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2024.11.14
ベルテックスコラム事務局
不動産投資のリスク徹底対策!初心者が知っておくべき失敗回避のポイント
- メリット
- リスク
- 初心者
不動産投資を始めたいけれど、リスクが気になって実行できない――。初心者でこのような悩みを抱える人は多いです。実際に、不動産投資には数多くのリスクがありますが、適切な対策をとっていれば回避・軽減することが可能です。
本記事では、不動産投資のリスクと対策の詳しい内容や、特に初心者が注意すべきポイントなどを失敗事例も含めて解説します。最後までお読みいただくと、不動産投資への不安が薄まり、前向きな気持ちになれるはずです。
不動産投資の10のリスクと対策
不動産投資には、「安定的な収益を得やすい」「節税効果がある」などのメリットがある一方、数多くのリスクがあります。不動産投資の初心者の中には、リスクがあるので物件を購入しにくいと感じる人もいるかもしれません。しかし、その中身を知り、適切な対策を取ることでリスクを回避・軽減することが可能です。
不動産投資における10のリスクと対策は以下の通りです。
リスク | リスクの内容 | 対策 |
---|---|---|
1.空室リスク | 空室で家賃収入が得られない | ・人口が安定した地域を選ぶ ・単身者向け物件を選ぶ |
2.家賃滞納リスク | 滞納で家賃収入が得られない | ・家賃保証会社を利用する ・サブリース契約を選択する ・入居審査を厳しくする ・滞納が発生したら即督促する |
3.家賃下落リスク | 家賃が下がり経営を圧迫する | ・需要の高い地域や物件を選ぶ ・家賃設定が適正な物件を選ぶ ・決定力のある仲介会社を選ぶ |
4.不動産価格の 下落リスク |
不動産価格が下がり売却益が得られない | ・需要の高い地域や物件を選ぶ ・長期修繕計画に基づいた建物の診断と修繕を行う |
5.流動性リスク | 不動産を売却できない | ・法令を遵守している物件を選ぶ ・稼働率を高める |
6.修繕費リスク | 修繕費がかかり、経営を圧迫する | ・綿密な長期修繕計画を立てる ・必要な資金を積み立てる |
7.不動産の 老朽化リスク |
不動産が劣化し、収支が悪化する | ・長期修繕計画と必要な資金の積み立て ・出口戦略をしっかり描く |
8.金利上昇リスク | ローンの金利が上がり、返済額が増加する | ・低金利なローンを選ぶ ・借入総額を抑える |
9.自然災害リスク | 地震や火災で建物が倒壊・破損する | ・耐火性や耐震性の高い物件を選ぶ ・火災保険や地震保険に加入する ・ハザードマップを確認する |
10.事故物件リスク | 入居者が事故や孤独死で亡くなる | ・家賃滞納やクレームに即対応する ・連帯保証人を付けておく ・孤独死保険に加入する |
不動産投資のそれぞれのリスクと対策の詳細を確認していきましょう。
空室リスクと対策
不動産投資のリスクの中で最も注意すべきは「空室リスク」です。空室リスクとは、入居者が長期間見つからず、家賃が得られない状態を指します。不動産投資ローンを利用して物件を購入している場合、手元の資金で返済を続ける必要があります。また、空室状態が長期にわたると、収入がなくなり不動産投資そのものが成り立たなくなる可能性があります。
空室リスクが発生する主な原因は以下の通りです。
- 賃貸需要が低い地域の物件を購入してしまった
-
人口が減少し続けている地域の物件を購入してしまった
-
家賃の設定が周辺の相場よりも高い
-
物件や設備の傷みが激しい
-
生活環境が悪い(日当たりや風通しなど)
「賃貸需要が低い地域の物件」を購入してしまうと、後からリスク対策を取ることが困難になります。
以下のような条件の不動産は購入を避けるのが賢明です。
- 最寄り駅から離れている
- 近隣にスーパーマーケットやコンビニがない
- 近隣に病院や教育施設、公園などがない
- 周辺に嫌悪物件がある など
また、「人口減少が進む地域の物件」も要注意です。なぜなら、日本は人口減少社会に突入し、大半の自治体で人口が減少しているからです。総務省によると、人口増減率が前年に比べてマイナスの自治体は、市区部(747団体)で91.7%、町村部(887団体)で 95.2 %に達しています。9割以上の地域で人口が減っていることになるため、物件を購入する際は地域選びがより一層重要になってくるでしょう。
人口増加率の高い市区は東京都の台東区、港区、墨田区、中央区、千代田区、江東区をはじめ、沖縄県石垣市、茨城県つくば市、千葉県印西市などが挙げられます。
人口増加数が多い地域は大阪府大阪市、福岡県福岡市、東京都江東区、埼玉県さいたま市、神奈川県川崎市などです。物件を購入する際はこうした人口動態のデータも確認するといいでしょう。
【参考】総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数 」2024年1月1日掲載
空室リスクの対策には以下のような手段が考えられます。
空室リスクの対策例
-
人口が安定または増加している地域の不動産を選ぶ
前述の通り、大半の自治体で人口が減少しています。入居者が決まりやすい、人口が安定している地域(首都圏や一部の地方都市など)で不動産投資を行うことで、空室リスクが軽減できます。 - 単身者向けの不動産を選ぶ
特に都市部では、人口が減少または停滞していても、単身世帯数は増えている傾向があります。このような地域で単身世帯をターゲットにしたワンルームマンションなどを運用することでも、空室リスクを軽減することが可能です。 - サブリース契約を選択する
サブリースとは、管理会社などが転貸借を行うことで、空室が発生しても一定の家賃が支払われる契約方式です。サブリースを利用すると、空室リスクにより家賃収入が長期間にわたり途絶えるリスクは完全にケアすることができます。ただし、家賃設定はサブリース業者が行うことになること、また、通常の家賃相場よりも低めの家賃設定になることが多いことを念頭において利用するといいでしょう。
このほかの空室リスクの対策として、入居者満足度を高めるために「優秀な管理会社に委託する」「入居者に人気の設備を導入する(高速Wi-Fiや宅配ボックスなど)」が考えられます。
家賃滞納リスクと対策
不動産投資を安定的に続けるためには、家賃滞納リスクも大敵です。家賃滞納リスクとは、入居者が家賃を支払わないために収入がなくなる状態を指します。家賃滞納が続くと、不動産投資が成り立たず、経営破綻の可能性が生じます。
実際に、家賃滞納は、どれくらいの割合で発生するのでしょうか。
公益財団法人日本賃貸住宅管理協会(日管協)によると、2022年度の入居率の全国平均は95.3%です。つまり、入居者全体の約5%(おおむね20件に1件の割合)が家賃を滞納していることになります。
ただし、これは短期的な家賃滞納を含む割合です。家賃滞納が一定期間続いている「月末での2カ月以上滞納率」で見ると、全国平均は0.3%です。
【参考】(公財)日本賃貸住宅管理協会「第27回賃貸住宅市場景況感調査『日管協短観』」2023年10月掲載
「家賃を支払わない入居者は追い出せばよいのでは?」と考える方もいるかもしれませんが、入居者は借地借家法に守られており、退去してもらうには適切な手続きが必要です。そして、督促や法的手続きには、時間や費用がかかります。
家賃滞納リスクの対策例
- 家賃保証会社を利用する
家賃滞納リスクに最も有効な対策は、家賃保証会社とあらかじめ契約しておくことです。家賃保証会社と保証契約を結んでおけば、家賃滞納が発生した際、一定期間の家賃を立て替えてもらえます。また、退去時の費用(原状回復費や違約金など)を補てんしてくれることもあります。 - 入居審査を厳しくする
入居審査の際に「安定的な収入がある」「連帯保証人がいる」などの条件を付けるのも家賃滞納リスクの対策になります。ただし、審査を厳しくしすぎると入居者が決まりにくくなり、空室リスクが高まる可能性もあるため注意しましょう。 - 家賃滞納が発生したらすぐに督促する
家賃滞納が発生した際、初動が遅れると長期化しやすい傾向があります。管理会社と緊密な連携をとり、家賃滞納リスクにスピーディーに対応していくことも重要です。
家賃下落リスクと対策
不動産投資のリスクの3つ目は、「家賃下落リスク」です。これは、物件を購入した当初よりも家賃が大きく下がり、経営を圧迫するリスクを指します。不動産投資の経費に見合った家賃収入を得られない場合、赤字になったりローン返済が重荷になったりする可能性があります。
一般的に、家賃は年1%前後下落すると言われています。ただし、年1%という下落率はあくまでも平均値であり、個々の物件によって変動幅は異なります。たとえば、賃貸需要が高い地域では、築年数が増えても長期的に家賃が変わらないこともあります。また、家賃の下落率は、築古物件よりも築浅物件の方が大きいと言われています。
家賃下落リスクを回避するためには、購入時点の家賃設定が適正であることも重要です。周辺相場に比べて家賃設定が高すぎる場合、将来的に下落幅が大きくなる可能性があるため注意が必要です。
家賃下落リスクの対策例
- 賃貸需要の高い地域や物件を選ぶ
家賃下落リスクに最も有効な対策は、多くの人に「住みたい」と思われる地域や物件を選ぶことです。供給に対して需要が高い経営環境なら、家賃を下げなくても入居者が決まる可能性があります。なお、賃貸需要の高い物件を選ぶことで、空室リスクや不動産価格の下落リスクを軽減することも可能となります。 - 家賃設定が適正な物件を選ぶ
不動産投資で成功するためには、自分で情報収集することも重要です。その物件の家賃が適正かについては、賃貸物件のポータルサイトで競合物件と比較するのがよいでしょう。 - 決定力のある仲介会社を選ぶ
仲介会社の能力は、家賃下落リスクに大きな影響を与える可能性があります。見込み客を集客力が高く、物件の魅力をしっかり伝えてくれる仲介会社を選ぶと、家賃を大幅に下げなくても入居者がスムーズに決まる確率が高まります。
不動産価格の下落リスクと対策
不動産投資のリスクの4つ目は、「不動産価格の下落リスク」です。このリスクは、不動産価格が大きく下がり、想定していた売却益を得られない、あるいは売却損がふくらんでしまうことを指します。
不動産価格の下落リスクが発生すると、家賃収入を順調に得られているにもかかわらず、最終的な出口戦略で失敗する可能性があります。このリスクが発生する原因は以下の通りです。
-
賃貸需要の低い物件を選んでしまった
-
建物の老朽化が進んでいる
-
事故物件となってしまった
※事故物件リスクの詳細については後述
不動産価格の下落リスクの対策例
- 賃貸需要の高い地域や物件を選ぶ
多くの人に「住みたい」と思われる地域や物件を選ぶことは、価格下落リスクに対しても有効です。賃貸需要の高い物件は収益力を維持しやすいため、価格下落を抑える効果が期待できます。 - 長期計画に基づいた建物の診断と修繕を行う
→建物が老朽化すると収益性や資産性が低下し、価格下落が起きやすくなります。あらかじめ長期修繕計画を立案し、それに沿った建物診断と修繕を行うことで物件の資産性を維持しやすくなります。
流動性リスクと対策
不動産投資の出口戦略を考える上では、「流動性リスク」を軽減することも大切です。このリスクは、不動産を売却しようとした際に、買い手がなかなか見つからないことを指します。これにより、物件価格を大幅に値下げしたり、固定資産税が積み重なったりする可能性が出てきます。
もともと不動産投資は、株式や投資信託などの金融商品と比べて「流動性が低い」と言われます。そのため、流動性リスクを意識して不動産投資を始めることが重要です。このリスクが発生する原因は、以下の通りです。
-
法令を守っていない物件である
-
稼働率が低い
法令を守っていない物件だと流動性リスクが高まる理由は、不動産投資ローンの融資審査に通りにくいからです。これによって買い手が見つからない状態が長期化しやすくなります。
流動性リスクの対策例
- 法令を遵守している物件を選ぶ
不動産投資ローンの融資審査に通りにくい例としては、建築基準法で規定した「接道義務を果たしていない」「建蔽率や容積率を守っていない」などが挙げられます。法令を遵守しているかどうかについては専門知識が必要なため、不動産会社のアドバイスを受けながら判断することが大事です。 - 稼働率を高める
稼働率が低い不動産は収益性が低いため融資審査に通りにくく、買い手が見つかりにくい傾向があります。「物件の魅力を高めるリフォームを行う」「決定力のある仲介会社を選ぶ」などの手段で稼働率を高めることで、融資審査に通りやすい状況をつくれます。
修繕費リスクと対策
不動産投資を長期的な視点で考えると、修繕リスクへの対策も重要です。不動産を一定期間所有していると、以下のような修繕が必要になることがあります。
- 外壁や屋根の塗り替え
- 給排水管の交換
- 室内の住宅設備の交換(エアコンや給湯器など)
修繕リスクとは、これらの修繕費が想定よりも多くかかり、経営を圧迫することを指します。
このリスクが発生する原因は、以下の通りです。
-
長期修繕計画を立てていない
-
長期修繕計画の内容が甘い
-
家賃の一部を積み立てていない
修繕費リスクの対策例
-
綿密な長期修繕計画を立てる
修繕費リスクを軽減するには、長期修繕計画を立て、それに沿って修繕を実施するのが有効です。ただし、建物や設備の劣化状況を正確に調査しなかったり、修繕費用を低めに見積もるなど、修繕計画が不十分だと必要な修繕ができないおそれがあります。不動産の専門家のサポートを受けながら、実効性の高い修繕計画を立案しましょう。 -
必要な資金を積み立てる
長期修繕計画があっても、それを実行する資金がなければ意味がありません。計画に基づいて家賃の一部を適切に積み立てていくことが重要です。インフレによって資材や人件費が高騰すると、想定以上に修繕費がかかる可能性もあるため、目標額よりも多めに積み立てていくのが理想です。
不動産の老朽化リスクと対策
不動産投資の長期経営の観点からは、老朽化リスクへの対策も欠かせません。このリスクは、適切な修繕を行わないことで物件の劣化が進み、「家賃収入が激減する」「空室率が急上昇する」などの問題が発生することを指します。
不動産投資において老朽化リスクが顕在化すると、賃貸需要の高い好立地の物件でも経営が悪化するため注意が必要です。このリスクが発生する主な原因は、以下の通りです。
- 築古物件を購入した
- 適切な修繕を行っていない
- 適切な建て替え時期を逃している
老朽化リスクの対策例
- 長期修繕計画と必要な資金の積み立て
修繕費リスクと同様、綿密な長期修繕計画の立案と、それに沿った資金の積み立てが必須です。将来的に建て替えを目指す場合、その費用の積み立ても必要です。 - 出口戦略をしっかり描く
不動産投資における出口戦略とは、物件を売却する際、利益を最大化するための計画を指します。不動産の購入前に出口戦略を立案しておくことで、適切な売却タイミングや売却価格の目安が把握できます。
金利上昇リスクと対応策
金利上昇リスクとは、借入れをしている不動産投資ローンの金利が上がり、毎月の返済額が増加することを指します。たとえば、不動産投資の収支がわずかに黒字だった場合、金利の上昇によって返済額が増え、赤字になる可能性もあります。
日本では長らく続いていた低金利政策が修正されつつあります。このような状況下で不動産投資を始めるなら、金利上昇リスクへの対策も欠かせません。このリスクが発生する主な原因は、以下の通りです。
- 不動産投資ローンの借入れ額が多すぎる
- もともと高めの金利で借入れをしている
- 変動金利を利用している
- 元利均等返済を選択している
補足をすると、不動産投資ローンの返済方法には、元利均等返済と元金均等返済があり、それぞれに特徴やメリット・デメリットがあります。
元金均等返済 |
特徴:毎月一定の元金を返済していく メリット:元金が減るペースが速い デメリット:返済開始当初の返済額が多い |
元利均等返済 |
特徴:毎月一定の金額を返済していく メリット:毎月の返済額が変わらない デメリット:元金が減るペースが遅い |
金利上昇リスクの対策例
- 低金利のローンを選ぶ
→不動産投資ローンの借入れ金利は、金融機関ごとに異なります。そのため、複数の金融機関の金利を比較し、その中から低金利のローンを選ぶことで、金利上昇リスクを軽減することが可能です。これを踏まえると、数多くの金融機関と提携している不動産会社をパートナーに選ぶのが有利といえるでしょう。 - 借入れ総額を抑える
不動産投資ローンの借入れ総額を抑えることで、金利上昇が起きてもその影響を最小限に抑えることが可能となります。借入れ総額を抑える方法には、借入れ時に「自己資金を増やす」、返済中に「繰上返済をする」があります。繰上返済を行う場合は、手元資金が減りすぎないよう計画的に実行することが重要です。
自然災害リスクと対策
不動産投資における自然災害リスクとは、地震や火災によって建物が倒壊・破損し、その影響で家賃が得られなくなることを指します。加えて、建物の建て替えや修繕費が発生することもあります。
最近では、首都直下型地震や南海トラフ地震の発生が懸念されています。地震発生の対象エリアで不動産投資を始める場合、自然災害リスクへの対策も必須となります。この他、不動産投資における自然災害リスクには、水害(洪水・土砂災害・高潮・津波など)も含まれます。河川近くや海沿いの立地で不動産投資を始める場合は、水害リスクへの対策も必要です。
自然災害リスクの対策例
- 耐火性と耐震性の高い構造を選ぶ
一般的に、木造よりも鉄筋コンクリート造の方が、耐火性と耐震性に優れます。また、旧耐震基準よりも新耐震基準、新耐震基準よりも2000年基準の建物の方が耐震性に優れています。 - 火災保険や地震保険に加入する
不動産投資を始めるときには、火災保険に加入することが必須です。合わせて、地震リスクの高い地域で不動産を購入する際は、地震保険の加入も検討しましょう。なお、地震保険は単体では加入できず火災保険とセットでの加入が必要です。 - ハザードマップを確認する
ハザードマップとは、自然災害のリスクを視覚的に示した地図です。不動産を購入する前にその地域のハザードマップを確認することで、自然災害リスクを把握することが可能です。リスクが高い場合は、購入前後に適切な対策をとったり、不動産の購入を再検討したりすることをおすすめします。
事故物件リスクと対応策
不動産投資における事故物件リスクとは、入居者が自殺や他殺、孤独死(自然死の場合、長期間にわたって発見されず特殊清掃を行ったケースなど)で亡くなることで、原状回復費がかかったり、家賃が下がったりすることを指します。
事故物件であることを告げずに賃貸借契約を交わすと、解約や損害賠償のリスクがあるため注意が必要です。不動産投資を行う際、事故物件リスクを完全にゼロにすることはできませんが、以下のような対策を取ることでリスクを軽減することが可能です。
事故物件リスクの対策例
- 家賃滞納やクレームに即対応する
家賃滞納の発生や周辺からの異臭のクレームが、入居者の孤独死を発見するきっかけになることもあります。管理会社と連携しながら、これらの変化にスピーディーに対応する体制を整えておくことで、入居者が亡くなってから発見するまでの期間の長期化を防ぐ効果があります。 - 連帯保証人を付けておく
賃貸借契約の際に連帯保証人を付けておくことで、孤独死が起きた際の原状回復費を請求することが可能です。 - 孤独死保険に加入する
最近では、事故物件リスクに対応することを目的にした「孤独死保険」を用意する保険会社もあります。孤独死保険に加入すると、原状回復費や家賃下落などの一定割合をカバーすることが可能です。また、火災保険によっては、特約で孤独死の原状回復に対応するものもあります。
不動産投資はやめとけ?失敗事例を検証
ネット検索をすると、「不動産投資はやめとけ」という意見も見られます。その理由となるのは、「こんな失敗をするからやめとけ」というものです。失敗事例と回避策を考えてみましょう。
●失敗事例1:サラリーマンの副業でよく考えずに始めてしまった
初心者に最も多い失敗事例は、不動産投資を始めたいという思いが先行してしまい、深く考えずに空室リスクの高い物件を購入してしまったというものです。たとえば、物件価格の安さに惹かれて、人口減少が進む地域で不動産投資を始めて、長期的な空室が発生することがあります。このような失敗をしないよう、「人口が安定した地域を選ぶ」という対策を徹底しましょう。
●失敗事例2:目的に合っていない不動産を購入してしまった
空室を避けたいという理由から、入居審査の基準を下げてしまい、家賃滞納が発生したという失敗事例もあります。不動産投資は安定的な家賃を得ることで成立します。入居審査の基準を緩めて空室リスクを下げても、家賃滞納リスクが高まってしまっては本末転倒です。それぞれのリスクのバランスを考えながら対策を実行しましょう。
●失敗事例3:修繕費を考えずに中古物件を購入してしまった
中古物件の安さに惹かれて不動産投資を始め、失敗する事例も見られます。中古物件は、物件の状態によって購入直後に修繕費が発生したり、次回の大規模修繕に多額のお金がかかったりすることがあるため、修繕費リスクを考慮した上で「購入するかどうか」を検討することが重要です。
【おすすめ関連記事】「不動産投資はやめとけ」と言われる理由とは?リスク管理について解説
【初心者注意】こんなハイリスク不動産は回避しよう
不動産投資には一見すると高利回りでも、ハイリスクな物件があります。ここでは代表的な3例を紹介します。
地方の一棟アパート
地方の一棟アパートは、都心の物件よりも低価格で高利回りのため魅力的に見えますが、ハイリスクなことが多いため注意しましょう。
地方の一棟アパートの一般的なリスクとして、東京都心の区分マンションなどと比べて空室率が高いことが挙げられます。日本では本格的な人口減少社会を迎えつつありますが、多くの地方都市では都心よりも急カーブで人口減少が進んでいます。
人口が減っても賃貸物件が減るわけではないため、、地方の物件は都心と比べ、相対的に空室率が高くなる傾向があります。
また、地方の一棟アパートは、都心の物件よりも空室リスクが高いため、金融機関の融資がつきにくいというデメリットもあります。融資がつきづらいと、購入しにくいだけではなく、購入していざ売りたい時にも、融資がつきにくいため買い手がなかなか見つからない、すなわち「出口戦略(売却計画)」を描きづらいということも考えられます。
地方の一棟アパートの購入を検討する際は、そのエリアの人口動態や出口戦略について、一層慎重に検討する必要があるでしよう。
築古物件
同様に、築古物件も表面的には低価格かつ高利回りのように見えますが、潜在的なリスクがあるため不動産投資初心者に向いているとはいえません。
たとえば、築古物件は建物や設備が古いため、新築物件よりも修繕費がかさむのが普通です。特に、長期間リフォームや大規模修繕をしていない不動産だと、購入直後にまとまった修繕費が必要になるケースもあるので注意が必要です。
また、築古物件の中でも木造アパートは、購入時にローンを利用するのが難しいケースが多く、これも用意できる資金が限られている投資初心者にとってはデメリットになります。
築古物件でローンを利用しにくい理由は、法定耐用年数が残っていないため、不動産投資ローンの融資審査のハードルが上がるからです。
プレビルドの海外不動産
プレビルドとは、竣工前の不動産を予約購入する不動産投資の手法であり、フィリピンやイギリス、アメリカなど海外の一部の国で認められています。
プレビルド方式の物件は割安に設定されていることが多く、建物の完成に近づくと値上がりしていきます。そのため、キャピタルゲイン(売却益)を得られやすいというメリットがあります。
しかし、プレビルドは日本では禁止されているため、海外不動産業者との取引になるため、日本の感覚では予測するのが難しいようなトラブルも起こりえます。
たとえば、プレビルドでは予定していた工期を大幅に超えるケースもあります。
3年後には売却益を得られると見込んでいたのに、4~5年経っても完成見込みが立たないということも考えられます。また、最終的に物件が完成しなかったり、開発途中で業者が倒産したりする可能性もあります。
さらに、プレビルド物件が完成しても、その国の経済事情の変化などによって、期待していた売却益が得られないリスクもあります。
このように、プレビルド物件は大きなリターンが見込める魅力もありますが、リスクも相応に高く、その国の不動産事情や商習慣に詳しくないと大きなトラブルに遭うリスクが避けられません。初心者が安易に手を出すのは失敗のもとといえるでしょう。
誰でも成功しやすい不動産投資のコツ
不動産投資の初心者がリスクを回避するためには、上記のようなハイリスク物件を避けるとともに、以下のポイントを意識するとよいでしょう。
賃貸需要が高いエリアを選ぶ
不動産投資には数多くのリスクがありますが、中でも避けたいのは家賃収入が入ってこなくなる空室リスクでしょう。これを軽減するには賃貸需要の高いエリア(多くの人が部屋を借りたいと思っているエリア)を選ぶことが大切です。
賃貸需要の高いエリアなら、経年劣化による資産価値および家賃下落リスクも軽減しやすいといえます。
賃貸需要が高いエリアをリサーチする方法の一例として、不動産の情報サイト「ライフルホームズ」の「賃貸用住宅の空室率一覧」の利用があります。これを使えば、各都道府県、各市区町村の空室率のリサーチが手軽にできます。
この他、実際にそのエリアを歩いて空室状況を確認する、そのエリアに強い不動産会社でヒアリングするなどの方法も有効です。
無理なローンを組まない
初心者が注意すべきポイントとしては、適切な融資額かつ金利で不動産投資のローンを組むというものもあります。これにより、空室・家賃滞納・金利上昇などのリスクに対応しやすい経営環境がつくれます。
どれくらいの融資額なら許容できるかはケースバイケースです。不動産投資ローンサービスを提供する株式会社MFSが2020年に行った、約2,000名のサラリーマン投資家調査では、ローン残高と年収の比率である「年収倍率」は平均11.8倍でした。
つまり、年収800万円の人であれば約9,400万円のローン残高があるということです。
また、同調査によると、年収倍率が15倍を超える借入の申込はローンの事前審査の承認率が0%になり、8倍で40%、以降は倍率が下がるほど承認確率が上がるという結果になりました。
このように、無理に高額を借り入れようとしてもローンの審査を通らず、また通ったとしても家賃や本業の収入に変化があった際、キャッシュフローが悪化しやすくなるといったリスクも高まります。
自分がどれくらいの融資額を許容できるか、物件の収支プランと合わせて、不動産会社のコンサルタントと検討するといいでしょう。
慎重にシミュレーションする
不動産投資で失敗しやすいのは、表面利回りや簡易なデータだけを見て物件を購入するようなパターンです。実際に物件を運用してみると、利回りと実際のキャッシュフローに差があるため、想定していたリターンを得られないというのが典型的なケースです。
このような不動産投資の失敗に陥らないためには、物件購入前に収支シミュレーションを行うことが大切です。想定家賃・諸費用・税金などをもとに収支のシミュレーションを行うことで、実際の運用に近いキャッシュフローを確認できます。
最近では、ネット上に数多くの不動産投資用のシミュレーターが無料で公開されているので活用するとよいでしょう。
また、運用の収支は金利や年収、勤続年数、家族構成など、個々人の状況によって異なるため、実際に自分の状況を確認したいという場合は不動産会社にシミュレーションを依頼することをおすすめします。
【おすすめ関連サイト】ベルテックスの不動産投資シミュレーション
2024年速報!不動産投資市場リスク要因1位は「金利上昇リスク」
本記事では、不動産投資の10のリスクを中心に解説してきました。この中で不動産投資の専門家が2024年以降、特に警戒すべきリスクとして挙げているのが「金利上昇リスク」です。
一般財団法人日本不動産研究所がアセットマネージャーやデベロッパー、不動産賃貸などの企業を対象に実施した調査によると、不動産投資市場の今後のリスク要因として、最も数多くの企業が挙げたのが「金利の上昇(103社)」でした(有効回答数119社/2項目選択)。
その他のリスク要因として挙げられているのは、「レンダー(金融機関など資金の貸し手)の融資姿勢の変化」「賃料の伸び悩み」「地震などの自然災害」などでした。
【参考】(一財)日本不動産研究所「第50回不動産投資家調査®」2024年5月29日掲載
ローンを組んで購入することが一般的である以上、不動産投資と金利上昇リスクは切り離せないものですが、ローンの借り換えを検討する、繰り上げ返済によって月々の返済額の負担を減らすなど、まったく対策できないリスクではありません。
不動産投資と金利上昇リスクの関係と、金利上昇への対策は以下の記事でよりくわしく紹介しています。
【おすすめ関連記事】不動産投資における金利上昇リスクは仕組みを知れば怖くない
独学で不安?無料セミナーで専門家の話を聞いてみよう
初心者の中には、これまでネットや本で不動産投資を勉強してきたものの、以下のような不安を抱える人もいるのではないでしょうか。
- 独学なので知識が通用するか心配
- リスクが気になって物件購入を決断できない
- もし投資に失敗したら……という恐怖感が払拭できない
こういった不動産投資の不安を解消する方法として、不動産投資家やコンサルタントへの相談を選択する人もいます。しかし、個別のコンサルタントの場合、決して安くない費用がかかる、あるいは相手先が本当に信用できるか判断しにくいといった問題があります。
「リスクが気になって不動産投資を始められない」などの不安を抱える人は、まずは専門家が講師を務める無料セミナーに参加して足りない知識を補ったり、質問を通して不安を解消したりすることをおすすめします。信頼性の高い不動産投資セミナー(主催社)選びのポイントは以下の通りです。
-
宅地建物取引業の免許を取得している(確認方法:会社概要で確認できる)
-
数多くの金融機関と提携している(同上)
-
一定の社歴がある(例:創業から10年程度など)
-
資本金や従業員数が一定以上いる(例:従業員100名以上など)
まとめ
不動産投資にはいくつものリスクがありますが、ここで解説した対策を行うことで軽減・回避することが可能です。一方で、不動産投資の初心者の方が数多くの対策を実行するのは現実的ではありません。
不動産投資のリスクを熟知するビジネスパートナー(不動産会社や管理会社など)に、物件や入居者の管理を委託することで、手間をかけずにリスク回避をすることが可能です。
私たちベルテックスでは、「対面形式(新宿本社)」と「オンライン形式」という2つのスタイルの不動産投資セミナーをご用意しています。様々なテーマのセミナーを企画しているため、その人の知識や経験に合った内容を選べます。直近で開催されるセミナー情報をチェックしたい方は下記のページをご覧ください。
この記事を書いた人
ベルテックスコラム事務局
不動産コンサルタント・税理士
不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。
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2024.11.14
ベルテックスコラム事務局
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不動産投資を始めたいけれど、リスクが気になって実行できない――。初心者でこのような悩みを抱える人は多いです。実際に、不動産投資には数多くのリスクがありますが、適切な対策をとっていれば回避・軽減することが可能です。
本記事では、不動産投資のリスクと対策の詳しい内容や、特に初心者が注意すべきポイントなどを失敗事例も含めて解説します。最後までお読みいただくと、不動産投資への不安が薄まり、前向きな気持ちになれるはずです。
不動産投資の10のリスクと対策
不動産投資には、「安定的な収益を得やすい」「節税効果がある」などのメリットがある一方、数多くのリスクがあります。不動産投資の初心者の中には、リスクがあるので物件を購入しにくいと感じる人もいるかもしれません。しかし、その中身を知り、適切な対策を取ることでリスクを回避・軽減することが可能です。
不動産投資における10のリスクと対策は以下の通りです。
リスク | リスクの内容 | 対策 |
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1.空室リスク | 空室で家賃収入が得られない | ・人口が安定した地域を選ぶ ・単身者向け物件を選ぶ |
2.家賃滞納リスク | 滞納で家賃収入が得られない | ・家賃保証会社を利用する ・サブリース契約を選択する ・入居審査を厳しくする ・滞納が発生したら即督促する |
3.家賃下落リスク | 家賃が下がり経営を圧迫する | ・需要の高い地域や物件を選ぶ ・家賃設定が適正な物件を選ぶ ・決定力のある仲介会社を選ぶ |
4.不動産価格の 下落リスク |
不動産価格が下がり売却益が得られない | ・需要の高い地域や物件を選ぶ ・長期修繕計画に基づいた建物の診断と修繕を行う |
5.流動性リスク | 不動産を売却できない | ・法令を遵守している物件を選ぶ ・稼働率を高める |
6.修繕費リスク | 修繕費がかかり、経営を圧迫する | ・綿密な長期修繕計画を立てる ・必要な資金を積み立てる |
7.不動産の 老朽化リスク |
不動産が劣化し、収支が悪化する | ・長期修繕計画と必要な資金の積み立て ・出口戦略をしっかり描く |
8.金利上昇リスク | ローンの金利が上がり、返済額が増加する | ・低金利なローンを選ぶ ・借入総額を抑える |
9.自然災害リスク | 地震や火災で建物が倒壊・破損する | ・耐火性や耐震性の高い物件を選ぶ ・火災保険や地震保険に加入する ・ハザードマップを確認する |
10.事故物件リスク | 入居者が事故や孤独死で亡くなる | ・家賃滞納やクレームに即対応する ・連帯保証人を付けておく ・孤独死保険に加入する |
不動産投資のそれぞれのリスクと対策の詳細を確認していきましょう。
空室リスクと対策
不動産投資のリスクの中で最も注意すべきは「空室リスク」です。空室リスクとは、入居者が長期間見つからず、家賃が得られない状態を指します。不動産投資ローンを利用して物件を購入している場合、手元の資金で返済を続ける必要があります。また、空室状態が長期にわたると、収入がなくなり不動産投資そのものが成り立たなくなる可能性があります。
空室リスクが発生する主な原因は以下の通りです。
- 賃貸需要が低い地域の物件を購入してしまった
-
人口が減少し続けている地域の物件を購入してしまった
-
家賃の設定が周辺の相場よりも高い
-
物件や設備の傷みが激しい
-
生活環境が悪い(日当たりや風通しなど)
「賃貸需要が低い地域の物件」を購入してしまうと、後からリスク対策を取ることが困難になります。
以下のような条件の不動産は購入を避けるのが賢明です。
- 最寄り駅から離れている
- 近隣にスーパーマーケットやコンビニがない
- 近隣に病院や教育施設、公園などがない
- 周辺に嫌悪物件がある など
また、「人口減少が進む地域の物件」も要注意です。なぜなら、日本は人口減少社会に突入し、大半の自治体で人口が減少しているからです。総務省によると、人口増減率が前年に比べてマイナスの自治体は、市区部(747団体)で91.7%、町村部(887団体)で 95.2 %に達しています。9割以上の地域で人口が減っていることになるため、物件を購入する際は地域選びがより一層重要になってくるでしょう。
人口増加率の高い市区は東京都の台東区、港区、墨田区、中央区、千代田区、江東区をはじめ、沖縄県石垣市、茨城県つくば市、千葉県印西市などが挙げられます。
人口増加数が多い地域は大阪府大阪市、福岡県福岡市、東京都江東区、埼玉県さいたま市、神奈川県川崎市などです。物件を購入する際はこうした人口動態のデータも確認するといいでしょう。
【参考】総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数 」2024年1月1日掲載
空室リスクの対策には以下のような手段が考えられます。
空室リスクの対策例
-
人口が安定または増加している地域の不動産を選ぶ
前述の通り、大半の自治体で人口が減少しています。入居者が決まりやすい、人口が安定している地域(首都圏や一部の地方都市など)で不動産投資を行うことで、空室リスクが軽減できます。 - 単身者向けの不動産を選ぶ
特に都市部では、人口が減少または停滞していても、単身世帯数は増えている傾向があります。このような地域で単身世帯をターゲットにしたワンルームマンションなどを運用することでも、空室リスクを軽減することが可能です。 - サブリース契約を選択する
サブリースとは、管理会社などが転貸借を行うことで、空室が発生しても一定の家賃が支払われる契約方式です。サブリースを利用すると、空室リスクにより家賃収入が長期間にわたり途絶えるリスクは完全にケアすることができます。ただし、家賃設定はサブリース業者が行うことになること、また、通常の家賃相場よりも低めの家賃設定になることが多いことを念頭において利用するといいでしょう。
このほかの空室リスクの対策として、入居者満足度を高めるために「優秀な管理会社に委託する」「入居者に人気の設備を導入する(高速Wi-Fiや宅配ボックスなど)」が考えられます。
家賃滞納リスクと対策
不動産投資を安定的に続けるためには、家賃滞納リスクも大敵です。家賃滞納リスクとは、入居者が家賃を支払わないために収入がなくなる状態を指します。家賃滞納が続くと、不動産投資が成り立たず、経営破綻の可能性が生じます。
実際に、家賃滞納は、どれくらいの割合で発生するのでしょうか。
公益財団法人日本賃貸住宅管理協会(日管協)によると、2022年度の入居率の全国平均は95.3%です。つまり、入居者全体の約5%(おおむね20件に1件の割合)が家賃を滞納していることになります。
ただし、これは短期的な家賃滞納を含む割合です。家賃滞納が一定期間続いている「月末での2カ月以上滞納率」で見ると、全国平均は0.3%です。
【参考】(公財)日本賃貸住宅管理協会「第27回賃貸住宅市場景況感調査『日管協短観』」2023年10月掲載
「家賃を支払わない入居者は追い出せばよいのでは?」と考える方もいるかもしれませんが、入居者は借地借家法に守られており、退去してもらうには適切な手続きが必要です。そして、督促や法的手続きには、時間や費用がかかります。
家賃滞納リスクの対策例
- 家賃保証会社を利用する
家賃滞納リスクに最も有効な対策は、家賃保証会社とあらかじめ契約しておくことです。家賃保証会社と保証契約を結んでおけば、家賃滞納が発生した際、一定期間の家賃を立て替えてもらえます。また、退去時の費用(原状回復費や違約金など)を補てんしてくれることもあります。 - 入居審査を厳しくする
入居審査の際に「安定的な収入がある」「連帯保証人がいる」などの条件を付けるのも家賃滞納リスクの対策になります。ただし、審査を厳しくしすぎると入居者が決まりにくくなり、空室リスクが高まる可能性もあるため注意しましょう。 - 家賃滞納が発生したらすぐに督促する
家賃滞納が発生した際、初動が遅れると長期化しやすい傾向があります。管理会社と緊密な連携をとり、家賃滞納リスクにスピーディーに対応していくことも重要です。
家賃下落リスクと対策
不動産投資のリスクの3つ目は、「家賃下落リスク」です。これは、物件を購入した当初よりも家賃が大きく下がり、経営を圧迫するリスクを指します。不動産投資の経費に見合った家賃収入を得られない場合、赤字になったりローン返済が重荷になったりする可能性があります。
一般的に、家賃は年1%前後下落すると言われています。ただし、年1%という下落率はあくまでも平均値であり、個々の物件によって変動幅は異なります。たとえば、賃貸需要が高い地域では、築年数が増えても長期的に家賃が変わらないこともあります。また、家賃の下落率は、築古物件よりも築浅物件の方が大きいと言われています。
家賃下落リスクを回避するためには、購入時点の家賃設定が適正であることも重要です。周辺相場に比べて家賃設定が高すぎる場合、将来的に下落幅が大きくなる可能性があるため注意が必要です。
家賃下落リスクの対策例
- 賃貸需要の高い地域や物件を選ぶ
家賃下落リスクに最も有効な対策は、多くの人に「住みたい」と思われる地域や物件を選ぶことです。供給に対して需要が高い経営環境なら、家賃を下げなくても入居者が決まる可能性があります。なお、賃貸需要の高い物件を選ぶことで、空室リスクや不動産価格の下落リスクを軽減することも可能となります。 - 家賃設定が適正な物件を選ぶ
不動産投資で成功するためには、自分で情報収集することも重要です。その物件の家賃が適正かについては、賃貸物件のポータルサイトで競合物件と比較するのがよいでしょう。 - 決定力のある仲介会社を選ぶ
仲介会社の能力は、家賃下落リスクに大きな影響を与える可能性があります。見込み客を集客力が高く、物件の魅力をしっかり伝えてくれる仲介会社を選ぶと、家賃を大幅に下げなくても入居者がスムーズに決まる確率が高まります。
不動産価格の下落リスクと対策
不動産投資のリスクの4つ目は、「不動産価格の下落リスク」です。このリスクは、不動産価格が大きく下がり、想定していた売却益を得られない、あるいは売却損がふくらんでしまうことを指します。
不動産価格の下落リスクが発生すると、家賃収入を順調に得られているにもかかわらず、最終的な出口戦略で失敗する可能性があります。このリスクが発生する原因は以下の通りです。
-
賃貸需要の低い物件を選んでしまった
-
建物の老朽化が進んでいる
-
事故物件となってしまった
※事故物件リスクの詳細については後述
不動産価格の下落リスクの対策例
- 賃貸需要の高い地域や物件を選ぶ
多くの人に「住みたい」と思われる地域や物件を選ぶことは、価格下落リスクに対しても有効です。賃貸需要の高い物件は収益力を維持しやすいため、価格下落を抑える効果が期待できます。 - 長期計画に基づいた建物の診断と修繕を行う
→建物が老朽化すると収益性や資産性が低下し、価格下落が起きやすくなります。あらかじめ長期修繕計画を立案し、それに沿った建物診断と修繕を行うことで物件の資産性を維持しやすくなります。
流動性リスクと対策
不動産投資の出口戦略を考える上では、「流動性リスク」を軽減することも大切です。このリスクは、不動産を売却しようとした際に、買い手がなかなか見つからないことを指します。これにより、物件価格を大幅に値下げしたり、固定資産税が積み重なったりする可能性が出てきます。
もともと不動産投資は、株式や投資信託などの金融商品と比べて「流動性が低い」と言われます。そのため、流動性リスクを意識して不動産投資を始めることが重要です。このリスクが発生する原因は、以下の通りです。
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法令を守っていない物件である
-
稼働率が低い
法令を守っていない物件だと流動性リスクが高まる理由は、不動産投資ローンの融資審査に通りにくいからです。これによって買い手が見つからない状態が長期化しやすくなります。
流動性リスクの対策例
- 法令を遵守している物件を選ぶ
不動産投資ローンの融資審査に通りにくい例としては、建築基準法で規定した「接道義務を果たしていない」「建蔽率や容積率を守っていない」などが挙げられます。法令を遵守しているかどうかについては専門知識が必要なため、不動産会社のアドバイスを受けながら判断することが大事です。 - 稼働率を高める
稼働率が低い不動産は収益性が低いため融資審査に通りにくく、買い手が見つかりにくい傾向があります。「物件の魅力を高めるリフォームを行う」「決定力のある仲介会社を選ぶ」などの手段で稼働率を高めることで、融資審査に通りやすい状況をつくれます。
修繕費リスクと対策
不動産投資を長期的な視点で考えると、修繕リスクへの対策も重要です。不動産を一定期間所有していると、以下のような修繕が必要になることがあります。
- 外壁や屋根の塗り替え
- 給排水管の交換
- 室内の住宅設備の交換(エアコンや給湯器など)
修繕リスクとは、これらの修繕費が想定よりも多くかかり、経営を圧迫することを指します。
このリスクが発生する原因は、以下の通りです。
-
長期修繕計画を立てていない
-
長期修繕計画の内容が甘い
-
家賃の一部を積み立てていない
修繕費リスクの対策例
-
綿密な長期修繕計画を立てる
修繕費リスクを軽減するには、長期修繕計画を立て、それに沿って修繕を実施するのが有効です。ただし、建物や設備の劣化状況を正確に調査しなかったり、修繕費用を低めに見積もるなど、修繕計画が不十分だと必要な修繕ができないおそれがあります。不動産の専門家のサポートを受けながら、実効性の高い修繕計画を立案しましょう。 -
必要な資金を積み立てる
長期修繕計画があっても、それを実行する資金がなければ意味がありません。計画に基づいて家賃の一部を適切に積み立てていくことが重要です。インフレによって資材や人件費が高騰すると、想定以上に修繕費がかかる可能性もあるため、目標額よりも多めに積み立てていくのが理想です。
不動産の老朽化リスクと対策
不動産投資の長期経営の観点からは、老朽化リスクへの対策も欠かせません。このリスクは、適切な修繕を行わないことで物件の劣化が進み、「家賃収入が激減する」「空室率が急上昇する」などの問題が発生することを指します。
不動産投資において老朽化リスクが顕在化すると、賃貸需要の高い好立地の物件でも経営が悪化するため注意が必要です。このリスクが発生する主な原因は、以下の通りです。
- 築古物件を購入した
- 適切な修繕を行っていない
- 適切な建て替え時期を逃している
老朽化リスクの対策例
- 長期修繕計画と必要な資金の積み立て
修繕費リスクと同様、綿密な長期修繕計画の立案と、それに沿った資金の積み立てが必須です。将来的に建て替えを目指す場合、その費用の積み立ても必要です。 - 出口戦略をしっかり描く
不動産投資における出口戦略とは、物件を売却する際、利益を最大化するための計画を指します。不動産の購入前に出口戦略を立案しておくことで、適切な売却タイミングや売却価格の目安が把握できます。
金利上昇リスクと対応策
金利上昇リスクとは、借入れをしている不動産投資ローンの金利が上がり、毎月の返済額が増加することを指します。たとえば、不動産投資の収支がわずかに黒字だった場合、金利の上昇によって返済額が増え、赤字になる可能性もあります。
日本では長らく続いていた低金利政策が修正されつつあります。このような状況下で不動産投資を始めるなら、金利上昇リスクへの対策も欠かせません。このリスクが発生する主な原因は、以下の通りです。
- 不動産投資ローンの借入れ額が多すぎる
- もともと高めの金利で借入れをしている
- 変動金利を利用している
- 元利均等返済を選択している
補足をすると、不動産投資ローンの返済方法には、元利均等返済と元金均等返済があり、それぞれに特徴やメリット・デメリットがあります。
元金均等返済 |
特徴:毎月一定の元金を返済していく メリット:元金が減るペースが速い デメリット:返済開始当初の返済額が多い |
元利均等返済 |
特徴:毎月一定の金額を返済していく メリット:毎月の返済額が変わらない デメリット:元金が減るペースが遅い |
金利上昇リスクの対策例
- 低金利のローンを選ぶ
→不動産投資ローンの借入れ金利は、金融機関ごとに異なります。そのため、複数の金融機関の金利を比較し、その中から低金利のローンを選ぶことで、金利上昇リスクを軽減することが可能です。これを踏まえると、数多くの金融機関と提携している不動産会社をパートナーに選ぶのが有利といえるでしょう。 - 借入れ総額を抑える
不動産投資ローンの借入れ総額を抑えることで、金利上昇が起きてもその影響を最小限に抑えることが可能となります。借入れ総額を抑える方法には、借入れ時に「自己資金を増やす」、返済中に「繰上返済をする」があります。繰上返済を行う場合は、手元資金が減りすぎないよう計画的に実行することが重要です。
自然災害リスクと対策
不動産投資における自然災害リスクとは、地震や火災によって建物が倒壊・破損し、その影響で家賃が得られなくなることを指します。加えて、建物の建て替えや修繕費が発生することもあります。
最近では、首都直下型地震や南海トラフ地震の発生が懸念されています。地震発生の対象エリアで不動産投資を始める場合、自然災害リスクへの対策も必須となります。この他、不動産投資における自然災害リスクには、水害(洪水・土砂災害・高潮・津波など)も含まれます。河川近くや海沿いの立地で不動産投資を始める場合は、水害リスクへの対策も必要です。
自然災害リスクの対策例
- 耐火性と耐震性の高い構造を選ぶ
一般的に、木造よりも鉄筋コンクリート造の方が、耐火性と耐震性に優れます。また、旧耐震基準よりも新耐震基準、新耐震基準よりも2000年基準の建物の方が耐震性に優れています。 - 火災保険や地震保険に加入する
不動産投資を始めるときには、火災保険に加入することが必須です。合わせて、地震リスクの高い地域で不動産を購入する際は、地震保険の加入も検討しましょう。なお、地震保険は単体では加入できず火災保険とセットでの加入が必要です。 - ハザードマップを確認する
ハザードマップとは、自然災害のリスクを視覚的に示した地図です。不動産を購入する前にその地域のハザードマップを確認することで、自然災害リスクを把握することが可能です。リスクが高い場合は、購入前後に適切な対策をとったり、不動産の購入を再検討したりすることをおすすめします。
事故物件リスクと対応策
不動産投資における事故物件リスクとは、入居者が自殺や他殺、孤独死(自然死の場合、長期間にわたって発見されず特殊清掃を行ったケースなど)で亡くなることで、原状回復費がかかったり、家賃が下がったりすることを指します。
事故物件であることを告げずに賃貸借契約を交わすと、解約や損害賠償のリスクがあるため注意が必要です。不動産投資を行う際、事故物件リスクを完全にゼロにすることはできませんが、以下のような対策を取ることでリスクを軽減することが可能です。
事故物件リスクの対策例
- 家賃滞納やクレームに即対応する
家賃滞納の発生や周辺からの異臭のクレームが、入居者の孤独死を発見するきっかけになることもあります。管理会社と連携しながら、これらの変化にスピーディーに対応する体制を整えておくことで、入居者が亡くなってから発見するまでの期間の長期化を防ぐ効果があります。 - 連帯保証人を付けておく
賃貸借契約の際に連帯保証人を付けておくことで、孤独死が起きた際の原状回復費を請求することが可能です。 - 孤独死保険に加入する
最近では、事故物件リスクに対応することを目的にした「孤独死保険」を用意する保険会社もあります。孤独死保険に加入すると、原状回復費や家賃下落などの一定割合をカバーすることが可能です。また、火災保険によっては、特約で孤独死の原状回復に対応するものもあります。
不動産投資はやめとけ?失敗事例を検証
ネット検索をすると、「不動産投資はやめとけ」という意見も見られます。その理由となるのは、「こんな失敗をするからやめとけ」というものです。失敗事例と回避策を考えてみましょう。
●失敗事例1:サラリーマンの副業でよく考えずに始めてしまった
初心者に最も多い失敗事例は、不動産投資を始めたいという思いが先行してしまい、深く考えずに空室リスクの高い物件を購入してしまったというものです。たとえば、物件価格の安さに惹かれて、人口減少が進む地域で不動産投資を始めて、長期的な空室が発生することがあります。このような失敗をしないよう、「人口が安定した地域を選ぶ」という対策を徹底しましょう。
●失敗事例2:目的に合っていない不動産を購入してしまった
空室を避けたいという理由から、入居審査の基準を下げてしまい、家賃滞納が発生したという失敗事例もあります。不動産投資は安定的な家賃を得ることで成立します。入居審査の基準を緩めて空室リスクを下げても、家賃滞納リスクが高まってしまっては本末転倒です。それぞれのリスクのバランスを考えながら対策を実行しましょう。
●失敗事例3:修繕費を考えずに中古物件を購入してしまった
中古物件の安さに惹かれて不動産投資を始め、失敗する事例も見られます。中古物件は、物件の状態によって購入直後に修繕費が発生したり、次回の大規模修繕に多額のお金がかかったりすることがあるため、修繕費リスクを考慮した上で「購入するかどうか」を検討することが重要です。
【おすすめ関連記事】「不動産投資はやめとけ」と言われる理由とは?リスク管理について解説
【初心者注意】こんなハイリスク不動産は回避しよう
不動産投資には一見すると高利回りでも、ハイリスクな物件があります。ここでは代表的な3例を紹介します。
地方の一棟アパート
地方の一棟アパートは、都心の物件よりも低価格で高利回りのため魅力的に見えますが、ハイリスクなことが多いため注意しましょう。
地方の一棟アパートの一般的なリスクとして、東京都心の区分マンションなどと比べて空室率が高いことが挙げられます。日本では本格的な人口減少社会を迎えつつありますが、多くの地方都市では都心よりも急カーブで人口減少が進んでいます。
人口が減っても賃貸物件が減るわけではないため、、地方の物件は都心と比べ、相対的に空室率が高くなる傾向があります。
また、地方の一棟アパートは、都心の物件よりも空室リスクが高いため、金融機関の融資がつきにくいというデメリットもあります。融資がつきづらいと、購入しにくいだけではなく、購入していざ売りたい時にも、融資がつきにくいため買い手がなかなか見つからない、すなわち「出口戦略(売却計画)」を描きづらいということも考えられます。
地方の一棟アパートの購入を検討する際は、そのエリアの人口動態や出口戦略について、一層慎重に検討する必要があるでしよう。
築古物件
同様に、築古物件も表面的には低価格かつ高利回りのように見えますが、潜在的なリスクがあるため不動産投資初心者に向いているとはいえません。
たとえば、築古物件は建物や設備が古いため、新築物件よりも修繕費がかさむのが普通です。特に、長期間リフォームや大規模修繕をしていない不動産だと、購入直後にまとまった修繕費が必要になるケースもあるので注意が必要です。
また、築古物件の中でも木造アパートは、購入時にローンを利用するのが難しいケースが多く、これも用意できる資金が限られている投資初心者にとってはデメリットになります。
築古物件でローンを利用しにくい理由は、法定耐用年数が残っていないため、不動産投資ローンの融資審査のハードルが上がるからです。
プレビルドの海外不動産
プレビルドとは、竣工前の不動産を予約購入する不動産投資の手法であり、フィリピンやイギリス、アメリカなど海外の一部の国で認められています。
プレビルド方式の物件は割安に設定されていることが多く、建物の完成に近づくと値上がりしていきます。そのため、キャピタルゲイン(売却益)を得られやすいというメリットがあります。
しかし、プレビルドは日本では禁止されているため、海外不動産業者との取引になるため、日本の感覚では予測するのが難しいようなトラブルも起こりえます。
たとえば、プレビルドでは予定していた工期を大幅に超えるケースもあります。
3年後には売却益を得られると見込んでいたのに、4~5年経っても完成見込みが立たないということも考えられます。また、最終的に物件が完成しなかったり、開発途中で業者が倒産したりする可能性もあります。
さらに、プレビルド物件が完成しても、その国の経済事情の変化などによって、期待していた売却益が得られないリスクもあります。
このように、プレビルド物件は大きなリターンが見込める魅力もありますが、リスクも相応に高く、その国の不動産事情や商習慣に詳しくないと大きなトラブルに遭うリスクが避けられません。初心者が安易に手を出すのは失敗のもとといえるでしょう。
誰でも成功しやすい不動産投資のコツ
不動産投資の初心者がリスクを回避するためには、上記のようなハイリスク物件を避けるとともに、以下のポイントを意識するとよいでしょう。
賃貸需要が高いエリアを選ぶ
不動産投資には数多くのリスクがありますが、中でも避けたいのは家賃収入が入ってこなくなる空室リスクでしょう。これを軽減するには賃貸需要の高いエリア(多くの人が部屋を借りたいと思っているエリア)を選ぶことが大切です。
賃貸需要の高いエリアなら、経年劣化による資産価値および家賃下落リスクも軽減しやすいといえます。
賃貸需要が高いエリアをリサーチする方法の一例として、不動産の情報サイト「ライフルホームズ」の「賃貸用住宅の空室率一覧」の利用があります。これを使えば、各都道府県、各市区町村の空室率のリサーチが手軽にできます。
この他、実際にそのエリアを歩いて空室状況を確認する、そのエリアに強い不動産会社でヒアリングするなどの方法も有効です。
無理なローンを組まない
初心者が注意すべきポイントとしては、適切な融資額かつ金利で不動産投資のローンを組むというものもあります。これにより、空室・家賃滞納・金利上昇などのリスクに対応しやすい経営環境がつくれます。
どれくらいの融資額なら許容できるかはケースバイケースです。不動産投資ローンサービスを提供する株式会社MFSが2020年に行った、約2,000名のサラリーマン投資家調査では、ローン残高と年収の比率である「年収倍率」は平均11.8倍でした。
つまり、年収800万円の人であれば約9,400万円のローン残高があるということです。
また、同調査によると、年収倍率が15倍を超える借入の申込はローンの事前審査の承認率が0%になり、8倍で40%、以降は倍率が下がるほど承認確率が上がるという結果になりました。
このように、無理に高額を借り入れようとしてもローンの審査を通らず、また通ったとしても家賃や本業の収入に変化があった際、キャッシュフローが悪化しやすくなるといったリスクも高まります。
自分がどれくらいの融資額を許容できるか、物件の収支プランと合わせて、不動産会社のコンサルタントと検討するといいでしょう。
慎重にシミュレーションする
不動産投資で失敗しやすいのは、表面利回りや簡易なデータだけを見て物件を購入するようなパターンです。実際に物件を運用してみると、利回りと実際のキャッシュフローに差があるため、想定していたリターンを得られないというのが典型的なケースです。
このような不動産投資の失敗に陥らないためには、物件購入前に収支シミュレーションを行うことが大切です。想定家賃・諸費用・税金などをもとに収支のシミュレーションを行うことで、実際の運用に近いキャッシュフローを確認できます。
最近では、ネット上に数多くの不動産投資用のシミュレーターが無料で公開されているので活用するとよいでしょう。
また、運用の収支は金利や年収、勤続年数、家族構成など、個々人の状況によって異なるため、実際に自分の状況を確認したいという場合は不動産会社にシミュレーションを依頼することをおすすめします。
【おすすめ関連サイト】ベルテックスの不動産投資シミュレーション
2024年速報!不動産投資市場リスク要因1位は「金利上昇リスク」
本記事では、不動産投資の10のリスクを中心に解説してきました。この中で不動産投資の専門家が2024年以降、特に警戒すべきリスクとして挙げているのが「金利上昇リスク」です。
一般財団法人日本不動産研究所がアセットマネージャーやデベロッパー、不動産賃貸などの企業を対象に実施した調査によると、不動産投資市場の今後のリスク要因として、最も数多くの企業が挙げたのが「金利の上昇(103社)」でした(有効回答数119社/2項目選択)。
その他のリスク要因として挙げられているのは、「レンダー(金融機関など資金の貸し手)の融資姿勢の変化」「賃料の伸び悩み」「地震などの自然災害」などでした。
【参考】(一財)日本不動産研究所「第50回不動産投資家調査®」2024年5月29日掲載
ローンを組んで購入することが一般的である以上、不動産投資と金利上昇リスクは切り離せないものですが、ローンの借り換えを検討する、繰り上げ返済によって月々の返済額の負担を減らすなど、まったく対策できないリスクではありません。
不動産投資と金利上昇リスクの関係と、金利上昇への対策は以下の記事でよりくわしく紹介しています。
【おすすめ関連記事】不動産投資における金利上昇リスクは仕組みを知れば怖くない
独学で不安?無料セミナーで専門家の話を聞いてみよう
初心者の中には、これまでネットや本で不動産投資を勉強してきたものの、以下のような不安を抱える人もいるのではないでしょうか。
- 独学なので知識が通用するか心配
- リスクが気になって物件購入を決断できない
- もし投資に失敗したら……という恐怖感が払拭できない
こういった不動産投資の不安を解消する方法として、不動産投資家やコンサルタントへの相談を選択する人もいます。しかし、個別のコンサルタントの場合、決して安くない費用がかかる、あるいは相手先が本当に信用できるか判断しにくいといった問題があります。
「リスクが気になって不動産投資を始められない」などの不安を抱える人は、まずは専門家が講師を務める無料セミナーに参加して足りない知識を補ったり、質問を通して不安を解消したりすることをおすすめします。信頼性の高い不動産投資セミナー(主催社)選びのポイントは以下の通りです。
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宅地建物取引業の免許を取得している(確認方法:会社概要で確認できる)
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数多くの金融機関と提携している(同上)
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一定の社歴がある(例:創業から10年程度など)
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資本金や従業員数が一定以上いる(例:従業員100名以上など)
まとめ
不動産投資にはいくつものリスクがありますが、ここで解説した対策を行うことで軽減・回避することが可能です。一方で、不動産投資の初心者の方が数多くの対策を実行するのは現実的ではありません。
不動産投資のリスクを熟知するビジネスパートナー(不動産会社や管理会社など)に、物件や入居者の管理を委託することで、手間をかけずにリスク回避をすることが可能です。
私たちベルテックスでは、「対面形式(新宿本社)」と「オンライン形式」という2つのスタイルの不動産投資セミナーをご用意しています。様々なテーマのセミナーを企画しているため、その人の知識や経験に合った内容を選べます。直近で開催されるセミナー情報をチェックしたい方は下記のページをご覧ください。
この記事を書いた人
ベルテックスコラム事務局
不動産コンサルタント・税理士
不動産ソリューションの面白さや基礎、役に立つ情報や体験談などをフラットな目線で分かりやすくご紹介。宅建士・ファイナンシャルプランナー・税理士など有資格者の知見を生かしつつ、経験豊かなライターたちが不動産投資でおさえておきたいポイントをお届けします。