2024.02.29

資産運用

ベルテックスコラム事務局

年金対策は何をすべき?個人ですべき資産形成について徹底解説

  • 日本の現状
  • 資産形成

近年、日本では投資・資産形成をはじめている人が増えています。その中でも年金対策を目的とする人が多いでしょう。老後に公的年金だけでは生活できないため、現役世代のうちから年金対策をはじめている人が多いようです。

この記事では、これから年金対策をはじめていきたい方・勉強していきたい方向けに年金対策としておすすめ商品をご紹介していきます。

年金対策をする人が増えている理由とは

まずは、年金対策をする人が増えている背景についてみていきましょう。

老後に必要と言われている資産金額

総務省統計局の統計データによれば、2021年度の老後に必要な生活費は、夫婦2人で約26万円、独身者で約15万円とされています同様に、2022年10月6日に公表された生命保険文化センターの「生活保障に関する調査」(2022年度)によると、老後の最低日常生活費以外に必要とされる平均額は月額14.8万円です。このため、ゆとりのある老後生活を望む場合、約26万円+14.8万円=40.8万円程度の費用が必要という試算結果が出ています

定年後には国民年金と厚生年金の支給がありますが、年収が500万円の会社員夫と専業主婦の場合、厚生年金加入期間40年で計算すると約22万円の支給が見込まれます。しかし、この金額は前述の老後生活費に足りず、不足分が生じます。定年後の30年間を考えると、老後資金に総額6,768万円が必要となります。この差額は年金以外の手段で補填する必要があります。

ゆとりのある老後生活費40.8万円―年金受給額22万円=不足額18.8万円 (不足額18.8万円×12ヵ月)×30年=6,768万円

年金支給額が減少している

日本の年金制度は賦課方式であるため、年金受給者つまり高齢者世代の増加によって、加入者世代の保険料を増やすことや、年金支給額の削減が必要とされます。実際に現在高齢化が進んでいることによって年金受給額が年々減ってきています。国民年金受給額を見ると、令和2年度は65,141円、令和3年度は65,075円、令和4年度は64,816円と連続で下落が見られました

さらに、平均寿命が延びていることも問題の一つです。日本の平均寿命は、令和2年時点で男性が81.64歳、女性が87.74歳ですが、30年前の1990年と比較すると男女共に5歳以上も延びています。内閣府によれば、令和47年には男性が84.95歳、女性が91.35歳まで平均寿命が延びると予測されています平均寿命が延びることで、老後の必要額が増え、年金支給額の減少につながります。

【参照元】日本年金機構「令和4年4月分からの年金額等について」より
【参照元】厚生労働省「令和2年簡易生命表」より

本記事の前提について

上記を理由に、年金対策を始める人が増えてきています。資産形成できる投資商品はたくさんありますが、それぞれメリット・デメリット、運用期間、リスクの度合い、換金性など特徴が大きく異なります。高リスクで大きな収益を見込めるようなものもあれば、低リスクかつ安定的で長期運用に向いているものもあります。

年金対策としてふさわしい商品の特徴は後者で、次項ではリスクヘッジと効果バランスを考えた年金対策向けの商品7つを紹介します。

年金対策としておすすめ資産形成7選

ここからは、年金対策としておすすめの資産形成方法を7つ紹介します。

  1. 投資信託(iDeCo/NISA)
  2. 債券投資
  3. 個人年金保険
  4. 高配当株
  5. 金投資
  6. REIT
  7. 不動産投資

それぞれの資産形成は、メリット・デメリットが異なります。そのためこのなかから1つだけを選ぶというよりも、自分に合った複数の項目を選んだほうがよいでしょう。これにより、リスク耐性が高まり安定的な資産形成が期待できます。

組み合わせの例:投資信託+個人年金保険+不動産投資

それぞれの年金対策の詳しい内容を確認していきましょう。

投資信託(iDeCo/NISA) ★★★

投資信託は、ファンドマネージャーと呼ばれる専門家が、投資家たちから集めた資金を国内外の債券や株式、不動産、先物などに投資および運用し、利益を投資家に還元するものです。

基本的には「分散型投資」が行われ、低リスクかつ数百円と少額からはじめられることがメリットです運用会社のファンドマネージャーが投資家の代わりに運用をしてくれるため、投資家自身に運用に関する知識がなくても問題ありません。

デメリットとしては、投資信託の価格は毎営業日変動するため、プロでも予期できない市場の変動を受け、損失が発生するリスクがあります。

・iDeCo
公的年金と合わせて、60歳以降に受け取れる私的年金制度です。定期預金・投資信託・保険商品等を選択し、掛金を決め、老後までに積み立てていく商品です。国が税制優遇を設けていますので、節税もできるのがメリットです。掛金のすべてが「全額所得控除」の対象になります。また、運用利益も非課税となっています。 デメリットとしては、金銭的に苦しくなっても原則60歳まで引き出しができない点があります

・NISA
iDeCoと同様に国が非課税制度を設けているNISAは、一般NISA・つみたてNISA・ジュニアNISAの3種類があります。それぞれ5年間・20年間・5年間、運用益や分配金が非課税対象となりますが、2024年以降大規模な制度改正により、非課税保有期間が無期限化し、年間の投資できる枠も増えますNISAは、専用NISA口座にて運用します。

特に初心者におすすめしたい「つみたてNSA」は、長期・積立・分散投資に適した投資信託です。基本的に毎月自動買付となりますので購入のタイミングを見定める必要がなく、1,000円程度の少額から始められることがメリットです。

iDeCoの加入者数とNISAの口座数は、年々右肩上がりです。どちらも初心者向けであり、年金対策に適した商品となります。

【参照元】iDeCo公式サイト「加入者数等について(令和5年5月時点)」7/3公開データより
【参照元】日本証券業協会「NISA口座開設・利用状況調査結果 (2023年3月31日現在)」より

こんな人におすすめ!
・投資初心者(これから資産形成をはじめていきたい)
・まずは少額投資をしたい
・リスクヘッジとして分散投資をしたい
・安定的な中長期運用をしたい
・信用度の高いものからはじめたい
・国が設けている税制優遇を活用したい

債券投資 ★★

債券とは、国や地方自治体、会社などが発行体となり資金を調達する目的で発行する証券を指します。契約時に利子と満期が設定され、定期的に利子が支払われたり、償還日まで保有すると元本が払い戻されたりする仕組みです。

債券から利息を受け取る方法として、主に利付債・割引債の2つがあります。利付債は保有の間定期的に利子が支払われるもので、割引債は利子相当分を割り引いて発行され、満期時に額面金額で償還されることで利子が支払われるものです。

デメリットとしては、発行体の財務状況が悪化したり倒産してしまった場合、利子の支払いが滞ったり元本の返済が遅れたりするリスクがあります。個人向け国債であれば、国が発行しているので信用度が高く、値動きの変動幅が少ないため、比較的リスクが低いです1万円から気軽に購入でき、初心者に向いている投資商品です。

こんな人におすすめ!
・投資初心者(これから資産形成をはじめていきたい)
・まずは少額投資をしたい
・安定的な中長期運用をしたい
・信用度の高いものからはじめたい

個人年金保険 ★★

個人年金保険とは、現役時代に保険料を支払うことで老後に一定額の年金を受け取れる保険商品です。「定額個人年金保険」と「変額個人年金保険」の2種類があり、「定額個人年金保険」は契約時に年金の額が確定しており、「変額個人年金保険」は株式や債券などの資産運用をした結果によって受取額が増減するものです。iDeCo・NISAに次ぐ、年金対策に適した商品で、所得税の控除対象にもなります。

デメリットとしては、設定した受給開始年齢の前に換金すると元本割れしてしまうことが多いです

こんな人におすすめ!
・投資初心者(iDeCo・NISAの次に年金対策に適している商品を探している)
・安定的な長期運用をしたい
・節税をしたい
・年金対策を手堅くしたい
・リスクを考えたくない

高配当株 ★★

株式投資には「配当金による利益(インカムゲイン)」と「株価の上昇による利益(キャピタルゲイン)」の2つの利益があります。高配当株の場合、基本的に大企業の銘柄が多く占めており値動きの変動幅が小さいため、じっくりと配当を受け取りながら利益を上げていくインカムゲインをメインとします。株価の下落時でも一定の配当がもらえるのがメリットです。

デメリットとしては、高配当株は上述通り基本的に値動きの変動幅が小さいため、株価の上昇による利益(キャピタルゲイン)は狙いにくいです。また、急激な経済変動で減配されるリスクもあります。

こんな人におすすめ!
・投資初心者(これから資産形成をはじめていきたい)
・安定的な中長期運用をしたい
・値動きの変動幅が小さい低リスクの商品を探している
・株価の下落時でも一定の配当を得たい

金投資 ★

金投資とは「金」に投資するものを指します。代表的な方法として、金貨や金地金の現物購入から、金に投資する投資信託、ETF、純金積立、先物取引などさまざまです。インフレ時に値上がりする傾向がある実物資産です

デメリットとしては、利息や配当などインカムゲインを生まないことが挙げられます。

こんな人におすすめ!
・リスクヘッジとして分散投資をしたい
・インフレに強い実物資産で投資をしたい

REIT ★★

REIT(リート)とは、不動産投資の専門家が複数の投資家から資金を募り、オフィス、商業施設、物流倉庫など多様な不動産に投資し、得た賃料収入や売却益を投資家に配当金として分配する仕組みです

日本ではこれを「J-REIT」とも呼びます。「J-REIT」は、投資収益の90%以上を投資家に還元する場合に法人税が免除されるため、高い利回りの分配金が投資家に支払われています。1万円前後から投資可能で、知識のある専門家にすべて任せられるのがメリットです。

デメリットとしては、不動産市場の動向に大きく影響されるため、物件の需要が低下する地域では価値が下がるリスクがあります。また、災害の被害によって価値が下がるリスクもあります。

こんな人におすすめ!
・まずは少額投資をしたい
・リスクヘッジとして分散投資をしたい
・ほったらかし投資をしたい、本業に集中したい
・インフレに強い実物資産で投資をしたい

不動産投資 ★★★

不動産投資とは、投資用物件を購入して入居者に住宅を提供することで、家賃収入(インカムゲイン)を得る仕組みです。主な投資用物件には、以下のような種類があります。

  • 一棟マンション
  • 区分マンション
  • アパート
  • 戸建て
  • オフィスビル
  • 商業ビル など

一般的な運営方法としては、これらの投資用物件の「物件管理」や「入居者管理」を専門業者に委託します。ただしこれらの管理業務を外部業者に委託すると管理委託料が発生するため、オーナー自ら管理業務を行うケースもあります(自主管理という)。最終的に不動産投資で成功したか否かは、家賃収入に売却益(キャピタルゲイン)を合算して判断します
※売却損が発生することもあります。

不動産投資の魅力や年金対策としておすすめの理由

不動産投資は、さまざまな資産運用のなかでもとりわけ年金対策に向いているといわれます。そのため、不動産投資に興味がある人も多いのではないでしょうか。ここからは、不動産投資が年金対策としておすすめな6つの理由を改めて整理していきましょう。

  1. 少額の自己資金で大きな資産形成ができる
  2. 生命保険の代替になる
  3. ほったらかし運用ができる
  4. 実物資産であり、インフレに強い
  5. 節税対策になる
  6. リスクを想定しやすい

それぞれの詳細を確認していきましょう。

少額の自己資金で大きな資産形成ができる

不動産投資では、物件購入時に金融機関の「不動産投資ローン」を利用するのが一般的です。ローンを利用することで以下のような最小限の自己資金で、大きな金額の物件を運用できる「レバレッジ効果」が期待できます。

  • 物件価格の2~3割程度の自己資金(頭金)
  • 物件価格の8~10%程度の初期費用(登記費用、各種税金、仲介手数料など)

※自己資金が不要のフルローンの融資を受けられるケースもあります。

レバレッジ効果により、大きな金額の物件を運用すれば同じ利回りでもより大きなリターンを得られます。

(一例)
同じ利回り5%でも……
・100万円を運用:年間リターン5万円
・2,000万円を運用:年間リターン100万円

このように資産運用で融資が受けられるのは、不動産投資ならではの魅力です。

生命保険の代替になる

年金対策として資産運用を行っていても、不可抗力で予定通り進まないケースもあります。例えば大病をして収入が途絶えてしまえば老後資金が大幅に足りない状況に陥りかねません。しかし不動産投資を選択していると、万が一のことがあっても老後資金を用意しやすくなります。

なぜなら不動産投資では、金融機関から融資を受けて物件を購入する場合、団体信用生命保険への加入ができるからです団体信用生命保険へ加入していれば、返済途中に借り主に万一のこと(亡くなったり重度な障害を負ったりするなど)があった場合、保険金でローン残債を相殺することができます。

残された家族がローンを返済する必要がなく、相続時には借入がない状態で収益物件を得られます。家賃収入を得たり、売却することでまとまった資金を得られたりします。一般的に団体信用生命保険の保険料は金利に含まれており、また金利を上乗せすることでがん団信や三大疾病団信なども適用できるなど、保険内容が充実しています

ほったらかし運用ができる

不動産投資は、オーナーが建物管理や入居者の対応などを行います。しかし、管理業務を管理会社へ委託することもでき、「ほったらかし」状態で運用することが可能です
※管理会社とのやりとりや指示など最小限の業務負担はあります。

一方で例えば株式投資やFXなどの場合は、マーケットをこまめにチェックして売り買いをしなくてはなりません。年金対策を検討している人のなかには、ビジネスパーソンも多いのではないでしょうか。しかし「本業に集中できず会社の評価が下がった」「給料が減ってしまった」というケースもあります。

こういったことを踏まえると不動産投資は、本業で忙しい方や本業に専念したい方にぴったりの資産運用といえるでしょう。

実物資産であり、インフレに強い

インフレ時に資産価値が上がりやすいのが実物資産です。一般的にインフレ局面では、実物資産のマンションやアパート、ビルなどの価格が上昇しやすいといわれています。そのためインフレ局面で現金を不動産に換えておけば資産防衛が可能です

ただしインフレになった場合、すべての不動産が値上がりするわけではありません。例えば賃貸需要の少ないエリアの物件は、価格上昇率がインフレ率を下回ったり、逆に値段が下落したりする可能性もあるため、注意しましょう。

さらにインフレ時に賃料を上げることも可能です。市況の変動をうまく活かしながら、効率よく資産運用できるのが不動産投資のうまみの一つです。

節税対策になる

不動産投資は、以下の2つの節税対策ができます。

・所得税(住民税)の節税
・相続税(贈与税)の節税

まずは、所得税の節税です。不動産所得は、総合課税に区分されるため、赤字が発生した場合にほかの所得(給与所得や事業所得など)と損益通算できるというメリットがあります。わかりやすくいえば不動産所得の赤字分とほかの所得の黒字分を相殺できるということです。これにより課税所得が圧縮されるため、所得税の節税が可能です。同様に所得に対して課税される住民税も節税できます。

次に相続税の節税です。財産を不動産で所有していると現金に比べて相続税評価額が大幅に圧縮されます。相続税に関しては、税制の変更によって適応されなくなる場合があるので、詳しくは税理士に相談することをおすすめします。

リスクを想定しやすい

不動産投資には、以下のようなリスクがあります。

  • 空室リスク
  • 家賃下落リスク
  • 物件価格下落リスク
  • 修繕費リスク
  • 家賃滞納リスク
  • 災害リスク
  • 金利上昇リスク

なかには、このようなリスクを見て不安を感じる人もいるかもしれません。しかし逆にいうと上記以外のリスクが起きにくいのが不動産投資の特徴です。またそれぞれのリスクには、事前にとれる対策があります。

つまり不動産投資は、しっかりと対策さえ講じておけば安定運用のしやすい年金対策向けの資産運用なのです。ほかにも金利上昇リスクへの対策であれば「低金利の金融機関を選ぶ」「借入額をなるべく抑える」「余裕があれば繰り上げ返済を行う」などが有効といえます。

こんな人におすすめ!
・投資初心者(iDeCo・NISAの次に年金対策に適している商品を探している)
・まずは少額投資をしたい
・安定的な中長期運用をしたい
・節税をしたい
・ほったらかし投資をしたい、本業に集中したい
・インフレに強い実物資産で投資をしたい

不動産投資の注意点

不動産投資には、ここまで紹介してきたような年金対策におすすめの理由がある一方で以下のような注意点もあります。

借入金額に上限がある

不動産投資が年金対策におすすめの理由のところで、ローンの利用によって「少額の自己資金で大きな資産形成ができる」点に触れました。ただし不動産投資ローンを利用するには、以下のような属性が必要です。

  • 安定収入がある
  • 一定の勤続年数がある
  • ほかのローンの借り入れが多すぎない
  • ほかのローンの返済で滞っていない など

なお不動産投資ローンの借入金額は、上記のような属性をクリアしても上限があります。金融機関から融資を受けて物件を購入する場合、年収に対する借入額の倍率などが金融機関によって定められます。事前に自分がどのぐらい融資を受けられるか把握した上で、購入計画を立てましょう

空室が出てしまうと安定した収益が得られない

年金対策として不動産投資を行う場合は、空室リスクを回避することが絶対条件となります。不動産投資の原資は、家賃収入です。空室が発生すると家賃収入が途絶えるため、ローンを利用している場合、毎月の返済は給与収入や貯蓄で賄わなければなりません。空室リスクに対しては、以下のような対策が効果的です。

  • 賃貸ニーズのある好立地を選ぶ
  • 都市部で人口が増加・安定している単身者向け物件を選ぶ
  • 集客力のある仲介会社に依頼する
  • 入居者がつきやすい新築や築浅物件を選ぶ など

上記のような条件を満たす賃貸物件は、資産価値が高いため利回りが低い傾向があります。しかし安定経営を実現しやすいため、年金対策には向いているでしょう。

収支計画を立てずに始めるのは危険

不動産投資で成功するには、物件購入の検討段階で計画を立案することが重要です。特に年金対策で行う場合は、計画をもとに慎重に判断することが求められます。ひと口に不動産投資の計画といってもさまざまな形態がありますが、最低限必要なのは収支計画(収支シミュレーション)でしょうこれは、以下の項目をもとに物件購入後の長期的な収支をシミュレーションするものです。

  • 初期投資の金額(物件価格、初期費用)
  • 借り入れ条件(融資金額、金利、返済期間)
  • 家賃収入
  • 経費(管理費、固定資産税、火災保険料など)
  • 売却時期や想定価格

これらに現実的な家賃下落率や空室率を反映させると高精度の収支計画となります。近年は、無料で手軽に利用できるシミュレーターもあるため、活用してみましょう。

事前に災害リスクがあることを把握する

年金対策で不動産投資をする際、空室リスクとともに警戒したいのが災害リスクです。災害により賃貸物件が倒壊・損壊してしまうと家賃収入が途絶えてしまい、予定していた老後資金が用意できなくなる可能性があります。日本は、もともと災害が起きやすい国です。具体的には、次のような災害が考えられます。

  • 台風 豪雨 洪水
  • 土砂災害
  • 地震
  • 津波
  • 火山噴火 など

特に要注意な災害は、地震です。日本は、地震大国といわれますが世界で起きているマグニチュード6以上の大地震の約2割を日本が占めています(回数ベース)。地震リスクに備えるためには「耐震性の高い構造の物件を選ぶ」「地盤の強いエリアを選ぶ」などが有効です。

【参照元】内閣府「防災白書-災害を受けやすい日本の国土」より

年金対策向けの理想的なポートフォリオ

年期対策向けの理想的なポートフォリオとして【iDeCo × NISA × 不動産投資】のシミュレーションを紹介します。

35歳の会社員、年収600万円の場合

iDeCo つみたてNISA iDeCo+つみたてNISA
掛金  月23,000円
積立期間  30年
運用利率  3%
積立総額  8,280,000円
運用益  5,063,226円
掛金  月50,000円
積立期間  30年
運用利率  5%
積立総額  18,000,000円
運用益  23,612,932円
掛金 月73,000円
積立総額
26,280,000円
運用益(非課税)
28,676,158円
計13,343,226円 計41,612,932円 計 54,956,158円

iDeCo+つみたてNISA 不動産投資
掛金 月73,000円
積立総額
26,280,000円
運用益(非課税)
28,676,158円
新築3,020万円
中古2,970万円
頭金 20万円
月収支 -4,842円
※35年ローンで金利1.75%の場合
計 54,956,158円 ・約6,000万円の実物資産を他人資本で運用
・ローン完済後年間約240万円の家賃収入
・節税効果 初年度約39万円の還付

【参照元】三井住友銀行公式サイト「メリットを確認!税軽減シミュレーション」より
【参照元】楽天証券公式サイト「積立かんたんシミュレーション」より

まとめ

文頭でも述べたように、老後は公的年金だけで生活ができないため、現役世代のうちから対策をしていく必要があります。年金対策は、今後の少子高齢化による年金支給額の削減や加入者世代の保険料増額、平均寿命が延びてきていることを考慮すると、貯蓄だけでなく、計画的に資産形成をはじめることが重要です。

ベルテックスでは不動産投資やその他の資産運用にまつわる資産形成セミナーを開催しています。ご自宅からオンラインでご参加いただけますので、より詳しく話を聞いてみたい方はぜひお気軽にお問い合わせください。

この記事を書いた人

ベルテックスコラム事務局

不動産コンサルタント・税理士

不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。

2024.02.29

資産運用

ベルテックスコラム事務局

年金対策は何をすべき?個人ですべき資産形成について徹底解説

  • 日本の現状
  • 資産形成

近年、日本では投資・資産形成をはじめている人が増えています。その中でも年金対策を目的とする人が多いでしょう。老後に公的年金だけでは生活できないため、現役世代のうちから年金対策をはじめている人が多いようです。

この記事では、これから年金対策をはじめていきたい方・勉強していきたい方向けに年金対策としておすすめ商品をご紹介していきます。

年金対策をする人が増えている理由とは

まずは、年金対策をする人が増えている背景についてみていきましょう。

老後に必要と言われている資産金額

総務省統計局の統計データによれば、2021年度の老後に必要な生活費は、夫婦2人で約26万円、独身者で約15万円とされています同様に、2022年10月6日に公表された生命保険文化センターの「生活保障に関する調査」(2022年度)によると、老後の最低日常生活費以外に必要とされる平均額は月額14.8万円です。このため、ゆとりのある老後生活を望む場合、約26万円+14.8万円=40.8万円程度の費用が必要という試算結果が出ています

定年後には国民年金と厚生年金の支給がありますが、年収が500万円の会社員夫と専業主婦の場合、厚生年金加入期間40年で計算すると約22万円の支給が見込まれます。しかし、この金額は前述の老後生活費に足りず、不足分が生じます。定年後の30年間を考えると、老後資金に総額6,768万円が必要となります。この差額は年金以外の手段で補填する必要があります。

ゆとりのある老後生活費40.8万円―年金受給額22万円=不足額18.8万円 (不足額18.8万円×12ヵ月)×30年=6,768万円

年金支給額が減少している

日本の年金制度は賦課方式であるため、年金受給者つまり高齢者世代の増加によって、加入者世代の保険料を増やすことや、年金支給額の削減が必要とされます。実際に現在高齢化が進んでいることによって年金受給額が年々減ってきています。国民年金受給額を見ると、令和2年度は65,141円、令和3年度は65,075円、令和4年度は64,816円と連続で下落が見られました

さらに、平均寿命が延びていることも問題の一つです。日本の平均寿命は、令和2年時点で男性が81.64歳、女性が87.74歳ですが、30年前の1990年と比較すると男女共に5歳以上も延びています。内閣府によれば、令和47年には男性が84.95歳、女性が91.35歳まで平均寿命が延びると予測されています平均寿命が延びることで、老後の必要額が増え、年金支給額の減少につながります。

【参照元】日本年金機構「令和4年4月分からの年金額等について」より
【参照元】厚生労働省「令和2年簡易生命表」より

本記事の前提について

上記を理由に、年金対策を始める人が増えてきています。資産形成できる投資商品はたくさんありますが、それぞれメリット・デメリット、運用期間、リスクの度合い、換金性など特徴が大きく異なります。高リスクで大きな収益を見込めるようなものもあれば、低リスクかつ安定的で長期運用に向いているものもあります。

年金対策としてふさわしい商品の特徴は後者で、次項ではリスクヘッジと効果バランスを考えた年金対策向けの商品7つを紹介します。

年金対策としておすすめ資産形成7選

ここからは、年金対策としておすすめの資産形成方法を7つ紹介します。

  1. 投資信託(iDeCo/NISA)
  2. 債券投資
  3. 個人年金保険
  4. 高配当株
  5. 金投資
  6. REIT
  7. 不動産投資

それぞれの資産形成は、メリット・デメリットが異なります。そのためこのなかから1つだけを選ぶというよりも、自分に合った複数の項目を選んだほうがよいでしょう。これにより、リスク耐性が高まり安定的な資産形成が期待できます。

組み合わせの例:投資信託+個人年金保険+不動産投資

それぞれの年金対策の詳しい内容を確認していきましょう。

投資信託(iDeCo/NISA) ★★★

投資信託は、ファンドマネージャーと呼ばれる専門家が、投資家たちから集めた資金を国内外の債券や株式、不動産、先物などに投資および運用し、利益を投資家に還元するものです。

基本的には「分散型投資」が行われ、低リスクかつ数百円と少額からはじめられることがメリットです運用会社のファンドマネージャーが投資家の代わりに運用をしてくれるため、投資家自身に運用に関する知識がなくても問題ありません。

デメリットとしては、投資信託の価格は毎営業日変動するため、プロでも予期できない市場の変動を受け、損失が発生するリスクがあります。

・iDeCo
公的年金と合わせて、60歳以降に受け取れる私的年金制度です。定期預金・投資信託・保険商品等を選択し、掛金を決め、老後までに積み立てていく商品です。国が税制優遇を設けていますので、節税もできるのがメリットです。掛金のすべてが「全額所得控除」の対象になります。また、運用利益も非課税となっています。 デメリットとしては、金銭的に苦しくなっても原則60歳まで引き出しができない点があります

・NISA
iDeCoと同様に国が非課税制度を設けているNISAは、一般NISA・つみたてNISA・ジュニアNISAの3種類があります。それぞれ5年間・20年間・5年間、運用益や分配金が非課税対象となりますが、2024年以降大規模な制度改正により、非課税保有期間が無期限化し、年間の投資できる枠も増えますNISAは、専用NISA口座にて運用します。

特に初心者におすすめしたい「つみたてNSA」は、長期・積立・分散投資に適した投資信託です。基本的に毎月自動買付となりますので購入のタイミングを見定める必要がなく、1,000円程度の少額から始められることがメリットです。

iDeCoの加入者数とNISAの口座数は、年々右肩上がりです。どちらも初心者向けであり、年金対策に適した商品となります。

【参照元】iDeCo公式サイト「加入者数等について(令和5年5月時点)」7/3公開データより
【参照元】日本証券業協会「NISA口座開設・利用状況調査結果 (2023年3月31日現在)」より

こんな人におすすめ!
・投資初心者(これから資産形成をはじめていきたい)
・まずは少額投資をしたい
・リスクヘッジとして分散投資をしたい
・安定的な中長期運用をしたい
・信用度の高いものからはじめたい
・国が設けている税制優遇を活用したい

債券投資 ★★

債券とは、国や地方自治体、会社などが発行体となり資金を調達する目的で発行する証券を指します。契約時に利子と満期が設定され、定期的に利子が支払われたり、償還日まで保有すると元本が払い戻されたりする仕組みです。

債券から利息を受け取る方法として、主に利付債・割引債の2つがあります。利付債は保有の間定期的に利子が支払われるもので、割引債は利子相当分を割り引いて発行され、満期時に額面金額で償還されることで利子が支払われるものです。

デメリットとしては、発行体の財務状況が悪化したり倒産してしまった場合、利子の支払いが滞ったり元本の返済が遅れたりするリスクがあります。個人向け国債であれば、国が発行しているので信用度が高く、値動きの変動幅が少ないため、比較的リスクが低いです1万円から気軽に購入でき、初心者に向いている投資商品です。

こんな人におすすめ!
・投資初心者(これから資産形成をはじめていきたい)
・まずは少額投資をしたい
・安定的な中長期運用をしたい
・信用度の高いものからはじめたい

個人年金保険 ★★

個人年金保険とは、現役時代に保険料を支払うことで老後に一定額の年金を受け取れる保険商品です。「定額個人年金保険」と「変額個人年金保険」の2種類があり、「定額個人年金保険」は契約時に年金の額が確定しており、「変額個人年金保険」は株式や債券などの資産運用をした結果によって受取額が増減するものです。iDeCo・NISAに次ぐ、年金対策に適した商品で、所得税の控除対象にもなります。

デメリットとしては、設定した受給開始年齢の前に換金すると元本割れしてしまうことが多いです

こんな人におすすめ!
・投資初心者(iDeCo・NISAの次に年金対策に適している商品を探している)
・安定的な長期運用をしたい
・節税をしたい
・年金対策を手堅くしたい
・リスクを考えたくない

高配当株 ★★

株式投資には「配当金による利益(インカムゲイン)」と「株価の上昇による利益(キャピタルゲイン)」の2つの利益があります。高配当株の場合、基本的に大企業の銘柄が多く占めており値動きの変動幅が小さいため、じっくりと配当を受け取りながら利益を上げていくインカムゲインをメインとします。株価の下落時でも一定の配当がもらえるのがメリットです。

デメリットとしては、高配当株は上述通り基本的に値動きの変動幅が小さいため、株価の上昇による利益(キャピタルゲイン)は狙いにくいです。また、急激な経済変動で減配されるリスクもあります。

こんな人におすすめ!
・投資初心者(これから資産形成をはじめていきたい)
・安定的な中長期運用をしたい
・値動きの変動幅が小さい低リスクの商品を探している
・株価の下落時でも一定の配当を得たい

金投資 ★

金投資とは「金」に投資するものを指します。代表的な方法として、金貨や金地金の現物購入から、金に投資する投資信託、ETF、純金積立、先物取引などさまざまです。インフレ時に値上がりする傾向がある実物資産です

デメリットとしては、利息や配当などインカムゲインを生まないことが挙げられます。

こんな人におすすめ!
・リスクヘッジとして分散投資をしたい
・インフレに強い実物資産で投資をしたい

REIT ★★

REIT(リート)とは、不動産投資の専門家が複数の投資家から資金を募り、オフィス、商業施設、物流倉庫など多様な不動産に投資し、得た賃料収入や売却益を投資家に配当金として分配する仕組みです

日本ではこれを「J-REIT」とも呼びます。「J-REIT」は、投資収益の90%以上を投資家に還元する場合に法人税が免除されるため、高い利回りの分配金が投資家に支払われています。1万円前後から投資可能で、知識のある専門家にすべて任せられるのがメリットです。

デメリットとしては、不動産市場の動向に大きく影響されるため、物件の需要が低下する地域では価値が下がるリスクがあります。また、災害の被害によって価値が下がるリスクもあります。

こんな人におすすめ!
・まずは少額投資をしたい
・リスクヘッジとして分散投資をしたい
・ほったらかし投資をしたい、本業に集中したい
・インフレに強い実物資産で投資をしたい

不動産投資 ★★★

不動産投資とは、投資用物件を購入して入居者に住宅を提供することで、家賃収入(インカムゲイン)を得る仕組みです。主な投資用物件には、以下のような種類があります。

  • 一棟マンション
  • 区分マンション
  • アパート
  • 戸建て
  • オフィスビル
  • 商業ビル など

一般的な運営方法としては、これらの投資用物件の「物件管理」や「入居者管理」を専門業者に委託します。ただしこれらの管理業務を外部業者に委託すると管理委託料が発生するため、オーナー自ら管理業務を行うケースもあります(自主管理という)。最終的に不動産投資で成功したか否かは、家賃収入に売却益(キャピタルゲイン)を合算して判断します
※売却損が発生することもあります。

不動産投資の魅力や年金対策としておすすめの理由

不動産投資は、さまざまな資産運用のなかでもとりわけ年金対策に向いているといわれます。そのため、不動産投資に興味がある人も多いのではないでしょうか。ここからは、不動産投資が年金対策としておすすめな6つの理由を改めて整理していきましょう。

  1. 少額の自己資金で大きな資産形成ができる
  2. 生命保険の代替になる
  3. ほったらかし運用ができる
  4. 実物資産であり、インフレに強い
  5. 節税対策になる
  6. リスクを想定しやすい

それぞれの詳細を確認していきましょう。

少額の自己資金で大きな資産形成ができる

不動産投資では、物件購入時に金融機関の「不動産投資ローン」を利用するのが一般的です。ローンを利用することで以下のような最小限の自己資金で、大きな金額の物件を運用できる「レバレッジ効果」が期待できます。

  • 物件価格の2~3割程度の自己資金(頭金)
  • 物件価格の8~10%程度の初期費用(登記費用、各種税金、仲介手数料など)

※自己資金が不要のフルローンの融資を受けられるケースもあります。

レバレッジ効果により、大きな金額の物件を運用すれば同じ利回りでもより大きなリターンを得られます。

(一例)
同じ利回り5%でも……
・100万円を運用:年間リターン5万円
・2,000万円を運用:年間リターン100万円

このように資産運用で融資が受けられるのは、不動産投資ならではの魅力です。

生命保険の代替になる

年金対策として資産運用を行っていても、不可抗力で予定通り進まないケースもあります。例えば大病をして収入が途絶えてしまえば老後資金が大幅に足りない状況に陥りかねません。しかし不動産投資を選択していると、万が一のことがあっても老後資金を用意しやすくなります。

なぜなら不動産投資では、金融機関から融資を受けて物件を購入する場合、団体信用生命保険への加入ができるからです団体信用生命保険へ加入していれば、返済途中に借り主に万一のこと(亡くなったり重度な障害を負ったりするなど)があった場合、保険金でローン残債を相殺することができます。

残された家族がローンを返済する必要がなく、相続時には借入がない状態で収益物件を得られます。家賃収入を得たり、売却することでまとまった資金を得られたりします。一般的に団体信用生命保険の保険料は金利に含まれており、また金利を上乗せすることでがん団信や三大疾病団信なども適用できるなど、保険内容が充実しています

ほったらかし運用ができる

不動産投資は、オーナーが建物管理や入居者の対応などを行います。しかし、管理業務を管理会社へ委託することもでき、「ほったらかし」状態で運用することが可能です
※管理会社とのやりとりや指示など最小限の業務負担はあります。

一方で例えば株式投資やFXなどの場合は、マーケットをこまめにチェックして売り買いをしなくてはなりません。年金対策を検討している人のなかには、ビジネスパーソンも多いのではないでしょうか。しかし「本業に集中できず会社の評価が下がった」「給料が減ってしまった」というケースもあります。

こういったことを踏まえると不動産投資は、本業で忙しい方や本業に専念したい方にぴったりの資産運用といえるでしょう。

実物資産であり、インフレに強い

インフレ時に資産価値が上がりやすいのが実物資産です。一般的にインフレ局面では、実物資産のマンションやアパート、ビルなどの価格が上昇しやすいといわれています。そのためインフレ局面で現金を不動産に換えておけば資産防衛が可能です

ただしインフレになった場合、すべての不動産が値上がりするわけではありません。例えば賃貸需要の少ないエリアの物件は、価格上昇率がインフレ率を下回ったり、逆に値段が下落したりする可能性もあるため、注意しましょう。

さらにインフレ時に賃料を上げることも可能です。市況の変動をうまく活かしながら、効率よく資産運用できるのが不動産投資のうまみの一つです。

節税対策になる

不動産投資は、以下の2つの節税対策ができます。

・所得税(住民税)の節税
・相続税(贈与税)の節税

まずは、所得税の節税です。不動産所得は、総合課税に区分されるため、赤字が発生した場合にほかの所得(給与所得や事業所得など)と損益通算できるというメリットがあります。わかりやすくいえば不動産所得の赤字分とほかの所得の黒字分を相殺できるということです。これにより課税所得が圧縮されるため、所得税の節税が可能です。同様に所得に対して課税される住民税も節税できます。

次に相続税の節税です。財産を不動産で所有していると現金に比べて相続税評価額が大幅に圧縮されます。相続税に関しては、税制の変更によって適応されなくなる場合があるので、詳しくは税理士に相談することをおすすめします。

リスクを想定しやすい

不動産投資には、以下のようなリスクがあります。

  • 空室リスク
  • 家賃下落リスク
  • 物件価格下落リスク
  • 修繕費リスク
  • 家賃滞納リスク
  • 災害リスク
  • 金利上昇リスク

なかには、このようなリスクを見て不安を感じる人もいるかもしれません。しかし逆にいうと上記以外のリスクが起きにくいのが不動産投資の特徴です。またそれぞれのリスクには、事前にとれる対策があります。

つまり不動産投資は、しっかりと対策さえ講じておけば安定運用のしやすい年金対策向けの資産運用なのです。ほかにも金利上昇リスクへの対策であれば「低金利の金融機関を選ぶ」「借入額をなるべく抑える」「余裕があれば繰り上げ返済を行う」などが有効といえます。

こんな人におすすめ!
・投資初心者(iDeCo・NISAの次に年金対策に適している商品を探している)
・まずは少額投資をしたい
・安定的な中長期運用をしたい
・節税をしたい
・ほったらかし投資をしたい、本業に集中したい
・インフレに強い実物資産で投資をしたい

不動産投資の注意点

不動産投資には、ここまで紹介してきたような年金対策におすすめの理由がある一方で以下のような注意点もあります。

借入金額に上限がある

不動産投資が年金対策におすすめの理由のところで、ローンの利用によって「少額の自己資金で大きな資産形成ができる」点に触れました。ただし不動産投資ローンを利用するには、以下のような属性が必要です。

  • 安定収入がある
  • 一定の勤続年数がある
  • ほかのローンの借り入れが多すぎない
  • ほかのローンの返済で滞っていない など

なお不動産投資ローンの借入金額は、上記のような属性をクリアしても上限があります。金融機関から融資を受けて物件を購入する場合、年収に対する借入額の倍率などが金融機関によって定められます。事前に自分がどのぐらい融資を受けられるか把握した上で、購入計画を立てましょう

空室が出てしまうと安定した収益が得られない

年金対策として不動産投資を行う場合は、空室リスクを回避することが絶対条件となります。不動産投資の原資は、家賃収入です。空室が発生すると家賃収入が途絶えるため、ローンを利用している場合、毎月の返済は給与収入や貯蓄で賄わなければなりません。空室リスクに対しては、以下のような対策が効果的です。

  • 賃貸ニーズのある好立地を選ぶ
  • 都市部で人口が増加・安定している単身者向け物件を選ぶ
  • 集客力のある仲介会社に依頼する
  • 入居者がつきやすい新築や築浅物件を選ぶ など

上記のような条件を満たす賃貸物件は、資産価値が高いため利回りが低い傾向があります。しかし安定経営を実現しやすいため、年金対策には向いているでしょう。

収支計画を立てずに始めるのは危険

不動産投資で成功するには、物件購入の検討段階で計画を立案することが重要です。特に年金対策で行う場合は、計画をもとに慎重に判断することが求められます。ひと口に不動産投資の計画といってもさまざまな形態がありますが、最低限必要なのは収支計画(収支シミュレーション)でしょうこれは、以下の項目をもとに物件購入後の長期的な収支をシミュレーションするものです。

  • 初期投資の金額(物件価格、初期費用)
  • 借り入れ条件(融資金額、金利、返済期間)
  • 家賃収入
  • 経費(管理費、固定資産税、火災保険料など)
  • 売却時期や想定価格

これらに現実的な家賃下落率や空室率を反映させると高精度の収支計画となります。近年は、無料で手軽に利用できるシミュレーターもあるため、活用してみましょう。

事前に災害リスクがあることを把握する

年金対策で不動産投資をする際、空室リスクとともに警戒したいのが災害リスクです。災害により賃貸物件が倒壊・損壊してしまうと家賃収入が途絶えてしまい、予定していた老後資金が用意できなくなる可能性があります。日本は、もともと災害が起きやすい国です。具体的には、次のような災害が考えられます。

  • 台風 豪雨 洪水
  • 土砂災害
  • 地震
  • 津波
  • 火山噴火 など

特に要注意な災害は、地震です。日本は、地震大国といわれますが世界で起きているマグニチュード6以上の大地震の約2割を日本が占めています(回数ベース)。地震リスクに備えるためには「耐震性の高い構造の物件を選ぶ」「地盤の強いエリアを選ぶ」などが有効です。

【参照元】内閣府「防災白書-災害を受けやすい日本の国土」より

年金対策向けの理想的なポートフォリオ

年期対策向けの理想的なポートフォリオとして【iDeCo × NISA × 不動産投資】のシミュレーションを紹介します。

35歳の会社員、年収600万円の場合

iDeCo つみたてNISA iDeCo+つみたてNISA
掛金  月23,000円
積立期間  30年
運用利率  3%
積立総額  8,280,000円
運用益  5,063,226円
掛金  月50,000円
積立期間  30年
運用利率  5%
積立総額  18,000,000円
運用益  23,612,932円
掛金 月73,000円
積立総額
26,280,000円
運用益(非課税)
28,676,158円
計13,343,226円 計41,612,932円 計 54,956,158円

iDeCo+つみたてNISA 不動産投資
掛金 月73,000円
積立総額
26,280,000円
運用益(非課税)
28,676,158円
新築3,020万円
中古2,970万円
頭金 20万円
月収支 -4,842円
※35年ローンで金利1.75%の場合
計 54,956,158円 ・約6,000万円の実物資産を他人資本で運用
・ローン完済後年間約240万円の家賃収入
・節税効果 初年度約39万円の還付

【参照元】三井住友銀行公式サイト「メリットを確認!税軽減シミュレーション」より
【参照元】楽天証券公式サイト「積立かんたんシミュレーション」より

まとめ

文頭でも述べたように、老後は公的年金だけで生活ができないため、現役世代のうちから対策をしていく必要があります。年金対策は、今後の少子高齢化による年金支給額の削減や加入者世代の保険料増額、平均寿命が延びてきていることを考慮すると、貯蓄だけでなく、計画的に資産形成をはじめることが重要です。

ベルテックスでは不動産投資やその他の資産運用にまつわる資産形成セミナーを開催しています。ご自宅からオンラインでご参加いただけますので、より詳しく話を聞いてみたい方はぜひお気軽にお問い合わせください。

この記事を書いた人

ベルテックスコラム事務局

不動産コンサルタント・税理士

不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。