2023.10.17

資産運用

ベルテックスコラム事務局

資産形成を始める時期は30代からが良い? 30代の効率的な投資方法をご紹介

  • 投資の種類・方法
  • 資産形成
  • 初心者
  • 年代別

資産形成を始めるのは早ければ早いほど良いと言われますが、30代は資産形成を始めるのには良いタイミングと考えられます。30代は20代よりも収入が安定して、今後のライフイベントなど将来必要なお金のイメージがつきやすくなるためです。

今回は、そんな30代から始める資産形成のメリットや投資法などを紹介していきます。

資産形成をするメリットとは 

資産形成のメリットは多くあります。さまざまなメリットを一つずつ解説いたします。

預金より効率的に資産が増える

金融機関の預貯金金利は、長らく低金利が続いていており、今のところ大きく上昇する見込みは低いでしょう。銀行にお金を預けていても利息はほとんど付きませんが、株式や投資信託などの資産形成では、複利運用も相まって効率的に資産が増えていきます。

ここでは、毎月2万円ずつ積み立て預金した場合と、同じ金額を投資信託で運用した場合、20年後にいくら増えているかを比較検証してみます。  

【積立預金 2万円/月 0.1%金利 20年間】
483万8,351円

【積立投資 2万円/月 2%利回り 20年間】
564万9,639円

上記条件でシミュレーションをおこなうと投資信託で運用したほうが81万1,288円も積立預金よりも資産が増える結果となりました。

投資にはリスクがありますから、貯金が安全と考える方も多いです。30年後も物価が変わらなければ貯金は安全な資産の持ち方と言えますが、近年の物価上昇のペースを考えると、預金だけでは物価上昇のペースに追いつかず、損をしてしまう可能性が高いと言えます。効率的に投資をおこない、資産を増やすことを意識すると良いでしょう。

節税・保険効果がある

資産形成を不動産投資でおこなった場合、節税・保険効果があります。不動産投資では所得税・住民税などの節税効果が得られます。そして、残された家族への保険にもなるのです。

不動産投資での所得税・住民税の節税効果は、簡単に言うと「運用して赤字が出たら、それを自分の年収と合算し、結果として税金を減らすことができる」というものです。

サラリーマンの場合、所得税を算出するための課税所得は、本業での収入が元となる「給与所得」から社会保険料等を引いた額となりますが、「不動産所得」がある場合は、「給与所得」と「不動産所得」を損益通算(合算)した結果が課税所得となるのです。つまり、不動産所得にマイナスが出た場合は、損益通算の結果、給与所得のみの場合より課税所得が減ることになるので、所得税と住民税は節税となります。

例)
・課税所得700万円 →所得税161万円
・課税所得700万円 – 不動産投資の赤字50万
= 課税所得650万 →所得税130万円

そして、不動産投資は残された家族への保険代わりにもなります。不動産投資をおこなう場合、多くの方はローンを組んで不動産を購入します。ローンを組む際、「団体信用生命保険」という保険に加入します。この保険はもしもローンの返済中に死亡した場合は残ったローンの返済を全額この保険が賄ってくれるという商品なのです。なので、万が一の場合は、残された家族にはローンが完済された不動産が相続されて、毎月家賃収入が入るという仕組みとなります。

老後の資金になる

資産形成は退職後に年金プラスαの老後の資金となります。私たちの老後にはどれくらいの年金がもらえるのでしょうか。国から支給される年金額は、令和5年度だと月22万4,482円(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な厚生年金額)となっています。

その一方、老後に必要な金額はいくらなのでしょうか。生命保険文化センターの統計によると、夫婦二人で老後を送るのに最低必要な日常生活費は月約23万2,000円、ゆとりのある生活を送るには月約37万9,000円が必要という調査結果が出ています。

老後の必要最低限の生活費にも年金だけでは少し足りないですし、ゆとりのある生活をする場合には月に約15万円も不足することになります。65歳から85歳までゆとりある生活を送りたい場合65歳時点で3,600万円が必要となるのです(月15万円×12ヵ月×20年)。ゆとりある老後を過ごそうと思う人は若いうちからの資産形成が必要になります。           

インフレ対策になる  

資産形成はインフレ対策にもなります。世界的にインフレが進んでいる現在では、預金に預けているだけでは、お金の価値が目減りしてしまいます。仮に物価が10%上がったとしましょう。その場合、以前100万円で買えたものが110万円ないと買えなくなる、つまり、ものの価値が上がり、相対的にお金の価値は下がったという事になります。

資産形成には、物価上昇に従って利益の額面が大きくなるものがあります。分かりやすい例であれば、金や不動産などの実物資産は物価が上昇すれば価格が上昇します運用でお金を増やすことができれば、インフレで目減りした分のお金の価値を取り返す事ができるのです。            

30代は資産形成を考えるのに良いタイミング

30代は資産形成を考えるのにタイミングが良いと言える理由は、資産に余裕が出来る点と、将来の見通しが立てやすくなる点からです。

30代は20代より資金に余裕ができる

30代は20代より資金に余裕ができると言われています。ここでは年代別の世帯年収と貯蓄額をみてみましょう。

【世帯主の年齢階級別世帯年収と世帯貯蓄】

  29歳以下  30歳~39歳
世帯年収 663万円 714万円
世帯貯蓄 539万円 896万円

夫婦共働き世帯での比較となっていますが、20代と30代では、世帯年収だと約50万円、世帯貯蓄は357万円の差があります30代は20代より年収面での余裕ができるため、積み立て投資などの資産運用はしやすくなると言えます。                        

ライフイベントが盛りだくさん

30代になると、結婚や出産、住宅購入などライフイベントが多くなる傾向にあります。これらのライフイベントが一通り済むと、子育てにいくら必要か、住宅ローンの完済はいつ終了するかなどの見通しが立つので将来設計が立てやすくなります。ただし30代以降は出ていくお金も増えるので、必要以上に投資に資金を回しすぎないように注意が必要です。 

30代の資産形成に向いている投資商品とは  

資産形成のベストタイミングといわれている30代のみなさんに向いている投資方法は何なのか、そして投資初心者向けの投資方法は何があるのか確認していきましょう。

30代の一般的な金融資産保有状況 

現状、30代が保有している金融資産の種類と金額がどのような状況かみてみましょう。

グラフを見てみると預金の割合が高いですが、生命保険、株式、投資信託など様々な金融資産を所有していることが分かります。

一般的に投資において一つの投資商品だけを所有することはリスクが高いと言われています様々な投資商品に分散投資をすることが重要です。

30代の投資初心者におすすめの資産形成

投資信託

投資信託は、投資家から集めたお金を運用のプロがさまざまな株式や債券などへ分散投資をして、その利益を投資家へ還元する投資商品です。投資信託は分散投資を行うので、投資した株式や債券の数銘柄で損失が出ても、他の分散投資した数銘柄で利益が出れば、その投資信託の単価自体は値上がりしている可能性があります。投資信託は、個別株などよりもリターンは少ないですが、損失も少なく済む傾向があるため、初心者におすすめです。

金融機関によりますが、一口数百円から数万円という少額投資が可能な点も投資初心者向きであるポイントです。

そして、老後資金を自助努力で賄う制度「iDeCo(イデコ)」や分配金や売却益が非課税となる「NISA(ニーサ)」でも投資信託を運用することができます。

<iDeCo>
iDeCoは国民年金のような公的年金とは違う、私的年金制度と言われているものです。銀行や証券会社など金融機関でiDeCo口座を開設し、毎月一定額をiDeCoに選定されている投資信託の銘柄の中から選んで資産形成をしていきます。年金として運用する商品なので、お金をおろせるのは原則60歳以降です。
iDeCoのメリットは節税効果があることです。掛金は、全額所得控除の対象になり、運用益も非課税となります。さらに受取時は、退職所得控除か公的年金控除を受けることができます。

<NISA>
NISAは、ここ数年、知名度があがってきたので、ご存じの方も多いでしょう。年間の非課税投資枠があり、その枠内で購入した株式や投資信託で得た売却益や配当金、分配金が非課税となる制度です。2024年に制度が大きく変わり、より投資しやすい仕組みに変更されます。
新NISAではつみたて枠と成長投資枠という2種類の枠があり、併用が可能です。つみたて枠では長期投資に適した投資信託の銘柄に対し、年間120万円を上限としてつみたて投資が可能です。成長投資枠に関しては上場株式や投資信託に対し、年間240万円を上限として投資が可能です。この新制度では、利益の1,800万円まで恒久的に非課税となるため、より効率的に投資信託が取り組める制度です。
なお、2023年現在の現行NISAとの違いは、こちらの記事で詳しくご紹介しています。

債券

債券は、比較的リスクが低いと言われており、初心者向けの投資商品として人気があります。 債券は、国や企業が資金調達をおこなうために発行する、いわば「借用書」です。債券は、償還(満期)と利率が決められており、購入した投資家には年に1回ないしは2回利息が支払われ、償還になると額面金額が返ってきます。

発行から償還までの価格変動に伴うリスクや債券の発行体が倒産すると紙切れになってしまうリスクがありますが、価格変動は株式ほど大きくないのが特徴です。特に国が発行する米国債や日本国債であればよりリスクの低い運用ができるでしょう。

外貨預金

外貨預金はその名のとおり、日本円以外の通貨を通して預金をおこなうものです。預金をおこなう国の金利が高ければ日本での預金以上に多くの利息が得られます。注意すべき点として為替変動リスクがあげられます。外貨を購入後、円安になると為替差益が出ますが、円高になると為替差損を被るので注意が必要です。

単位未満株(ミニ株)

「単位未満株(ミニ株)」は、株式購入最低単位より少ない単位の株式を購入することです。日本の株式は、ほとんどの銘柄が「100株単位」なのですが、ミニ株では1株や10株単位で購入できるのです

100株単位だと数百万円する銘柄でも数万円、数十万円で購入でき、配当金や株主優待を受けられるのもメリットです。ただ、手数料が割高なことや、リアルタイムの価格ではなく、翌朝の最初につく価格で取引されるのが一般的となっている点は注意が必要です。

不動産投資

不動産投資は物件を購入し、物件に住んでいる入居者から家賃収入を得る投資方法です。物件購入時はローンを組み、ローン返済を家賃収入でまかなうのが一般的です。不動産投資は一棟丸ごと投資するスタイルと、マンションの1室ごとに投資するスタイルがありますが、初心者は後者の1室ごとの「区分マンション投資」が向いています。理由として、1棟投資では価格が億単位の物件もありますが、区分マンション投資であれば数百万円~数千万円程度で都内の駅から近い単身者向け物件などニーズが高い物件を選びやすいことがあげられます。

不動産投資は空室リスク、修繕リスクなどがあることに注意が必要です。

資産形成において大切な考え方とは  

資産形成には、過去におこなった投資家の経験などから大切とされている考え方があります。ここではその考え方をいくつか紹介します。                       

資産形成の目的と期間を設定する

資産形成は目的を決めずにやみくもにおこなうと、損失が出た際に慌てて売却して損をしたり、人の意見に流されてしまったりして効果的な運用が出来ないケースがあります。まずは投資の目的を決めて、それに伴う期間を設定しましょう。老後の生活資金を準備したいのであれば、老後に必要な資金と運用期間を設定して、そこから逆算した金額を毎月積み立てていくなどの計画を立てるのも一つの方法です。老後までに5,000万円を確保するのであれば、不労所得が得られる投資を中心に組み立てるなど、戦略によって投資スタイルを検討しましょう。

分散投資をする

資産形成にはリスクが伴います。一般的にリターンの大きい商品はリスクも大きくなります。自身の投資の目的、リスク許容度に応じて分散投資を行うことが重要です。イギリスでは昔から「ひとつのカゴに卵を盛るな」という投資の格言があります。全部の卵を盛ったカゴをもし落としたらすべてを失ってしまうという意味です。すべてを失わないために、何種類かの資産に分けて投資をおこないましょう。

分散投資は投資商材・タイミング・エリア等の分散をすることを指します。つまり、株式だけに投資するのではなく債権や実物資産にも分散をすることや、日本株だけでなく米国株や新興国株にも分散するイメージです。一度に投資資金を全額投入するのではなく、何カ月かに分けて投資することも分散投資です。

少額ずつ積立投資を利用する

30代からの資産形成は投資目的にもよりますが、数十年先や老後のための資産形成が目的の場合、時間はたくさんあるので、焦ることはありません。30代は教育資金や住宅ローンなど、お金がかかる時期でもあります。長期投資の視点に立って毎月コツコツ積立投資をおこなっていきましょう

節税対策できる投資商品を選ぶ

資産形成の中には、節税効果のある投資商品もあります。資産形成をしながら節税していくことができれば、出ていくお金を減らすことができ、更に効率的に資産形成が可能になります

  • NISA・・・
    配当や分配金、売却益が非課税となる
  • iDeCo・・・
    掛金は小規模企業共済等掛金控除、運用益は非課税、受取時は公的年金控除か退職所得控除が受けられる
  • 個人年金保険・・・
    掛金が生命保険控除を受けられる
  • 不動産投資・・・
    所得税や住民税などが節税になる

30代で不動産投資をした場合は老後5,000万円資産も夢じゃない

 今回のシミュレーションは、不動産投資で老後の資産形成をおこなうシミュレーションです。

【投資シミュレーション】
以下のような物件を、3件購入したシミュレーションで計算してみましょう。


物件価格: 2,000万円
頭金: 10万円
借入金利: 1.65%
借入期間: 35年
家賃収入: 67,000円/月
管理経費・建物管理費: 7,540円/月
修繕積立金: 1,470円/月

頭金の10万を抜いた1990万円を1.65%の金利で35年間のローンで借り入れると、月々のローン返済額は62,403円となります。この物件の月々の家賃収入は67,000円で、管理経費や修繕積立金などの費用を差し引いた結果、月々の収支は-4413円です。これを3件購入するので、合計-13,239円です。35年後にローンが完済され、2,000万円の物件が3件手に入ると同時に、その後は家賃収入がそのまま手に入ることになります。

今回のシミュレーションでは、家賃下落や資産価値の下落などは考慮に入れていませんが、老後に得られるより詳細な数値を確認したい場合は、リスクも含めた数字でシミュレーションすることをおすすめします。                         

まとめ

今回は、30代で資産形成を始めた方がいい理由や、投資方法、そしてさまざまなケースにおけるシミュレーションをおこなってきました。30代は人生におけるイベントがひと段落落ち着くタイミングであり、将来設計を描きやすい時期です。理想の人生を想像しながら、そこから逆算して、その理想を目標に資産形成をしていくことが大事です。それらに役立ちそうな投資法の紹介やシミュレーションをおこなってみました。

ベルテックスでは不動産投資やその他の資産運用にまつわる資産形成セミナーを開催しています。ご自宅からオンラインでご参加いただけますので、より詳しく話を聞いてみたい方はぜひお気軽にお問い合わせください。

この記事を書いた人

ベルテックスコラム事務局

不動産コンサルタント・税理士

不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。

2023.10.17

資産運用

ベルテックスコラム事務局

資産形成を始める時期は30代からが良い? 30代の効率的な投資方法をご紹介

  • 投資の種類・方法
  • 資産形成
  • 初心者
  • 年代別

資産形成を始めるのは早ければ早いほど良いと言われますが、30代は資産形成を始めるのには良いタイミングと考えられます。30代は20代よりも収入が安定して、今後のライフイベントなど将来必要なお金のイメージがつきやすくなるためです。

今回は、そんな30代から始める資産形成のメリットや投資法などを紹介していきます。

資産形成をするメリットとは 

資産形成のメリットは多くあります。さまざまなメリットを一つずつ解説いたします。

預金より効率的に資産が増える

金融機関の預貯金金利は、長らく低金利が続いていており、今のところ大きく上昇する見込みは低いでしょう。銀行にお金を預けていても利息はほとんど付きませんが、株式や投資信託などの資産形成では、複利運用も相まって効率的に資産が増えていきます。

ここでは、毎月2万円ずつ積み立て預金した場合と、同じ金額を投資信託で運用した場合、20年後にいくら増えているかを比較検証してみます。  

【積立預金 2万円/月 0.1%金利 20年間】
483万8,351円

【積立投資 2万円/月 2%利回り 20年間】
564万9,639円

上記条件でシミュレーションをおこなうと投資信託で運用したほうが81万1,288円も積立預金よりも資産が増える結果となりました。

投資にはリスクがありますから、貯金が安全と考える方も多いです。30年後も物価が変わらなければ貯金は安全な資産の持ち方と言えますが、近年の物価上昇のペースを考えると、預金だけでは物価上昇のペースに追いつかず、損をしてしまう可能性が高いと言えます。効率的に投資をおこない、資産を増やすことを意識すると良いでしょう。

節税・保険効果がある

資産形成を不動産投資でおこなった場合、節税・保険効果があります。不動産投資では所得税・住民税などの節税効果が得られます。そして、残された家族への保険にもなるのです。

不動産投資での所得税・住民税の節税効果は、簡単に言うと「運用して赤字が出たら、それを自分の年収と合算し、結果として税金を減らすことができる」というものです。

サラリーマンの場合、所得税を算出するための課税所得は、本業での収入が元となる「給与所得」から社会保険料等を引いた額となりますが、「不動産所得」がある場合は、「給与所得」と「不動産所得」を損益通算(合算)した結果が課税所得となるのです。つまり、不動産所得にマイナスが出た場合は、損益通算の結果、給与所得のみの場合より課税所得が減ることになるので、所得税と住民税は節税となります。

例)
・課税所得700万円 →所得税161万円
・課税所得700万円 – 不動産投資の赤字50万
= 課税所得650万 →所得税130万円

そして、不動産投資は残された家族への保険代わりにもなります。不動産投資をおこなう場合、多くの方はローンを組んで不動産を購入します。ローンを組む際、「団体信用生命保険」という保険に加入します。この保険はもしもローンの返済中に死亡した場合は残ったローンの返済を全額この保険が賄ってくれるという商品なのです。なので、万が一の場合は、残された家族にはローンが完済された不動産が相続されて、毎月家賃収入が入るという仕組みとなります。

老後の資金になる

資産形成は退職後に年金プラスαの老後の資金となります。私たちの老後にはどれくらいの年金がもらえるのでしょうか。国から支給される年金額は、令和5年度だと月22万4,482円(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な厚生年金額)となっています。

その一方、老後に必要な金額はいくらなのでしょうか。生命保険文化センターの統計によると、夫婦二人で老後を送るのに最低必要な日常生活費は月約23万2,000円、ゆとりのある生活を送るには月約37万9,000円が必要という調査結果が出ています。

老後の必要最低限の生活費にも年金だけでは少し足りないですし、ゆとりのある生活をする場合には月に約15万円も不足することになります。65歳から85歳までゆとりある生活を送りたい場合65歳時点で3,600万円が必要となるのです(月15万円×12ヵ月×20年)。ゆとりある老後を過ごそうと思う人は若いうちからの資産形成が必要になります。           

インフレ対策になる  

資産形成はインフレ対策にもなります。世界的にインフレが進んでいる現在では、預金に預けているだけでは、お金の価値が目減りしてしまいます。仮に物価が10%上がったとしましょう。その場合、以前100万円で買えたものが110万円ないと買えなくなる、つまり、ものの価値が上がり、相対的にお金の価値は下がったという事になります。

資産形成には、物価上昇に従って利益の額面が大きくなるものがあります。分かりやすい例であれば、金や不動産などの実物資産は物価が上昇すれば価格が上昇します運用でお金を増やすことができれば、インフレで目減りした分のお金の価値を取り返す事ができるのです。            

30代は資産形成を考えるのに良いタイミング

30代は資産形成を考えるのにタイミングが良いと言える理由は、資産に余裕が出来る点と、将来の見通しが立てやすくなる点からです。

30代は20代より資金に余裕ができる

30代は20代より資金に余裕ができると言われています。ここでは年代別の世帯年収と貯蓄額をみてみましょう。

【世帯主の年齢階級別世帯年収と世帯貯蓄】

  29歳以下  30歳~39歳
世帯年収 663万円 714万円
世帯貯蓄 539万円 896万円

夫婦共働き世帯での比較となっていますが、20代と30代では、世帯年収だと約50万円、世帯貯蓄は357万円の差があります30代は20代より年収面での余裕ができるため、積み立て投資などの資産運用はしやすくなると言えます。                        

ライフイベントが盛りだくさん

30代になると、結婚や出産、住宅購入などライフイベントが多くなる傾向にあります。これらのライフイベントが一通り済むと、子育てにいくら必要か、住宅ローンの完済はいつ終了するかなどの見通しが立つので将来設計が立てやすくなります。ただし30代以降は出ていくお金も増えるので、必要以上に投資に資金を回しすぎないように注意が必要です。 

30代の資産形成に向いている投資商品とは  

資産形成のベストタイミングといわれている30代のみなさんに向いている投資方法は何なのか、そして投資初心者向けの投資方法は何があるのか確認していきましょう。

30代の一般的な金融資産保有状況 

現状、30代が保有している金融資産の種類と金額がどのような状況かみてみましょう。

グラフを見てみると預金の割合が高いですが、生命保険、株式、投資信託など様々な金融資産を所有していることが分かります。

一般的に投資において一つの投資商品だけを所有することはリスクが高いと言われています様々な投資商品に分散投資をすることが重要です。

30代の投資初心者におすすめの資産形成

投資信託

投資信託は、投資家から集めたお金を運用のプロがさまざまな株式や債券などへ分散投資をして、その利益を投資家へ還元する投資商品です。投資信託は分散投資を行うので、投資した株式や債券の数銘柄で損失が出ても、他の分散投資した数銘柄で利益が出れば、その投資信託の単価自体は値上がりしている可能性があります。投資信託は、個別株などよりもリターンは少ないですが、損失も少なく済む傾向があるため、初心者におすすめです。

金融機関によりますが、一口数百円から数万円という少額投資が可能な点も投資初心者向きであるポイントです。

そして、老後資金を自助努力で賄う制度「iDeCo(イデコ)」や分配金や売却益が非課税となる「NISA(ニーサ)」でも投資信託を運用することができます。

<iDeCo>
iDeCoは国民年金のような公的年金とは違う、私的年金制度と言われているものです。銀行や証券会社など金融機関でiDeCo口座を開設し、毎月一定額をiDeCoに選定されている投資信託の銘柄の中から選んで資産形成をしていきます。年金として運用する商品なので、お金をおろせるのは原則60歳以降です。
iDeCoのメリットは節税効果があることです。掛金は、全額所得控除の対象になり、運用益も非課税となります。さらに受取時は、退職所得控除か公的年金控除を受けることができます。

<NISA>
NISAは、ここ数年、知名度があがってきたので、ご存じの方も多いでしょう。年間の非課税投資枠があり、その枠内で購入した株式や投資信託で得た売却益や配当金、分配金が非課税となる制度です。2024年に制度が大きく変わり、より投資しやすい仕組みに変更されます。
新NISAではつみたて枠と成長投資枠という2種類の枠があり、併用が可能です。つみたて枠では長期投資に適した投資信託の銘柄に対し、年間120万円を上限としてつみたて投資が可能です。成長投資枠に関しては上場株式や投資信託に対し、年間240万円を上限として投資が可能です。この新制度では、利益の1,800万円まで恒久的に非課税となるため、より効率的に投資信託が取り組める制度です。
なお、2023年現在の現行NISAとの違いは、こちらの記事で詳しくご紹介しています。

債券

債券は、比較的リスクが低いと言われており、初心者向けの投資商品として人気があります。 債券は、国や企業が資金調達をおこなうために発行する、いわば「借用書」です。債券は、償還(満期)と利率が決められており、購入した投資家には年に1回ないしは2回利息が支払われ、償還になると額面金額が返ってきます。

発行から償還までの価格変動に伴うリスクや債券の発行体が倒産すると紙切れになってしまうリスクがありますが、価格変動は株式ほど大きくないのが特徴です。特に国が発行する米国債や日本国債であればよりリスクの低い運用ができるでしょう。

外貨預金

外貨預金はその名のとおり、日本円以外の通貨を通して預金をおこなうものです。預金をおこなう国の金利が高ければ日本での預金以上に多くの利息が得られます。注意すべき点として為替変動リスクがあげられます。外貨を購入後、円安になると為替差益が出ますが、円高になると為替差損を被るので注意が必要です。

単位未満株(ミニ株)

「単位未満株(ミニ株)」は、株式購入最低単位より少ない単位の株式を購入することです。日本の株式は、ほとんどの銘柄が「100株単位」なのですが、ミニ株では1株や10株単位で購入できるのです

100株単位だと数百万円する銘柄でも数万円、数十万円で購入でき、配当金や株主優待を受けられるのもメリットです。ただ、手数料が割高なことや、リアルタイムの価格ではなく、翌朝の最初につく価格で取引されるのが一般的となっている点は注意が必要です。

不動産投資

不動産投資は物件を購入し、物件に住んでいる入居者から家賃収入を得る投資方法です。物件購入時はローンを組み、ローン返済を家賃収入でまかなうのが一般的です。不動産投資は一棟丸ごと投資するスタイルと、マンションの1室ごとに投資するスタイルがありますが、初心者は後者の1室ごとの「区分マンション投資」が向いています。理由として、1棟投資では価格が億単位の物件もありますが、区分マンション投資であれば数百万円~数千万円程度で都内の駅から近い単身者向け物件などニーズが高い物件を選びやすいことがあげられます。

不動産投資は空室リスク、修繕リスクなどがあることに注意が必要です。

資産形成において大切な考え方とは  

資産形成には、過去におこなった投資家の経験などから大切とされている考え方があります。ここではその考え方をいくつか紹介します。                       

資産形成の目的と期間を設定する

資産形成は目的を決めずにやみくもにおこなうと、損失が出た際に慌てて売却して損をしたり、人の意見に流されてしまったりして効果的な運用が出来ないケースがあります。まずは投資の目的を決めて、それに伴う期間を設定しましょう。老後の生活資金を準備したいのであれば、老後に必要な資金と運用期間を設定して、そこから逆算した金額を毎月積み立てていくなどの計画を立てるのも一つの方法です。老後までに5,000万円を確保するのであれば、不労所得が得られる投資を中心に組み立てるなど、戦略によって投資スタイルを検討しましょう。

分散投資をする

資産形成にはリスクが伴います。一般的にリターンの大きい商品はリスクも大きくなります。自身の投資の目的、リスク許容度に応じて分散投資を行うことが重要です。イギリスでは昔から「ひとつのカゴに卵を盛るな」という投資の格言があります。全部の卵を盛ったカゴをもし落としたらすべてを失ってしまうという意味です。すべてを失わないために、何種類かの資産に分けて投資をおこないましょう。

分散投資は投資商材・タイミング・エリア等の分散をすることを指します。つまり、株式だけに投資するのではなく債権や実物資産にも分散をすることや、日本株だけでなく米国株や新興国株にも分散するイメージです。一度に投資資金を全額投入するのではなく、何カ月かに分けて投資することも分散投資です。

少額ずつ積立投資を利用する

30代からの資産形成は投資目的にもよりますが、数十年先や老後のための資産形成が目的の場合、時間はたくさんあるので、焦ることはありません。30代は教育資金や住宅ローンなど、お金がかかる時期でもあります。長期投資の視点に立って毎月コツコツ積立投資をおこなっていきましょう

節税対策できる投資商品を選ぶ

資産形成の中には、節税効果のある投資商品もあります。資産形成をしながら節税していくことができれば、出ていくお金を減らすことができ、更に効率的に資産形成が可能になります

  • NISA・・・
    配当や分配金、売却益が非課税となる
  • iDeCo・・・
    掛金は小規模企業共済等掛金控除、運用益は非課税、受取時は公的年金控除か退職所得控除が受けられる
  • 個人年金保険・・・
    掛金が生命保険控除を受けられる
  • 不動産投資・・・
    所得税や住民税などが節税になる

30代で不動産投資をした場合は老後5,000万円資産も夢じゃない

 今回のシミュレーションは、不動産投資で老後の資産形成をおこなうシミュレーションです。

【投資シミュレーション】
以下のような物件を、3件購入したシミュレーションで計算してみましょう。


物件価格: 2,000万円
頭金: 10万円
借入金利: 1.65%
借入期間: 35年
家賃収入: 67,000円/月
管理経費・建物管理費: 7,540円/月
修繕積立金: 1,470円/月

頭金の10万を抜いた1990万円を1.65%の金利で35年間のローンで借り入れると、月々のローン返済額は62,403円となります。この物件の月々の家賃収入は67,000円で、管理経費や修繕積立金などの費用を差し引いた結果、月々の収支は-4413円です。これを3件購入するので、合計-13,239円です。35年後にローンが完済され、2,000万円の物件が3件手に入ると同時に、その後は家賃収入がそのまま手に入ることになります。

今回のシミュレーションでは、家賃下落や資産価値の下落などは考慮に入れていませんが、老後に得られるより詳細な数値を確認したい場合は、リスクも含めた数字でシミュレーションすることをおすすめします。                         

まとめ

今回は、30代で資産形成を始めた方がいい理由や、投資方法、そしてさまざまなケースにおけるシミュレーションをおこなってきました。30代は人生におけるイベントがひと段落落ち着くタイミングであり、将来設計を描きやすい時期です。理想の人生を想像しながら、そこから逆算して、その理想を目標に資産形成をしていくことが大事です。それらに役立ちそうな投資法の紹介やシミュレーションをおこなってみました。

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この記事を書いた人

ベルテックスコラム事務局

不動産コンサルタント・税理士

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