2024.04.23

資産運用

ベルテックスコラム事務局

年代(世代)別オススメの資産形成(運用)方法とは?

  • 資産形成
  • 不動産投資
  • NISA
  • 投資の種類・方法
  • iDeCo

将来を見据えた資産形成は、私たちが老後の安定的な暮らしを送るために今や欠かせない行動です。しかし、自分にとって最適な資産形成の方法が何かわからない人も多いでしょう。本記事では、資産をより効率的に育てるために、年代別にオススメな運用方法を紹介します。世代に合った適切な投資戦略を理解し、自身にとって理想的な未来を手に入れましょう。

資産形成(運用)の重要性とは?

今の時代において、資産形成(運用)の重要性は益々高まっています。
着実に資金を貯めて豊かな老後を実現するためには、労働収入からの貯蓄だけではなく、資産運用が不可欠です。しかし、資産運用への取り組みにはまだまだ抵抗を感じる方も多いかもしれません。
ここでは、資産形成をするべき理由について詳しく解説します。

資産形成(運用)はなぜ重要なのか

老後の公的年金だけでは、個人の生活を維持することが難しくなっています。定年退職後から老後30年間を過ごすために必要な貯蓄額が約二千万円と言われる「老後二千万円問題」は広く知られていますが、実際にはこれだけでは足りないとの見方もあります。日本の少子高齢化と長寿化が進む中、早めの資産形成が求められ、老後に備えることが不可欠です。

人生には、結婚、住宅購入、子育て、そして老後など、多くのライフイベントがあります。これらに備えるためには、十分な蓄えが必要です。さらに、インフレによる資産の価値下落を防ぐためにも、資産運用が有効です。また、子どもや孫の未来のためにも、資産形成は欠かせません。これらの理由から、資産形成は生活の安定や将来の幸福につながる重要な要素と言えます。

資産形成(運用)をしていないのは日本だけ?

資産形成に関する意識は世界各国で異なりますが、日本の場合、まだまだ積極的な資産形成や運用に対する意識は低いと言われています。実際、他国と比較すると、日本人の金融資産は主に預金や定期預金などの安全資産に偏っています。
 
(出典:資金循環の日米欧比較 2023年8月25日 日本銀行調査統計局)

では、一体なぜ日本ではこの傾向が強いのでしょうか。世界の他の国と比較すると、日本特有の文化や教育、過去のバブル期の預金金利の高さなどの歴史的背景が大きな影響を与えていると考えられます。また、リスクを避ける傾向や、戦後から続く金融リテラシーの低さも、資産運用に対する消極的な姿勢を後押ししている可能性があります。

資産形成(運用)を始める時は年齢と資金力を考慮する 

日本人は、この現状に対して一刻も早く危機感を持ち、資産形成に着手する必要があります。資産運用を始める際には、若い世代から高齢世代まで、自身の年代に適した方法を考えることが重要です。なぜなら、年代ごとに「資金力」や「リスクの許容度」が異なるからです。

例えば、20代では時間を有効活用する、長期投資が適しています。一方で、40代になると子どもの教育費や老後資金の必要性が増すため、バランスの取れたポートフォリオが必要です。適切なリスク管理とリターンの見込みを考慮することで、各世代に適した資産形成が可能になります。

年代別にみるおすすめの資産形成の方法は?

年代ごとに、資産形成の方法は段階的に変化します。

20代では、多くの場合が単身者であり、リスクを取る余裕があることから、株式や仮想通貨などのハイリスク・ハイリターンな商品にチャレンジすることもあります。しかし、資金が限られている場合は、積立投資が適しています。長期間をかけて複利の力を活用することが重要です。

30代になると、キャリアの安定や収入の増加に伴い、子育てや住宅購入などのライフイベントを見据えた運用が必要です。この時期は、投資信託やNISAなど、ミドルリスク・ミドルリターンを目指した商品が選ばれる傾向があります。

40代では、将来の安定した資産形成を主眼に置き、株式投資や不動産投資などをバランスよく組み合わせ、リスク分散を図った積極投資がおすすめです。

50代以上の方は、リタイアメントに向けた資産確保が主な目的となります。この時期は、安全な商品を選ぶ傾向があります。定期預金や債券投資などが一般的です。

初心者が取り組むべき運用法やポイントについては、以下の記事で詳しく解説しています。これから資産形成を始める方は、ぜひご参考ください。

資産形成の方法は年代別に「リスク・リターン」を考慮する

資産形成の方法を選択する際、リスクとリターンを考慮することは極めて重要です。例えば、ベンチャー企業への株式投資などは、高いリターンが期待できる一方で、その分リスクも大きいです。世代によっては、損失が少ない安定した投資が推奨され、リスク管理が求められます。
年代別のリスク・リターンのバランスを理解し、適切な投資戦略を選択することが、資産形成の成功につながります。

「ローリスク」と「ハイリスク」について考える 

投資を始めるには、「リスクとリターン」の関係を理解することが第一歩です。
一般的に、「ローリスク・ローリターン」の原則に従います。つまり、リスクが低い投資は収益も低くなります。これは、低いリターンを受け入れる代わりに、資本の損失リスクを最小限に抑える特徴があります。銀行の定期預金や国債などがその典型的な例です。

一方、「ハイリスク・ハイリターン」の投資は、大きなリターンを求めるがゆえに、資本の損失リスクも同時に高まります。これには、FXや先物取引、仮想通貨などが含まれます。高いリターンを狙うためには、同様に高いリスクを覚悟する必要があります。

資産運用をする際には、自身のリスク許容度と将来の投資目標を考慮し、最適な運用方法を選択することが重要です。

「複利効果」について考える

複利の力は資産形成において非常に有力な要素です。特に長期的な投資では、小さな利益も再投資することで、時間とともにその利益が膨れ上がる「雪だるま式」の増加を期待できます。
若いうちから少額でもコツコツと投資を行い、複利の力を積極的に利用することで、将来の運用結果に大きな差が出るでしょう。複利効果は、一定額を継続的に積み立てることで最も効果的に発揮され、資産形成のスピードを加速させることができます。
 
(出典:金融庁ホームページ「投資の基本」より)

【年代別】おすすめ資産形成の方法

人生100年時代と言われる現代において資産形成の方法も多様化する中、自分に合う運用法を見つけるのは難しいものです。そこで以下では、年代別におすすめの資産形成の方法を紹介します。収入やライフイベントの変化に合わせて、適切な方法を見つけましょう。
ただし、人それぞれ資金力が異なり、一概に年代別として一括りにできない側面もみられます。

【年齢階層別の平均給与】

年齢 男性 女性
19歳以下 137万円 114万円
20~24歳 291万円 253万円
25~29歳 420万円 349万円
30~34歳 485万円 338万円
35~39歳 549万円 333万円
40~44歳 602万円 335万円
45~49歳 643万円 346万円
50~54歳 684万円 340万円
55~59歳 702万円 329万円
60~64歳 569万円 267万円

(出典:国税庁長官官房企画課「民間給与実態統計調査-調査結果報告- 令和5年9月」より一部抜粋)

上記は、最新の年代別の平均給与における調査の実態です。男女でも給与差が大きく見られますので、自身の資金力と照らし合わせたうえで考えてください。

20代におすすめしたい資産運用の方法

若さという強みを武器に、長期的な視野で資産形成を始めることができる20代は、資産形成のスタート時期として理想的なタイミングです。では、どのような方法が20代に適しているのかを具体的に見ていきましょう。

新NISA(つみたて投資枠)

新NISAは、20代の若年層にとって極めて魅力的な制度であり、その特徴は長期的に少額からでも投資が可能である点にあります。この制度を活用することで、節税の恩恵を長く受けることができます。新NISAでは、株式や投資信託などの利益にかかる税金が非課税となります。そのため、生活の余剰資金を少しずつ投資することで、複利の力もより効果的に働きます。リスク分散を考慮しつつ、ポートフォリオを組むことが若いうちからの資産形成の重要な手段と言えます。

iDeCo

20代にとって、iDeCo(イデコ)という個人型確定拠出年金もおすすめの選択肢です。老後の資産形成を見据えながら、税制優遇を受けながら自分で運用できます。iDeCoは自身の収入に応じて柔軟に掛金を決めることができ、毎月の掛金が全額所得控除になるため、高い節税効果を期待できます。定期的に資金を積み立てながら、リスク許容度に合わせた投資商品を選ぶことが重要です。若い時期から開始することで、長期にわたる資産運用が可能となり、長期間の節税効果も期待できます。

30代におすすめしたい資産運用の方法 

30代になるとキャリアを積み重ねて収入が安定してくる時期であり、また家族を持つ人も増えてきます。この時期は、少し余裕を持って資産形成に取り組めるタイミングであると同時に、将来への備えも真剣に考え始めるべき段階です。

投資信託

投資信託は、専門家が複数の株式や債券に分散して投資することで、1つの金融商品に集中投資するリスクを抑えることができます。また、積立投資を通じて、少額からでも着実に資産を増やすことが可能です。リスクとリターンのバランスを考慮したポートフォリオを簡単に構築でき、忙しい30代の方にも手軽に続けられる投資方法です。ただし、運用コストやパフォーマンスを評価する能力も必要であり、自身に合った投資商品を選択する知識が求められます。

新NISA(成長投資枠)

新NISAの成長投資枠は、特定の条件下で投資による利益に対して税金がかからない制度です。つみたて投資枠の2倍の年間投資枠を設けており、中長期にわたる税制上の優遇を享受できます。
2024年から始まった新NISAは従来よりも内容が改良され、生涯を通して行う資産形成に適した制度になりました。投資期間や投資対象、投資金額の制限を確認し、自身のライフプランに合わせて手堅く運用計画を立てていきましょう。
新NISAの変更内容については以下の記事で解説しておりますので、ご確認ください。

ミニ株投資

ミニ株投資は、通常の株式投資と比較して、1株から購入できるため、初めての方でも手軽に株式市場に参加することができる投資手法です。この点が忙しい30代でも取り組みやすい投資手段と言えます。
また、少額投資で複数の企業に分散投資することが可能であり、リスクの軽減を図ることができます。投資信託などで投資経験を積み、これから本格的に株式投資を行いたい方が、疑似体験を行うのにもおすすめと言えるでしょう。
手数料や売買のタイミングによっては予想以上に利益が出ない場合もあるため、相場観を養うと同時に自己資金内で無理のない運用計画を立てることが必要です。

40代におすすめしたい資産運用の方法

40代の方は、将来の安定やリタイアメントプランの確立に向けて戦略的に運用することが重要です。株式や不動産などの投資はおすすめできる選択肢ですが、リスク分散も忘れてはなりません。
自身のライフスタイルやリスク許容度に合った戦略を選択し、着実に資産を育てていくことが肝要です。

株式投資

株式投資は、幅広い年代の人々によって選ばれる資産形成の手段の一つですが、特に社会情勢や経済に敏感で、投資の知識を持つ40代の方々にとっては魅力的な方法と言えます。リスクを最小限に抑えながらも、企業の成長や配当の増加によるリターンを期待できる銘柄の選択が肝要です。

投資を検討する際には、経済情勢や企業の健全性、配当利回りなどを入念に分析し、専門家のアドバイスを受けることが重要です。また、株式投資には一定の資金が必要ですので、自身の資金力と相談しながら、無理のない範囲で取り組みましょう。

不動産投資

不動産投資は、他の投資方法と比較して、安定したキャッシュフローを確保しやすいとされています。特に、賃貸物件への投資は定期的な収入源を提供するため、老後の私的年金としても有望な選択肢と言えます。
一般的に、不動産投資には金融機関からの借入が必要ですが、40代でも物件の収益性を重視すれば融資承認を得られる可能性は高いでしょう。一方、50代になるとフルローンの取得は難しくなりますので、投資を始めるのであれば40代のうちが適しています。
ただし、不動産投資には立地選びや建物の管理状態、空室リスクなど多くのリスクが潜んでいます。そのため、不動産投資を検討する際には専門的な知識が必要です。信頼できる不動産会社や専門家に相談し、リスクを十分に考慮した上で投資を行うことが重要です。

50代以上におすすめしたい資産運用の方法

この年代に差し掛かると、これまでの人生や資産形成の成果が大きく影響してきます。投資に関する知識が増し、資金力を有する人は新たな投資手法に挑戦することも考えられます。しかし、そうでない場合は、リスクを過度に取らずに安定した収益を追求することが重要です。

また、老後への準備として住宅ローンの一括返済を検討する人もいますが、大きな現金を使うことになるため、慎重な判断が必要です。将来の資金計画を考慮し、リスクとリターンのバランスを考えながら賢明な選択をすることが肝要です。

保険商品(外貨建て保険・変額保険など)

生命保険や個人年金保険は、老後のライフプランを支え、万が一の時に家族を守るための重要な手段の一つです。こうした保険商品は定期的な保険料の支払いによって、将来的な一定金額の受け取りを約束するものであり、特に配偶者や子どもの存在を考える50代以上の方々には重要な存在です。
また、適切な保険商品を選ぶことで税制上のメリットを享受できる場合もあります。保険商品の中には変額保険のように投資型のものもあります。自身のリスク許容度と将来的なニーズを精査した上で、数ある商品の中から自分にマッチする最適なものを選択することが必要です。

定期預金

定期預金は、銀行によって元本が保証されるため、非常に低いリスクで資産を運用できる方法です。しかし、その反面、「ローリスク・ローリターンの法則」に従い、低いリスクによって得られるリターンも限られています。このため、円の価値の減少や投資機会の損失を考慮すると、定期預金は資産形成において効果が限定的かもしれません。特に50代という年齢層では、定期預金が推奨されることがありますが、長期的な資産形成には単独で頼ることはおすすめできません。
さらに、定期預金で資金を長期間固定することによって、他の投資機会を逃してしまう可能性もあります。定期預金を運用する際は、全体の資産バランスを考慮し、他の投資方法との組み合わせを検討することが重要です。

債券投資 

債券投資は、国債や地方債、企業債など、幅広い種類の債券があり、それぞれリスクとリターンの特徴が異なります。一般的には低リスクとされていますが、金利の動向によっては価値が下がるリスクもあり得ます。また適切な分散投資を行わずに特定の債券に集中投資してしまうと、その企業や国がデフォルト(債務不履行)に陥った時のリスクが高くなってしまうのも覚えておくことが必要です(デフォルトリスク)。
10年国債での運用は、50代という年齢的にも老後に備えることができ、お勧めと言えるでしょう。債券投資を行う際は、リスク分散と金利変動への理解を深めることが大切です。

【年代別】資産形成の失敗例!おすすめ方法を実践しても失敗はする!

資産運用においては、どれだけ推奨されている方法でも、失敗は起こりえるものです。成功事例だけでなく、失敗例を知ることでリスク管理を学び、自身の投資戦略に反映できます。
特に年代別で見ると、生活状況や投資目的が異なるため、失敗の内容もまちまちです。具体的な失敗例をいくつか紹介します。

20代の事例:勢いと勉強不足による失敗 

20代はまだ投資経験が少なく、知識が浅いまま熱い思いで投資に臨むことが多い年代です。
例えば、SNSで流行りの銘柄や人気の投資法に飛びついてしまい、しっかりとした学びや分析を欠いたまま資金を投じるケースが見られます。
また、個別株に「キリが良い価格で」と高額を投じるなど、リスクの高い投資を無理に行ってしまうこともあります。これらの行動は、市場の急変によって大きな損失に繋がる可能性があり、始める前に十分な勉強や経験が必要です。若いからと言って無謀な投資はせず、リスクをしっかりと理解し、長期的な資産形成を目指しましょう。

30代の事例:資金力や投資に余裕がでてきたことによる失敗

30代になり資金力や投資への余裕がでてくると、チャレンジ精神に駆られ、大きな利益を狙いたくなる人が増加します。
十分な知識がないままFXや先物取引などの高リスク・高リターンの投資に手を出し、その過程で失敗することも少なくありません。急激な市場変動やリスクを理解せずに投資を行うと、大きな損失を生む可能性が高まります。
また、資金力が増したことで無駄遣いや無計画な支出が増え、将来のための資産形成がおろそかになることもあります。30代の資金力や投資余裕が増すことは素晴らしいチャンスですが、資産形成に向けた慎重な計画とリスク管理が欠かせません。

40代の事例:損切りのタイミングミスによる失敗

40代における資産運用では、損切りのタイミングを見誤ることが失敗の要因となることがあります。
例えば、株式投資においては、一時的な株価の下落に対して感情的に反応し、焦りの気持ちからすぐに売却を行うことがあります。しかし、その後株価が回復する可能性もあり、早期の売却は必ずしも最良の方法ではありません。
反対に、「回復するだろう」と損切りのチャンスを見逃し、損失が膨らんでしまうこともあります。40代は、家族や将来への責任を感じやすいため、損失を最小限に抑えようとしてリスクを取りすぎる傾向があります。損切りの見極め方について、事前にリスク管理の計画を立て、それに基づいた行動が重要です。
また、子供の教育資金などの準備も大切な時期なので、夫婦間での情報共有や話し合いも大切です。

50代の事例:老後への不安からくる失敗

多くの50代は、定年退職や老後の生活費の不安を感じています。
そのため、ハイリスク・ハイリターンの投資や急激な資産運用に手を出し、大きな利益を追求したくなる人がいます。しかし、このような行動はむしろリスクを増大させ、老後の生活を脅かしてしまうでしょう。50代にとって重要なのは、将来の不安を理性的に見つめ、冷静な資産運用計画を立てることです。
また、60代には退職金の半分などまとまった金額を一括投資する人もいます。50代以上は、老後の不安があっても冷静な判断力を欠かず、リスクをなるべく軽減させた運用を行いましょう。

資産形成をする際の注意ポイント5選

最後の章では、資産形成を行う際の注意点について解説していきます。
個々の標設定や方法ごとのリスク管理、また購入後の注意など、資産運用のポイントを押さえて着実に成功させましょう。

その①目標設定を明確にする

資産形成の目標を明確にすることは、どの年代においても極めて重要です。何のために、どの程度のリターンを得ることを目指すのか、いつまでにどの程度の資産を築くことを考えているのかを明確にしましょう。目標が定まっていると、それに適した投資方法を選ぶことができ、運用の方向性がぶれることなく進むでしょう。また、目標達成へ向けた進捗状況を定期的にチェックすることも忘れてはなりません。

 【年代別の目標例】

年代 目標の一例
20代 老後まで40年をかけて2,000万円を貯蓄する
30代 10年をかけて400万円の教育資金を貯め、同時に老後の費用も生み出せるように運用する
40代  不動産投資でローンを組み、完済後(老後)に毎月家賃全額の収入を得る
50代  債券投資を10年運用して老後の資金を増やし、同時に保険商品で私的年金も作る

    

その②目標と資金力から資産運用する商品を考える 

資産形成におけるもう1つのポイントは、自身の資金力を正確に把握し、それに応じた金融商品選びをすることです。リスクの許容度に合わせた運用商品を選ぶことで、予期せぬ損失を避けつつ、着実な成果を目指せるでしょう。高いリターンを求めるあまり、自身の能力を超えた運用は避けるべきです。

金融商品選びをする際は、①で考えた目標と自身の資金力から逆算して考えましょう。ゴール地点をいつにするのか、また毎月いくらで運用するのかを設定すれば、おのずと利回りが決まり、運用商品が絞られます。

その③運用シミュレーションをしてみる

ひとたび投資する商品を決めたら、可能な範囲で収益シミュレーションを行うことがおすすめです。これにより、市場の変動や自身の資金状況に応じた運用結果を予測しやすくなります。
収益シミュレーションをする際には、「毎月の金額」「運用期間」「利回り」を変更し、複利効果を確認していきます。それぞれの投資商品について、長期的なリターンの見込みとリスクを天秤にかけて考えることができるでしょう。
また、収益シミュレーション以外のリスク管理も必須で、安全性や流動性といった幅広い視野で事前のリスクシミュレーションを行ってください。

その④プロや専門家などから情報収集する

賢明な資産運用のためには、プロや専門家からの情報収集も欠かせません。売買のタイミングや市場のトレンドなどは、常に変化していきます。そのため、信頼できる情報源からの最新情報を常に入手し、適切な判断材料にすることが大切です。
また、不動産投資をする場合は、特有のリスクにおける知識も求められるため、素人の独自判断は危険です。弊社でも、専門知識が豊富な担当者が無料相談を行っておりますので、不動産投資をご検討中の方はお気軽にご相談ください。

その⑤購入後はポートフォリオの見直しをする

最後に、投資を開始した後は、定期的にポートフォリオの見直しを行うことが大切です。
市場環境の変化に伴い、当初の戦略が最善でなくなることもありますので、柔軟に対応していく必要があります。そのためには、自身の投資成績をこまめに確認し、必要に応じて運用方針を軌道修正することが推奨されます。

まとめ

本記事では、年代別におすすめする運用方法、また失敗事例や注意ポイントについて紹介しました。

現代では、資産形成をしておかなければ退職後の生活がままならない状況に陥りかねません。
若い世代は少額でもスタートすることが重要で、時間を味方につけた高い資産形成が可能です。30~40代は株式や成長産業への積極投資が推奨されますが、リスク管理も怠らないようにしましょう。
50代以上の世代は安定性を重視し、株式よりも債券や保険商品などの安定した収益源を選択することが理想的です。

ただし、どの世代でも失敗はつきものです。失敗例を知り、感情に振り回されず、冷静な判断を心がけましょう。資産形成においては急激な成果を求めず、着実に資産を積み上げることが成功への近道です。
最後に、資産形成においては個々の状況や目標に応じて戦略を立てることが肝要です。安定した資産形成を実現するためには、定期的にポートフォリオを確認し、リスク管理・収益性のバランスを考慮したうえで、継続的に見直しましょう。

この記事を書いた人

ベルテックスコラム事務局

不動産コンサルタント・税理士

不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。

2024.04.23

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年代(世代)別オススメの資産形成(運用)方法とは?

  • 資産形成
  • 不動産投資
  • NISA
  • 投資の種類・方法
  • iDeCo

将来を見据えた資産形成は、私たちが老後の安定的な暮らしを送るために今や欠かせない行動です。しかし、自分にとって最適な資産形成の方法が何かわからない人も多いでしょう。本記事では、資産をより効率的に育てるために、年代別にオススメな運用方法を紹介します。世代に合った適切な投資戦略を理解し、自身にとって理想的な未来を手に入れましょう。

資産形成(運用)の重要性とは?

今の時代において、資産形成(運用)の重要性は益々高まっています。
着実に資金を貯めて豊かな老後を実現するためには、労働収入からの貯蓄だけではなく、資産運用が不可欠です。しかし、資産運用への取り組みにはまだまだ抵抗を感じる方も多いかもしれません。
ここでは、資産形成をするべき理由について詳しく解説します。

資産形成(運用)はなぜ重要なのか

老後の公的年金だけでは、個人の生活を維持することが難しくなっています。定年退職後から老後30年間を過ごすために必要な貯蓄額が約二千万円と言われる「老後二千万円問題」は広く知られていますが、実際にはこれだけでは足りないとの見方もあります。日本の少子高齢化と長寿化が進む中、早めの資産形成が求められ、老後に備えることが不可欠です。

人生には、結婚、住宅購入、子育て、そして老後など、多くのライフイベントがあります。これらに備えるためには、十分な蓄えが必要です。さらに、インフレによる資産の価値下落を防ぐためにも、資産運用が有効です。また、子どもや孫の未来のためにも、資産形成は欠かせません。これらの理由から、資産形成は生活の安定や将来の幸福につながる重要な要素と言えます。

資産形成(運用)をしていないのは日本だけ?

資産形成に関する意識は世界各国で異なりますが、日本の場合、まだまだ積極的な資産形成や運用に対する意識は低いと言われています。実際、他国と比較すると、日本人の金融資産は主に預金や定期預金などの安全資産に偏っています。
 
(出典:資金循環の日米欧比較 2023年8月25日 日本銀行調査統計局)

では、一体なぜ日本ではこの傾向が強いのでしょうか。世界の他の国と比較すると、日本特有の文化や教育、過去のバブル期の預金金利の高さなどの歴史的背景が大きな影響を与えていると考えられます。また、リスクを避ける傾向や、戦後から続く金融リテラシーの低さも、資産運用に対する消極的な姿勢を後押ししている可能性があります。

資産形成(運用)を始める時は年齢と資金力を考慮する 

日本人は、この現状に対して一刻も早く危機感を持ち、資産形成に着手する必要があります。資産運用を始める際には、若い世代から高齢世代まで、自身の年代に適した方法を考えることが重要です。なぜなら、年代ごとに「資金力」や「リスクの許容度」が異なるからです。

例えば、20代では時間を有効活用する、長期投資が適しています。一方で、40代になると子どもの教育費や老後資金の必要性が増すため、バランスの取れたポートフォリオが必要です。適切なリスク管理とリターンの見込みを考慮することで、各世代に適した資産形成が可能になります。

年代別にみるおすすめの資産形成の方法は?

年代ごとに、資産形成の方法は段階的に変化します。

20代では、多くの場合が単身者であり、リスクを取る余裕があることから、株式や仮想通貨などのハイリスク・ハイリターンな商品にチャレンジすることもあります。しかし、資金が限られている場合は、積立投資が適しています。長期間をかけて複利の力を活用することが重要です。

30代になると、キャリアの安定や収入の増加に伴い、子育てや住宅購入などのライフイベントを見据えた運用が必要です。この時期は、投資信託やNISAなど、ミドルリスク・ミドルリターンを目指した商品が選ばれる傾向があります。

40代では、将来の安定した資産形成を主眼に置き、株式投資や不動産投資などをバランスよく組み合わせ、リスク分散を図った積極投資がおすすめです。

50代以上の方は、リタイアメントに向けた資産確保が主な目的となります。この時期は、安全な商品を選ぶ傾向があります。定期預金や債券投資などが一般的です。

初心者が取り組むべき運用法やポイントについては、以下の記事で詳しく解説しています。これから資産形成を始める方は、ぜひご参考ください。

資産形成の方法は年代別に「リスク・リターン」を考慮する

資産形成の方法を選択する際、リスクとリターンを考慮することは極めて重要です。例えば、ベンチャー企業への株式投資などは、高いリターンが期待できる一方で、その分リスクも大きいです。世代によっては、損失が少ない安定した投資が推奨され、リスク管理が求められます。
年代別のリスク・リターンのバランスを理解し、適切な投資戦略を選択することが、資産形成の成功につながります。

「ローリスク」と「ハイリスク」について考える 

投資を始めるには、「リスクとリターン」の関係を理解することが第一歩です。
一般的に、「ローリスク・ローリターン」の原則に従います。つまり、リスクが低い投資は収益も低くなります。これは、低いリターンを受け入れる代わりに、資本の損失リスクを最小限に抑える特徴があります。銀行の定期預金や国債などがその典型的な例です。

一方、「ハイリスク・ハイリターン」の投資は、大きなリターンを求めるがゆえに、資本の損失リスクも同時に高まります。これには、FXや先物取引、仮想通貨などが含まれます。高いリターンを狙うためには、同様に高いリスクを覚悟する必要があります。

資産運用をする際には、自身のリスク許容度と将来の投資目標を考慮し、最適な運用方法を選択することが重要です。

「複利効果」について考える

複利の力は資産形成において非常に有力な要素です。特に長期的な投資では、小さな利益も再投資することで、時間とともにその利益が膨れ上がる「雪だるま式」の増加を期待できます。
若いうちから少額でもコツコツと投資を行い、複利の力を積極的に利用することで、将来の運用結果に大きな差が出るでしょう。複利効果は、一定額を継続的に積み立てることで最も効果的に発揮され、資産形成のスピードを加速させることができます。
 
(出典:金融庁ホームページ「投資の基本」より)

【年代別】おすすめ資産形成の方法

人生100年時代と言われる現代において資産形成の方法も多様化する中、自分に合う運用法を見つけるのは難しいものです。そこで以下では、年代別におすすめの資産形成の方法を紹介します。収入やライフイベントの変化に合わせて、適切な方法を見つけましょう。
ただし、人それぞれ資金力が異なり、一概に年代別として一括りにできない側面もみられます。

【年齢階層別の平均給与】

年齢 男性 女性
19歳以下 137万円 114万円
20~24歳 291万円 253万円
25~29歳 420万円 349万円
30~34歳 485万円 338万円
35~39歳 549万円 333万円
40~44歳 602万円 335万円
45~49歳 643万円 346万円
50~54歳 684万円 340万円
55~59歳 702万円 329万円
60~64歳 569万円 267万円

(出典:国税庁長官官房企画課「民間給与実態統計調査-調査結果報告- 令和5年9月」より一部抜粋)

上記は、最新の年代別の平均給与における調査の実態です。男女でも給与差が大きく見られますので、自身の資金力と照らし合わせたうえで考えてください。

20代におすすめしたい資産運用の方法

若さという強みを武器に、長期的な視野で資産形成を始めることができる20代は、資産形成のスタート時期として理想的なタイミングです。では、どのような方法が20代に適しているのかを具体的に見ていきましょう。

新NISA(つみたて投資枠)

新NISAは、20代の若年層にとって極めて魅力的な制度であり、その特徴は長期的に少額からでも投資が可能である点にあります。この制度を活用することで、節税の恩恵を長く受けることができます。新NISAでは、株式や投資信託などの利益にかかる税金が非課税となります。そのため、生活の余剰資金を少しずつ投資することで、複利の力もより効果的に働きます。リスク分散を考慮しつつ、ポートフォリオを組むことが若いうちからの資産形成の重要な手段と言えます。

iDeCo

20代にとって、iDeCo(イデコ)という個人型確定拠出年金もおすすめの選択肢です。老後の資産形成を見据えながら、税制優遇を受けながら自分で運用できます。iDeCoは自身の収入に応じて柔軟に掛金を決めることができ、毎月の掛金が全額所得控除になるため、高い節税効果を期待できます。定期的に資金を積み立てながら、リスク許容度に合わせた投資商品を選ぶことが重要です。若い時期から開始することで、長期にわたる資産運用が可能となり、長期間の節税効果も期待できます。

30代におすすめしたい資産運用の方法 

30代になるとキャリアを積み重ねて収入が安定してくる時期であり、また家族を持つ人も増えてきます。この時期は、少し余裕を持って資産形成に取り組めるタイミングであると同時に、将来への備えも真剣に考え始めるべき段階です。

投資信託

投資信託は、専門家が複数の株式や債券に分散して投資することで、1つの金融商品に集中投資するリスクを抑えることができます。また、積立投資を通じて、少額からでも着実に資産を増やすことが可能です。リスクとリターンのバランスを考慮したポートフォリオを簡単に構築でき、忙しい30代の方にも手軽に続けられる投資方法です。ただし、運用コストやパフォーマンスを評価する能力も必要であり、自身に合った投資商品を選択する知識が求められます。

新NISA(成長投資枠)

新NISAの成長投資枠は、特定の条件下で投資による利益に対して税金がかからない制度です。つみたて投資枠の2倍の年間投資枠を設けており、中長期にわたる税制上の優遇を享受できます。
2024年から始まった新NISAは従来よりも内容が改良され、生涯を通して行う資産形成に適した制度になりました。投資期間や投資対象、投資金額の制限を確認し、自身のライフプランに合わせて手堅く運用計画を立てていきましょう。
新NISAの変更内容については以下の記事で解説しておりますので、ご確認ください。

ミニ株投資

ミニ株投資は、通常の株式投資と比較して、1株から購入できるため、初めての方でも手軽に株式市場に参加することができる投資手法です。この点が忙しい30代でも取り組みやすい投資手段と言えます。
また、少額投資で複数の企業に分散投資することが可能であり、リスクの軽減を図ることができます。投資信託などで投資経験を積み、これから本格的に株式投資を行いたい方が、疑似体験を行うのにもおすすめと言えるでしょう。
手数料や売買のタイミングによっては予想以上に利益が出ない場合もあるため、相場観を養うと同時に自己資金内で無理のない運用計画を立てることが必要です。

40代におすすめしたい資産運用の方法

40代の方は、将来の安定やリタイアメントプランの確立に向けて戦略的に運用することが重要です。株式や不動産などの投資はおすすめできる選択肢ですが、リスク分散も忘れてはなりません。
自身のライフスタイルやリスク許容度に合った戦略を選択し、着実に資産を育てていくことが肝要です。

株式投資

株式投資は、幅広い年代の人々によって選ばれる資産形成の手段の一つですが、特に社会情勢や経済に敏感で、投資の知識を持つ40代の方々にとっては魅力的な方法と言えます。リスクを最小限に抑えながらも、企業の成長や配当の増加によるリターンを期待できる銘柄の選択が肝要です。

投資を検討する際には、経済情勢や企業の健全性、配当利回りなどを入念に分析し、専門家のアドバイスを受けることが重要です。また、株式投資には一定の資金が必要ですので、自身の資金力と相談しながら、無理のない範囲で取り組みましょう。

不動産投資

不動産投資は、他の投資方法と比較して、安定したキャッシュフローを確保しやすいとされています。特に、賃貸物件への投資は定期的な収入源を提供するため、老後の私的年金としても有望な選択肢と言えます。
一般的に、不動産投資には金融機関からの借入が必要ですが、40代でも物件の収益性を重視すれば融資承認を得られる可能性は高いでしょう。一方、50代になるとフルローンの取得は難しくなりますので、投資を始めるのであれば40代のうちが適しています。
ただし、不動産投資には立地選びや建物の管理状態、空室リスクなど多くのリスクが潜んでいます。そのため、不動産投資を検討する際には専門的な知識が必要です。信頼できる不動産会社や専門家に相談し、リスクを十分に考慮した上で投資を行うことが重要です。

50代以上におすすめしたい資産運用の方法

この年代に差し掛かると、これまでの人生や資産形成の成果が大きく影響してきます。投資に関する知識が増し、資金力を有する人は新たな投資手法に挑戦することも考えられます。しかし、そうでない場合は、リスクを過度に取らずに安定した収益を追求することが重要です。

また、老後への準備として住宅ローンの一括返済を検討する人もいますが、大きな現金を使うことになるため、慎重な判断が必要です。将来の資金計画を考慮し、リスクとリターンのバランスを考えながら賢明な選択をすることが肝要です。

保険商品(外貨建て保険・変額保険など)

生命保険や個人年金保険は、老後のライフプランを支え、万が一の時に家族を守るための重要な手段の一つです。こうした保険商品は定期的な保険料の支払いによって、将来的な一定金額の受け取りを約束するものであり、特に配偶者や子どもの存在を考える50代以上の方々には重要な存在です。
また、適切な保険商品を選ぶことで税制上のメリットを享受できる場合もあります。保険商品の中には変額保険のように投資型のものもあります。自身のリスク許容度と将来的なニーズを精査した上で、数ある商品の中から自分にマッチする最適なものを選択することが必要です。

定期預金

定期預金は、銀行によって元本が保証されるため、非常に低いリスクで資産を運用できる方法です。しかし、その反面、「ローリスク・ローリターンの法則」に従い、低いリスクによって得られるリターンも限られています。このため、円の価値の減少や投資機会の損失を考慮すると、定期預金は資産形成において効果が限定的かもしれません。特に50代という年齢層では、定期預金が推奨されることがありますが、長期的な資産形成には単独で頼ることはおすすめできません。
さらに、定期預金で資金を長期間固定することによって、他の投資機会を逃してしまう可能性もあります。定期預金を運用する際は、全体の資産バランスを考慮し、他の投資方法との組み合わせを検討することが重要です。

債券投資 

債券投資は、国債や地方債、企業債など、幅広い種類の債券があり、それぞれリスクとリターンの特徴が異なります。一般的には低リスクとされていますが、金利の動向によっては価値が下がるリスクもあり得ます。また適切な分散投資を行わずに特定の債券に集中投資してしまうと、その企業や国がデフォルト(債務不履行)に陥った時のリスクが高くなってしまうのも覚えておくことが必要です(デフォルトリスク)。
10年国債での運用は、50代という年齢的にも老後に備えることができ、お勧めと言えるでしょう。債券投資を行う際は、リスク分散と金利変動への理解を深めることが大切です。

【年代別】資産形成の失敗例!おすすめ方法を実践しても失敗はする!

資産運用においては、どれだけ推奨されている方法でも、失敗は起こりえるものです。成功事例だけでなく、失敗例を知ることでリスク管理を学び、自身の投資戦略に反映できます。
特に年代別で見ると、生活状況や投資目的が異なるため、失敗の内容もまちまちです。具体的な失敗例をいくつか紹介します。

20代の事例:勢いと勉強不足による失敗 

20代はまだ投資経験が少なく、知識が浅いまま熱い思いで投資に臨むことが多い年代です。
例えば、SNSで流行りの銘柄や人気の投資法に飛びついてしまい、しっかりとした学びや分析を欠いたまま資金を投じるケースが見られます。
また、個別株に「キリが良い価格で」と高額を投じるなど、リスクの高い投資を無理に行ってしまうこともあります。これらの行動は、市場の急変によって大きな損失に繋がる可能性があり、始める前に十分な勉強や経験が必要です。若いからと言って無謀な投資はせず、リスクをしっかりと理解し、長期的な資産形成を目指しましょう。

30代の事例:資金力や投資に余裕がでてきたことによる失敗

30代になり資金力や投資への余裕がでてくると、チャレンジ精神に駆られ、大きな利益を狙いたくなる人が増加します。
十分な知識がないままFXや先物取引などの高リスク・高リターンの投資に手を出し、その過程で失敗することも少なくありません。急激な市場変動やリスクを理解せずに投資を行うと、大きな損失を生む可能性が高まります。
また、資金力が増したことで無駄遣いや無計画な支出が増え、将来のための資産形成がおろそかになることもあります。30代の資金力や投資余裕が増すことは素晴らしいチャンスですが、資産形成に向けた慎重な計画とリスク管理が欠かせません。

40代の事例:損切りのタイミングミスによる失敗

40代における資産運用では、損切りのタイミングを見誤ることが失敗の要因となることがあります。
例えば、株式投資においては、一時的な株価の下落に対して感情的に反応し、焦りの気持ちからすぐに売却を行うことがあります。しかし、その後株価が回復する可能性もあり、早期の売却は必ずしも最良の方法ではありません。
反対に、「回復するだろう」と損切りのチャンスを見逃し、損失が膨らんでしまうこともあります。40代は、家族や将来への責任を感じやすいため、損失を最小限に抑えようとしてリスクを取りすぎる傾向があります。損切りの見極め方について、事前にリスク管理の計画を立て、それに基づいた行動が重要です。
また、子供の教育資金などの準備も大切な時期なので、夫婦間での情報共有や話し合いも大切です。

50代の事例:老後への不安からくる失敗

多くの50代は、定年退職や老後の生活費の不安を感じています。
そのため、ハイリスク・ハイリターンの投資や急激な資産運用に手を出し、大きな利益を追求したくなる人がいます。しかし、このような行動はむしろリスクを増大させ、老後の生活を脅かしてしまうでしょう。50代にとって重要なのは、将来の不安を理性的に見つめ、冷静な資産運用計画を立てることです。
また、60代には退職金の半分などまとまった金額を一括投資する人もいます。50代以上は、老後の不安があっても冷静な判断力を欠かず、リスクをなるべく軽減させた運用を行いましょう。

資産形成をする際の注意ポイント5選

最後の章では、資産形成を行う際の注意点について解説していきます。
個々の標設定や方法ごとのリスク管理、また購入後の注意など、資産運用のポイントを押さえて着実に成功させましょう。

その①目標設定を明確にする

資産形成の目標を明確にすることは、どの年代においても極めて重要です。何のために、どの程度のリターンを得ることを目指すのか、いつまでにどの程度の資産を築くことを考えているのかを明確にしましょう。目標が定まっていると、それに適した投資方法を選ぶことができ、運用の方向性がぶれることなく進むでしょう。また、目標達成へ向けた進捗状況を定期的にチェックすることも忘れてはなりません。

 【年代別の目標例】

年代 目標の一例
20代 老後まで40年をかけて2,000万円を貯蓄する
30代 10年をかけて400万円の教育資金を貯め、同時に老後の費用も生み出せるように運用する
40代  不動産投資でローンを組み、完済後(老後)に毎月家賃全額の収入を得る
50代  債券投資を10年運用して老後の資金を増やし、同時に保険商品で私的年金も作る

    

その②目標と資金力から資産運用する商品を考える 

資産形成におけるもう1つのポイントは、自身の資金力を正確に把握し、それに応じた金融商品選びをすることです。リスクの許容度に合わせた運用商品を選ぶことで、予期せぬ損失を避けつつ、着実な成果を目指せるでしょう。高いリターンを求めるあまり、自身の能力を超えた運用は避けるべきです。

金融商品選びをする際は、①で考えた目標と自身の資金力から逆算して考えましょう。ゴール地点をいつにするのか、また毎月いくらで運用するのかを設定すれば、おのずと利回りが決まり、運用商品が絞られます。

その③運用シミュレーションをしてみる

ひとたび投資する商品を決めたら、可能な範囲で収益シミュレーションを行うことがおすすめです。これにより、市場の変動や自身の資金状況に応じた運用結果を予測しやすくなります。
収益シミュレーションをする際には、「毎月の金額」「運用期間」「利回り」を変更し、複利効果を確認していきます。それぞれの投資商品について、長期的なリターンの見込みとリスクを天秤にかけて考えることができるでしょう。
また、収益シミュレーション以外のリスク管理も必須で、安全性や流動性といった幅広い視野で事前のリスクシミュレーションを行ってください。

その④プロや専門家などから情報収集する

賢明な資産運用のためには、プロや専門家からの情報収集も欠かせません。売買のタイミングや市場のトレンドなどは、常に変化していきます。そのため、信頼できる情報源からの最新情報を常に入手し、適切な判断材料にすることが大切です。
また、不動産投資をする場合は、特有のリスクにおける知識も求められるため、素人の独自判断は危険です。弊社でも、専門知識が豊富な担当者が無料相談を行っておりますので、不動産投資をご検討中の方はお気軽にご相談ください。

その⑤購入後はポートフォリオの見直しをする

最後に、投資を開始した後は、定期的にポートフォリオの見直しを行うことが大切です。
市場環境の変化に伴い、当初の戦略が最善でなくなることもありますので、柔軟に対応していく必要があります。そのためには、自身の投資成績をこまめに確認し、必要に応じて運用方針を軌道修正することが推奨されます。

まとめ

本記事では、年代別におすすめする運用方法、また失敗事例や注意ポイントについて紹介しました。

現代では、資産形成をしておかなければ退職後の生活がままならない状況に陥りかねません。
若い世代は少額でもスタートすることが重要で、時間を味方につけた高い資産形成が可能です。30~40代は株式や成長産業への積極投資が推奨されますが、リスク管理も怠らないようにしましょう。
50代以上の世代は安定性を重視し、株式よりも債券や保険商品などの安定した収益源を選択することが理想的です。

ただし、どの世代でも失敗はつきものです。失敗例を知り、感情に振り回されず、冷静な判断を心がけましょう。資産形成においては急激な成果を求めず、着実に資産を積み上げることが成功への近道です。
最後に、資産形成においては個々の状況や目標に応じて戦略を立てることが肝要です。安定した資産形成を実現するためには、定期的にポートフォリオを確認し、リスク管理・収益性のバランスを考慮したうえで、継続的に見直しましょう。

この記事を書いた人

ベルテックスコラム事務局

不動産コンサルタント・税理士

不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。