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2024.02.29
ベルテックスコラム事務局
節税効果のある資産形成とは?出ていくお金を減らして効率的な資産形成を目指す
- 節税・税金
- 資産形成
資産形成において、長期的に資産を築いていくためには「出ていくお金」に対しての意識も重要です。「出ていくお金」の中でも税金を抑えることができれば、家計の負担を軽減し、資産形成により多くの資金を投じることができ、より効率的な資産形成が可能になります。
今回は節税効果があるおすすめ投資法4選を紹介します。節税効果の高い投資を同時運用した際のシミュレーションもご紹介いたしますので、あなたに合う効率的な節税方法を見つけましょう。節税効果のある資産形成を理解することで、より成功に近づくことができます!
資産形成は“出ていくお金”も意識すると、更に効率化できる
資産形成で重要なのはお金を増やすことですが、長期にわたって、効率的な運用を実現するためには、”出ていくお金”も意識することも重要です。以下に、その重要性と具体的なメリットを見ていきましょう。
家計の負担が減る
資産形成の基本は余剰資金での運用です。月々の収入から生活費や固定費などを差し引いた余剰資金が資産形成の原資になります。
毎月の生活費や固定費が多い場合、少ない資金しか資産形成に投じることができず、運用の効果は小さくなります。シンプルに減らせる支出を減らすことで、貯蓄や投資に回すことが可能です。支出を減らすのに有効なのは、家計簿をつけて収支を把握することです。
家計簿をつけることで、毎月の無駄な支出が見えてきます。近年は、手軽に家計簿をつけられるアプリが増えていますので、使いやすいものを選んで活用してみましょう。
減らせるお金ですが、まずは固定費を見直して支出を減らしましょう。固定費とは、毎月支出額が決まっている支出項目のことを指します。以下は固定費の例です。
- 家賃や住宅ローン
- 光熱費
- 通信費
- 生命保険、医療保険
- サブスクリプション など
固定費は家計の中で大きな割合を占めていることが多く、見直すことで大きな節約効果が期待できます。特に携帯電話の通信費やサブスクリプションなどは手軽に確認できるので、まずはこれらを見直してみることをおすすめします。月5000円の削減でも、30年続けば180万円の削減になります。このように、資産形成をすると決めた際は、日々の支出も減らせる所がないかを一度見直してみましょう。
再投資用の資金となる
固定費の削減で資金が生まれたら、その資金を再投資に活用することが可能になります。資金は銀行預金口座に入れておいても、現在の金利からすると利益は極わずかです。固定費の削減で生まれた資金の一部を貯蓄ではなく投資にまわせば、更に効率的な資産形成が実現します。ただし、投資にまわすお金は必ず「余剰資金」を使うようにしましょう。
突然の事故や病気、失業などの突発的な支出に備え、ある程度の資金は「生活防衛費」として現金で確保しておき、そのほかのしばらく使う予定のないお金を投資にまわすと安心です。
以下は、生活防衛費の目安です。年齢や生活形態によって異なりますので、参考にいくら残しておくべきか考えてみてください。
生活形態 | 生活防衛費の目安 |
---|---|
独身・ひとり暮らしの場合 | 1か月の生活費×3~6か月 |
夫婦2人暮らしの場合 | 1か月の生活費×3~6か月 |
夫婦2人+子どもがいる場合 | 1か月の生活費×6~12か月 |
このように、“出ていくお金”を意識することで、家計の負担を減らし、長期的で効率的な資産形成が可能になります。
節税効果があるおすすめ投資法4選
生活費や固定費以外の出ていくお金として挙げられるのが「税金」です。 日本では、生活していく上で消費税、所得税、住民税など様々な税金がかかっています。 納税は国民の義務ですが、現在では様々な節税対策が存在しています。
この記事では、節税に効果的な投資、制度を4つご紹介いたします。それぞれの投資、制度において、具体的な税制メリットや運用方法について詳しく説明していきますので、税金対策に興味がある方は参考にしてください。
iDeCo
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、資産形成と税金対策が両立できるとして人気のある投資法です。以下で、iDeCoの主な税制メリットを詳しく解説していきます。
<メリット1> 掛金が全額所得控除
iDeCoに積み立てる掛金は、課税所得から全額控除されます。これにより、課税所得が減り、当年分の所得税と翌年分の住民税が軽減されます。
個人払込の方は年末調整か確定申告で所得控除の適用を受けるための手続きが必要ですが、この掛金全額所得控除によって税金の軽減が実現します。ただし、サラリーマンの場合、iDeCoの掛け金は最大月23000円です。年間276,000円の所得控除が受けられるのみですので、他の商品と組み合わせて、効果的な節税を狙いましょう。
自営業者 | 68,000円/月まで |
---|---|
サラリーマン | 23,000円/月まで |
サラリーマン (企業型確定拠出年金加入者) |
20,000円/月まで ※5.5万円-企業型確定拠出年金の掛金 |
サラリーマン・公務員 (企業年金加入者) |
12,000円/月まで ※会社員のみ、2.75万円-企業型確定拠出年金の掛金 |
【参照元】iDeCo公式サイト「iDeCoのしくみ」より
<メリット2> 利息・運用益が非課税
iDeCoで運用した場合、利息や運用益に対しては税金がかかりません。他の投資法では利益や運用益から税金が差し引かれる場合がありますが、iDeCoの場合は非課税となるため、運用成績が税制による影響を受けずに蓄積されます。
長期的な運用を想定するiDeCoの場合、運用益非課税のメリットは大きく、効果的な資産形成が可能になります。
<メリット3>受け取り時も一定額まで控除対象
iDeCoは受け取りをする際には課税対象となりますが、この時も一定額まで控除が受けられます。iDeCoは原則60歳から「老齢給付金」として受け取ることができますが、この時の受取方法を自由に選択できます。一時金か年金、またはその併用による分割受け取りを選択しても、一定額まで税制優遇が適用され、税金の軽減が図られます。
iDeCoは将来の老後に備えた投資法であるため、長期の運用を想定しています。このため、受取時の税制優遇も資産形成の効果を高める重要な要素となります。
NISA
NISA(少額投資非課税制度)も、iDeCoと同様に資産形成と節税を両立できる投資法です。NISA口座で購入した金融商品(株式や投資信託など)の配当金、譲渡益などが非課税となるため、税金負担を軽減できます。以下にNISAの主な税制メリットを詳しく解説いたします。
この記事では2024年から施工される新NISAについてご紹介します。
<メリット> 運用益(配当金・分配金・譲渡益)が非課税
新NISAでは、投資家はNISA口座でつみたて投資枠120万円、成長投資枠240万円の計年間360万円までの金額を投資することができます。この枠内で購入した金融商品から得た利益(配当金、譲渡益など)は1,800万円まで非課税となります。
また、1,800万円をオーバーした場合は通常通り利益分の約20%が課税対象となります。ただし、売却すればその翌年に使用枠が復活するのも特徴です。仮に運用5年目に1800万円分のNISAの資産を売却した場合、6年目にはまた1,800万円分の枠が再利用可能となります。
NISAは長期的な資産形成に有効な手段です。税制メリットを最大限に活用して賢い投資を行いましょう。
ふるさと納税
ふるさと納税は、地方自治体に寄附を行うことで税金の控除が受けられる制度です。
<メリット>所得税の還付、住民税の控除が受けられる
ふるさと納税では、寄附をした額に応じて税金が控除されます。寄附した金額から2,000円を自己負担として差し引いた残りの金額が控除対象となります。控除の限度額内であれば、寄附した金額のほぼ全額が控除されます。
ふるさと納税の申請方法として、確定申告とワンストップ特例制度の2つがあります。確定申告を利用する場合、住民税と所得税から控除が行われ、ワンストップ特例制度を利用する場合は住民税のみから控除が行われます。どちらの方法を選択しても、限度内であれば控除される額は同じです。
ふるさと納税は地域への支援とともに、税制メリットを活用できる賢い方法の一つです。自己負担額を最小限に抑え、寄附を通じて地域に貢献しましょう。
不動産投資
iDeCo、NISAといった投資法は、掛金や利益に対して節税効果を得ることができますが、特に高い所得や資産を持つ場合、これらの制度だけでは十分な節税効果を享受できないことも考えられます。
そのような場合におすすめしたいのが「不動産投資」です。不動産投資は、マンションの一室や一棟アパートなどを所有し、物件を人に貸与することで家賃収入を得る投資ですが、さまざまな税制上のメリットを享受できる点が魅力です。
<メリット1>赤字を損益通算できる
例えば、不動産投資では物件の購入費はローンを組むことが多いですが、そのローン返済は入居者からの家賃収入で返済していきます。その際、必要経費を差し引いて赤字になる場合、あるいは建物の修繕費用などで赤字が出た場合などは損益通算することも可能です。つまり、所得税や住民税の税負担を軽減することが可能です。
資産形成をしながら、同時に節税もできるのが不動産投資の大きなメリットです。所得が高くなるほど所得税の税率も上がりますから、高年収の人ほど不動産投資による節税効果が大きくなる傾向があります。
所得が下がれば、所得制限のある高校の学費手当や児童手当などの制度も利用できることもあるので、課税所得を減らすことは所得税や住民税の税負担以外でもメリットがあると言えるでしょう。
<メリット2>相続税の圧縮効果
不動産は、購入価格よりも相続税評価額が低いため、相続税の節税効果があると言われています。 ただし、不動産を活用した相続税対策は税制の変更などにより大きく影響を受ける場合があります。
相続税は、相続が起きた時に適用される税制で判断されます。今は利用できる制度でも、税制が改定されて利用できなくなるということもあるので、注意が必要です。
なお、不動産投資には個別の状況に応じた様々な要因が影響を与えるため、具体的な節税効果を知りたい場合は、専門家に相談することをおすすめします。節税効果を最大限に活用して、将来への安定した資産形成を目指しましょう。
不動産投資におけるリスク
不動産投資は長期的な家賃収入と節税効果が魅力ですが、他の投資と同様にリスクも存在します。特に節税の観点でのリスクをご紹介します。
- 長く持ち過ぎるリスク:
減価償却期間が限られているため、節税効果は始めの数年が特に効果が高く、持ち続けるほど効果が薄くなります。また、耐用年数を大幅に超える物件は売却が難しくなるため、出口戦略は十分に検討しておく必要があります。 - 売却時のリスク:
所有してから5年以内の短期売却の場合、売却時にかかる譲渡所得税が高くなります。不動産を売却する際は、所有期間に応じて税率が変化しますので、事前に所有期間を把握しておくことが重要です。 - 収支が変動するリスク:
空室リスクや修繕費の増加など、収入や経費が変動する可能性があります。中長期的な視点と余裕ある資金計画が重要です。
節税を重視しつつも、収支やリスクを適切に把握して不動産投資を始めることが大切です。経費や売却時期の計画を立てることで、トータルでの収支を考慮した運用が必要です。また、複数物件を持つことで資産を拡大しつつ、節税効果を最大限に狙うオーナーも多いです。
同時運用することで、節税効果がさらに高まる
不動産投資だけでなく、iDeCo(個人型確定拠出年金)やNISA(少額投資非課税制度)などの投資商品を併用することで、分散投資でリスクを軽減しつつ、節税効果を享受することが可能です。
1.iDeCoとの同時運用
iDeCoは掛金の上限が決まっているため、節税効果が限定されます。なので、掛金の上限が決まっていない不動産投資と組み合わせることで更なる節税効果が期待できます。iDeCoに取り組んでいるが、さらに節税したいと思っているのであれば、不動産投資を検討してみてはいかがでしょうか。
2.NISAとの同時運用
投資上限額が増えた新NISAは、購入できる投資商品も信頼性の高いものですが、基本的には株式を中心とした流動資産がベースになっているものが多いです。不動産投資のような現物資産も同時に運用することで、より安定したポートフォリオの形成に役立つでしょう。 また、NISAは月額で積み立てていく場合、その分家計を圧迫します。不動産投資であればローン返済を入居者の家賃収入でまかなうため、他の投資とは違い、ほとんど自己資金を使わずに運用することができ、NISAと同時運用するには相性が良いでしょう。
3,不動産投資とiDeCo、NISAの同時運用のシミュレーション
① 不動産投資による所得:年間赤字30万円
② iDeCo積立金:年間27.6万円
③ NISA運用収益:年10万とした場合
④ 年収1,000万円の方のケース(課税所得730万円の場合)
上記の条件で、不動産投資とiDeCo、NISAを同時運用した場合の税制メリットを計算します。
まず、所得税と住民税の計算です。
700万円-iDeCo年間積立金27.6万円=672.4万円
所得税と住民税の計算には、所得税率と住民税率を使用します。これらは個人の所得に応じて異なります。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円 から 1,949,000円まで | 5% | 0円 |
1,950,000円 から 3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
3,300,000円 から 6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
6,950,000円 から 8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
9,000,000円 から 17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円 から 39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円 以上 | 45% | 4,796,000円 |
課税所得が672.4万円になるため、所得税の税率は20%になります。
計算結果:
• 所得税:672.4万円 × 20% – 控除額42.75万 = 91.73万
• 住民税:672.4万円 × 10% = 67.24万円
• 税金合計:約158.97万
節税を何もしていない場合:
• 所得税:730万円 × 23% – 控除額63.6万 = 104.3万
• 住民税:730万円 × 10% = 73万円
• 税金合計:177.3万
差し引き 初年度18.33万の節税
※ 以下の内容を考慮して算出しています。
※ 給与所得控除、社会保険料控除、基礎控除は加味しておりません。
※ 復興特別所得税は加味しておりません。
次に、NISAの税制メリットを計算します。NISAは運用益が非課税となるため、所得税と住民税の対象から外れます。
仮に株式投資で年25万円の収益が出ている場合、NISA口座以外での投資であれば収益を受け取る際に約20%が課税されて20万円が手取り分になります。NISAを活用している場合は運用利益が非課税でそのまま25万円の利益を得られることになります。
何もしない場合:
• 所得税:730万円 × 23% – 控除額63.6万 = 104.3万
• 住民税:730万円 × 10% = 73万
• 税金合計:177.3万
NISA以外の投資の場合:
• 所得税:730万円 × 23% – 控除額63.6万 = 104.3万
• 住民税:730万円 × 10% = 73万
• 資産形成の利益:25万円 → 20万円
• 税金合計:177.3万
• 節税:±0 運用益:20万円
不動産投資とiDeCoとNISA以外の投資の場合:
• 所得税:672.4万円 × 20% – 控除額42.75万 = 91.73万
• 住民税:672.4万円 × 10% = 67.24万
• 資産形成の利益:25万円 → 20万円
• 税金合計:158.97万
• 節税:18.33万 運用益:20万
不動産投資とiDeCoとNISAの場合
• 所得税:672.4万円 × 20% – 控除額42.75万 = 91.73万
• 住民税:672.4万円 × 10% = 67.24万円
• 資産形成の利益:25万円
• 税金合計:158.97万
• 節税:18.33万 運用益:25万
不動産投資・iDeCo・NISAを活用した非課税となった税金を含めた節税額の合計は約23万円となります。さらに、不動産投資はローン完済時に物件も手に入り、その後は家賃収入がそのまま収益となります。このように、不動産投資とiDeCo、NISAの同時運用は、節税しつつ効果的な資産形成が可能になるのが大きなメリットです。
まとめ
不動産投資やiDeCo、NISAなど、効果的な節税手段を活用することで、より賢い資産運用を実現できます。不動産投資による減価償却や損益通算、iDeCoの控除、NISAの非課税運用などが、節税効果をもたらします。ただし、個人の状況によって節税効果は異なるため、計画を立てる際は専門家のアドバイスを得ることが重要です。賢い節税と資産運用を組み合わせて、より豊かな未来を築いていきましょう。
ベルテックスでは不動産投資やその他の資産運用にまつわる資産形成セミナーを開催しています。ご自宅からオンラインでご参加いただけますので、より詳しく話を聞いてみたい方はぜひお気軽にお問い合わせください。
この記事を書いた人
ベルテックスコラム事務局
不動産コンサルタント・税理士
不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。
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2024.02.29
ベルテックスコラム事務局
節税効果のある資産形成とは?出ていくお金を減らして効率的な資産形成を目指す
- 節税・税金
- 資産形成
資産形成において、長期的に資産を築いていくためには「出ていくお金」に対しての意識も重要です。「出ていくお金」の中でも税金を抑えることができれば、家計の負担を軽減し、資産形成により多くの資金を投じることができ、より効率的な資産形成が可能になります。
今回は節税効果があるおすすめ投資法4選を紹介します。節税効果の高い投資を同時運用した際のシミュレーションもご紹介いたしますので、あなたに合う効率的な節税方法を見つけましょう。節税効果のある資産形成を理解することで、より成功に近づくことができます!
資産形成は“出ていくお金”も意識すると、更に効率化できる
資産形成で重要なのはお金を増やすことですが、長期にわたって、効率的な運用を実現するためには、”出ていくお金”も意識することも重要です。以下に、その重要性と具体的なメリットを見ていきましょう。
家計の負担が減る
資産形成の基本は余剰資金での運用です。月々の収入から生活費や固定費などを差し引いた余剰資金が資産形成の原資になります。
毎月の生活費や固定費が多い場合、少ない資金しか資産形成に投じることができず、運用の効果は小さくなります。シンプルに減らせる支出を減らすことで、貯蓄や投資に回すことが可能です。支出を減らすのに有効なのは、家計簿をつけて収支を把握することです。
家計簿をつけることで、毎月の無駄な支出が見えてきます。近年は、手軽に家計簿をつけられるアプリが増えていますので、使いやすいものを選んで活用してみましょう。
減らせるお金ですが、まずは固定費を見直して支出を減らしましょう。固定費とは、毎月支出額が決まっている支出項目のことを指します。以下は固定費の例です。
- 家賃や住宅ローン
- 光熱費
- 通信費
- 生命保険、医療保険
- サブスクリプション など
固定費は家計の中で大きな割合を占めていることが多く、見直すことで大きな節約効果が期待できます。特に携帯電話の通信費やサブスクリプションなどは手軽に確認できるので、まずはこれらを見直してみることをおすすめします。月5000円の削減でも、30年続けば180万円の削減になります。このように、資産形成をすると決めた際は、日々の支出も減らせる所がないかを一度見直してみましょう。
再投資用の資金となる
固定費の削減で資金が生まれたら、その資金を再投資に活用することが可能になります。資金は銀行預金口座に入れておいても、現在の金利からすると利益は極わずかです。固定費の削減で生まれた資金の一部を貯蓄ではなく投資にまわせば、更に効率的な資産形成が実現します。ただし、投資にまわすお金は必ず「余剰資金」を使うようにしましょう。
突然の事故や病気、失業などの突発的な支出に備え、ある程度の資金は「生活防衛費」として現金で確保しておき、そのほかのしばらく使う予定のないお金を投資にまわすと安心です。
以下は、生活防衛費の目安です。年齢や生活形態によって異なりますので、参考にいくら残しておくべきか考えてみてください。
生活形態 | 生活防衛費の目安 |
---|---|
独身・ひとり暮らしの場合 | 1か月の生活費×3~6か月 |
夫婦2人暮らしの場合 | 1か月の生活費×3~6か月 |
夫婦2人+子どもがいる場合 | 1か月の生活費×6~12か月 |
このように、“出ていくお金”を意識することで、家計の負担を減らし、長期的で効率的な資産形成が可能になります。
節税効果があるおすすめ投資法4選
生活費や固定費以外の出ていくお金として挙げられるのが「税金」です。 日本では、生活していく上で消費税、所得税、住民税など様々な税金がかかっています。 納税は国民の義務ですが、現在では様々な節税対策が存在しています。
この記事では、節税に効果的な投資、制度を4つご紹介いたします。それぞれの投資、制度において、具体的な税制メリットや運用方法について詳しく説明していきますので、税金対策に興味がある方は参考にしてください。
iDeCo
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、資産形成と税金対策が両立できるとして人気のある投資法です。以下で、iDeCoの主な税制メリットを詳しく解説していきます。
<メリット1> 掛金が全額所得控除
iDeCoに積み立てる掛金は、課税所得から全額控除されます。これにより、課税所得が減り、当年分の所得税と翌年分の住民税が軽減されます。
個人払込の方は年末調整か確定申告で所得控除の適用を受けるための手続きが必要ですが、この掛金全額所得控除によって税金の軽減が実現します。ただし、サラリーマンの場合、iDeCoの掛け金は最大月23000円です。年間276,000円の所得控除が受けられるのみですので、他の商品と組み合わせて、効果的な節税を狙いましょう。
自営業者 | 68,000円/月まで |
---|---|
サラリーマン | 23,000円/月まで |
サラリーマン (企業型確定拠出年金加入者) |
20,000円/月まで ※5.5万円-企業型確定拠出年金の掛金 |
サラリーマン・公務員 (企業年金加入者) |
12,000円/月まで ※会社員のみ、2.75万円-企業型確定拠出年金の掛金 |
【参照元】iDeCo公式サイト「iDeCoのしくみ」より
<メリット2> 利息・運用益が非課税
iDeCoで運用した場合、利息や運用益に対しては税金がかかりません。他の投資法では利益や運用益から税金が差し引かれる場合がありますが、iDeCoの場合は非課税となるため、運用成績が税制による影響を受けずに蓄積されます。
長期的な運用を想定するiDeCoの場合、運用益非課税のメリットは大きく、効果的な資産形成が可能になります。
<メリット3>受け取り時も一定額まで控除対象
iDeCoは受け取りをする際には課税対象となりますが、この時も一定額まで控除が受けられます。iDeCoは原則60歳から「老齢給付金」として受け取ることができますが、この時の受取方法を自由に選択できます。一時金か年金、またはその併用による分割受け取りを選択しても、一定額まで税制優遇が適用され、税金の軽減が図られます。
iDeCoは将来の老後に備えた投資法であるため、長期の運用を想定しています。このため、受取時の税制優遇も資産形成の効果を高める重要な要素となります。
NISA
NISA(少額投資非課税制度)も、iDeCoと同様に資産形成と節税を両立できる投資法です。NISA口座で購入した金融商品(株式や投資信託など)の配当金、譲渡益などが非課税となるため、税金負担を軽減できます。以下にNISAの主な税制メリットを詳しく解説いたします。
この記事では2024年から施工される新NISAについてご紹介します。
<メリット> 運用益(配当金・分配金・譲渡益)が非課税
新NISAでは、投資家はNISA口座でつみたて投資枠120万円、成長投資枠240万円の計年間360万円までの金額を投資することができます。この枠内で購入した金融商品から得た利益(配当金、譲渡益など)は1,800万円まで非課税となります。
また、1,800万円をオーバーした場合は通常通り利益分の約20%が課税対象となります。ただし、売却すればその翌年に使用枠が復活するのも特徴です。仮に運用5年目に1800万円分のNISAの資産を売却した場合、6年目にはまた1,800万円分の枠が再利用可能となります。
NISAは長期的な資産形成に有効な手段です。税制メリットを最大限に活用して賢い投資を行いましょう。
ふるさと納税
ふるさと納税は、地方自治体に寄附を行うことで税金の控除が受けられる制度です。
<メリット>所得税の還付、住民税の控除が受けられる
ふるさと納税では、寄附をした額に応じて税金が控除されます。寄附した金額から2,000円を自己負担として差し引いた残りの金額が控除対象となります。控除の限度額内であれば、寄附した金額のほぼ全額が控除されます。
ふるさと納税の申請方法として、確定申告とワンストップ特例制度の2つがあります。確定申告を利用する場合、住民税と所得税から控除が行われ、ワンストップ特例制度を利用する場合は住民税のみから控除が行われます。どちらの方法を選択しても、限度内であれば控除される額は同じです。
ふるさと納税は地域への支援とともに、税制メリットを活用できる賢い方法の一つです。自己負担額を最小限に抑え、寄附を通じて地域に貢献しましょう。
不動産投資
iDeCo、NISAといった投資法は、掛金や利益に対して節税効果を得ることができますが、特に高い所得や資産を持つ場合、これらの制度だけでは十分な節税効果を享受できないことも考えられます。
そのような場合におすすめしたいのが「不動産投資」です。不動産投資は、マンションの一室や一棟アパートなどを所有し、物件を人に貸与することで家賃収入を得る投資ですが、さまざまな税制上のメリットを享受できる点が魅力です。
<メリット1>赤字を損益通算できる
例えば、不動産投資では物件の購入費はローンを組むことが多いですが、そのローン返済は入居者からの家賃収入で返済していきます。その際、必要経費を差し引いて赤字になる場合、あるいは建物の修繕費用などで赤字が出た場合などは損益通算することも可能です。つまり、所得税や住民税の税負担を軽減することが可能です。
資産形成をしながら、同時に節税もできるのが不動産投資の大きなメリットです。所得が高くなるほど所得税の税率も上がりますから、高年収の人ほど不動産投資による節税効果が大きくなる傾向があります。
所得が下がれば、所得制限のある高校の学費手当や児童手当などの制度も利用できることもあるので、課税所得を減らすことは所得税や住民税の税負担以外でもメリットがあると言えるでしょう。
<メリット2>相続税の圧縮効果
不動産は、購入価格よりも相続税評価額が低いため、相続税の節税効果があると言われています。 ただし、不動産を活用した相続税対策は税制の変更などにより大きく影響を受ける場合があります。
相続税は、相続が起きた時に適用される税制で判断されます。今は利用できる制度でも、税制が改定されて利用できなくなるということもあるので、注意が必要です。
なお、不動産投資には個別の状況に応じた様々な要因が影響を与えるため、具体的な節税効果を知りたい場合は、専門家に相談することをおすすめします。節税効果を最大限に活用して、将来への安定した資産形成を目指しましょう。
不動産投資におけるリスク
不動産投資は長期的な家賃収入と節税効果が魅力ですが、他の投資と同様にリスクも存在します。特に節税の観点でのリスクをご紹介します。
- 長く持ち過ぎるリスク:
減価償却期間が限られているため、節税効果は始めの数年が特に効果が高く、持ち続けるほど効果が薄くなります。また、耐用年数を大幅に超える物件は売却が難しくなるため、出口戦略は十分に検討しておく必要があります。 - 売却時のリスク:
所有してから5年以内の短期売却の場合、売却時にかかる譲渡所得税が高くなります。不動産を売却する際は、所有期間に応じて税率が変化しますので、事前に所有期間を把握しておくことが重要です。 - 収支が変動するリスク:
空室リスクや修繕費の増加など、収入や経費が変動する可能性があります。中長期的な視点と余裕ある資金計画が重要です。
節税を重視しつつも、収支やリスクを適切に把握して不動産投資を始めることが大切です。経費や売却時期の計画を立てることで、トータルでの収支を考慮した運用が必要です。また、複数物件を持つことで資産を拡大しつつ、節税効果を最大限に狙うオーナーも多いです。
同時運用することで、節税効果がさらに高まる
不動産投資だけでなく、iDeCo(個人型確定拠出年金)やNISA(少額投資非課税制度)などの投資商品を併用することで、分散投資でリスクを軽減しつつ、節税効果を享受することが可能です。
1.iDeCoとの同時運用
iDeCoは掛金の上限が決まっているため、節税効果が限定されます。なので、掛金の上限が決まっていない不動産投資と組み合わせることで更なる節税効果が期待できます。iDeCoに取り組んでいるが、さらに節税したいと思っているのであれば、不動産投資を検討してみてはいかがでしょうか。
2.NISAとの同時運用
投資上限額が増えた新NISAは、購入できる投資商品も信頼性の高いものですが、基本的には株式を中心とした流動資産がベースになっているものが多いです。不動産投資のような現物資産も同時に運用することで、より安定したポートフォリオの形成に役立つでしょう。 また、NISAは月額で積み立てていく場合、その分家計を圧迫します。不動産投資であればローン返済を入居者の家賃収入でまかなうため、他の投資とは違い、ほとんど自己資金を使わずに運用することができ、NISAと同時運用するには相性が良いでしょう。
3,不動産投資とiDeCo、NISAの同時運用のシミュレーション
① 不動産投資による所得:年間赤字30万円
② iDeCo積立金:年間27.6万円
③ NISA運用収益:年10万とした場合
④ 年収1,000万円の方のケース(課税所得730万円の場合)
上記の条件で、不動産投資とiDeCo、NISAを同時運用した場合の税制メリットを計算します。
まず、所得税と住民税の計算です。
700万円-iDeCo年間積立金27.6万円=672.4万円
所得税と住民税の計算には、所得税率と住民税率を使用します。これらは個人の所得に応じて異なります。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円 から 1,949,000円まで | 5% | 0円 |
1,950,000円 から 3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
3,300,000円 から 6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
6,950,000円 から 8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
9,000,000円 から 17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円 から 39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円 以上 | 45% | 4,796,000円 |
課税所得が672.4万円になるため、所得税の税率は20%になります。
計算結果:
• 所得税:672.4万円 × 20% – 控除額42.75万 = 91.73万
• 住民税:672.4万円 × 10% = 67.24万円
• 税金合計:約158.97万
節税を何もしていない場合:
• 所得税:730万円 × 23% – 控除額63.6万 = 104.3万
• 住民税:730万円 × 10% = 73万円
• 税金合計:177.3万
差し引き 初年度18.33万の節税
※ 以下の内容を考慮して算出しています。
※ 給与所得控除、社会保険料控除、基礎控除は加味しておりません。
※ 復興特別所得税は加味しておりません。
次に、NISAの税制メリットを計算します。NISAは運用益が非課税となるため、所得税と住民税の対象から外れます。
仮に株式投資で年25万円の収益が出ている場合、NISA口座以外での投資であれば収益を受け取る際に約20%が課税されて20万円が手取り分になります。NISAを活用している場合は運用利益が非課税でそのまま25万円の利益を得られることになります。
何もしない場合:
• 所得税:730万円 × 23% – 控除額63.6万 = 104.3万
• 住民税:730万円 × 10% = 73万
• 税金合計:177.3万
NISA以外の投資の場合:
• 所得税:730万円 × 23% – 控除額63.6万 = 104.3万
• 住民税:730万円 × 10% = 73万
• 資産形成の利益:25万円 → 20万円
• 税金合計:177.3万
• 節税:±0 運用益:20万円
不動産投資とiDeCoとNISA以外の投資の場合:
• 所得税:672.4万円 × 20% – 控除額42.75万 = 91.73万
• 住民税:672.4万円 × 10% = 67.24万
• 資産形成の利益:25万円 → 20万円
• 税金合計:158.97万
• 節税:18.33万 運用益:20万
不動産投資とiDeCoとNISAの場合
• 所得税:672.4万円 × 20% – 控除額42.75万 = 91.73万
• 住民税:672.4万円 × 10% = 67.24万円
• 資産形成の利益:25万円
• 税金合計:158.97万
• 節税:18.33万 運用益:25万
不動産投資・iDeCo・NISAを活用した非課税となった税金を含めた節税額の合計は約23万円となります。さらに、不動産投資はローン完済時に物件も手に入り、その後は家賃収入がそのまま収益となります。このように、不動産投資とiDeCo、NISAの同時運用は、節税しつつ効果的な資産形成が可能になるのが大きなメリットです。
まとめ
不動産投資やiDeCo、NISAなど、効果的な節税手段を活用することで、より賢い資産運用を実現できます。不動産投資による減価償却や損益通算、iDeCoの控除、NISAの非課税運用などが、節税効果をもたらします。ただし、個人の状況によって節税効果は異なるため、計画を立てる際は専門家のアドバイスを得ることが重要です。賢い節税と資産運用を組み合わせて、より豊かな未来を築いていきましょう。
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この記事を書いた人
ベルテックスコラム事務局
不動産コンサルタント・税理士
不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。