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2024.02.29
ベルテックスコラム事務局
インカムゲインとキャピタルゲイン 違いを分かりやすく解説
- はじめ方・基礎知識
資産形成のために投資の勉強を始めると、しばしば「インカムゲイン」と「キャピタルゲイン」という言葉を目にします。既に2つの言葉を知っている、あるいは聞いたことがある、という方は多いかもしれませんが、どちらも必ず押さえておきたい投資用語です。投資において、インカムゲインとキャピタルゲインどちらの手法をとるかによって、運用スタイルが大きく変わっていきます。
この記事では、インカムゲインとキャピタルゲインの概要や仕組み、また具体的な投資方法の違いについて、不動産投資の例を絡めながら、分かりやすく解説していきます。
インカムゲインとキャピタルゲインの概要
インカムゲインとキャピタルゲインとは、いずれも投資によって得られる「利益」のことを指します。
まずは、インカムゲインとキャピタルゲインについて、それぞれの仕組みとメリット・デメリットを明確にしていきましょう。 双方を一概に甲乙付けるのは難しく、人それぞれの投資の目的や状況によってバランスを見ながら、どちらの利益を狙った投資商品にするか決定していきます。
インカムゲインの仕組み
インカムゲインとは、株式や不動産などの資産を保有している間に継続して得られる利益のことです。 株式投資では利益が生じた際に株主へ分配される配当金、不動産投資では入居中に賃借人からオーナーへ支払われる家賃収入を指します。私たちにとって最も身近でイメージしやすいインカムゲインは、銀行預金で定期的に付与される「利息」でしょう。しかし、外国為替事情が関係する「外貨預金」はこの限りではありません。
インカムゲインの特徴は、キャピタルゲインと比較して長期的にリスク分散した投資法をとっており、「即時に大きな損失が出づらい」ことが挙げられます。
インカムゲインのメリットとデメリット
下記では、インカムゲインのメリットとデメリットについてお伝えします。
インカムゲインのメリット
インカムゲインのメリットは、資産を長期的に保有(運用)しながら定期的な収入が得られる安全性と安定性にあります。短期間で大きな利益獲得はあまり期待できませんが、その分リスクが少なく落ち着いた運用が可能です。
また、株の値動きなど価値変動を注視する時間的な拘束が少ないので、会社員などで本業が忙しくパソコンやスマートフォンに張り付いている時間がない、という方にも向いているでしょう。投資に関する専門的な知識が少ない人でも、長期で挑めば利益を得られやすいというメリットもあります。
インカムゲインのデメリット
インカムゲインの最大のデメリットは、上述の通り短期間で大きな利益獲得が難しい点です。
資産の保有中に配当金の分配が見込めるものの、貰える配当金は意外と少なく、1ヵ月分の生活費程度の配当金を得ようとすると、多くの場合1,000万円以上の大金をつぎ込んで運用する必要があります。
不動産投資で言えば、毎月の家賃収入の中からローン返済や修繕積立金、原状回復、設備交換などの経費をまかなっていくため、ローン返済中は家賃収入をなかなか自由に使えません。このように不動産投資は細かな経費も多く、管理を怠ると収益性が不透明になりやすいので、定期的に収支の管理・把握が必要です。
長期的視点で堅実さが必要なインカムゲイン投資で、投資未経験者が憧れるような「一攫千金」を狙うことは非現実的でしょう。
キャピタルゲインの仕組み
キャピタルゲインは簡単に言うと、買う時と売る時に生じる「売却益」のことです。
安値で株式を購入し、高値になったタイミングで売却することでキャピタルゲインが得られます。不動産投資でも同様の方法で、昨今の不動産価格の高騰によりキャピタルゲインを得る方は多くみられます。
株式投資における例を挙げると、1株1,000円で購入した場合、1,200円に値上がりしたタイミングで手放せば200円の利益が発生し、100株保有していた場合には2万円の利益を手にすることができます。価格変動を見計らって、単発的な取引を繰り返し行っていくのがキャピタルゲインの手法です。
キャピタルゲインのメリットとデメリット
次は、キャピタルゲインのメリットとデメリットを解説します。
キャピタルゲインのメリット
キャピタルゲインのメリットは、短期間で効率的に高い収益性をあげられる点です。為替や株価をこまめに確認しながら売買を重ねることで、コツコツと利益を上げていきます。
すぐに使う予定のないまとまった資金が手元にある方は、キャピタルゲインで大きな利益を狙っていけるでしょう。知識や経験が必要ですが、タイミングや銘柄次第で元本の何倍もの利益を生み出すため、成功すれば早期に大きな資産形成が可能です。
一握りではありますが、株式投資だけで生活している人も一定数いますので、夢のある魅力的な投資法とも言えます。
キャピタルゲインのデメリット
「ハイリスク・ハイリターン」の投資スタイルをとるキャピタルゲインは、高い利益率を見込める一方、損失額も大きくなりがちです。
インカムゲインと比較して元本割れの危険性が高く、「売り時」を見極めることが非常に重要です。ある程度の安全性を保ちながら投資をしたい人には不向きで、リスクと隣り合わせであるという認識を持っておく必要があります。株価暴落の被害を直で受けるため、損失を覚悟した上で投資に挑める人には向いています。
最近ではAIがリアルタイムで株価を見守り、投資戦略に沿って売却時をアラートしてくれる「AI株価見守りサービス」が存在しています。AIやプロが活躍する市場でもありますので、初心者には参入しにくい点もデメリットな要素でしょう。
キャピタルロスとは
キャピタルゲインと同時に、「キャピタルロス」の意味についても理解しておきましょう。 キャピタルロスとは、売却時に保有資産の価格が下落した際に発生する損失のことです。例えば、1万円で購入した株を8,000円で売却すると、2,000円のキャピタルロスが発生します。
不動産投資でのキャピタルロスは経年により建物の劣化が起こるため、株式投資のシンプルなキャピタルロスとは少々考え方が異なります。 不動産投資の場合は、下記の計算式で「譲渡所得」を算出して、利益を確認しましょう。
1,取得費 = 取得価格 + 取得に要した費用 + 取得後の改良費 – 建物の減価償却費
2,譲渡所得 = 譲渡価格 – ( 取得費 + 売却にかかる費用 ) – 特別控除
上記1、2の順に数値を当てはめ、最終的に「譲渡所得」が黒字(プラス)であればキャピタルゲインが発生しており、赤字(マイナス)であればキャピタルロスが生じていることになります。
現実的な話に置き換え、4,000万円で購入した投資物件で家賃収入におけるインカムゲインが毎年100万円あると仮定しましょう。この投資物件を15年保有したら、インカムゲインは1,500万円になります。キャピタルゲインを発生させるためには、4,000万円から1,500万円を引いた「2,500万円」以上で売却をする必要があるのです。
2,500万円を下回った場合は「キャピタルロス」が生じ、結果的に不動産投資の結果はマイナスになります。不動産投資は、インカムゲインとキャピタルゲインをトータルでみた総合的な結果で利益が明らかになります。
インカムゲインとキャピタルゲインの主な投資方法の違い
ここまでの解説で、インカムゲインとキャピタルゲインそれぞれの概要や仕組み、またその特徴から自分はどちらの手法が向いているのか整理されてきたかと思います。
この章では、インカムゲインとキャピタルゲインを得る主な投資方法について、具体的に紹介していきます。インカムゲインとキャピタルゲインは、運用する商品次第で両方得られる場合がありますが、どちらか一方のみの投資商品もあります。
【対象商品の区分】
インカムゲイン キャピタルゲイン 両方が対象となる投資 |
主なインカムゲイン投資 | 主なキャピタルゲイン投資 |
---|---|---|
・株式投資 ・投資信託 ・不動産投資 ・FX |
・銀行預貯金 ・国債 ・格付けの高い社債 ・配当金支払いが安定した株 ・ソーシャルレーディング (融資型クラウドファンディング) ・FXのスワップポイント ・暗号資産(仮想通貨)の ステーキング ・不動産の家賃収入 |
・成長性の高い投資信託 ・値動きが期待できる株 ・FX ・暗号資産(仮想通貨) ・不動産投資における売却益 |
インカムゲイン
インカムゲインは信用力や安全性があり、長期目線で将来的に安定した配当が貰える運用が前提です。投資法としては「ローリスク・ローリターン」が基本であることを踏まえておきましょう。
インカムゲインを得られる主な投資は上記に挙げたものです。 インカムゲインの具体的な収益と損益の算出については、下記の計算式をもって行われます。
配当利回り=(配当金÷株価)×100 損益:配当金*株数 – (税金+手数料)
家賃収入-ローン返済額-管理手数料 利回り:年間収益÷購入額
キャピタルゲイン
キャピタルゲインは、短期間で値動きが大きく発生する投資法で、インカムゲインとは反対の「ハイリスク・ハイリターン」の法則で運用が行われます。 上記に挙げた運用商品の暗号資産やFXでは主にキャピタルゲインを狙うのが主流ですが、最近はその中にもインカムゲインを得られるシステムや仕組みも見られるようになりました。
インカムゲインとキャピタルゲインにかかる税金
インカムゲインとキャピタルゲインが発生した場合、いずれの利益にも20.315%の税金が課税されます。 (※2013年から2037年までは復興特別所得税の納付が義務付けられており、税改正等により税率変更する場合があります。)
利益から税金や手数料などを差し引いた手取り額は、下記の計算方法によって算出が可能です。
配当金 – (配当金 × 20.315%) = 手取り額
譲渡価額 – (取得費 + 委託手数料) = 譲渡所得の金額(譲渡益)
譲渡所得の金額 – (譲渡所得の金額 × 20.315%)=手取り額
投資の種類によっては、課税の方法や率が異なる場合があるので注意が必要です。
インカムゲインとキャピタルゲインの理想的なポートフォリオの組み方
投資で資産運用をする方にとって、リスク分散と実績把握のためにポートフォリオはとても重要な存在でしょう。実際にネット証券会社では口座にログイン後、自動作成されたポートフォリオを閲覧できるサービスがあります。
ポートフォリオで投資対象が1つに集中していないかを確認し、経済状況に変化があった際に、他の資産でリスクカバーできるよう保有資産割合の定期的な見直しが大切です。
投資を始める時に「目標」決めをすることで、自分にとって理想的なポートフォリオを作り上げていくことができるでしょう。人それぞれ目標・運用法が異なるため、万人に理想的なポートフォリオは存在しません。
適切に保有資産を組み合わせられるよう、「利回り」と「リスク」における双方の観点から自分に最適なポートフォリオを作成していきましょう。
【おすすめ関連記事】投資のリスク分散に役立つポートフォリオの作り方・年代別の例も紹介
まとめ
本記事では、インカムゲインとキャピタルゲインに関する概要や仕組みについて、メリット・デメリットを交えて解説しました。また、それぞれの主な投資手法にも触れ、これから投資を始める方や投資範囲を広げたい方の指標となる内容をお届けしました。
投資初心者やあまり知識がない方は信用力と安定性重視のインカムゲイン投資、投資の知識があり安定よりも収益性重視の方はキャピタルゲイン投資が向いています。
しかし、キャピタルゲイン投資で資産運用をしていくには「資金の余裕があること」が前提条件で、老後に向けた資産形成は年齢が若いうちにスタートするインカムゲイン投資が賢い選択と言えそうです。
ベルテックスでは不動産投資やその他の資産運用にまつわる資産形成セミナーを開催しています。ご自宅からオンラインでご参加いただけますので、より詳しく話を聞いてみたい方はぜひお気軽にお問い合わせください。
この記事を書いた人
ベルテックスコラム事務局
不動産コンサルタント・税理士
不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。
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ベルテックスコラム事務局
インカムゲインとキャピタルゲイン 違いを分かりやすく解説
- はじめ方・基礎知識
資産形成のために投資の勉強を始めると、しばしば「インカムゲイン」と「キャピタルゲイン」という言葉を目にします。既に2つの言葉を知っている、あるいは聞いたことがある、という方は多いかもしれませんが、どちらも必ず押さえておきたい投資用語です。投資において、インカムゲインとキャピタルゲインどちらの手法をとるかによって、運用スタイルが大きく変わっていきます。
この記事では、インカムゲインとキャピタルゲインの概要や仕組み、また具体的な投資方法の違いについて、不動産投資の例を絡めながら、分かりやすく解説していきます。
インカムゲインとキャピタルゲインの概要
インカムゲインとキャピタルゲインとは、いずれも投資によって得られる「利益」のことを指します。
まずは、インカムゲインとキャピタルゲインについて、それぞれの仕組みとメリット・デメリットを明確にしていきましょう。 双方を一概に甲乙付けるのは難しく、人それぞれの投資の目的や状況によってバランスを見ながら、どちらの利益を狙った投資商品にするか決定していきます。
インカムゲインの仕組み
インカムゲインとは、株式や不動産などの資産を保有している間に継続して得られる利益のことです。 株式投資では利益が生じた際に株主へ分配される配当金、不動産投資では入居中に賃借人からオーナーへ支払われる家賃収入を指します。私たちにとって最も身近でイメージしやすいインカムゲインは、銀行預金で定期的に付与される「利息」でしょう。しかし、外国為替事情が関係する「外貨預金」はこの限りではありません。
インカムゲインの特徴は、キャピタルゲインと比較して長期的にリスク分散した投資法をとっており、「即時に大きな損失が出づらい」ことが挙げられます。
インカムゲインのメリットとデメリット
下記では、インカムゲインのメリットとデメリットについてお伝えします。
インカムゲインのメリット
インカムゲインのメリットは、資産を長期的に保有(運用)しながら定期的な収入が得られる安全性と安定性にあります。短期間で大きな利益獲得はあまり期待できませんが、その分リスクが少なく落ち着いた運用が可能です。
また、株の値動きなど価値変動を注視する時間的な拘束が少ないので、会社員などで本業が忙しくパソコンやスマートフォンに張り付いている時間がない、という方にも向いているでしょう。投資に関する専門的な知識が少ない人でも、長期で挑めば利益を得られやすいというメリットもあります。
インカムゲインのデメリット
インカムゲインの最大のデメリットは、上述の通り短期間で大きな利益獲得が難しい点です。
資産の保有中に配当金の分配が見込めるものの、貰える配当金は意外と少なく、1ヵ月分の生活費程度の配当金を得ようとすると、多くの場合1,000万円以上の大金をつぎ込んで運用する必要があります。
不動産投資で言えば、毎月の家賃収入の中からローン返済や修繕積立金、原状回復、設備交換などの経費をまかなっていくため、ローン返済中は家賃収入をなかなか自由に使えません。このように不動産投資は細かな経費も多く、管理を怠ると収益性が不透明になりやすいので、定期的に収支の管理・把握が必要です。
長期的視点で堅実さが必要なインカムゲイン投資で、投資未経験者が憧れるような「一攫千金」を狙うことは非現実的でしょう。
キャピタルゲインの仕組み
キャピタルゲインは簡単に言うと、買う時と売る時に生じる「売却益」のことです。
安値で株式を購入し、高値になったタイミングで売却することでキャピタルゲインが得られます。不動産投資でも同様の方法で、昨今の不動産価格の高騰によりキャピタルゲインを得る方は多くみられます。
株式投資における例を挙げると、1株1,000円で購入した場合、1,200円に値上がりしたタイミングで手放せば200円の利益が発生し、100株保有していた場合には2万円の利益を手にすることができます。価格変動を見計らって、単発的な取引を繰り返し行っていくのがキャピタルゲインの手法です。
キャピタルゲインのメリットとデメリット
次は、キャピタルゲインのメリットとデメリットを解説します。
キャピタルゲインのメリット
キャピタルゲインのメリットは、短期間で効率的に高い収益性をあげられる点です。為替や株価をこまめに確認しながら売買を重ねることで、コツコツと利益を上げていきます。
すぐに使う予定のないまとまった資金が手元にある方は、キャピタルゲインで大きな利益を狙っていけるでしょう。知識や経験が必要ですが、タイミングや銘柄次第で元本の何倍もの利益を生み出すため、成功すれば早期に大きな資産形成が可能です。
一握りではありますが、株式投資だけで生活している人も一定数いますので、夢のある魅力的な投資法とも言えます。
キャピタルゲインのデメリット
「ハイリスク・ハイリターン」の投資スタイルをとるキャピタルゲインは、高い利益率を見込める一方、損失額も大きくなりがちです。
インカムゲインと比較して元本割れの危険性が高く、「売り時」を見極めることが非常に重要です。ある程度の安全性を保ちながら投資をしたい人には不向きで、リスクと隣り合わせであるという認識を持っておく必要があります。株価暴落の被害を直で受けるため、損失を覚悟した上で投資に挑める人には向いています。
最近ではAIがリアルタイムで株価を見守り、投資戦略に沿って売却時をアラートしてくれる「AI株価見守りサービス」が存在しています。AIやプロが活躍する市場でもありますので、初心者には参入しにくい点もデメリットな要素でしょう。
キャピタルロスとは
キャピタルゲインと同時に、「キャピタルロス」の意味についても理解しておきましょう。 キャピタルロスとは、売却時に保有資産の価格が下落した際に発生する損失のことです。例えば、1万円で購入した株を8,000円で売却すると、2,000円のキャピタルロスが発生します。
不動産投資でのキャピタルロスは経年により建物の劣化が起こるため、株式投資のシンプルなキャピタルロスとは少々考え方が異なります。 不動産投資の場合は、下記の計算式で「譲渡所得」を算出して、利益を確認しましょう。
1,取得費 = 取得価格 + 取得に要した費用 + 取得後の改良費 – 建物の減価償却費
2,譲渡所得 = 譲渡価格 – ( 取得費 + 売却にかかる費用 ) – 特別控除
上記1、2の順に数値を当てはめ、最終的に「譲渡所得」が黒字(プラス)であればキャピタルゲインが発生しており、赤字(マイナス)であればキャピタルロスが生じていることになります。
現実的な話に置き換え、4,000万円で購入した投資物件で家賃収入におけるインカムゲインが毎年100万円あると仮定しましょう。この投資物件を15年保有したら、インカムゲインは1,500万円になります。キャピタルゲインを発生させるためには、4,000万円から1,500万円を引いた「2,500万円」以上で売却をする必要があるのです。
2,500万円を下回った場合は「キャピタルロス」が生じ、結果的に不動産投資の結果はマイナスになります。不動産投資は、インカムゲインとキャピタルゲインをトータルでみた総合的な結果で利益が明らかになります。
インカムゲインとキャピタルゲインの主な投資方法の違い
ここまでの解説で、インカムゲインとキャピタルゲインそれぞれの概要や仕組み、またその特徴から自分はどちらの手法が向いているのか整理されてきたかと思います。
この章では、インカムゲインとキャピタルゲインを得る主な投資方法について、具体的に紹介していきます。インカムゲインとキャピタルゲインは、運用する商品次第で両方得られる場合がありますが、どちらか一方のみの投資商品もあります。
【対象商品の区分】
インカムゲイン キャピタルゲイン 両方が対象となる投資 |
主なインカムゲイン投資 | 主なキャピタルゲイン投資 |
---|---|---|
・株式投資 ・投資信託 ・不動産投資 ・FX |
・銀行預貯金 ・国債 ・格付けの高い社債 ・配当金支払いが安定した株 ・ソーシャルレーディング (融資型クラウドファンディング) ・FXのスワップポイント ・暗号資産(仮想通貨)の ステーキング ・不動産の家賃収入 |
・成長性の高い投資信託 ・値動きが期待できる株 ・FX ・暗号資産(仮想通貨) ・不動産投資における売却益 |
インカムゲイン
インカムゲインは信用力や安全性があり、長期目線で将来的に安定した配当が貰える運用が前提です。投資法としては「ローリスク・ローリターン」が基本であることを踏まえておきましょう。
インカムゲインを得られる主な投資は上記に挙げたものです。 インカムゲインの具体的な収益と損益の算出については、下記の計算式をもって行われます。
配当利回り=(配当金÷株価)×100 損益:配当金*株数 – (税金+手数料)
家賃収入-ローン返済額-管理手数料 利回り:年間収益÷購入額
キャピタルゲイン
キャピタルゲインは、短期間で値動きが大きく発生する投資法で、インカムゲインとは反対の「ハイリスク・ハイリターン」の法則で運用が行われます。 上記に挙げた運用商品の暗号資産やFXでは主にキャピタルゲインを狙うのが主流ですが、最近はその中にもインカムゲインを得られるシステムや仕組みも見られるようになりました。
インカムゲインとキャピタルゲインにかかる税金
インカムゲインとキャピタルゲインが発生した場合、いずれの利益にも20.315%の税金が課税されます。 (※2013年から2037年までは復興特別所得税の納付が義務付けられており、税改正等により税率変更する場合があります。)
利益から税金や手数料などを差し引いた手取り額は、下記の計算方法によって算出が可能です。
配当金 – (配当金 × 20.315%) = 手取り額
譲渡価額 – (取得費 + 委託手数料) = 譲渡所得の金額(譲渡益)
譲渡所得の金額 – (譲渡所得の金額 × 20.315%)=手取り額
投資の種類によっては、課税の方法や率が異なる場合があるので注意が必要です。
インカムゲインとキャピタルゲインの理想的なポートフォリオの組み方
投資で資産運用をする方にとって、リスク分散と実績把握のためにポートフォリオはとても重要な存在でしょう。実際にネット証券会社では口座にログイン後、自動作成されたポートフォリオを閲覧できるサービスがあります。
ポートフォリオで投資対象が1つに集中していないかを確認し、経済状況に変化があった際に、他の資産でリスクカバーできるよう保有資産割合の定期的な見直しが大切です。
投資を始める時に「目標」決めをすることで、自分にとって理想的なポートフォリオを作り上げていくことができるでしょう。人それぞれ目標・運用法が異なるため、万人に理想的なポートフォリオは存在しません。
適切に保有資産を組み合わせられるよう、「利回り」と「リスク」における双方の観点から自分に最適なポートフォリオを作成していきましょう。
【おすすめ関連記事】投資のリスク分散に役立つポートフォリオの作り方・年代別の例も紹介
まとめ
本記事では、インカムゲインとキャピタルゲインに関する概要や仕組みについて、メリット・デメリットを交えて解説しました。また、それぞれの主な投資手法にも触れ、これから投資を始める方や投資範囲を広げたい方の指標となる内容をお届けしました。
投資初心者やあまり知識がない方は信用力と安定性重視のインカムゲイン投資、投資の知識があり安定よりも収益性重視の方はキャピタルゲイン投資が向いています。
しかし、キャピタルゲイン投資で資産運用をしていくには「資金の余裕があること」が前提条件で、老後に向けた資産形成は年齢が若いうちにスタートするインカムゲイン投資が賢い選択と言えそうです。
ベルテックスでは不動産投資やその他の資産運用にまつわる資産形成セミナーを開催しています。ご自宅からオンラインでご参加いただけますので、より詳しく話を聞いてみたい方はぜひお気軽にお問い合わせください。
この記事を書いた人
ベルテックスコラム事務局
不動産コンサルタント・税理士
不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。