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2024.07.31
ベルテックスコラム事務局
FX vs 不動産投資 投資先ならどちらがお得か徹底検証
- 資産形成
- 金融商品VS不動産投資
- 不動産投資
「FX」とは、為替相場を利用して取引を行う金融商品です。ここ数年で多くの取引業者が参入しており、知名度が上がっています。
今回は、FXと不動産投資をさまざまな角度で比較し、それぞれの商品の違いや向き不向きを解説します。
FXとは?
FXの特徴や取引の流れ、メリット・デメリットを解説します。
FX(外国為替証拠金取引)とは?
FX(外国為替証拠金取引)とは、外国の通貨を取引する金融商品のことです。 FXは「Foreign Exchange」の略で、外国通貨同士の取引を指します。この取引では、FX取引業者に「証拠金」を預けることで、その何倍もの資金を借りて取引を行うことができます。つまり、自分の証拠金を担保にして、大きな額の資金を使って外国為替取引を行う仕組みです。この取引方法を「レバレッジ取引」と呼びます。
FXは金融商品取引法の規制を受け、金融庁の厳しい監査のもとに登録された業者だけが営業できます。そのため、信頼性のある業者を選び、安全に取引を行うことが大切です。
FXの取引の仕組み
FX取引の一般的な仕組みは以下のとおりです。
- FX取引業者に証拠金を預ける
- 取引したい通貨ペアを選択する
- 取引数量を決める
- 発注する
- 決済する
1. FX取引業者に証拠金を預ける
まずFX取引業者に証拠金を預けます。この証拠金の金額によって、取引がおこなえる金額が決まります。証拠金が少額の場合は取引金額も比較的少額となり、利益額や損失額も少なくなります。一度の取引を数秒、数分ごとにおこなう場合、利益額や損失額が数百円単位になりますが、証拠金が多額の場合は取引金額も大きな金額となるため、数分間ごとの取引の都度、数万円を稼ぐことも可能です。
2. 取引したい通貨ペアを選択する
最も人気があるのは、日本円と米ドルです。そのほか、ユーロや英ポンド、豪ドル、NZドルやカナダドルなどが人気あります。人気のある通貨は、通常流通量が多く、取引が比較的スムーズに進行します。このため、発注したタイミングで思っていた価格での取引が成立しやすい傾向があります。しかし流通量が少ない通貨での取引では、値動きが大きくなりがちで、自身が思っていた価格とはかけ離れた価格で取引が成立してしまうことがあります。
3. 取引数量を決める
売買注文を出す前に取引数量を決めます。取引数量が少ないと
利益幅や損失幅は小さく、多いと利益幅も損失幅が大きくなります。
4. 発注する
発注します。FX取引では、「買い」からでも「売り」からでも取引がおこなえます。「買い」と「売り」注文の選択は、市場の動向やあなたの予測に基づいて行います。
たとえば、日本円と米ドルの通貨ペアで取引をおこなうとします。
円安に向かうと思ったら、米ドルを買います。この場合、「買い」注文を入れます。
逆に円高に向かうと思ったら、米ドルを売ります。この場合、「売り」注文を入れます。
5. 決済する
自身がここだと思ったタイミングで決済します。
発注時に買い注文を入れていた取引の場合、「売り」注文を出して決済します。この時点でこの取引の利益額ないしは損失額が確定します。思っていた通り円安になったら利益が出て、逆に円高に進んでしまったら損失が出ます。
<円安になった場合>
130円で買い注文→140円で売り注文・・・10円の利益
<円高になった場合>
130円で買い注文→120円で売り注文・・・10円の損失
そして発注時に売り注文を入れていた取引の場合、「買い」注文を出して決済します。この時点でこの取引の利益額ないしは損失額が確定します。思っていた通り円高になったら利益が出て、逆に円安に進んでしまったら損失が出ます。
<円高になった場合>
130円で売り注文→120円で買い注文・・・10円の利益
<円安になった場合>
130円で売り注文→140円で買い注文・・・10円の損失
FXのメリット
➀手元資金が少なくても取引できる
FX取引は少ない資金からでも始めることができます。日本の多くのFX取引業者は、最低取引数量を1,000通貨としています。具体的に説明すると、日本円と米ドルの通貨ペアで取引する場合、1,000通貨単位で取引できるのです。現在の為替レートが1ドル=約150円であれば、1,000通貨の取引には15,000円の資金が必要です。
さらに、一部のFX取引業者では最低取引数量が100通貨、10通貨、あるいは1通貨といった非常に小さい数量で取引を始めることもできます。初めてFX取引を行う方にとって、低い最低取引数量は手軽な取引を可能にし、リスクをコントロールしやすくなっています。
②平日ほぼ24時間取引できる
FX取引は平日ほぼ24時間取引できるため、時間の制約が少ないのが魅力です。これに対して、株式取引は通常、株式市場の営業時間に制約があり、取引ができる時間が限られています。株式市場では、東京証券取引所(東証)が9時から11時半まで、12時から15時までのわずか5時間しか開いておらず、その他の時間では取引が制限されます。
FXの場合は、為替市場が世界中で展開されており、日本の昼間は東京市場が開いています。その後、ロンドン市場、そしてニューヨーク市場が順次開いていきます。このように異なる市場が連動しており、FX取引は24時間行われています。つまり、平日の昼間働いている方でも、帰宅後や夜間、週末、日本の祝日など、自分の都合の良い時間に取引が可能です。
特に日本の夜時間はアメリカの朝から昼間と重なるため、アメリカの経済情報や重要な発表のタイミングで市場が大きく動くことが多いです。したがって、FX取引は時間の制約が少なく、大きな利益を狙えるチャンスがあると言えます。
③最大の魅力はレバレッジ
FXの最大のメリットの一つは、大きなレバレッジを活用できることです。日本国内のFX取引業者では、最大25倍のレバレッジ取引が許可されています。これは、ごく少額の証拠金を預けて、その何倍もの取引金額を操作できる仕組みです。たとえば、1万円の証拠金があれば、最大で25万円分の取引を行うことができます。たとえば、資金が10万円あれば最大で250万円分の取引が可能となり、少額の資金から大きな利益を狙うことが可能です。
FXのデメリット
➀先読みが難しい
為替相場の動きは予測が難しく、様々な要因が影響します。通常、為替相場は金利の差や経済指標などの基本的な要因によって大局的な動きが形成されます。金利が高い国の通貨が魅力的とされ、その通貨が買われ、逆に金利が低い国の通貨が売られる傾向があります。
しかし、FX取引は多くの投資家が短期的な売買を行うため、為替相場は瞬時に変動します。さまざまな要因が市場に影響を与え、価格が急激に変わることがあります。特にアメリカの経済統計発表は市場に大きな影響を与えることが多いです。たとえば、雇用統計や消費者物価指数の発表は市場の期待に応じて通貨の価値が急激に変わります。このような統計の予測は難しく、事前に取引を行うことは高いリスクを伴います。
また、政府や中央銀行の介入も為替相場に大きな影響を与えることがあります。予告なく介入が行われる場合もあり、投資家にとって予測が難しい要因となります。
そのほか、為替が一方に大きく振れている場合、政府が介入して水準訂正をおこなう場合があるのですが、前触れもなくいきなり介入がおこなわれ、予想と違う動きがおきることがあります。
②大きく損失を出すリスクがある
先程もお話しましたが、FX取引では資金の最大25倍まで取引が可能です。たとえば10万円の資金があれば最大250万円までの取引ができるのです。現物でおこなう取引なら10万円の資金でおこなう取引は最大10万円までしか損失が発生しませんが、FXのようなレバレッジのかかった取引の場合、自己資金の10万円以上の損失を被る可能性は否めません。
FXと不動産投資の共通点と相違点とは
共通点:FXと不動産投資はどちらもレバレッジをかけられる
FXと不動産投資には共通点があります。それはどちらも「レバレッジがかけられる」という点です。
FXは、FX取引業者に証拠金を預け、その資金の最大25倍までの金額の取引がおこなえます。証拠金を担保として、最大25倍までの金額を取引業者から借りて取引をおこなうというイメージです。
不動産投資もレバレッジを効かせておこなうことが可能です。少額の自己資金で大きな物件を購入することができるのです。不動産投資をおこなうにあたり、自己資金である頭金を元に金融機関で多額のローンを借りて物件を購入するのです。レバレッジの倍率にしたら、FX取引に匹敵する案件もあり得ます。
相違点:実物資産と金融資産
FX取引と不動産投資の異なる点は、FX取引が金融資産であることに対し、不動産投資は実物資産であるという点です。不動産投資は実物資産であることから、常に維持管理費というコストがかかります。ですので、収益があったとしても、手元に残るお金は維持管理費などのコストを引いた金額となります。
一方、FX取引は現物ではないものを購入するため、不動産投資のような実物資産で必要となるコストがかかりません。
FX VS 不動産投資 メリット・デメリットを徹底比較
FX取引 | 不動産投資 | |
---|---|---|
年金対策 | × | 〇 |
インフレ対策 | △ | 〇 |
節税対策 | 〇 | 〇 |
保険効果 | × | 〇 |
下落相場対策 | 〇 | × |
再現性 | △ | 〇 |
管理のしやすさ | × | 〇 |
年金対策
FX取引は年金対策には向いていません。年金対策に適しているのは、定年退職後に長期的・定期的に安定した収入が得られる投資法です。FX取引は、基本的には短期的な取引です。FX取引の原資産となる為替の相場が大きく下がり、法令で定める証拠金必要額を下回った場合、強制決済される可能性があるなど、長期的に取引をおこなうにはリスクが大きいからです。
一方、不動産投資は年金対策に向いています。不動産投資は、長期的かつ毎月、一定額の家賃収入を得ることができます。不動産は建物の構造によりますが、鉄筋コンクリート造だと約50年、そして一番法定耐用年数の短い木造でも22年で、実際にはさらに長期間使用に耐えることも多いです。長く価値を生み出すことのできる不動産は、定年退職後の長期的に安定した年金の補助として十分に機能してくれます。
インフレ対策
FX取引はインフレ対策をおこなうことが可能です。インフレになると一般的に、金利が上がります。金利が上がると通常自国通貨は上がります。日本でいえば円高になるのです。FX取引では、「円を買って外貨を売る」という取引ができるため、円高が進む前に外貨を売り、円高が進んだ時点で安くなった外貨を買い戻せば為替差額を得ることができます。
そして、不動産投資もインフレ対策になります。現在、物価が上がっても手取りが上がらないのが日本の現状です。資産を何も持たないまま生活資金が増加する一方、収入が増えず生活水準を下げざるを得ないことが予想されます。反面、不動産は現物資産のため、物価とともに家賃を上昇させることができます。物価高ととも資産価値も上がっていくため、不動産投資はインフレ対策に適しているのです。
節税効果
FX取引と不動産投資は節税対策の側面があります。FX取引において、ある年に損失が出た場合、確定申告を通じて翌年以降3年間にわたって損失を利益と相殺し、課税所得を減らすことができます。また、FX取引とは異なる金融商品での取引による損益も通算できるため、損失を利益と相殺し、課税所得を減少させることが可能です。
一方、不動産投資も節税対策の手段として利用できます。不動産投資による損失は、他の所得とも損益通算できます。たとえば、会社員が不動産投資で損失を出した場合、その損失を給与所得と相殺することで、課税所得を減らし、支払うべき税額を軽減できます。さらに、不動産投資は相続税対策にも有効です。相続時の不動産の評価額は通常、売買当時よりも低く評価されるため、相続時の税金額を削減するのに役立ちます。
保険効果
FX取引に保険効果はありません。
一方、不動産投資をローンで行う場合、生命保険代わりの効果を得ることができます。不動産投資の際に金融機関でローンを組む場合は、団体信用生命保険に加入することが一般的です。団体信用生命保険は、投資家が何かの理由で亡くなった場合、ローン残額を保険金で支払われるものです。結果として、相続人にはローンが完済された不動産が残ります。
したがって、相続人は不動産からの家賃収入を100%受け取ることができるようになります。このことから、不動産投資は相続人にとって有益な保険商品と捉えることができるでしょう。
下落相場対策
FX取引は下落相場に対応可能です。FX取引では、買注文だけではなく、売注文から入ることができます。わかりやすく、例をあげて説明します。
- 現在の為替レートが1ドル130円とします。
- 今後、円ドルの為替相場が円高(下落相場)に振れようとしています。
- 円高(下落相場)になったら利益がでるようにFX取引でドル売注文を入れます。
- その後1ドル120円に(下落した)円高になったので、買い戻します。
- その結果、130円-120円で10円の利益が出たことになります。
一方、不動産投資ですが、不動産相場の下落に備え、リスクヘッジや対策を事前に練っておくことが必要でしょう。不動産の価値が下落しないような立地のよい物件を選んだり、いつ不動産を売却するかという出口戦略を練っておくことが、不動産相場下落に対する対策となるでしょう。また、家賃の下落防止、空室解消の為リフォームをおこなったり、人気の設備を導入するなど不動産の価値を高める設備投資をおこなうことで対応することもできます。
再現性
FX取引は非常に変動が激しいため、再現性がないことが一般的です。FX市場は日々社会情勢や金利などの要因に左右されて価格が大きく変動します。したがって、FX取引においては状況に応じた柔軟な対応が必要です。ただし、金利が上昇する際には自国通貨を売って円高の効果を狙うことができるなど、特定の状況で再現性を持つこともあります。
一方、不動産投資は一定の再現性があります。特定の地域や物件タイプに投資することで成功率が高まるため、過去の経験を参考にすることができます。たとえば、人口の流入が多い地域のワンルームマンションを購入する、学校や商業施設の近くにファミリー向けマンションを購入するなど、特定の条件を満たす不動産に投資することで、安定的な収益を期待できます。
さらに、セキュリティや防音設備などの特徴を持つ物件は特定の需要に合致しやすく、空室のリスクを軽減するのに役立ちます。不動産投資においては、過去の成功事例やノウハウを参考にすることが重要です。
管理のしやすさ
FX取引は、日々大きく変動する為替相場を相手にしています。毎日、為替相場をチェックして、為替相場に合わせた対応を常に想定しておく必要があるでしょう。
一方、不動産投資は、不動産の管理を管理会社に委託することができます。不動産投資では物件や入居者の管理が必要となります。物件の管理とは、共用部分の修繕などや、屋根や外壁の修繕などです。入居者の管理は、入居者の募集や苦情、要望への対応などがあげられます。このような不動産の管理を、代行できる不動産管理会社に委託することで、不動産の管理に日々煩わされることがなくなるでしょう。
FXと不動産投資を組み合わる
ここまでFXと不動産投資の共通点や相違点、そしてそれぞれの特徴をあげてきましたが、資産形成の点でいえば、総合的に不動産投資の方がメリットが大きいでしょう。不動産投資は手間がかからず、堅実におこなえるからです。しかし、積極的に短期で利益を得ようというスタンスならば、FXも選択肢の1つとなるでしょう。
長期的にかつ安定的に収益が得られる不動産投資を柱として、資金の余裕ができたら、その範囲内の金額、かつそのお金を失ってもいいという覚悟をもって、FX取引を行うこともよいでしょう。ただ、常日頃の相場のチェックや、売買タイミングなどの勉強が必要になるでしょう。
まとめ
FX取引にはさまざまなメリットがあり、短期的に大きな利益を得るのに向いている金融商品です。しかし、長期的かつ安定的に利益を得るには不動産投資に分があります。不動産投資は時間をかけて長期的な利益を追求するのに向いています。
どちらもメリットとデメリットがあるため、自分の目標やリスク許容度に合わせて、投資方法を適切に選択することが大切です。
この記事を書いた人
ベルテックスコラム事務局
不動産コンサルタント・税理士
不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。
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2024.07.31
ベルテックスコラム事務局
FX vs 不動産投資 投資先ならどちらがお得か徹底検証
- 資産形成
- 金融商品VS不動産投資
- 不動産投資
「FX」とは、為替相場を利用して取引を行う金融商品です。ここ数年で多くの取引業者が参入しており、知名度が上がっています。
今回は、FXと不動産投資をさまざまな角度で比較し、それぞれの商品の違いや向き不向きを解説します。
FXとは?
FXの特徴や取引の流れ、メリット・デメリットを解説します。
FX(外国為替証拠金取引)とは?
FX(外国為替証拠金取引)とは、外国の通貨を取引する金融商品のことです。 FXは「Foreign Exchange」の略で、外国通貨同士の取引を指します。この取引では、FX取引業者に「証拠金」を預けることで、その何倍もの資金を借りて取引を行うことができます。つまり、自分の証拠金を担保にして、大きな額の資金を使って外国為替取引を行う仕組みです。この取引方法を「レバレッジ取引」と呼びます。
FXは金融商品取引法の規制を受け、金融庁の厳しい監査のもとに登録された業者だけが営業できます。そのため、信頼性のある業者を選び、安全に取引を行うことが大切です。
FXの取引の仕組み
FX取引の一般的な仕組みは以下のとおりです。
- FX取引業者に証拠金を預ける
- 取引したい通貨ペアを選択する
- 取引数量を決める
- 発注する
- 決済する
1. FX取引業者に証拠金を預ける
まずFX取引業者に証拠金を預けます。この証拠金の金額によって、取引がおこなえる金額が決まります。証拠金が少額の場合は取引金額も比較的少額となり、利益額や損失額も少なくなります。一度の取引を数秒、数分ごとにおこなう場合、利益額や損失額が数百円単位になりますが、証拠金が多額の場合は取引金額も大きな金額となるため、数分間ごとの取引の都度、数万円を稼ぐことも可能です。
2. 取引したい通貨ペアを選択する
最も人気があるのは、日本円と米ドルです。そのほか、ユーロや英ポンド、豪ドル、NZドルやカナダドルなどが人気あります。人気のある通貨は、通常流通量が多く、取引が比較的スムーズに進行します。このため、発注したタイミングで思っていた価格での取引が成立しやすい傾向があります。しかし流通量が少ない通貨での取引では、値動きが大きくなりがちで、自身が思っていた価格とはかけ離れた価格で取引が成立してしまうことがあります。
3. 取引数量を決める
売買注文を出す前に取引数量を決めます。取引数量が少ないと
利益幅や損失幅は小さく、多いと利益幅も損失幅が大きくなります。
4. 発注する
発注します。FX取引では、「買い」からでも「売り」からでも取引がおこなえます。「買い」と「売り」注文の選択は、市場の動向やあなたの予測に基づいて行います。
たとえば、日本円と米ドルの通貨ペアで取引をおこなうとします。
円安に向かうと思ったら、米ドルを買います。この場合、「買い」注文を入れます。
逆に円高に向かうと思ったら、米ドルを売ります。この場合、「売り」注文を入れます。
5. 決済する
自身がここだと思ったタイミングで決済します。
発注時に買い注文を入れていた取引の場合、「売り」注文を出して決済します。この時点でこの取引の利益額ないしは損失額が確定します。思っていた通り円安になったら利益が出て、逆に円高に進んでしまったら損失が出ます。
<円安になった場合>
130円で買い注文→140円で売り注文・・・10円の利益
<円高になった場合>
130円で買い注文→120円で売り注文・・・10円の損失
そして発注時に売り注文を入れていた取引の場合、「買い」注文を出して決済します。この時点でこの取引の利益額ないしは損失額が確定します。思っていた通り円高になったら利益が出て、逆に円安に進んでしまったら損失が出ます。
<円高になった場合>
130円で売り注文→120円で買い注文・・・10円の利益
<円安になった場合>
130円で売り注文→140円で買い注文・・・10円の損失
FXのメリット
➀手元資金が少なくても取引できる
FX取引は少ない資金からでも始めることができます。日本の多くのFX取引業者は、最低取引数量を1,000通貨としています。具体的に説明すると、日本円と米ドルの通貨ペアで取引する場合、1,000通貨単位で取引できるのです。現在の為替レートが1ドル=約150円であれば、1,000通貨の取引には15,000円の資金が必要です。
さらに、一部のFX取引業者では最低取引数量が100通貨、10通貨、あるいは1通貨といった非常に小さい数量で取引を始めることもできます。初めてFX取引を行う方にとって、低い最低取引数量は手軽な取引を可能にし、リスクをコントロールしやすくなっています。
②平日ほぼ24時間取引できる
FX取引は平日ほぼ24時間取引できるため、時間の制約が少ないのが魅力です。これに対して、株式取引は通常、株式市場の営業時間に制約があり、取引ができる時間が限られています。株式市場では、東京証券取引所(東証)が9時から11時半まで、12時から15時までのわずか5時間しか開いておらず、その他の時間では取引が制限されます。
FXの場合は、為替市場が世界中で展開されており、日本の昼間は東京市場が開いています。その後、ロンドン市場、そしてニューヨーク市場が順次開いていきます。このように異なる市場が連動しており、FX取引は24時間行われています。つまり、平日の昼間働いている方でも、帰宅後や夜間、週末、日本の祝日など、自分の都合の良い時間に取引が可能です。
特に日本の夜時間はアメリカの朝から昼間と重なるため、アメリカの経済情報や重要な発表のタイミングで市場が大きく動くことが多いです。したがって、FX取引は時間の制約が少なく、大きな利益を狙えるチャンスがあると言えます。
③最大の魅力はレバレッジ
FXの最大のメリットの一つは、大きなレバレッジを活用できることです。日本国内のFX取引業者では、最大25倍のレバレッジ取引が許可されています。これは、ごく少額の証拠金を預けて、その何倍もの取引金額を操作できる仕組みです。たとえば、1万円の証拠金があれば、最大で25万円分の取引を行うことができます。たとえば、資金が10万円あれば最大で250万円分の取引が可能となり、少額の資金から大きな利益を狙うことが可能です。
FXのデメリット
➀先読みが難しい
為替相場の動きは予測が難しく、様々な要因が影響します。通常、為替相場は金利の差や経済指標などの基本的な要因によって大局的な動きが形成されます。金利が高い国の通貨が魅力的とされ、その通貨が買われ、逆に金利が低い国の通貨が売られる傾向があります。
しかし、FX取引は多くの投資家が短期的な売買を行うため、為替相場は瞬時に変動します。さまざまな要因が市場に影響を与え、価格が急激に変わることがあります。特にアメリカの経済統計発表は市場に大きな影響を与えることが多いです。たとえば、雇用統計や消費者物価指数の発表は市場の期待に応じて通貨の価値が急激に変わります。このような統計の予測は難しく、事前に取引を行うことは高いリスクを伴います。
また、政府や中央銀行の介入も為替相場に大きな影響を与えることがあります。予告なく介入が行われる場合もあり、投資家にとって予測が難しい要因となります。
そのほか、為替が一方に大きく振れている場合、政府が介入して水準訂正をおこなう場合があるのですが、前触れもなくいきなり介入がおこなわれ、予想と違う動きがおきることがあります。
②大きく損失を出すリスクがある
先程もお話しましたが、FX取引では資金の最大25倍まで取引が可能です。たとえば10万円の資金があれば最大250万円までの取引ができるのです。現物でおこなう取引なら10万円の資金でおこなう取引は最大10万円までしか損失が発生しませんが、FXのようなレバレッジのかかった取引の場合、自己資金の10万円以上の損失を被る可能性は否めません。
FXと不動産投資の共通点と相違点とは
共通点:FXと不動産投資はどちらもレバレッジをかけられる
FXと不動産投資には共通点があります。それはどちらも「レバレッジがかけられる」という点です。
FXは、FX取引業者に証拠金を預け、その資金の最大25倍までの金額の取引がおこなえます。証拠金を担保として、最大25倍までの金額を取引業者から借りて取引をおこなうというイメージです。
不動産投資もレバレッジを効かせておこなうことが可能です。少額の自己資金で大きな物件を購入することができるのです。不動産投資をおこなうにあたり、自己資金である頭金を元に金融機関で多額のローンを借りて物件を購入するのです。レバレッジの倍率にしたら、FX取引に匹敵する案件もあり得ます。
相違点:実物資産と金融資産
FX取引と不動産投資の異なる点は、FX取引が金融資産であることに対し、不動産投資は実物資産であるという点です。不動産投資は実物資産であることから、常に維持管理費というコストがかかります。ですので、収益があったとしても、手元に残るお金は維持管理費などのコストを引いた金額となります。
一方、FX取引は現物ではないものを購入するため、不動産投資のような実物資産で必要となるコストがかかりません。
FX VS 不動産投資 メリット・デメリットを徹底比較
FX取引 | 不動産投資 | |
---|---|---|
年金対策 | × | 〇 |
インフレ対策 | △ | 〇 |
節税対策 | 〇 | 〇 |
保険効果 | × | 〇 |
下落相場対策 | 〇 | × |
再現性 | △ | 〇 |
管理のしやすさ | × | 〇 |
年金対策
FX取引は年金対策には向いていません。年金対策に適しているのは、定年退職後に長期的・定期的に安定した収入が得られる投資法です。FX取引は、基本的には短期的な取引です。FX取引の原資産となる為替の相場が大きく下がり、法令で定める証拠金必要額を下回った場合、強制決済される可能性があるなど、長期的に取引をおこなうにはリスクが大きいからです。
一方、不動産投資は年金対策に向いています。不動産投資は、長期的かつ毎月、一定額の家賃収入を得ることができます。不動産は建物の構造によりますが、鉄筋コンクリート造だと約50年、そして一番法定耐用年数の短い木造でも22年で、実際にはさらに長期間使用に耐えることも多いです。長く価値を生み出すことのできる不動産は、定年退職後の長期的に安定した年金の補助として十分に機能してくれます。
インフレ対策
FX取引はインフレ対策をおこなうことが可能です。インフレになると一般的に、金利が上がります。金利が上がると通常自国通貨は上がります。日本でいえば円高になるのです。FX取引では、「円を買って外貨を売る」という取引ができるため、円高が進む前に外貨を売り、円高が進んだ時点で安くなった外貨を買い戻せば為替差額を得ることができます。
そして、不動産投資もインフレ対策になります。現在、物価が上がっても手取りが上がらないのが日本の現状です。資産を何も持たないまま生活資金が増加する一方、収入が増えず生活水準を下げざるを得ないことが予想されます。反面、不動産は現物資産のため、物価とともに家賃を上昇させることができます。物価高ととも資産価値も上がっていくため、不動産投資はインフレ対策に適しているのです。
節税効果
FX取引と不動産投資は節税対策の側面があります。FX取引において、ある年に損失が出た場合、確定申告を通じて翌年以降3年間にわたって損失を利益と相殺し、課税所得を減らすことができます。また、FX取引とは異なる金融商品での取引による損益も通算できるため、損失を利益と相殺し、課税所得を減少させることが可能です。
一方、不動産投資も節税対策の手段として利用できます。不動産投資による損失は、他の所得とも損益通算できます。たとえば、会社員が不動産投資で損失を出した場合、その損失を給与所得と相殺することで、課税所得を減らし、支払うべき税額を軽減できます。さらに、不動産投資は相続税対策にも有効です。相続時の不動産の評価額は通常、売買当時よりも低く評価されるため、相続時の税金額を削減するのに役立ちます。
保険効果
FX取引に保険効果はありません。
一方、不動産投資をローンで行う場合、生命保険代わりの効果を得ることができます。不動産投資の際に金融機関でローンを組む場合は、団体信用生命保険に加入することが一般的です。団体信用生命保険は、投資家が何かの理由で亡くなった場合、ローン残額を保険金で支払われるものです。結果として、相続人にはローンが完済された不動産が残ります。
したがって、相続人は不動産からの家賃収入を100%受け取ることができるようになります。このことから、不動産投資は相続人にとって有益な保険商品と捉えることができるでしょう。
下落相場対策
FX取引は下落相場に対応可能です。FX取引では、買注文だけではなく、売注文から入ることができます。わかりやすく、例をあげて説明します。
- 現在の為替レートが1ドル130円とします。
- 今後、円ドルの為替相場が円高(下落相場)に振れようとしています。
- 円高(下落相場)になったら利益がでるようにFX取引でドル売注文を入れます。
- その後1ドル120円に(下落した)円高になったので、買い戻します。
- その結果、130円-120円で10円の利益が出たことになります。
一方、不動産投資ですが、不動産相場の下落に備え、リスクヘッジや対策を事前に練っておくことが必要でしょう。不動産の価値が下落しないような立地のよい物件を選んだり、いつ不動産を売却するかという出口戦略を練っておくことが、不動産相場下落に対する対策となるでしょう。また、家賃の下落防止、空室解消の為リフォームをおこなったり、人気の設備を導入するなど不動産の価値を高める設備投資をおこなうことで対応することもできます。
再現性
FX取引は非常に変動が激しいため、再現性がないことが一般的です。FX市場は日々社会情勢や金利などの要因に左右されて価格が大きく変動します。したがって、FX取引においては状況に応じた柔軟な対応が必要です。ただし、金利が上昇する際には自国通貨を売って円高の効果を狙うことができるなど、特定の状況で再現性を持つこともあります。
一方、不動産投資は一定の再現性があります。特定の地域や物件タイプに投資することで成功率が高まるため、過去の経験を参考にすることができます。たとえば、人口の流入が多い地域のワンルームマンションを購入する、学校や商業施設の近くにファミリー向けマンションを購入するなど、特定の条件を満たす不動産に投資することで、安定的な収益を期待できます。
さらに、セキュリティや防音設備などの特徴を持つ物件は特定の需要に合致しやすく、空室のリスクを軽減するのに役立ちます。不動産投資においては、過去の成功事例やノウハウを参考にすることが重要です。
管理のしやすさ
FX取引は、日々大きく変動する為替相場を相手にしています。毎日、為替相場をチェックして、為替相場に合わせた対応を常に想定しておく必要があるでしょう。
一方、不動産投資は、不動産の管理を管理会社に委託することができます。不動産投資では物件や入居者の管理が必要となります。物件の管理とは、共用部分の修繕などや、屋根や外壁の修繕などです。入居者の管理は、入居者の募集や苦情、要望への対応などがあげられます。このような不動産の管理を、代行できる不動産管理会社に委託することで、不動産の管理に日々煩わされることがなくなるでしょう。
FXと不動産投資を組み合わる
ここまでFXと不動産投資の共通点や相違点、そしてそれぞれの特徴をあげてきましたが、資産形成の点でいえば、総合的に不動産投資の方がメリットが大きいでしょう。不動産投資は手間がかからず、堅実におこなえるからです。しかし、積極的に短期で利益を得ようというスタンスならば、FXも選択肢の1つとなるでしょう。
長期的にかつ安定的に収益が得られる不動産投資を柱として、資金の余裕ができたら、その範囲内の金額、かつそのお金を失ってもいいという覚悟をもって、FX取引を行うこともよいでしょう。ただ、常日頃の相場のチェックや、売買タイミングなどの勉強が必要になるでしょう。
まとめ
FX取引にはさまざまなメリットがあり、短期的に大きな利益を得るのに向いている金融商品です。しかし、長期的かつ安定的に利益を得るには不動産投資に分があります。不動産投資は時間をかけて長期的な利益を追求するのに向いています。
どちらもメリットとデメリットがあるため、自分の目標やリスク許容度に合わせて、投資方法を適切に選択することが大切です。
この記事を書いた人
ベルテックスコラム事務局
不動産コンサルタント・税理士
不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。