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2024.02.29
ベルテックスコラム事務局
iDeCoと不動産投資で資産5000万|特徴や注意点も紹介
- 老後資金
- 投資の種類・方法
- 資産形成
- iDeCo
- 比較
近年、多くの日本人が将来の安定した生活を考え、資産形成に積極的に取り組んでいます。その中でも、iDeCo(イデコ)と不動産投資の組み合わせは、資産形成において効果的な手段として注目を浴びています。iDeCoとは個人型確定拠出年金のことで、積立型の年金制度として知られています。一方で不動産投資は、不動産を購入して収益を上げることで資産を増やす方法です。
この記事では、iDeCoと不動産投資を組み合わせることで、資産を効果的に増やし、将来の資産目標である5,000万円を目指す方法について探っていきます。両者の組み合わせによる分散投資のメリットやリスク、始め方などを解説し、賢い資産運用を目指す方々の参考になることでしょう。将来に向けた安心な資産形成を考える上で、iDeCoと不動産投資の可能性を一緒に見ていきましょう。
iDeCoの概要をおさらい
iDeCoは老後に向けた資産形成の手段で、2017年に制度が改正され、原則60歳未満の現役世代の人が加入できるようになりました。特に、以下のような方がiDeCoを利用しています。
- 会社員:
iDeCoは会社の給与から毎月掛金を拠出することができるため、会社員にとって手軽な年金対策といえます。年末調整で控除を受けることができるため、税制優遇を活用しやすい点も魅力です。 - フリーランスや個人事業主:
自営業の方もiDeCoを利用して年金対策を行っています。確定申告を通じて控除を受けることができ、収入に応じて適切な掛金を選ぶことができます。
iDeCoのメリットは投資優遇制度であり、非課税の恩恵が大きい点です。例えば投資信託で利益が出た場合、通常は20.315%の税金がかかりますが、iDeCoで運用すると売却益や分配益が非課税になります。このような特性から、幅広い年齢層や職業の方がiDeCoを取り入れています。
iDeCoを始める方法ですが、まずはiDeCoを取り扱っている金融機関に口座を開設する必要があります。iDeCoは証券会社や銀行、信託銀行などで加入できます。口座開設後、掛金の拠出額を設定します。掛金は毎月最低5,000円から始めることができますが、職業によっては掛金上限額が決まっていることもあるので注意が必要です。
掛金の拠出は給与天引きで行うこともできますし、個人で振込や口座引落しを利用することも可能です。毎月の拠出が面倒な場合は一括で拠出する方法もありますが、その際には年間拠出限度額に注意してください。
iDeCoは確定拠出型の年金制度であり、将来の年金収入を増やすために活用される一方で、長期的な視野とリスク管理が求められる制度です。自身の目標やライフスタイルに合わせて適切な運用を行い、安定した老後生活を送るために活用することが重要です。
不動産投資の概要をおさらい
不動産投資は、投資家が賃貸物件を購入して収益を得るという資産運用の方法です。賃貸物件には、以下のような種類があります。
- 一戸建て
- アパート
- 区分マンション
- 一棟マンション
- その他(店舗、オフィスビルなど)
前出のiDeCoは、幅広い層に利用されている資産運用の仕組みです。一方で不動産投資は、すべての層に向いている資産運用の手段ではありません。例えば、不動産投資と相性が良いのは以下のような方です。
- 安定収入のある会社員や公務員
- パワーカップル(高収入の共働きのご夫婦)
- 富裕層
- 地主
不動産投資を始めるための賃貸物件を購入できる人は、豊富な現預金を用意できるか、ローンを組む場合は審査に通るための属性(職業・年収・資産など)が良いかのいずれかです。そのため、不動産投資が始められる人は限られます。
なお、不動産投資には以下の2種類の利益(所得)があります。
- インカムゲイン:毎月入ってくる家賃収入をベースとした利益
- キャピタルゲイン:購入価格と売却価格の差で生まれる利益
国内の不動産投資では、インカムゲインを重視するのが一般的です。
iDeCo・不動産投資を徹底比較
次に、iDeCoと不動産投資の違いを確認してみましょう。両者の違いをまとめると、以下のようになります。
○=対策になる、効果がある
×=対策にならない、効果がない
△=ケースバイケース
iDeCo | 不動産投資 | |
---|---|---|
年金対策 | 〇 | 〇 |
インフレ対策 | × | 〇 |
節税効果 | 〇 | 〇 |
保険効果 | × | 〇 |
下落相場対策 | 〇 | 〇 |
再現性 | 〇 | △ |
管理のしやすさ | 〇 | △ |
上記の表を見るとわかるように、iDeCoと不動産投資はさまざまな面でメリットのある、バランスの良い資産運用の手段です。また、iDeCoと不動産投資は弱点が違うため、両者を組み合わせることでお互いを補完でき、長期的に安定した資産運用を行いやすくなります。
iDeCoと不動産投資の違いについて、詳しく見ていきましょう。
年金対策
・iDeCoは年金対策になる。
iDeCoは確定拠出年金制度であり、自由に拠出金額を設定できます。所得税と住民税の控除対象となるため、拠出した金額に対して税金の還付を受けることができます。また、運用成果により将来の受給額が決まるため、長期的な運用を行うことで資産を形成できます。特に高額な拠出を行う場合や税金負担を軽減したい方にとって、効果的な年金対策といえます。
・不動産投資は年金対策になる。
不動産投資は、不動産を購入して収益を得ることで資産を増やす方法です。賃貸収入を得ることができるため、老後の収入の一部として考えることもできます。購入した不動産の価値が上昇すれば、資産の総額も増加します。不動産投資により安定した収益を得ることで、将来の収入源を確保できるため、年金対策として有効です。
ただし、両者には異なるリスクや特性があります。iDeCoは金融商品に投資するため、市場の変動リスクがあります。不動産投資は、不動産市場の変動や空室リスクを考慮しなければなりません。また、iDeCoは確定拠出型のため拠出金額が変動することはありませんが、不動産投資は購入価格や運用によって収益が変わります。
インフレ対策
・iDeCoはインフレ対策にはならない。
iDeCoは確定拠出年金制度であり、毎月一定の金額を拠出して運用されますが、運用商品は主に金融商品(株式、債券、投資信託など)です。インフレが進行すると物価が上昇するため消費力が低下し、運用成果が相対的に減少する可能性があります。そのため、インフレ対策としては不十分といえます。
・不動産投資はインフレ対策になる。
不動産投資は、不動産を購入して収益を得ることで資産を増やす方法です。インフレが進行すると物価が上昇するため、賃料収入が増加する可能性があります。賃料の上昇により、収益がインフレに追従することが期待できます。物価が上昇すると、不動産自体もその価値が上昇する傾向があります。そのため、不動産投資はインフレ対策として有効とされています。
ただし、不動産投資にもリスクがあります。物件の選定や地域の動向、入居率の変動などが収益に影響を及ぼすことがあります。そのため、適切な物件の選定やリスク管理が必要です。
節税効果
・iDeCoは節税効果がある。
iDeCoは確定拠出年金制度であり、毎月一定の金額を拠出して運用されますが、運用商品は主に金融商品(株式、債券、投資信託など)です。iDeCoの特性上、拠出した金額が所得税と住民税の控除対象となります。その結果、年末調整時に還付されることで税負担を軽減できます。特に高額な拠出を行う場合や高所得者にとっては、効果的な節税手段といえるでしょう。
・不動産投資は節税効果がある。
不動産投資には、さまざまな節税手段があります。例えば、不動産の取得に際しては、減価償却による経費控除が可能です。また、不動産の売却に際しても、特別控除や長期保有による税率軽減などの税制優遇があります。さらに、不動産所得に対しては控除や特例が適用されることがあります。これらの税制措置により、不動産投資家は収益を最大化し、税金負担を軽減することができます。
保険効果
・iDeCoに保険効果はない。
iDeCoは投資型の確定拠出年金制度ですが、保険のようにリスクを完全にカバーする機能はありません。運用成果によって将来の受給額が決まるため、市場の変動によって受給額が変動する可能性があります。また、投資運用に伴うリスクも存在し、運用商品の価値が下落すれば、受給額に影響を及ぼす可能性もあります。
・不動産投資は保険効果がある。ただしローンで購入した場合のみ。
投資家がローンを組む際に加入する団体信用生命保険(団信)によって、万が一の事態に備えられます。団信は死亡や高度障害状態、余命6ヵ月以内と診断された場合などに、ローンの残債分の保険金を受け取ることができます。また、一部の団信にはがんや入院に対する保障もあります。投資家が亡くなった場合でも不動産が残るため、家族は家賃収入を受け取ることができます。
下落相場対策
・iDeCoは下落相場対策がしやすい。
iDeCoは確定拠出年金制度であり、株式や債券、投資信託などで運用されます。株式市場が下落した場合は、リスクの低い債券などに資産をシフトすることで、損失を抑えることができます。iDeCoの運用は長期的に行うのが一般的であり、リスクを分散して運用することが可能です。そのため、下落相場に対して比較的柔軟に対応できるといえます。
・不動産投資は下落相場対策がしやすい。
不動産投資は不動産を購入して収益を得る方法であり、金融市場の変動の直接的な影響を受けません。株式市場のように急激な変動が起こることが少ないため、下落相場でも比較的安定した運用ができます。また、不動産投資は長期的な視点で運用されることが多く、市場の一時的な変動に左右されにくいという特性があります。そのため、下落相場においても安定した収益を確保しやすいとされています。
再現性
・iDeCoは再現性が高い。
iDeCoは確定拠出年金制度であり、個人が毎月一定の金額を自ら拠出して運用する仕組みです。運用商品は主に金融商品(株式、債券、投資信託など)であり、その相場によって運用成果が決まります。金融市場は公開されており、一般的な投資家であれば同じ金融商品を選択し、同じタイミングで運用を行うことができます。そのため、iDeCoの運用成果は再現性が高く、同じ条件で運用を行えば類似の成果が期待できます。
・不動産投資は再現性に乏しい。
不動産投資は不動産を購入して収益を得る方法であり、物理的な資産を所有することになります。不動産の収益や価値は、物件の種類や立地、購入価格、市場の状況などによって大きく変わります。同じ条件で同じ物件を購入することはできない、不動産投資の再現性は限られます。また、不動産の相場は地域によって異なるため、同じ条件で別の地域に投資する場合にも再現性は低くなります。
管理のしやすさ
・iDeCoは管理のしやすさに優れている。
iDeCoは確定拠出年金制度であり、個人が自分自身の拠出金額を設定し、毎月自動的に拠出が行われる仕組みです。また、運用は専門の運用会社に委託されており、個人が積極的に運用を行う必要はありません。自動拠出と委託運用により、手間をかけずに資産形成ができる点が管理のしやすさにつながっています。
・不動産投資は管理の負担がある。
不動産投資は不動産を所有して運用することから、物件や入居者の管理が必要です。これらの管理には手間と時間がかかりますが、業務を管理会社にアウトソースすれば、投資家の負担はほとんどありません。
目標資産5,000万円を目指すならiDeCoと不動産投資がおすすめ
将来豊かな生活を送るためには、資産形成が欠かせません。特に目標として持つ人も多い「5,000万円の資産形成」を目指す人は少なくありませんが、そのためには賢い選択と効果的な投資が求められます。この記事では、資産5,000万円を目指す際におすすめの方法として、iDeCo(個人型確定拠出年金)と不動産投資を比較します。
将来に向けて着実な資産形成を目指す皆さんの参考になるよう、iDeCoと不動産投資を組み合わせて資産5,000万円を実現する方法について、詳しく解説します。
なぜiDeCoと不動産投資の組み合わせがおすすめなのか
iDeCoと不動産投資の組み合わせをおすすめする理由は、2つあります。
1つ目の理由は、iDeCoと不動産投資は特性が違うからです。冒頭の「iDeCoと不動産投資比較表」のところでお伝えしたように、両者は強みと弱点が異なります。そのため、これらを組み合わせることでお互いの弱点が補強され、安定的な運用がしやすくなるのです。
2つ目の理由は、iDeCoと不動産投資の両方でリターンを得ることで、資産形成のスピードを早められる可能性があるからです。例えば、iDeCoと不動産投資どちらか一方では目標達成までに30年間かかるけれど、両者を組み合わせることで目標を20年で達成できるかもしれません。
iDeCoと不動産投資の組み合わせで5,000万円を実現するための前提条件
「iDeCoと不動産投資を組み合わせる」といっても、さまざまなパターンが考えられます。ここでは、3つのパターンをシミュレーションしてみましょう。3つのシミュレーションに共通する前提条件は、以下のとおりです。
・目標金額:5,000万円
・資産運用の期間:iDeCo30年間、不動産投資35年間
・iDeCoで30年後に得られる資産:約1,900万円(元金+運用益)
※設定条件:会社員35歳、積立期間30年、企業年金なし、毎月の掛金2万3,000円、利回り5%
5,000万円のうち、約1,900万円がiDeCoで用意できるということは、残り3,100万円を不動産投資で形成すればよいということになります。ここでは、以下の3種類の不動産投資をシミュレーションしてみます。
➀中古アパート
②中古一棟マンション
③新築区分マンション
iDeCoと不動産投資を組み合わせた資産形成のシミュレーション①中古アパート
中古アパートで不動産投資を行った場合、35年後の累計キャッシュフロー(手元に残る現金)は3,749万円です。具体的な条件は以下のとおりです。
▽不動産投資の詳しい内容
購入物件:アパート2棟(築9年)
物件価格:7,000万円
表面利回り:10.01%
自己資金:1,400万円、金利2%、ローン期間13年、入居率90%、家賃下落率1%
年間収入:701万円、年間経費:147万円(ローン返済額537万円/年は別)
※大規模修繕は購入から12年後に想定(435万円)
iDeCoと不動産投資を組み合わせて資産5,000万円を達成するための金額である3,100万円を大きく上回るキャッシュフローがあるので、想定以上の空室や家賃下落率があっても目標を達成しやすいと考えられます。
iDeCoと不動産投資を組み合わせた資産形成のシミュレーション②中古一棟マンション
中古一棟マンションで不動産投資を行った場合、35年後の累計キャッシュフロー(手元に残る現金)は約2,900万円です。具体的な条件は以下のとおりです。
▽不動産投資の詳しい内容
購入物件:一棟マンション(築33年)
表面(想定)利回り:8.3%
物件価格:9,200万円
自己資金:1,840万円、金利2%、ローン期間35年、入居率90%、家賃下落率0.5%
年間収入:763万円、年間経費:171万円(ローン返済額319万円/年は別)
※大規模修繕は購入から12年後に想定(161万円)
iDeCoと不動産投資を組み合わせて資産5,000万円を達成するための金額である3,100万円に200万円足りませんので、お部屋のリフォームなどを行うなど家賃収入を高める努力をする必要があります。
iDeCoと不動産投資を組み合わせた資産形成のシミュレーション③新築区分マンション
新築区分マンションの場合、iDeCoと不動産投資を組み合わせて資産5,000万円(必要額3,100万円)を達成するには、アパートや一棟マンションと違う切り口で行う必要があります。
不動産投資ローンで区分マンションを購入した場合、ローン返済中はまとまった利益が出ないのが一般的です。毎月の収支(家賃収入-経費・税金)はおおむね0円、もしくは少しマイナスになるケースが多いです。そのため、ローン完済後のインカムゲイン(家賃収入)またはキャピタルゲイン(売却差益)でリターンを得ることになります。
仮に、2,500万円の新築区分マンションを3室購入(総額7,500万円)し、30〜35年後に購入価格の45%で売却すると、3,375万円の現金を得られます。新築マンションを30年後に売却すると、価格は新築時の30%程度になるといわれていますが、好立地や持続的なインフレなどの要因で売却価格の押し上げが可能と考えられます。
iDeCoは不動産投資の補助的役割で運用するのがおすすめ
先にご紹介したシミュレーションのように、iDeCoと不動産投資の組み合わせによって、さまざまなパターンで資産5,000万円を達成することができます。成功のポイントは不動産投資を主体にして、iDeCoを補助的役割で運用することです。
iDeCoを補助的役割で運用したほうがよい理由は、「毎月の掛金に上限があるから」です。企業年金のない会社にお勤めの会社員であれば、毎月2万3,000円が上限です。この上限があるため、iDeCoでの資産運用の金額は限られます。
一方、不動産投資の運用金額に上限はありません。iDeCoで足りない分を自由に運用することができます。今回のシミュレーションで示したとおり、iDeCoで足りない分の金額を明確にし(今回の例では3,100万円)、それをまかなうための計画を立てることが大切です。
iDeCoのポートフォリオにおける注意点
iDeCoのポートフォリオには注意が必要です。資産運用の際に留意すべきポイントを理解することで、より効果的な資産形成が可能になります。ここでは、iDeCoのポートフォリオにおける注意点を簡潔に解説します。
商品選びは実質利回りを重視する
資産形成で目標を達成するには「運用利回り」が重要です。運用利回りとは、投資商品の運用効率の指標のことです。運用利回りの目標を決めることでシミュレーションがしやすくなり、iDeCoで毎月どれくらい積み立てればよいのか、運用年数がどれくらいかかるかなどが明確になります。
さらに「実質利回り」を意識することで、緻密な計画が立てやすくなります。iDeCoにおける実質利回りとは、手数料・信託報酬・税金などを反映した利回りのことです。これを意識することで、最終的に手元に残るお金を把握できます。
資産配分を定期的に見直す
iDeCoのポートフォリオでは、株式や債券などの異なる資産クラスを組み合わせて運用します。資産配分は、リスクとリターンのバランスを考慮して行わなければなりません。市場環境や経済の変化により、資産クラスの相対的なパフォーマンスが変動することがあります。そのため、定期的に資産配分を見直し、目標に合ったバランスを保つことが重要です。
以上の理由から、iDeCoのポートフォリオは定期的に資産配分を見直さなければなりません。 iDeCoを見直す際は、現時点のパフォーマンスが良くても悪くても、以下の3つを心がけることが大切です。
- 分散投資
- 長期投資
- 継続投資
iDeCoはあくまでも「分散投資」と「長期投資」を続けることで、大きな成果を上げる仕組みです。くれぐれも「短期集中投資で損を取り返す」といった発想にならないように気をつけましょう。
ハイリターン商品はハイリスクでもあることを理解する
iDeCoの金融商品は、大きく以下の2つに分かれます。
元本が確保された商品:定期預金 など
元本が確保されない商品:投資信託 など
元本が確保されない投資信託は、投資先によってリスクとリターンが変わります。
通常、ハイリターンをもたらす商品にはハイリスクが伴います。iDeCoで選ぶ商品の中にはハイリターンを期待できるものもありますが、相応のリスクを負う必要があります。リスクを取る場合は、自身のリスク許容度や投資目的をよく理解した上で選択することが大切です。iDeCoと不動産投資を組み合わせて資産5,000万円の達成を目指すなら、ローリスク・ローリターンで運用することをおすすめします。
不動産投資の注意点
一般的に、不動産投資はミドルリスク・ミドルリターン(またはローリスク・ローリターン)の資産運用といわれています。とはいえ、他の資産運用の手段と同じようにリスクがあります。ここでは、不動産投資のリスクの中で代表的な「空室リスク」と「流動性リスク」について解説します。
空室リスク:空室が続くと毎月の返済が厳しくなる
空室リスクは、不動産投資の中でも最大のリスクといわれています。なぜなら、空室が続いて家賃収入が入ってこなくなれば、賃貸経営そのものが成立しないからです。ローンを組んでいる場合は、貯蓄や他の収入(給料や本業の収入)を毎月の返済に充てることになります。空室期間が長期化すれば、破綻するケースもあるでしょう。
逆に、空室が発生しにくい物件で不動産投資を行えばリスクが低くなり、経営が安定しやすくなるともいえます。例えば、以下のような物件を選択することで空室リスクを軽減できます。
- 人気エリアの物件(例:都心、一等地、高級住宅街)
- 好立地の物件(例:利便性の高い駅の近く、複数路線が利用可)
- 新築または築浅の物件 など
流動性リスク:株式などよりも売却しにくい
不動産は、株式など他の投資商品に比べて流動性が低い(売却しにくい)といわれています。 例えば「手元の資金が足りない」「空室リスクをカバーできない」などの理由で、賃貸物件を「今すぐに売りたい」ということもあるでしょう。しかし、賃貸物件を現金化するまでに要する期間は短くても数ヵ月、長いと半年以上になることもあります。
こういった不動産投資の特性を考えると、少しでも現金化しやすいタイプの賃貸物件を購入するのがベターです。例として、以下のようなものが挙げられます。
- 区分マンション:一棟物件よりも価格が安いため流動性は高い
- 新築または築浅のマンション:耐用年数が残っているため、(次の買い手が)融資を受けやすい
- 法令上問題のない物件:建ぺい率や容積率に問題があると融資を受けにくい
不動産投資のリスクについて詳しく知りたい人は、当サイト内の下記の記事をご覧ください。
【おすすめ関連記事】 不動産投資における10つのリスクと失敗しないための対策を解説
不動産投資やiDeCoなどの資産形成を考える際には、投資に伴う注意点を理解しておくことが重要です。特に、借入金額には上限があり、年収に対する借入額の倍率が金融機関によって定められている点に留意しましょう。
多くの場合、不動産投資を行う際はローンを活用します。しかし、金融機関は借入金額の上限を設定しており、基本的にそれを超える融資は受けられません。そのため、借入を計画する際には金融機関の制限を把握しておく必要があります。
また、金融機関は個人の年収に対する借入額の倍率や返済能力を考慮して融資を行います。これにより、過度な借入を防止し、個人の経済的負担を軽減することができます。したがって、自身の年収や返済能力を踏まえて、借入額を慎重に決めることが大切です。
投資においては、資産の形成を目指す一方で、借入金額の管理にも注意を払うことが大切です。過度な借入は、将来の返済に影響を及ぼす可能性があります。リスクを適切に評価し、計画的な資産運用を行うことで、将来の安定した収入や資産形成を実現することができるでしょう。 不動産投資と借入金に関する詳細記事は、以下のリンクからご覧ください。
【おすすめ関連記事】不動産投資ローンとは・審査基準や住宅ローンとの違いを解説
まとめ
今回はiDeCoと不動産投資の概要、それぞれの特徴、分散投資で資産5,000万円を目指す方法について紹介しました。投資の基本は長期投資、分散投資と言われています。iDeCoと不動産投資はまさにその投資の基本に沿った長期投資であり、現物資産である不動産をポートフォリオに組み込むことができるリスクヘッジの利いた組み合わせです。今回紹介したシミュレーションはあくまでも一例でそれぞれの方の生活状況によって、詳細は異なってきます。
自分だったらどうなるのかさらに詳細な情報が気になる方は、ベルテックスの資産形成セミナーにご参加ください。オンラインで毎日開催しておりますので、お気軽にお申し込みください。
この記事を書いた人
ベルテックスコラム事務局
不動産コンサルタント・税理士
不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。
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近年、多くの日本人が将来の安定した生活を考え、資産形成に積極的に取り組んでいます。その中でも、iDeCo(イデコ)と不動産投資の組み合わせは、資産形成において効果的な手段として注目を浴びています。iDeCoとは個人型確定拠出年金のことで、積立型の年金制度として知られています。一方で不動産投資は、不動産を購入して収益を上げることで資産を増やす方法です。
この記事では、iDeCoと不動産投資を組み合わせることで、資産を効果的に増やし、将来の資産目標である5,000万円を目指す方法について探っていきます。両者の組み合わせによる分散投資のメリットやリスク、始め方などを解説し、賢い資産運用を目指す方々の参考になることでしょう。将来に向けた安心な資産形成を考える上で、iDeCoと不動産投資の可能性を一緒に見ていきましょう。
iDeCoの概要をおさらい
iDeCoは老後に向けた資産形成の手段で、2017年に制度が改正され、原則60歳未満の現役世代の人が加入できるようになりました。特に、以下のような方がiDeCoを利用しています。
- 会社員:
iDeCoは会社の給与から毎月掛金を拠出することができるため、会社員にとって手軽な年金対策といえます。年末調整で控除を受けることができるため、税制優遇を活用しやすい点も魅力です。 - フリーランスや個人事業主:
自営業の方もiDeCoを利用して年金対策を行っています。確定申告を通じて控除を受けることができ、収入に応じて適切な掛金を選ぶことができます。
iDeCoのメリットは投資優遇制度であり、非課税の恩恵が大きい点です。例えば投資信託で利益が出た場合、通常は20.315%の税金がかかりますが、iDeCoで運用すると売却益や分配益が非課税になります。このような特性から、幅広い年齢層や職業の方がiDeCoを取り入れています。
iDeCoを始める方法ですが、まずはiDeCoを取り扱っている金融機関に口座を開設する必要があります。iDeCoは証券会社や銀行、信託銀行などで加入できます。口座開設後、掛金の拠出額を設定します。掛金は毎月最低5,000円から始めることができますが、職業によっては掛金上限額が決まっていることもあるので注意が必要です。
掛金の拠出は給与天引きで行うこともできますし、個人で振込や口座引落しを利用することも可能です。毎月の拠出が面倒な場合は一括で拠出する方法もありますが、その際には年間拠出限度額に注意してください。
iDeCoは確定拠出型の年金制度であり、将来の年金収入を増やすために活用される一方で、長期的な視野とリスク管理が求められる制度です。自身の目標やライフスタイルに合わせて適切な運用を行い、安定した老後生活を送るために活用することが重要です。
不動産投資の概要をおさらい
不動産投資は、投資家が賃貸物件を購入して収益を得るという資産運用の方法です。賃貸物件には、以下のような種類があります。
- 一戸建て
- アパート
- 区分マンション
- 一棟マンション
- その他(店舗、オフィスビルなど)
前出のiDeCoは、幅広い層に利用されている資産運用の仕組みです。一方で不動産投資は、すべての層に向いている資産運用の手段ではありません。例えば、不動産投資と相性が良いのは以下のような方です。
- 安定収入のある会社員や公務員
- パワーカップル(高収入の共働きのご夫婦)
- 富裕層
- 地主
不動産投資を始めるための賃貸物件を購入できる人は、豊富な現預金を用意できるか、ローンを組む場合は審査に通るための属性(職業・年収・資産など)が良いかのいずれかです。そのため、不動産投資が始められる人は限られます。
なお、不動産投資には以下の2種類の利益(所得)があります。
- インカムゲイン:毎月入ってくる家賃収入をベースとした利益
- キャピタルゲイン:購入価格と売却価格の差で生まれる利益
国内の不動産投資では、インカムゲインを重視するのが一般的です。
iDeCo・不動産投資を徹底比較
次に、iDeCoと不動産投資の違いを確認してみましょう。両者の違いをまとめると、以下のようになります。
○=対策になる、効果がある
×=対策にならない、効果がない
△=ケースバイケース
iDeCo | 不動産投資 | |
---|---|---|
年金対策 | 〇 | 〇 |
インフレ対策 | × | 〇 |
節税効果 | 〇 | 〇 |
保険効果 | × | 〇 |
下落相場対策 | 〇 | 〇 |
再現性 | 〇 | △ |
管理のしやすさ | 〇 | △ |
上記の表を見るとわかるように、iDeCoと不動産投資はさまざまな面でメリットのある、バランスの良い資産運用の手段です。また、iDeCoと不動産投資は弱点が違うため、両者を組み合わせることでお互いを補完でき、長期的に安定した資産運用を行いやすくなります。
iDeCoと不動産投資の違いについて、詳しく見ていきましょう。
年金対策
・iDeCoは年金対策になる。
iDeCoは確定拠出年金制度であり、自由に拠出金額を設定できます。所得税と住民税の控除対象となるため、拠出した金額に対して税金の還付を受けることができます。また、運用成果により将来の受給額が決まるため、長期的な運用を行うことで資産を形成できます。特に高額な拠出を行う場合や税金負担を軽減したい方にとって、効果的な年金対策といえます。
・不動産投資は年金対策になる。
不動産投資は、不動産を購入して収益を得ることで資産を増やす方法です。賃貸収入を得ることができるため、老後の収入の一部として考えることもできます。購入した不動産の価値が上昇すれば、資産の総額も増加します。不動産投資により安定した収益を得ることで、将来の収入源を確保できるため、年金対策として有効です。
ただし、両者には異なるリスクや特性があります。iDeCoは金融商品に投資するため、市場の変動リスクがあります。不動産投資は、不動産市場の変動や空室リスクを考慮しなければなりません。また、iDeCoは確定拠出型のため拠出金額が変動することはありませんが、不動産投資は購入価格や運用によって収益が変わります。
インフレ対策
・iDeCoはインフレ対策にはならない。
iDeCoは確定拠出年金制度であり、毎月一定の金額を拠出して運用されますが、運用商品は主に金融商品(株式、債券、投資信託など)です。インフレが進行すると物価が上昇するため消費力が低下し、運用成果が相対的に減少する可能性があります。そのため、インフレ対策としては不十分といえます。
・不動産投資はインフレ対策になる。
不動産投資は、不動産を購入して収益を得ることで資産を増やす方法です。インフレが進行すると物価が上昇するため、賃料収入が増加する可能性があります。賃料の上昇により、収益がインフレに追従することが期待できます。物価が上昇すると、不動産自体もその価値が上昇する傾向があります。そのため、不動産投資はインフレ対策として有効とされています。
ただし、不動産投資にもリスクがあります。物件の選定や地域の動向、入居率の変動などが収益に影響を及ぼすことがあります。そのため、適切な物件の選定やリスク管理が必要です。
節税効果
・iDeCoは節税効果がある。
iDeCoは確定拠出年金制度であり、毎月一定の金額を拠出して運用されますが、運用商品は主に金融商品(株式、債券、投資信託など)です。iDeCoの特性上、拠出した金額が所得税と住民税の控除対象となります。その結果、年末調整時に還付されることで税負担を軽減できます。特に高額な拠出を行う場合や高所得者にとっては、効果的な節税手段といえるでしょう。
・不動産投資は節税効果がある。
不動産投資には、さまざまな節税手段があります。例えば、不動産の取得に際しては、減価償却による経費控除が可能です。また、不動産の売却に際しても、特別控除や長期保有による税率軽減などの税制優遇があります。さらに、不動産所得に対しては控除や特例が適用されることがあります。これらの税制措置により、不動産投資家は収益を最大化し、税金負担を軽減することができます。
保険効果
・iDeCoに保険効果はない。
iDeCoは投資型の確定拠出年金制度ですが、保険のようにリスクを完全にカバーする機能はありません。運用成果によって将来の受給額が決まるため、市場の変動によって受給額が変動する可能性があります。また、投資運用に伴うリスクも存在し、運用商品の価値が下落すれば、受給額に影響を及ぼす可能性もあります。
・不動産投資は保険効果がある。ただしローンで購入した場合のみ。
投資家がローンを組む際に加入する団体信用生命保険(団信)によって、万が一の事態に備えられます。団信は死亡や高度障害状態、余命6ヵ月以内と診断された場合などに、ローンの残債分の保険金を受け取ることができます。また、一部の団信にはがんや入院に対する保障もあります。投資家が亡くなった場合でも不動産が残るため、家族は家賃収入を受け取ることができます。
下落相場対策
・iDeCoは下落相場対策がしやすい。
iDeCoは確定拠出年金制度であり、株式や債券、投資信託などで運用されます。株式市場が下落した場合は、リスクの低い債券などに資産をシフトすることで、損失を抑えることができます。iDeCoの運用は長期的に行うのが一般的であり、リスクを分散して運用することが可能です。そのため、下落相場に対して比較的柔軟に対応できるといえます。
・不動産投資は下落相場対策がしやすい。
不動産投資は不動産を購入して収益を得る方法であり、金融市場の変動の直接的な影響を受けません。株式市場のように急激な変動が起こることが少ないため、下落相場でも比較的安定した運用ができます。また、不動産投資は長期的な視点で運用されることが多く、市場の一時的な変動に左右されにくいという特性があります。そのため、下落相場においても安定した収益を確保しやすいとされています。
再現性
・iDeCoは再現性が高い。
iDeCoは確定拠出年金制度であり、個人が毎月一定の金額を自ら拠出して運用する仕組みです。運用商品は主に金融商品(株式、債券、投資信託など)であり、その相場によって運用成果が決まります。金融市場は公開されており、一般的な投資家であれば同じ金融商品を選択し、同じタイミングで運用を行うことができます。そのため、iDeCoの運用成果は再現性が高く、同じ条件で運用を行えば類似の成果が期待できます。
・不動産投資は再現性に乏しい。
不動産投資は不動産を購入して収益を得る方法であり、物理的な資産を所有することになります。不動産の収益や価値は、物件の種類や立地、購入価格、市場の状況などによって大きく変わります。同じ条件で同じ物件を購入することはできない、不動産投資の再現性は限られます。また、不動産の相場は地域によって異なるため、同じ条件で別の地域に投資する場合にも再現性は低くなります。
管理のしやすさ
・iDeCoは管理のしやすさに優れている。
iDeCoは確定拠出年金制度であり、個人が自分自身の拠出金額を設定し、毎月自動的に拠出が行われる仕組みです。また、運用は専門の運用会社に委託されており、個人が積極的に運用を行う必要はありません。自動拠出と委託運用により、手間をかけずに資産形成ができる点が管理のしやすさにつながっています。
・不動産投資は管理の負担がある。
不動産投資は不動産を所有して運用することから、物件や入居者の管理が必要です。これらの管理には手間と時間がかかりますが、業務を管理会社にアウトソースすれば、投資家の負担はほとんどありません。
目標資産5,000万円を目指すならiDeCoと不動産投資がおすすめ
将来豊かな生活を送るためには、資産形成が欠かせません。特に目標として持つ人も多い「5,000万円の資産形成」を目指す人は少なくありませんが、そのためには賢い選択と効果的な投資が求められます。この記事では、資産5,000万円を目指す際におすすめの方法として、iDeCo(個人型確定拠出年金)と不動産投資を比較します。
将来に向けて着実な資産形成を目指す皆さんの参考になるよう、iDeCoと不動産投資を組み合わせて資産5,000万円を実現する方法について、詳しく解説します。
なぜiDeCoと不動産投資の組み合わせがおすすめなのか
iDeCoと不動産投資の組み合わせをおすすめする理由は、2つあります。
1つ目の理由は、iDeCoと不動産投資は特性が違うからです。冒頭の「iDeCoと不動産投資比較表」のところでお伝えしたように、両者は強みと弱点が異なります。そのため、これらを組み合わせることでお互いの弱点が補強され、安定的な運用がしやすくなるのです。
2つ目の理由は、iDeCoと不動産投資の両方でリターンを得ることで、資産形成のスピードを早められる可能性があるからです。例えば、iDeCoと不動産投資どちらか一方では目標達成までに30年間かかるけれど、両者を組み合わせることで目標を20年で達成できるかもしれません。
iDeCoと不動産投資の組み合わせで5,000万円を実現するための前提条件
「iDeCoと不動産投資を組み合わせる」といっても、さまざまなパターンが考えられます。ここでは、3つのパターンをシミュレーションしてみましょう。3つのシミュレーションに共通する前提条件は、以下のとおりです。
・目標金額:5,000万円
・資産運用の期間:iDeCo30年間、不動産投資35年間
・iDeCoで30年後に得られる資産:約1,900万円(元金+運用益)
※設定条件:会社員35歳、積立期間30年、企業年金なし、毎月の掛金2万3,000円、利回り5%
5,000万円のうち、約1,900万円がiDeCoで用意できるということは、残り3,100万円を不動産投資で形成すればよいということになります。ここでは、以下の3種類の不動産投資をシミュレーションしてみます。
➀中古アパート
②中古一棟マンション
③新築区分マンション
iDeCoと不動産投資を組み合わせた資産形成のシミュレーション①中古アパート
中古アパートで不動産投資を行った場合、35年後の累計キャッシュフロー(手元に残る現金)は3,749万円です。具体的な条件は以下のとおりです。
▽不動産投資の詳しい内容
購入物件:アパート2棟(築9年)
物件価格:7,000万円
表面利回り:10.01%
自己資金:1,400万円、金利2%、ローン期間13年、入居率90%、家賃下落率1%
年間収入:701万円、年間経費:147万円(ローン返済額537万円/年は別)
※大規模修繕は購入から12年後に想定(435万円)
iDeCoと不動産投資を組み合わせて資産5,000万円を達成するための金額である3,100万円を大きく上回るキャッシュフローがあるので、想定以上の空室や家賃下落率があっても目標を達成しやすいと考えられます。
iDeCoと不動産投資を組み合わせた資産形成のシミュレーション②中古一棟マンション
中古一棟マンションで不動産投資を行った場合、35年後の累計キャッシュフロー(手元に残る現金)は約2,900万円です。具体的な条件は以下のとおりです。
▽不動産投資の詳しい内容
購入物件:一棟マンション(築33年)
表面(想定)利回り:8.3%
物件価格:9,200万円
自己資金:1,840万円、金利2%、ローン期間35年、入居率90%、家賃下落率0.5%
年間収入:763万円、年間経費:171万円(ローン返済額319万円/年は別)
※大規模修繕は購入から12年後に想定(161万円)
iDeCoと不動産投資を組み合わせて資産5,000万円を達成するための金額である3,100万円に200万円足りませんので、お部屋のリフォームなどを行うなど家賃収入を高める努力をする必要があります。
iDeCoと不動産投資を組み合わせた資産形成のシミュレーション③新築区分マンション
新築区分マンションの場合、iDeCoと不動産投資を組み合わせて資産5,000万円(必要額3,100万円)を達成するには、アパートや一棟マンションと違う切り口で行う必要があります。
不動産投資ローンで区分マンションを購入した場合、ローン返済中はまとまった利益が出ないのが一般的です。毎月の収支(家賃収入-経費・税金)はおおむね0円、もしくは少しマイナスになるケースが多いです。そのため、ローン完済後のインカムゲイン(家賃収入)またはキャピタルゲイン(売却差益)でリターンを得ることになります。
仮に、2,500万円の新築区分マンションを3室購入(総額7,500万円)し、30〜35年後に購入価格の45%で売却すると、3,375万円の現金を得られます。新築マンションを30年後に売却すると、価格は新築時の30%程度になるといわれていますが、好立地や持続的なインフレなどの要因で売却価格の押し上げが可能と考えられます。
iDeCoは不動産投資の補助的役割で運用するのがおすすめ
先にご紹介したシミュレーションのように、iDeCoと不動産投資の組み合わせによって、さまざまなパターンで資産5,000万円を達成することができます。成功のポイントは不動産投資を主体にして、iDeCoを補助的役割で運用することです。
iDeCoを補助的役割で運用したほうがよい理由は、「毎月の掛金に上限があるから」です。企業年金のない会社にお勤めの会社員であれば、毎月2万3,000円が上限です。この上限があるため、iDeCoでの資産運用の金額は限られます。
一方、不動産投資の運用金額に上限はありません。iDeCoで足りない分を自由に運用することができます。今回のシミュレーションで示したとおり、iDeCoで足りない分の金額を明確にし(今回の例では3,100万円)、それをまかなうための計画を立てることが大切です。
iDeCoのポートフォリオにおける注意点
iDeCoのポートフォリオには注意が必要です。資産運用の際に留意すべきポイントを理解することで、より効果的な資産形成が可能になります。ここでは、iDeCoのポートフォリオにおける注意点を簡潔に解説します。
商品選びは実質利回りを重視する
資産形成で目標を達成するには「運用利回り」が重要です。運用利回りとは、投資商品の運用効率の指標のことです。運用利回りの目標を決めることでシミュレーションがしやすくなり、iDeCoで毎月どれくらい積み立てればよいのか、運用年数がどれくらいかかるかなどが明確になります。
さらに「実質利回り」を意識することで、緻密な計画が立てやすくなります。iDeCoにおける実質利回りとは、手数料・信託報酬・税金などを反映した利回りのことです。これを意識することで、最終的に手元に残るお金を把握できます。
資産配分を定期的に見直す
iDeCoのポートフォリオでは、株式や債券などの異なる資産クラスを組み合わせて運用します。資産配分は、リスクとリターンのバランスを考慮して行わなければなりません。市場環境や経済の変化により、資産クラスの相対的なパフォーマンスが変動することがあります。そのため、定期的に資産配分を見直し、目標に合ったバランスを保つことが重要です。
以上の理由から、iDeCoのポートフォリオは定期的に資産配分を見直さなければなりません。 iDeCoを見直す際は、現時点のパフォーマンスが良くても悪くても、以下の3つを心がけることが大切です。
- 分散投資
- 長期投資
- 継続投資
iDeCoはあくまでも「分散投資」と「長期投資」を続けることで、大きな成果を上げる仕組みです。くれぐれも「短期集中投資で損を取り返す」といった発想にならないように気をつけましょう。
ハイリターン商品はハイリスクでもあることを理解する
iDeCoの金融商品は、大きく以下の2つに分かれます。
元本が確保された商品:定期預金 など
元本が確保されない商品:投資信託 など
元本が確保されない投資信託は、投資先によってリスクとリターンが変わります。
通常、ハイリターンをもたらす商品にはハイリスクが伴います。iDeCoで選ぶ商品の中にはハイリターンを期待できるものもありますが、相応のリスクを負う必要があります。リスクを取る場合は、自身のリスク許容度や投資目的をよく理解した上で選択することが大切です。iDeCoと不動産投資を組み合わせて資産5,000万円の達成を目指すなら、ローリスク・ローリターンで運用することをおすすめします。
不動産投資の注意点
一般的に、不動産投資はミドルリスク・ミドルリターン(またはローリスク・ローリターン)の資産運用といわれています。とはいえ、他の資産運用の手段と同じようにリスクがあります。ここでは、不動産投資のリスクの中で代表的な「空室リスク」と「流動性リスク」について解説します。
空室リスク:空室が続くと毎月の返済が厳しくなる
空室リスクは、不動産投資の中でも最大のリスクといわれています。なぜなら、空室が続いて家賃収入が入ってこなくなれば、賃貸経営そのものが成立しないからです。ローンを組んでいる場合は、貯蓄や他の収入(給料や本業の収入)を毎月の返済に充てることになります。空室期間が長期化すれば、破綻するケースもあるでしょう。
逆に、空室が発生しにくい物件で不動産投資を行えばリスクが低くなり、経営が安定しやすくなるともいえます。例えば、以下のような物件を選択することで空室リスクを軽減できます。
- 人気エリアの物件(例:都心、一等地、高級住宅街)
- 好立地の物件(例:利便性の高い駅の近く、複数路線が利用可)
- 新築または築浅の物件 など
流動性リスク:株式などよりも売却しにくい
不動産は、株式など他の投資商品に比べて流動性が低い(売却しにくい)といわれています。 例えば「手元の資金が足りない」「空室リスクをカバーできない」などの理由で、賃貸物件を「今すぐに売りたい」ということもあるでしょう。しかし、賃貸物件を現金化するまでに要する期間は短くても数ヵ月、長いと半年以上になることもあります。
こういった不動産投資の特性を考えると、少しでも現金化しやすいタイプの賃貸物件を購入するのがベターです。例として、以下のようなものが挙げられます。
- 区分マンション:一棟物件よりも価格が安いため流動性は高い
- 新築または築浅のマンション:耐用年数が残っているため、(次の買い手が)融資を受けやすい
- 法令上問題のない物件:建ぺい率や容積率に問題があると融資を受けにくい
不動産投資のリスクについて詳しく知りたい人は、当サイト内の下記の記事をご覧ください。
【おすすめ関連記事】 不動産投資における10つのリスクと失敗しないための対策を解説
不動産投資やiDeCoなどの資産形成を考える際には、投資に伴う注意点を理解しておくことが重要です。特に、借入金額には上限があり、年収に対する借入額の倍率が金融機関によって定められている点に留意しましょう。
多くの場合、不動産投資を行う際はローンを活用します。しかし、金融機関は借入金額の上限を設定しており、基本的にそれを超える融資は受けられません。そのため、借入を計画する際には金融機関の制限を把握しておく必要があります。
また、金融機関は個人の年収に対する借入額の倍率や返済能力を考慮して融資を行います。これにより、過度な借入を防止し、個人の経済的負担を軽減することができます。したがって、自身の年収や返済能力を踏まえて、借入額を慎重に決めることが大切です。
投資においては、資産の形成を目指す一方で、借入金額の管理にも注意を払うことが大切です。過度な借入は、将来の返済に影響を及ぼす可能性があります。リスクを適切に評価し、計画的な資産運用を行うことで、将来の安定した収入や資産形成を実現することができるでしょう。 不動産投資と借入金に関する詳細記事は、以下のリンクからご覧ください。
【おすすめ関連記事】不動産投資ローンとは・審査基準や住宅ローンとの違いを解説
まとめ
今回はiDeCoと不動産投資の概要、それぞれの特徴、分散投資で資産5,000万円を目指す方法について紹介しました。投資の基本は長期投資、分散投資と言われています。iDeCoと不動産投資はまさにその投資の基本に沿った長期投資であり、現物資産である不動産をポートフォリオに組み込むことができるリスクヘッジの利いた組み合わせです。今回紹介したシミュレーションはあくまでも一例でそれぞれの方の生活状況によって、詳細は異なってきます。
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この記事を書いた人
ベルテックスコラム事務局
不動産コンサルタント・税理士
不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。