2025.02.19

不動産投資の基本

ベルテックスコラム事務局

不動産投資における入居率の信憑性は?目標値・計算方法と経営成功のポイント

  • はじめ方・基礎知識

不動産投資会社のホームページやパンフレットには「入居率98%以上」「高い入居率を実現」などといった謳い文句がよく並んでいます。こうした各社が掲げる高い入居率は、本当に信頼できる数字なのでしょうか。

実は、入居率の計算方法は会社によって異なり、同じ物件でも異なる数値として表示されることがあります。ここでは、入居率の計算方法の違いや実態を明らかにしつつ、本当に入居率の高い物件の特徴や、入居率を高く維持するためのポイントを解説します。

入居率のからくり

物件の入居率は不動産投資の成功に欠かせない要素であり、売買相談の相手や管理会社を選ぶときは必ずチェックしたい数値です。もっとも、その数値の裏側が分からないと、投資のパートナーとなる会社の選定を成功させるのは困難だといえます。まずは、入居率の考え方や全国平均を確認しましょう。

入居率とは

入居率は、アパートやマンションなどの賃貸物件における総戸数に対する入居者のいる部屋数の割合を表す指標です。ごく単純な方法で計算してみると、10室中8室に入居者がいる場合、入居率は80%となります。この例では、空室となっている2室は家賃収入がゼロであり、経営の収支計画に影響を及ぼします。

入居率の基本的な計算式

入居率=[(賃貸することが可能な物件の戸数-空室戸数)/賃貸することが可能な物件の戸数 ]×100

一般的には、安定した不動産経営をするには入居率95%以上を維持したいと考えられています。一方、入居率が70〜80%台では経営が厳しく、50%以下では事業の継続性に関わる深刻な状況といえます。

入居率の算出方法

入居率の算出方法に関する統一的な規定はありません。同じ入居状況でも、採用する方法しだいで、入居率に数%の差が生じる可能性があります。さらに、繁忙期と閑散期では入居率が大きく変動するため、基準となる時期によっても数値が異なります。

ほかには、空室とみなすタイミングも不動産会社によってまちまちです。具体的には、管理を始めてから3か月以内の物件を含めない会社もあれば、解約が決まっている物件でも含める会社もあります。また、退去後の原状回復工事期間中の部屋を空室としてカウントするかどうかも、会社によって基準が違います。

入居率の全国平均

日本賃貸住宅管理協会の調査によると、2023年度の賃貸住宅の全国平均入居率は95.3%です。エリア別に見ると、以下のような特徴があります。

エリア 入居率
首都圏 95.8%
関西圏 94.9%
その他 92.9%

また、管理形態による違いも顕著です。大家と不動産管理会社とのあいだで賃貸契約を結んだのち転貸する「サブリース契約」と、発生する諸々の管理業務の委託する「委託管理契約」では、次のように差がでます。

管理形態 入居率
サブリース契約 97.3%
委託管理契約 94.0%

【引用】日本賃貸住宅管理協会「日管協短観 2021年4月~2022年3月」(2022年11月)を元に弊社作成

サブリース契約の方が入居率が高いのは、管理会社が家賃保証をする関係上、入居付けに積極的に取り組むためです。ただし、これらの数値はあくまでも平均値であり、個別の物件選定においては、立地や築年数、物件の状態など、様々な要素を総合的に判断する必要があります。

会社によって違う?入居率の種類

不動産会社が公表する入居率は、一見同じような数値に見えても、実は計算方法によって大きく異なることがあります。主な計算方法は、時点入居率、稼働入居率、賃料入居率の3種類です。それぞれの特徴を理解しておくことで、より正確な物件評価が可能になります。

時点入居率

時点入居率は、ある特定の時点での入居状況を表す最もシンプルな指標です。計算が簡単で分かりやすい一方で、時期による変動が大きいという短所があります。とくに、引っ越しシーズンの3月は入居率が高くなりやすく、8月は低くなる傾向にあります。

時点入居率の計算式

時点入居率 = (入居中の部屋数 ÷ 総戸数) × 100

時点入居率の計算例

10室のアパートで2室が空室の場合

  • 入居率:(8室 ÷ 10室) × 100 = 80%
  • 空室率:100-80=20%

時点入居率は瞬間的な数値のため、年間を通じた収益性を判断する指標としては信頼性が低いと言えます。不動産会社が営業資料で用いる場合、最も入居率の高い時期のデータを使用することも少なくありません。

稼働入居率

稼働入居率は、1年間の稼働可能日数に対する実際の入居日数の割合を示します。この方法では、長期的な運用実績を反映できるため、物件の実力をより正確に把握できます

稼働入居率の計算式

稼働入居率 = {(総戸数 × 365日)-(空室数 × 空室日数)} ÷ (総戸数×365日) × 100

稼働入居率の計算例

10室のアパートで2室が3か月間(90日間)空室だった場合

  • 入居率:{(10室 × 365日)-(2室 × 90日)} ÷ (10室 × 365日) × 100 = 95.1%
  • 空室率:100-95.1=4.9%

稼働率入居率のほかのメリットとしては、退去から新規入居までの期間も含めた実質的な空室状況が分かるため、収支計画を立てる際の信頼性が高い点があげられます。実務では、年間の収益予測や物件評価において重要な判断材料として活用されています。

賃料入居率

賃料入居率は、満室時の想定年間賃料に対する実際の年間賃料収入の割合を表します。この方式は、実際のキャッシュフローに直結するため、投資判断において最も現実的な指標です。

賃料入居率の計算式

賃料入居率 = (年間想定賃料 - 空室による未収賃料) ÷ 年間想定賃料 × 100

賃料入居率の計算例

10室のアパート(月額賃料10万円)で2室が3ヶ月間空室だった場合

  • 年間想定賃料:10室 × 10万円 × 12ヶ月 = 1,200万円
  • 空室による未収賃料:2室 × 10万円 × 3ヶ月 = 60万円
  • 入居率:(1,200万円 - 60万円) ÷ 1,200万円 × 100 = 95%
  • 空室率:100-95=5%

賃料入居率の特徴をほかに挙げると、同じ建物内でも部屋によって賃料が異なる場合、収益性の実態をより正確に反映点が挙げられます。また、実質利回りの計算にも直接活用できるため、投資用不動産の評価においては重要な指標として扱われています。

入居率の高い物件の特徴とは?

不動産投資で安定した収益を上げるためには、高い入居率を維持し続けることが重要です。では、入居率の高い物件にはどのような特徴があるのでしょうか。以下では、内装や設備、立地、賃料、セキュリティなど、入居率を左右する主要な要素について解説します。

内装デザインや設備

入居者のライフスタイルやニーズは、時代とともに変化しています。築年数が経過した物件でも、内装や設備を適切にアップデートすることで、入居率を高く維持することが可能です。

たとえば、単身者向け物件では、Wi-Fi環境の整備や宅配ボックスの設置が必須となっています。また、コロナ禍以降は在宅勤務に対応したワークスペースの確保や、充実した収納設備へのニーズが高まっています。

ファミリー向け物件では、システムキッチンや温水洗浄便座、浴室乾燥機などの設備が重視されます。さらに、インターホンのモニター機能や防犯カメラなど、安全面への配慮も欠かせません。内装は華美な装飾よりも、機能性と清潔感を重視した設計が好まれる傾向にあります。

立地条件

物件の立地条件は入居率を大きく左右する最も重要な要素の一つです。とくに以下の3点は、将来的な需要を見極めるポイントとなります。

交通アクセスの利便性

駅やバス停からの距離、主要都市部へのアクセス時間などが重要です。また、自家用車の利用が一般的な地域では、幹線道路へのアクセスや駐車場の有無も考慮が必要です。

生活利便施設の充実度

スーパーマーケット、コンビニエンスストア、医療機関、公園などが徒歩圏内にあることが望ましいと言えます。ファミリー向け物件では、学校や保育施設などの教育環境も重要な判断材料です。

エリアの将来性

再開発計画の有無や人口動態、主要企業の進出状況などを確認し、中長期的な視点で需要の変化を予測することが大切です。

賃料の水準

適切な賃料設定は、入居率を維持するための重要な要素です。賃料が周辺相場より高すぎると空室期間が長期化し、低すぎると収益性が悪化する可能性があります。

賃料設定の際は、近隣の同規模・同築年数の物件の相場を参考にしつつ、物件の特徴や設備などの優位性を考慮して決定します。例えば、駅から徒歩5分以内の物件であれば、周辺相場より若干高めの設定も可能です。一方、駅から離れた物件は、設備の充実度で差別化を図りながら、相場よりやや低めに設定することで入居率を確保できます。

また、定期的な市場調査を行い、必要に応じて賃料の見直しを検討することも重要です。特に築年数が経過した物件は、適切なリノベーションと組み合わせた賃料設定が求められます。

セキュリティ

セキュリティ対策とこれに付随する定期的な設備メンテナンスは、入居者の安心感に直結する重要な要素です。とくに、女性や高齢者の入居を促進するためには、充実したセキュリティ設備が不可欠です。

基本的なセキュリティ設備としては、オートロックシステム、防犯カメラ、センサーライトなどがあります。最近では、スマートフォンと連動した入退室システムや、遠隔監視が可能な防犯カメラなど、IoT技術を活用した新しいセキュリティシステムも登場しています。

費用対効果の高いセキュリティ対策としては、エントランスや共用部分への防犯カメラの設置が挙げられます。設置費用は比較的抑えられる一方で、入居者の安心感を大きく高められるためです。また、各戸の玄関ドアへの二重ロックやピッキング対策も、比較的低コストで実施できる効果的な対策です。

入居率を高くし成功へと近づくには

不動産投資で安定した収益を得るためには、新規入居者の獲得と同時に、既存入居者の退去を防ぐことが重要です。入居率を高く維持するには、日常的な物件管理から、計画的なリフォーム、信頼できる管理会社の選定まで、さまざまな要素に目を配る必要があります。

退去者を出さないような住み心地の良さ維持

入居者の満足度を高め、長期入居を促すためには、日常的なコミュニケーションと迅速な対応が欠かせません。具体的には、定期的なアンケート調査を実施し、入居者の要望や不満を早期に把握するなどといった方法が考えられます。

クレームへの対応は、24時間体制で受付可能な窓口を設置し、とくに設備トラブルには即日対応を心がける必要があります。また、共用部の清掃は週1回以上の頻度で実施し、エントランスや階段、廊下などの美観を保つことが重要です。

設備に関して言えば、年1回程度の定期巡回で各室の状態を確認する施策が考えられます。必要に応じ、迅速に更新や修繕を実施していくことが大切です。

リフォーム・リノベーションで物件価値を高める

築年数が経過するにつれて、計画的なリフォームやリノベーションが必要になります。とくにキッチン、浴室、トイレなどの水回りの設備更新は、住環境の満足度に直結することから費用対効果が高く、10年程度での更新を検討します。

築年数別のリフォームタイミングとしては、築5年で壁紙の張替えや床材のメンテナンス、築10年でユニットバスやキッチンの更新、築15年で給排水管の更生工事などが目安となります。入居者のニーズに応じて、宅配ボックスの設置やネット環境の整備なども適宜実施します。

これらの修繕・更新は、長期修繕計画を立てて計画的に進めることが重要です。突発的な工事は予算も膨らみがちなため、定期的な点検と予防保全を心がけましょう。

実績のある不動産会社を選ぶ

管理会社の選定は、入居率に強く影響します。選定の際は、管理戸数や空室率の推移、平均的な入居期間などの具体的な数値を確認しましょう。また、その会社が管理している物件の実態を見学することで、管理の質を直接確認することもできます。

選定基準としては、24時間対応可能な管理体制、独自の入居者募集ネットワーク、修繕・工事の実績などがポイントとなります。とくに重要なのは、対象エリアでの管理実績です。地域ごとに賃貸需要の特性は異なるため、エリアに精通した管理会社を選ぶことで、より効果的な運営が可能になります。

実際に管理会社と契約するときは、提供されるサービス内容を詳細に確認し、管理手数料に見合ったサービスが受けられるか比較検討することが重要です。

これからの不動産投資を成功に導くために

入居率は不動産投資の成否を左右する重要な指標です。しかし、その計算方法は会社によって異なり、時点入居率、稼働入居率、賃料入居率など、複数の計算方法が存在します。投資判断の際は、単に提示された入居率の高さだけでなく、その数値がどのように算出されているのかを確認することが重要です。ほかにも、高い入居率に繋がるサービスの有無についても確認しておきたいところです。

不動産投資の成功の鍵は、専門家による緻密なアドバイスと慎重な物件選定です。ベルテックスでは、物件ごとに指標を明らかにしながらメリット・デメリットを説明し、最適な投資プランをご提案しています。まずは資料請求からご検討ください。

株式会社ベルテックス
〒163-6009 東京都新宿区西新宿6-8-1 住友不動産新宿オークタワー9階

この記事を書いた人

ベルテックスコラム事務局

不動産コンサルタント・税理士

不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。

2025.02.19

不動産投資の基本

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不動産投資における入居率の信憑性は?目標値・計算方法と経営成功のポイント

  • はじめ方・基礎知識

不動産投資会社のホームページやパンフレットには「入居率98%以上」「高い入居率を実現」などといった謳い文句がよく並んでいます。こうした各社が掲げる高い入居率は、本当に信頼できる数字なのでしょうか。

実は、入居率の計算方法は会社によって異なり、同じ物件でも異なる数値として表示されることがあります。ここでは、入居率の計算方法の違いや実態を明らかにしつつ、本当に入居率の高い物件の特徴や、入居率を高く維持するためのポイントを解説します。

入居率のからくり

物件の入居率は不動産投資の成功に欠かせない要素であり、売買相談の相手や管理会社を選ぶときは必ずチェックしたい数値です。もっとも、その数値の裏側が分からないと、投資のパートナーとなる会社の選定を成功させるのは困難だといえます。まずは、入居率の考え方や全国平均を確認しましょう。

入居率とは

入居率は、アパートやマンションなどの賃貸物件における総戸数に対する入居者のいる部屋数の割合を表す指標です。ごく単純な方法で計算してみると、10室中8室に入居者がいる場合、入居率は80%となります。この例では、空室となっている2室は家賃収入がゼロであり、経営の収支計画に影響を及ぼします。

入居率の基本的な計算式

入居率=[(賃貸することが可能な物件の戸数-空室戸数)/賃貸することが可能な物件の戸数 ]×100

一般的には、安定した不動産経営をするには入居率95%以上を維持したいと考えられています。一方、入居率が70〜80%台では経営が厳しく、50%以下では事業の継続性に関わる深刻な状況といえます。

入居率の算出方法

入居率の算出方法に関する統一的な規定はありません。同じ入居状況でも、採用する方法しだいで、入居率に数%の差が生じる可能性があります。さらに、繁忙期と閑散期では入居率が大きく変動するため、基準となる時期によっても数値が異なります。

ほかには、空室とみなすタイミングも不動産会社によってまちまちです。具体的には、管理を始めてから3か月以内の物件を含めない会社もあれば、解約が決まっている物件でも含める会社もあります。また、退去後の原状回復工事期間中の部屋を空室としてカウントするかどうかも、会社によって基準が違います。

入居率の全国平均

日本賃貸住宅管理協会の調査によると、2023年度の賃貸住宅の全国平均入居率は95.3%です。エリア別に見ると、以下のような特徴があります。

エリア 入居率
首都圏 95.8%
関西圏 94.9%
その他 92.9%

また、管理形態による違いも顕著です。大家と不動産管理会社とのあいだで賃貸契約を結んだのち転貸する「サブリース契約」と、発生する諸々の管理業務の委託する「委託管理契約」では、次のように差がでます。

管理形態 入居率
サブリース契約 97.3%
委託管理契約 94.0%

【引用】日本賃貸住宅管理協会「日管協短観 2021年4月~2022年3月」(2022年11月)を元に弊社作成

サブリース契約の方が入居率が高いのは、管理会社が家賃保証をする関係上、入居付けに積極的に取り組むためです。ただし、これらの数値はあくまでも平均値であり、個別の物件選定においては、立地や築年数、物件の状態など、様々な要素を総合的に判断する必要があります。

会社によって違う?入居率の種類

不動産会社が公表する入居率は、一見同じような数値に見えても、実は計算方法によって大きく異なることがあります。主な計算方法は、時点入居率、稼働入居率、賃料入居率の3種類です。それぞれの特徴を理解しておくことで、より正確な物件評価が可能になります。

時点入居率

時点入居率は、ある特定の時点での入居状況を表す最もシンプルな指標です。計算が簡単で分かりやすい一方で、時期による変動が大きいという短所があります。とくに、引っ越しシーズンの3月は入居率が高くなりやすく、8月は低くなる傾向にあります。

時点入居率の計算式

時点入居率 = (入居中の部屋数 ÷ 総戸数) × 100

時点入居率の計算例

10室のアパートで2室が空室の場合

  • 入居率:(8室 ÷ 10室) × 100 = 80%
  • 空室率:100-80=20%

時点入居率は瞬間的な数値のため、年間を通じた収益性を判断する指標としては信頼性が低いと言えます。不動産会社が営業資料で用いる場合、最も入居率の高い時期のデータを使用することも少なくありません。

稼働入居率

稼働入居率は、1年間の稼働可能日数に対する実際の入居日数の割合を示します。この方法では、長期的な運用実績を反映できるため、物件の実力をより正確に把握できます

稼働入居率の計算式

稼働入居率 = {(総戸数 × 365日)-(空室数 × 空室日数)} ÷ (総戸数×365日) × 100

稼働入居率の計算例

10室のアパートで2室が3か月間(90日間)空室だった場合

  • 入居率:{(10室 × 365日)-(2室 × 90日)} ÷ (10室 × 365日) × 100 = 95.1%
  • 空室率:100-95.1=4.9%

稼働率入居率のほかのメリットとしては、退去から新規入居までの期間も含めた実質的な空室状況が分かるため、収支計画を立てる際の信頼性が高い点があげられます。実務では、年間の収益予測や物件評価において重要な判断材料として活用されています。

賃料入居率

賃料入居率は、満室時の想定年間賃料に対する実際の年間賃料収入の割合を表します。この方式は、実際のキャッシュフローに直結するため、投資判断において最も現実的な指標です。

賃料入居率の計算式

賃料入居率 = (年間想定賃料 - 空室による未収賃料) ÷ 年間想定賃料 × 100

賃料入居率の計算例

10室のアパート(月額賃料10万円)で2室が3ヶ月間空室だった場合

  • 年間想定賃料:10室 × 10万円 × 12ヶ月 = 1,200万円
  • 空室による未収賃料:2室 × 10万円 × 3ヶ月 = 60万円
  • 入居率:(1,200万円 - 60万円) ÷ 1,200万円 × 100 = 95%
  • 空室率:100-95=5%

賃料入居率の特徴をほかに挙げると、同じ建物内でも部屋によって賃料が異なる場合、収益性の実態をより正確に反映点が挙げられます。また、実質利回りの計算にも直接活用できるため、投資用不動産の評価においては重要な指標として扱われています。

入居率の高い物件の特徴とは?

不動産投資で安定した収益を上げるためには、高い入居率を維持し続けることが重要です。では、入居率の高い物件にはどのような特徴があるのでしょうか。以下では、内装や設備、立地、賃料、セキュリティなど、入居率を左右する主要な要素について解説します。

内装デザインや設備

入居者のライフスタイルやニーズは、時代とともに変化しています。築年数が経過した物件でも、内装や設備を適切にアップデートすることで、入居率を高く維持することが可能です。

たとえば、単身者向け物件では、Wi-Fi環境の整備や宅配ボックスの設置が必須となっています。また、コロナ禍以降は在宅勤務に対応したワークスペースの確保や、充実した収納設備へのニーズが高まっています。

ファミリー向け物件では、システムキッチンや温水洗浄便座、浴室乾燥機などの設備が重視されます。さらに、インターホンのモニター機能や防犯カメラなど、安全面への配慮も欠かせません。内装は華美な装飾よりも、機能性と清潔感を重視した設計が好まれる傾向にあります。

立地条件

物件の立地条件は入居率を大きく左右する最も重要な要素の一つです。とくに以下の3点は、将来的な需要を見極めるポイントとなります。

交通アクセスの利便性

駅やバス停からの距離、主要都市部へのアクセス時間などが重要です。また、自家用車の利用が一般的な地域では、幹線道路へのアクセスや駐車場の有無も考慮が必要です。

生活利便施設の充実度

スーパーマーケット、コンビニエンスストア、医療機関、公園などが徒歩圏内にあることが望ましいと言えます。ファミリー向け物件では、学校や保育施設などの教育環境も重要な判断材料です。

エリアの将来性

再開発計画の有無や人口動態、主要企業の進出状況などを確認し、中長期的な視点で需要の変化を予測することが大切です。

賃料の水準

適切な賃料設定は、入居率を維持するための重要な要素です。賃料が周辺相場より高すぎると空室期間が長期化し、低すぎると収益性が悪化する可能性があります。

賃料設定の際は、近隣の同規模・同築年数の物件の相場を参考にしつつ、物件の特徴や設備などの優位性を考慮して決定します。例えば、駅から徒歩5分以内の物件であれば、周辺相場より若干高めの設定も可能です。一方、駅から離れた物件は、設備の充実度で差別化を図りながら、相場よりやや低めに設定することで入居率を確保できます。

また、定期的な市場調査を行い、必要に応じて賃料の見直しを検討することも重要です。特に築年数が経過した物件は、適切なリノベーションと組み合わせた賃料設定が求められます。

セキュリティ

セキュリティ対策とこれに付随する定期的な設備メンテナンスは、入居者の安心感に直結する重要な要素です。とくに、女性や高齢者の入居を促進するためには、充実したセキュリティ設備が不可欠です。

基本的なセキュリティ設備としては、オートロックシステム、防犯カメラ、センサーライトなどがあります。最近では、スマートフォンと連動した入退室システムや、遠隔監視が可能な防犯カメラなど、IoT技術を活用した新しいセキュリティシステムも登場しています。

費用対効果の高いセキュリティ対策としては、エントランスや共用部分への防犯カメラの設置が挙げられます。設置費用は比較的抑えられる一方で、入居者の安心感を大きく高められるためです。また、各戸の玄関ドアへの二重ロックやピッキング対策も、比較的低コストで実施できる効果的な対策です。

入居率を高くし成功へと近づくには

不動産投資で安定した収益を得るためには、新規入居者の獲得と同時に、既存入居者の退去を防ぐことが重要です。入居率を高く維持するには、日常的な物件管理から、計画的なリフォーム、信頼できる管理会社の選定まで、さまざまな要素に目を配る必要があります。

退去者を出さないような住み心地の良さ維持

入居者の満足度を高め、長期入居を促すためには、日常的なコミュニケーションと迅速な対応が欠かせません。具体的には、定期的なアンケート調査を実施し、入居者の要望や不満を早期に把握するなどといった方法が考えられます。

クレームへの対応は、24時間体制で受付可能な窓口を設置し、とくに設備トラブルには即日対応を心がける必要があります。また、共用部の清掃は週1回以上の頻度で実施し、エントランスや階段、廊下などの美観を保つことが重要です。

設備に関して言えば、年1回程度の定期巡回で各室の状態を確認する施策が考えられます。必要に応じ、迅速に更新や修繕を実施していくことが大切です。

リフォーム・リノベーションで物件価値を高める

築年数が経過するにつれて、計画的なリフォームやリノベーションが必要になります。とくにキッチン、浴室、トイレなどの水回りの設備更新は、住環境の満足度に直結することから費用対効果が高く、10年程度での更新を検討します。

築年数別のリフォームタイミングとしては、築5年で壁紙の張替えや床材のメンテナンス、築10年でユニットバスやキッチンの更新、築15年で給排水管の更生工事などが目安となります。入居者のニーズに応じて、宅配ボックスの設置やネット環境の整備なども適宜実施します。

これらの修繕・更新は、長期修繕計画を立てて計画的に進めることが重要です。突発的な工事は予算も膨らみがちなため、定期的な点検と予防保全を心がけましょう。

実績のある不動産会社を選ぶ

管理会社の選定は、入居率に強く影響します。選定の際は、管理戸数や空室率の推移、平均的な入居期間などの具体的な数値を確認しましょう。また、その会社が管理している物件の実態を見学することで、管理の質を直接確認することもできます。

選定基準としては、24時間対応可能な管理体制、独自の入居者募集ネットワーク、修繕・工事の実績などがポイントとなります。とくに重要なのは、対象エリアでの管理実績です。地域ごとに賃貸需要の特性は異なるため、エリアに精通した管理会社を選ぶことで、より効果的な運営が可能になります。

実際に管理会社と契約するときは、提供されるサービス内容を詳細に確認し、管理手数料に見合ったサービスが受けられるか比較検討することが重要です。

これからの不動産投資を成功に導くために

入居率は不動産投資の成否を左右する重要な指標です。しかし、その計算方法は会社によって異なり、時点入居率、稼働入居率、賃料入居率など、複数の計算方法が存在します。投資判断の際は、単に提示された入居率の高さだけでなく、その数値がどのように算出されているのかを確認することが重要です。ほかにも、高い入居率に繋がるサービスの有無についても確認しておきたいところです。

不動産投資の成功の鍵は、専門家による緻密なアドバイスと慎重な物件選定です。ベルテックスでは、物件ごとに指標を明らかにしながらメリット・デメリットを説明し、最適な投資プランをご提案しています。まずは資料請求からご検討ください。

株式会社ベルテックス
〒163-6009 東京都新宿区西新宿6-8-1 住友不動産新宿オークタワー9階

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ベルテックスコラム事務局

不動産コンサルタント・税理士

不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。