浅の区分マンションによる不動産投資がおすすめです。耐用年数が長く、資産価値が評価されやすいため、審査が通りやすい傾向があります。
リスク分散をしにくい
不動産投資には空室や災害リスクがありますが、これは物件を所有する地域を分散させることでリスクを軽減できます。しかし、戸建て投資は不動産投資ローンを利用しにくいため、物件数を増やすのが難しい傾向があります。
その結果、リスク分散ができず、空室や災害のリスクを直接受けやすいです。リスク分散を重視したい場合は、物件価格が手頃で不動産投資ローンを利用しやすい区分マンションが適しています。
空室リスクとは?
一定期間(3ヶ月以上など)空室が発生し、家賃収入を得られなくなるリスクをいいます。不動産投資ローンを利用している場合、空室の間はオーナーの手持ち資金で毎月返済をしていくことになります。
災害リスクとは?
地震や火災などの影響で物件が使えなくなり、家賃収入を得られなくなるリスクです。建物が深刻な被害を受けた場合は、修繕や解体の費用もかかります。
規模拡大をしにくい
不動産投資のメリットは、他人資本(金融機関のローン)を活用しながら、効率的に収益を得たり、所有する物件を効率的に増やしたりできることです。しかし、戸建て投資は不動産投資ローンを利用しにくいため、自己資本(手持ち資金)で規模拡大を進めることが多いです。
そのため、戸建て投資は、短期間で所有戸数を増やしたい方には不向きです。規模拡大を優先する場合は、不動産投資ローンの審査に通りやすい区分マンションや、初めからまとまった戸数を所有できる一棟物件が適しているといえます。
長期間にわたって節税効果を発揮できない
メリットで解説したように、木造の戸建ては耐用年数が22年と短いという特徴があります。そのため、戸建ての不動産投資には、減価償却費を経費として計上できる期間が短く、長期間にわたって節税効果を発揮することが難しいというデメリットがあります。
長期間にわたって減価償却費を計上したい場合、耐用年数が47年と長い鉄筋コンクリート造のマンションが適しています。
戸建てと区分マンションの不動産投資を比較
不動産投資には、戸建て以外にもさまざまな種類がありますが、ここでは少ない初期費用で始めやすいワンルームマンションと比較することで、その特徴をより明確にします。戸建て投資のアドバンテージとしては、「利回りが高めの傾向がある」や「毎年、多めの減価償却を計上できる」などが挙げられます。
比較項目 |
戸建て投資 |
区分マンション投資 |
---|---|---|
物件価格 (東京都、中古の場合で比較*) |
1,899万円~127,900万円
|
1,330万円~11,480万円
|
利回り |
高い傾向がある |
やや低い傾向がある |
空室リスク |
一般的にリスクは高い ※特に、築古物件はリスクが高い |
一般的にリスクは低い ※ただし、築古物件はリスクが高い |
修繕リスク |
同上 |
同上 |
物件/入居者の管理 |
管理会社に委託することができる |
管理会社に委託することができる |
不動産投資ローン |
ローン審査に通りにくい |
ローン審査に通りやすい |
将来の売却 |
売却しにくい傾向がある |
売却しやすい傾向がある |
節税効果(減価償却費) |
毎年まとまった額の減価償却費を計上しやすい |
長期間にわたって減価償却費を計上できる |
*物件価格はアットホーム「東京都の中古住宅・一戸建て価格相場」「東京都の中古マンション価格相場」より引用。2025年2月3日現在
物件価格
一般的に、戸建て投資は数百万円などの少ない初期費用で始められるというイメージがあります。ただし、これは地方や郊外の中古物件に限った話です。地価の高い首都圏などにある戸建て物件は新築のワンルームマンション(2,000万円台半ばから3,000万円など)の価格を大きく上回ることもあります。
利回り
物件価格が安い中古の戸建ては、区分マンションよりも利回りが高い傾向があります。ただし、投資商品においてリターンとリスクは表裏一体の関係にあります。つまり、戸建て投資のリターンが大きいということは、それだけリスクが高いことを示します。
空室リスク
戸建て投資は、郊外や地方に物件があることが多いため、空室リスクが高い傾向があります。一方、区分マンション投資は、大都市の利便性の高い立地に物件があることが多く、空室リスクが低い傾向があります。
修繕リスク
戸建て投資では、外観や複数の部屋などの修繕を1人のオーナーが責任を持って行わなければならないため、修繕リスクが高いです。特に、築古戸建てによる不動産投資の場合、修繕リスクがさらに高まります。一方、区分マンション投資では、複数のオーナーで修繕費を分担するため、リスクは限定的です。
物件/入居者の管理
戸建ての不動産投資を行うオーナーの中には、手間のかかる自主管理を選ぶ人もいます。一方で、区分マンション投資を行う人の多くは、物件や入居者の管理を管理会社に委託しています。そのため、区分マンション投資では、ほとんど手間をかけずに運営することが一般的です。
不動産投資ローン
木造の戸建ては耐用年数が22年と短いため、資産価値が評価されにくく、不動産投資ローンの審査に通りにくいという傾向があります。一方、鉄筋コンクリート造の区分マンションは、耐用年数が47年と長いため、ローン審査に通りやすい傾向があります。
将来の売却
不動産投資の出口戦略には「所有しつづけ家賃収入を得る」または「物件を売却する」という選択肢があります。
物件を売却するという選択肢をとる場合、郊外や地方の戸建て投資と、大都市の区分マンション投資を比較すると、区分マンションの方が需要があるため、短期間で売却できる可能性が高いです。
節税効果(減価償却費)
物件価格が同じ場合、1年あたりに経費計上できる減価償却費は、木造の戸建ての方が多くなります。一方で、鉄筋コンクリート造の区分マンションは、新築物件であれば47年という長期間にわたって減価償却費を経費計上できます。木造の戸建ては耐用年数が新築でも22年しかないため、比較的早い段階で減価償却費を経費計上できなくなります。
戸建ての不動産投資をおすすめできる人は?
ここまで解説してきた内容をもとに、戸建ての不動産投資と相性が良いと考えられるタイプを考えてみましょう。
自営業者など時間に余裕がある人
戸建ての不動産投資を自主管理で行う場合、物件管理の手間がかかったり、入居者のクレームにすぐに対応しなければならなかったりするため、自営業者や退職した人など時間に余裕のある人に向いています。
築古物件で小さな投資額で始めたい人
オーナーの中には、ローンを使わず、中古の安い物件を購入して小さな投資額で不動産投資を始めたい人もいるでしょう。地方の築古戸建てなら、数百万円程度、それ以下の物件も多くあるため、戸建て投資が向いています。
規模拡大を考えていない人
戸建ては不動産投資ローンの審査に通りにくい傾向があります。また、仮に審査に通っても、融資額が限られる可能性があります。所有する物件数を増やしにくいため、規模拡大を考えていない人に向いています。
リフォームが得意な人
戸建て投資を得意とする人の中には、築古物件を購入し、自分でリフォームをして付加価値をつけて高利回りを実現している人もいます。DIYが得意な人やお仕事柄リフォームのノウハウを持っている人は、費用を抑えて付加価値を上げやすいため、戸建投資が向いています。
リスクを取ってでも高利回りにこだわる人
戸建ての不動産投資は、高利回りな一方でリスクが大きい傾向があります。リスクを許容してでも、ハイリターンにチャレンジしたい人は戸建て投資が向いています。ただし、失敗したときに備えて、戸建て投資は余裕資金の範囲内で行うことをおすすめします。
会社員は戸建ての不動産投資に不向き?
結論から申し上げると、会社員は戸建て投資に向いていません。理由として、以下の3つが挙げられます。
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長期的な収益を確保しにくいから
-
会社員の信用力を活かしにくいから
-
管理に手間がかかるから
それぞれの詳細を確認しましょう。
長期的な収益を確保しにくいから
会社員は、老後の資金づくりを目的に不動産投資をすることが多いです。木造の戸建ては鉄筋コンクリート造のマンションなどと比べて寿命(耐用年数)が短く、長期的な収益を確保しにくい性格があります。老後の資金づくりを目的に不動産投資をするなら、耐用年数の長い建物が適しています。
会社員の信用力を活かしにくいから
会社員は安定収入があるという信用力があるため、不動産投資ローンの審査に通りやすい傾向があります。特に、一定以上の年収があり、勤続年数が3年以上の方は融資審査で有利です。信用力を生かして不動産投資をするなら、区分マンションやアパートが向いています。
管理に手間がかかるから
会社員が戸建て投資を自主管理で行った場合、平日の日中に入居者からトラブルやクレームの連絡があってもすぐに対応できません。会社員は管理会社に業務を委託したうえで区分マンションやアパートを運用するようなスキームが向いています。
失敗しない戸建て物件の選び方
戸建てによる不動産投資のメリットとデメリットを十分に理解した上で、戸建て投資を選びたいという人もいるでしょう。失敗しない戸建て物件の選び方のポイントは以下の通りです。
「2000年基準」の木造戸建てを選ぶ
築古の木造物件で耐震補強をしていない場合、大地震が発生すると、建物が倒壊し、不動産投資を継続できなくなる可能性があります。また、管理の不備や建物の欠陥が原因で入居者が怪我をしたり、亡くなったりした場合は、オーナーが責任を問われて多額の賠償金を支払わなくてはならない可能性があります。
耐震性のある建物選びの基準として、「新耐震基準(1981年6月1日以降の基準)を選ぶと良い」というアドバイスがよくあります。しかし、阪神淡路大震災では新耐震基準の木造住宅の多くが全半壊しました。この経験から、木造住宅に対してさらに耐震性のある「2000年基準(2000年6月1日以降の基準)」が策定されました。
災害リスクを軽減するという観点では、2000年基準の物件で不動産投資を行うのが安全です(建築確認日が2000年6月1日以降になっている木造の戸建ては2000年基準を満たしています)。
躯体の状態を確認してから購入する
中古の戸建て物件は、シロアリや湿気などにより躯体が傷んでいる可能性があります。その場合、耐震性や耐久性が弱っていて安全性に不安があります。契約前に戸建ての安全性を確認する方法としては、水平器で傾きを見る、床下や基礎周りの状態を確認するなどがあります。
しかし、住宅の素人が建物の安全性をしっかり確認するのは困難です。契約前に専門家が建物の状態を調査する建物状況調査(インスペクション)を実施することで、安全性に問題のある物件を回避しやすくなります。
駐車スペースのある物件を選ぶ
地方や郊外の戸建て賃貸を選ぶ入居者は、車を所有していることが多いため、駐車スペースがあるかないかで空室リスクが変わってくる可能性があります。特に最寄り駅から離れている物件は、駐車スペースのある戸建て物件を選びましょう。最低でも1台分、理想をいえば2台分以上の駐車スペースがある物件が望ましいです。
周辺に嫌悪施設がないことを確認する
戸建て賃貸の入居者はファミリー層が中心のため、周辺環境に敏感なことが多いです。これを考慮すると、周辺に嫌悪施設(火葬場、墓地、危険物処理場など)がない戸建て物件を選ぶのが賢明です。
ハザードマップを確認する
不動産は外観だけでは、どのような災害リスクが潜んでいるか分かりにくいものです。国土交通省が提供しているハザードマップを活用して、契約前に戸建て物件の災害リスクを把握することも重要です。災害リスクが高い場合は、契約を見送るという判断も必要でしょう。
【おすすめ関連サイト】国土交通省「ハザードマップポータルサイト」
まとめ:自分に合った物件の種類を選ぶことが重要
このコラムでは、戸建て投資について解説してきましたが、不動産投資にはこのほかにも、一棟マンション、区分マンション、アパートなどの選択肢もあります。とはいえ、初心者の方は「どの物件の種類が合っているか」を自分で判断するのは意外と難しいものです。
長期にわたって無理なく運用できる物件を適確に選ぶには、不動産会社のコンサルタントやアドバイザーなどの専門家のサポートを受けるのが有効です。まずは、信頼できるパートナー選びから始めましょう。
この記事を書いた人
ベルテックスコラム事務局
不動産コンサルタント・税理士
不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。