2024.02.29

資産運用

ベルテックスコラム事務局

コツコツ始める老後の準備 初心者向けの資産形成を紹介

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  • 老後資金
  • 資産形成
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若いうちから老後の生活費を準備したほうがいいという声を聴いたことはありませんか。「年金不安」「老後2,000万円問題」など老後の生活費に関する話題は増えてきています。年金以外の老後資金を用意する方法にはどんなものがあるのでしょうか。

今回は、老後に向けた資産形成が必要な理由、初心者におすすめの資産形成について説明します。

老後に向けた資産形成が必要な理由とは

近年、老後に向けた資産形成が必要という声をよく耳にします。なぜ年金が受け取れるのに、資産形成をおこなう必要があるのでしょうか。

年金だけでは生活費は賄えない

「年金」は退職後の大事な収入源です。しかし、年金だけでは老後の生活がままならないという話も聞きます。実際に年金支給額は減少しているのです。
支給額減少の大きな原因は、少子高齢化にあるでしょう。全人口に対して、高齢者(65歳以上)の比率が増え、16歳から64歳までの生産年齢人口の比率、子ども(15歳以下)の比率が減少しています。

日本の過去30年間の出生率と年齢別人口割合と今後の見通し

  出生率 人口割合
(対1,000人) 0~14歳 15~64歳 65歳以上
1990年 10.0 18.2% 69.7% 12.1%
2000年 9.5 14.6% 68.1% 17.4%
2010年 8.5 13.1% 63.8% 23.0%
2020年 6.8 11.9% 59.5% 28.6%
2030年 6.4 10.3% 58.9% 30.8%
2040年 6.4 10.1% 55.1% 34.8%
2050年 5.9 9.9% 52.9% 37.1%
2060年 5.6 9.3% 52.8% 37.9%
2070年 5.7 9.2% 52.1% 38.7%

【参照元】国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口資料表1-3」、「粗出生率」より

年金は、生産年齢人口を構成する現役世代が高齢者を支える仕組みとなっています。 1970年ごろは、高齢者1人を10人ほどの現役世代で支えていたのが、2000年ごろには4人で、さらに今後の2030年ごろになると、2人で支えなければならなくなる見込みです

このような環境なので、 現役世代が負担する年金保険料は年々増加し、高齢者の年金受給額は徐々に減少しています以下の表は2000年と2020年の国民年金の保険料と受給額をまとめたものです。 この20年で保険料は3,240円増加し、受給額は1,875円減少しています

2000年と2020年の国民年金保険料と国民年金受給額の比較

  2000年 2020年
国民年金保険料(月額) 1万3,300円 1万6,540円
国民年金受給額(年額) 6万7,016円 6万5,141円

この先20年、30年後の年金の保険料、受給額がいくらになるかは現時点では決まっていませんが、保険料の増額、受給額の減少傾向は続く可能性があり、老後の生活費を年金だけで賄うのには不安が残ることは否めません

老後直前で支出はピークへ

月の平均消費支出額は定年直前の50~59歳がピークです。
定年直前の時期は支出額が多く、老後生活に向けての貯蓄にまわす余裕が少なくなる年代なのです。
支出額が比較的少額である20代、30代は老後生活向けの資産形成を始めやすいこともうかがえます。 

世帯主の年齢階級別消費支出額 二人以上の世帯 2022年

世帯主年齢 月平均消費支出額
40歳未満 26万9,094円
40~49歳 32万1,269円
50~59歳 35万9,963円
60~69歳 29万9,362円
70歳以上 23万7,203円

老後に向けた資産形成は貯蓄だけでは非効率

老後に向けた資産形成を定期預金でおこなう方は多いかもしれません。しかし、預金だけではお金を増やすには非効率だと言われます。ですので、近年では「資産形成」が注目されているのです。

お金に働いてもらうと資産はこんなに増える

月に〇万円ずつ貯金に回すと決めて老後に備える方も多いですが、低金利が続いており、金利収入ではなかなかお金を増やすことはできません。そこで効果的にお金を増やす方法として、お金に働いてもらう「資産形成」が注目されています。「お金に働いてもらう」とは具体的には、金融商品や不動産などに投資をおこない、利息や売却益を得てお金を増やすことをいいます。自らが働くことなく収入が得られることから「お金に働いてもらう」ということになるのです。

ここでは預貯金した場合と投資した場合で30年後にお金がどれくらい増えているかのシミュレーションを比較してみます。

月1万5,000円を金利0.01%の定期預金に30年間預けた場合・・・540万8,086円
月1万5,000円を利回り3%の投資信託で積立運用した場合・・・874万1,053円

30年後の2つの方法の差額は333万2,967円にもなります。
投資にはリスクもあるので注意が必要ですが、ただ預金をするだけよりも投資をした方がお金が増えることが分かります。

知っている人は着手している資産形成

以下の表は、金融資産を保有している世帯の金融資産保有額の統計結果です。金融資産保有の定義は証券会社の口座の有無です。金融資産保有額は世代が上がるごとに増えていっています。平均保有額は20代から30代、30代から40代で比較して、いずれも400万円増加していることがわかります。

金融資産を保有している世帯の年代別金融資産保有額

  20代 30代 40代
回答数(世帯数) 428世帯 712世帯 985世帯
100万円未満 36.9% 20.6% 16.8%
100~500万円 42.8% 34.6% 30.3%
500~1,000万円 12.4% 20.1% 18.1%
1,000~2,000万円 2.8% 13.0% 15.4%
2.000~3,000万円 0.5% 4.6% 6.9%
3,000万円以上 1.2% 3.2% 7.2%
平均 315万円 712万円 1,114万円
中央値 130万円 350万円 500万円

※左側:金融資産を保有している世帯 右側:金融資産を保有している世帯としていない世帯合計

老後に向けた資産形成のポイント

老後に向けた資産形成を上手におこなうためには、押さえておきたいポイントを紹介します。

年齢とライフプランでリスク許容度を変える

まず初めに「資産形成をおこなう目的」を明確にすることが重要です。
「目的」を明確にすることで、資産形成における投資方法が決まってきます。どの投資方法を選択して、いくら投資すればよいのかを決定するのです。

たとえば目標を「老後に備えて65歳までに3,000万円つくる」と設定します。20代や30代だと65歳までに時間があるので、月々の投資額が比較的少額で済み、リスク許容度の高い投資法が選択できます。40代、50代となると、失敗すると取返しがききにくい世代となるので、リスク許容度を低めにして月々の投資額を比較的多めにしなければなりません。
リスク許容度は年齢や家庭の状況や仕事の内容などによって、人それぞれ異なります。ご自身に合わせたリスク許容度を理解することが重要です。

資産形成の原則「長期・分散・積立」

老後に向けた資産形成においてで大事なポイントとして、「長期投資」、「分散投資」、「積立投資」でおこなうことがあげられます。
資産形成は、「長期投資」を意識する必要があります。株式は日々株価が変動するため短期的なスパンだと浮き沈みが激しく、損失が続く場合は怖くて手放したくなるでしょう。しかし、世界的にみて株式相場は長期スパンだと緩やかな右肩上がりになりがちです。日々の価格変動に一喜一憂することなく、長期的な視点を持つことを心がけましょう
「分散投資」も成功のカギです。イギリスでは古くから「同じカゴにたくさんの卵を盛るな」という資産形成での格言があります。同じ投資商品に全財産を注ぎ込むと、その商品で失敗した場合、すべてが水の泡となってしまいます。そうならないように資産形成をおこなう場合、数種類の投資商品に分散投資してリスクヘッジをおこないましょう
「積立投資」も長期運用で成功するコツといえるでしょう。相場変動のある商品で資産形成をおこなう際、積立投資だと「ドルコスト平均法」という投資手法が使えます。「ドルコスト平均法」とは、価格が変動する商品を定期的に決まった金額を購入し続ける手法です。

長期での運用が向いている資産形成とは

ここでは、「長期・分散・積立」ができる投資商品を紹介していきます。

iDeCo

iDeCoは、個人型確定拠出年金です。金融機関でiDeCo口座を開設し、金融機関が指定する投資信託の中から、一つないしは数種類の商品を選択して毎月積み立てていきます。
最大のメリットは、節税効果が高いことです。掛金は全額所得控除の対象になり、分配金や運用益が出た場合、その利益は非課税ですさらに受給時には一括受取だと退職所得控除が、年金受取だと公的年金控除が適用されます。デメリットとしては月々の掛金に対する手数料がかかることがある点や原則60歳まで引き出せないことがあげられます。
企業年金を導入していない企業に勤める会社員の場合、積立の上限が月々2万3,000円となっています。この掛金で利回り3%と5%を複利で運用した場合、30年後にいくらまで増えるのかシミュレーションしてみましょう。

月々2万3,000円を30年間積み立てた場合の投資元本・・・828万円
利回り3%で運用した場合の30年後・・・約1,331万円
利回り5%で運用した場合の30年後・・・約1,875万円

長期投資のメリットは複利運用をおこなった場合に雪だるま式に増えることです。さらに運用益が非課税なので無駄のない運用が可能です。

NISA

NISAは、NISA口座内で購入した金融商品にかかる配当金や売却益が非課税となる制度です2023年までは、一般NISA(一度に商品を購入する)とつみたてNISA(毎月一定額を積立購入する)の二者選択式となっていますが、2024年より、どちらも併用が可能となり、投資枠も拡大されます。

メリットも多いNISAですが、注意点もあります。2023年までのNISAは非課税となる期間が決められています。その期間を過ぎると配当金も売却益も課税されるのです。2024年からの新NISAではその期間は撤廃されます。そして新NISAでは年間投資枠が拡大されましたが、生涯投資枠が決められたことには注意が必要です。

NISAを利用して毎月2万円ずつ年利3%で30年間運用をおこなった場合、投資元本が720万円なのに対し、1,165万4,738円に増える試算が出ています。約440万利益が出ます。通常だとこの約20%に税金がかかるのですが、NISAを利用していれば、非課税なのでそのままの全額が手元に入ります。

不動産投資

不動産投資は、購入した不動産を貸し出し、入居者から家賃収入を得る投資手法です。不動産投資のメリットは、長期にわたり安定した家賃収入が見込めることや自己資金が少額で済むことです
一方で空室になると家賃収入が入らなくなる空室リスクもあります。ローンを組んでいる場合、返済は家賃収入からおこなうので、空室になると自分の預金から返済をおこなうことになります。

ここで以下の条件で不動産投資した場合のシミュレーションをおこなってみます。

物件価格・・・2,000万円
自己資金・・・10万円
借入金額・・・1,990万円
借入金利・・・年1.65%
借入期間・・・35年
家賃収入・・・月6万7,000円
管理経費・建物管理費・・・月7,540円
修繕積立金・・・月1,470円

この条件でシミュレーションを行った結果が以下のとおりです。

年間手取家賃収入・・・69万5,880円({家賃収入6万7,000円-管理費・修繕積立金9,010円}×12ヵ月)
年間借入金返済額・・・74万8,836円
年間収支・・・-4,413円
※ローン完済後は、黒字経営となります。

高配当株

株式には、業績により配当金が受け取れるものがあります。現在、金融機関の金利が低いため高配当株への投資の人気が高まっています。定期預金の何倍もの配当金が得られるメリットがありますが、景気や企業業績などが影響して株価が下がるリスクがあることに注意しなければなりません。

ロボアドバイザー

ロボアドバイザーとはAIなどを駆使して、投資する商品や金額、ポートフォリオなどを決定したり、注文をおこなったりするシステムです。ロボアドバイザーを利用すると、銘柄選定やポートフォリオの組み方、発注などを自分でおこなう手間が省けますただ、自分が何に投資しているのか、リスクの大小などを理解しないまま商品を購入することになりかねないので、購入の前に、選ばれた商品を理解しておく必要があります。

REIT

REITは、証券取引所に上場する不動産投資信託です。不動産を小口で購入でき、比較的安定した分配金を得ることが可能です投資先はマンションやテナント、商業施設、ホテルなどさまざまです。価格変動により損失を被るリスクがあることは理解しておきましょう。

債券

債券は、国や自治体、企業が発行するいわば借用書です。それらの発行体にお金を貸して年に1回ないしは2回、利息を受け取ります。そして償還時(満期)には、額面金額が返ってきます。金融商品の中では比較的リスクの低い商品なので途中売却しなければリターンも利息のみで少額です。発行体が債務不履行の陥った場合は、損失を被るリスクがあります。

まとめ

今回は、老後資金を自分で準備しなければならない理由や、初心者におすすめの投資商品を紹介しました。老後に国から受け取る年金は、日本が抱える少子高齢化問題が影響して今後、受給額が減っていく可能性が高いでしょう。なので早いうちから自分で老後資金を準備しておく必要性があるのです。

老後資金の準備は早ければ早いほど有利におこなえます。目標金額や目標時期を設定して、自分の収入や生活スタイルも加味し、商品や投資金額などの選択をおこなっていきましょう。

ベルテックスでは不動産投資やその他の資産運用にまつわる資産形成セミナーを開催しています。ご自宅からオンラインでご参加いただけますので、より詳しく話を聞いてみたい方はぜひお気軽にお問い合わせください。

この記事を書いた人

ベルテックスコラム事務局

不動産コンサルタント・税理士

不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。

2024.02.29

資産運用

ベルテックスコラム事務局

コツコツ始める老後の準備 初心者向けの資産形成を紹介

  • はじめ方・基礎知識
  • 老後資金
  • 資産形成
  • 初心者

若いうちから老後の生活費を準備したほうがいいという声を聴いたことはありませんか。「年金不安」「老後2,000万円問題」など老後の生活費に関する話題は増えてきています。年金以外の老後資金を用意する方法にはどんなものがあるのでしょうか。

今回は、老後に向けた資産形成が必要な理由、初心者におすすめの資産形成について説明します。

老後に向けた資産形成が必要な理由とは

近年、老後に向けた資産形成が必要という声をよく耳にします。なぜ年金が受け取れるのに、資産形成をおこなう必要があるのでしょうか。

年金だけでは生活費は賄えない

「年金」は退職後の大事な収入源です。しかし、年金だけでは老後の生活がままならないという話も聞きます。実際に年金支給額は減少しているのです。
支給額減少の大きな原因は、少子高齢化にあるでしょう。全人口に対して、高齢者(65歳以上)の比率が増え、16歳から64歳までの生産年齢人口の比率、子ども(15歳以下)の比率が減少しています。

日本の過去30年間の出生率と年齢別人口割合と今後の見通し

  出生率 人口割合
(対1,000人) 0~14歳 15~64歳 65歳以上
1990年 10.0 18.2% 69.7% 12.1%
2000年 9.5 14.6% 68.1% 17.4%
2010年 8.5 13.1% 63.8% 23.0%
2020年 6.8 11.9% 59.5% 28.6%
2030年 6.4 10.3% 58.9% 30.8%
2040年 6.4 10.1% 55.1% 34.8%
2050年 5.9 9.9% 52.9% 37.1%
2060年 5.6 9.3% 52.8% 37.9%
2070年 5.7 9.2% 52.1% 38.7%

【参照元】国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口資料表1-3」、「粗出生率」より

年金は、生産年齢人口を構成する現役世代が高齢者を支える仕組みとなっています。 1970年ごろは、高齢者1人を10人ほどの現役世代で支えていたのが、2000年ごろには4人で、さらに今後の2030年ごろになると、2人で支えなければならなくなる見込みです

このような環境なので、 現役世代が負担する年金保険料は年々増加し、高齢者の年金受給額は徐々に減少しています以下の表は2000年と2020年の国民年金の保険料と受給額をまとめたものです。 この20年で保険料は3,240円増加し、受給額は1,875円減少しています

2000年と2020年の国民年金保険料と国民年金受給額の比較

  2000年 2020年
国民年金保険料(月額) 1万3,300円 1万6,540円
国民年金受給額(年額) 6万7,016円 6万5,141円

この先20年、30年後の年金の保険料、受給額がいくらになるかは現時点では決まっていませんが、保険料の増額、受給額の減少傾向は続く可能性があり、老後の生活費を年金だけで賄うのには不安が残ることは否めません

老後直前で支出はピークへ

月の平均消費支出額は定年直前の50~59歳がピークです。
定年直前の時期は支出額が多く、老後生活に向けての貯蓄にまわす余裕が少なくなる年代なのです。
支出額が比較的少額である20代、30代は老後生活向けの資産形成を始めやすいこともうかがえます。 

世帯主の年齢階級別消費支出額 二人以上の世帯 2022年

世帯主年齢 月平均消費支出額
40歳未満 26万9,094円
40~49歳 32万1,269円
50~59歳 35万9,963円
60~69歳 29万9,362円
70歳以上 23万7,203円

老後に向けた資産形成は貯蓄だけでは非効率

老後に向けた資産形成を定期預金でおこなう方は多いかもしれません。しかし、預金だけではお金を増やすには非効率だと言われます。ですので、近年では「資産形成」が注目されているのです。

お金に働いてもらうと資産はこんなに増える

月に〇万円ずつ貯金に回すと決めて老後に備える方も多いですが、低金利が続いており、金利収入ではなかなかお金を増やすことはできません。そこで効果的にお金を増やす方法として、お金に働いてもらう「資産形成」が注目されています。「お金に働いてもらう」とは具体的には、金融商品や不動産などに投資をおこない、利息や売却益を得てお金を増やすことをいいます。自らが働くことなく収入が得られることから「お金に働いてもらう」ということになるのです。

ここでは預貯金した場合と投資した場合で30年後にお金がどれくらい増えているかのシミュレーションを比較してみます。

月1万5,000円を金利0.01%の定期預金に30年間預けた場合・・・540万8,086円
月1万5,000円を利回り3%の投資信託で積立運用した場合・・・874万1,053円

30年後の2つの方法の差額は333万2,967円にもなります。
投資にはリスクもあるので注意が必要ですが、ただ預金をするだけよりも投資をした方がお金が増えることが分かります。

知っている人は着手している資産形成

以下の表は、金融資産を保有している世帯の金融資産保有額の統計結果です。金融資産保有の定義は証券会社の口座の有無です。金融資産保有額は世代が上がるごとに増えていっています。平均保有額は20代から30代、30代から40代で比較して、いずれも400万円増加していることがわかります。

金融資産を保有している世帯の年代別金融資産保有額

  20代 30代 40代
回答数(世帯数) 428世帯 712世帯 985世帯
100万円未満 36.9% 20.6% 16.8%
100~500万円 42.8% 34.6% 30.3%
500~1,000万円 12.4% 20.1% 18.1%
1,000~2,000万円 2.8% 13.0% 15.4%
2.000~3,000万円 0.5% 4.6% 6.9%
3,000万円以上 1.2% 3.2% 7.2%
平均 315万円 712万円 1,114万円
中央値 130万円 350万円 500万円

※左側:金融資産を保有している世帯 右側:金融資産を保有している世帯としていない世帯合計

老後に向けた資産形成のポイント

老後に向けた資産形成を上手におこなうためには、押さえておきたいポイントを紹介します。

年齢とライフプランでリスク許容度を変える

まず初めに「資産形成をおこなう目的」を明確にすることが重要です。
「目的」を明確にすることで、資産形成における投資方法が決まってきます。どの投資方法を選択して、いくら投資すればよいのかを決定するのです。

たとえば目標を「老後に備えて65歳までに3,000万円つくる」と設定します。20代や30代だと65歳までに時間があるので、月々の投資額が比較的少額で済み、リスク許容度の高い投資法が選択できます。40代、50代となると、失敗すると取返しがききにくい世代となるので、リスク許容度を低めにして月々の投資額を比較的多めにしなければなりません。
リスク許容度は年齢や家庭の状況や仕事の内容などによって、人それぞれ異なります。ご自身に合わせたリスク許容度を理解することが重要です。

資産形成の原則「長期・分散・積立」

老後に向けた資産形成においてで大事なポイントとして、「長期投資」、「分散投資」、「積立投資」でおこなうことがあげられます。
資産形成は、「長期投資」を意識する必要があります。株式は日々株価が変動するため短期的なスパンだと浮き沈みが激しく、損失が続く場合は怖くて手放したくなるでしょう。しかし、世界的にみて株式相場は長期スパンだと緩やかな右肩上がりになりがちです。日々の価格変動に一喜一憂することなく、長期的な視点を持つことを心がけましょう
「分散投資」も成功のカギです。イギリスでは古くから「同じカゴにたくさんの卵を盛るな」という資産形成での格言があります。同じ投資商品に全財産を注ぎ込むと、その商品で失敗した場合、すべてが水の泡となってしまいます。そうならないように資産形成をおこなう場合、数種類の投資商品に分散投資してリスクヘッジをおこないましょう
「積立投資」も長期運用で成功するコツといえるでしょう。相場変動のある商品で資産形成をおこなう際、積立投資だと「ドルコスト平均法」という投資手法が使えます。「ドルコスト平均法」とは、価格が変動する商品を定期的に決まった金額を購入し続ける手法です。

長期での運用が向いている資産形成とは

ここでは、「長期・分散・積立」ができる投資商品を紹介していきます。

iDeCo

iDeCoは、個人型確定拠出年金です。金融機関でiDeCo口座を開設し、金融機関が指定する投資信託の中から、一つないしは数種類の商品を選択して毎月積み立てていきます。
最大のメリットは、節税効果が高いことです。掛金は全額所得控除の対象になり、分配金や運用益が出た場合、その利益は非課税ですさらに受給時には一括受取だと退職所得控除が、年金受取だと公的年金控除が適用されます。デメリットとしては月々の掛金に対する手数料がかかることがある点や原則60歳まで引き出せないことがあげられます。
企業年金を導入していない企業に勤める会社員の場合、積立の上限が月々2万3,000円となっています。この掛金で利回り3%と5%を複利で運用した場合、30年後にいくらまで増えるのかシミュレーションしてみましょう。

月々2万3,000円を30年間積み立てた場合の投資元本・・・828万円
利回り3%で運用した場合の30年後・・・約1,331万円
利回り5%で運用した場合の30年後・・・約1,875万円

長期投資のメリットは複利運用をおこなった場合に雪だるま式に増えることです。さらに運用益が非課税なので無駄のない運用が可能です。

NISA

NISAは、NISA口座内で購入した金融商品にかかる配当金や売却益が非課税となる制度です2023年までは、一般NISA(一度に商品を購入する)とつみたてNISA(毎月一定額を積立購入する)の二者選択式となっていますが、2024年より、どちらも併用が可能となり、投資枠も拡大されます。

メリットも多いNISAですが、注意点もあります。2023年までのNISAは非課税となる期間が決められています。その期間を過ぎると配当金も売却益も課税されるのです。2024年からの新NISAではその期間は撤廃されます。そして新NISAでは年間投資枠が拡大されましたが、生涯投資枠が決められたことには注意が必要です。

NISAを利用して毎月2万円ずつ年利3%で30年間運用をおこなった場合、投資元本が720万円なのに対し、1,165万4,738円に増える試算が出ています。約440万利益が出ます。通常だとこの約20%に税金がかかるのですが、NISAを利用していれば、非課税なのでそのままの全額が手元に入ります。

不動産投資

不動産投資は、購入した不動産を貸し出し、入居者から家賃収入を得る投資手法です。不動産投資のメリットは、長期にわたり安定した家賃収入が見込めることや自己資金が少額で済むことです
一方で空室になると家賃収入が入らなくなる空室リスクもあります。ローンを組んでいる場合、返済は家賃収入からおこなうので、空室になると自分の預金から返済をおこなうことになります。

ここで以下の条件で不動産投資した場合のシミュレーションをおこなってみます。

物件価格・・・2,000万円
自己資金・・・10万円
借入金額・・・1,990万円
借入金利・・・年1.65%
借入期間・・・35年
家賃収入・・・月6万7,000円
管理経費・建物管理費・・・月7,540円
修繕積立金・・・月1,470円

この条件でシミュレーションを行った結果が以下のとおりです。

年間手取家賃収入・・・69万5,880円({家賃収入6万7,000円-管理費・修繕積立金9,010円}×12ヵ月)
年間借入金返済額・・・74万8,836円
年間収支・・・-4,413円
※ローン完済後は、黒字経営となります。

高配当株

株式には、業績により配当金が受け取れるものがあります。現在、金融機関の金利が低いため高配当株への投資の人気が高まっています。定期預金の何倍もの配当金が得られるメリットがありますが、景気や企業業績などが影響して株価が下がるリスクがあることに注意しなければなりません。

ロボアドバイザー

ロボアドバイザーとはAIなどを駆使して、投資する商品や金額、ポートフォリオなどを決定したり、注文をおこなったりするシステムです。ロボアドバイザーを利用すると、銘柄選定やポートフォリオの組み方、発注などを自分でおこなう手間が省けますただ、自分が何に投資しているのか、リスクの大小などを理解しないまま商品を購入することになりかねないので、購入の前に、選ばれた商品を理解しておく必要があります。

REIT

REITは、証券取引所に上場する不動産投資信託です。不動産を小口で購入でき、比較的安定した分配金を得ることが可能です投資先はマンションやテナント、商業施設、ホテルなどさまざまです。価格変動により損失を被るリスクがあることは理解しておきましょう。

債券

債券は、国や自治体、企業が発行するいわば借用書です。それらの発行体にお金を貸して年に1回ないしは2回、利息を受け取ります。そして償還時(満期)には、額面金額が返ってきます。金融商品の中では比較的リスクの低い商品なので途中売却しなければリターンも利息のみで少額です。発行体が債務不履行の陥った場合は、損失を被るリスクがあります。

まとめ

今回は、老後資金を自分で準備しなければならない理由や、初心者におすすめの投資商品を紹介しました。老後に国から受け取る年金は、日本が抱える少子高齢化問題が影響して今後、受給額が減っていく可能性が高いでしょう。なので早いうちから自分で老後資金を準備しておく必要性があるのです。

老後資金の準備は早ければ早いほど有利におこなえます。目標金額や目標時期を設定して、自分の収入や生活スタイルも加味し、商品や投資金額などの選択をおこなっていきましょう。

ベルテックスでは不動産投資やその他の資産運用にまつわる資産形成セミナーを開催しています。ご自宅からオンラインでご参加いただけますので、より詳しく話を聞いてみたい方はぜひお気軽にお問い合わせください。

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ベルテックスコラム事務局

不動産コンサルタント・税理士

不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。