2024.04.09

資産運用

ベルテックスコラム事務局

手法別、年代別、金額別にみるおすすめの資産運用プランとは

  • 資産形成
  • 金融商品VS不動産投資
  • 初心者
  • NISA
  • iDeCo

賢明な資産運用を行うためには、個別の戦略を考える必要があります。年齢や投資金額など、それぞれの状況に応じて最適なプランを構築することが重要です。この記事では、「手法別」「年代別」「金額別」の3つの視点から、おすすめの資産運用プランを紹介します。リスクとリターンを考慮し、自分に合った最良の方法を見つけましょう。

資産運用とは?始める理由とおすすめのタイミング 

資産運用に入る前に、まず基本的な概要を説明します。資産運用は将来の安定した生活や老後のために資産を増やすための方法です。しかし、具体的な目標や計画を立てる前に、自分の老後に必要な資金がどれくらいかを把握することが重要です。

資産運用の概要 

資産運用とは、自分のお金や資産を効率的に増やすために、「投資」や「貯蓄」を行うことです。株式、投資信託、債券、金・プラチナ、不動産、預金など、さまざまな形態があります。これらの選択肢の中から、自分の目標やリスク許容度に合った方法を選択し、リスクとリターンのバランスを考慮しながら運用していきます。

資産運用には、将来的な資産の増加を見込める商品が多くありますが、それにはリスクが伴います。選択した商品や戦略によっては、短期的な成長を狙ったり、長期的な安定した収益を求めたりすることが可能です。

重要なのは、自分自身で目標を設定し、それに向けて戦略的に運用していくことです。自分のライフスタイルや将来の計画に合わせて、最適な資産運用方法を選択し、着実に資産を増やしていくことがポイントです。

資産運用を始める理由と重要性 

一昔前の日本では、これほどまで「資産運用」という言葉はメジャーではなかったように思います。一体なぜ、近年資産運用の重要性が騒がれてきたのでしょうか。

【資産運用を始めるべき理由】

①    銀行預金が高金利でなくなったため
②    人口減少、かつ少子高齢化の加速
③    老後2,000万円問題の提唱(2019年)
④    新型コロナウイルスの影響

経済が潤っていたバブル景気の日本は、「銀行に預けていれば勝手にお金が増える時代」でした。この当時、定額貯金の預金利率はなんと6.33%(適用規定有り)で、1年間銀行に100万円預ければ、6万円以上の金利が付いたと言います。課税対象となるので実質的にはもう少し減りますが、それでも現在の0.001~0.002%という金利水準を考えると、驚異的な数値です。

そして、人口減少で年金を担う若年層が減少しているうえに、高齢者は増加の一途を辿っています。これにより、将来に向けて年金受給額の低下は必然的です。

これに加え、金融庁が提唱した「老後2,000万円問題」により、老後の資金不足が現実となり、また2020年の新型コロナウイルスパンデミックにより、自己防衛の意識が一層高まりました。

今後の日本では、公的年金のみでの老後生活は機能せず、何かしらの対策を講じなくては生きることすらままならない状況へと追い込まれています。

資産運用のスタートにおすすめのタイミングは?

資産運用のスタート時期は、まさに「今」が絶好のタイミングです。人生で最も若い段階からスタートすることで、時間を味方につけ、資産形成には不可欠である「複利効果」を最大限に受けられます。運用する資産は時間とともに成長するため、早期のスタートによって、投資の知識・経験を積むことができ、老後に大きな差を生むことが期待できます。

資産運用」「投資」「貯蓄」 の違い  

資産運用は「投資」と「貯蓄」の2つに分けられます。「貯蓄=貯金」というイメージを持つ人もいますが、明確には異なる概念です。

名称 意味
資産運用 「投資」「貯蓄」で効果的にお金を増やす(生み出す)こと
投資 手元にあるお金を特定の商品やプロジェクトに投入し、収益を生み出すこと
貯蓄  給与などの収入の一部を使わず蓄えていくこと
※蓄える方法は「有価証券」や「保険」も含まれる

ちなみに、定めた目標に向け、資産運用などによって資金構築していくことを、資産形成とも言います。

資産運用でリスク別にみる主な投資先 

資産運用には多様な種類や商品が存在し、それぞれ異なるリスクとリターンの特性を持っています。一般的に、リスクとリターンには相関関係があり、リスクが低いものはリターンも低く、リスクが高いものはリターンも高い傾向があります。以下の図を参考に、異なる資産のリスクとリターンの関係性を理解しましょう。

 
初心者はリスクが低い投資からスタートすることが賢明な判断でしょう。

ハイリスク・ハイリターン  

ハイリスク・ハイリターンの代表的な投資を、以下で3つご紹介します。

仮想通貨 

仮想通貨はデジタルで暗号化された通貨で、分散型の技術であるブロックチェーンを基盤としています。代表的な仮想通貨は、「ビットコイン」や「イーサリアム」などです。取引は中央機関を介さず、ブロックチェーンにより透明かつ安全に行われます。
一方で、ハッキングの危険性や価格の急激な変動、規制の不確実性など、市場リスクが大きい特徴もあります。

FX

FX(外国為替取引)は異なる通貨間での取引を指し、通貨の価格変動を予測して利益を得る金融取引です。主要通貨(米ドル、ユーロ、円など)を対象にし、24時間取引ができます。
少額の証拠金で大きな取引が可能ですが、上図のとおりリスクも高いのが特徴です。「初心者はほぼ勝てない」と言われている市場でもあり、投資にある程度精通していても、リスクの高さから手を出さない人もいます。

先物取引

先物取引とは、将来の特定の日に一定の価格で資産(商品、金利、株価指数など)を売買する契約のことです。先物契約は標準化された条件で取引され、取引所で行われます。
投資家は価格変動の予測に基づいて利益を得ることができますが、その予測は非常に難しく、他の多くの投資とは異なり、取引期間が決められていることがデメリットと言えるでしょう。大きな損失がある一方、一部の投資家から高い人気を誇っています。

これらのハイリスク商品は、投資に精通している人や、投資だけで生活をまかなえるほど知識豊富な人が多い市場であり、初心者の新規参入は危険です。

ミドルリスク・ミドルリターン 

ミドルリスク・ミドルリターンの投資には、以下のようなものがあります。

株式投資 

株式投資は、企業の所有権を株式として取得し、その企業の成長や利益に連動したリターンを目指す金融取引です。株式市場では、企業の業績や市場環境の変化により株価が変動します。投資家は株式を購入し、将来的な価格上昇を期待して利益を得ることを目指しますが、同時に市場リスクや企業特有のリスク(経営不振、法的問題など)も存在します。株式投資で購入できる商品は国内外の企業を問わず、日常で使用している物を生産している企業などの株式の購入も可能です。選択肢の多さゆえ、選ぶ商品次第ではハイリスク・ハイリターンとも言えるでしょう。

不動産投資

不動産投資は、不動産を購入し、家賃収入や資産価値の上昇を通じてリターンを得る投資です。安定したキャッシュフローや資産の長期的な成長が魅力ですが、市場の変化や不測の事態(空室、修繕費用)などのリスクがあります。
金利の変動や経済状況、不動産市場の特性や地域の要因から受ける影響が大きく、適切な物件選定・管理が重要です。
他の投資と比較すると、現物資産でインフレに強い特徴がある一方、資産の流動性が低く、資産売却時の戦略についても考える必要があるでしょう。

投資信託 

投資信託は複数の投資家が資金を出し合い、プロのファンドマネージャーがその資金を運用する仕組みです。

株式投資と同じく、投資信託にもさまざまな種類があります。

たとえば、ETF(上場投資信託)は株式市場で取引可能な投資信託で、指数に連動した運用が特徴です。また、REIT(不動産投資信託)は不動産に投資し、その利益を投資家に還元します。

投資信託は分散投資がしやすく、プロの運用者による管理が投資家の手間を軽減します。ただし、基本的に「購入時」「運用時」「売却時」すべてに信託報酬が発生するなど、独自のリスクには注意が必要です。

投資信託の種類は6,000本以上あり、それぞれの銘柄によってリスクの度合いが異なります。したがって、慎重な判断が求められます。

ローリスク・ローリターン

最後に、初心者におすすめであるローリスク・ローリターンの手法を紹介します。
これらの商品でリスクを軽減しながら運用をスタートし、投資の仕組みや取引に慣れてきたらステップアップしていきましょう。

外貨預金

外貨預金は、通常、他国の通貨で口座を開設し、その通貨で預金を行う金融取引の一形態です。外国為替市場の変動により、元本と利益が為替レートの変動に左右されるというリスクを伴いますが、比較的通貨変動は予測がしやすく、為替リスクも他の投資商品よりも抑えられています。そのため、外貨預金はインフレによる円の目減りを考慮し、安全性と資産の保全を重視する投資家に適した手法です。

債券

債券投資は、投資家が政府、企業、または機関から債務証書を購入し、それに対する金利や元本の返済を受ける取引です。債券の価格は金利や信用格付け、償還期間によって影響を受け、変動が比較的緩やかです。
全体的に安全性の高い投資法で、その中でも特に国債などの公債は信頼性が高く、元本の損失リスクが低い特徴があります。他の投資手法より利率は低いものの、預貯金よりは高い金利が受け取れるので、投資の第一歩としても適しているでしょう。

預金

預金は銀行や金融機関に資金を預け、一定の金利を得る取引です。元本保証があるため、資産運用に消極的な日本全体では、未だに国民の資産の半分は「現金」「預金」による保有であるとされています 。

しかし、現在の利率では100万円を銀行に1年間預けても、たったの10円しか利息が付きません。預金は予期せぬ支出や緊急時に備える手段として利用するようにして、資産増加を目指す場合には、他の投資手段を検討すべきと言えます。

金・プラチナ

金・プラチナ投資は、実物資産である金やプラチナを購入し、その価値の変動に応じて収益を得る投資法です。不動産投資と同様、実物資産であるためインフレに強く、価値がゼロになることがないのが特徴です。

歴史的に見ても需要が安定しており、分散投資先の1つとしても向いています。「金」と聞くと一見高そうなイメージを持ちますが、これらの投資は1,000円程度の資金で始められるため、初心者にも始めやすい投資手法です。

個人年金保険

個人年金保険は、個人が老後の生活資金を確保するために加入する保険商品です。
保険契約者は保険料を支払い、将来の特定の時点から「終身」または「一定期間」、定期的な給付を受け取ります。これにより、老後の生活費や医療費に備えることができます。個人年金保険の利点は、税制優遇措置が適用される場合があり、保険料控除や受け取る給付の一部が非課税となることです。老後のリスクに備えつつ、保険の形で資産を積み立てることができるため、年配者など「投資は危険」という考えを持つ人でも取り組みやすい資産運用法でしょう。
ただし、保険契約の内容は契約企業や商品ごとに異なるため、契約前に慎重に検討することが重要です。

資産運用で税制優遇を受けられる制度 

日本では、株式投資や投資信託で得た収益には原則として20.315%の税金が課税されます。この高い税率は投資家にとって負担となりますが、国は個人の資産運用を促進するために税制面でも支援しています。以下に、その具体的な制度を3つ紹介します。

新NISAの成長投資枠(一般NISA)

NISA(少額投資非課税制度)は、2024年からブラッシュアップされ、投資可能な期間や金額が拡充されました。新NISAの「成長投資枠」では、最大1,800万円の非課税限度額のうち、1,200万円までを運用できます。つまり、この範囲内での運用では利益が出ても課税対象にはなりません。投資対象商品は上場株式や投資信託、ETFなどであり、投資中級者以上の方に特におすすめの制度です。

新NISAのつみたて投資枠(つみたてNISA)

新NISAのもう1つの活用ポイントは、「つみたて投資枠」です。これは従来の「つみたてNISA」の側面を受け継いでおり、年間40万円までの投資枠が3倍の120万円までが課税されません。つみたて投資枠は長期の積立投資に適しており、少額から始めて時間をかけて資産を積み重ね、複利による収益を得ることができる制度です。

iDeCo

3つ目は資産運用の節税における基本であるiDeCo(個人型確定拠出年金)です。iDeCoという名称は2016年に付けられましたが、実はその制度はすでに2001年に始まっていました。iDeCoは、3つの税優遇が魅力的な制度です。
①    掛金の積立時:全額所得控除となる
②    掛金の運用時:所得税(復興特別所得税を含む)、住民税が非課税となる
③    資産の受取時:公的年金等控除もしくは退職所得控除の適用となる

新NISAよりも節税への取り組みが手厚く、まだ未加入の人はこれからぜひ活用したい制度です。

【手法別】資産形成のためにおすすめの4つの運用法 

資産運用の種類や仕組み、税優遇の基礎について理解できたところで、「手法別」に考える資産形成の方法を4つ紹介します。本章で取り上げる内容は、金融庁のホームページを基に解説していきます。

①なるべくリスクを抑えて目標金額を貯めたい:バランス型運用 

なるべくリスクを抑える投資では、必然的に高いリターンは目指せません。目標金額次第ではありますが、老後など決められた時期までにそれを達成するには、ときに高利回り商品の選択が必要な場合があります。

そのような場合は「株式中心のバランス型投資信託(バランスファンド)」での運用がよいでしょう。複数の異なる資産(株式、債券、金融商品など)に投資することで、ポートフォリオ全体のバランスを保ち、リスクを抑える手法です。リスクを軽減しつつ、株式中心にしておくことで少し高い利回りを期待できます。

②初心者で投資の仕組みを知りたい人:インデックス型運用

投資初心者は、これから本格的に資産形成をしていきたいと考えていても、手始めに分りやすい商品からスタートしたいと考える人が多くいます。
そんな人には、「日経平均株価」や「TOPIC」など、指数と値動きが連動することを目的とした「インデックス運用」がよいでしょう。市場全体の値動きが分かりやすく、これから勉強をしていきたいという人には最適な手法です。代表的なインデックス型投資には、S&P500、日経225などがあります。

③少しリスクがあっても高い利益を狙いたい:ファンド運用

預金に余裕があり多少のリスクを許容できる人にはファンド運用がおすすめです。ファンド運用は複数人から出資金を募り、集まった資金をもとに投資などで運用し、発生した収益を出資者に還元します。全世界の株式を運用するファンドに資金を出資することで、ハイリターンを期待できます。
一度に多額を投じるとリスクが高まるため、購入時期を複数に分けたり、積立による長期保有で複利を狙ったりといった戦略が必要です。

④子供が成長した時の教育資金を作りたい:ターゲット・デート・ファンド運用

子供がいる家庭の多くは、資産運用の検討理由が「将来の教育資金」です。すでに子育てがスタートし、独身の頃のように自由にお金が使える状況ではありません。現状の生活も守りつつ、手堅く教育資金を準備したいと考えるでしょう。そのような人には、ターゲット・デート・ファンド運用がおすすめです。これは、将来的に資金が必要となるタイミングに応じて、運用する資産がキャッシュ化されている中長期向けの投資信託のことです。
ターゲット・デート・ファンド運用では、若い頃は株式などハイリスク資産の割合を多くして、徐々にローリスク資産の比率を多く組み替えていきます。年齢が上がるにつれ、リスクが下がっていく手法で、堅実な資産運用の方法の1つです。

【年代齢別】 資産形成のためにおすすめの運用法  

経験の長い投資家や、投資自体を仕事としている人でない限り、ターゲット・デート・ファンド運用のように年齢とともにリスクを減らしていく運用がおすすめです。
本章では、年代別におすすめの運用法をご紹介しますが、人は給与や家族構成など、同じ年代でも置かれた環境が違います。そのため、あなたが30代だとしても40代におすすめとする資産運用の手法が向いている場合もあります。自分の置かれた状況を一度見直して、自分に適した最善の運用法を模索しましょう。

20代におすすめの資産運用

20代と言えば、「投資できる期間の長さ」が一番の強みのため、「積立投資」がおすすめです。新NISAのつみたて投資枠を利用し、時間をかけて資産形成することで、リスクを軽減しつつ複利を増やしていくことができます。「投資の神様」と言われている米国の投資家ウォーレン・バフェットもこの方法を推奨しているほどです。
20代には「iDeCo」もおすすめです。先述したこちらの節税効果も、若いうちに始めることによって高い恩恵を受けられます。

30代におすすめの資産運用

30代におすすめの資産運用は、「投資信託」や「ミニ株」です。
結婚・出産などのライフイベントを迎える人が増え、自由に使えるお金が制限されるタイミングで、一度支出を見直してみるとよいでしょう。
従来は併用できなかった「つみたてNISA」と「一般NISA」ですが、新NISAでは「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の併用が認められるようになりました。すでにつみたて投資枠による投資をスタートしている方も、成長投資枠を利用した投資信託にしたり、高利回りを期待できる銘柄にしたりと戦略に変化を付けるのが良いでしょう。
また、40代からの本格的な株式運用のため「ミニ株」によるプレ投資を行ってみるのもおすすめです。

40代におすすめの資産運用 

40代と言うと、子育て世帯は食費や教育費が増え、家計が苦しくなる世帯も出始める頃です。住居が持ち家か賃貸かなど、環境に大きな差が開きます。他人と比較せず、家計に見合う投資をすることが大切です。
40代におすすめの資産運用法は「不動産投資」と「株式投資」です。
不動産投資は40代以降でも金融機関に所有する物件の収益性を認められれば、融資を受けて始めることが可能です。
戦略や運用スタイル次第ではフルローンを組むこともできるので、検討してみるとよいでしょう。
不動産投資へのハードルが高い、与信取引は避けたいという人には、つみたて成長枠を活用した「株式投資」への積極的な挑戦がおすすめです。ただし、家計の支出余力がない方は、40代でも積立投資の方が向いています。老後までまだ20年前後ありますので、リスクを抑え、着実な資産形成をしてください。

50代におすすめの資産運用

50代は子供が手を離れ始め、本格的に老後資金について考え出す頃でしょう。資金に余裕が出てきた方は、株式投資やREITなどで積極運用を検討してください。
ただし、40代や50代前半で子供の教育費が多くかかってしまい、3ヵ月~6ヵ月程度の生活資金の確保ができていない人は、いきなり株式投資で増やそうとしてはいけません。
そのような人は、50代でも債券投資などリスクを抑えた運用をすべきです。
老後までのタイムリミットが少しずつ迫っている状況のため、資金とリスクのバランスを考慮しましょう。

60代におすすめの資産運用

一般的に定年退職し、老後となる60代は債券投資などリスクを最小限に抑えた投資を行いましょう。還暦を迎えて再雇用となった場合、一部を除き、給与は減少される傾向にあります。現役時代のように高い収入は見込めないことや、60代での損失は老後への大打撃となることを踏まえると、資金によほど余裕がある資産家以外には、新たなハイリスク投資へのチャレンジは推奨できません。退職金でまとまった大金を手に入れても、それを元手に一攫千金を狙うような考えは危険です。

【金額別】資産形成のためにおすすめの運用法

手法別、年代別におすすめの運用法をお伝えしましたが、最後は金額別におすすめの運用法を紹介します。

毎月の余剰資金で積立運用する

毎月コツコツ積立投資をする場合について考えると、複利効果の重要性がわかります。
例えば、毎月3万円を年率3%積み立てた場合の収益は10年で59.2万円ですが、さらに10年運用を続けた20年目には264.9万円になります。元金は2倍でも、複利のおかげで収益は4倍以上です(以下図参照)。

 
同様に、金額を変更して年率3%で20年間運用した場合の比較結果をまとめました。

【毎月積立運用した想定結果】

毎月積立額 元本 運用収益 合計額
1万円 240.0万円 88.3万円 328.3万円
3万円 720.0万円 264.9万円 984.9万円
5万円 1,200万円 441.5万円 1,641.5万円

 

毎月の積立金額が多ければ多いほど、大きな複利効果を得ることができます。積立投資を行う方は、生活の余力範囲内でなるべく多くの資金を投資に回したいところです。

まとまった元手で運用する  

次に、まとまった元手がある場合のお話をしましょう。

まとまった元手がある場合、資金の運用による複利効果が顕著になります。例えば、手元に1,000万円の資金があり、これを年率3%で20年間運用すると、以下のような複利効果が期待できます。


【一括の元金で運用した結果】 ※元金倍率1.8061倍 

元金 運用収益 合計
100万円 80.6万円 180.6万円
500万円 403.0万円 903.0万円
1,000万円 806.1万円 1,806.1万円

元金を500万円から1,000万円にすると、運用収益も2倍となります。まとまった元手がある人は元金倍率を考慮し、元手からどれだけの割合を一括投資するのか、またどれだけの割合を積立投資にまわすのか、を考慮してリスクとのバランスをとりましょう。

資産運用で気を付ける5つのポイント

資産運用は、始めれば必ずお金が増えるものではありません。リスクは必ずつきまとい、それに対する知識や戦略など、日々の学びと振り返りが必要です。
最後の章では、資産運用をする際に気を付けるポイントを挙げてみました。失敗する人は、実はこの典型的な5つのパターンに当てはまる人が多いようです。

1:計画を立てる

資産運用で成功するためには、計画を立てることが不可欠です。計画を策定する際には、自身の投資目標やリスク許容度を明確にし、投資先をこれに基づいた選択肢に絞っていきます。
また、投資期間や資産の流動性を考慮した戦略を立て、変化する市場環境にも柔軟に対応できるようしっかりと基盤固めをしておかなくてはなりません。

2:それぞれの投資の仕組みや特徴を理解する

投資を始めるには、異なる投資先の仕組みや特徴を理解することはとても重要です。株式、債券、不動産など異なる資産クラスに投資する場合、それぞれのリスクとリターン、市場の影響を把握することが必要です。また、投資信託や株式、債券の個別銘柄など、投資先の具体的な特性も正確に把握しておきましょう。

3:初心者は「長期・分散・積立」を意識する

初心者が資産運用を始める際に心得ておくべきは、「長期・分散・積立」が基本であることです。
まず、資産は長期的な視点で運用しましょう。市場の瞬発的な変動に惑わされず、時間を味方につけることで、リスクを抑えて大きな複利が期待できます。
次に、ポートフォリオの資産を分散させることが大切です。異なる資産クラスや地域に分散することで、リスクヘッジが可能です。積立投資は定期的な投資を通じて市場の変動によるリスクを軽減し、着実な資産形成を促進します。

4:価格変動があっても感情的にならない

資産運用では価格変動がつきものですが、購入時よりも値下がりしたからと言って、感情的に反応することは避けるべきです。適切なタイミングで損切りをしなかったり、逆に早期に損切りをしてしまったりと、感情的な反応は良し悪しの判断を誤ってしまいます。
市場の波に振り回されず、冷静な視点を保つことが重要です。

5:ポートフォリオを定期的に確認する

購入後、定期的なポートフォリオの確認は運用成功の鍵です。市場環境や個別資産の動向が日々変わる中、投資目標に合わせてポートフォリオを調整することで、リスク管理や収益最大化が可能になります。また、投資目標やライフスタイルの変化に合わせポートフォリオを適応させることで、継続的に柔軟な投資を行えるでしょう。

まとめ 

本記事では、「手法別」「年代別」「金額別」3つの視点でおすすめの資産運用プランをご紹介しました。老後に向けた資産形成には、本文で解説したようにさまざまな種類の商品・手法があります。投資の仕組みを知り、自分が設定した目標を達成にはどの投資が最適なのか、という手順で選択肢を狭めていきましょう。
20代は長期積立投資スタイルを意識し、30代はのちの資産運用に向けて知識をつけていきましょう。40代はできるだけ積極的な投資を行い、50~60代は少しずつリスクを抑えた投資にシフトチェンジしてください。人生で最も若い「今」始めるのがベストなタイミングです。

この記事を書いた人

ベルテックスコラム事務局

不動産コンサルタント・税理士

不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。

2024.04.09

資産運用

ベルテックスコラム事務局

手法別、年代別、金額別にみるおすすめの資産運用プランとは

  • 資産形成
  • 金融商品VS不動産投資
  • 初心者
  • NISA
  • iDeCo

賢明な資産運用を行うためには、個別の戦略を考える必要があります。年齢や投資金額など、それぞれの状況に応じて最適なプランを構築することが重要です。この記事では、「手法別」「年代別」「金額別」の3つの視点から、おすすめの資産運用プランを紹介します。リスクとリターンを考慮し、自分に合った最良の方法を見つけましょう。

資産運用とは?始める理由とおすすめのタイミング 

資産運用に入る前に、まず基本的な概要を説明します。資産運用は将来の安定した生活や老後のために資産を増やすための方法です。しかし、具体的な目標や計画を立てる前に、自分の老後に必要な資金がどれくらいかを把握することが重要です。

資産運用の概要 

資産運用とは、自分のお金や資産を効率的に増やすために、「投資」や「貯蓄」を行うことです。株式、投資信託、債券、金・プラチナ、不動産、預金など、さまざまな形態があります。これらの選択肢の中から、自分の目標やリスク許容度に合った方法を選択し、リスクとリターンのバランスを考慮しながら運用していきます。

資産運用には、将来的な資産の増加を見込める商品が多くありますが、それにはリスクが伴います。選択した商品や戦略によっては、短期的な成長を狙ったり、長期的な安定した収益を求めたりすることが可能です。

重要なのは、自分自身で目標を設定し、それに向けて戦略的に運用していくことです。自分のライフスタイルや将来の計画に合わせて、最適な資産運用方法を選択し、着実に資産を増やしていくことがポイントです。

資産運用を始める理由と重要性 

一昔前の日本では、これほどまで「資産運用」という言葉はメジャーではなかったように思います。一体なぜ、近年資産運用の重要性が騒がれてきたのでしょうか。

【資産運用を始めるべき理由】

①    銀行預金が高金利でなくなったため
②    人口減少、かつ少子高齢化の加速
③    老後2,000万円問題の提唱(2019年)
④    新型コロナウイルスの影響

経済が潤っていたバブル景気の日本は、「銀行に預けていれば勝手にお金が増える時代」でした。この当時、定額貯金の預金利率はなんと6.33%(適用規定有り)で、1年間銀行に100万円預ければ、6万円以上の金利が付いたと言います。課税対象となるので実質的にはもう少し減りますが、それでも現在の0.001~0.002%という金利水準を考えると、驚異的な数値です。

そして、人口減少で年金を担う若年層が減少しているうえに、高齢者は増加の一途を辿っています。これにより、将来に向けて年金受給額の低下は必然的です。

これに加え、金融庁が提唱した「老後2,000万円問題」により、老後の資金不足が現実となり、また2020年の新型コロナウイルスパンデミックにより、自己防衛の意識が一層高まりました。

今後の日本では、公的年金のみでの老後生活は機能せず、何かしらの対策を講じなくては生きることすらままならない状況へと追い込まれています。

資産運用のスタートにおすすめのタイミングは?

資産運用のスタート時期は、まさに「今」が絶好のタイミングです。人生で最も若い段階からスタートすることで、時間を味方につけ、資産形成には不可欠である「複利効果」を最大限に受けられます。運用する資産は時間とともに成長するため、早期のスタートによって、投資の知識・経験を積むことができ、老後に大きな差を生むことが期待できます。

資産運用」「投資」「貯蓄」 の違い  

資産運用は「投資」と「貯蓄」の2つに分けられます。「貯蓄=貯金」というイメージを持つ人もいますが、明確には異なる概念です。

名称 意味
資産運用 「投資」「貯蓄」で効果的にお金を増やす(生み出す)こと
投資 手元にあるお金を特定の商品やプロジェクトに投入し、収益を生み出すこと
貯蓄  給与などの収入の一部を使わず蓄えていくこと
※蓄える方法は「有価証券」や「保険」も含まれる

ちなみに、定めた目標に向け、資産運用などによって資金構築していくことを、資産形成とも言います。

資産運用でリスク別にみる主な投資先 

資産運用には多様な種類や商品が存在し、それぞれ異なるリスクとリターンの特性を持っています。一般的に、リスクとリターンには相関関係があり、リスクが低いものはリターンも低く、リスクが高いものはリターンも高い傾向があります。以下の図を参考に、異なる資産のリスクとリターンの関係性を理解しましょう。

 
初心者はリスクが低い投資からスタートすることが賢明な判断でしょう。

ハイリスク・ハイリターン  

ハイリスク・ハイリターンの代表的な投資を、以下で3つご紹介します。

仮想通貨 

仮想通貨はデジタルで暗号化された通貨で、分散型の技術であるブロックチェーンを基盤としています。代表的な仮想通貨は、「ビットコイン」や「イーサリアム」などです。取引は中央機関を介さず、ブロックチェーンにより透明かつ安全に行われます。
一方で、ハッキングの危険性や価格の急激な変動、規制の不確実性など、市場リスクが大きい特徴もあります。

FX

FX(外国為替取引)は異なる通貨間での取引を指し、通貨の価格変動を予測して利益を得る金融取引です。主要通貨(米ドル、ユーロ、円など)を対象にし、24時間取引ができます。
少額の証拠金で大きな取引が可能ですが、上図のとおりリスクも高いのが特徴です。「初心者はほぼ勝てない」と言われている市場でもあり、投資にある程度精通していても、リスクの高さから手を出さない人もいます。

先物取引

先物取引とは、将来の特定の日に一定の価格で資産(商品、金利、株価指数など)を売買する契約のことです。先物契約は標準化された条件で取引され、取引所で行われます。
投資家は価格変動の予測に基づいて利益を得ることができますが、その予測は非常に難しく、他の多くの投資とは異なり、取引期間が決められていることがデメリットと言えるでしょう。大きな損失がある一方、一部の投資家から高い人気を誇っています。

これらのハイリスク商品は、投資に精通している人や、投資だけで生活をまかなえるほど知識豊富な人が多い市場であり、初心者の新規参入は危険です。

ミドルリスク・ミドルリターン 

ミドルリスク・ミドルリターンの投資には、以下のようなものがあります。

株式投資 

株式投資は、企業の所有権を株式として取得し、その企業の成長や利益に連動したリターンを目指す金融取引です。株式市場では、企業の業績や市場環境の変化により株価が変動します。投資家は株式を購入し、将来的な価格上昇を期待して利益を得ることを目指しますが、同時に市場リスクや企業特有のリスク(経営不振、法的問題など)も存在します。株式投資で購入できる商品は国内外の企業を問わず、日常で使用している物を生産している企業などの株式の購入も可能です。選択肢の多さゆえ、選ぶ商品次第ではハイリスク・ハイリターンとも言えるでしょう。

不動産投資

不動産投資は、不動産を購入し、家賃収入や資産価値の上昇を通じてリターンを得る投資です。安定したキャッシュフローや資産の長期的な成長が魅力ですが、市場の変化や不測の事態(空室、修繕費用)などのリスクがあります。
金利の変動や経済状況、不動産市場の特性や地域の要因から受ける影響が大きく、適切な物件選定・管理が重要です。
他の投資と比較すると、現物資産でインフレに強い特徴がある一方、資産の流動性が低く、資産売却時の戦略についても考える必要があるでしょう。

投資信託 

投資信託は複数の投資家が資金を出し合い、プロのファンドマネージャーがその資金を運用する仕組みです。

株式投資と同じく、投資信託にもさまざまな種類があります。

たとえば、ETF(上場投資信託)は株式市場で取引可能な投資信託で、指数に連動した運用が特徴です。また、REIT(不動産投資信託)は不動産に投資し、その利益を投資家に還元します。

投資信託は分散投資がしやすく、プロの運用者による管理が投資家の手間を軽減します。ただし、基本的に「購入時」「運用時」「売却時」すべてに信託報酬が発生するなど、独自のリスクには注意が必要です。

投資信託の種類は6,000本以上あり、それぞれの銘柄によってリスクの度合いが異なります。したがって、慎重な判断が求められます。

ローリスク・ローリターン

最後に、初心者におすすめであるローリスク・ローリターンの手法を紹介します。
これらの商品でリスクを軽減しながら運用をスタートし、投資の仕組みや取引に慣れてきたらステップアップしていきましょう。

外貨預金

外貨預金は、通常、他国の通貨で口座を開設し、その通貨で預金を行う金融取引の一形態です。外国為替市場の変動により、元本と利益が為替レートの変動に左右されるというリスクを伴いますが、比較的通貨変動は予測がしやすく、為替リスクも他の投資商品よりも抑えられています。そのため、外貨預金はインフレによる円の目減りを考慮し、安全性と資産の保全を重視する投資家に適した手法です。

債券

債券投資は、投資家が政府、企業、または機関から債務証書を購入し、それに対する金利や元本の返済を受ける取引です。債券の価格は金利や信用格付け、償還期間によって影響を受け、変動が比較的緩やかです。
全体的に安全性の高い投資法で、その中でも特に国債などの公債は信頼性が高く、元本の損失リスクが低い特徴があります。他の投資手法より利率は低いものの、預貯金よりは高い金利が受け取れるので、投資の第一歩としても適しているでしょう。

預金

預金は銀行や金融機関に資金を預け、一定の金利を得る取引です。元本保証があるため、資産運用に消極的な日本全体では、未だに国民の資産の半分は「現金」「預金」による保有であるとされています 。

しかし、現在の利率では100万円を銀行に1年間預けても、たったの10円しか利息が付きません。預金は予期せぬ支出や緊急時に備える手段として利用するようにして、資産増加を目指す場合には、他の投資手段を検討すべきと言えます。

金・プラチナ

金・プラチナ投資は、実物資産である金やプラチナを購入し、その価値の変動に応じて収益を得る投資法です。不動産投資と同様、実物資産であるためインフレに強く、価値がゼロになることがないのが特徴です。

歴史的に見ても需要が安定しており、分散投資先の1つとしても向いています。「金」と聞くと一見高そうなイメージを持ちますが、これらの投資は1,000円程度の資金で始められるため、初心者にも始めやすい投資手法です。

個人年金保険

個人年金保険は、個人が老後の生活資金を確保するために加入する保険商品です。
保険契約者は保険料を支払い、将来の特定の時点から「終身」または「一定期間」、定期的な給付を受け取ります。これにより、老後の生活費や医療費に備えることができます。個人年金保険の利点は、税制優遇措置が適用される場合があり、保険料控除や受け取る給付の一部が非課税となることです。老後のリスクに備えつつ、保険の形で資産を積み立てることができるため、年配者など「投資は危険」という考えを持つ人でも取り組みやすい資産運用法でしょう。
ただし、保険契約の内容は契約企業や商品ごとに異なるため、契約前に慎重に検討することが重要です。

資産運用で税制優遇を受けられる制度 

日本では、株式投資や投資信託で得た収益には原則として20.315%の税金が課税されます。この高い税率は投資家にとって負担となりますが、国は個人の資産運用を促進するために税制面でも支援しています。以下に、その具体的な制度を3つ紹介します。

新NISAの成長投資枠(一般NISA)

NISA(少額投資非課税制度)は、2024年からブラッシュアップされ、投資可能な期間や金額が拡充されました。新NISAの「成長投資枠」では、最大1,800万円の非課税限度額のうち、1,200万円までを運用できます。つまり、この範囲内での運用では利益が出ても課税対象にはなりません。投資対象商品は上場株式や投資信託、ETFなどであり、投資中級者以上の方に特におすすめの制度です。

新NISAのつみたて投資枠(つみたてNISA)

新NISAのもう1つの活用ポイントは、「つみたて投資枠」です。これは従来の「つみたてNISA」の側面を受け継いでおり、年間40万円までの投資枠が3倍の120万円までが課税されません。つみたて投資枠は長期の積立投資に適しており、少額から始めて時間をかけて資産を積み重ね、複利による収益を得ることができる制度です。

iDeCo

3つ目は資産運用の節税における基本であるiDeCo(個人型確定拠出年金)です。iDeCoという名称は2016年に付けられましたが、実はその制度はすでに2001年に始まっていました。iDeCoは、3つの税優遇が魅力的な制度です。
①    掛金の積立時:全額所得控除となる
②    掛金の運用時:所得税(復興特別所得税を含む)、住民税が非課税となる
③    資産の受取時:公的年金等控除もしくは退職所得控除の適用となる

新NISAよりも節税への取り組みが手厚く、まだ未加入の人はこれからぜひ活用したい制度です。

【手法別】資産形成のためにおすすめの4つの運用法 

資産運用の種類や仕組み、税優遇の基礎について理解できたところで、「手法別」に考える資産形成の方法を4つ紹介します。本章で取り上げる内容は、金融庁のホームページを基に解説していきます。

①なるべくリスクを抑えて目標金額を貯めたい:バランス型運用 

なるべくリスクを抑える投資では、必然的に高いリターンは目指せません。目標金額次第ではありますが、老後など決められた時期までにそれを達成するには、ときに高利回り商品の選択が必要な場合があります。

そのような場合は「株式中心のバランス型投資信託(バランスファンド)」での運用がよいでしょう。複数の異なる資産(株式、債券、金融商品など)に投資することで、ポートフォリオ全体のバランスを保ち、リスクを抑える手法です。リスクを軽減しつつ、株式中心にしておくことで少し高い利回りを期待できます。

②初心者で投資の仕組みを知りたい人:インデックス型運用

投資初心者は、これから本格的に資産形成をしていきたいと考えていても、手始めに分りやすい商品からスタートしたいと考える人が多くいます。
そんな人には、「日経平均株価」や「TOPIC」など、指数と値動きが連動することを目的とした「インデックス運用」がよいでしょう。市場全体の値動きが分かりやすく、これから勉強をしていきたいという人には最適な手法です。代表的なインデックス型投資には、S&P500、日経225などがあります。

③少しリスクがあっても高い利益を狙いたい:ファンド運用

預金に余裕があり多少のリスクを許容できる人にはファンド運用がおすすめです。ファンド運用は複数人から出資金を募り、集まった資金をもとに投資などで運用し、発生した収益を出資者に還元します。全世界の株式を運用するファンドに資金を出資することで、ハイリターンを期待できます。
一度に多額を投じるとリスクが高まるため、購入時期を複数に分けたり、積立による長期保有で複利を狙ったりといった戦略が必要です。

④子供が成長した時の教育資金を作りたい:ターゲット・デート・ファンド運用

子供がいる家庭の多くは、資産運用の検討理由が「将来の教育資金」です。すでに子育てがスタートし、独身の頃のように自由にお金が使える状況ではありません。現状の生活も守りつつ、手堅く教育資金を準備したいと考えるでしょう。そのような人には、ターゲット・デート・ファンド運用がおすすめです。これは、将来的に資金が必要となるタイミングに応じて、運用する資産がキャッシュ化されている中長期向けの投資信託のことです。
ターゲット・デート・ファンド運用では、若い頃は株式などハイリスク資産の割合を多くして、徐々にローリスク資産の比率を多く組み替えていきます。年齢が上がるにつれ、リスクが下がっていく手法で、堅実な資産運用の方法の1つです。

【年代齢別】 資産形成のためにおすすめの運用法  

経験の長い投資家や、投資自体を仕事としている人でない限り、ターゲット・デート・ファンド運用のように年齢とともにリスクを減らしていく運用がおすすめです。
本章では、年代別におすすめの運用法をご紹介しますが、人は給与や家族構成など、同じ年代でも置かれた環境が違います。そのため、あなたが30代だとしても40代におすすめとする資産運用の手法が向いている場合もあります。自分の置かれた状況を一度見直して、自分に適した最善の運用法を模索しましょう。

20代におすすめの資産運用

20代と言えば、「投資できる期間の長さ」が一番の強みのため、「積立投資」がおすすめです。新NISAのつみたて投資枠を利用し、時間をかけて資産形成することで、リスクを軽減しつつ複利を増やしていくことができます。「投資の神様」と言われている米国の投資家ウォーレン・バフェットもこの方法を推奨しているほどです。
20代には「iDeCo」もおすすめです。先述したこちらの節税効果も、若いうちに始めることによって高い恩恵を受けられます。

30代におすすめの資産運用

30代におすすめの資産運用は、「投資信託」や「ミニ株」です。
結婚・出産などのライフイベントを迎える人が増え、自由に使えるお金が制限されるタイミングで、一度支出を見直してみるとよいでしょう。
従来は併用できなかった「つみたてNISA」と「一般NISA」ですが、新NISAでは「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の併用が認められるようになりました。すでにつみたて投資枠による投資をスタートしている方も、成長投資枠を利用した投資信託にしたり、高利回りを期待できる銘柄にしたりと戦略に変化を付けるのが良いでしょう。
また、40代からの本格的な株式運用のため「ミニ株」によるプレ投資を行ってみるのもおすすめです。

40代におすすめの資産運用 

40代と言うと、子育て世帯は食費や教育費が増え、家計が苦しくなる世帯も出始める頃です。住居が持ち家か賃貸かなど、環境に大きな差が開きます。他人と比較せず、家計に見合う投資をすることが大切です。
40代におすすめの資産運用法は「不動産投資」と「株式投資」です。
不動産投資は40代以降でも金融機関に所有する物件の収益性を認められれば、融資を受けて始めることが可能です。
戦略や運用スタイル次第ではフルローンを組むこともできるので、検討してみるとよいでしょう。
不動産投資へのハードルが高い、与信取引は避けたいという人には、つみたて成長枠を活用した「株式投資」への積極的な挑戦がおすすめです。ただし、家計の支出余力がない方は、40代でも積立投資の方が向いています。老後までまだ20年前後ありますので、リスクを抑え、着実な資産形成をしてください。

50代におすすめの資産運用

50代は子供が手を離れ始め、本格的に老後資金について考え出す頃でしょう。資金に余裕が出てきた方は、株式投資やREITなどで積極運用を検討してください。
ただし、40代や50代前半で子供の教育費が多くかかってしまい、3ヵ月~6ヵ月程度の生活資金の確保ができていない人は、いきなり株式投資で増やそうとしてはいけません。
そのような人は、50代でも債券投資などリスクを抑えた運用をすべきです。
老後までのタイムリミットが少しずつ迫っている状況のため、資金とリスクのバランスを考慮しましょう。

60代におすすめの資産運用

一般的に定年退職し、老後となる60代は債券投資などリスクを最小限に抑えた投資を行いましょう。還暦を迎えて再雇用となった場合、一部を除き、給与は減少される傾向にあります。現役時代のように高い収入は見込めないことや、60代での損失は老後への大打撃となることを踏まえると、資金によほど余裕がある資産家以外には、新たなハイリスク投資へのチャレンジは推奨できません。退職金でまとまった大金を手に入れても、それを元手に一攫千金を狙うような考えは危険です。

【金額別】資産形成のためにおすすめの運用法

手法別、年代別におすすめの運用法をお伝えしましたが、最後は金額別におすすめの運用法を紹介します。

毎月の余剰資金で積立運用する

毎月コツコツ積立投資をする場合について考えると、複利効果の重要性がわかります。
例えば、毎月3万円を年率3%積み立てた場合の収益は10年で59.2万円ですが、さらに10年運用を続けた20年目には264.9万円になります。元金は2倍でも、複利のおかげで収益は4倍以上です(以下図参照)。

 
同様に、金額を変更して年率3%で20年間運用した場合の比較結果をまとめました。

【毎月積立運用した想定結果】

毎月積立額 元本 運用収益 合計額
1万円 240.0万円 88.3万円 328.3万円
3万円 720.0万円 264.9万円 984.9万円
5万円 1,200万円 441.5万円 1,641.5万円

 

毎月の積立金額が多ければ多いほど、大きな複利効果を得ることができます。積立投資を行う方は、生活の余力範囲内でなるべく多くの資金を投資に回したいところです。

まとまった元手で運用する  

次に、まとまった元手がある場合のお話をしましょう。

まとまった元手がある場合、資金の運用による複利効果が顕著になります。例えば、手元に1,000万円の資金があり、これを年率3%で20年間運用すると、以下のような複利効果が期待できます。


【一括の元金で運用した結果】 ※元金倍率1.8061倍 

元金 運用収益 合計
100万円 80.6万円 180.6万円
500万円 403.0万円 903.0万円
1,000万円 806.1万円 1,806.1万円

元金を500万円から1,000万円にすると、運用収益も2倍となります。まとまった元手がある人は元金倍率を考慮し、元手からどれだけの割合を一括投資するのか、またどれだけの割合を積立投資にまわすのか、を考慮してリスクとのバランスをとりましょう。

資産運用で気を付ける5つのポイント

資産運用は、始めれば必ずお金が増えるものではありません。リスクは必ずつきまとい、それに対する知識や戦略など、日々の学びと振り返りが必要です。
最後の章では、資産運用をする際に気を付けるポイントを挙げてみました。失敗する人は、実はこの典型的な5つのパターンに当てはまる人が多いようです。

1:計画を立てる

資産運用で成功するためには、計画を立てることが不可欠です。計画を策定する際には、自身の投資目標やリスク許容度を明確にし、投資先をこれに基づいた選択肢に絞っていきます。
また、投資期間や資産の流動性を考慮した戦略を立て、変化する市場環境にも柔軟に対応できるようしっかりと基盤固めをしておかなくてはなりません。

2:それぞれの投資の仕組みや特徴を理解する

投資を始めるには、異なる投資先の仕組みや特徴を理解することはとても重要です。株式、債券、不動産など異なる資産クラスに投資する場合、それぞれのリスクとリターン、市場の影響を把握することが必要です。また、投資信託や株式、債券の個別銘柄など、投資先の具体的な特性も正確に把握しておきましょう。

3:初心者は「長期・分散・積立」を意識する

初心者が資産運用を始める際に心得ておくべきは、「長期・分散・積立」が基本であることです。
まず、資産は長期的な視点で運用しましょう。市場の瞬発的な変動に惑わされず、時間を味方につけることで、リスクを抑えて大きな複利が期待できます。
次に、ポートフォリオの資産を分散させることが大切です。異なる資産クラスや地域に分散することで、リスクヘッジが可能です。積立投資は定期的な投資を通じて市場の変動によるリスクを軽減し、着実な資産形成を促進します。

4:価格変動があっても感情的にならない

資産運用では価格変動がつきものですが、購入時よりも値下がりしたからと言って、感情的に反応することは避けるべきです。適切なタイミングで損切りをしなかったり、逆に早期に損切りをしてしまったりと、感情的な反応は良し悪しの判断を誤ってしまいます。
市場の波に振り回されず、冷静な視点を保つことが重要です。

5:ポートフォリオを定期的に確認する

購入後、定期的なポートフォリオの確認は運用成功の鍵です。市場環境や個別資産の動向が日々変わる中、投資目標に合わせてポートフォリオを調整することで、リスク管理や収益最大化が可能になります。また、投資目標やライフスタイルの変化に合わせポートフォリオを適応させることで、継続的に柔軟な投資を行えるでしょう。

まとめ 

本記事では、「手法別」「年代別」「金額別」3つの視点でおすすめの資産運用プランをご紹介しました。老後に向けた資産形成には、本文で解説したようにさまざまな種類の商品・手法があります。投資の仕組みを知り、自分が設定した目標を達成にはどの投資が最適なのか、という手順で選択肢を狭めていきましょう。
20代は長期積立投資スタイルを意識し、30代はのちの資産運用に向けて知識をつけていきましょう。40代はできるだけ積極的な投資を行い、50~60代は少しずつリスクを抑えた投資にシフトチェンジしてください。人生で最も若い「今」始めるのがベストなタイミングです。

この記事を書いた人

ベルテックスコラム事務局

不動産コンサルタント・税理士

不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。