2024.02.29

資産運用

ベルテックスコラム事務局

老後資金の準備は20代から!早いうちからの計画・運用がおすすめ

  • 老後資金
  • 投資の種類・方法
  • 資産形成
  • 年代別

日本では2022年4月より、学習指導要領の改正で高校の家庭科授業に「資産形成」のカリキュラムが導入されることになりました。カリキュラムでは株式や投資信託などの金融商品、また保険商品、収支のバランスを取る大切さなど、大人でも聞きたい内容が多く含まれています。これらをしっかりと学び、20代のうちから計画的に資産運用を行うことで、100年時代と言われる人生を色鮮やかにし、豊かな暮らしを手に入れることができます。

本記事では、必要な老後資金や20代のうちから備えるためにおすすめの貯め方など、老後に抱く不安を解決できるような内容を取りまとめました。

20代から老後資金の準備が必要

お伝えした通り、高校という教育の場で資産形成を学べるようになったのは2022年からで、それ以前の世代は、老後資金に関して自分自身で学んでいかなくてはいけませんでした。
最近ではSNSの普及により、InstagramやX(旧Twitter)などで先陣を切ってスタートしている方からの情報を得ることが多くあるようです。
また、芸能人や著名人による動画サイトでの発信や書籍出版も相次いでおり、国全体として低かった金融リテラシーが向上傾向にあることが伺えます。

これらの情報によると、20代の若いうちから長期スパンで資産形成をすることでリスクを抑えながら、老後に向けた大きな資産を築いていくことができると言います。

年金だけでは老後の資金は足りない

現時点で20歳以上の方は、資産形成について教育を受けていないので、まずは老後の現状について知ることから始めましょう。

従来の日本では還暦を迎える60歳が定年とされていましたが、2013年の「高齢者雇用安定法」改定で、定年延長の移行期間が2025年に設定されました。
そして、2025年4月より国内のすべての企業において65歳定年制が義務化される予定です。

また、厚生労働省の「簡易生命表(令和3年)」では、日本人の平均寿命が男性81.47歳、女性87.57歳であることが分かり、過去最高を更新しています。
日本の寿命は今後さらに伸び続けると推移されており、人生後半戦の老後が長くなることが予測されるでしょう。
定年後は寿命通りにいくと20年間を生きていく試算になりますが、給与による収入が無くなった後に頼ることになるのが「年金」です。

生命保険文化センターが行った意識調査「生活保障に関する調査」では、生活費を公的年金でまかなえると考えているかという質問に対し、「まかなえると思う」は23.2%、「まかなえるとは思わない」は73.9%であると公表されました。

実際に日本年金機構における2023年1月末の統計では、国民一人当たりがもらえる厚生年金の平均受給額は14万4,890円、国民年金の平均受給額は5万5,384円です。

この受給額は、少子高齢化により今後さらに減額されると言われていますが、特に気になるのは、自営業者やフリーランスの受給額です。
厚生年金が受給できない自営業者やフリーランスは、単純に公的年金が毎月5万円程度しかもらえない計算になりますので、年金だけで生活するのはほぼ不可能でしょう。

ゆとりある老後を送るなら月37.9万円必要

では、老後を不自由なく生きていくためには一体いくら必要なのでしょうか。
総務省統計局のデータによると、2021年度における老後の必要な生活費は、夫婦二人で約26万円単身者で約15万円でした。
しかし、2022年10月6日、生命保険文化センターより発表された2022(令和4)年度「生活保障に関する調査」《速報版》よると、ゆとりある老後を送るためには、上記では足りず月額37万9,000円必要だと言うのです。

この差額に該当するのは、日常生活の充実、旅行やレジャー、趣味や付き合い、子や孫への資金援助などの項目で、充実した老後生活には欠かせない費用であると言えるでしょう。

しかし、実際には先述した厚生年金がプラスされても、会社員がもらえる年金はこの金額に満たないのです。
下記コラムでは、将来受け取れる年金について、パターン別のシミュレーションを交えて詳しく説明しておりますので、ぜひご覧ください。

20代が30年間で老後資金を貯めるためには?

20代で老後資金の備えを始めると、65歳の定年までに40年前後の期間を備蓄に費やすことができます。
結婚や出産などのライフイベントや、子供が中学生~大学生にかけて約10年間、教育費の支出が増加することを見越したとしても、30年間程度は時間を費やすことが可能です。

60代になっても貯蓄額は実はそこまで無いのが現実

実際のところ、現代の60代はどれほどの貯蓄をしているのでしょうか。
厚生労働省の「2019年 国民生活基礎調査」では、60~69歳世帯の平均貯蓄額は1,461万7,000円でした。
2019年に話題になった老後2,000万円問題では、老後までに2,000万円の貯蓄が必要とされていますが、この結果を見ると、意外にも現代の60代はそこまでの蓄えはありません。
この世代には資産運用が今ほどメジャーではなく、SNSによる情報収集ツールが普及していなかったことや、老後問題について今日ほどまでに取り上げられていなかったことも要因でしょう。

それに対して、世帯主が29歳以下の世帯あたりの平均貯蓄額は179万8,000円であることも分かりました。現役時代、特に若いうちからの資産形成が非常に重要であると言えるでしょう。

3,000万円貯めるなら毎月いくらの預金が必要か

老後2,000万円が掲げられた2019年から現在2023年にかけては、日本を見ても世界を見ても、大きく情勢が変わりました。

インフレによる物価上昇、増税、その他の冠婚葬祭費、検討されている扶養制度の撤廃など、国民の負担は増していくばかりで、今後の老後資金は余裕をみて3,000万円必要である、とも言われています。

もし、30年間かけて2,000万円を貯める場合は毎月約5.5万円の預金が必要ですが、これが3,000万円となると毎月約8.3万円、年間で約100万円を預金に回さなくてはなりません。

「国民生活基礎調査」(2019年)の世帯当たりの平均所得金額中央値は437万円なので、毎月8.3万円の貯蓄はとても非現実的で無謀な金額であることが分かります。

国税庁が「民間給与の実態調査」の結果を公表していますが、日本の所得は1990年代よりも低く、残念ながらこの先も会社員の年収が増えにくいと思われます。
給与所得だけで老後に向けた備蓄をしていくのは、一部の高所得者を除いて難しく、頼るべきは投資による資産運用です。
私たちは今後を生きるために投資による運用法を積極的に学ぶ必要があり、その術を身につけていくことが不可欠になります。

効率的に資産運用をすれば目標金額は達成可能

では、20代から目標金額を達成するまで、毎月どれだけの金額を投資に回せばよいのでしょうか。
上記と同じように、実際に逆算をしてシミュレーションしてみると、頭の中が整理されます。
例えば、毎月2.5万円を年利3%で運用すると、30年間で1,456万8,422円になります。 利率を考慮せず毎月2.5万円を30年間に渡り積立貯金をすると、900万円にしかなりませんので、その差は歴然です。
しかし、必要とされている2,000万円には少し満たないので、利率を重視しなくてはなりません。 同じく毎月2.5万円を年利5%に変更してみると、30年間で2,080万6,466円になりました。

2,000万円に到達するばかりか、普通に積立貯金をした場合と比較して1,000万円以上の差が生じ、同じ資産運用でも効率的に行うことがいかに大切か分かるでしょう。

上記の資産運用シミュレーションは、金融庁のホームページで簡単に試算できます。 ぜひ活用してみて下さい。

【参照元】金融庁「資産運用シミュレーション」より

20代におすすめの老後資金の貯め方とは

投資にはいくつかの種類がありますが、運用方法次第では定年よりも前に早期リタイアも可能です。
実際に歴の長い投資家たちは、増えた資産をさらに運用し、雪だるま式に資産を増加させていく手法で利益を上げています。
この章では、20代が始めるのにおすすめのファースト投資についてご紹介します。

始めやすい投資の種類

世帯あたりの平均貯蓄額でも明らかになったように、20代は貯蓄額が少ないのが現状です。
投資は3ヶ月程度の生活資金を準備した状態でのスタートが望ましく、生活資金を準備できても20代は所得自体が少ないので、いきなり大きな利益は狙おうとせず、少額スタートすることがおすすめです。

・投資信託(iDeCo、NISA)
投資信託は、複数の投資家から拠出された資金をまとめ、プロによる管理および運用で利益を生み出します。投資に関する知識が無くて不安な方でも、スタートしやすい商品です。
投資信託の中でもiDeCoやNISAは、国として節税制度に取り組んでおり、所得控除や運用益が非課税になるなど利用するメリットが多く、若いうちからの積み立てで大きな資産を築くことができます。
NISAは2024年から大規模な制度改正が行われる予定で、今後さらに使いやすくなることが予想されますので、多方面から注目が集まっています。

・外貨預金
外貨預金は、「自国の通貨でない外貨で預金をすること」を意味します。
金融機関で外国の通貨を預金し、為替相場の変動で利益を狙う投資法の1つです。 選択する外貨によってその国の利息がつくため、預金利率が高い諸外国の外貨を持つことで円預金では得られない高いリターンを期待できます。
ただし、為替変動リスク、諸外国の経済事情や今後の予測も必要なので、大きな損失に繋がる可能性も十分にあります。
1つの通貨への投資は、高い利益を狙える一方で損失が膨らみやすいので、初心者や20代で投資に回せる余裕資金が少ない方は、複数の通貨へ分散投資することでリスクを抑えていきましょう。

・個別株(ミニ株)
ミニ株とは、株式市場での小口取引を利用可能とした、小額の株式投資です。
もともと単元株は、全国の証券取引所で「100株単位」の売買として統一されていたため、仮に1株あたり5千円でも結果的に50万円が必要でした。 従来「株式」や「株主」はお金持ちが保有する商品のイメージが強いのは、上記の縛りがあるためです。
ミニ株を取り扱う証券会社や銘柄は、現在でも限定的ではありますが、1~10株単位で数千円~数万円程度から取引が可能なので、株式投資をしたい方の登竜門的な存在となるでしょう。

・REIT
REITとは投資信託の不動産バージョンで、複数の投資家から拠出した資金でプロが管理・運用を行い、還元していくスタイルの投資法です。
不動産投資を行いたくても、多額の自己資金の準備とローンの借入へのハードルが高く、消極的になってしまう方が多く存在しています。 REITでは、そんな方でも数十万円程度でできる不動産投資として人気があります。
平均利回りは3~5%程度で、1室経営の相場と類似しており、プロによる運用なので専門知識が不要な点では気楽に始められそうです。

・不動産投資
自己資金の少ない20代におすすめの不動産投資は、区分所有マンションの賃貸経営です。
始める前には知識を得るために勉強が必要ですが、購入後の管理は専門会社へ委託する方がほとんどで、委託することで毎月の手間がほとんどありません。
入居者から家賃収入を得ることで不労所得になり、上手く運用できれば利益を再投資して物件を増やしていくことが可能です。 立地や価格など物件選びが9割と言われる不動産投資ですが、物件選びを成功すると毎月安定した利益を生み出します。

・不動産投資型クラウドファンディング
クラウドファンディングとは群衆と資金調達を組み合わせた造語で、小口投資である「不動産投資型クラウドファンディング」が近年人気を集め、広く普及しています。
不動産の開発などを行う起案者が、インターネットを介して投資家から多額の資金を集めることで、大規模な不動産の取得・運用を可能にします。
投資家はオフィスビルや店舗など投資をしたくても一人で行うのは難しく、クラウドファンディングによる大勢の力を寄せ集めることで、このような大規模な商品への投資が可能です。
ちなみにREITは譲渡所得・配当所得、現物不動産投資は不動産所得に該当しますが、不動産投資型クラウドファンディングは雑所得に分類されます。

・ロボアドバイザー
ロボアドバイザーとは、AIによるコンピュータプログラムを用いて資産運用を行う投資アドバイザーサービスです。
プラットフォームを用いた投資アドバイスを行うことが特徴で、人それぞれの投資目標やリスク許容度に応じた最適なポートフォリオを作成してくれます。 投資初心者や運用に時間をかけたくない方向けの投資法ですが、実際の運用にはリスクが伴うため100%信じるのは危険といった意見もみられます。
良く言えば統計的、悪く言えばロボット任せの投資法になるので、利用の際には自己判断で慎重に始めるようにしましょう。

初心者に向けた資産運用については、他の記事でも詳しく解説をしておりますので、こちらも併せてご覧ください。

ワンルームマンション経営は家族が出来ても安心

20代は老後までに十分な時間が確保できるため、将来に向けて資産を築くには多くの選択肢があります。
しかし、実際には結婚や出産など自分の未来が不確定で、投資による金銭的な縛りを負担に感じてしまう方もいるかもしれません。
そんな方におすすめしたいのが、入居者の家賃収入でローン返済を行うことができる、ワンルームマンション経営です。

株式などの先物取引は予測不能な市場の悪化によって、回復の目途が立たないと損失が拡大してしまいますが、現物不動産は市場の影響を受けづらく資産として強みがあります。
現に昨今のインフレによって、家賃の値上げに成功している例も多く見られます。

また、ローンを利用する際、団体信用生命保険に加入することで、自分に何かあったとしても残された家族に大きな資産を遺すことが可能です。

知識が乏しい初心者にとって投資や年金、税金に関する話は、なかなか重い腰が上がらないことでしょう。
しかし、若いうちから積極的に行動した方は、生活に不自由のない老後の「勝ち組」になることができます。何も対策をせずに老後を迎えてしまうと、食事すらままならない貧困生活を送ることになってしまうかもしれません。

まとめ

今回は、20代から老後資金の準備を始める重要性を説明しました。今の20代は老後の年金がいくらもらえるか分からない状況で国だけに頼るのではなく、自分で老後資金の準備をする必要があります。この記事では20代におすすめの投資についても紹介しました。今回紹介した投資は比較的初心者でも取り組みやすいものですが、投資ですのでリスクが伴うことは頭に入れておく必要があります。リスクを理解した上でまずは小額でも構わないので、老後資金の準備のための一歩を踏み出していただければと思います。

ベルテックスでは不動産投資やその他の資産運用にまつわる資産形成セミナーを開催しています。ご自宅からオンラインでご参加いただけますので、より詳しく話を聞いてみたい方はぜひお気軽にお問い合わせください。

この記事を書いた人

ベルテックスコラム事務局

不動産コンサルタント・税理士

不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。

2024.02.29

資産運用

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老後資金の準備は20代から!早いうちからの計画・運用がおすすめ

  • 老後資金
  • 投資の種類・方法
  • 資産形成
  • 年代別

日本では2022年4月より、学習指導要領の改正で高校の家庭科授業に「資産形成」のカリキュラムが導入されることになりました。カリキュラムでは株式や投資信託などの金融商品、また保険商品、収支のバランスを取る大切さなど、大人でも聞きたい内容が多く含まれています。これらをしっかりと学び、20代のうちから計画的に資産運用を行うことで、100年時代と言われる人生を色鮮やかにし、豊かな暮らしを手に入れることができます。

本記事では、必要な老後資金や20代のうちから備えるためにおすすめの貯め方など、老後に抱く不安を解決できるような内容を取りまとめました。

20代から老後資金の準備が必要

お伝えした通り、高校という教育の場で資産形成を学べるようになったのは2022年からで、それ以前の世代は、老後資金に関して自分自身で学んでいかなくてはいけませんでした。
最近ではSNSの普及により、InstagramやX(旧Twitter)などで先陣を切ってスタートしている方からの情報を得ることが多くあるようです。
また、芸能人や著名人による動画サイトでの発信や書籍出版も相次いでおり、国全体として低かった金融リテラシーが向上傾向にあることが伺えます。

これらの情報によると、20代の若いうちから長期スパンで資産形成をすることでリスクを抑えながら、老後に向けた大きな資産を築いていくことができると言います。

年金だけでは老後の資金は足りない

現時点で20歳以上の方は、資産形成について教育を受けていないので、まずは老後の現状について知ることから始めましょう。

従来の日本では還暦を迎える60歳が定年とされていましたが、2013年の「高齢者雇用安定法」改定で、定年延長の移行期間が2025年に設定されました。
そして、2025年4月より国内のすべての企業において65歳定年制が義務化される予定です。

また、厚生労働省の「簡易生命表(令和3年)」では、日本人の平均寿命が男性81.47歳、女性87.57歳であることが分かり、過去最高を更新しています。
日本の寿命は今後さらに伸び続けると推移されており、人生後半戦の老後が長くなることが予測されるでしょう。
定年後は寿命通りにいくと20年間を生きていく試算になりますが、給与による収入が無くなった後に頼ることになるのが「年金」です。

生命保険文化センターが行った意識調査「生活保障に関する調査」では、生活費を公的年金でまかなえると考えているかという質問に対し、「まかなえると思う」は23.2%、「まかなえるとは思わない」は73.9%であると公表されました。

実際に日本年金機構における2023年1月末の統計では、国民一人当たりがもらえる厚生年金の平均受給額は14万4,890円、国民年金の平均受給額は5万5,384円です。

この受給額は、少子高齢化により今後さらに減額されると言われていますが、特に気になるのは、自営業者やフリーランスの受給額です。
厚生年金が受給できない自営業者やフリーランスは、単純に公的年金が毎月5万円程度しかもらえない計算になりますので、年金だけで生活するのはほぼ不可能でしょう。

ゆとりある老後を送るなら月37.9万円必要

では、老後を不自由なく生きていくためには一体いくら必要なのでしょうか。
総務省統計局のデータによると、2021年度における老後の必要な生活費は、夫婦二人で約26万円単身者で約15万円でした。
しかし、2022年10月6日、生命保険文化センターより発表された2022(令和4)年度「生活保障に関する調査」《速報版》よると、ゆとりある老後を送るためには、上記では足りず月額37万9,000円必要だと言うのです。

この差額に該当するのは、日常生活の充実、旅行やレジャー、趣味や付き合い、子や孫への資金援助などの項目で、充実した老後生活には欠かせない費用であると言えるでしょう。

しかし、実際には先述した厚生年金がプラスされても、会社員がもらえる年金はこの金額に満たないのです。
下記コラムでは、将来受け取れる年金について、パターン別のシミュレーションを交えて詳しく説明しておりますので、ぜひご覧ください。

20代が30年間で老後資金を貯めるためには?

20代で老後資金の備えを始めると、65歳の定年までに40年前後の期間を備蓄に費やすことができます。
結婚や出産などのライフイベントや、子供が中学生~大学生にかけて約10年間、教育費の支出が増加することを見越したとしても、30年間程度は時間を費やすことが可能です。

60代になっても貯蓄額は実はそこまで無いのが現実

実際のところ、現代の60代はどれほどの貯蓄をしているのでしょうか。
厚生労働省の「2019年 国民生活基礎調査」では、60~69歳世帯の平均貯蓄額は1,461万7,000円でした。
2019年に話題になった老後2,000万円問題では、老後までに2,000万円の貯蓄が必要とされていますが、この結果を見ると、意外にも現代の60代はそこまでの蓄えはありません。
この世代には資産運用が今ほどメジャーではなく、SNSによる情報収集ツールが普及していなかったことや、老後問題について今日ほどまでに取り上げられていなかったことも要因でしょう。

それに対して、世帯主が29歳以下の世帯あたりの平均貯蓄額は179万8,000円であることも分かりました。現役時代、特に若いうちからの資産形成が非常に重要であると言えるでしょう。

3,000万円貯めるなら毎月いくらの預金が必要か

老後2,000万円が掲げられた2019年から現在2023年にかけては、日本を見ても世界を見ても、大きく情勢が変わりました。

インフレによる物価上昇、増税、その他の冠婚葬祭費、検討されている扶養制度の撤廃など、国民の負担は増していくばかりで、今後の老後資金は余裕をみて3,000万円必要である、とも言われています。

もし、30年間かけて2,000万円を貯める場合は毎月約5.5万円の預金が必要ですが、これが3,000万円となると毎月約8.3万円、年間で約100万円を預金に回さなくてはなりません。

「国民生活基礎調査」(2019年)の世帯当たりの平均所得金額中央値は437万円なので、毎月8.3万円の貯蓄はとても非現実的で無謀な金額であることが分かります。

国税庁が「民間給与の実態調査」の結果を公表していますが、日本の所得は1990年代よりも低く、残念ながらこの先も会社員の年収が増えにくいと思われます。
給与所得だけで老後に向けた備蓄をしていくのは、一部の高所得者を除いて難しく、頼るべきは投資による資産運用です。
私たちは今後を生きるために投資による運用法を積極的に学ぶ必要があり、その術を身につけていくことが不可欠になります。

効率的に資産運用をすれば目標金額は達成可能

では、20代から目標金額を達成するまで、毎月どれだけの金額を投資に回せばよいのでしょうか。
上記と同じように、実際に逆算をしてシミュレーションしてみると、頭の中が整理されます。
例えば、毎月2.5万円を年利3%で運用すると、30年間で1,456万8,422円になります。 利率を考慮せず毎月2.5万円を30年間に渡り積立貯金をすると、900万円にしかなりませんので、その差は歴然です。
しかし、必要とされている2,000万円には少し満たないので、利率を重視しなくてはなりません。 同じく毎月2.5万円を年利5%に変更してみると、30年間で2,080万6,466円になりました。

2,000万円に到達するばかりか、普通に積立貯金をした場合と比較して1,000万円以上の差が生じ、同じ資産運用でも効率的に行うことがいかに大切か分かるでしょう。

上記の資産運用シミュレーションは、金融庁のホームページで簡単に試算できます。 ぜひ活用してみて下さい。

【参照元】金融庁「資産運用シミュレーション」より

20代におすすめの老後資金の貯め方とは

投資にはいくつかの種類がありますが、運用方法次第では定年よりも前に早期リタイアも可能です。
実際に歴の長い投資家たちは、増えた資産をさらに運用し、雪だるま式に資産を増加させていく手法で利益を上げています。
この章では、20代が始めるのにおすすめのファースト投資についてご紹介します。

始めやすい投資の種類

世帯あたりの平均貯蓄額でも明らかになったように、20代は貯蓄額が少ないのが現状です。
投資は3ヶ月程度の生活資金を準備した状態でのスタートが望ましく、生活資金を準備できても20代は所得自体が少ないので、いきなり大きな利益は狙おうとせず、少額スタートすることがおすすめです。

・投資信託(iDeCo、NISA)
投資信託は、複数の投資家から拠出された資金をまとめ、プロによる管理および運用で利益を生み出します。投資に関する知識が無くて不安な方でも、スタートしやすい商品です。
投資信託の中でもiDeCoやNISAは、国として節税制度に取り組んでおり、所得控除や運用益が非課税になるなど利用するメリットが多く、若いうちからの積み立てで大きな資産を築くことができます。
NISAは2024年から大規模な制度改正が行われる予定で、今後さらに使いやすくなることが予想されますので、多方面から注目が集まっています。

・外貨預金
外貨預金は、「自国の通貨でない外貨で預金をすること」を意味します。
金融機関で外国の通貨を預金し、為替相場の変動で利益を狙う投資法の1つです。 選択する外貨によってその国の利息がつくため、預金利率が高い諸外国の外貨を持つことで円預金では得られない高いリターンを期待できます。
ただし、為替変動リスク、諸外国の経済事情や今後の予測も必要なので、大きな損失に繋がる可能性も十分にあります。
1つの通貨への投資は、高い利益を狙える一方で損失が膨らみやすいので、初心者や20代で投資に回せる余裕資金が少ない方は、複数の通貨へ分散投資することでリスクを抑えていきましょう。

・個別株(ミニ株)
ミニ株とは、株式市場での小口取引を利用可能とした、小額の株式投資です。
もともと単元株は、全国の証券取引所で「100株単位」の売買として統一されていたため、仮に1株あたり5千円でも結果的に50万円が必要でした。 従来「株式」や「株主」はお金持ちが保有する商品のイメージが強いのは、上記の縛りがあるためです。
ミニ株を取り扱う証券会社や銘柄は、現在でも限定的ではありますが、1~10株単位で数千円~数万円程度から取引が可能なので、株式投資をしたい方の登竜門的な存在となるでしょう。

・REIT
REITとは投資信託の不動産バージョンで、複数の投資家から拠出した資金でプロが管理・運用を行い、還元していくスタイルの投資法です。
不動産投資を行いたくても、多額の自己資金の準備とローンの借入へのハードルが高く、消極的になってしまう方が多く存在しています。 REITでは、そんな方でも数十万円程度でできる不動産投資として人気があります。
平均利回りは3~5%程度で、1室経営の相場と類似しており、プロによる運用なので専門知識が不要な点では気楽に始められそうです。

・不動産投資
自己資金の少ない20代におすすめの不動産投資は、区分所有マンションの賃貸経営です。
始める前には知識を得るために勉強が必要ですが、購入後の管理は専門会社へ委託する方がほとんどで、委託することで毎月の手間がほとんどありません。
入居者から家賃収入を得ることで不労所得になり、上手く運用できれば利益を再投資して物件を増やしていくことが可能です。 立地や価格など物件選びが9割と言われる不動産投資ですが、物件選びを成功すると毎月安定した利益を生み出します。

・不動産投資型クラウドファンディング
クラウドファンディングとは群衆と資金調達を組み合わせた造語で、小口投資である「不動産投資型クラウドファンディング」が近年人気を集め、広く普及しています。
不動産の開発などを行う起案者が、インターネットを介して投資家から多額の資金を集めることで、大規模な不動産の取得・運用を可能にします。
投資家はオフィスビルや店舗など投資をしたくても一人で行うのは難しく、クラウドファンディングによる大勢の力を寄せ集めることで、このような大規模な商品への投資が可能です。
ちなみにREITは譲渡所得・配当所得、現物不動産投資は不動産所得に該当しますが、不動産投資型クラウドファンディングは雑所得に分類されます。

・ロボアドバイザー
ロボアドバイザーとは、AIによるコンピュータプログラムを用いて資産運用を行う投資アドバイザーサービスです。
プラットフォームを用いた投資アドバイスを行うことが特徴で、人それぞれの投資目標やリスク許容度に応じた最適なポートフォリオを作成してくれます。 投資初心者や運用に時間をかけたくない方向けの投資法ですが、実際の運用にはリスクが伴うため100%信じるのは危険といった意見もみられます。
良く言えば統計的、悪く言えばロボット任せの投資法になるので、利用の際には自己判断で慎重に始めるようにしましょう。

初心者に向けた資産運用については、他の記事でも詳しく解説をしておりますので、こちらも併せてご覧ください。

ワンルームマンション経営は家族が出来ても安心

20代は老後までに十分な時間が確保できるため、将来に向けて資産を築くには多くの選択肢があります。
しかし、実際には結婚や出産など自分の未来が不確定で、投資による金銭的な縛りを負担に感じてしまう方もいるかもしれません。
そんな方におすすめしたいのが、入居者の家賃収入でローン返済を行うことができる、ワンルームマンション経営です。

株式などの先物取引は予測不能な市場の悪化によって、回復の目途が立たないと損失が拡大してしまいますが、現物不動産は市場の影響を受けづらく資産として強みがあります。
現に昨今のインフレによって、家賃の値上げに成功している例も多く見られます。

また、ローンを利用する際、団体信用生命保険に加入することで、自分に何かあったとしても残された家族に大きな資産を遺すことが可能です。

知識が乏しい初心者にとって投資や年金、税金に関する話は、なかなか重い腰が上がらないことでしょう。
しかし、若いうちから積極的に行動した方は、生活に不自由のない老後の「勝ち組」になることができます。何も対策をせずに老後を迎えてしまうと、食事すらままならない貧困生活を送ることになってしまうかもしれません。

まとめ

今回は、20代から老後資金の準備を始める重要性を説明しました。今の20代は老後の年金がいくらもらえるか分からない状況で国だけに頼るのではなく、自分で老後資金の準備をする必要があります。この記事では20代におすすめの投資についても紹介しました。今回紹介した投資は比較的初心者でも取り組みやすいものですが、投資ですのでリスクが伴うことは頭に入れておく必要があります。リスクを理解した上でまずは小額でも構わないので、老後資金の準備のための一歩を踏み出していただければと思います。

ベルテックスでは不動産投資やその他の資産運用にまつわる資産形成セミナーを開催しています。ご自宅からオンラインでご参加いただけますので、より詳しく話を聞いてみたい方はぜひお気軽にお問い合わせください。

この記事を書いた人

ベルテックスコラム事務局

不動産コンサルタント・税理士

不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。