2023.10.17

市況

ベルテックスコラム事務局

今後の不動産価格はどうなる?最新の不動産市況を解説

  • 日本の現状

現在の経済市況は変動の激しい局面が続いています。コロナウイルスの世界的なパンデミックの影響や新たなテクノロジーの浸透により、投資環境は複雑化しています。こうした中でも、将来不安は続いていますから、着実な資産形成が求められています。このような経済市況だからこそ、柔軟性を持った投資戦略が重要です。リスクを分散し、将来対策に向けた一歩を踏み出すために、不動産投資は魅力的な選択肢です。

今回は、変化する経済に適応する資産形成のアプローチとして、不動産投資の利点に加え、リスクヘッジの手法や最新の不動産市況についても解説します。

2023年の不動産市場規模

2023年3月末時点での日本の不動産市況は、引き続き好調な成績を示しています。コロナ禍を経てもなお、市場は堅調な伸びを見せており、特に収益不動産が注目を集めています。ニッセイ基礎研究所と価値総合研究所の共同調査によれば、2023年3月末時点での収益不動産の資産規模は約289.5兆円と推計されています。この数字は前回調査から+13.9兆円増加したもので、増加率は5%に達しています

この資産規模の増加を詳しく見てみると、特に「賃貸住宅」、「商業施設」、「物流施設」といった分野での成長が顕著です。
具体的には、「賃貸住宅」の資産規模は約77.1兆円で、前回調査から7%の増加を記録しました住宅需要の安定性や将来への期待が背景にあり、投資家の関心を集めています。「商業施設」も同様に成長を続け、約67.7兆円の資産規模を有しています。都市部の商業施設の需要は依然として高く、その影響が投資市場にも反映されています。

また、「物流施設」も前回調査から13%の増加率で資産規模を拡大し、約31. 7兆円に達しました。オンラインショッピングの普及などによる物流需要の増加が、この成長に寄与しています。

これに対して、「オフィス」は前回調査から1%の縮小を記録し、約103. 1兆円の資産規模となりました。テレワークの普及などにより、オフィススペースへの需要が変動している影響が見られます。

まとめると2023年の不動産市況は収益不動産の資産規模の拡大が続いており、特に賃貸住宅、商業施設、物流施設といった分野での成長が顕著です。これにより、投資家は将来に向けた収益を期待して不動産投資を積極的に検討する傾向が見受けられます。市場の変動にも柔軟に対応しつつ、資産形成を考える際には、これらの成長分野に注目することが重要です。

不動産価格はなぜ上昇しているのか

近年、日本国内における不動産価格の上昇が著しく、その背後には様々な要因が存在しています。建築費用の高騰、地価上昇、金融緩和政策の影響、そして投資用物件への人気上昇などの要素が複合的に作用し、不動産市況の動向を形成しています。

以下、それぞれの要因について詳しく見ていきましょう。

建築費用の高騰

現在の不動産市況では、建築費用の高騰が起きています。原材料価格の上昇や人材不足、環境規制の厳格化などが影響していますこれらの影響が不動産価格にも及び、開発者や投資家に悩みをもたらしています。
建築費用の高騰緩和には、効率的な供給チェーンの構築や技術革新、労働力の確保が必要です。需給バランスの調整と投資促進も考慮されており、これらの取り組みが市場の安定成長に寄与することが期待されます。

地価上昇

不動産価格の上昇の要因として、都市部や人口密集地域での土地の希少性による地価上昇が挙げられます。人口増加や都市化により住宅や商業施設の需要が増し、限られた土地面積内でこれを収容するために土地価値が高まっています。さらに、土地の利用制限や都市計画が供給を制約し、需要と供給のアンバランスが生じています
特に駅や交通インフラの近くの土地は需要が高く、地域の発展が地価上昇に影響を与えています。この地価上昇は不動産開発や投資に影響を与えます。

金融緩和政策の影響

金融緩和政策も不動産価格の上昇に大きな影響を及ぼしています。低金利政策により住宅ローン金利が低下し、不動産の購入が容易になりました。金融機関からの融資供給も増加し、需要が高まり価格上昇が促進されています。
政策は方針転換もありますから、政策に応じた投資や、動向の監視が重要です。

投資用物件への人気上昇

近年、投資用物件への関心が高まっています。不動産は安定収益の見込みや低金利環境、国内外の需要拡大などから魅力的とされ、将来の収益を追求する投資家に選ばれています。賃貸収入やリース料による安定したキャッシュフローや、経済変動への強さが魅力です。金や不動産投資といった実物資産はコロナ禍やウクライナ侵攻といった不安定な世界情勢の動きの中でも強く、安定した投資商材に人気が集まったとも考えられます
このように、不動産市場の価格上昇は、金融政策や需要の増加、投資家の傾向が影響しています。将来のリスクヘッジや収益性・安定性といった観点で、不動産投資は2023年でも有効な投資商材と言えるでしょう。

不動産市況の動向を予測するツール

不動産市況の動向を予測するためには、正確な情報と分析が欠かせません。近年、不動産市況の動向を予測し、トレンドを把握するための様々なツールが登場しています。これらのツールは、投資家に価値ある情報を提供する役割を果たしています。以下では、主要な不動産市況予測ツールについて紹介していきます。

不動産市況を予測する方法

不動産市場の未来を予測することは、投資家や市場関係者にとって重要な課題です。市況の動向を正しく把握し、トレンドを読み取ることは、収益を最大化するための鍵となります。
幸いにも、現代の技術とデータ解析の進展により、多くのツールが登場し、不動産市況を予測する手段が増えています。以下では、主要な方法として「レインズマーケットインフォメーション」「不動産価格指数」、「不動産ポータルサイト」、「土地総合情報システム」、「公示地価」という4つのアプローチを紹介していきます。これらの方法を組み合わせることで、より精緻な市況予測が可能となるでしょう。

レインズマーケットインフォメーション

初めに紹介するのは、「レインズマーケットインフォメーション」です。全国の成約価格データを提供するプラットフォームで不動産会社のみが利用でき、一般の方は見る事は出来ません
信頼性の高い情報源で、物件の種別や地域を選択して過去の取引価格を調査できます。売買時に過去の価格を参考にし、現実的な価格設定や交渉ができます。毎月のデータ更新で市況の変動やトレンドを把握し、透明性を高める一助となります。不動産投資をする際、不動産投資会社を利用した方が良い理由の一つとして、レインズを活用した多くの事例を踏まえた提案を受けられる点があげられます。

不動産価格指数

不動産市況の把握に欠かせない不動産価格指数について詳しく見ていきます。国土交通省が年間30万件以上の不動産取引価格を数値化しているこの指標は、市場の動向と予測をサポートします。価格指数は月ごとに国土交通省のホームページで公表され、ベース期間の価格を100として変動率を示します。これにより市場の上昇・下落が分かり、過去の変化を基に将来の傾向を予測するのに役立ちます。
価格指数は全体だけでなく地域や物件タイプにも適用され、詳細な分析が可能です。しかし、単独では市況を正確に捉えるのは難しいため、他のアプローチと組み合わせることでより精度の高い市場分析が可能になります。

不動産ポータルサイト

不動産ポータルサイトは、不動産の売り出し価格を調査し、最新の市場動向を把握するのに役立ちます。価格の推移は分からないものの、売り出し価格と市場の傾向から動向を予想することができます。物件の売買や賃貸情報、取引価格などが一元化され、使いやすいプラットフォームが提供されています。

ただし、売り出し価格が成約価格と一致するわけではないことに注意が必要です
他にも写真や詳細情報により、物件の状態や価値を客観的に評価し、市場需要に合った価格設定や投資判断が可能です。多くのユーザーのアクセスにより、リアルな市場動向やトレンドを把握し、将来予測の基礎情報として活用可能です。

土地総合情報システム

土地総合情報システムは国土交通省のサイトで、実際の不動産価格取引情報や地価公示・都道府県地価調査の価格を閲覧できます。不動産取引のアンケートデータの情報を基に、土地や建物、中古マンションなどの取引情報を検索可能です。ただし、エリアによって情報が限られる場合もあるため注意が必要です。
このシステムは土地利用状況や地価、都市計画などの情報を一元管理しており、市場のトレンドを把握することに役立ちます。
都市計画や建設予定地情報の提供により、新プロジェクトの可能性評価や地域の需要と供給バランス把握も可能です

公示地価

公示地価は、国土交通省が毎年3月に発表する全国の土地価格基準で、不動産鑑定士が用途ごとに土地を評価したものです。国土交通省のサイトから都道府県別に検索可能で、平成9年までの価格推移が閲覧できます。このデータは地価の公開情報を提供し、市場動向を示す重要な指標であり、投資家にも役立ちます
公示地価は、1平方メートルあたりの価格を示し、市場全体の動向や価格傾向を分析できます。特定地域の公示地価を比較し、価格差や成長の可能性を把握することで、投資判断や物件選定に客観性を持たせる手助けになります。

不動産市況の今後の展望 

日銀の金融政策の動向が注目される中、不動産市況の今後の展望について、様々な要因が影響を与えています。金融政策の正常化に伴うインフレリスクや住宅ローン利金の増加といった要素が、市場の動向にどのような影響を及ぼすのか、詳しく見てみましょう。

金利の変化についての考察

日本の金融政策は、2013年に就任した黒田東彦日銀総裁のもとで大きな変革を遂げました。その一環として、住宅ローン金利を大幅に低下させる政策が導入され、多くの人々にとって住宅購入が魅力的な選択肢となりました。
異次元緩和と呼ばれ、住宅市場の安定拡大や、現在も続く住宅価格の上昇や住宅需要の喚起に一役買ったと言えるでしょう。

一方で、2023年4月に就任した植田洋一日銀総裁のもとでは金融政策の方針に変化が見られます。物価の安定を重視し、その達成に向けて慎重に判断する姿勢が示されています。このような方針の変化は、金利の動向にも影響を及ぼすことでしょう。

金融政策が変わり、住宅ローン金利が上昇すれば、新規住宅購入の意欲を削ぎ、既存の住宅ローン契約者には返済負担を増大させる恐れがあります。特に若年層にとっては、経済的負担を増やすこととなり、将来の生活設計にも影響を及ぼすでしょう。そのため、金利の動向には市場全体の安定性や個人の経済状況にも大きな意味を持つと言えるでしょう。

注意したい今後の国内の変化

ここでは今後注意しておきたい国内の変化を紹介します。
まず、2025年の大阪万博に向けてのインフラ整備です。このインフラ整備は、周辺地域の不動産価格上昇をもたらす可能性があります。その他にも東京23区、横浜エリアでも再開発による賃貸需要の上昇が見込まれていますので、注目しておく必要があります

しかし、日本全体で見ると人口・世帯数の減少が懸念されます。日本の人口は2050年には1億人を下回ると推測されています。人口減少は、不動産市況にも大きな影響を及ぼすでしょう。2022年10月の政府公表データでは、東京が唯一人口増加エリアとなっています。不動産投資を検討する際には、将来の人口も考え、賃貸需要が落ちにくいエリアを選定することが重要です

【参照元】統計局「人口推計 2022年」より

まとめ

最新の不動産市況を知るには、金融政策や再開発情報など様々な情報をチェックする必要があります。購入前に市況を確認しないと将来思わぬリスクを背負ってしまうかもしれません。自分の力だけで最新の情報を知るには、多くの時間や手間がかかります。ですので、信頼できる不動産会社を見つけ、関係性を築き、変化があった際にいち早く情報を貰える環境をつくることがおすすめです。

ベルテックスでは、不動産投資の専門家による無料オンラインセミナーを開催しています。ご自宅からオンラインでご参加いただけますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

この記事を書いた人

ベルテックスコラム事務局

不動産コンサルタント・税理士

不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。

2023.10.17

市況

ベルテックスコラム事務局

今後の不動産価格はどうなる?最新の不動産市況を解説

  • 日本の現状

現在の経済市況は変動の激しい局面が続いています。コロナウイルスの世界的なパンデミックの影響や新たなテクノロジーの浸透により、投資環境は複雑化しています。こうした中でも、将来不安は続いていますから、着実な資産形成が求められています。このような経済市況だからこそ、柔軟性を持った投資戦略が重要です。リスクを分散し、将来対策に向けた一歩を踏み出すために、不動産投資は魅力的な選択肢です。

今回は、変化する経済に適応する資産形成のアプローチとして、不動産投資の利点に加え、リスクヘッジの手法や最新の不動産市況についても解説します。

2023年の不動産市場規模

2023年3月末時点での日本の不動産市況は、引き続き好調な成績を示しています。コロナ禍を経てもなお、市場は堅調な伸びを見せており、特に収益不動産が注目を集めています。ニッセイ基礎研究所と価値総合研究所の共同調査によれば、2023年3月末時点での収益不動産の資産規模は約289.5兆円と推計されています。この数字は前回調査から+13.9兆円増加したもので、増加率は5%に達しています

この資産規模の増加を詳しく見てみると、特に「賃貸住宅」、「商業施設」、「物流施設」といった分野での成長が顕著です。
具体的には、「賃貸住宅」の資産規模は約77.1兆円で、前回調査から7%の増加を記録しました住宅需要の安定性や将来への期待が背景にあり、投資家の関心を集めています。「商業施設」も同様に成長を続け、約67.7兆円の資産規模を有しています。都市部の商業施設の需要は依然として高く、その影響が投資市場にも反映されています。

また、「物流施設」も前回調査から13%の増加率で資産規模を拡大し、約31. 7兆円に達しました。オンラインショッピングの普及などによる物流需要の増加が、この成長に寄与しています。

これに対して、「オフィス」は前回調査から1%の縮小を記録し、約103. 1兆円の資産規模となりました。テレワークの普及などにより、オフィススペースへの需要が変動している影響が見られます。

まとめると2023年の不動産市況は収益不動産の資産規模の拡大が続いており、特に賃貸住宅、商業施設、物流施設といった分野での成長が顕著です。これにより、投資家は将来に向けた収益を期待して不動産投資を積極的に検討する傾向が見受けられます。市場の変動にも柔軟に対応しつつ、資産形成を考える際には、これらの成長分野に注目することが重要です。

不動産価格はなぜ上昇しているのか

近年、日本国内における不動産価格の上昇が著しく、その背後には様々な要因が存在しています。建築費用の高騰、地価上昇、金融緩和政策の影響、そして投資用物件への人気上昇などの要素が複合的に作用し、不動産市況の動向を形成しています。

以下、それぞれの要因について詳しく見ていきましょう。

建築費用の高騰

現在の不動産市況では、建築費用の高騰が起きています。原材料価格の上昇や人材不足、環境規制の厳格化などが影響していますこれらの影響が不動産価格にも及び、開発者や投資家に悩みをもたらしています。
建築費用の高騰緩和には、効率的な供給チェーンの構築や技術革新、労働力の確保が必要です。需給バランスの調整と投資促進も考慮されており、これらの取り組みが市場の安定成長に寄与することが期待されます。

地価上昇

不動産価格の上昇の要因として、都市部や人口密集地域での土地の希少性による地価上昇が挙げられます。人口増加や都市化により住宅や商業施設の需要が増し、限られた土地面積内でこれを収容するために土地価値が高まっています。さらに、土地の利用制限や都市計画が供給を制約し、需要と供給のアンバランスが生じています
特に駅や交通インフラの近くの土地は需要が高く、地域の発展が地価上昇に影響を与えています。この地価上昇は不動産開発や投資に影響を与えます。

金融緩和政策の影響

金融緩和政策も不動産価格の上昇に大きな影響を及ぼしています。低金利政策により住宅ローン金利が低下し、不動産の購入が容易になりました。金融機関からの融資供給も増加し、需要が高まり価格上昇が促進されています。
政策は方針転換もありますから、政策に応じた投資や、動向の監視が重要です。

投資用物件への人気上昇

近年、投資用物件への関心が高まっています。不動産は安定収益の見込みや低金利環境、国内外の需要拡大などから魅力的とされ、将来の収益を追求する投資家に選ばれています。賃貸収入やリース料による安定したキャッシュフローや、経済変動への強さが魅力です。金や不動産投資といった実物資産はコロナ禍やウクライナ侵攻といった不安定な世界情勢の動きの中でも強く、安定した投資商材に人気が集まったとも考えられます
このように、不動産市場の価格上昇は、金融政策や需要の増加、投資家の傾向が影響しています。将来のリスクヘッジや収益性・安定性といった観点で、不動産投資は2023年でも有効な投資商材と言えるでしょう。

不動産市況の動向を予測するツール

不動産市況の動向を予測するためには、正確な情報と分析が欠かせません。近年、不動産市況の動向を予測し、トレンドを把握するための様々なツールが登場しています。これらのツールは、投資家に価値ある情報を提供する役割を果たしています。以下では、主要な不動産市況予測ツールについて紹介していきます。

不動産市況を予測する方法

不動産市場の未来を予測することは、投資家や市場関係者にとって重要な課題です。市況の動向を正しく把握し、トレンドを読み取ることは、収益を最大化するための鍵となります。
幸いにも、現代の技術とデータ解析の進展により、多くのツールが登場し、不動産市況を予測する手段が増えています。以下では、主要な方法として「レインズマーケットインフォメーション」「不動産価格指数」、「不動産ポータルサイト」、「土地総合情報システム」、「公示地価」という4つのアプローチを紹介していきます。これらの方法を組み合わせることで、より精緻な市況予測が可能となるでしょう。

レインズマーケットインフォメーション

初めに紹介するのは、「レインズマーケットインフォメーション」です。全国の成約価格データを提供するプラットフォームで不動産会社のみが利用でき、一般の方は見る事は出来ません
信頼性の高い情報源で、物件の種別や地域を選択して過去の取引価格を調査できます。売買時に過去の価格を参考にし、現実的な価格設定や交渉ができます。毎月のデータ更新で市況の変動やトレンドを把握し、透明性を高める一助となります。不動産投資をする際、不動産投資会社を利用した方が良い理由の一つとして、レインズを活用した多くの事例を踏まえた提案を受けられる点があげられます。

不動産価格指数

不動産市況の把握に欠かせない不動産価格指数について詳しく見ていきます。国土交通省が年間30万件以上の不動産取引価格を数値化しているこの指標は、市場の動向と予測をサポートします。価格指数は月ごとに国土交通省のホームページで公表され、ベース期間の価格を100として変動率を示します。これにより市場の上昇・下落が分かり、過去の変化を基に将来の傾向を予測するのに役立ちます。
価格指数は全体だけでなく地域や物件タイプにも適用され、詳細な分析が可能です。しかし、単独では市況を正確に捉えるのは難しいため、他のアプローチと組み合わせることでより精度の高い市場分析が可能になります。

不動産ポータルサイト

不動産ポータルサイトは、不動産の売り出し価格を調査し、最新の市場動向を把握するのに役立ちます。価格の推移は分からないものの、売り出し価格と市場の傾向から動向を予想することができます。物件の売買や賃貸情報、取引価格などが一元化され、使いやすいプラットフォームが提供されています。

ただし、売り出し価格が成約価格と一致するわけではないことに注意が必要です
他にも写真や詳細情報により、物件の状態や価値を客観的に評価し、市場需要に合った価格設定や投資判断が可能です。多くのユーザーのアクセスにより、リアルな市場動向やトレンドを把握し、将来予測の基礎情報として活用可能です。

土地総合情報システム

土地総合情報システムは国土交通省のサイトで、実際の不動産価格取引情報や地価公示・都道府県地価調査の価格を閲覧できます。不動産取引のアンケートデータの情報を基に、土地や建物、中古マンションなどの取引情報を検索可能です。ただし、エリアによって情報が限られる場合もあるため注意が必要です。
このシステムは土地利用状況や地価、都市計画などの情報を一元管理しており、市場のトレンドを把握することに役立ちます。
都市計画や建設予定地情報の提供により、新プロジェクトの可能性評価や地域の需要と供給バランス把握も可能です

公示地価

公示地価は、国土交通省が毎年3月に発表する全国の土地価格基準で、不動産鑑定士が用途ごとに土地を評価したものです。国土交通省のサイトから都道府県別に検索可能で、平成9年までの価格推移が閲覧できます。このデータは地価の公開情報を提供し、市場動向を示す重要な指標であり、投資家にも役立ちます
公示地価は、1平方メートルあたりの価格を示し、市場全体の動向や価格傾向を分析できます。特定地域の公示地価を比較し、価格差や成長の可能性を把握することで、投資判断や物件選定に客観性を持たせる手助けになります。

不動産市況の今後の展望 

日銀の金融政策の動向が注目される中、不動産市況の今後の展望について、様々な要因が影響を与えています。金融政策の正常化に伴うインフレリスクや住宅ローン利金の増加といった要素が、市場の動向にどのような影響を及ぼすのか、詳しく見てみましょう。

金利の変化についての考察

日本の金融政策は、2013年に就任した黒田東彦日銀総裁のもとで大きな変革を遂げました。その一環として、住宅ローン金利を大幅に低下させる政策が導入され、多くの人々にとって住宅購入が魅力的な選択肢となりました。
異次元緩和と呼ばれ、住宅市場の安定拡大や、現在も続く住宅価格の上昇や住宅需要の喚起に一役買ったと言えるでしょう。

一方で、2023年4月に就任した植田洋一日銀総裁のもとでは金融政策の方針に変化が見られます。物価の安定を重視し、その達成に向けて慎重に判断する姿勢が示されています。このような方針の変化は、金利の動向にも影響を及ぼすことでしょう。

金融政策が変わり、住宅ローン金利が上昇すれば、新規住宅購入の意欲を削ぎ、既存の住宅ローン契約者には返済負担を増大させる恐れがあります。特に若年層にとっては、経済的負担を増やすこととなり、将来の生活設計にも影響を及ぼすでしょう。そのため、金利の動向には市場全体の安定性や個人の経済状況にも大きな意味を持つと言えるでしょう。

注意したい今後の国内の変化

ここでは今後注意しておきたい国内の変化を紹介します。
まず、2025年の大阪万博に向けてのインフラ整備です。このインフラ整備は、周辺地域の不動産価格上昇をもたらす可能性があります。その他にも東京23区、横浜エリアでも再開発による賃貸需要の上昇が見込まれていますので、注目しておく必要があります

しかし、日本全体で見ると人口・世帯数の減少が懸念されます。日本の人口は2050年には1億人を下回ると推測されています。人口減少は、不動産市況にも大きな影響を及ぼすでしょう。2022年10月の政府公表データでは、東京が唯一人口増加エリアとなっています。不動産投資を検討する際には、将来の人口も考え、賃貸需要が落ちにくいエリアを選定することが重要です

【参照元】統計局「人口推計 2022年」より

まとめ

最新の不動産市況を知るには、金融政策や再開発情報など様々な情報をチェックする必要があります。購入前に市況を確認しないと将来思わぬリスクを背負ってしまうかもしれません。自分の力だけで最新の情報を知るには、多くの時間や手間がかかります。ですので、信頼できる不動産会社を見つけ、関係性を築き、変化があった際にいち早く情報を貰える環境をつくることがおすすめです。

ベルテックスでは、不動産投資の専門家による無料オンラインセミナーを開催しています。ご自宅からオンラインでご参加いただけますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

この記事を書いた人

ベルテックスコラム事務局

不動産コンサルタント・税理士

不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。