2024.02.29

市況

ベルテックスコラム事務局

2024年からの新NISAの変更点と押さえておくべきポイントを解説

  • 投資の種類・方法
  • 資産形成
  • NISA
  • iDeCo

日本では毎年、様々な制度の改正が行われていますが、中でも注目されているのは2024年の「新NISA制度」の改正です。 投資による運用益が非課税になるNISA制度が、投資枠の拡大や非課税保有期間の恒久化など、内容をパワーアップして新設される予定で、今後の資産形成には不可欠な存在となりそうです。

この記事では、新NISAについて概要やポイント、2023年までの旧NISAとの比較も交えて解説していきます。さらに新NISAによる実際の資産運用シミュレーション結果もお伝えしますので、NISAの活用を検討している方は、ぜひ参考にしてみて下さい。

新NISAの概要

新しいNISA制度「通称:新NISA」の誕生は、遡ること3年前、2020年度の税制改正大綱での見直し・延長決定に起因します。

NISA制度の政策目的である成長資金の供給拡大を促しつつ、同時に私たち消費者にとって「家計の安定的な資産形成」を推し進めていくことも大きな狙いの1つです。

本大綱では、「家計の安定的な資産形成」の観点から、「つみたてNISAの5年間延長」「一般NISAを改組し、24年間の措置」「ジュニアNISAを延長せずに23年末に終了」の3つをパッケージとして、対策をとる方針が掲げられました。

【新NISA制度】

  つみたて投資枠 成長投資枠
年間投資枠 120万円 240万円
非課税保有期間 無期限化
非課税保有期間限度額 1,800万円
※薄価残高方式で管理 (枠の再利用が可能)
※成長投資枠は上限1,200万
口座開設期間 恒久化
投資対象商品 長期の積立・分散投資に適した 一定の投資信託 上場株式・投資信託等 整理・監理銘柄
対象年齢 18歳以上

 ※上記表に関する注意事項詳細は、金融庁HP「新しいNISA」より直接ご確認下さい。

新NISA制度の誕生で最も改良された点は、つみたて投資枠と成長投資枠2つの制度の併用が認められることです。 それぞれ拡充された制度の併用によって、老後資金をより現実的に形成できる反面、今後は国民一人一人が自分の老後資金は自分で補っていくことがより一層求められるでしょう。 新NISA制度の特徴については、「新NISAの押さえておくべきポイント」の章でより詳しく解説していきます。

新旧NISAの比較

私たち利用者にとって、2023年までのNISA(以下、「旧NISA」)と比較して、新NISAがどのように改正されたのか、が気になるところでしょう。

【旧NISA制度】

  つみたてNISA
(2018年創設)
一般NISA
(2014年創設)
年間投資枠 40万円 120万円
非課税保有期間 20年間 5年間
非課税保有期間限度額 800万円 600万円
口座開設期間 2023年まで
投資対象商品 長期の積立・分散投資に適した 一定の投資信託 上場株式・投資信託等
対象年齢 18歳以上
現行制度との関係 2023年末までに現行の一般NISA及びつみたてNISA制度において投資した商品は、
新しい制度の外枠で、現行制度における非課税措置を適用
※現行制度から新しい制度へのロールオーバーは不可

【参照元】金融庁HP「新しいNISA」より

旧NISA制度ではつみたてNISAと一般NISAは併用ができず、どちらかの利用では投資対象商品にも限りがあったため、実際に運用をしても、少々限定的なところがありました。
新NISAでは、運用益に大きく影響する「年間投資枠」「非課税保有期間」「非課税保有限度額」すべての内容において改良・拡充されるため、投資をスタートさせるのには良いタイミングとなるでしょう。

すでに旧NISA口座を所有している人の中には、「新NISAへの移行手続きを行わなくてはならない」と思っている人がいますが、新・旧NISAは併用が可能です 詳しくは後述しますが、新NISAでは生涯最大1,800万円まで非課税で運用が可能です。

そのため、2023年末の終了までに旧NISAの口座開設をすると、新NISAの最大1,800万円の非課税保有限度額とは切り離して、つみたてNISAなら最大40万円、一般NISAなら最大120万円分の非課税枠を持つことができます。 両者の併用でよりお得に資産運用ができますので、新NISA制度で初めての投資を検討している方は、2023年末までに旧NISAの口座開設をしてみてはいかがでしょうか。

新NISAの押さえておくべきポイント

旧NISAの役割を継承しつつ内容が拡充され、新NISAはより使いやすくお得を感じられる制度になりました。 新NISAについて、改正された以下5つの特徴をより詳しくみていきましょう。

1.つみたて投資枠・成長投資枠の同時併用化

旧NISA制度では、つみたてNISAと一般NISAの併用が認められておらず、利用者にとっては物足りないと感じることも多くありました。旧制度では、つみたてNISAから一般NISAへの変更、また、その反対をするにしても、切り替えのタイミングは1年に1度しか設けられていませんでした。

NISAは将来に向けて資産形成をする意図があり、そもそも長期投資スタイルのつみたてNISAを途中で切り替えてしまうと、運用益の恩恵が受けづらくなるデメリットがあります。 また、運用する商品についても国内外問わず株式投資は一般NISAでしか扱われないため、株式投資をしたい方は必然的に一般NISAの利用に限られていたのです。

これらの使いづらさを考慮して、新NISAではつみたてNISAの側面を持つ「つみたて投資枠」と、一般NISAの側面を持つ「成長投資枠」の2本建てで新設され、同時併用が可能になりました。

同時併用により柔軟性が広がることで、投資枠の使い分けが実現できるようになります。 たとえばつみたてNISAで老後の資産形成を図りたいが、まとまった預金もあるので、株式を購入して株主優待も受けたい、というような考えを持つ人が挙げられます。

2.年間投資枠の拡大

新NISAでは、年間の投資枠が大幅に拡充されたことにより、利益をより享受しやすい形に生まれ変わりました。
新NISAの年間投資枠は、つみたて投資枠が120万円、成長投資枠が240万円に引き上げられ、同時併用により最大で年間360万円までの商品買い付けが可能です。 旧NISAにおいて、つみたてNISAの年間投資枠は40万円が限度なので、比較すると9倍も投資枠が広がることになります。

また、一般NISAの年間投資額は120万円ですが、単元株は100株単位での購入が原則です。 そのため、人気な銘柄の株式を新規買い付けしたくても、最低口数で120万円の枠からはみ出してしまい、購入希望の銘柄が買えない事例もみられました。 投資枠の拡大によって年間の投資可能な限度額のアップのみならず、買い付けできる商品の幅も広がることが期待されます。

3.非課税期間の恒久化

通常、投資で利益が発生した場合、利益額に対して約20%の税金が課されます。 NISA制度では一定期間の非課税制度が設けられており、期間内であれば利益に対して課税されないのがメリットですが、新NISAではこの非課税期間が恒久化(無期限化)されました。

旧NISAの一般NISAでは、保有する商品が非課税対象である5年の期間を満了すると、ロールオーバーをして期間延長の手続きを行う、もしくは課税口座への移管が必要で、いずれにしても煩わしさが否めませんでした。 しかし、今回改正された非課税期間の恒久化によって、これらの煩わしい手間がかからず長期保有・運用ができるようになります。

4.最大利用可能額の増加

新NISAでは、成人一人あたりにおける生涯の非課税保有限度額も大幅に増額して、つみたて投資枠と成長投資枠を合計した1,800万円が上限額になります。

旧NISAの非課税保有限度額は、つみたてNISAが最大800万円、一般NISAが最大600万円で、両者の併用は認められていないため、比較すると2.25~3倍ほどの拡充です。

非課税期間の恒久化により、もし子供の教育費による支出が多く、投資にお金を回せないタイミングが訪れても、非課税保有限度額1,800万円以内であれば生涯いつでも利用できるようになります。

5.売却分の投資枠が再利用可能

新NISAでの非課税保有限度額について解説しましたが、さらに、この非課税保有限度額内において売却分の投資枠を再利用できることも決定しています。

どういうことかと言うと、従来の旧NISAでは非課税期間中に商品を売却しても、非課税保有限度額には特に関係はありませんでしたが、新NISAの改正では売却によってその分の投資枠を空け、再度買い付け可能になるのです。

たとえば非課税保有限度額1,700万円分を満たしているから残り100万円しか新規買い付けができない状況でも、1,700万円の保有分のうち300万円で買い付けた商品を売却し、300万円分の枠を空けることで合計400万円の新規買い付けが可能になります。 再利用により、実質的には非課税限度額1,800万円を超えて、非課税投資できる可能性があるのです。

新NISAの資産運用シミュレーション

では、新NISAの条件である非課税保有限度額1,800万円をもとにして、資産運用シミュレーションをしてみましょう。非課税保有限度額の1,800万円は買い付け額(元本)ベースでの上限となるため、利益が大きくなったとしても運用収益分は課税対象にはなりません。

※下記シミュレーション結果は、金融庁HPのシミュレーションソフトにより試算したものです。

1.毎月5万円を30年積み立て 年利3%と5%の比較
【年利3%の場合】

元本1,800万円に対する最終運用成果は2,913万6,844円、運用収益は1,113万6,844円です。

【年利5%の場合】

元本1,800万円に対する最終運用成果は4,161万2,932円、運用収益は2,3612万,932円です。

2.毎月10万円を15年間積み立て 年利3%と5%の比較

【年利3%の場合】

元本1,800万円に対する最終運用成果は2,269万7,269円、運用収益は469万7,269円です。

【年利5%の場合】

元本1,800万円に対する最終運用成果は2,672万8,894円、運用収益は872万8,894円です。

ご覧の通り、本シミュレーションによれば、毎月の積立金額が少なくても、長期で運用する方が大きな運用収益を得られることが分かりました。 限度額が広がった影響で旧NISAよりも多くの資産形成が行えるようになったことが分かります。

NISA以外にもおすすめの投資を紹介

iDeCo

NISAと同様に老後資金の準備のための方法として注目されているのが、iDeCo(個人型確定拠出年金)です。iDeCoの特徴として、掛金が全額所得控除されること、運用益も非課税で再投資できること、受け取り時にも控除の対象になることがあげられます。iDeCoのデメリットは、掛金に上限があること、原則60歳までは引き出せないことです。

NISAと組み合わせれば、老後に向けた資産形成がさらに加速するでしょう。

不動産投資

NISAやiDeCoは自己資金を使って運用することになるので、毎月の拠出が難しいという方には不動産投資がおすすめです。不動産投資は、マンションやアパートを購入して、入居者から家賃収入を得る投資です。

不動産は価格が高いので、非常に多くの自己資金が必要になると思われがちですが、自己資金をほとんど使わずに始める方法もあります。購入時に金融機関からの融資を活用すればほとんど自己資金を使わずに取り組むことが可能です。ローンの返済も入居者からの家賃収入でまかなえば、月々の手出しが少なく済みます。ローン完済後には家賃収入が手元に残るのでNISAやiDeCoと同様に老後資金のための資産形成として注目されています。

まとめ

この記事では、2024年より新設される新NISA制度に関する概要やポイントについて解説しました。 新NISA制度の内容について、曖昧であった部分が理解できたでしょうか。 制度の拡充で大きなメリットが期待される新NISAですが、旧NISAとの併用でよりお得に資産形成をすることができます。

また、シミュレーションにより長期運用で大きな収益化が期待できると判明し、若いうちからの資産形成が、将来的にはとても有利に働くことが明らかになりました。 旧NISAは2023年末で終了してしまいますので、併用することで多くの恩恵を受けたい方は、旧NISA口座開設をお急ぎ下さい。

ベルテックスでは不動産投資やその他の資産運用にまつわる資産形成セミナーを開催しています。ご自宅からオンラインでご参加いただけますので、より詳しく話を聞いてみたい方はぜひお気軽にお問い合わせください。

この記事を書いた人

ベルテックスコラム事務局

不動産コンサルタント・税理士

不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。

2024.02.29

市況

ベルテックスコラム事務局

2024年からの新NISAの変更点と押さえておくべきポイントを解説

  • 投資の種類・方法
  • 資産形成
  • NISA
  • iDeCo

日本では毎年、様々な制度の改正が行われていますが、中でも注目されているのは2024年の「新NISA制度」の改正です。 投資による運用益が非課税になるNISA制度が、投資枠の拡大や非課税保有期間の恒久化など、内容をパワーアップして新設される予定で、今後の資産形成には不可欠な存在となりそうです。

この記事では、新NISAについて概要やポイント、2023年までの旧NISAとの比較も交えて解説していきます。さらに新NISAによる実際の資産運用シミュレーション結果もお伝えしますので、NISAの活用を検討している方は、ぜひ参考にしてみて下さい。

新NISAの概要

新しいNISA制度「通称:新NISA」の誕生は、遡ること3年前、2020年度の税制改正大綱での見直し・延長決定に起因します。

NISA制度の政策目的である成長資金の供給拡大を促しつつ、同時に私たち消費者にとって「家計の安定的な資産形成」を推し進めていくことも大きな狙いの1つです。

本大綱では、「家計の安定的な資産形成」の観点から、「つみたてNISAの5年間延長」「一般NISAを改組し、24年間の措置」「ジュニアNISAを延長せずに23年末に終了」の3つをパッケージとして、対策をとる方針が掲げられました。

【新NISA制度】

  つみたて投資枠 成長投資枠
年間投資枠 120万円 240万円
非課税保有期間 無期限化
非課税保有期間限度額 1,800万円
※薄価残高方式で管理 (枠の再利用が可能)
※成長投資枠は上限1,200万
口座開設期間 恒久化
投資対象商品 長期の積立・分散投資に適した 一定の投資信託 上場株式・投資信託等 整理・監理銘柄
対象年齢 18歳以上

 ※上記表に関する注意事項詳細は、金融庁HP「新しいNISA」より直接ご確認下さい。

新NISA制度の誕生で最も改良された点は、つみたて投資枠と成長投資枠2つの制度の併用が認められることです。 それぞれ拡充された制度の併用によって、老後資金をより現実的に形成できる反面、今後は国民一人一人が自分の老後資金は自分で補っていくことがより一層求められるでしょう。 新NISA制度の特徴については、「新NISAの押さえておくべきポイント」の章でより詳しく解説していきます。

新旧NISAの比較

私たち利用者にとって、2023年までのNISA(以下、「旧NISA」)と比較して、新NISAがどのように改正されたのか、が気になるところでしょう。

【旧NISA制度】

  つみたてNISA
(2018年創設)
一般NISA
(2014年創設)
年間投資枠 40万円 120万円
非課税保有期間 20年間 5年間
非課税保有期間限度額 800万円 600万円
口座開設期間 2023年まで
投資対象商品 長期の積立・分散投資に適した 一定の投資信託 上場株式・投資信託等
対象年齢 18歳以上
現行制度との関係 2023年末までに現行の一般NISA及びつみたてNISA制度において投資した商品は、
新しい制度の外枠で、現行制度における非課税措置を適用
※現行制度から新しい制度へのロールオーバーは不可

【参照元】金融庁HP「新しいNISA」より

旧NISA制度ではつみたてNISAと一般NISAは併用ができず、どちらかの利用では投資対象商品にも限りがあったため、実際に運用をしても、少々限定的なところがありました。
新NISAでは、運用益に大きく影響する「年間投資枠」「非課税保有期間」「非課税保有限度額」すべての内容において改良・拡充されるため、投資をスタートさせるのには良いタイミングとなるでしょう。

すでに旧NISA口座を所有している人の中には、「新NISAへの移行手続きを行わなくてはならない」と思っている人がいますが、新・旧NISAは併用が可能です 詳しくは後述しますが、新NISAでは生涯最大1,800万円まで非課税で運用が可能です。

そのため、2023年末の終了までに旧NISAの口座開設をすると、新NISAの最大1,800万円の非課税保有限度額とは切り離して、つみたてNISAなら最大40万円、一般NISAなら最大120万円分の非課税枠を持つことができます。 両者の併用でよりお得に資産運用ができますので、新NISA制度で初めての投資を検討している方は、2023年末までに旧NISAの口座開設をしてみてはいかがでしょうか。

新NISAの押さえておくべきポイント

旧NISAの役割を継承しつつ内容が拡充され、新NISAはより使いやすくお得を感じられる制度になりました。 新NISAについて、改正された以下5つの特徴をより詳しくみていきましょう。

1.つみたて投資枠・成長投資枠の同時併用化

旧NISA制度では、つみたてNISAと一般NISAの併用が認められておらず、利用者にとっては物足りないと感じることも多くありました。旧制度では、つみたてNISAから一般NISAへの変更、また、その反対をするにしても、切り替えのタイミングは1年に1度しか設けられていませんでした。

NISAは将来に向けて資産形成をする意図があり、そもそも長期投資スタイルのつみたてNISAを途中で切り替えてしまうと、運用益の恩恵が受けづらくなるデメリットがあります。 また、運用する商品についても国内外問わず株式投資は一般NISAでしか扱われないため、株式投資をしたい方は必然的に一般NISAの利用に限られていたのです。

これらの使いづらさを考慮して、新NISAではつみたてNISAの側面を持つ「つみたて投資枠」と、一般NISAの側面を持つ「成長投資枠」の2本建てで新設され、同時併用が可能になりました。

同時併用により柔軟性が広がることで、投資枠の使い分けが実現できるようになります。 たとえばつみたてNISAで老後の資産形成を図りたいが、まとまった預金もあるので、株式を購入して株主優待も受けたい、というような考えを持つ人が挙げられます。

2.年間投資枠の拡大

新NISAでは、年間の投資枠が大幅に拡充されたことにより、利益をより享受しやすい形に生まれ変わりました。
新NISAの年間投資枠は、つみたて投資枠が120万円、成長投資枠が240万円に引き上げられ、同時併用により最大で年間360万円までの商品買い付けが可能です。 旧NISAにおいて、つみたてNISAの年間投資枠は40万円が限度なので、比較すると9倍も投資枠が広がることになります。

また、一般NISAの年間投資額は120万円ですが、単元株は100株単位での購入が原則です。 そのため、人気な銘柄の株式を新規買い付けしたくても、最低口数で120万円の枠からはみ出してしまい、購入希望の銘柄が買えない事例もみられました。 投資枠の拡大によって年間の投資可能な限度額のアップのみならず、買い付けできる商品の幅も広がることが期待されます。

3.非課税期間の恒久化

通常、投資で利益が発生した場合、利益額に対して約20%の税金が課されます。 NISA制度では一定期間の非課税制度が設けられており、期間内であれば利益に対して課税されないのがメリットですが、新NISAではこの非課税期間が恒久化(無期限化)されました。

旧NISAの一般NISAでは、保有する商品が非課税対象である5年の期間を満了すると、ロールオーバーをして期間延長の手続きを行う、もしくは課税口座への移管が必要で、いずれにしても煩わしさが否めませんでした。 しかし、今回改正された非課税期間の恒久化によって、これらの煩わしい手間がかからず長期保有・運用ができるようになります。

4.最大利用可能額の増加

新NISAでは、成人一人あたりにおける生涯の非課税保有限度額も大幅に増額して、つみたて投資枠と成長投資枠を合計した1,800万円が上限額になります。

旧NISAの非課税保有限度額は、つみたてNISAが最大800万円、一般NISAが最大600万円で、両者の併用は認められていないため、比較すると2.25~3倍ほどの拡充です。

非課税期間の恒久化により、もし子供の教育費による支出が多く、投資にお金を回せないタイミングが訪れても、非課税保有限度額1,800万円以内であれば生涯いつでも利用できるようになります。

5.売却分の投資枠が再利用可能

新NISAでの非課税保有限度額について解説しましたが、さらに、この非課税保有限度額内において売却分の投資枠を再利用できることも決定しています。

どういうことかと言うと、従来の旧NISAでは非課税期間中に商品を売却しても、非課税保有限度額には特に関係はありませんでしたが、新NISAの改正では売却によってその分の投資枠を空け、再度買い付け可能になるのです。

たとえば非課税保有限度額1,700万円分を満たしているから残り100万円しか新規買い付けができない状況でも、1,700万円の保有分のうち300万円で買い付けた商品を売却し、300万円分の枠を空けることで合計400万円の新規買い付けが可能になります。 再利用により、実質的には非課税限度額1,800万円を超えて、非課税投資できる可能性があるのです。

新NISAの資産運用シミュレーション

では、新NISAの条件である非課税保有限度額1,800万円をもとにして、資産運用シミュレーションをしてみましょう。非課税保有限度額の1,800万円は買い付け額(元本)ベースでの上限となるため、利益が大きくなったとしても運用収益分は課税対象にはなりません。

※下記シミュレーション結果は、金融庁HPのシミュレーションソフトにより試算したものです。

1.毎月5万円を30年積み立て 年利3%と5%の比較
【年利3%の場合】

元本1,800万円に対する最終運用成果は2,913万6,844円、運用収益は1,113万6,844円です。

【年利5%の場合】

元本1,800万円に対する最終運用成果は4,161万2,932円、運用収益は2,3612万,932円です。

2.毎月10万円を15年間積み立て 年利3%と5%の比較

【年利3%の場合】

元本1,800万円に対する最終運用成果は2,269万7,269円、運用収益は469万7,269円です。

【年利5%の場合】

元本1,800万円に対する最終運用成果は2,672万8,894円、運用収益は872万8,894円です。

ご覧の通り、本シミュレーションによれば、毎月の積立金額が少なくても、長期で運用する方が大きな運用収益を得られることが分かりました。 限度額が広がった影響で旧NISAよりも多くの資産形成が行えるようになったことが分かります。

NISA以外にもおすすめの投資を紹介

iDeCo

NISAと同様に老後資金の準備のための方法として注目されているのが、iDeCo(個人型確定拠出年金)です。iDeCoの特徴として、掛金が全額所得控除されること、運用益も非課税で再投資できること、受け取り時にも控除の対象になることがあげられます。iDeCoのデメリットは、掛金に上限があること、原則60歳までは引き出せないことです。

NISAと組み合わせれば、老後に向けた資産形成がさらに加速するでしょう。

不動産投資

NISAやiDeCoは自己資金を使って運用することになるので、毎月の拠出が難しいという方には不動産投資がおすすめです。不動産投資は、マンションやアパートを購入して、入居者から家賃収入を得る投資です。

不動産は価格が高いので、非常に多くの自己資金が必要になると思われがちですが、自己資金をほとんど使わずに始める方法もあります。購入時に金融機関からの融資を活用すればほとんど自己資金を使わずに取り組むことが可能です。ローンの返済も入居者からの家賃収入でまかなえば、月々の手出しが少なく済みます。ローン完済後には家賃収入が手元に残るのでNISAやiDeCoと同様に老後資金のための資産形成として注目されています。

まとめ

この記事では、2024年より新設される新NISA制度に関する概要やポイントについて解説しました。 新NISA制度の内容について、曖昧であった部分が理解できたでしょうか。 制度の拡充で大きなメリットが期待される新NISAですが、旧NISAとの併用でよりお得に資産形成をすることができます。

また、シミュレーションにより長期運用で大きな収益化が期待できると判明し、若いうちからの資産形成が、将来的にはとても有利に働くことが明らかになりました。 旧NISAは2023年末で終了してしまいますので、併用することで多くの恩恵を受けたい方は、旧NISA口座開設をお急ぎ下さい。

ベルテックスでは不動産投資やその他の資産運用にまつわる資産形成セミナーを開催しています。ご自宅からオンラインでご参加いただけますので、より詳しく話を聞いてみたい方はぜひお気軽にお問い合わせください。

この記事を書いた人

ベルテックスコラム事務局

不動産コンサルタント・税理士

不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。