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2024.02.29
ベルテックスコラム事務局
新築は鉄骨造と木造のどちらを選ぶべき? メリット・デメリットを解説
- はじめ方・基礎知識
- メリット
年々、木造住宅の割合は減少しており、住宅の非木造化が進んでいます。総務省による「平成20年度 住宅・土地統計調査」少し古い情報になりますが、総務省のデータによると、木造住宅の割合は58.9%、鉄筋・鉄骨コンクリート造などの非木造は41.1%となっています。 また集合住宅(マンション・アパート)と一戸建ての割合では、一戸建ては9割以上が木造であることに対して、集合住宅の約7割が鉄骨造となっています。
この記事では居住や投資などの目的で購入を検討する場合の「木造住宅」と「鉄骨住宅」のメリット、デメリットについて紐解いていきます。
木造住宅と鉄骨住宅の違い
柱など家の骨組みに「木材」を使用している「木造住宅」と鉄骨を使用している「鉄骨住宅」は、それぞれ独自の特性を持っています。 双方にどのような違いがあるのか比較していきましょう。
建築コスト
一般的に「木造は建築コストが安い」と言われていますが、2020年に国土交通省が行った調査結果によると、木造住宅の建築コストは平均坪単価57.1万円でした。対して鉄骨造は91.1万円という結果で、木造の約1.6倍の費用が掛かるということがわかりました。 建売戸建ての平均坪数は約30坪程度ですが、上記の平均坪単価を乗じると木造と鉄骨では建築総額に約1,000万円の差が生じます。これが、日本の一戸建てのほとんどが木造である原因の1つでしょう。
断熱性
断熱性とは、簡単に言うと居室内に外気温が侵入するのを防ぎ、暑さや寒さを断つことにより家の中を住みやすい快適な環境にすることです。鉄骨は木造の350倍ほどよく熱を通すと言われており、熱伝導率が高いです。 外気からの熱を受けやすく「夏に暑く冬に寒い」だけでなく、暖房機器などで室内の温度を上昇させても壁を伝い熱を失いやすいのがデメリットです。 しかし、木造でも冷暖房を使わずに一年中快適には過ごすことはできず、いずれにしても建築時に壁と外壁の間には断熱材を入れる必要があります。 また、冬場は窓から約52%の温かい空気が漏れてしまうと言われており、複合ガラスなど窓に工夫をすることで断熱性能の高い家にすることが可能です。 建築技術の進歩により、鉄骨造でも建築コストをかければ断熱性の高い家づくりをすることができますが、素材そのもので見ると断熱性は木造の方が優れています。
耐震性
「木材よりも鉄骨の方が丈夫そうだから、耐震性は勝っているだろう」と考える人は少なくないでしょう。 しかし、実際にはイメージと異なり木造と軽量鉄骨の耐震性はほぼ同等です。建物は、重量が重いものほど地震のエネルギーを大きく受け取る性質があるため、建物が軽量である木造は他の構造と比較して揺れを小さく受け取ります。 ただし、大型地震後に報道される倒壊情報やテレビに映る映像では、木造の方が大きな被害を受けていると感じるかもしれません。それは、シロアリ被害による骨組みとなる柱の強度が低下していること、地盤補強が緩いことなど、建物を取り巻く様々な環境が関係しているからでしょう。
耐用年数
建物の耐用年数は、確定申告の減価償却計算で用いられる「法定耐用年数」のことを指します。 国税庁が公にしているもので、住宅用の耐用年数はそれぞれ下記の通りです。
構造 | 耐用年数 |
---|---|
木造 | 22年 |
鉄骨造(3mm以下) | 19年 |
鉄骨造(3mmを超え、4mm以下のもの) | 27年 |
鉄骨造(4mmを超えるもの) | 34年 |
鉄骨造は骨材となる鉄の厚みによって耐用年数が異なります。 6mm以上が重量鉄骨と呼ばれており耐用年数も34年と長くなりますが、一般的に住宅メーカーが作る軽量鉄骨造による建築物の大部分は、2.3mmの鉄骨材を使用することがほとんどだと言われており、その場合の耐用年数は19年です。 自然素材の木材は耐用年数が短いと思われがちですが、軽量鉄骨の方が短いケースもあります。 ただし、建物のメンテナンス状況によって寿命は異なり、定期的なメンテナンスを行うことで実際に居住可能な年数を長くすることは可能です。
メンテナンス方法
建物の寿命を延ばすために重要なメンテナンスについて、構造の特性上必要となる方法をお伝えします。 木造は常にシロアリ被害の問題がつきまとうため、5~10年に1回の防蟻工事が必要と言われています。 一般財団法人経済調査会の統計によれば防蟻工事の平均価格は10,725円/坪としており、30坪の一戸建ての場合は、30万円以上のコストがかかります。 また、高額になりがちな屋根・外壁の塗装工事については、木造住宅と鉄骨住宅どちらも必要です。 ただし、その周期に違いがあります。木造は10年に1回と言われていますが、鉄はさびが発生しやすく劣化が早いことから5年に1回の周期でメンテナンスが必要です。 屋根以外でも、さびの腐食が進むと強度が低下してしまい住環境に危険を及ぼすため、定期的にメンテナンスを行う必要があります。 また、配管取替など一部の工事では、鉄骨造は壁そのものを壊さなければならない場合があり、補修に高額な費用を要することもあるようです。
木造住宅のメリットとデメリット
この章では、木造住宅のメリットとデメリットをご紹介します。
木材住宅のメリット
木のぬくもりを感じられる
木材は、自然素材ならではの温かみを持つ素材です。フローリングなど随所に木材のぬくもりを感じることができるでしょう。 木の香りや温かみにより、居心地の良い居住空間を作ることができます。
断熱性が高い
前述した通り、木材には断熱性が高いという特徴があります。外気の温度変化の影響を受けづらいため、室内環境を快適に保つことができ、光熱費の節約にもつながります。
調湿性・通気性が高い
木材は、調湿性や通気性に優れた素材です。湿気を吸収して蓄え、必要な時に放出できます。そのため、自然に室内の湿度や空気の質が調整されて快適に過ごせます。
木材住宅のデメリット
職人の技術により品質に差が生じる
木造住宅のデメリットの一つは、職人の技術により品質に差が生じることです。職人の技術の差や施工の質によって、建物の強度や耐久性などに大きな差が生じることもあります。
害虫の被害が発生しやすい
木造住宅は木材を主な構造材として使用しているため、害虫の被害が発生しやすい傾向があります。特に、木材を餌としているシロアリなどの害虫が発生すると、建物の構造部分を傷めるおそれがあります。このような被害を防ぐためには、木材の保護処理などの予防策と定期的な点検が必要です。
防音性が低い
木造住宅は一般的に防音性が低いといわれています。木材は振動を伝えやすく、外部の音が室内に伝わりやすいからです。木材住宅の防音対策としては、二重窓や壁や床の断熱材の使用などが有効だといわれています。
鉄骨のメリットとデメリット
次に鉄骨のメリットとデメリットをみてみましょう。
鉄骨住宅のメリット
強度が強い
強度の高さは、鉄骨住宅のメリットの一つです。鉄の強靭な性質により、建物の耐震性や耐久性が確保されます。鉄骨構造は大きな荷重に対しても安定性を保てるため、地震や自然災害に対する抵抗力も高いです。
火災保険料が比較的安い
鉄骨は燃えにくい素材で耐火性に優れています。そのため、一般的に鉄骨住宅の火災保険料は木造住宅と比較して安い傾向にあります。
品質が安定している
品質が安定していることも鉄骨住宅のメリットの一つです。鉄骨住宅は工場での生産が進んでいます。工場で一定水準の品質管理のもとで生産されるため、建物完成時の品質も高い水準が保たれていることが多いです。
鉄骨住宅のデメリット
断熱性が低い
断熱性が低いことは、鉄骨住宅のデメリットの一つです。鉄には熱を伝えやすいという性質があり、熱伝導率(熱の伝えやすさの指標)は木材よりも圧倒的に高いです。そのため、鉄骨住宅は木造住宅と比べて、夏は室内が熱くなりやすく、冬は寒くなりやすいです。
結露が発生しやすい
断熱性の低さにより室内と室外の温度差が大きくなると、結露が発生することがあります。内部の暖かい空気が外部の冷たい表面に接触することにより、窓枠などに結露が発生するのです。結露はカビの原因になることもあるため、室内の湿気対策や、空気の循環を促すなど、結露を予防するための対策を講じる必要があります。
鉄がさびる可能性がある
鉄部材が外部の湿気や水分と接触することによりさびる可能性があることも鉄骨住宅のデメリットといえます。さびは鉄の強度を低下させ、耐久性に悪影響を及ぼすこともあります。さびを防ぐためには、定期的なメンテナンスや防錆処理などの工夫が必要です。
木造住宅を選ぶ場合の注意点
木造住宅を選ぶ場合の注意点は、下記の通りです。
木材の品質を確認する
食品や衣料品などと同じように木材にも品質の良し悪しがあります。 施工会社が決まったからと安心ではなく、粗悪な住宅にしないためには木材の品質確認が大切です。 例えば、国産針葉樹と国産広葉樹、外国産木材など木造住宅には複数種の木材があり、木造住宅のどこにでも使っていいわけではなく、それぞれの特性により適所があります。
木材が持つ様々な特性 | |
---|---|
耐久性 | 耐水性 |
強度 ・柔軟度 | 菌やシロアリへの耐性 |
重さ、軽さ | 加工のしやすさ |
木目の美しさ |
メジャーな木材であるスギは、柔らかくて加工しやすい特性から幅広い用途に使われており、ヒノキはその強度から100年以上持つ素材と言われ、土台や敷居、縁板に適しています。 いくら安価であるからと言って、水湿・耐水性が弱くシロアリの好む環境を作りやすい特性を持つ木材を土台部分に使ってはいけません。 また、木材のランクも以下のように分類されているようです。
木材の等級 | |
---|---|
無節 | 特一等 |
上小節 | 一等材 |
小節 | 二等材 |
特等 |
木材には枝を伐採する際に「節」ができることがあります。この節が少ないほど上等品とされており、ランクが下がると節が増えるだけでなく、虫食い穴のある木材なども混在しているようです。 建築中に全てを目視で確認することはできませんが、どの木材がどの部分につかわれているか、どの等級の木材を使用するのか、事前に確認しておきましょう。
メンテナンス方法を確認する
天然素材であることから、他の構造よりも雨風などによる劣化を直に受けやすいことが木造住宅の弱点になります。弱点を1つずつ穴埋めしていくためには、定期的なメンテナンスが必要です。 木造の法定耐用年数は22年と短く設定されていますが、メンテナンスで欠陥部分に気付き、早期補修をすることにより何十年も長持ちします。
- 屋根・外壁塗装:10年に1回の周期
- ベランダ防水工事:7~10年に1回の周期 ・防蟻工事:5年に1回の周期
- 給湯器:15~20年に1回の周期
- 水回り交換:15~20年に1回の周期
建物を長持ちさせたいなら、最低限として上記のメンテナンスは行いましょう。 特に屋根・外壁工事は高額になるので、計画的な資金の貯蓄が大切です。
鉄骨住宅を選ぶ場合の注意点
鉄骨住宅を選ぶ場合の注意点は、下記の通りです。
地盤を確認する
鉄骨住宅はその骨組みで使われる材質そのものの重量があることから、地盤が緩いところでは地盤の強度を保つために補強工事が必要となります。 軟弱な地盤の上に鉄骨住宅を建ててしまうと荷重に耐えられず地盤沈下の原因となったり、地震の発生時に強い揺れを引き起こし、最悪のケースでは建物倒壊にも繋がってしまうのです。 今日では建物の安全性を計るために建築士による構造計算がされ、基準を満たす建築物を建てるために地盤改良などが行われますが、鉄骨住宅を選択する際には自身で必ず確認しておきましょう。
断熱性を確認する
先述の通り鉄骨住宅の熱伝導率は高く、外部からの熱気や冷気を室内に伝えやすい特徴があります。 家の中が夏に暑く冬に寒いと人間の身体に負担をかけてしまい、住みやすい環境とは言えません。 断熱材を入れてもらうから安心ではなく、断熱材の種類や断熱性能をしっかりと吟味することが大切です。鉄骨造は木造と違い建築後に断熱材の変更・追加が難しく、建築時の判断が肝となります。
メンテナンス
鉄筋住宅でも、メンテナンスは必要となります。木造住宅と同様に必要となりますので注意が必要です。
- 屋根・外壁塗装:10年に1回の周期
- ベランダ防水工事:7~10年に1回の周期
- 給湯器:15~20年に1回の周期
- 水回り交換:15~20年に1回の周期
【おすすめ関連記事】ワンルーム投資がおすすめの理由とは?メリットや新築と中古の特性を解説
まとめ
本記事では、木造住宅と鉄骨住宅を様々な観点から比較しました。それぞれに良し悪しがあり、一概にどちらの住宅が最適とは言えません。予算や住環境に合わせ、後悔のない選択をしましょう。 ベルテックスでは、不動産投資の専門家による無料オンラインセミナーを開催しています。ご自宅からオンラインでご参加いただけますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
この記事を書いた人
ベルテックスコラム事務局
不動産コンサルタント・税理士
不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。
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新築は鉄骨造と木造のどちらを選ぶべき? メリット・デメリットを解説
- はじめ方・基礎知識
- メリット
年々、木造住宅の割合は減少しており、住宅の非木造化が進んでいます。総務省による「平成20年度 住宅・土地統計調査」少し古い情報になりますが、総務省のデータによると、木造住宅の割合は58.9%、鉄筋・鉄骨コンクリート造などの非木造は41.1%となっています。 また集合住宅(マンション・アパート)と一戸建ての割合では、一戸建ては9割以上が木造であることに対して、集合住宅の約7割が鉄骨造となっています。
この記事では居住や投資などの目的で購入を検討する場合の「木造住宅」と「鉄骨住宅」のメリット、デメリットについて紐解いていきます。
木造住宅と鉄骨住宅の違い
柱など家の骨組みに「木材」を使用している「木造住宅」と鉄骨を使用している「鉄骨住宅」は、それぞれ独自の特性を持っています。 双方にどのような違いがあるのか比較していきましょう。
建築コスト
一般的に「木造は建築コストが安い」と言われていますが、2020年に国土交通省が行った調査結果によると、木造住宅の建築コストは平均坪単価57.1万円でした。対して鉄骨造は91.1万円という結果で、木造の約1.6倍の費用が掛かるということがわかりました。 建売戸建ての平均坪数は約30坪程度ですが、上記の平均坪単価を乗じると木造と鉄骨では建築総額に約1,000万円の差が生じます。これが、日本の一戸建てのほとんどが木造である原因の1つでしょう。
断熱性
断熱性とは、簡単に言うと居室内に外気温が侵入するのを防ぎ、暑さや寒さを断つことにより家の中を住みやすい快適な環境にすることです。鉄骨は木造の350倍ほどよく熱を通すと言われており、熱伝導率が高いです。 外気からの熱を受けやすく「夏に暑く冬に寒い」だけでなく、暖房機器などで室内の温度を上昇させても壁を伝い熱を失いやすいのがデメリットです。 しかし、木造でも冷暖房を使わずに一年中快適には過ごすことはできず、いずれにしても建築時に壁と外壁の間には断熱材を入れる必要があります。 また、冬場は窓から約52%の温かい空気が漏れてしまうと言われており、複合ガラスなど窓に工夫をすることで断熱性能の高い家にすることが可能です。 建築技術の進歩により、鉄骨造でも建築コストをかければ断熱性の高い家づくりをすることができますが、素材そのもので見ると断熱性は木造の方が優れています。
耐震性
「木材よりも鉄骨の方が丈夫そうだから、耐震性は勝っているだろう」と考える人は少なくないでしょう。 しかし、実際にはイメージと異なり木造と軽量鉄骨の耐震性はほぼ同等です。建物は、重量が重いものほど地震のエネルギーを大きく受け取る性質があるため、建物が軽量である木造は他の構造と比較して揺れを小さく受け取ります。 ただし、大型地震後に報道される倒壊情報やテレビに映る映像では、木造の方が大きな被害を受けていると感じるかもしれません。それは、シロアリ被害による骨組みとなる柱の強度が低下していること、地盤補強が緩いことなど、建物を取り巻く様々な環境が関係しているからでしょう。
耐用年数
建物の耐用年数は、確定申告の減価償却計算で用いられる「法定耐用年数」のことを指します。 国税庁が公にしているもので、住宅用の耐用年数はそれぞれ下記の通りです。
構造 | 耐用年数 |
---|---|
木造 | 22年 |
鉄骨造(3mm以下) | 19年 |
鉄骨造(3mmを超え、4mm以下のもの) | 27年 |
鉄骨造(4mmを超えるもの) | 34年 |
鉄骨造は骨材となる鉄の厚みによって耐用年数が異なります。 6mm以上が重量鉄骨と呼ばれており耐用年数も34年と長くなりますが、一般的に住宅メーカーが作る軽量鉄骨造による建築物の大部分は、2.3mmの鉄骨材を使用することがほとんどだと言われており、その場合の耐用年数は19年です。 自然素材の木材は耐用年数が短いと思われがちですが、軽量鉄骨の方が短いケースもあります。 ただし、建物のメンテナンス状況によって寿命は異なり、定期的なメンテナンスを行うことで実際に居住可能な年数を長くすることは可能です。
メンテナンス方法
建物の寿命を延ばすために重要なメンテナンスについて、構造の特性上必要となる方法をお伝えします。 木造は常にシロアリ被害の問題がつきまとうため、5~10年に1回の防蟻工事が必要と言われています。 一般財団法人経済調査会の統計によれば防蟻工事の平均価格は10,725円/坪としており、30坪の一戸建ての場合は、30万円以上のコストがかかります。 また、高額になりがちな屋根・外壁の塗装工事については、木造住宅と鉄骨住宅どちらも必要です。 ただし、その周期に違いがあります。木造は10年に1回と言われていますが、鉄はさびが発生しやすく劣化が早いことから5年に1回の周期でメンテナンスが必要です。 屋根以外でも、さびの腐食が進むと強度が低下してしまい住環境に危険を及ぼすため、定期的にメンテナンスを行う必要があります。 また、配管取替など一部の工事では、鉄骨造は壁そのものを壊さなければならない場合があり、補修に高額な費用を要することもあるようです。
木造住宅のメリットとデメリット
この章では、木造住宅のメリットとデメリットをご紹介します。
木材住宅のメリット
木のぬくもりを感じられる
木材は、自然素材ならではの温かみを持つ素材です。フローリングなど随所に木材のぬくもりを感じることができるでしょう。 木の香りや温かみにより、居心地の良い居住空間を作ることができます。
断熱性が高い
前述した通り、木材には断熱性が高いという特徴があります。外気の温度変化の影響を受けづらいため、室内環境を快適に保つことができ、光熱費の節約にもつながります。
調湿性・通気性が高い
木材は、調湿性や通気性に優れた素材です。湿気を吸収して蓄え、必要な時に放出できます。そのため、自然に室内の湿度や空気の質が調整されて快適に過ごせます。
木材住宅のデメリット
職人の技術により品質に差が生じる
木造住宅のデメリットの一つは、職人の技術により品質に差が生じることです。職人の技術の差や施工の質によって、建物の強度や耐久性などに大きな差が生じることもあります。
害虫の被害が発生しやすい
木造住宅は木材を主な構造材として使用しているため、害虫の被害が発生しやすい傾向があります。特に、木材を餌としているシロアリなどの害虫が発生すると、建物の構造部分を傷めるおそれがあります。このような被害を防ぐためには、木材の保護処理などの予防策と定期的な点検が必要です。
防音性が低い
木造住宅は一般的に防音性が低いといわれています。木材は振動を伝えやすく、外部の音が室内に伝わりやすいからです。木材住宅の防音対策としては、二重窓や壁や床の断熱材の使用などが有効だといわれています。
鉄骨のメリットとデメリット
次に鉄骨のメリットとデメリットをみてみましょう。
鉄骨住宅のメリット
強度が強い
強度の高さは、鉄骨住宅のメリットの一つです。鉄の強靭な性質により、建物の耐震性や耐久性が確保されます。鉄骨構造は大きな荷重に対しても安定性を保てるため、地震や自然災害に対する抵抗力も高いです。
火災保険料が比較的安い
鉄骨は燃えにくい素材で耐火性に優れています。そのため、一般的に鉄骨住宅の火災保険料は木造住宅と比較して安い傾向にあります。
品質が安定している
品質が安定していることも鉄骨住宅のメリットの一つです。鉄骨住宅は工場での生産が進んでいます。工場で一定水準の品質管理のもとで生産されるため、建物完成時の品質も高い水準が保たれていることが多いです。
鉄骨住宅のデメリット
断熱性が低い
断熱性が低いことは、鉄骨住宅のデメリットの一つです。鉄には熱を伝えやすいという性質があり、熱伝導率(熱の伝えやすさの指標)は木材よりも圧倒的に高いです。そのため、鉄骨住宅は木造住宅と比べて、夏は室内が熱くなりやすく、冬は寒くなりやすいです。
結露が発生しやすい
断熱性の低さにより室内と室外の温度差が大きくなると、結露が発生することがあります。内部の暖かい空気が外部の冷たい表面に接触することにより、窓枠などに結露が発生するのです。結露はカビの原因になることもあるため、室内の湿気対策や、空気の循環を促すなど、結露を予防するための対策を講じる必要があります。
鉄がさびる可能性がある
鉄部材が外部の湿気や水分と接触することによりさびる可能性があることも鉄骨住宅のデメリットといえます。さびは鉄の強度を低下させ、耐久性に悪影響を及ぼすこともあります。さびを防ぐためには、定期的なメンテナンスや防錆処理などの工夫が必要です。
木造住宅を選ぶ場合の注意点
木造住宅を選ぶ場合の注意点は、下記の通りです。
木材の品質を確認する
食品や衣料品などと同じように木材にも品質の良し悪しがあります。 施工会社が決まったからと安心ではなく、粗悪な住宅にしないためには木材の品質確認が大切です。 例えば、国産針葉樹と国産広葉樹、外国産木材など木造住宅には複数種の木材があり、木造住宅のどこにでも使っていいわけではなく、それぞれの特性により適所があります。
木材が持つ様々な特性 | |
---|---|
耐久性 | 耐水性 |
強度 ・柔軟度 | 菌やシロアリへの耐性 |
重さ、軽さ | 加工のしやすさ |
木目の美しさ |
メジャーな木材であるスギは、柔らかくて加工しやすい特性から幅広い用途に使われており、ヒノキはその強度から100年以上持つ素材と言われ、土台や敷居、縁板に適しています。 いくら安価であるからと言って、水湿・耐水性が弱くシロアリの好む環境を作りやすい特性を持つ木材を土台部分に使ってはいけません。 また、木材のランクも以下のように分類されているようです。
木材の等級 | |
---|---|
無節 | 特一等 |
上小節 | 一等材 |
小節 | 二等材 |
特等 |
木材には枝を伐採する際に「節」ができることがあります。この節が少ないほど上等品とされており、ランクが下がると節が増えるだけでなく、虫食い穴のある木材なども混在しているようです。 建築中に全てを目視で確認することはできませんが、どの木材がどの部分につかわれているか、どの等級の木材を使用するのか、事前に確認しておきましょう。
メンテナンス方法を確認する
天然素材であることから、他の構造よりも雨風などによる劣化を直に受けやすいことが木造住宅の弱点になります。弱点を1つずつ穴埋めしていくためには、定期的なメンテナンスが必要です。 木造の法定耐用年数は22年と短く設定されていますが、メンテナンスで欠陥部分に気付き、早期補修をすることにより何十年も長持ちします。
- 屋根・外壁塗装:10年に1回の周期
- ベランダ防水工事:7~10年に1回の周期 ・防蟻工事:5年に1回の周期
- 給湯器:15~20年に1回の周期
- 水回り交換:15~20年に1回の周期
建物を長持ちさせたいなら、最低限として上記のメンテナンスは行いましょう。 特に屋根・外壁工事は高額になるので、計画的な資金の貯蓄が大切です。
鉄骨住宅を選ぶ場合の注意点
鉄骨住宅を選ぶ場合の注意点は、下記の通りです。
地盤を確認する
鉄骨住宅はその骨組みで使われる材質そのものの重量があることから、地盤が緩いところでは地盤の強度を保つために補強工事が必要となります。 軟弱な地盤の上に鉄骨住宅を建ててしまうと荷重に耐えられず地盤沈下の原因となったり、地震の発生時に強い揺れを引き起こし、最悪のケースでは建物倒壊にも繋がってしまうのです。 今日では建物の安全性を計るために建築士による構造計算がされ、基準を満たす建築物を建てるために地盤改良などが行われますが、鉄骨住宅を選択する際には自身で必ず確認しておきましょう。
断熱性を確認する
先述の通り鉄骨住宅の熱伝導率は高く、外部からの熱気や冷気を室内に伝えやすい特徴があります。 家の中が夏に暑く冬に寒いと人間の身体に負担をかけてしまい、住みやすい環境とは言えません。 断熱材を入れてもらうから安心ではなく、断熱材の種類や断熱性能をしっかりと吟味することが大切です。鉄骨造は木造と違い建築後に断熱材の変更・追加が難しく、建築時の判断が肝となります。
メンテナンス
鉄筋住宅でも、メンテナンスは必要となります。木造住宅と同様に必要となりますので注意が必要です。
- 屋根・外壁塗装:10年に1回の周期
- ベランダ防水工事:7~10年に1回の周期
- 給湯器:15~20年に1回の周期
- 水回り交換:15~20年に1回の周期
【おすすめ関連記事】ワンルーム投資がおすすめの理由とは?メリットや新築と中古の特性を解説
まとめ
本記事では、木造住宅と鉄骨住宅を様々な観点から比較しました。それぞれに良し悪しがあり、一概にどちらの住宅が最適とは言えません。予算や住環境に合わせ、後悔のない選択をしましょう。 ベルテックスでは、不動産投資の専門家による無料オンラインセミナーを開催しています。ご自宅からオンラインでご参加いただけますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
この記事を書いた人
ベルテックスコラム事務局
不動産コンサルタント・税理士
不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。