2024.10.03

資産運用

ベルテックスコラム事務局

高所得者は年収いくらから? おすすめの税金対策も紹介

  • 節税・税金
  • 年収・収入

「高所得者」とは、どのくらいの年収から言えるのでしょうか?高所得者と聞くと、お金を自由に使えるイメージがあり、憧れる人も多いかもしれません。しかし、日本では「超過累進課税」が採用されているため、所得が高くなるほど税負担が増え、手元に残るお金は意外と少ないのが現実です。

本記事では、高所得者の定義や実際の年収水準、そして高所得者がすぐに始められる節税対策を詳しく解説します。

年収いくらからが高所得と言える?

「高所得者」といえば、多くの人は「年収が1,000万円以上の人」を想像するのではないでしょうか。まずは高所得者といわれる人は一体どんな人なのか、日本における高所得者の割合や高所得者に多い職業から紹介します。

税制上は年収850万円以上

2024年現在、国はどういう人が「高所得者」にあたるのか、明確に定義していません。

一般的には、所得税の税率が最も高い人を「高所得者」と呼ぶ場合が多いようです。

以前は「年収1,000万円以上の人」が最も税率が高かったのですが、令和元年の「給与所得控除額」改正により、年収850万円超の給与所得者に対する給与所得控除額が縮小され、それにともない「年収850万円以上」が最も高い所得区分になりました。

そのため、2018年以降は「年収850万円以上の人」を高所得者と呼ぶことが増えているようです。

税制上の区分が「高所得者」イメージの元になっている

【2017(平成29)年分から2019(令和元)年分】

給与等の収入金額 

(給与所得の源泉徴収票の支払金額) 

給与所得控除額 

1,625,000円まで 

650,000円 

1,625,001円から1,800,000円まで 

収入金額×40% 

1,800,001 円から3,600,000円まで 

収入金額×30%+180,000円 

3,600,001 円から6,600,000円まで 

収入金額×20%+540,000円 

6,600,001 円から10,000,000円まで 

収入金額×10%+1,200,000円 

10,000,001円以上 

2,200,000円(上限) 

【 2020(令和2)年以降分】               

給与等の収入金額 

(給与所得の源泉徴収票の支払金額) 

給与所得控除額 

1,625,000円まで 

550,000円 

1,625,001円から1,800,000円まで 

収入金額×40%-100,000円 

1,800,001 円から3,600,000円まで 

収入金額×30%+80,000円 

3,600,001 円から6,600,000円まで 

収入金額×20%+440,000円 

6,600,001 円から8,500,000円まで 

収入金額×10%+1,100,000円 

8,500,001円以上 

1,950,000円(上限) 

(出典:国税庁「No.1410給与所得控除」より)

富裕層との違い「純金融資産を1億円以上保有していること」

高所得者とよく似た言葉に「富裕層」がありますが、「高所得者」と「富裕層」には明確な違いがあります。

一定の所得額を超えた人が「高所得者」と呼ばれるのに対し、「一定の保有資産額を超えた人」を富裕層と呼びます。

「富裕層」も公的な定義がある言葉ではありませんが、野村総合研究所は「純金融資産保有額1億円以上5億円未満」の世帯を富裕層と定義しています。

つまり、850万円以上の所得がある「高所得者」でも、1億円以上の資産を保有していない場合や、現物資産として保有している場合は「富裕層」にはあたらない、ということになります。

日本の高所得者層の割合

では、日本にはどのくらい「高所得者」がいるのでしょうか?

国税庁の「令和4年分 民間給与実態統計調査」によると、給与所得者5,078万人の平均給与は458万円です。

高所得者と呼ばれる給与所得者のうち、「800万超900万円以下」は給与所得者全体の2.9%、「900万円超1,000万円以下」は1.9%、1,000万円超は5%でした。これらの合計値は9.8%ですが、高所得者に該当しない800万超850万円未満の人を除けば、日本における高所得者の割合は9.8%未満になります。

《給与所得800万円以上の割合9.8%の内訳》

高所得者が多い職業

高所得者が多い業種としては、「電気・ガス・熱供給・水道業」が最も多く、次いで「金融業、保険業」「情報通信業」が続きます。

同調査の「(第19図)業種別の給与階級別構成割合」によると、平均給与が最多の業種は「電気・ガス・熱供給・水道業」で、800万円超の割合は43.5%でした。次いで「金融業、保険業」で28.1%、情報通信業が23.7%となっています。

なお、本調査による「給与所得者」は、「1年を通じて勤務した給与所得者」のことであり、一般的に年収が高いとされている企業の役員や開業医などは含まれていません。

高所得者の手取りはどれくらい?

高い給与を得ていても、実際に手にする金額は思ったより少ない…そんな経験をしたことがある方も多いのではないでしょうか?
日本の会社員の手取り額は、所得から税金や社会保険料を差し引いた後の金額として振り込まれます。では、具体的にどのような費用が所得から控除されているのでしょうか。

所得から引かれる税金・保険料の種類

◎税金(所得税、住民税)

  • 所得税: 会社が毎月給与から天引きし、年末調整で精算されます。
  • 住民税: 前年の所得に基づいて計算され、6月から翌年5月までの間、給与から毎月控除されます。

◎社会保険料(厚生年金保険料、健康保険料、介護保険料、雇用保険料)

社会保険料として控除されるお金は、主に次の4種類です。

  • 厚生年金保険料: 会社員や公務員が対象で、将来の年金として積み立てられます。 
  • 健康保険料: 企業の共済組合に加入することで、医療費がカバーされます。 
  • 介護保険料: 40歳以上の国民が対象となり、将来的な介護サービスに備えます。 
  • 雇用保険料: 雇用の安定と保護を目的に、一定の条件を満たす労働者が加入します。 

また、企業独自の私的年金や保険制度がある場合、これらの費用が追加で控除されることもあります。

 

大体の手取り額の出し方

日本の税制や社会保険料の仕組みは複雑で、正確な手取り額を計算するのは簡単ではありません。しかし、大まかな目安を把握することで、節税対策や資産運用のプランを立てる助けになります。

【手取り額の大まかな目安】 

・年収1,000万円以下:額面給与の約70~80% 

・年収1,000万円超2,000万円以下:額面給与の約60~70% 

・年収2,000万円超:額面給与の約50~60% 

たとえば、年収1,000万円の方なら、手取り額は700万円~800万円程度になります。

高所得者のための節税方法

年収2,000万円以上の高所得者は、稼いだ所得の約半分を税金として納める必要があります。つまり、年収が2,000万円でも、手取り額は1,000万円前後に留まります。だからこそ、高所得者は節税対策に取り組み、手取り額を最大化することが重要です。

※本記事の内容は、20243年97月現在の情報を基にしていおりますので、今後の税制改正によって内容が変更となる場合がございあります。

控除

高所得者にとって、控除制度を活用することは非常に有効な節税方法です。代表的な控除には以下のようなものがあります。

配偶者控除

配偶者控除は、配偶者の収入が低い、または収入がゼロの場合に適用できる控除制度です。

対象となるのは納税者と生計を共ともにする民法上の配偶者で、年間の合計所得が48万円以下(給与を支給されている方は給与収入103万円以下)の場合に適用されます。

内縁関係の配偶者には適用できないほか、「青色申告の事業専従者として給与支給を受けていないこと」も条件です。 また、2018(平成30)年より納税者の年収が1,000万円以上ある場合、配偶者控除を適用できなくなりました。

扶養控除

扶養控除は、年間の合計所得が48万円以下の親や子、兄弟姉妹など「配偶者以外の親族」を養っている場合に適用されます。

納税者と生計を一にする扶養親族であることが前提ですが、単身赴任者や遠方の大学へ通学するために仕送りを受けている者も扶養親族として認められます。

配偶者控除と同じく年間の合計所得が48万円以下(給与を支給されている方は給与収入103万円以下)の場合に適用され、「青色事業専従者でないこと」、「他の納税者における控除対象者となっていないこと」が条件です。

生命保険料控除

生命保険料控除は、民間の保険会社が提供する「生命保険」「介護医療保険」「個人年金保険」において、支払った保険料に応じて控除を受けられる制度です。

年間を通して各保険の上限を4万円として、合計12万円を所得控除できます。生命保険料控除を受けるためには、毎年秋から冬にかけて保険会社から発送される「控除証明書」が必要です。

会社員は年末調整と一緒に控除証明書を会社へ提出し、個人事業主は確定申告時に他の書類とあわせて提出します。

地震保険料控除

2006年度の税改正で新設された「地震保険料控除」は、地震の備えとして地震保険の加入に際して支払った保険料の一部を控除する制度です。

地震保険料控除による控除対象は保険契約者本人、保険契約者と生計を一にする配偶者やその他の親族が所有する居住用の建物、家財を対象とした地震保険契約です。使用用途が店舗や事務所に限定されている建物は、地震保険料控除を受けることができません。

生命保険料控除と同じく会社員は年末調整、個人事業主は確定申告によりって控除をが受けられます。

医療費控除

医療費控除は毎年1月1日から12月31日までの1年間で、病院や薬局などで支払った「医療費」を控除する制度です。

医療費控除の上限金額は200万円と決められており、以下の式で計算します。

《医療費控除の金額》

= 支払った医療費の合計金額 - 保険金等により補填された金額 -10万円

※ただし、総所得金額が200万円未満の人は、総所得金額の5%の金額とします。

条件は、納税者が自分または生計を一にする配偶者やその他の親族のために支払った医療費であることです。

セルフメディケーション税制(特定の医薬品購入額の所得控除制度)

セルフメディケーション税制は、認められた一般医薬品を一定額以上購入すると、所得控除を受けられる制度です。

WHOは、「自分の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てする」と定義しています。一般的に耐え難い身体の不調は病院で薬を処方してもらいますが、軽微な身体の不調はドラッグストアなどで処方箋がなくてもを要さず簡単に購入できる、一般医薬品(OTC医薬品)を利用して自分で対処するということです。

その際、ドラッグストアなどで認められた医薬品を購入することで、セルフメディケーション税制の対象となります。控除を受けるには、以下の3つの条件を満たす必要があります。

  • 所得税、住民税を納めていること 
  • 申告対象となる1月1日から12月31日の1年間で、定期健康診断(事業主検診)、健康診査、特定健康診査、がん検診、予防接種のいずれかを受けていること
  •  医療費控除を受けていないこと

対象医薬品については、厚生労働省のWebサイトにてご確認ください。
(参考:厚生労働省|セルフメディケーション税制(特定の医薬品購入額の所得控除制度)について) 

住宅ローン控除

住宅ローン控除は「住宅借入金等特別控除」といい、住宅ローンを借りる際に支払う金利の負担を軽減するための控除制度です。国民の住宅の購入・取得を促進することを目的に創設されました(賃貸物件に居住中の方は、利用できません)。

新築・中古住宅の購入や建築、リフォームにおいて、住宅ローンを利用した場合、居住開始年の年末借入残高の0.7%分が減税対象となり、最長で13年間適用されます。住宅ローン控除を受けるためには、住宅を取得した翌年2月15日から3月16日までの間に、確定申告が必要です。取得した対象住宅の条件によりって適用期間や優遇措置が異なるため、要件においては一度自身で確認してみてください。

また、納税者の年収が2,000万円を超えると住宅ローン控除は適用できません。

特定支出控除

特定支出控除は、会社員が業務従事に際して必要な費用を自腹で支払った場合に利用できる控除制度です。たとえば、通勤費、医療費、業務に関連する図書費、資格取得費用などが該当します。他にも、転勤のように会社事情で引っ越しが必要な場合、転居費も計上できます。

特定支出控除は、住宅ローン控除と同様に年末調整では控除ができず、確定申告が必須です。

また、確定申告時の提出書類は、「特定支出」と会社に認められた資料であることが条件です

税制優遇制度・投資

税制優遇制度の活用や、資産運用をしながら節税に取り組む方法もあります。控除制度と併用することで、より多くのお金を手元に残せるようになります。

ふるさと納税

ふるさと納税は、地域復興を目的として、日本国内の好きな地方自治体へ金銭を寄附し、返礼品として地域の特産品を受け取れる制度です。「寄附金控除制度」が設けられており、節税効果がを期待できます。

寄附金のうち2,000円を超える部分は、上限額まで所得税・住民税の控除が認められているため、地域に貢献しながらも節税できる嬉しい制度です。

NISA

新NISAは、資産運用で税優遇を受けられる制度で、投資で得た運用益が非課税になります。掛金などの運用資金は所得控除が認められていないため、所得額を基に算出される税金は減額できません。 

2024年から新たな制度で使いやすくなったので、投資に興味がある方はチェックしてみましょう。

iDeCo(イデコ)

私的年金制度であるiDeCo(個人型確定拠出年金)は、資産運用しながら控除を受けられる制度です。

新NISAでは運用資金の所得控除ができないのに対し、iDeCoは毎月積み立てた掛金を全額所得控除できます。また、積み立てた資金の受け取り方法には3つの選択肢がありますが、いずれの方法を選んでも一定額まで税優遇を受けられます。ただし、積立金は原則60歳まで引き出すことができません。

不動産投資

不動産投資は、節税と資産運用を同時に実現できる方法です。物件の減価償却費を経費として計上し、キャッシュフローを赤字にすることで、給与所得との相殺(損益通算)を行い、所得税や住民税の減額が可能です。また、法人を設立することで、税率を法人税の23.2%に抑えることもできます。

不動産投資で法人化するメリットや注意点については、こちらの記事をご参照ください。

まとめ

本記事では、高所得者の定義を明確にし、高所得者がすぐに実践できる節税対策について解説しました。公的な基準はないものの、一般的には「年収850万円以上」が高所得者とされています。
日本では超累進課税制度が採用されており、所得が高くなるほど納税額が増えるため、高所得者には効果的な節税対策が求められます。上手に「控除制度」や「税優遇制度」を活用し、支払い過ぎた税金を取り戻すことが重要です。

数ある投資の中でも、特に課税所得が850万円を超える高所得者には「不動産投資」がおすすめです。
弊社では、資産運用コンサルタントによるオンラインセミナーを随時開催しておりますので、不動産投資にご興味のある方は、ぜひお問い合わせください。

 

この記事を書いた人

ベルテックスコラム事務局

不動産コンサルタント・税理士

不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。

2024.10.03

資産運用

ベルテックスコラム事務局

高所得者は年収いくらから? おすすめの税金対策も紹介

  • 節税・税金
  • 年収・収入

「高所得者」とは、どのくらいの年収から言えるのでしょうか?高所得者と聞くと、お金を自由に使えるイメージがあり、憧れる人も多いかもしれません。しかし、日本では「超過累進課税」が採用されているため、所得が高くなるほど税負担が増え、手元に残るお金は意外と少ないのが現実です。

本記事では、高所得者の定義や実際の年収水準、そして高所得者がすぐに始められる節税対策を詳しく解説します。

年収いくらからが高所得と言える?

「高所得者」といえば、多くの人は「年収が1,000万円以上の人」を想像するのではないでしょうか。まずは高所得者といわれる人は一体どんな人なのか、日本における高所得者の割合や高所得者に多い職業から紹介します。

税制上は年収850万円以上

2024年現在、国はどういう人が「高所得者」にあたるのか、明確に定義していません。

一般的には、所得税の税率が最も高い人を「高所得者」と呼ぶ場合が多いようです。

以前は「年収1,000万円以上の人」が最も税率が高かったのですが、令和元年の「給与所得控除額」改正により、年収850万円超の給与所得者に対する給与所得控除額が縮小され、それにともない「年収850万円以上」が最も高い所得区分になりました。

そのため、2018年以降は「年収850万円以上の人」を高所得者と呼ぶことが増えているようです。

税制上の区分が「高所得者」イメージの元になっている

【2017(平成29)年分から2019(令和元)年分】

給与等の収入金額 

(給与所得の源泉徴収票の支払金額) 

給与所得控除額 

1,625,000円まで 

650,000円 

1,625,001円から1,800,000円まで 

収入金額×40% 

1,800,001 円から3,600,000円まで 

収入金額×30%+180,000円 

3,600,001 円から6,600,000円まで 

収入金額×20%+540,000円 

6,600,001 円から10,000,000円まで 

収入金額×10%+1,200,000円 

10,000,001円以上 

2,200,000円(上限) 

【 2020(令和2)年以降分】               

給与等の収入金額 

(給与所得の源泉徴収票の支払金額) 

給与所得控除額 

1,625,000円まで 

550,000円 

1,625,001円から1,800,000円まで 

収入金額×40%-100,000円 

1,800,001 円から3,600,000円まで 

収入金額×30%+80,000円 

3,600,001 円から6,600,000円まで 

収入金額×20%+440,000円 

6,600,001 円から8,500,000円まで 

収入金額×10%+1,100,000円 

8,500,001円以上 

1,950,000円(上限) 

(出典:国税庁「No.1410給与所得控除」より)

富裕層との違い「純金融資産を1億円以上保有していること」

高所得者とよく似た言葉に「富裕層」がありますが、「高所得者」と「富裕層」には明確な違いがあります。

一定の所得額を超えた人が「高所得者」と呼ばれるのに対し、「一定の保有資産額を超えた人」を富裕層と呼びます。

「富裕層」も公的な定義がある言葉ではありませんが、野村総合研究所は「純金融資産保有額1億円以上5億円未満」の世帯を富裕層と定義しています。

つまり、850万円以上の所得がある「高所得者」でも、1億円以上の資産を保有していない場合や、現物資産として保有している場合は「富裕層」にはあたらない、ということになります。

日本の高所得者層の割合

では、日本にはどのくらい「高所得者」がいるのでしょうか?

国税庁の「令和4年分 民間給与実態統計調査」によると、給与所得者5,078万人の平均給与は458万円です。

高所得者と呼ばれる給与所得者のうち、「800万超900万円以下」は給与所得者全体の2.9%、「900万円超1,000万円以下」は1.9%、1,000万円超は5%でした。これらの合計値は9.8%ですが、高所得者に該当しない800万超850万円未満の人を除けば、日本における高所得者の割合は9.8%未満になります。

《給与所得800万円以上の割合9.8%の内訳》

高所得者が多い職業

高所得者が多い業種としては、「電気・ガス・熱供給・水道業」が最も多く、次いで「金融業、保険業」「情報通信業」が続きます。

同調査の「(第19図)業種別の給与階級別構成割合」によると、平均給与が最多の業種は「電気・ガス・熱供給・水道業」で、800万円超の割合は43.5%でした。次いで「金融業、保険業」で28.1%、情報通信業が23.7%となっています。

なお、本調査による「給与所得者」は、「1年を通じて勤務した給与所得者」のことであり、一般的に年収が高いとされている企業の役員や開業医などは含まれていません。

高所得者の手取りはどれくらい?

高い給与を得ていても、実際に手にする金額は思ったより少ない…そんな経験をしたことがある方も多いのではないでしょうか?
日本の会社員の手取り額は、所得から税金や社会保険料を差し引いた後の金額として振り込まれます。では、具体的にどのような費用が所得から控除されているのでしょうか。

所得から引かれる税金・保険料の種類

◎税金(所得税、住民税)

  • 所得税: 会社が毎月給与から天引きし、年末調整で精算されます。
  • 住民税: 前年の所得に基づいて計算され、6月から翌年5月までの間、給与から毎月控除されます。

◎社会保険料(厚生年金保険料、健康保険料、介護保険料、雇用保険料)

社会保険料として控除されるお金は、主に次の4種類です。

  • 厚生年金保険料: 会社員や公務員が対象で、将来の年金として積み立てられます。 
  • 健康保険料: 企業の共済組合に加入することで、医療費がカバーされます。 
  • 介護保険料: 40歳以上の国民が対象となり、将来的な介護サービスに備えます。 
  • 雇用保険料: 雇用の安定と保護を目的に、一定の条件を満たす労働者が加入します。 

また、企業独自の私的年金や保険制度がある場合、これらの費用が追加で控除されることもあります。

 

大体の手取り額の出し方

日本の税制や社会保険料の仕組みは複雑で、正確な手取り額を計算するのは簡単ではありません。しかし、大まかな目安を把握することで、節税対策や資産運用のプランを立てる助けになります。

【手取り額の大まかな目安】 

・年収1,000万円以下:額面給与の約70~80% 

・年収1,000万円超2,000万円以下:額面給与の約60~70% 

・年収2,000万円超:額面給与の約50~60% 

たとえば、年収1,000万円の方なら、手取り額は700万円~800万円程度になります。

高所得者のための節税方法

年収2,000万円以上の高所得者は、稼いだ所得の約半分を税金として納める必要があります。つまり、年収が2,000万円でも、手取り額は1,000万円前後に留まります。だからこそ、高所得者は節税対策に取り組み、手取り額を最大化することが重要です。

※本記事の内容は、20243年97月現在の情報を基にしていおりますので、今後の税制改正によって内容が変更となる場合がございあります。

控除

高所得者にとって、控除制度を活用することは非常に有効な節税方法です。代表的な控除には以下のようなものがあります。

配偶者控除

配偶者控除は、配偶者の収入が低い、または収入がゼロの場合に適用できる控除制度です。

対象となるのは納税者と生計を共ともにする民法上の配偶者で、年間の合計所得が48万円以下(給与を支給されている方は給与収入103万円以下)の場合に適用されます。

内縁関係の配偶者には適用できないほか、「青色申告の事業専従者として給与支給を受けていないこと」も条件です。 また、2018(平成30)年より納税者の年収が1,000万円以上ある場合、配偶者控除を適用できなくなりました。

扶養控除

扶養控除は、年間の合計所得が48万円以下の親や子、兄弟姉妹など「配偶者以外の親族」を養っている場合に適用されます。

納税者と生計を一にする扶養親族であることが前提ですが、単身赴任者や遠方の大学へ通学するために仕送りを受けている者も扶養親族として認められます。

配偶者控除と同じく年間の合計所得が48万円以下(給与を支給されている方は給与収入103万円以下)の場合に適用され、「青色事業専従者でないこと」、「他の納税者における控除対象者となっていないこと」が条件です。

生命保険料控除

生命保険料控除は、民間の保険会社が提供する「生命保険」「介護医療保険」「個人年金保険」において、支払った保険料に応じて控除を受けられる制度です。

年間を通して各保険の上限を4万円として、合計12万円を所得控除できます。生命保険料控除を受けるためには、毎年秋から冬にかけて保険会社から発送される「控除証明書」が必要です。

会社員は年末調整と一緒に控除証明書を会社へ提出し、個人事業主は確定申告時に他の書類とあわせて提出します。

地震保険料控除

2006年度の税改正で新設された「地震保険料控除」は、地震の備えとして地震保険の加入に際して支払った保険料の一部を控除する制度です。

地震保険料控除による控除対象は保険契約者本人、保険契約者と生計を一にする配偶者やその他の親族が所有する居住用の建物、家財を対象とした地震保険契約です。使用用途が店舗や事務所に限定されている建物は、地震保険料控除を受けることができません。

生命保険料控除と同じく会社員は年末調整、個人事業主は確定申告によりって控除をが受けられます。

医療費控除

医療費控除は毎年1月1日から12月31日までの1年間で、病院や薬局などで支払った「医療費」を控除する制度です。

医療費控除の上限金額は200万円と決められており、以下の式で計算します。

《医療費控除の金額》

= 支払った医療費の合計金額 - 保険金等により補填された金額 -10万円

※ただし、総所得金額が200万円未満の人は、総所得金額の5%の金額とします。

条件は、納税者が自分または生計を一にする配偶者やその他の親族のために支払った医療費であることです。

セルフメディケーション税制(特定の医薬品購入額の所得控除制度)

セルフメディケーション税制は、認められた一般医薬品を一定額以上購入すると、所得控除を受けられる制度です。

WHOは、「自分の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てする」と定義しています。一般的に耐え難い身体の不調は病院で薬を処方してもらいますが、軽微な身体の不調はドラッグストアなどで処方箋がなくてもを要さず簡単に購入できる、一般医薬品(OTC医薬品)を利用して自分で対処するということです。

その際、ドラッグストアなどで認められた医薬品を購入することで、セルフメディケーション税制の対象となります。控除を受けるには、以下の3つの条件を満たす必要があります。

  • 所得税、住民税を納めていること 
  • 申告対象となる1月1日から12月31日の1年間で、定期健康診断(事業主検診)、健康診査、特定健康診査、がん検診、予防接種のいずれかを受けていること
  •  医療費控除を受けていないこと

対象医薬品については、厚生労働省のWebサイトにてご確認ください。
(参考:厚生労働省|セルフメディケーション税制(特定の医薬品購入額の所得控除制度)について) 

住宅ローン控除

住宅ローン控除は「住宅借入金等特別控除」といい、住宅ローンを借りる際に支払う金利の負担を軽減するための控除制度です。国民の住宅の購入・取得を促進することを目的に創設されました(賃貸物件に居住中の方は、利用できません)。

新築・中古住宅の購入や建築、リフォームにおいて、住宅ローンを利用した場合、居住開始年の年末借入残高の0.7%分が減税対象となり、最長で13年間適用されます。住宅ローン控除を受けるためには、住宅を取得した翌年2月15日から3月16日までの間に、確定申告が必要です。取得した対象住宅の条件によりって適用期間や優遇措置が異なるため、要件においては一度自身で確認してみてください。

また、納税者の年収が2,000万円を超えると住宅ローン控除は適用できません。

特定支出控除

特定支出控除は、会社員が業務従事に際して必要な費用を自腹で支払った場合に利用できる控除制度です。たとえば、通勤費、医療費、業務に関連する図書費、資格取得費用などが該当します。他にも、転勤のように会社事情で引っ越しが必要な場合、転居費も計上できます。

特定支出控除は、住宅ローン控除と同様に年末調整では控除ができず、確定申告が必須です。

また、確定申告時の提出書類は、「特定支出」と会社に認められた資料であることが条件です

税制優遇制度・投資

税制優遇制度の活用や、資産運用をしながら節税に取り組む方法もあります。控除制度と併用することで、より多くのお金を手元に残せるようになります。

ふるさと納税

ふるさと納税は、地域復興を目的として、日本国内の好きな地方自治体へ金銭を寄附し、返礼品として地域の特産品を受け取れる制度です。「寄附金控除制度」が設けられており、節税効果がを期待できます。

寄附金のうち2,000円を超える部分は、上限額まで所得税・住民税の控除が認められているため、地域に貢献しながらも節税できる嬉しい制度です。

NISA

新NISAは、資産運用で税優遇を受けられる制度で、投資で得た運用益が非課税になります。掛金などの運用資金は所得控除が認められていないため、所得額を基に算出される税金は減額できません。 

2024年から新たな制度で使いやすくなったので、投資に興味がある方はチェックしてみましょう。

iDeCo(イデコ)

私的年金制度であるiDeCo(個人型確定拠出年金)は、資産運用しながら控除を受けられる制度です。

新NISAでは運用資金の所得控除ができないのに対し、iDeCoは毎月積み立てた掛金を全額所得控除できます。また、積み立てた資金の受け取り方法には3つの選択肢がありますが、いずれの方法を選んでも一定額まで税優遇を受けられます。ただし、積立金は原則60歳まで引き出すことができません。

不動産投資

不動産投資は、節税と資産運用を同時に実現できる方法です。物件の減価償却費を経費として計上し、キャッシュフローを赤字にすることで、給与所得との相殺(損益通算)を行い、所得税や住民税の減額が可能です。また、法人を設立することで、税率を法人税の23.2%に抑えることもできます。

不動産投資で法人化するメリットや注意点については、こちらの記事をご参照ください。

まとめ

本記事では、高所得者の定義を明確にし、高所得者がすぐに実践できる節税対策について解説しました。公的な基準はないものの、一般的には「年収850万円以上」が高所得者とされています。
日本では超累進課税制度が採用されており、所得が高くなるほど納税額が増えるため、高所得者には効果的な節税対策が求められます。上手に「控除制度」や「税優遇制度」を活用し、支払い過ぎた税金を取り戻すことが重要です。

数ある投資の中でも、特に課税所得が850万円を超える高所得者には「不動産投資」がおすすめです。
弊社では、資産運用コンサルタントによるオンラインセミナーを随時開催しておりますので、不動産投資にご興味のある方は、ぜひお問い合わせください。

 

この記事を書いた人

ベルテックスコラム事務局

不動産コンサルタント・税理士

不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。