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2024.02.29
ベルテックスコラム事務局
不動産投資と株式投資で資産5,000万円を目指す方法とは
- 資産形成
- 比較
これから資産運用を本格化するにあたり、「目標金額をいくらに設定すればよいか」「どの投資方法を選べばよいか」で迷っている人も多いのではないでしょうか。今回は、会社員の方などに人気のある「不動産投資」と「株式投資」を選択し、目標額を5,000万円に設定したケースを解説していきます。もちろん、目標額を5,000万円以外で考えている人にも役立つコンテンツです。
本記事を読むことで「不動産投資」と「株式投資」それぞれの特徴や利回りの目安、シミュレーション結果、両者を組み合わせた方がよい理由などを学べます。はじめに、株式投資、不動産投資それぞれの概要を把握してみましょう。
株式投資の概要をおさらい
まずは株式投資の概要についておさらいしていきます。
株式投資の特徴
国内株式は、対象となる銘柄が比較的耳なじみのある企業が多いことが特徴です。トヨタ自動車など、日本を代表する企業が含まれています。企業の動向は、ニュースで取り上げられることも多く、情報に触れる機会が多いというメリットがあります。国内の投資家にとっては、国内株の株式市場は海外の株式市場と違い時差がないこと、売買の際に利用する通貨が円であることも特徴です。国内株式の購入では、多くの銘柄の購入出来る最低単元株は100株です。
一方で、海外株式は世界的に有名な企業から新興企業までバリエーション豊富な銘柄を選ぶことができるのが特徴です。米国は1株から購入可能で、中国では1単元1,000株のものが多いです。海外株式は配当回数や配当金額が多い企業が多数あります。デメリットは企業の情報を入手することが難しいこと、その国や地域の政治・経済環境や自然災害などがマーケットに影響を及ぼす可能性がある点は注意が必要です。
株式投資はどんな人がやっている?
株式投資に取り組んでいる割合も確認してみましょう。全国 20〜70代の1万人を対象にした調査によると、2023年現在、株式投資に取り組んでいる⼈の割合は29.2%であることがわかります。男女別にみると、ほぼ男女差はなく男性が49.6%、女性が50.4%でした。
年代別にみると、20代が13.6%、30代が14.9%、40代が19.2%、50代が18.3%、60代が16.4%、70代が17.6%で、年齢を重ねるにつれて株式投資に取り組んでいる人の割合が増加しています。
【参照元】株の学校ドットコム「株式投資への取り組み調査_2023年春」より
株式投資の始め方
- 証券会社を選び口座を開設する
株式を購入するには、まず証券会社で口座を開設する必要があります。近年はネットで口座を開設できるケースも増えています。 - 証券口座に入金する
口座開設ができたら、取引用の資金を口座に入金しましょう。 - 株を選ぶ
取引用の資金を入金したら、実際にどの株を購入するか選んでみましょう。 - 株を購入する
気になる株を見つけたら、株式を購入してみましょう。
不動産投資の概要をおさらい
次に、不動産投資の仕組みと、どんな人が実際に投資しているかを確認してみましょう。
不動産投資には、さまざまな種類がある
不動産投資は、賃貸物件を購入し、その家賃収入をもとにリターンを得る投資方法です。一口に賃貸物件といっても以下のような種類があります。
・マンション
・アパート
・戸建て
・商業ビル、オフィスビルなど
さらに賃貸物件が所在するエリアでは「都心・郊外・地方」など、築年数では「新築・築浅・築古」などの区分けがあり、どの種類を選ぶかでメリットやデメリットが異なります。
不動産投資は会社員が副業で行う割合が高い
不動産投資は、幅広い職業の人が取り組んでいる投資手法です。中でも最も多い割合を占めているのが会社員です。国土交通省の調査によると家主(不動産投資をしている人)の4割を会社員が占めています。
家主の主な職業は?
- 会社員:40.6%
- 専業主婦(主夫):12.1%
- 無職:10.9%
- 会社経営・役員:10.4%
- 自営業:7.5%
- 公務員:3.9% など
【参照元】国土交通省「賃貸住宅管理業務に関するアンケート調査(家主)」より
不動産投資と株式投資のそれぞれの利回り
ここまでの内容で、不動産投資と株式投資の基本的な内容についてはご理解いただけたと思います。概要が把握できたところで、「それぞれどれくらいの利回りが得られるのか」 について気になる人もいらっしゃるでしょう。
選ぶ物件の種類や銘柄によってケースバイケースではありますが、目安は次のとおりです。
不動産投資の利回りの目安
賃貸物件にはさまざまな種類(例:都心の新築マンション、地方の中古アパートなど)があります。そして、どの種類を選択するかで利回りの目安は変わってきます。一例では、「中古の区分マンション」「一棟アパート」「一棟マンション」の利回りの目安は下記のようになります。
- 区分マンション:7.05%
- 一棟アパート:7.94%
- 一棟マンション:7.71%
【参照元】不動産投資と収益物件の情報サイト健美家「全国の住宅系収益不動産3種別(2023年9月1日配信)」より
ただし、不動産投資の平均的な利回りは、経済や不動産のマーケット動向などによって変動します。また、資産価値の高い都心の新築マンションの利回りは、中古物件の平均的な利回りと比較して低利回りの傾向です。最近の一般的な利回りは3〜4%程度といわれます。
株式投資の利回りの目安
株式投資もどの銘柄を選ぶかで、利回りの目安が変わってきます。一例では、新興株では利益が出ても、それを更なる成長に投資するため配当金なし、つまり利回り0%の銘柄も少なくありません。反対に、安定経営を続ける歴史のある企業などでは、20〜30年以上にわたって連続増配を続けるケースもあります。
傾向としては、プライム市場に属していて、なおかつ直近の売上や財務状況のよい企業の株式は安定的な利回りを狙いやすいです。プライム市場の配当利回りの平均は2.16%※です。(参考:日本経済新聞 全銘柄の指標-2023年 9月10日時点)こちらも不動産投資の利回りと同様、国内や海外の経済などの影響を受けて変動します。
なお、不動産投資も株式投資も売却時に売却益が得られる可能性があります。最終的な投資判断は「利回り+売却益(売却額)」で考える必要があるでしょう。
株式投資 vs 不動産投資 徹底比較
利回りの目安について知れたところで、次は株式投資と不動産投資を徹底比較していきましょう。
自己資金 | 年金対策 | インフレ 対策 |
下落相場 対策 |
保険効果 | 節税効果 | 再現性 | 管理工数 | ハイリスク& ハイリターン |
|
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
預金 | 必要 | △ | × | ○ | ○※1 | × | ◎ | ◎ | 低 |
FX | 必要 | × | × | × | × | × | △ | × | 高 |
仮想通貨 | 必要 | × | × | × | × | × | × | × | 高 |
個別株 | 必要 | △ | △ | × | × | × | △ | × | 高 |
債券 | 必要 | ○ | × | ◎ | × | × | ○ | ○ | 低 |
投資信託 (NISA・iDeCo) |
必要 | ◎ | △ | △ | × | ○※2 | ◎ | ◎ | 中 |
金 | 必要 | △ | ◎ | ○ | × | × | × | × | 中 |
REIT | 必要 | ○ | △ | △ | × | × | △ | × | 中 |
不動産投資 | 必要※3 | ◎ | ◎ | ○ | ◎※4 | ○ | ○ | ◎ | 低 |
・35年以上の長期保有とした場合の比較表です
※1 1,000万迄元本保証
※2 NISA・iDeCoを活用した場合
※3 与信により借入による投資が検討可能
※4 団信保険加入の場合
年金対策
年金対策でおすすめなのは、不動産投資です。老後資金は2000万円必要とも言われています。不動産投資は家賃収入を継続的かつ定期的に受け取ることができるため、ローンが完済してしまえば年金の他に収入を得ることが出来ます。一方で、株式投資は経済状況によって、価格が変動しやすいため、年金を受給する年齢まで株を所持し続けたとしても、利益が損失を上回るとは限りません。逆に株価が下落してしまい、大きく損をしてしまう可能性もあります。
インフレ対策
インフレとは、物価が上昇している状態を指します。そんなインフレ時におすすめの金融商品は不動産投資と金です。不動産投資はインフレ時でも物件の価値が下がりにくく、家賃収入も物価上昇と共に上昇しやすいです。一方で、株式投資は物価上昇に連動して株価も上昇する傾向がありますが、物価上昇を製品価格に反映できない企業は業績が悪化するため、株価が下落する恐れもあります。
節税効果
節税効果が期待できるのは不動産投資です。不動産投資は1年の所得に対してかかる税額を減らす効果が期待できます。所得税・住民税は「減価償却」「損益通算」を行うことで、課税対象の所得額を少なく申告できるため、年間の納税額を抑える効果を期待できます。また、将来的に財産の贈与や相続が発生した際に、現金よりも不動産のほうが納税額を抑えられるというメリットもあります。
一方で、株式投資は取引を行い、利益が出た時は税金がかかります。税金の種類は申告分離課税・総合課税があります。ただし、売却して損失が出てしまった場合には、繰越控除と損益通算で節税できます。
保険効果
保険効果があるのは不動産投資です。不動産投資用ローンには、団体信用生命保険が付いていることが多いです。ローン返済中に名義人に万一のことがあったときには、生命保険会社から融資を行っている金融機関にその時点の借入残高相当の保険金が支払われて、残高はゼロになります。
一方で、株式投資には保険効果はありません。
下落相場対策
下落相場対策でおすすめな金融商品は不動産投資です。不動産投資で得られる家賃収入は、株式相場の下落や経済悪化の影響をあまり受けないため、安定した収入を継続的に受け取ることができます。一方で、株式投資は下落相場に非常に弱いです。株価は相場と連動しているため、相場が下落すると株価まで下落してしまうケースが大半です。
再現性
再現性があるのは、不動産投資です。再現性とは、知識の差や運用資金に左右することなく、同じ割合で利益を出せる投資のことを指します。不動産投資で再現性が高いのは「不動産小口化商品」です。「不動産小口化商品」の運用は、不動産のプロである事業者が行うため、専門家の知識を持つプロに資金を預けて運用することができます。
一方で、株式投資は再現性が低いです。投資信託を利用すれば、プロの専門家に株の運用を一任できますが、個別株を運用する場合、売買のタイミングなどで人によって同じ銘柄でも損益の差は異なってきます。個別株の運用が上手い人は含み益を多く見込めますが、運用が下手な人は逆に損をする可能性が高まります。
管理のしやすさ
管理のしやすさは不動産投資がおすすめです。不動産投資はサービスの良い不動産会社を見つけて管理を委託すれば、物件を購入後も自分で管理する手間は大幅に減少します。一方で、株式投資は管理がしにくいです。投資信託をすれば、プロの専門家に管理を一任できますが、個人で管理すると、どの銘柄を売買したかを自分で管理しなければなりません。自分で管理していると、銘柄が多くなると損益や支出の管理が難しくなてきます。しかし、最近では投資銘柄を管理するためのアプリなども配信されているので、管理しやすくなってきています。
目標資産5,000万円を目指すなら「株式投資」と「不動産投資」を組み合わせよう
ここまでの解説で、株式投資と不動産投資それぞれの投資法が有用だということについて、ご理解いただけたのではないでしょうか。ただ本記事では、この2つの投資手法を組み合わせることをおすすめしています。その理由は以下のとおりです。
「株式投資」と「不動産投資」を組み合わせる理由
株式投資と不動産投資は、異なる性格を持っている投資法です。この2つを組み合わせることで、リスクの分散や回避が可能となります。これにより長期的に見たとき、安定的な運用が実現しやすくなると考えられます。
両者の違いとしてはまず、株式投資は「金融資産」、不動産投資は「実物資産」という違いがあります。例えば金融資産(株式投資)は、海外の株式市場の影響を直接的に受けやすいです。これに対して、実物資産が受ける海外の株式市場の影響は限定的です。世界の海外株式市場が大暴落をしても、不動産価格や家賃収入が短期的に大きく変動することはありません。
また、一般的に不動産投資はミドルリスク・ミドルリターンといわれます。これにハイリスク・ハイリターンの側面がある株式投資を組み合わせることで、効率的な資産運用が可能となります(株式投資のリスクは選択する市場や銘柄によって大きく変わります)。
「株式投資」と「不動産投資」を組み合わせた資産5,000万円のシミュレーション
株式投資と不動産投資を組み合わせる理由についてご理解いただけたところで、実際に両者を組み合わせたシミュレーションをご紹介したいと思います。以下のシミュレーションでは、25年後に5,000万円の資産をつくることが可能です。
【基本的な考え方】
・株式投資で約2,000万円、不動産投資で約3,000万円を確保
・運用期間は、株式投資・不動産投資共に25年
・株式投資は毎月5万円を積み立て、利回り3%で運用
・不動産投資は築浅ワンルームマンションを2戸購入
(25年後の物件価格の下落率25%を想定)
【株式投資の運用結果】
積立金額5万円/月、利回り3%、積立期間25年
=約2,230万円(元本1,500万円+運用益730万円)
※売却益を含めると、実際にはさらに資産額が多くなります。
【不動産投資の運用結果】
・購入物件:2,000万円のワンルームマンション2戸(物件価格:計4,000万円)
・毎月の収支:ローン返済額約17万円-家賃収入約17万円=0円で計算
・借入金額4,000万円、返済金額17万円/月、25年で完済
・25年後に資産価値3,000万円(購入時の75%)の残債なしの物件を確保
*完済後はローン返済がなくなるため、家賃収入-管理コスト=キャッシュフローを得られます。
株式投資を成功させるポイント
株式投資と不動産投資を徹底比較したところで、次は株式投資のポイントを紹介していきます。
国内株と海外株を組み合わせた分散投資がおすすめ⁉
国内株を運用する場合は株価が割安な銘柄や、高配当をもらえる銘柄を運用すると、手堅く投資できて安定した利益が得やすいといわれています。割安株は株価が低い時に購入しているため、株価の下落が起こっても多少であればリスクを許容しやすい点がメリットです。一方で、高配当銘柄は株を保有しているだけで配当がもらえるのが特徴です。保有していればほぼ毎年もらえるという期待が持てるのは高配当株のメリットです。
株式を多く保有していると、配当も多く貰えるので、投資の意欲向上に繋がるでしょう。高配当株投資には減配のリスクがありますが、一般的に株価の変動よりも配当が減らされる割合は幅が小さいです。ですので、高配当株は比較的安定した収入が見込める投資とされています。
国内株だけでなく、海外株とも組み合わせるのもおすすめです。海外株は国内株と違って、大きな利益を見込めるケースがあります。また、さまざまな国や地域の株式に分散投資することで、リスクを分散することも可能です。日本の経済状況が悪くても、世界では経済状況が良い国もあります。また、円安になった際は為替差益を得られるメリットも魅力です。経済状況によって為替相場の動向は変わるため、上手くいけばハイリターンを望めます。リスクを分散するためにも、国内株と海外株を組み合わせて運用することがおすすめです。
株式を運用する際のポートフォリオは国や地域を分散させることが大切です。国内株だけでなく、米国株、欧州株等、他の国・地域の株式へ投資を行う分散投資をしていきましょう。
また、銘柄も多種多様なジャンルがあるため、銘柄の業界を分散させておくことも大切です。業界によって株価の動きが異なるため、たとえ下落相場が発生した業界の銘柄を購入していても、他の業界の銘柄に分散投資をしていれば損失を最小限にとどめることが出来ます。
現実的な株式運用の年利は2%以上
先ほど示したように、株式運用の年利の市場平均は2%以上です(プライム市場の場合)。株式を運用する際はこの年利を目安に運用していきましょう。平均年利を上回って運用すると、リターンは大きいですが、同時にリスクも大きくなります。逆に平均年利を下回って運用すると、リスクは低いですが、リターンも少なくなります。
また、インフレ率(物価水準上昇率)を超える利回りで運用することも大切です。インフレ時には、現金の価値は目減りしていきますが、インフレ率よりも高い利回りで運用することができれば、資産の価値が目減りすることがなくなります。
不動産投資に向いている人・株式投資に向いている人の特徴
ここまでの内容を整理する意味で、不動産投資または株式投資に向いている人の特徴をまとめてみました。ご参照ください。
不動産投資に向いている人
・長期的にコツコツ資産を増やしたい人
・大きなリスクを取りたくない人
・とはいえ、ある程度の利回りを確保したい人
・会社員などの不動産投資ローンを利用しやすい人
・現物資産で資産運用をしたい人
株式投資に向いている人
・リスクをとってもよいのでハイリターンを狙いたい人
・株式投資に回せる余剰資金がある人
・経済や特定分野の知識がある人
上記のように、不動産投資と株式投資は、性格が異なる投資方法です。だからこそ両者を組み合わせることで、リスクに対する耐性が高められたり、長期的に見たときにリスクを軽減・回避したりすることが可能となります。
まとめ
本記事では「不動産投資」と「株式投資」の組み合わせをテーマにお話してきましたが、実際の資産運用では、さらに多くの投資手法を組み合わせることで「分散投資」効果を狙うのが安全です。一般的には以下のような投資法を組み合わせて、安定性のあるポートフォリオ(自身の保有する資産の組み合わせや比率のこと)を目指していきます。
・投資信託
・日本国債/海外国債
・社債などその他債券
・REIT
・銀/プラチナなどその他の実物資産 など
安定的な資産運用を実現するために、それぞれの投資法の特徴やポートフォリオ作成の基本などの知見を高めていきましょう。
ベルテックスでは資産形成にまつわるセミナーを開催しています。ご自宅からオンラインでご参加いただけますので、より詳しく話を聞いてみたい方はぜひお気軽にお問い合わせください。
この記事を書いた人
ベルテックスコラム事務局
不動産コンサルタント・税理士
不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。
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2024.02.29
ベルテックスコラム事務局
不動産投資と株式投資で資産5,000万円を目指す方法とは
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これから資産運用を本格化するにあたり、「目標金額をいくらに設定すればよいか」「どの投資方法を選べばよいか」で迷っている人も多いのではないでしょうか。今回は、会社員の方などに人気のある「不動産投資」と「株式投資」を選択し、目標額を5,000万円に設定したケースを解説していきます。もちろん、目標額を5,000万円以外で考えている人にも役立つコンテンツです。
本記事を読むことで「不動産投資」と「株式投資」それぞれの特徴や利回りの目安、シミュレーション結果、両者を組み合わせた方がよい理由などを学べます。はじめに、株式投資、不動産投資それぞれの概要を把握してみましょう。
株式投資の概要をおさらい
まずは株式投資の概要についておさらいしていきます。
株式投資の特徴
国内株式は、対象となる銘柄が比較的耳なじみのある企業が多いことが特徴です。トヨタ自動車など、日本を代表する企業が含まれています。企業の動向は、ニュースで取り上げられることも多く、情報に触れる機会が多いというメリットがあります。国内の投資家にとっては、国内株の株式市場は海外の株式市場と違い時差がないこと、売買の際に利用する通貨が円であることも特徴です。国内株式の購入では、多くの銘柄の購入出来る最低単元株は100株です。
一方で、海外株式は世界的に有名な企業から新興企業までバリエーション豊富な銘柄を選ぶことができるのが特徴です。米国は1株から購入可能で、中国では1単元1,000株のものが多いです。海外株式は配当回数や配当金額が多い企業が多数あります。デメリットは企業の情報を入手することが難しいこと、その国や地域の政治・経済環境や自然災害などがマーケットに影響を及ぼす可能性がある点は注意が必要です。
株式投資はどんな人がやっている?
株式投資に取り組んでいる割合も確認してみましょう。全国 20〜70代の1万人を対象にした調査によると、2023年現在、株式投資に取り組んでいる⼈の割合は29.2%であることがわかります。男女別にみると、ほぼ男女差はなく男性が49.6%、女性が50.4%でした。
年代別にみると、20代が13.6%、30代が14.9%、40代が19.2%、50代が18.3%、60代が16.4%、70代が17.6%で、年齢を重ねるにつれて株式投資に取り組んでいる人の割合が増加しています。
【参照元】株の学校ドットコム「株式投資への取り組み調査_2023年春」より
株式投資の始め方
- 証券会社を選び口座を開設する
株式を購入するには、まず証券会社で口座を開設する必要があります。近年はネットで口座を開設できるケースも増えています。 - 証券口座に入金する
口座開設ができたら、取引用の資金を口座に入金しましょう。 - 株を選ぶ
取引用の資金を入金したら、実際にどの株を購入するか選んでみましょう。 - 株を購入する
気になる株を見つけたら、株式を購入してみましょう。
不動産投資の概要をおさらい
次に、不動産投資の仕組みと、どんな人が実際に投資しているかを確認してみましょう。
不動産投資には、さまざまな種類がある
不動産投資は、賃貸物件を購入し、その家賃収入をもとにリターンを得る投資方法です。一口に賃貸物件といっても以下のような種類があります。
・マンション
・アパート
・戸建て
・商業ビル、オフィスビルなど
さらに賃貸物件が所在するエリアでは「都心・郊外・地方」など、築年数では「新築・築浅・築古」などの区分けがあり、どの種類を選ぶかでメリットやデメリットが異なります。
不動産投資は会社員が副業で行う割合が高い
不動産投資は、幅広い職業の人が取り組んでいる投資手法です。中でも最も多い割合を占めているのが会社員です。国土交通省の調査によると家主(不動産投資をしている人)の4割を会社員が占めています。
家主の主な職業は?
- 会社員:40.6%
- 専業主婦(主夫):12.1%
- 無職:10.9%
- 会社経営・役員:10.4%
- 自営業:7.5%
- 公務員:3.9% など
【参照元】国土交通省「賃貸住宅管理業務に関するアンケート調査(家主)」より
不動産投資と株式投資のそれぞれの利回り
ここまでの内容で、不動産投資と株式投資の基本的な内容についてはご理解いただけたと思います。概要が把握できたところで、「それぞれどれくらいの利回りが得られるのか」 について気になる人もいらっしゃるでしょう。
選ぶ物件の種類や銘柄によってケースバイケースではありますが、目安は次のとおりです。
不動産投資の利回りの目安
賃貸物件にはさまざまな種類(例:都心の新築マンション、地方の中古アパートなど)があります。そして、どの種類を選択するかで利回りの目安は変わってきます。一例では、「中古の区分マンション」「一棟アパート」「一棟マンション」の利回りの目安は下記のようになります。
- 区分マンション:7.05%
- 一棟アパート:7.94%
- 一棟マンション:7.71%
【参照元】不動産投資と収益物件の情報サイト健美家「全国の住宅系収益不動産3種別(2023年9月1日配信)」より
ただし、不動産投資の平均的な利回りは、経済や不動産のマーケット動向などによって変動します。また、資産価値の高い都心の新築マンションの利回りは、中古物件の平均的な利回りと比較して低利回りの傾向です。最近の一般的な利回りは3〜4%程度といわれます。
株式投資の利回りの目安
株式投資もどの銘柄を選ぶかで、利回りの目安が変わってきます。一例では、新興株では利益が出ても、それを更なる成長に投資するため配当金なし、つまり利回り0%の銘柄も少なくありません。反対に、安定経営を続ける歴史のある企業などでは、20〜30年以上にわたって連続増配を続けるケースもあります。
傾向としては、プライム市場に属していて、なおかつ直近の売上や財務状況のよい企業の株式は安定的な利回りを狙いやすいです。プライム市場の配当利回りの平均は2.16%※です。(参考:日本経済新聞 全銘柄の指標-2023年 9月10日時点)こちらも不動産投資の利回りと同様、国内や海外の経済などの影響を受けて変動します。
なお、不動産投資も株式投資も売却時に売却益が得られる可能性があります。最終的な投資判断は「利回り+売却益(売却額)」で考える必要があるでしょう。
株式投資 vs 不動産投資 徹底比較
利回りの目安について知れたところで、次は株式投資と不動産投資を徹底比較していきましょう。
自己資金 | 年金対策 | インフレ 対策 |
下落相場 対策 |
保険効果 | 節税効果 | 再現性 | 管理工数 | ハイリスク& ハイリターン |
|
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
預金 | 必要 | △ | × | ○ | ○※1 | × | ◎ | ◎ | 低 |
FX | 必要 | × | × | × | × | × | △ | × | 高 |
仮想通貨 | 必要 | × | × | × | × | × | × | × | 高 |
個別株 | 必要 | △ | △ | × | × | × | △ | × | 高 |
債券 | 必要 | ○ | × | ◎ | × | × | ○ | ○ | 低 |
投資信託 (NISA・iDeCo) |
必要 | ◎ | △ | △ | × | ○※2 | ◎ | ◎ | 中 |
金 | 必要 | △ | ◎ | ○ | × | × | × | × | 中 |
REIT | 必要 | ○ | △ | △ | × | × | △ | × | 中 |
不動産投資 | 必要※3 | ◎ | ◎ | ○ | ◎※4 | ○ | ○ | ◎ | 低 |
・35年以上の長期保有とした場合の比較表です
※1 1,000万迄元本保証
※2 NISA・iDeCoを活用した場合
※3 与信により借入による投資が検討可能
※4 団信保険加入の場合
年金対策
年金対策でおすすめなのは、不動産投資です。老後資金は2000万円必要とも言われています。不動産投資は家賃収入を継続的かつ定期的に受け取ることができるため、ローンが完済してしまえば年金の他に収入を得ることが出来ます。一方で、株式投資は経済状況によって、価格が変動しやすいため、年金を受給する年齢まで株を所持し続けたとしても、利益が損失を上回るとは限りません。逆に株価が下落してしまい、大きく損をしてしまう可能性もあります。
インフレ対策
インフレとは、物価が上昇している状態を指します。そんなインフレ時におすすめの金融商品は不動産投資と金です。不動産投資はインフレ時でも物件の価値が下がりにくく、家賃収入も物価上昇と共に上昇しやすいです。一方で、株式投資は物価上昇に連動して株価も上昇する傾向がありますが、物価上昇を製品価格に反映できない企業は業績が悪化するため、株価が下落する恐れもあります。
節税効果
節税効果が期待できるのは不動産投資です。不動産投資は1年の所得に対してかかる税額を減らす効果が期待できます。所得税・住民税は「減価償却」「損益通算」を行うことで、課税対象の所得額を少なく申告できるため、年間の納税額を抑える効果を期待できます。また、将来的に財産の贈与や相続が発生した際に、現金よりも不動産のほうが納税額を抑えられるというメリットもあります。
一方で、株式投資は取引を行い、利益が出た時は税金がかかります。税金の種類は申告分離課税・総合課税があります。ただし、売却して損失が出てしまった場合には、繰越控除と損益通算で節税できます。
保険効果
保険効果があるのは不動産投資です。不動産投資用ローンには、団体信用生命保険が付いていることが多いです。ローン返済中に名義人に万一のことがあったときには、生命保険会社から融資を行っている金融機関にその時点の借入残高相当の保険金が支払われて、残高はゼロになります。
一方で、株式投資には保険効果はありません。
下落相場対策
下落相場対策でおすすめな金融商品は不動産投資です。不動産投資で得られる家賃収入は、株式相場の下落や経済悪化の影響をあまり受けないため、安定した収入を継続的に受け取ることができます。一方で、株式投資は下落相場に非常に弱いです。株価は相場と連動しているため、相場が下落すると株価まで下落してしまうケースが大半です。
再現性
再現性があるのは、不動産投資です。再現性とは、知識の差や運用資金に左右することなく、同じ割合で利益を出せる投資のことを指します。不動産投資で再現性が高いのは「不動産小口化商品」です。「不動産小口化商品」の運用は、不動産のプロである事業者が行うため、専門家の知識を持つプロに資金を預けて運用することができます。
一方で、株式投資は再現性が低いです。投資信託を利用すれば、プロの専門家に株の運用を一任できますが、個別株を運用する場合、売買のタイミングなどで人によって同じ銘柄でも損益の差は異なってきます。個別株の運用が上手い人は含み益を多く見込めますが、運用が下手な人は逆に損をする可能性が高まります。
管理のしやすさ
管理のしやすさは不動産投資がおすすめです。不動産投資はサービスの良い不動産会社を見つけて管理を委託すれば、物件を購入後も自分で管理する手間は大幅に減少します。一方で、株式投資は管理がしにくいです。投資信託をすれば、プロの専門家に管理を一任できますが、個人で管理すると、どの銘柄を売買したかを自分で管理しなければなりません。自分で管理していると、銘柄が多くなると損益や支出の管理が難しくなてきます。しかし、最近では投資銘柄を管理するためのアプリなども配信されているので、管理しやすくなってきています。
目標資産5,000万円を目指すなら「株式投資」と「不動産投資」を組み合わせよう
ここまでの解説で、株式投資と不動産投資それぞれの投資法が有用だということについて、ご理解いただけたのではないでしょうか。ただ本記事では、この2つの投資手法を組み合わせることをおすすめしています。その理由は以下のとおりです。
「株式投資」と「不動産投資」を組み合わせる理由
株式投資と不動産投資は、異なる性格を持っている投資法です。この2つを組み合わせることで、リスクの分散や回避が可能となります。これにより長期的に見たとき、安定的な運用が実現しやすくなると考えられます。
両者の違いとしてはまず、株式投資は「金融資産」、不動産投資は「実物資産」という違いがあります。例えば金融資産(株式投資)は、海外の株式市場の影響を直接的に受けやすいです。これに対して、実物資産が受ける海外の株式市場の影響は限定的です。世界の海外株式市場が大暴落をしても、不動産価格や家賃収入が短期的に大きく変動することはありません。
また、一般的に不動産投資はミドルリスク・ミドルリターンといわれます。これにハイリスク・ハイリターンの側面がある株式投資を組み合わせることで、効率的な資産運用が可能となります(株式投資のリスクは選択する市場や銘柄によって大きく変わります)。
「株式投資」と「不動産投資」を組み合わせた資産5,000万円のシミュレーション
株式投資と不動産投資を組み合わせる理由についてご理解いただけたところで、実際に両者を組み合わせたシミュレーションをご紹介したいと思います。以下のシミュレーションでは、25年後に5,000万円の資産をつくることが可能です。
【基本的な考え方】
・株式投資で約2,000万円、不動産投資で約3,000万円を確保
・運用期間は、株式投資・不動産投資共に25年
・株式投資は毎月5万円を積み立て、利回り3%で運用
・不動産投資は築浅ワンルームマンションを2戸購入
(25年後の物件価格の下落率25%を想定)
【株式投資の運用結果】
積立金額5万円/月、利回り3%、積立期間25年
=約2,230万円(元本1,500万円+運用益730万円)
※売却益を含めると、実際にはさらに資産額が多くなります。
【不動産投資の運用結果】
・購入物件:2,000万円のワンルームマンション2戸(物件価格:計4,000万円)
・毎月の収支:ローン返済額約17万円-家賃収入約17万円=0円で計算
・借入金額4,000万円、返済金額17万円/月、25年で完済
・25年後に資産価値3,000万円(購入時の75%)の残債なしの物件を確保
*完済後はローン返済がなくなるため、家賃収入-管理コスト=キャッシュフローを得られます。
株式投資を成功させるポイント
株式投資と不動産投資を徹底比較したところで、次は株式投資のポイントを紹介していきます。
国内株と海外株を組み合わせた分散投資がおすすめ⁉
国内株を運用する場合は株価が割安な銘柄や、高配当をもらえる銘柄を運用すると、手堅く投資できて安定した利益が得やすいといわれています。割安株は株価が低い時に購入しているため、株価の下落が起こっても多少であればリスクを許容しやすい点がメリットです。一方で、高配当銘柄は株を保有しているだけで配当がもらえるのが特徴です。保有していればほぼ毎年もらえるという期待が持てるのは高配当株のメリットです。
株式を多く保有していると、配当も多く貰えるので、投資の意欲向上に繋がるでしょう。高配当株投資には減配のリスクがありますが、一般的に株価の変動よりも配当が減らされる割合は幅が小さいです。ですので、高配当株は比較的安定した収入が見込める投資とされています。
国内株だけでなく、海外株とも組み合わせるのもおすすめです。海外株は国内株と違って、大きな利益を見込めるケースがあります。また、さまざまな国や地域の株式に分散投資することで、リスクを分散することも可能です。日本の経済状況が悪くても、世界では経済状況が良い国もあります。また、円安になった際は為替差益を得られるメリットも魅力です。経済状況によって為替相場の動向は変わるため、上手くいけばハイリターンを望めます。リスクを分散するためにも、国内株と海外株を組み合わせて運用することがおすすめです。
株式を運用する際のポートフォリオは国や地域を分散させることが大切です。国内株だけでなく、米国株、欧州株等、他の国・地域の株式へ投資を行う分散投資をしていきましょう。
また、銘柄も多種多様なジャンルがあるため、銘柄の業界を分散させておくことも大切です。業界によって株価の動きが異なるため、たとえ下落相場が発生した業界の銘柄を購入していても、他の業界の銘柄に分散投資をしていれば損失を最小限にとどめることが出来ます。
現実的な株式運用の年利は2%以上
先ほど示したように、株式運用の年利の市場平均は2%以上です(プライム市場の場合)。株式を運用する際はこの年利を目安に運用していきましょう。平均年利を上回って運用すると、リターンは大きいですが、同時にリスクも大きくなります。逆に平均年利を下回って運用すると、リスクは低いですが、リターンも少なくなります。
また、インフレ率(物価水準上昇率)を超える利回りで運用することも大切です。インフレ時には、現金の価値は目減りしていきますが、インフレ率よりも高い利回りで運用することができれば、資産の価値が目減りすることがなくなります。
不動産投資に向いている人・株式投資に向いている人の特徴
ここまでの内容を整理する意味で、不動産投資または株式投資に向いている人の特徴をまとめてみました。ご参照ください。
不動産投資に向いている人
・長期的にコツコツ資産を増やしたい人
・大きなリスクを取りたくない人
・とはいえ、ある程度の利回りを確保したい人
・会社員などの不動産投資ローンを利用しやすい人
・現物資産で資産運用をしたい人
株式投資に向いている人
・リスクをとってもよいのでハイリターンを狙いたい人
・株式投資に回せる余剰資金がある人
・経済や特定分野の知識がある人
上記のように、不動産投資と株式投資は、性格が異なる投資方法です。だからこそ両者を組み合わせることで、リスクに対する耐性が高められたり、長期的に見たときにリスクを軽減・回避したりすることが可能となります。
まとめ
本記事では「不動産投資」と「株式投資」の組み合わせをテーマにお話してきましたが、実際の資産運用では、さらに多くの投資手法を組み合わせることで「分散投資」効果を狙うのが安全です。一般的には以下のような投資法を組み合わせて、安定性のあるポートフォリオ(自身の保有する資産の組み合わせや比率のこと)を目指していきます。
・投資信託
・日本国債/海外国債
・社債などその他債券
・REIT
・銀/プラチナなどその他の実物資産 など
安定的な資産運用を実現するために、それぞれの投資法の特徴やポートフォリオ作成の基本などの知見を高めていきましょう。
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この記事を書いた人
ベルテックスコラム事務局
不動産コンサルタント・税理士
不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。