2023.10.11

不動産投資の基本

ベルテックスコラム事務局

不動産投資における10つのリスクと失敗しないための対策を解説

  • メリット
  • リスク
  • 初心者

投資の中でも「安定している」という言葉を耳にする不動産投資。不動産経営を1物件スタートすると2物件、3物件と所有物件を増やしていくオーナーが多く存在します。はたして不動産投資は、本当に安定して収益を得られるのでしょうか。

本記事では、不動産投資に対するアンケート調査に関する結果から、実際のリスクと対策方法や受けられるメリットを解説していきます。

不動産投資のリスクとは?

不動産投資は知識の専門性が求められ、素人が始めるには少々ハードルの高い投資に感じられるかもしれません。収入の柱となり安定的に収益が発生すると大きなリターンが得ることができますが、高額投資なので抱える不安も必然的に大きくなってしまいます。
プロの投資家や一般投資家は不動産投資のリスクについて、どのように考えているのでしょうか。2つの調査結果をもとに確認していきます。

不動産投資市場の今後のリスク要因

はじめにプロの投資家が不動産投資のリスクについてどのように考えているかを見てみましょう。紹介するのは、一般財団法人日本不動産研究所がプロの投資家(アセットマネージャー、デベロッパー、保険会社など)を対象に行った調査です。(※一般財団法人 日本不動産研究所「第47回不動産投資家調査 特別アンケート」より)
彼らに対して、不動産投資市場の今後のリスク要因について聞いたところ、最も回答数が多かったのは「金利の上昇(281ポイント)」でした。また、「賃料の伸び悩み(96ポイント)」「レンダー(金融機関など資金の貸し手)の融資姿勢の変化(53ポイント)」などのリスクも意識されています。

今後のリスク要因 ポイント数
金利の上昇 281ポイント
賃料の伸び悩み 96ポイント
レンダーの融資姿勢の変化 53ポイント
エクイティサイドの投資姿勢の変化 36ポイント
J-REAT投資口価格や株価の低迷 24ポイント
戦争・内戦・動乱などの地政学問題 15ポイント
地震などの自然災害 11ポイント
気候変動問題 3ポイント

不動産投資に関するアンケート調査の結果

次に、一般投資家が不動産投資のリスクについてどのように考えているかを見てみましょう。 実際に不動産投資経験のある20~60代の男女208名(男性158名、女性50名)を対象に行った調査結果があります。こちらは株式会社ジャストシステムファストアスク(ソフトウェアや関連サービスの企画・開発事業)のインターネットリサーチ(「不動産投資に関するアンケート調査について」)で、不動産投資を始めたきっかけについて「土地をすでに持っていた」と回答した人は27.3パーセントに留まり、残りの約7割が不動産を所有していない状態から始めているようです。
また、「不動産投資を始める際に最も不安だったことはなんですか?」という質問に対しては、下記の結果となりました。

不安だったこと  割合
空室リスク 34.1パーセント
修繕費などのコスト 15.1パーセント
入居者の家賃滞納 11.2パーセント
ローンで借金が増えること 8.8パーセント
管理会社の手腕 6.8パーセント
自然災害による建物への被害 6.8パーセント
その他 2.9パーセント
特になかった 14.1パーセント

不動産投資の10のリスクと事前対策

先述のリサーチ結果でご覧の通り、不動産投資には様々なリスクが伴い不安要因となります。事前の収支計画表通りのキャッシュフローで不動産経営を行うには、いかにリスク回避できるかで決まるでしょう。発生しうるリスクの考慮と対策を施して、いかに手残り金を多く守れるかが重要です。

空室リスクと対応策

不動産投資における空室リスクは、リサーチ結果で不安要素のトップにも挙がるほどで、不動産経営の成功を左右するとても大きな軸になるでしょう。逆に言えば、空室リスクの少ない物件を選択することで、安定的な不動産経営を行うことが可能です。ファミリー向けの賃貸物件は比較的に長期間居住してもえますが、単身者は入れ替わりが激しいことがあります。単身者向けの賃貸物件では、空室リスクを避けることは難しいことを念頭に置いておかなければいけません。

【対応策例】

  • 既存入居者の満足度を上げることで退去を防ぐ
    →クレームの即時対応、設備を充実させる
  • 初期費用を軽減する
    →敷金礼金の廃止、フリーレントを付ける
  • リフォームで部屋の価値・質を上げる
    →壁紙交換、水回り設備を新品交換する
  • 仲介業者に支払う広告料を上げる
    →優先的に紹介してもらう

家賃滞納リスクと対応策

物件が満室でも頭を悩まされるのが入居者の家賃滞納リスクです。家賃滞納が発生してもすぐに入居者を追い出すことが出来ないため、オーナーにとって不利が多くなります。また、家賃滞納する入居者は慢性的な傾向にあり、一度支払いをしてもその後何度も遅延を繰り返します。連帯保証人を付けるという手もありますが、連帯保証人が必ず払ってくれるという保証はなく、督促で追い続けるのが大変です。

【対応策例】

  • 家賃保証会社を利用する
    →家賃督促業務の代行、回収が出来なくても数ヵ月先の家賃分まで保証される
     加入内容によっては、家賃滞納により訴訟へ発展しても代行してもらえる

家賃下落リスクと対応策

家賃下落リスクは長年住み続けた方からの問い合わせによる交渉もありますが、空室が発生した後の入居者募集時に圧倒的に多いです。 同じ地域内での新築物件、築年数や間取りが類似している家賃の安い物件があると、どうしても入居付けの際に家賃交渉されやすくなります。 しかし、一度家賃を下げてしまうと次回以降の入居者募集時に家賃を元に戻すことが難しいので、いかに家賃下落させないようにするか、踏ん張りどころです。

【対応策例】

  • 空室期間を長くさせない
    →価格交渉されやすい状況を避ける
  • フリーレントを付ける
    →賃料値下げと同様の効果を与えることで入居者に納得させる
  • 設備で差別化を図る
    →宅配ボックスを設置、インターネット無料、防犯カメラを設置

物件の資産価値下落リスクと対応策

不動産は経年劣化とともに資産価値が下がってしまうことは免れず、購入前の物件調査がとても重要となります。 資産価値の下落を防ぐのに最重要なのは「立地」です。例え築年数が経っていても、駅近物件で更に周辺環境が充実していると入居の申し込みが途絶えない人気になります。入居者目線になり数十年後に勝負できる物件かどうかを見抜きましょう。

【対応策例】

  • 物件の立地を重視する
    →駅が近い(ポータルサイトの検索で絞られる徒歩7分以内)
  • 物件の周辺環境を重視する
    →スーパー・コンビニ・薬局が近い、治安が悪くなる要因がないか
  • 物件の間取りや向きを重視する
    →陽当たりがいい、家事動線が確保しやすい、1つずつの部屋が使いやすい

流動性リスク(売却に時間がかかる)と対応策

不動産を売却しようと思った場合、すぐに買い手がつくかという流動性リスクもあります。 他の物件で不動産経営を行うために買い替えたい、もしくは思っていた利回りではなかったなど理由は様々ですが、なるべく早く売却して現金化したいと思うことが多いでしょう。資産価値の下落が少ない物件に越したことはありませんが、その他にも対応次第で早く売却することが可能です。

【対応策例】

  • 満室にして売却する
    →1棟経営、1室経営いずれも満室にしておくと収益価値のある物件とみなされる
    →空室があることで収益価値の低い物件とみなされ、買い手の融資が通りづらくなる
  • 築浅のうちに売却する
    →資産価値があるとみなされ買い手の融資が通りやすい、築浅希望の買い手が多い

修繕費リスクと対応策

修繕費のリスクには2つあります。分譲マンションなど1室投資を行う場合に管理会社へ支払う「修繕積立金」と居室内の設備故障などによる「修繕費」です。 修繕積立金は数年に1度見直され、将来に向けて費用が上がる傾向にあるため、利回りに反映されているか確認しなくてはいけません。

もう1つは、居室内で使用する設備の寿命や故障による「修繕費」です。入居者に過失がない限り、オーナー負担で修理を求められます。エアコン、給湯器、換気扇、食器洗浄機、浴室乾燥機、インターフォンなどが通常の付帯設備である場合、出費を想定しておく必要があるでしょう。

【対応策例】

  • 修繕積立金の上昇は事前に収支計画表に組み込む
    →類似規模、同じ会社が管理する他のマンションにおける修繕積立金を調査する
  • 設備の耐久年数やコストを把握する
    →急な故障に対応できるよう、メーカー性能や価格などをある程度把握して備える

物件の老朽化リスクと対応策

資産価値下落を防ぐために「好立地」を選んだとしても、経年で避けられないリスクに老朽化があります。イメージしやすい例の1つが、配管の老朽化による詰まりや破裂などです。 不動産は見えない部分の老朽が多く、保険対応とならない事例は高額な損害賠償へと繋がってしまいます。

【対応策例】

  • 老朽化リスク発生前に売却する
    →修繕コストがかからず利回りがよいうちに手離す
  • 住宅診断を受ける
    →プロが修繕の必要箇所などを調査して教えてくれる(1棟経営の場合)
  • 修繕計画を立てる
    →外壁や配管などの修繕計画を立て、老朽化を防ぐ

金利上昇リスクと対応策

満室経営が継続していても、収支計画を左右する大きな要因となる金利問題を忘れてはいけません。 不動産投資で利用する銀行融資も「変動金利」と「固定金利」が選択できます。 選択する金利や返済方法によって、合計返済額に数百万円の差が生じてしまうため慎重に決定しましょう。

【対応策例】

  • 収支計画表の金利リスクを吟味する
    →金利上昇リスクがキャッシュフローに反映されているかを確認する
  • 固定金利を選択する
    →上昇リスクがないので返済計画が立てやすい
    (変動金利の上昇率によって、合計返済額が高くなる可能性がある)
  • 元金均等返済式を選択する
    →返済が進むにつれ毎月支払う利息が減るため不動産経営に向いている

自然災害リスクと対応策

発生率としては少ないですが、発生時には被害がおおきくなりやすい自然災害リスクも懸念されます。 河川の近くなど発生の予測がしやすい地域もありますが、地震はいつどこで起こるか分からず予測が容易ではありません。また、大規模な地震が発生すると同時に火災のリスクも伴います。

【対応策例】

  • 2000年基準を満たした物件を選ぶ
    →1981年6月1日以降の新耐震基準よりも優れた基準となっている
  • 地盤が強い土地を選ぶ
    →地盤が緩いと水害や地震の際に被害が拡大してしまう
  • 耐火性の高い構造を選ぶ
    →鉄筋・鉄筋鉄骨コンクリート造を選ぶ
  • 住宅保険に加入する
    →保険の適用対象事例を理解する

事故物件リスクと対応策

こちらも不動産投資を行う上で付き物となる事故物件リスクです。 事件性のない自然死には告知義務がありませんが、物件内での自殺や他殺などは毎年一定数発生し、未然に防ぐことは難しいでしょう。事故物件になってしまうと、発生した部屋の賃料下落や需要減少だけでなく、他室の既存入居者が退去してしまう可能性もあります。 また、事故発生後の発見時期が遅くなるほど、原状回復費用の費用が高くなってしまいます。

【対応策例】

  • 入居審査時の審査を厳しくする
    →家賃保証会社の審査に落ちた人、属性の悪い人を無理に入居させない
  • 2親等以内の連帯保証人を付けておく
    →事故発生の連絡や損害請求をスムーズに行えるようにする
    →事故が発生した場合の損害賠償について、事前に契約書に記しておく
  • 高齢入居者は注意しておく
    →自然死による発見が遅れないように郵便ポストなどで不審点を確認する

初心者が避けるべきハイリスクな不動産投資

不動産投資には一見すると高利回りでも、ハイリスクな物件があります。ここでは代表的な3例を紹介します。

地方の一棟アパート

地方の一棟アパートは、都心の物件よりも低価格で高利回りのため魅力的に見えますが、ハイリスクなことが多いため注意しましょう。
一般的にいわれている地方の一棟アパートのリスクとして、東京都心の区分マンションなどと比べて空室率が高いことが挙げられます。日本では本格的な人口減少社会を迎えつつありますが、多くの地方都市では都心よりも急カーブで人口減少が進んでいます。一方、もともと存在している賃貸物件は人口が減ってもそのまま残っているため、相対的に空室率が高くなる傾向があります。
地方の一棟アパートは、都心の物件よりも空室リスクが高いため、金融機関の融資がつきにくい、すなわち、不動産投資家が積極的に参入しづらく「出口戦略(売却計画)」を描きづらいというデメリットもあります。

築古物件

同様に、築古物件も表面的には低価格かつ高利回りのように見えますが、潜在的なリスクがあるため初心者向きとはいえません。
例えば、築古物件は建物や設備が古いため、新築物件よりも修繕費がかさむのが普通です。特に、長期間リフォームや大規模修繕をしていない物件だと、購入直後にまとまった修繕費が必要になるケースもあるので注意が必要です。
また、築古物件の中でも木造アパートは、購入時にローンを利用するのが難しいケースが多く、これも用意できる資金が限られている初心者にとってはデメリットになります。築古物件でローンを利用しにくい理由は、法定耐用年数が残っていないため、融資審査のハードルが上がるからです。

プレビルドの海外不動産

プレビルドとは、完成まで期間のある物件を予約購入することをいいます。海外の一部の国の商習慣として認められています。プレビルドにはキャピタルゲイン(売却益)を得られるというメリットがあります。しかし、その国の不動産事情や商習慣に詳しくないとトラブルに遭うリスクがあるため、初心者は避けるべきでしょう。
プレビルドでは予定していた工期を大幅に超えるケースもあります。例えば、3年後には売却益を得られると見込んでいたのに、4~5年経っても完成見込みが立たないということも考えられます。最悪、 建設が中止になる可能性もあります。 さらに、プレフビルド物件が完成しても、その国の経済事情の変化などによって、期待していた売却益が得られないリスクもあります。

不動産投資でリスクを回避するためのポイント

不動産投資の初心者がリスクを回避するためには、上記のようなハイリスク物件を避けるとともに、以下のポイントを意識するとよいでしょう。

賃貸需要が高いエリアを選ぶ

不動産投資には数多くのリスクがありますが、中でも避けたいのは家賃収入が入ってこなくなる空室リスクでしょう。これを軽減するには賃貸需要の高いエリア(多くの人が部屋を借りたいと思っているエリア)を選ぶことが大切です。賃貸需要の高いエリアなら、経年劣化による資産価値および家賃下落リスクも軽減しやすいといえます。

賃貸需要が高いエリアをリサーチする方法の一例として、不動産の情報サイト「ライフルホームズ」の「賃貸用住宅の空室率一覧」の利用があります。これを使えば、各都道府県、各市区町村の空室率のリサーチが手軽にできます。この他、実際にそのエリアを歩いて空室状況を確認する、そのエリアに強い不動産会社でヒアリングするなどの方法も有効です。

無理なローンを組まない

初心者が注意すべきポイントとしては、適切な融資額かつ金利で不動産投資のローンを組むというものもあります。これにより、空室・家賃滞納・金利上昇などのリスクに対応しやすい経営環境がつくれます。 どれくらいの融資額なら許容できるかはケースバイケースです。
ローンサービスを提供する株式会社MFSが行った約2 ,000名のサラリーマン投資家調査では、ローン残高と年収の比率である「年収倍率」は平均11.8倍でした。つまり、年収800万円の人であれば約9 ,400万円のローン残高があるということです。
ただし、初心者がいきなり高い年収倍率でローンを組むのはリスクが高いため、まずは控えめな年収倍率(8倍以下など)を設定しましょう。

慎重にシミュレーションする

不動産投資で失敗しやすいのは、表面利回りや簡易なデータだけを見て物件を購入するようなパターンです。実際に物件を運用してみると、利回りと実際のキャッシュフローに差があるため、想定していたリターンを得られないというのが典型的なケースです。
このような失敗に陥らないためには、物件購入前に収支シミュレーションを行うことが大切です。想定家賃・諸費用・税金などをもとに収支のシミュレーションを行うことで、実際の運用に近いキャッシュフローを確認できます。最近では、ネット上に数多くの不動産投資用のシミュレーターが無料で公開されているので活用するとよいでしょう。

不動産投資のメリット

ここまでは不動産投資のリスクについて説明しましたが、それでも不動産投資が人気なのは、リスク以上のメリットが数多くあるからでしょう。コロナ禍で、経済事情が一変しても安定した収入を得られる不動産投資はより注目を浴びるようになりました。不動産投資で享受できるメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。

サラリーマンをしながら副業として収入増が期待できる

不動産オーナーというと元々「土地持ち」であるイメージがありますが、冒頭のリサーチ結果のとおり、現在ではサラリーマンをしながら大家業をする人が多く存在します。購入時にローン審査に通過して引渡しが終わると、入居者や仲介業者とのやりとりは全て管理会社に任せられるので、日々の手間がかかりません。サラリーマンをしながら別の収入源となってくれるので、怪我や病気で働けなくなった時にも頼りになる副業です。

ローン完済後には年金代わりの収入が期待できる

不動産投資を行うにあたり、多くの方がローンを組むことになるでしょう。返済年数は人それぞれですが、無事にローンを完済した頃には高齢になっている方が多いかと思います。今まではローン返済に充てていた家賃収入が、完済後は全額手元に残るのでとても心強いでしょう。
公的年金だけでは生活が厳しいと言われる中で、年金にプラスして豊かな生活が期待できます。

融資を受けられるのでレバレッジ効果が高い

不動産投資のレバレッジ効果とは、金融機関からの融資を利用することで自己資金だけでは得られなかった高い収益化を狙えることです。1,000万円の自己資金だけで安い物件を購入するのと、自己資金と金融機関からの融資をプラスして3,000万円の高い物件を購入するのでは、同じ利回りでも後者の方が収益額は多くなります。レバレッジ効果による「お得感」を利用して、高い収益を生み出すことが可能です。

減価償却費で節税が期待できる

不動産には、取得費用を耐用年数に応じて分割費用計上できる減価償却法が適用されます。
減価償却の適用は経年劣化により資産価値が下がる建物に限られますが、耐用年数のうちは実際に手元にある現金の移動がなくても毎年計上が可能です。
費用計上することにより課税所得を減少させて、税負担を減らすことが期待できるでしょう。

相続税の節税が期待できる

財産相続による「相続税」対策として、不動産投資はメリットが高いと言われています。
相続税の課税率は、財産の種類により評価方法が定められており、不動産は現金よりも「相続税評価額」が低くなる可能性があるのです。さらに賃貸用物件の場合は、借主保護の「借家権」の適用がオーナーの権利に影響することから、相続税評価額をより減少させる制度があります。不動産投資には維持するためのコストもかかりますが、特例や制度を上手く活用することでそれ以上に大きな節税が可能でしょう。

現物資産のためインフレに強い

インフレが起こると、現金や国債などの金融資産は価値が一気に下落します。反対に現物資産である不動産は、インフレによる物価上昇が起こっても資産価値として下落しづらい特徴があり、不動産投資の強みです。また、ローンの返済額面は同じでも、インフレ時はお金の価値が下がっているため実質的には目減りしているといえるでしょう。

もしもの時は収益物件が遺せて生命保険代わりになる

配偶者や子に遺すために不動産投資を行う人も少なくありません。もしも自分が突如として亡くなってしまったら、残された家族にとっては収入源が途絶えてしまいます。そんな事態に直面しても、不動産投資を行っていると物件が代わりの収入源となってくれるでしょう。さらに収益物件を売却することでまとまったお金を作ることも可能となり、生命保険の代わりとなる心強い味方です。

不動産投資のリスクに関するよくある質問

最後に不動産投資のリスクに関するよくある質問を紹介します。

新築と中古、どちらの方がリスクが高いか

新築物件と中古物件には、それぞれ異なるメリットとデメリットがあります。
新築物件には、「家賃を相場よりも高く設定しやすい」「修繕費を抑えやすい」などのメリットがある一方、 物件価格が割高なため「利回りが低くなりやすい」というデメリットがあります。
これに対して、中古物件は物件価格が割安なため「利回りが高くなりやすい」というメリットがある一方、「修繕費がかさみやすい」「空室リスクが高い」などのデメリットがあります。
初心者の場合、 購入直後に修繕費や空室が発生すると対応できない可能性があるため、まずは新築物件や築浅物件を選択することをおすすめします。運用するのに豊富な経験と知識が必要な中古物件は、中級者以上の投資家向けといえます。

なぜ不動産投資はミドルリスク・ミドルリターンといわれるのか

不動産投資は一般的にミドルリスク・ミドルリターンといわれることが多いです。ミドルリスク・ミドルリターンとは、資金を失う可能性がゼロではない一方、 ある程度の見返りが期待できるという意味です。
ローリスク・ローリターンの代表は預貯金です。元本割れするリスクが低い一方、 金利はほとんどつきません。ハイリスク・ハイリターンの代表はFX(外国為替証拠金取引)です。元手(証拠金)の最大25倍のレバレッジをかけて短期間で利益を得ることが可能ですが、元手を失うリスクもあります。
それぞれの特徴を比べると、老後資金のための安定的な資産運用を目指すならミドルリスク・ミドルリターンの不動産投資が向いているといえるでしょう。

日本の人口減少は不動産投資のリスク要因となるのか

国立社会保障・人口問題研究所の将来推計(出生中位/死亡中位の推計)では、2060年時点の日本の人口は2010年と比較して32.3%も減少すると予測されています。日本は急激な人口減少社会を迎えているため、これが不動産投資のリスク要因になる可能性もあります。
ただし、人口減少のペースは全国で見るとグラデーションがあり、人口が横ばいまたは微減というエリアもあります。例えば、東京都人口統計課の推計によると、 東京23区の人口は2030年に979万人でピークを迎えるものの2035年970万人、2040年952万人と長期に渡って900万人台半ばを維持しています。今後の不動産投資では利便性・再開発状況・人口予測などをもとに、人口減少の影響が少ないエリアを選ぶことがより重要になってくると考えられます。

まとめ

本記事では、一般消費者の不動産投資における意識リサーチを基に各リスクや対策方法を解説しました。不動産投資には様々なリスク要因がありますが、享受できるメリットの大きさに視野を向けるととても魅力的な投資であると言えるでしょう。
不動産投資を成功させるための戦略は、本記事で挙げてきたリスクに対していかに素早い対策を施すかが分かれ道です。あらゆるリスクシーンを事前シミュレーションして、懸念される費用についても想定しておきましょう。

ベルテックスでは不動産投資の専門家による無料オンラインセミナーを開催しています。ご自宅からオンラインでご参加いただけますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

この記事を書いた人

ベルテックスコラム事務局

不動産コンサルタント・税理士

不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。

2023.10.11

不動産投資の基本

ベルテックスコラム事務局

不動産投資における10つのリスクと失敗しないための対策を解説

  • メリット
  • リスク
  • 初心者

投資の中でも「安定している」という言葉を耳にする不動産投資。不動産経営を1物件スタートすると2物件、3物件と所有物件を増やしていくオーナーが多く存在します。はたして不動産投資は、本当に安定して収益を得られるのでしょうか。

本記事では、不動産投資に対するアンケート調査に関する結果から、実際のリスクと対策方法や受けられるメリットを解説していきます。

不動産投資のリスクとは?

不動産投資は知識の専門性が求められ、素人が始めるには少々ハードルの高い投資に感じられるかもしれません。収入の柱となり安定的に収益が発生すると大きなリターンが得ることができますが、高額投資なので抱える不安も必然的に大きくなってしまいます。
プロの投資家や一般投資家は不動産投資のリスクについて、どのように考えているのでしょうか。2つの調査結果をもとに確認していきます。

不動産投資市場の今後のリスク要因

はじめにプロの投資家が不動産投資のリスクについてどのように考えているかを見てみましょう。紹介するのは、一般財団法人日本不動産研究所がプロの投資家(アセットマネージャー、デベロッパー、保険会社など)を対象に行った調査です。(※一般財団法人 日本不動産研究所「第47回不動産投資家調査 特別アンケート」より)
彼らに対して、不動産投資市場の今後のリスク要因について聞いたところ、最も回答数が多かったのは「金利の上昇(281ポイント)」でした。また、「賃料の伸び悩み(96ポイント)」「レンダー(金融機関など資金の貸し手)の融資姿勢の変化(53ポイント)」などのリスクも意識されています。

今後のリスク要因 ポイント数
金利の上昇 281ポイント
賃料の伸び悩み 96ポイント
レンダーの融資姿勢の変化 53ポイント
エクイティサイドの投資姿勢の変化 36ポイント
J-REAT投資口価格や株価の低迷 24ポイント
戦争・内戦・動乱などの地政学問題 15ポイント
地震などの自然災害 11ポイント
気候変動問題 3ポイント

不動産投資に関するアンケート調査の結果

次に、一般投資家が不動産投資のリスクについてどのように考えているかを見てみましょう。 実際に不動産投資経験のある20~60代の男女208名(男性158名、女性50名)を対象に行った調査結果があります。こちらは株式会社ジャストシステムファストアスク(ソフトウェアや関連サービスの企画・開発事業)のインターネットリサーチ(「不動産投資に関するアンケート調査について」)で、不動産投資を始めたきっかけについて「土地をすでに持っていた」と回答した人は27.3パーセントに留まり、残りの約7割が不動産を所有していない状態から始めているようです。
また、「不動産投資を始める際に最も不安だったことはなんですか?」という質問に対しては、下記の結果となりました。

不安だったこと  割合
空室リスク 34.1パーセント
修繕費などのコスト 15.1パーセント
入居者の家賃滞納 11.2パーセント
ローンで借金が増えること 8.8パーセント
管理会社の手腕 6.8パーセント
自然災害による建物への被害 6.8パーセント
その他 2.9パーセント
特になかった 14.1パーセント

不動産投資の10のリスクと事前対策

先述のリサーチ結果でご覧の通り、不動産投資には様々なリスクが伴い不安要因となります。事前の収支計画表通りのキャッシュフローで不動産経営を行うには、いかにリスク回避できるかで決まるでしょう。発生しうるリスクの考慮と対策を施して、いかに手残り金を多く守れるかが重要です。

空室リスクと対応策

不動産投資における空室リスクは、リサーチ結果で不安要素のトップにも挙がるほどで、不動産経営の成功を左右するとても大きな軸になるでしょう。逆に言えば、空室リスクの少ない物件を選択することで、安定的な不動産経営を行うことが可能です。ファミリー向けの賃貸物件は比較的に長期間居住してもえますが、単身者は入れ替わりが激しいことがあります。単身者向けの賃貸物件では、空室リスクを避けることは難しいことを念頭に置いておかなければいけません。

【対応策例】

  • 既存入居者の満足度を上げることで退去を防ぐ
    →クレームの即時対応、設備を充実させる
  • 初期費用を軽減する
    →敷金礼金の廃止、フリーレントを付ける
  • リフォームで部屋の価値・質を上げる
    →壁紙交換、水回り設備を新品交換する
  • 仲介業者に支払う広告料を上げる
    →優先的に紹介してもらう

家賃滞納リスクと対応策

物件が満室でも頭を悩まされるのが入居者の家賃滞納リスクです。家賃滞納が発生してもすぐに入居者を追い出すことが出来ないため、オーナーにとって不利が多くなります。また、家賃滞納する入居者は慢性的な傾向にあり、一度支払いをしてもその後何度も遅延を繰り返します。連帯保証人を付けるという手もありますが、連帯保証人が必ず払ってくれるという保証はなく、督促で追い続けるのが大変です。

【対応策例】

  • 家賃保証会社を利用する
    →家賃督促業務の代行、回収が出来なくても数ヵ月先の家賃分まで保証される
     加入内容によっては、家賃滞納により訴訟へ発展しても代行してもらえる

家賃下落リスクと対応策

家賃下落リスクは長年住み続けた方からの問い合わせによる交渉もありますが、空室が発生した後の入居者募集時に圧倒的に多いです。 同じ地域内での新築物件、築年数や間取りが類似している家賃の安い物件があると、どうしても入居付けの際に家賃交渉されやすくなります。 しかし、一度家賃を下げてしまうと次回以降の入居者募集時に家賃を元に戻すことが難しいので、いかに家賃下落させないようにするか、踏ん張りどころです。

【対応策例】

  • 空室期間を長くさせない
    →価格交渉されやすい状況を避ける
  • フリーレントを付ける
    →賃料値下げと同様の効果を与えることで入居者に納得させる
  • 設備で差別化を図る
    →宅配ボックスを設置、インターネット無料、防犯カメラを設置

物件の資産価値下落リスクと対応策

不動産は経年劣化とともに資産価値が下がってしまうことは免れず、購入前の物件調査がとても重要となります。 資産価値の下落を防ぐのに最重要なのは「立地」です。例え築年数が経っていても、駅近物件で更に周辺環境が充実していると入居の申し込みが途絶えない人気になります。入居者目線になり数十年後に勝負できる物件かどうかを見抜きましょう。

【対応策例】

  • 物件の立地を重視する
    →駅が近い(ポータルサイトの検索で絞られる徒歩7分以内)
  • 物件の周辺環境を重視する
    →スーパー・コンビニ・薬局が近い、治安が悪くなる要因がないか
  • 物件の間取りや向きを重視する
    →陽当たりがいい、家事動線が確保しやすい、1つずつの部屋が使いやすい

流動性リスク(売却に時間がかかる)と対応策

不動産を売却しようと思った場合、すぐに買い手がつくかという流動性リスクもあります。 他の物件で不動産経営を行うために買い替えたい、もしくは思っていた利回りではなかったなど理由は様々ですが、なるべく早く売却して現金化したいと思うことが多いでしょう。資産価値の下落が少ない物件に越したことはありませんが、その他にも対応次第で早く売却することが可能です。

【対応策例】

  • 満室にして売却する
    →1棟経営、1室経営いずれも満室にしておくと収益価値のある物件とみなされる
    →空室があることで収益価値の低い物件とみなされ、買い手の融資が通りづらくなる
  • 築浅のうちに売却する
    →資産価値があるとみなされ買い手の融資が通りやすい、築浅希望の買い手が多い

修繕費リスクと対応策

修繕費のリスクには2つあります。分譲マンションなど1室投資を行う場合に管理会社へ支払う「修繕積立金」と居室内の設備故障などによる「修繕費」です。 修繕積立金は数年に1度見直され、将来に向けて費用が上がる傾向にあるため、利回りに反映されているか確認しなくてはいけません。

もう1つは、居室内で使用する設備の寿命や故障による「修繕費」です。入居者に過失がない限り、オーナー負担で修理を求められます。エアコン、給湯器、換気扇、食器洗浄機、浴室乾燥機、インターフォンなどが通常の付帯設備である場合、出費を想定しておく必要があるでしょう。

【対応策例】

  • 修繕積立金の上昇は事前に収支計画表に組み込む
    →類似規模、同じ会社が管理する他のマンションにおける修繕積立金を調査する
  • 設備の耐久年数やコストを把握する
    →急な故障に対応できるよう、メーカー性能や価格などをある程度把握して備える

物件の老朽化リスクと対応策

資産価値下落を防ぐために「好立地」を選んだとしても、経年で避けられないリスクに老朽化があります。イメージしやすい例の1つが、配管の老朽化による詰まりや破裂などです。 不動産は見えない部分の老朽が多く、保険対応とならない事例は高額な損害賠償へと繋がってしまいます。

【対応策例】

  • 老朽化リスク発生前に売却する
    →修繕コストがかからず利回りがよいうちに手離す
  • 住宅診断を受ける
    →プロが修繕の必要箇所などを調査して教えてくれる(1棟経営の場合)
  • 修繕計画を立てる
    →外壁や配管などの修繕計画を立て、老朽化を防ぐ

金利上昇リスクと対応策

満室経営が継続していても、収支計画を左右する大きな要因となる金利問題を忘れてはいけません。 不動産投資で利用する銀行融資も「変動金利」と「固定金利」が選択できます。 選択する金利や返済方法によって、合計返済額に数百万円の差が生じてしまうため慎重に決定しましょう。

【対応策例】

  • 収支計画表の金利リスクを吟味する
    →金利上昇リスクがキャッシュフローに反映されているかを確認する
  • 固定金利を選択する
    →上昇リスクがないので返済計画が立てやすい
    (変動金利の上昇率によって、合計返済額が高くなる可能性がある)
  • 元金均等返済式を選択する
    →返済が進むにつれ毎月支払う利息が減るため不動産経営に向いている

自然災害リスクと対応策

発生率としては少ないですが、発生時には被害がおおきくなりやすい自然災害リスクも懸念されます。 河川の近くなど発生の予測がしやすい地域もありますが、地震はいつどこで起こるか分からず予測が容易ではありません。また、大規模な地震が発生すると同時に火災のリスクも伴います。

【対応策例】

  • 2000年基準を満たした物件を選ぶ
    →1981年6月1日以降の新耐震基準よりも優れた基準となっている
  • 地盤が強い土地を選ぶ
    →地盤が緩いと水害や地震の際に被害が拡大してしまう
  • 耐火性の高い構造を選ぶ
    →鉄筋・鉄筋鉄骨コンクリート造を選ぶ
  • 住宅保険に加入する
    →保険の適用対象事例を理解する

事故物件リスクと対応策

こちらも不動産投資を行う上で付き物となる事故物件リスクです。 事件性のない自然死には告知義務がありませんが、物件内での自殺や他殺などは毎年一定数発生し、未然に防ぐことは難しいでしょう。事故物件になってしまうと、発生した部屋の賃料下落や需要減少だけでなく、他室の既存入居者が退去してしまう可能性もあります。 また、事故発生後の発見時期が遅くなるほど、原状回復費用の費用が高くなってしまいます。

【対応策例】

  • 入居審査時の審査を厳しくする
    →家賃保証会社の審査に落ちた人、属性の悪い人を無理に入居させない
  • 2親等以内の連帯保証人を付けておく
    →事故発生の連絡や損害請求をスムーズに行えるようにする
    →事故が発生した場合の損害賠償について、事前に契約書に記しておく
  • 高齢入居者は注意しておく
    →自然死による発見が遅れないように郵便ポストなどで不審点を確認する

初心者が避けるべきハイリスクな不動産投資

不動産投資には一見すると高利回りでも、ハイリスクな物件があります。ここでは代表的な3例を紹介します。

地方の一棟アパート

地方の一棟アパートは、都心の物件よりも低価格で高利回りのため魅力的に見えますが、ハイリスクなことが多いため注意しましょう。
一般的にいわれている地方の一棟アパートのリスクとして、東京都心の区分マンションなどと比べて空室率が高いことが挙げられます。日本では本格的な人口減少社会を迎えつつありますが、多くの地方都市では都心よりも急カーブで人口減少が進んでいます。一方、もともと存在している賃貸物件は人口が減ってもそのまま残っているため、相対的に空室率が高くなる傾向があります。
地方の一棟アパートは、都心の物件よりも空室リスクが高いため、金融機関の融資がつきにくい、すなわち、不動産投資家が積極的に参入しづらく「出口戦略(売却計画)」を描きづらいというデメリットもあります。

築古物件

同様に、築古物件も表面的には低価格かつ高利回りのように見えますが、潜在的なリスクがあるため初心者向きとはいえません。
例えば、築古物件は建物や設備が古いため、新築物件よりも修繕費がかさむのが普通です。特に、長期間リフォームや大規模修繕をしていない物件だと、購入直後にまとまった修繕費が必要になるケースもあるので注意が必要です。
また、築古物件の中でも木造アパートは、購入時にローンを利用するのが難しいケースが多く、これも用意できる資金が限られている初心者にとってはデメリットになります。築古物件でローンを利用しにくい理由は、法定耐用年数が残っていないため、融資審査のハードルが上がるからです。

プレビルドの海外不動産

プレビルドとは、完成まで期間のある物件を予約購入することをいいます。海外の一部の国の商習慣として認められています。プレビルドにはキャピタルゲイン(売却益)を得られるというメリットがあります。しかし、その国の不動産事情や商習慣に詳しくないとトラブルに遭うリスクがあるため、初心者は避けるべきでしょう。
プレビルドでは予定していた工期を大幅に超えるケースもあります。例えば、3年後には売却益を得られると見込んでいたのに、4~5年経っても完成見込みが立たないということも考えられます。最悪、 建設が中止になる可能性もあります。 さらに、プレフビルド物件が完成しても、その国の経済事情の変化などによって、期待していた売却益が得られないリスクもあります。

不動産投資でリスクを回避するためのポイント

不動産投資の初心者がリスクを回避するためには、上記のようなハイリスク物件を避けるとともに、以下のポイントを意識するとよいでしょう。

賃貸需要が高いエリアを選ぶ

不動産投資には数多くのリスクがありますが、中でも避けたいのは家賃収入が入ってこなくなる空室リスクでしょう。これを軽減するには賃貸需要の高いエリア(多くの人が部屋を借りたいと思っているエリア)を選ぶことが大切です。賃貸需要の高いエリアなら、経年劣化による資産価値および家賃下落リスクも軽減しやすいといえます。

賃貸需要が高いエリアをリサーチする方法の一例として、不動産の情報サイト「ライフルホームズ」の「賃貸用住宅の空室率一覧」の利用があります。これを使えば、各都道府県、各市区町村の空室率のリサーチが手軽にできます。この他、実際にそのエリアを歩いて空室状況を確認する、そのエリアに強い不動産会社でヒアリングするなどの方法も有効です。

無理なローンを組まない

初心者が注意すべきポイントとしては、適切な融資額かつ金利で不動産投資のローンを組むというものもあります。これにより、空室・家賃滞納・金利上昇などのリスクに対応しやすい経営環境がつくれます。 どれくらいの融資額なら許容できるかはケースバイケースです。
ローンサービスを提供する株式会社MFSが行った約2 ,000名のサラリーマン投資家調査では、ローン残高と年収の比率である「年収倍率」は平均11.8倍でした。つまり、年収800万円の人であれば約9 ,400万円のローン残高があるということです。
ただし、初心者がいきなり高い年収倍率でローンを組むのはリスクが高いため、まずは控えめな年収倍率(8倍以下など)を設定しましょう。

慎重にシミュレーションする

不動産投資で失敗しやすいのは、表面利回りや簡易なデータだけを見て物件を購入するようなパターンです。実際に物件を運用してみると、利回りと実際のキャッシュフローに差があるため、想定していたリターンを得られないというのが典型的なケースです。
このような失敗に陥らないためには、物件購入前に収支シミュレーションを行うことが大切です。想定家賃・諸費用・税金などをもとに収支のシミュレーションを行うことで、実際の運用に近いキャッシュフローを確認できます。最近では、ネット上に数多くの不動産投資用のシミュレーターが無料で公開されているので活用するとよいでしょう。

不動産投資のメリット

ここまでは不動産投資のリスクについて説明しましたが、それでも不動産投資が人気なのは、リスク以上のメリットが数多くあるからでしょう。コロナ禍で、経済事情が一変しても安定した収入を得られる不動産投資はより注目を浴びるようになりました。不動産投資で享受できるメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。

サラリーマンをしながら副業として収入増が期待できる

不動産オーナーというと元々「土地持ち」であるイメージがありますが、冒頭のリサーチ結果のとおり、現在ではサラリーマンをしながら大家業をする人が多く存在します。購入時にローン審査に通過して引渡しが終わると、入居者や仲介業者とのやりとりは全て管理会社に任せられるので、日々の手間がかかりません。サラリーマンをしながら別の収入源となってくれるので、怪我や病気で働けなくなった時にも頼りになる副業です。

ローン完済後には年金代わりの収入が期待できる

不動産投資を行うにあたり、多くの方がローンを組むことになるでしょう。返済年数は人それぞれですが、無事にローンを完済した頃には高齢になっている方が多いかと思います。今まではローン返済に充てていた家賃収入が、完済後は全額手元に残るのでとても心強いでしょう。
公的年金だけでは生活が厳しいと言われる中で、年金にプラスして豊かな生活が期待できます。

融資を受けられるのでレバレッジ効果が高い

不動産投資のレバレッジ効果とは、金融機関からの融資を利用することで自己資金だけでは得られなかった高い収益化を狙えることです。1,000万円の自己資金だけで安い物件を購入するのと、自己資金と金融機関からの融資をプラスして3,000万円の高い物件を購入するのでは、同じ利回りでも後者の方が収益額は多くなります。レバレッジ効果による「お得感」を利用して、高い収益を生み出すことが可能です。

減価償却費で節税が期待できる

不動産には、取得費用を耐用年数に応じて分割費用計上できる減価償却法が適用されます。
減価償却の適用は経年劣化により資産価値が下がる建物に限られますが、耐用年数のうちは実際に手元にある現金の移動がなくても毎年計上が可能です。
費用計上することにより課税所得を減少させて、税負担を減らすことが期待できるでしょう。

相続税の節税が期待できる

財産相続による「相続税」対策として、不動産投資はメリットが高いと言われています。
相続税の課税率は、財産の種類により評価方法が定められており、不動産は現金よりも「相続税評価額」が低くなる可能性があるのです。さらに賃貸用物件の場合は、借主保護の「借家権」の適用がオーナーの権利に影響することから、相続税評価額をより減少させる制度があります。不動産投資には維持するためのコストもかかりますが、特例や制度を上手く活用することでそれ以上に大きな節税が可能でしょう。

現物資産のためインフレに強い

インフレが起こると、現金や国債などの金融資産は価値が一気に下落します。反対に現物資産である不動産は、インフレによる物価上昇が起こっても資産価値として下落しづらい特徴があり、不動産投資の強みです。また、ローンの返済額面は同じでも、インフレ時はお金の価値が下がっているため実質的には目減りしているといえるでしょう。

もしもの時は収益物件が遺せて生命保険代わりになる

配偶者や子に遺すために不動産投資を行う人も少なくありません。もしも自分が突如として亡くなってしまったら、残された家族にとっては収入源が途絶えてしまいます。そんな事態に直面しても、不動産投資を行っていると物件が代わりの収入源となってくれるでしょう。さらに収益物件を売却することでまとまったお金を作ることも可能となり、生命保険の代わりとなる心強い味方です。

不動産投資のリスクに関するよくある質問

最後に不動産投資のリスクに関するよくある質問を紹介します。

新築と中古、どちらの方がリスクが高いか

新築物件と中古物件には、それぞれ異なるメリットとデメリットがあります。
新築物件には、「家賃を相場よりも高く設定しやすい」「修繕費を抑えやすい」などのメリットがある一方、 物件価格が割高なため「利回りが低くなりやすい」というデメリットがあります。
これに対して、中古物件は物件価格が割安なため「利回りが高くなりやすい」というメリットがある一方、「修繕費がかさみやすい」「空室リスクが高い」などのデメリットがあります。
初心者の場合、 購入直後に修繕費や空室が発生すると対応できない可能性があるため、まずは新築物件や築浅物件を選択することをおすすめします。運用するのに豊富な経験と知識が必要な中古物件は、中級者以上の投資家向けといえます。

なぜ不動産投資はミドルリスク・ミドルリターンといわれるのか

不動産投資は一般的にミドルリスク・ミドルリターンといわれることが多いです。ミドルリスク・ミドルリターンとは、資金を失う可能性がゼロではない一方、 ある程度の見返りが期待できるという意味です。
ローリスク・ローリターンの代表は預貯金です。元本割れするリスクが低い一方、 金利はほとんどつきません。ハイリスク・ハイリターンの代表はFX(外国為替証拠金取引)です。元手(証拠金)の最大25倍のレバレッジをかけて短期間で利益を得ることが可能ですが、元手を失うリスクもあります。
それぞれの特徴を比べると、老後資金のための安定的な資産運用を目指すならミドルリスク・ミドルリターンの不動産投資が向いているといえるでしょう。

日本の人口減少は不動産投資のリスク要因となるのか

国立社会保障・人口問題研究所の将来推計(出生中位/死亡中位の推計)では、2060年時点の日本の人口は2010年と比較して32.3%も減少すると予測されています。日本は急激な人口減少社会を迎えているため、これが不動産投資のリスク要因になる可能性もあります。
ただし、人口減少のペースは全国で見るとグラデーションがあり、人口が横ばいまたは微減というエリアもあります。例えば、東京都人口統計課の推計によると、 東京23区の人口は2030年に979万人でピークを迎えるものの2035年970万人、2040年952万人と長期に渡って900万人台半ばを維持しています。今後の不動産投資では利便性・再開発状況・人口予測などをもとに、人口減少の影響が少ないエリアを選ぶことがより重要になってくると考えられます。

まとめ

本記事では、一般消費者の不動産投資における意識リサーチを基に各リスクや対策方法を解説しました。不動産投資には様々なリスク要因がありますが、享受できるメリットの大きさに視野を向けるととても魅力的な投資であると言えるでしょう。
不動産投資を成功させるための戦略は、本記事で挙げてきたリスクに対していかに素早い対策を施すかが分かれ道です。あらゆるリスクシーンを事前シミュレーションして、懸念される費用についても想定しておきましょう。

ベルテックスでは不動産投資の専門家による無料オンラインセミナーを開催しています。ご自宅からオンラインでご参加いただけますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

この記事を書いた人

ベルテックスコラム事務局

不動産コンサルタント・税理士

不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。