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2026.02.25
ベルテックスコラム事務局
60歳からの資産運用はどうする?目的と基本戦略・手法別のメリットとリスク
- はじめ方・基礎知識
- 投資の種類・方法
- 年代別
60歳以降のおよそ20年にわたる生活を安定させるよう計画してみると、資産の寿命を延ばす戦略が不可欠になります。近年では、年金支給額の実質的な減少や平均寿命の伸長により、貯蓄だけに頼る老後生活には不安が付きまとうようになりました。
ここでは、60歳からでも始められる効果的な資産運用の方法、各金融商品のメリットとリスク、そして年代別の投資戦略の違いを解説します。
60歳からの資産運用が必要な理由
定年退職後の生活を考えるとき、多くの人が「貯蓄は十分だろうか」という不安を抱えています。今までは年金と退職金があれば老後は安泰と考えられていましたが、年金支給額の実質的な減少や長寿化により、資金不足に陥るリスクが高まっています。
老後の生活費はいくら必要なのか
老後に必要な生活費を考えるうえで、まず平均寿命を踏まえた計画期間を考えてみましょう。厚生労働省の2023年の統計によると、日本人の平均寿命は男性81.09歳、女性87.14歳です。60歳で定年退職した後の人生は、およそ次の期間にわたって継続します。
- 男性:約21年
- 女性:約27年
同じ年の家計収支に関する調査では、65歳以上の無職世帯の月間の消費支出につき、夫婦2人暮らしだと250,959円、単身世帯だと145,430円とされています。これらのデータから、世帯の状況別に生活費の目安を試算してみましょう。
+ 145,430円 × 12ヵ月 ×(27 - 21)年
= 73,712,628円(およそ7,400万円)
【参考】厚生労働省「2023年簡易生命表」2025年3月19日現在
【参考】総務局「家計調査年報(家計収支編)2023年結果の概要」2025年3月19日現在
貯蓄だけでは安心できない理由
老後の生活費の原資となるのは、主に貯蓄および社会保障給付(多くの場合は老齢年金のみ)です。仮に年金以外の収入がない場合、赤字化する可能性が大きいと言わざるを得ません。先に紹介した家計調査年報に基づき、社会保障給付の月間平均額と消費支出を比較してみましょう。
【65歳以上・夫婦のみの無職世帯】
社会保障給付額(月間平均):218,441円
月間の消費支出:250,959円
→ 毎月 32,518円の赤字
【65歳以上・単身無職世帯】
社会保障給付額(月間平均):118,230円
月間の消費支出:145,430円
→ 毎月 27,200円の赤字
上記のように毎月3万円程度の赤字が出ると、年間で36万円、20年間の生活で最低限720万円ほどの貯蓄がないと難しいといえます。もっとも、これはあくまでも日本の将来や高齢期特有の事情を考慮しない場合の金額の目安であり、実際には次のような問題を見越して老後資金を蓄えなくてはなりません。
高齢期に必要となる医療費
60歳を過ぎるとさまざまな健康リスクがあり、医療費は74歳までをピークとして増大する傾向があります。厚労省のデータによれば、55歳から59歳までの医療費(患者負担額)は約48万円ですが、60歳から84歳までは次のような推計が出ており、60歳から84歳にかけて合計で約270万円の負担となります。
- 60歳から64歳まで:550,122円
- 65歳から69歳まで:658,573円
- 70歳から74歳まで:665,195円
- 75歳から79歳まで:422,924円
- 80歳から84歳まで:394,421円
医療費の負担額は個人差が大きく、上記の推計は深刻な疾病・ケガを負った人とそうでない人との平均を採ったものと考えられます。実際には、健康リスクの程度によっては、より多い額の負担となる可能性も考慮しておきたいところです。
【参考】厚生労働省「医療保険に関する基礎資料(2021年度分)」2025年3月19日現在
保険制度の改定による自己負担額の増大
医療・介護に関する保険制度は随時見直されており、現在出ている最新のデータのみで将来を考えるのは禁物です。とくに近年は、現役世代の減少に伴って保険制度の維持が難しくなっており、高齢者にとって不利な改定が入っており、今後は自己負担額が増大する見通しです。
年金制度の改定による収入減少
制度の見直しなどが原因で、十分な年金収入を見込めないのも不安要素のひとつです。2004年に導入されたマクロ経済スライドにより、物価上昇や賃金上昇には完全に連動せず、実質的な年金支給額は徐々に目減りしています。ほかにも、物価上昇や為替変動による生活コストの上昇も無視できません。日本銀行はインフレ目標を2%としており、この水準で推移すれば10年で約22%の物価上昇となります。
臨時支出の発生や人生100年時代の問題
さらに、住宅の大規模修繕や自然災害対応などの予期せぬ臨時支出、そして平均寿命を超えて生きる「長生きリスク」も考慮すべきでしょう。医療の進歩により、多くの人が想定以上に長生きする時代となっており、資金計画の余裕を持った設計が必要です。
運用でどのくらい資産寿命を伸ばせるのか
高齢者にとっての資産運用のメリットは、年金および勤労による収入のほかに手取りを作り、貯蓄が尽きるまでの期間を延ばせることです。3,000万円の資産を毎月15万円ずつ取り崩す場合を想定し、資産寿命をどの程度延ばせるのか試算してみましょう。
① 運用なし
… 約16.7年(3,000万円 ÷ 15万円 ÷ 12ヵ月)
② 年利1%で運用
… 約18.2年(3,000万円 ÷ [15万円 − (3,000万円 × 0.01 ÷ 12)] ÷ 12ヵ月)
③ 年利3%で運用
… 約21.5年(3,000万円 ÷ [15万円 − (3,000万円 × 0.03 ÷ 12)] ÷ 12ヵ月)
このように、年3%で運用した場合、運用しなかった場合と比べて5年ほど資産寿命を延ばせる計算になります。
インフレ要因も考慮する必要があります。年率1.5%のインフレを想定すると、毎年実質的な購買力は低下し、運用なしの場合の実質資産寿命は14.8年程度まで短縮されます。一方、年利3%の運用であれば、インフレ率を差し引いても実質的な利回りはプラスとなり、資産寿命の大幅な延長が期待できるのです。
60歳からの資産運用でとるべき基本戦略
60歳からの資産運用は、現役世代とは異なるアプローチが必要です。収入源が給与から年金や資産収入へと移行し、時間的な余裕も限られてきます。この時期の資産運用では、大きな資産増加を狙うよりも、安定性を確保しながらインフレに負けない運用が重要となるでしょう。
具体的には、次の4つのポイントを意識した基本戦略が適切です。
- 現実的な運用目標を設定する
- リスク許容度に応じた投資先を選ぶ
- 攻めと守りの資産配分でリスクを分散させる
- 投資を始める前に安全な資産を確保する
現実的な運用目標の設定方法
60代の資産運用では、過度に高いリターンを追い求めるのではなく、物価上昇率を若干上回る程度の現実的な目標設定が重要です。日本の長期的なインフレ率は1%から2%程度と予想されるため、年率2%から3%程度のリターンを目指すのが妥当でしょう。
資産取り崩しペースも考慮に入れる必要があります。たとえば、3,000万円の資産から毎月15万円(年間180万円)を取り崩す場合、年間の取り崩し率は6%となります。この場合、資産の目減りを最小限に抑えるには、それなりのリターンが必要となります。
リスク許容度の考え方
リスク許容度とは、運用中の資産の価値が減少したときに「どの程度まで許容できるか」示すものです。
基本的には、相場が大きく変動した際には冷静さを保つことが必要です。一時的な下落局面では、慌てて売却したりせず、当初の計画を守らなくてはなりません。
リスク許容度は、以下の2種類に分けることができます。
- 心理的なリスク許容度
運用資産が大幅に下落した場合、どのような行動を取るか(目安として10%から20%程度下落した場合を想定)
- 財政的なリスク許容度
予想される将来の支出はどの程度か、総資産額と定期的な収入源はいくらあるのか
多くの場合、心理的なリスク許容度は財務的なリスク許容度より低くなります。この差を具体的な数値で認識すれば、感情に左右されない合理的な投資判断が可能になります。
攻めと守りの資産配分の考え方
資産運用における利回り減少や赤字化のリスクは、資産を適切に分散させることで軽減できます。基本的には、高い利回りが期待できるかわりに価格変動の大きい「攻めの資産」(ハイリスク資産)だけでなく、利益は小さいものの元本の安全性が大きい「守りの資産」(ローリスク資産)も運用しておきたいところです。
60代以上での資産運用では、高利回りかつハイリスクな資産を総資産の30%から40%程度、配当や利息によるインカム収入が期待できるものを中心に選ぶのがベターだと考えられます。適切な資産配分の割合には個人差があり、それぞれの現実的な運用目標とリスク許容度から導き出せます。
安全な資産の考え方
60代の資産運用では、まず生活防衛資金として2年分から3年分ほどの生活費を確保し、それ以外を投資可能額として区分することが基本です。これにより、市場が下落しても焦って資産を売却する必要がなくなります。
安全資産の選択においては、インフレリスクも考慮すべきです。単純な定期預金だけでは物価上昇に負け、実質的な資産価値が目減りする可能性があります。物価連動国債や一部の外貨資産など、インフレに強い商品を組み入れることも検討すべきでしょう。
資産運用の手段別・メリットとリスク
資産運用の手段となる金融商品には、それぞれにメリットとリスクがあります。人に勧められるまま「高利回りだから」「安全だから」といった思い込みで選ぶのではなく、客観的な評価に基づいて商品を選び、資産を分散させることが大切です。
ここでは、60代以上の資産運用の手段となる商品について、それぞれの特徴を紹介します。
定期預金・外貨預金
各地の銀行や信用金庫などが取り扱う定期預金は、契約上元本が保証され、さらに預金保険制度で保護されるローリスクな金融商品です。同じく取り扱いのある外貨預金は、比較的高い金利設定と為替変動により、日本円による定期預金と比べて高い利回りとなる特徴を持ちます。
一方で、これらの預金には注意すべき点もあります。定期預金金利は近年きわめて低く、インフレ率を考慮すると実質的にはマイナス収益となる可能性が高いといえます。外貨預金には、円高による実質的な元本割れ・為替手数料の発生などによるリスクがあります。
- 特徴:元本保証型でローリスク
- 利回りの目安:定期預金0.01〜0.1%程度、外貨預金1〜4%程度
- 想定されるリスク:インフレ、為替変動リスク、往復の為替手数料
株式投資
株式投資とは、企業が発行する株式を証券会社などを通じて購入し、企業の成長や利益分配によるリターンを得る投資方法です。株価の値上がり益(キャピタルゲイン)や配当金(インカムゲイン)を通じて収益を得ることができます。とくに60代では、安定した配当収入を目的としたインカム重視の投資が人気です。
一方で、株式投資には元本保証がなく、市場環境や企業業績の変化によって株価が下落し、元本割れするリスクがあります。
会社の外的環境や決算書、最近の値動きの状況などを慎重に分析しながら、売買のタイミングや銘柄選定を判断しなければなりません。
- 特徴:銘柄選定で高い利回りが選べる
- 利回りの目安:配当利回り2〜4%程度、値上がり益は市場環境や銘柄選択による
- 想定されるリスク:株価変動、企業業績悪化、流動性(売買しやすさ)
国債・地方債
国債は国が、地方債は地方自治体が発行する債券(借り入れのため発行する有価証券)です。インカムゲインにあたる利息のほか、償還や償還日前の換金によるキャピタル ゲインもあります。とくに個人向け国債は元本保証されており、変動金利型(変動10年)と固定金利型(固定5年、固定3年)から選択可能です。
一方、債券投資で注意したいのは、金利変動によるリスクです。金利が上昇すると債券価格が下落するため、途中で売却すると元本割れの可能性があります。とくに固定金利の長期債は、金利変動の影響を強く受けやすいです。
-
国債・地方債のポイント
- 特徴:発行元の信用度が高く、リスクが比較的低い
- 利回りの目安:個人向け国債0.05〜0.5%程度、地方債は国債より若干高め
- 想定されるリスク:金利上昇、インフレ
投資信託
投資信託とは、1口単位の有価証券を販売して投資家から資金を集め、これを株式や債券などで運用する商品です。投資信託には、運用方針・想定利回り・リスクの大きさなどに応じ、さまざまなものが用意されています。投資する人は少額から分散投資できるとともに定期的に分配金が得られ、価額が上がったときには売却してキャピタルゲインを得ることもできます。
一見すると安全かつ手間の少ない方法に見えますが、投資信託にはいくつかのリスク要素もあります。分配の頻度によっては集めた資金が減り、利回りの低下や赤字につながる可能性があります。ほかにも、商品を買うと控除される信託報酬が高く、思うように利益が出ないこともあります。
- 特徴:少額から分散投資できる、銘柄選定の手間が少ない
- 利回りの目安:低リスク型で1〜3%、中リスク型で3〜5%程度
- 想定されるリスク:価額の変動、為替変動、信託報酬などによる実質リターンの低下
NISA(少額投資非課税制度)
NISA(少額投資非課税制度)とは、株式や投資信託による利益が一定額まで非課税となる制度です。2024年に新しい制度に移行し、年間で成長投資枠240万円・つみたて投資枠120万円、合計で360万円まで非課税で投資できるようになりました。通算の総額だと1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円)まで非課税で運用可能です。
NISAでの運用で注意したいのは、株式・債券・投資信託と同じように運用方法で赤字が出る可能性です。赤字が出た場合の確定申告でも、NISAで運用する資産とほかの資産とのあいだで黒字と赤字の相殺(損益通算)ができず、課税額で不利となる恐れがあります。高齢者の運用では、相続時にはNISA口座の非課税メリットは引き継げず、相続税の課税対象となる点も理解しておく必要があるでしょう。
- 特徴:株式や投資信託の運用益が非課税になる
- 利回りの目安:投資対象商品による
- 想定されるリスク:損益通算ができない、相続時に非課税メリットが引き継げない
iDeCo(個人型確定拠出年金)
iDeCo(個人型確定拠出年金)とは、掛金を払って運用してもらう年金制度です。60歳以降も厚生年金に加入している場合は65歳まで、国民年金第1号被保険者であれば60歳から65歳になるまで始められます。最大のメリットは三重の税制優遇で、掛金が全額所得控除となり、運用益が非課税、受取時も退職所得控除や公的年金等控除が適用されることです。
一方、iDeCoには60代特有の制約やリスクもあります。まず、原則として60歳まで引き出せない点は60代ではあまり問題になりませんが、受給開始まで最低10年の加入期間が必要なため、60代前半から始める場合は70歳以降まで受給開始ができないケースがあります。運用面では、受給開始が近いため、高利回りでもハイリスクな運用方法は避けたいところです。
- 特徴:税制優遇のある自主運用型の年金
- 利回りの目安:元本確保型で0.1%程度、投資信託で1〜5%程度
- 想定されるリスク:運用実績の低下、手数料負担、受給開始までの期間
不動産投資
不動産投資とは、購入したアパートやマンションによる賃貸経営で定期収入を得たり、値上がりが見込める物件を売却して差益(キャピタルゲイン)を得たりする投資方法です。賃貸経営を通じて物件価値を高めてから適切な時期に売却することで、より高い利益を目指すことができます。加えて、現物で運用するため、インフレによる実質的な価値の低下のリスクも小さくなります。
しかし、不動産投資にはさまざまなリスクも存在します。考えられるのは、賃貸経営のための費用がかさんだり、物件の魅力・価値が下がって収入が減少する可能性です。融資で物件を購入する場合には、収支の赤字だけでなく、毎月の返済ができなくなる場合にも要注意です。
60代以降の不動産投資では、物件を選んだり、購入した物件を管理したりする手間が負担になる場合もあります。信頼できる不動産会社そのほかの専門家とつながり、物件選定・維持管理・管理方法の検討までサポートしてもらえるかどうかが成功の鍵です。
- 特徴:定期収入+売却益に期待できる、インフレヘッジ効果がある
- 利回りの目安:都市部2〜4%、地方5〜8%程度(表面利回り)
- 想定されるリスク:空室の発生、家賃下落、維持管理コスト増加、管理の手間
年台別の投資戦略・60代以上で意識したいポイント
資産運用における戦略は、年齢によって差が生じます。高齢期に入ると、生活費自体の上昇や相続に向けた対策が必要です。
20~50代と60代以上の投資戦略の違い
年齢によって差が生じるのは、運用期間と許容できるリスクです。収入の維持・向上が狙える若年期は、長期運用を見据えてリスクを取ることができるでしょう。一方、年を重ねてからの資産運用では、収入の源と金額を意識した戦略が必要です。
20代の投資戦略
長い投資期間を活かして積極的なリスクテイクが可能な時期です。収入は給与が中心で、成長を重視した株式中心の資産配分(株式70~80%、債券20~30%程度)が基本となります。相場下落時も長期的な回復が期待できるため、積立投資やつみたてNISAなどを活用した長期投資が有効でしょう。
30代の投資戦略
家族形成期で住宅購入なども検討する時期ですが、まだ投資期間は十分にあります。ライフイベントのための資金確保と並行して、つみたてNISAやiDeCoなどの税制優遇制度を活用した資産形成が効果的です。株式60~70%、債券30~40%程度のバランスが目安となります。
40代の投資戦略
収入のピークを迎える一方、教育費などの支出も増える時期です。退職後の資金計画を意識し始め、成長性と安定性のバランス(株式50~60%、債券40~50%)を考慮した投資が望ましいでしょう。投資可能額が最も大きい時期でもあり、資産形成の正念場となります。
50代の投資戦略
退職が視野に入り、リスク許容度が徐々に低下する時期です。ポートフォリオの安全性を高め(株式40~50%、債券50~60%)、大きな相場変動に備えて段階的なリスク資産の圧縮を検討すべきでしょう。退職金運用の準備や不動産投資なども視野に入れる時期です。
60代以上の投資戦略
年金受給が始まり、給与所得から資産所得・年金中心へと収入源が変化します。元本保全を重視しつつも、インフレに負けない運用を意識し、インカム重視の投資アプローチ(株式20~40%、債券60~80%)が重要となります。相場下落時の回復を待つ時間的余裕が少ないため、分配金や利息収入を得られる商品の比率を高めるのがポイントです。
60代以降の資産運用で意識したいポイント
60代以降の資産運用では、物価が上がって実質的に資産が目減りする可能性や、急な出費への備えが必要です。また、子どもや孫に受け継がれる時期のことも考えておくべきでしょう。具体的には、次のようなことが言えます。
インフレ対策の実施
長期化する老後生活では、物価上昇による資産価値の目減りが大きな問題となります。実物資産である不動産投資やREIT、物価連動国債、金などをポートフォリオに一部組み入れることで、インフレに強い資産配分を心がけましょう。
換金性・流動性の確保
高齢期には医療費や介護費の増加が見込まれます。急な出費に備え、安全な資産(生活防衛資金)およびローリスク資産は、いつでもすぐに現金化できるようにしておくべきです。具体的な方法としては、預金利用、換金性の高い国債の購入などが考えられます。
相続・贈与を視野に入れた戦略
60代以降は次世代への資産移転も視野に入れた運用が大切です。生前贈与の活用や、さらに保険商品の活用など、相続対策を考慮した資産配分を検討しましょう。
インフレヘッジとしての不動産の魅力
不動産投資の大きな魅力の一つに、インフレヘッジ(物価上昇から資産を守る)機能があります。そればかりでなく、インフレの進行は、遅れつつも不動産を売ったときの価格や賃料も上昇させます。
近年の借家の家賃に関するデータを確認すると、リーマンショックが起こるまでの2003年から2008年は5%以上の増加がありました。その後もゆるやかではあるものの上昇を続け、都市部を中心に不動産価格が高騰傾向にある2018年から2023年には10%以上も上昇しています。
インフレによる価値の目減りを避けつつ、すぐに使える方法で収入を確保する必要がある60代にとって、不動産投資は理想的な選択肢となるでしょう。
【参考】総務省「2023年住宅・土地統計調査」2024年9月25日公表
60代でとくに意識したい不動産投資のポイント
不動産投資ではさまざまなポイントに気を配る必要がありますが、とくに60代から始める場合には「物件の購入費用をどうやって調達するか」「物件はどんな基準で選ぶか」に注目する必要があります。
物件の購入費用をどうやって調達するか
不動産の価格は個人の資産に対して大きいため、融資を受けて購入費用を調達するのは一般的です。
しかし、60代以降は返済期間が限られ、完済前に相続が発生するリスクもあります。
また、金融機関の審査も年齢によって厳しくなりがちです。
そのため、可能であれば自己資金で購入する、もしくは短期間で返済できる範囲で借り入れるのが望ましいでしょう。
賃料収入も当初の見込みどおりに維持できるとは限らないため、無理のない返済計画が不可欠です。
物件はどんな基準で選ぶか
不動産の維持管理にかかるコスト(とくに手間の部分)は、高齢期ほど重く感じられます。手間を最小化するため、大規模修繕の少ない築浅マンションの区分所有や、管理委託が容易な都市部の物件を選ぶと良いでしょう。
また、高利回りをうたう築古物件よりも、修繕費用が少なく予測可能性の高い築浅物件のほうが安心です。相続するときを考慮すると、集合住宅を一棟丸ごと投資対象とすることで、分割しやすく相続税評価額も低くなりやすいメリットがあります。
まとめ
60歳からの資産運用は、収入源が給与から年金や資産収入へと移行する重要な転換期です。現実的な運用目標やリスク許容度をもとに、適切な資産運用の方法を見極め、分散投資によってリスクを軽減しつつ急な出費に備えられるようにしましょう。
不動産投資は、安定した家賃収入が得られるだけでなく、インフレヘッジとしても有効です。一方で、物件選定や収支計画、融資の割合などを見誤ると、利益減少から赤字につながってしまう方法でもあります。
老後の資産運用に不安や疑問をお持ちの方は、ベルテックスの個別相談をぜひご利用ください。収支や資産状況、さらにご家族の状況に合わせて、知識と実績に基づく適切なプランを提供します。
この記事を書いた人
ベルテックスコラム事務局
不動産コンサルタント・税理士
不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。
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60歳以降のおよそ20年にわたる生活を安定させるよう計画してみると、資産の寿命を延ばす戦略が不可欠になります。近年では、年金支給額の実質的な減少や平均寿命の伸長により、貯蓄だけに頼る老後生活には不安が付きまとうようになりました。
ここでは、60歳からでも始められる効果的な資産運用の方法、各金融商品のメリットとリスク、そして年代別の投資戦略の違いを解説します。
60歳からの資産運用が必要な理由
定年退職後の生活を考えるとき、多くの人が「貯蓄は十分だろうか」という不安を抱えています。今までは年金と退職金があれば老後は安泰と考えられていましたが、年金支給額の実質的な減少や長寿化により、資金不足に陥るリスクが高まっています。
老後の生活費はいくら必要なのか
老後に必要な生活費を考えるうえで、まず平均寿命を踏まえた計画期間を考えてみましょう。厚生労働省の2023年の統計によると、日本人の平均寿命は男性81.09歳、女性87.14歳です。60歳で定年退職した後の人生は、およそ次の期間にわたって継続します。
- 男性:約21年
- 女性:約27年
同じ年の家計収支に関する調査では、65歳以上の無職世帯の月間の消費支出につき、夫婦2人暮らしだと250,959円、単身世帯だと145,430円とされています。これらのデータから、世帯の状況別に生活費の目安を試算してみましょう。
+ 145,430円 × 12ヵ月 ×(27 - 21)年
= 73,712,628円(およそ7,400万円)
【参考】厚生労働省「2023年簡易生命表」2025年3月19日現在
【参考】総務局「家計調査年報(家計収支編)2023年結果の概要」2025年3月19日現在
貯蓄だけでは安心できない理由
老後の生活費の原資となるのは、主に貯蓄および社会保障給付(多くの場合は老齢年金のみ)です。仮に年金以外の収入がない場合、赤字化する可能性が大きいと言わざるを得ません。先に紹介した家計調査年報に基づき、社会保障給付の月間平均額と消費支出を比較してみましょう。
【65歳以上・夫婦のみの無職世帯】
社会保障給付額(月間平均):218,441円
月間の消費支出:250,959円
→ 毎月 32,518円の赤字
【65歳以上・単身無職世帯】
社会保障給付額(月間平均):118,230円
月間の消費支出:145,430円
→ 毎月 27,200円の赤字
上記のように毎月3万円程度の赤字が出ると、年間で36万円、20年間の生活で最低限720万円ほどの貯蓄がないと難しいといえます。もっとも、これはあくまでも日本の将来や高齢期特有の事情を考慮しない場合の金額の目安であり、実際には次のような問題を見越して老後資金を蓄えなくてはなりません。
高齢期に必要となる医療費
60歳を過ぎるとさまざまな健康リスクがあり、医療費は74歳までをピークとして増大する傾向があります。厚労省のデータによれば、55歳から59歳までの医療費(患者負担額)は約48万円ですが、60歳から84歳までは次のような推計が出ており、60歳から84歳にかけて合計で約270万円の負担となります。
- 60歳から64歳まで:550,122円
- 65歳から69歳まで:658,573円
- 70歳から74歳まで:665,195円
- 75歳から79歳まで:422,924円
- 80歳から84歳まで:394,421円
医療費の負担額は個人差が大きく、上記の推計は深刻な疾病・ケガを負った人とそうでない人との平均を採ったものと考えられます。実際には、健康リスクの程度によっては、より多い額の負担となる可能性も考慮しておきたいところです。
【参考】厚生労働省「医療保険に関する基礎資料(2021年度分)」2025年3月19日現在
保険制度の改定による自己負担額の増大
医療・介護に関する保険制度は随時見直されており、現在出ている最新のデータのみで将来を考えるのは禁物です。とくに近年は、現役世代の減少に伴って保険制度の維持が難しくなっており、高齢者にとって不利な改定が入っており、今後は自己負担額が増大する見通しです。
年金制度の改定による収入減少
制度の見直しなどが原因で、十分な年金収入を見込めないのも不安要素のひとつです。2004年に導入されたマクロ経済スライドにより、物価上昇や賃金上昇には完全に連動せず、実質的な年金支給額は徐々に目減りしています。ほかにも、物価上昇や為替変動による生活コストの上昇も無視できません。日本銀行はインフレ目標を2%としており、この水準で推移すれば10年で約22%の物価上昇となります。
臨時支出の発生や人生100年時代の問題
さらに、住宅の大規模修繕や自然災害対応などの予期せぬ臨時支出、そして平均寿命を超えて生きる「長生きリスク」も考慮すべきでしょう。医療の進歩により、多くの人が想定以上に長生きする時代となっており、資金計画の余裕を持った設計が必要です。
運用でどのくらい資産寿命を伸ばせるのか
高齢者にとっての資産運用のメリットは、年金および勤労による収入のほかに手取りを作り、貯蓄が尽きるまでの期間を延ばせることです。3,000万円の資産を毎月15万円ずつ取り崩す場合を想定し、資産寿命をどの程度延ばせるのか試算してみましょう。
① 運用なし
… 約16.7年(3,000万円 ÷ 15万円 ÷ 12ヵ月)
② 年利1%で運用
… 約18.2年(3,000万円 ÷ [15万円 − (3,000万円 × 0.01 ÷ 12)] ÷ 12ヵ月)
③ 年利3%で運用
… 約21.5年(3,000万円 ÷ [15万円 − (3,000万円 × 0.03 ÷ 12)] ÷ 12ヵ月)
このように、年3%で運用した場合、運用しなかった場合と比べて5年ほど資産寿命を延ばせる計算になります。
インフレ要因も考慮する必要があります。年率1.5%のインフレを想定すると、毎年実質的な購買力は低下し、運用なしの場合の実質資産寿命は14.8年程度まで短縮されます。一方、年利3%の運用であれば、インフレ率を差し引いても実質的な利回りはプラスとなり、資産寿命の大幅な延長が期待できるのです。
60歳からの資産運用でとるべき基本戦略
60歳からの資産運用は、現役世代とは異なるアプローチが必要です。収入源が給与から年金や資産収入へと移行し、時間的な余裕も限られてきます。この時期の資産運用では、大きな資産増加を狙うよりも、安定性を確保しながらインフレに負けない運用が重要となるでしょう。
具体的には、次の4つのポイントを意識した基本戦略が適切です。
- 現実的な運用目標を設定する
- リスク許容度に応じた投資先を選ぶ
- 攻めと守りの資産配分でリスクを分散させる
- 投資を始める前に安全な資産を確保する
現実的な運用目標の設定方法
60代の資産運用では、過度に高いリターンを追い求めるのではなく、物価上昇率を若干上回る程度の現実的な目標設定が重要です。日本の長期的なインフレ率は1%から2%程度と予想されるため、年率2%から3%程度のリターンを目指すのが妥当でしょう。
資産取り崩しペースも考慮に入れる必要があります。たとえば、3,000万円の資産から毎月15万円(年間180万円)を取り崩す場合、年間の取り崩し率は6%となります。この場合、資産の目減りを最小限に抑えるには、それなりのリターンが必要となります。
リスク許容度の考え方
リスク許容度とは、運用中の資産の価値が減少したときに「どの程度まで許容できるか」示すものです。
基本的には、相場が大きく変動した際には冷静さを保つことが必要です。一時的な下落局面では、慌てて売却したりせず、当初の計画を守らなくてはなりません。
リスク許容度は、以下の2種類に分けることができます。
- 心理的なリスク許容度
運用資産が大幅に下落した場合、どのような行動を取るか(目安として10%から20%程度下落した場合を想定)
- 財政的なリスク許容度
予想される将来の支出はどの程度か、総資産額と定期的な収入源はいくらあるのか
多くの場合、心理的なリスク許容度は財務的なリスク許容度より低くなります。この差を具体的な数値で認識すれば、感情に左右されない合理的な投資判断が可能になります。
攻めと守りの資産配分の考え方
資産運用における利回り減少や赤字化のリスクは、資産を適切に分散させることで軽減できます。基本的には、高い利回りが期待できるかわりに価格変動の大きい「攻めの資産」(ハイリスク資産)だけでなく、利益は小さいものの元本の安全性が大きい「守りの資産」(ローリスク資産)も運用しておきたいところです。
60代以上での資産運用では、高利回りかつハイリスクな資産を総資産の30%から40%程度、配当や利息によるインカム収入が期待できるものを中心に選ぶのがベターだと考えられます。適切な資産配分の割合には個人差があり、それぞれの現実的な運用目標とリスク許容度から導き出せます。
安全な資産の考え方
60代の資産運用では、まず生活防衛資金として2年分から3年分ほどの生活費を確保し、それ以外を投資可能額として区分することが基本です。これにより、市場が下落しても焦って資産を売却する必要がなくなります。
安全資産の選択においては、インフレリスクも考慮すべきです。単純な定期預金だけでは物価上昇に負け、実質的な資産価値が目減りする可能性があります。物価連動国債や一部の外貨資産など、インフレに強い商品を組み入れることも検討すべきでしょう。
資産運用の手段別・メリットとリスク
資産運用の手段となる金融商品には、それぞれにメリットとリスクがあります。人に勧められるまま「高利回りだから」「安全だから」といった思い込みで選ぶのではなく、客観的な評価に基づいて商品を選び、資産を分散させることが大切です。
ここでは、60代以上の資産運用の手段となる商品について、それぞれの特徴を紹介します。
定期預金・外貨預金
各地の銀行や信用金庫などが取り扱う定期預金は、契約上元本が保証され、さらに預金保険制度で保護されるローリスクな金融商品です。同じく取り扱いのある外貨預金は、比較的高い金利設定と為替変動により、日本円による定期預金と比べて高い利回りとなる特徴を持ちます。
一方で、これらの預金には注意すべき点もあります。定期預金金利は近年きわめて低く、インフレ率を考慮すると実質的にはマイナス収益となる可能性が高いといえます。外貨預金には、円高による実質的な元本割れ・為替手数料の発生などによるリスクがあります。
- 特徴:元本保証型でローリスク
- 利回りの目安:定期預金0.01〜0.1%程度、外貨預金1〜4%程度
- 想定されるリスク:インフレ、為替変動リスク、往復の為替手数料
株式投資
株式投資とは、企業が発行する株式を証券会社などを通じて購入し、企業の成長や利益分配によるリターンを得る投資方法です。株価の値上がり益(キャピタルゲイン)や配当金(インカムゲイン)を通じて収益を得ることができます。とくに60代では、安定した配当収入を目的としたインカム重視の投資が人気です。
一方で、株式投資には元本保証がなく、市場環境や企業業績の変化によって株価が下落し、元本割れするリスクがあります。
会社の外的環境や決算書、最近の値動きの状況などを慎重に分析しながら、売買のタイミングや銘柄選定を判断しなければなりません。
- 特徴:銘柄選定で高い利回りが選べる
- 利回りの目安:配当利回り2〜4%程度、値上がり益は市場環境や銘柄選択による
- 想定されるリスク:株価変動、企業業績悪化、流動性(売買しやすさ)
国債・地方債
国債は国が、地方債は地方自治体が発行する債券(借り入れのため発行する有価証券)です。インカムゲインにあたる利息のほか、償還や償還日前の換金によるキャピタル ゲインもあります。とくに個人向け国債は元本保証されており、変動金利型(変動10年)と固定金利型(固定5年、固定3年)から選択可能です。
一方、債券投資で注意したいのは、金利変動によるリスクです。金利が上昇すると債券価格が下落するため、途中で売却すると元本割れの可能性があります。とくに固定金利の長期債は、金利変動の影響を強く受けやすいです。
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国債・地方債のポイント
- 特徴:発行元の信用度が高く、リスクが比較的低い
- 利回りの目安:個人向け国債0.05〜0.5%程度、地方債は国債より若干高め
- 想定されるリスク:金利上昇、インフレ
投資信託
投資信託とは、1口単位の有価証券を販売して投資家から資金を集め、これを株式や債券などで運用する商品です。投資信託には、運用方針・想定利回り・リスクの大きさなどに応じ、さまざまなものが用意されています。投資する人は少額から分散投資できるとともに定期的に分配金が得られ、価額が上がったときには売却してキャピタルゲインを得ることもできます。
一見すると安全かつ手間の少ない方法に見えますが、投資信託にはいくつかのリスク要素もあります。分配の頻度によっては集めた資金が減り、利回りの低下や赤字につながる可能性があります。ほかにも、商品を買うと控除される信託報酬が高く、思うように利益が出ないこともあります。
- 特徴:少額から分散投資できる、銘柄選定の手間が少ない
- 利回りの目安:低リスク型で1〜3%、中リスク型で3〜5%程度
- 想定されるリスク:価額の変動、為替変動、信託報酬などによる実質リターンの低下
NISA(少額投資非課税制度)
NISA(少額投資非課税制度)とは、株式や投資信託による利益が一定額まで非課税となる制度です。2024年に新しい制度に移行し、年間で成長投資枠240万円・つみたて投資枠120万円、合計で360万円まで非課税で投資できるようになりました。通算の総額だと1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円)まで非課税で運用可能です。
NISAでの運用で注意したいのは、株式・債券・投資信託と同じように運用方法で赤字が出る可能性です。赤字が出た場合の確定申告でも、NISAで運用する資産とほかの資産とのあいだで黒字と赤字の相殺(損益通算)ができず、課税額で不利となる恐れがあります。高齢者の運用では、相続時にはNISA口座の非課税メリットは引き継げず、相続税の課税対象となる点も理解しておく必要があるでしょう。
- 特徴:株式や投資信託の運用益が非課税になる
- 利回りの目安:投資対象商品による
- 想定されるリスク:損益通算ができない、相続時に非課税メリットが引き継げない
iDeCo(個人型確定拠出年金)
iDeCo(個人型確定拠出年金)とは、掛金を払って運用してもらう年金制度です。60歳以降も厚生年金に加入している場合は65歳まで、国民年金第1号被保険者であれば60歳から65歳になるまで始められます。最大のメリットは三重の税制優遇で、掛金が全額所得控除となり、運用益が非課税、受取時も退職所得控除や公的年金等控除が適用されることです。
一方、iDeCoには60代特有の制約やリスクもあります。まず、原則として60歳まで引き出せない点は60代ではあまり問題になりませんが、受給開始まで最低10年の加入期間が必要なため、60代前半から始める場合は70歳以降まで受給開始ができないケースがあります。運用面では、受給開始が近いため、高利回りでもハイリスクな運用方法は避けたいところです。
- 特徴:税制優遇のある自主運用型の年金
- 利回りの目安:元本確保型で0.1%程度、投資信託で1〜5%程度
- 想定されるリスク:運用実績の低下、手数料負担、受給開始までの期間
不動産投資
不動産投資とは、購入したアパートやマンションによる賃貸経営で定期収入を得たり、値上がりが見込める物件を売却して差益(キャピタルゲイン)を得たりする投資方法です。賃貸経営を通じて物件価値を高めてから適切な時期に売却することで、より高い利益を目指すことができます。加えて、現物で運用するため、インフレによる実質的な価値の低下のリスクも小さくなります。
しかし、不動産投資にはさまざまなリスクも存在します。考えられるのは、賃貸経営のための費用がかさんだり、物件の魅力・価値が下がって収入が減少する可能性です。融資で物件を購入する場合には、収支の赤字だけでなく、毎月の返済ができなくなる場合にも要注意です。
60代以降の不動産投資では、物件を選んだり、購入した物件を管理したりする手間が負担になる場合もあります。信頼できる不動産会社そのほかの専門家とつながり、物件選定・維持管理・管理方法の検討までサポートしてもらえるかどうかが成功の鍵です。
- 特徴:定期収入+売却益に期待できる、インフレヘッジ効果がある
- 利回りの目安:都市部2〜4%、地方5〜8%程度(表面利回り)
- 想定されるリスク:空室の発生、家賃下落、維持管理コスト増加、管理の手間
年台別の投資戦略・60代以上で意識したいポイント
資産運用における戦略は、年齢によって差が生じます。高齢期に入ると、生活費自体の上昇や相続に向けた対策が必要です。
20~50代と60代以上の投資戦略の違い
年齢によって差が生じるのは、運用期間と許容できるリスクです。収入の維持・向上が狙える若年期は、長期運用を見据えてリスクを取ることができるでしょう。一方、年を重ねてからの資産運用では、収入の源と金額を意識した戦略が必要です。
20代の投資戦略
長い投資期間を活かして積極的なリスクテイクが可能な時期です。収入は給与が中心で、成長を重視した株式中心の資産配分(株式70~80%、債券20~30%程度)が基本となります。相場下落時も長期的な回復が期待できるため、積立投資やつみたてNISAなどを活用した長期投資が有効でしょう。
30代の投資戦略
家族形成期で住宅購入なども検討する時期ですが、まだ投資期間は十分にあります。ライフイベントのための資金確保と並行して、つみたてNISAやiDeCoなどの税制優遇制度を活用した資産形成が効果的です。株式60~70%、債券30~40%程度のバランスが目安となります。
40代の投資戦略
収入のピークを迎える一方、教育費などの支出も増える時期です。退職後の資金計画を意識し始め、成長性と安定性のバランス(株式50~60%、債券40~50%)を考慮した投資が望ましいでしょう。投資可能額が最も大きい時期でもあり、資産形成の正念場となります。
50代の投資戦略
退職が視野に入り、リスク許容度が徐々に低下する時期です。ポートフォリオの安全性を高め(株式40~50%、債券50~60%)、大きな相場変動に備えて段階的なリスク資産の圧縮を検討すべきでしょう。退職金運用の準備や不動産投資なども視野に入れる時期です。
60代以上の投資戦略
年金受給が始まり、給与所得から資産所得・年金中心へと収入源が変化します。元本保全を重視しつつも、インフレに負けない運用を意識し、インカム重視の投資アプローチ(株式20~40%、債券60~80%)が重要となります。相場下落時の回復を待つ時間的余裕が少ないため、分配金や利息収入を得られる商品の比率を高めるのがポイントです。
60代以降の資産運用で意識したいポイント
60代以降の資産運用では、物価が上がって実質的に資産が目減りする可能性や、急な出費への備えが必要です。また、子どもや孫に受け継がれる時期のことも考えておくべきでしょう。具体的には、次のようなことが言えます。
インフレ対策の実施
長期化する老後生活では、物価上昇による資産価値の目減りが大きな問題となります。実物資産である不動産投資やREIT、物価連動国債、金などをポートフォリオに一部組み入れることで、インフレに強い資産配分を心がけましょう。
換金性・流動性の確保
高齢期には医療費や介護費の増加が見込まれます。急な出費に備え、安全な資産(生活防衛資金)およびローリスク資産は、いつでもすぐに現金化できるようにしておくべきです。具体的な方法としては、預金利用、換金性の高い国債の購入などが考えられます。
相続・贈与を視野に入れた戦略
60代以降は次世代への資産移転も視野に入れた運用が大切です。生前贈与の活用や、さらに保険商品の活用など、相続対策を考慮した資産配分を検討しましょう。
インフレヘッジとしての不動産の魅力
不動産投資の大きな魅力の一つに、インフレヘッジ(物価上昇から資産を守る)機能があります。そればかりでなく、インフレの進行は、遅れつつも不動産を売ったときの価格や賃料も上昇させます。
近年の借家の家賃に関するデータを確認すると、リーマンショックが起こるまでの2003年から2008年は5%以上の増加がありました。その後もゆるやかではあるものの上昇を続け、都市部を中心に不動産価格が高騰傾向にある2018年から2023年には10%以上も上昇しています。
インフレによる価値の目減りを避けつつ、すぐに使える方法で収入を確保する必要がある60代にとって、不動産投資は理想的な選択肢となるでしょう。
【参考】総務省「2023年住宅・土地統計調査」2024年9月25日公表
60代でとくに意識したい不動産投資のポイント
不動産投資ではさまざまなポイントに気を配る必要がありますが、とくに60代から始める場合には「物件の購入費用をどうやって調達するか」「物件はどんな基準で選ぶか」に注目する必要があります。
物件の購入費用をどうやって調達するか
不動産の価格は個人の資産に対して大きいため、融資を受けて購入費用を調達するのは一般的です。
しかし、60代以降は返済期間が限られ、完済前に相続が発生するリスクもあります。
また、金融機関の審査も年齢によって厳しくなりがちです。
そのため、可能であれば自己資金で購入する、もしくは短期間で返済できる範囲で借り入れるのが望ましいでしょう。
賃料収入も当初の見込みどおりに維持できるとは限らないため、無理のない返済計画が不可欠です。
物件はどんな基準で選ぶか
不動産の維持管理にかかるコスト(とくに手間の部分)は、高齢期ほど重く感じられます。手間を最小化するため、大規模修繕の少ない築浅マンションの区分所有や、管理委託が容易な都市部の物件を選ぶと良いでしょう。
また、高利回りをうたう築古物件よりも、修繕費用が少なく予測可能性の高い築浅物件のほうが安心です。相続するときを考慮すると、集合住宅を一棟丸ごと投資対象とすることで、分割しやすく相続税評価額も低くなりやすいメリットがあります。
まとめ
60歳からの資産運用は、収入源が給与から年金や資産収入へと移行する重要な転換期です。現実的な運用目標やリスク許容度をもとに、適切な資産運用の方法を見極め、分散投資によってリスクを軽減しつつ急な出費に備えられるようにしましょう。
不動産投資は、安定した家賃収入が得られるだけでなく、インフレヘッジとしても有効です。一方で、物件選定や収支計画、融資の割合などを見誤ると、利益減少から赤字につながってしまう方法でもあります。
老後の資産運用に不安や疑問をお持ちの方は、ベルテックスの個別相談をぜひご利用ください。収支や資産状況、さらにご家族の状況に合わせて、知識と実績に基づく適切なプランを提供します。
この記事を書いた人
ベルテックスコラム事務局
不動産コンサルタント・税理士
不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。